2015 年 2 月 7 日 (土)
会場:ウエスティン都ホテル京都 東館 4 階(葵殿)
サテライト会場:東館 4 階(鳳凰の間)、西館 3 階(コスモスホール)
9:30 ∼ 10:15 記念講演 1「リハビリテーションに必要なバイオメカニクス」
………… 46 演者 帖佐 悦男 宮崎大学医学部 整形外科・リハビリテーション部 教授 座長 堀井 基行 京都府立医科大学附属病院 リハビリテーション部 准教授 10:20 ∼ 11:05 記念講演 2「運動療法の基本」
……… 47 演者 志波 直人 久留米大学医学部 整形外科学教室 教授 座長 朝貝 芳美 信濃医療福祉センター 理事長・所長 11:10 ∼ 11:55 記念講演 3「義肢・装具の基本」
……… 48 演者 浅見 豊子 佐賀大学医学部附属病院 先進総合機能回復センター・リハビリテーション科 診療教授 座長 白倉 賢二 群馬大学大学院医学系研究科 リハビリテーション医学分野 教授 12:15 ∼ 13:15 ランチョンセミナー 1「サルコペニアとロコモティブシンドローム」
… 58 演者 千田 益生 岡山大学病院 総合リハビリテーション部 教授 座長 松田 秀一 京都大学大学院医学研究科 整形外科学 教授 13:25 ∼ 14:10 記念講演 4「リハビリテーションに必要な筋電図の基本」
……… 49 演者 正門 由久 東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授 座長 田島 文博 和歌山県立医科大学 リハビリテーション医学講座 教授 14:15 ∼ 15:00 記念講演 5「小児のリハビリテーションの基本」
……… 50 演者 近藤 和泉 独立行政法人国立長寿医療研究センター 機能回復診療部 部長 座長 田尻 達郎 京都府立医科大学大学院 小児外科学 教授 15:05 ∼ 15:50 記念講演 6 「心臓のリハビリテーションの基本」 ……… 51 演者 上月 正博 東北大学大学院医学系研究科 障害科学専攻 機能医科学講座 内部障害学分野 教授 座長 木村 彰男 慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学・医工連携 教授 15:55 ∼ 16:40 記念講演 7「回復期リハビリテーションの現状と課題」
……… 52 演者 石川 誠 医療法人社団 輝生会 理事長 座長 佐浦 隆一 大阪医科大学 総合医学講座 リハビリテーション医学教室 教授 16:45 ∼ 17:30 特別講演「リハビリテーション医学の展望」
……… 45 演者 水間 正澄 昭和大学医学部 リハビリテーション医学講座 教授 座長 久保 俊一 京都府立医科大学大学院 教授プ ロ グ ラ ム
2015 年 2 月 8 日(日)
会場:ウエスティン都ホテル京都 東館 2 階(山城の間)
9:00 ∼ 9:45 教育講演 1「脳卒中のリハビリテーションの基本」
……… 55 演者 出江 紳一 東北大学大学院 医工学研究科 研究科長・教授 座長 道免 和久 兵庫医科大学 リハビリテーション医学教室 教授 9:50 ∼ 10:50 シンポジウム 超高齢社会におけるリハビリテーションの役割 座長 宮 博子 京都桂病院 リハビリテーション科 部長 池田 巧 京都府立医科大学大学院 リハビリテーション医学 講師「高齢者に対するリハビリテーション」
……… 63 演者 中馬 孝容 滋賀県立成人病センター リハビリテーション科 部長「超高齢社会におけるリハビリテーションの役割」
……… 64 演者 高橋 守正 第二岡本総合病院 リハビリテーション科 部長 10:50 ∼ 11:35 教育講演 2「脳外傷による高次脳機能障害の基本」
……… 56 演者 椿原 彰夫 川崎医療福祉大学 学長 座長 山脇 正永 京都府立医科大学大学院 総合医療・医学教育学 教授 11:40 ∼ 12:25 教育講演 3「運動器のリハビリテーションの基本」
……… 57 演者 芳賀 信彦 東京大学大学院 医学系研究科 リハビリテーション医学 教授 座長 菅本 一臣 大阪大学大学院医学系研究科 運動器バイオマテリアル学 寄附講座教授 12:45 ∼ 13:45 ランチョンセミナー 2「ボツリヌス毒素療法」
……… 59 演者 安保 雅博 東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座 教授 座長 水野 敏樹 京都府立医科大学大学院 神経内科学 教授2015 年 2 月 8 日(日)
会場:ウエスティン都ホテル京都 西館 3 階(コスモスホール)
8:00 ∼ 8:55 ポスター 1 「運動器リハビリテーション 1」
座長 徳永 大作 P1-1 前外側大腿皮弁における皮弁採取部の筋力低下について 池口 良輔 京都大学医学部付属病院 リハビリテーション科 他 ………… 67 P1-2 当院で施行した人工膝関節全置換術後リハビリテーションにおける持続他動運動(CPM)の有用性 梶川 佳照 宇治武田病院 整形外科 他 ……… 67 P1-3 京都府大腿骨近位端骨折地域連携パスにおける今後の戦略 盛房 周平 洛和会丸太町病院 整形外科 他 ……… 68 P1-4 90 歳以上の大腿骨転子部骨折患者における術後の自宅復帰に関わる 石飛 千尋 京都府立医科大学附属北部医療センター リハビリテーション科 他 … 68 P1-5 当院における大腿骨近位部骨折患者の自宅退院に影響する因子の検討 寺田 央 宇治武田病院 リハビリテーション科 他 ……… 69 ― 37 ―P1-6 Dall 変法における大転子骨片の転位と QOL の関係 原 弘明 京都桂病院 リハビリテーションセンター 他 ……… 69 P1-7 THA における退院前動作検定について 野中 崇大 京都桂病院 リハビリテーションセンター 他 ……… 70 8:00 ∼ 8:55 ポスター 2
「運動器リハビリテーション 2」
座長 森原 徹 P2-1 角度調節式硬性装具が可動域改善に有効であった肘関節脱臼骨折の1例 久岡 隆晃 医療法人社団 石鎚会 田辺中央病院 リハビリテーション部 他 … 70 P2-2 腰椎椎間板ヘルニア患者に対する アスレティックリハビリテーション ∼バレーボール選手の 1 例∼ 小幡 知良 綾部市立病院 リハビリテーション科 他 ……… 71 P2-3 腰部脊柱管狭窄症に対する運動指導の効果について 眞砂 望 社会医療法人祐生会みどりヶ丘病院 リハビリテーション科 他 … 71 P2-4 リウマチセンターにおけるリハビリテーション科の役割 島 浩人 十条武田リハビリテーション病院 リハビリテーション科 他 … 72 P2-5 腱板広範囲断裂保存症例の運動療法 ―運動肢位による検討― 福島 秀晃 第一岡本病院 リハビリテーション科 他 ……… 72 P2-6 腱板断裂患者における術後リハビリテーション期間と患者立脚肩関節評価法との関連性 河邉 祥子 京都府立医科大学附属病院 リハビリテーション部 他 ……… 73 8:00 ∼ 8:55 ポスター 3 「脳血管リハビリテーション・がんのリハビリテーション」
座長 近藤 正樹 P3-1 慢性期脳卒中患者に対しA 型ボツリヌス毒素製剤の継続投与と集中作業療法の 併用で上肢機能の改善とADL の向上がみられた一例 中村 真己 京都府立心身障害者福祉センター 附属リハビリテーション病院 リハビリテーション科 他 ……… 73 P3-2 アルツハイマー病患者における語想起課題の特徴 ∼意味機能との関係∼ 戸田 淳氏 京都府立心身障害者福祉センター 附属リハビリテーション病院 リハビリテーション科 … 74 P3-3 当院における自動車運転再開プログラムの紹介と事例報告 日沖 義治 社会福祉法人京都博愛会 京都博愛会病院 リハビリテーション科 … 74 P3-4 破裂前交通動脈瘤に対するクリッピング術後に記憶・注意障害を呈した症例に 対する作業療法 ∼急性期から就労支援まで∼ 辻 真以子 京都桂病院 リハビリテーションセンター ……… 75 P3-5 副神経保存頸部郭清術後の頸神経保存の有無における ―肩関節挙上障害と疼痛について― 梅本 明 京都府立医科大学附属病院 リハビリテーション部 ……… 75 P3-6 長期入院化学療法をうける若年骨肉腫患者に於けるリハビリテーション継続阻害因子 に関する検討 城戸 顕 奈良県立医科大学 整形外科 ……… 76 P3-7 当院における造血器腫瘍患者に対するリハビリテーション 西田 毅之 京都桂病院 リハビリテーションセンター 他 ……… 768:00 ∼ 8:55 ポスター 4 「
回復期・生活期リハビリテーション」
座長 冨田 素子P4-1 回復期リハビリテーション病棟の新規立ち上げに際した、患者の背景、および ADL と認知機能についての考察
西村 幸秀 京都地域医療学際研究所 がくさい病院 他 ……… 77
P4-2 当院における BWSTT(Body Weight Supported Treadmill Training) の使用状況と その効果 松本 憲二 関西リハビリテーション病院 リハビリテーション科 他 …… 77 P4-3 当院におけるリハビリ栄養への取り組みと今後の課題 田村さちこ 京都大原記念病院 他 ……… 78 P4-4 高度挫滅創に対する生活期リハビリテーションの効果 福住 莉沙 御所南リハビリテーションクリニック 他 ……… 78 P4-5 短時間通所リハビリテーション利用者の初期運動機能評価の報告 中本 隆幸 医療法人啓信会 京都きづ川病院 リハビリテーション室 他 … 79 P4-6 通所リハビリテーションを利用する高齢者の脊柱自動伸展能力と呼吸機能、嚥下機 能、筋肉量との関連性について 冨田 健一 明治国際医療大学 医学教育センター リハビリテーション科学教室 他 … 79 14:00 ∼ 14:40 ポスター 5
「リハビリテーションにおける新しい試み」
座長 沢田光思郎 P5-1 テーピングを用いた腹横筋収縮法の試み 宮崎 哲哉 京都府立医科大学附属病院 リハビリテーション部 他 ……… 80P5-2 Robot Suit HAL®による Charcot-Marie-Tooth 病の歩容の変化
奥田 求己 京都府立医科大学附属病院 リハビリテーション部 他 ……… 80 P5-3 車椅子 TUG を用いた「身体的環境適応能力評価」の試み 福澤 優 西記念ポートアイランドリハビリテーション病院 他 ……… 81 P5-4 バランス訓練にアイタッチ 2 を用いたリハビリテーションの経験 大野 篤史 京都府立心身障害者福祉センター附属リハビリテーション病院 リハビリテーション科 他 ……… 81 P5-5 電子カルテを用いた入院関連機能障害予防システム(HPS)の導入 ∼本邦で例をみない病院全体での取り組み 角田 亘 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座 他 ……… 82 14:00 ∼ 14:40 ポスター 6
「摂食嚥下リハビリテーション・言語聴覚療法」
座長 板東 秀樹 P6-1 頸椎前方固定術後に嚥下障害が持続した 1 例 武村 幸次 公立南丹病院 リハビリテーション科 他 ……… 82 P6-2 頚椎手術後に嚥下機能が悪化した一症例 久保 陽介 京都桂病院 リハビリテーションセンター 他 ……… 83 P6-3 頸椎椎体前方の骨棘により脊椎圧迫骨折後嚥下障害に陥った 1 例 兼松まどか 洛和会 みささぎ病院 リハビリテーション科 他 ……… 83 P6-4 他疾患での入院を契機に発見された Forestier 病による嚥下障害 8 例の検討 森脇 美早 社会医療法人祐生会みどりヶ丘病院 リハビリテーション科 他 … 84 ― 39 ―P6-5 当院における音声治療の現状 阪下 英代 京都府立医科大学附属病院 リハビリテーション部 他 ……… 84 14:00 ∼ 14:40 ポスター 7
「内部障害のリハビリテーション」
座長 白石 裕一 P7-1 回復期リハビリテーション専門病院における急性期病院との連携による 心臓リハビリテーション 福田 優子 西記念ポートアイランドリハビリテーション病院 他 ……… 85 P7-2 包括的心大血管疾患リハビリテーションを必要とするすべての患者に提供するチーム 医療を目指して 島 孝友 京都第一赤十字病院 心臓センター循環器内科 他 ……… 85 P7-3 心不全患者における Patient Activity(デバイスモニタリング指標)の有用性 ―心臓リハビリテーションへの活用について検討― 棟近 麻衣 京都府立医科大学附属病院 リハビリテーション部 他 ……… 86 P7-4 慢性閉塞性肺疾患患者は機能・能力障害を有するのか? ∼ GOLD 病期分類、リスク−症状カテゴリー分類での比較∼ 堀江 淳 京都橘大学 他 ……… 86 P7-5 当院リハビリテーションセンターの肝臓病教室の取り組みについて 若山 晃 京都桂病院 リハビリテーションセンター 他 ……… 87 14:45 ∼ 共催プログラム ……… 89日本リハビリテーション医学会近畿地方会
専門医・認定臨床医生涯教育研修会
京都府リハビリテーション教育センター
京都リハビリテーション医学研究会
共催プログラム
14:45 ∼ 15:05 研修講演 1「経頭蓋磁気刺激療法+集中リハビリテーション」
……… 91 ∼脳卒中慢性期のQOL向上を目指して∼ 演者 垣田 清人 京都大原記念病院 院長 座長 武澤 信夫 京都府リハビリテーション支援センター センター長 15:05 ∼ 15:50 研修講演 2「維持期のリハビリテーションの実際」
……… 92 演者 高 謙一郎 高生会リハビリテーションクリニック 院長 座長 北條 達也 同志社大学 スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科 教授 15:50 ∼ 16:35 合同特別講演 1 ロボットリハビリテーション ……… 93「世界のロボットリハビリテーション」
演者 島田 洋一 秋田大学大学院医学系研究科医学専攻機能展開医学系整形外科学講座 教授 座長 三上 靖夫 京都府立医科大学大学院 リハビリテーション医学 病院教授 16:35 ∼ 17:20 合同特別講演 2 ロボットリハビリテーション ……… 94「リハビリテーションロボット、特に練習支援ロボット」
演者 才藤 栄一 藤田保健衛生大学医学部 リハビリテーション医学Ⅰ講座 教授 座長 久保 俊一 京都府立医科大学大学院 教授共 催 プ ロ グ ラム
― 41 ―特別講演・記念講演
特 別 講 演
記 念 講 演
2 月 7 日 (土)
特別講演・記念講演 リハビリテーション(以下リハ)医学は障害者や高齢者の活動を支え社会参加を促して行くもの であるが、その動向は医学・医療技術の進歩のみならず社会背景や社会保障制度などとも密接に関 連している。医療技術の進歩により救命率は向上したがリハを必要とする方々も増加し、生命予後 の改善にともなって高齢者人口はさらに増加している。さらには、障害(児)者の増加や高齢化も 明らかとなってきており、長期にわたる専門的な対応も必要とされる。近年、わが国のリハ医療 は高齢社会を背景にしてその役割や重要性が認識されるようになってきたが、高齢者リハ研究会 (2004 年)において指摘された急性期リハ医療が不十分、医療から介護への連携システムが機能し ていない、在宅リハが不十分、などへの対策が十分とは言えない状況である。医療は病院完結型か ら地域全体で支える地域完結型に変わりつつあり、病院・施設から地域・在宅へ、医療から介護へ という方向性が示された。昨年には高齢社会における病院・病床機能の分化、急性期医療の充実、 在宅医療・介護の推進、かかりつけ医の普及、地域包括ケアシステムの構築などが打ち出され、そ の中でのリハの役割が明確化され、急性期から生活期に至るまでリハのニーズは医療のみならず介 護・福祉領域へと拡がりを見せている。特に生活期においては臓器・疾患横断的に対応してゆくリ ハ医療こそがより一層の貢献をして行かなければならず、新たな制度での専門医の育成にも反映さ せる必要がある。リハ医学の更なる向上にむけて関連する専門職とともに開始された人材育成など の部会活動や、予測される災害に対するリハの貢献、さらには新たな技術や機器の適正な普及等の 取組みも紹介し将来像を共有するとともに、これから私たちが担うべき役割について考える機会と したい。特別講演
リハビリテーション医学の展望
水間 正澄
昭和大学医学部 リハビリテーション医学講座 教授 日本リハビリテーション医学会 理事長 講師略歴 水間 正澄(みずま まさずみ) 昭和 25 年 (1950 年) 09 月 22 日生 (64 歳 ) 昭和 52 年 (1977 年) 3 月 昭和大学医学部卒業 昭和 57 年 (1982 年) 4 月 昭和大学医学部整形外科学教室助手 (リハ担当) 昭和 59 年 (1984 年) 1 月 昭和大学医学部整形外科学教室講師 (リハ担当) 平成 2 年 (1991 年) 10 月 昭和大学病院リハビリテーション医学診療科講師 平成 5 年 (1993 年) 4 月 昭和大学病院リハビリテーション医学診療科助教授 平成 9 年 (1997 年) 4 月 昭和大学医療短期大学理学療法学科教授 平成 13 年 (2001 年) 9 月 昭和大学病院リハビリテーション医学診療科教授 平成 20 年 (2008 年) 12 月 昭和大学医学部リハビリテーション医学講座教授 ― 45 ―2 月 7 日 (土)
特別講演・記念講演 運動器の役割には、四肢・体幹の支持、運動の指令・伝達・反応や関節や筋肉を介した身体運動 の働きがあり、その運動器に機能障害が生じた場合には患者の QOL は著しく損なわれます。バイ オメカニクスは、生体の構造や運動を力学的に探求しその結果を応用することを目的とした学問で す。従って、運動器を生体力学的に解析することは、運動器疾患における病態の解明・評価やリハ ビリテーションを含めた治療方法の選択などにおいて重要と考えています。しかし、運動器は三 次元的複雑な形態を有しているためその力学的研究は困難でした。近年、運動器・リハビリテー ション分野において有限要素法、万能試験機、三次元動作解析装置やロボットなどが生体力学の研 究や運動器疾患の治療へ応用されるようになりました。また、私たちは一般の方への説明にも視覚 的に訴えることのできる方法が有用と考え上記を利用しています。 今回はリハビリテーションに必要なバイオメカニクスと一般の方への説明の実際を歩行解析、ス ポーツ動作、インプラントや骨切り術、義肢装具ならびにスポーツ傷害やパフォーマンスの向上、 ロコモティブシンドロームの啓発や予防などの取り組みについて紹介します。記念講演1
リハビリテーションに必要なバイオメカニクス
帖佐 悦男
宮崎大学医学部 整形外科学 教授・リハビリテーション部 部長 日本リハビリテーション医学会 理事 講師略歴 帖佐 悦男(ちょうさ えつお) 現 職: 宮崎大学 医学部 整形外科学 教授 宮崎大学 医学部 附属病院 リハビリテーション部 部長 経歴・資格: 昭和 59 年 大分医科大学卒業 宮崎医科大学整形外科入局 平成 5 年∼ 6 年 スイスベルン大学留学(Ganz 教授師事) 平成 10 年 宮崎医科大学医学部整形外科 助教授 平成 16 年∼ 現職 平成 17 ∼ 26 年 宮崎大学医学部附属病院 副病院長 ・日本整形外科学会専門医 ・日本リハビリテーション医学会専門医、認定臨床医、指導医 ・日本医師会認定健康スポーツ医、日本整形外科学会スポーツ医 ・日本体育協会公認スポーツドクター、障害者スポーツ医 ・日本リウマチ学会指導医・専門医、日本リウマチ財団登録医2 月 7 日 (土)
特別講演・記念講演 リハビリテーション医学では障害の回復という観点から、運動療法が理学療法の中心的役割を 担っている。運動療法は、関節可動域運動、筋力増強運動、体力増強運動、起居動作運動、歩行練 習が基本となり、疾患によって神経生理学的アプローチ、協調性改善運動、治療体操などを実施す る。 最近では、生活習慣病である、高血圧、糖尿病、高脂血症、動脈硬化、虚血性心疾患など内科的 疾患への運動の効果が医学的にも証明され、健康の維持や増進への関心の高まりとともに、いわ ゆるメタボリック症候群(メタボ)の予防や改善に対する運動の重要性が広く認識されるように なった。 運動療法の目的は、関節可動域改善、筋力増強、体力の向上による、歩行能力を含めた ADL の 改善である。これに加えて、最近では上記のようにメタボ、すなわち生活習慣病への予防や改善へ の関心が社会的に高まっており、これも運動療法の目的と捉えられるようになった。 運動療法は、疼痛の存在により実施が困難になると、活動性低下による筋力低下、骨萎縮、関 節拘縮、体力低下という負の連鎖が発生して、廃用性変化を引き起こす。このため、疼痛コント ロールを実施した上での運動療法実施が必要となる。そのためには、疼痛が侵害受容性疼痛か末梢 神経障害性疼痛かを判断し、必要があれば薬物療法を行った上で運動療法を実施する。また、温熱 などの施行が疼痛に効果的なことも多く、運動療法実施前の物理療法がしばしば用いられる。 運動療法の実施において注意すべき点としては、禁忌事項や制限事項の確認と遵守である。内科 疾患における運動負荷の設定や、運動器リハビリテーションにおける整形外科術後の荷重制限や運 動制限の確認不足は、最悪の場合、重篤な合併症を引き起こしたり再手術を余儀なくされたりし て、医療事故から訴訟へと進展する可能性がある。これらを未然に防ぐためにも、急性期施設の主 治医や術者との緊密な連携が不可欠である。記念講演 2
運 動 療 法 の 基 本
志波 直人
久留米大学医学部 整形外科学教室 教授 日本リハビリテーション医学会 理事 講師略歴 志波 直人(しば なおと) 久留米大学医学部整形外科学教室 主任教授 久留米大学病院副病院長 久留米大学リハビリテーション部部長 日本整形外科学会代議員 日本リハビリテーション医学会理事 日本宇宙航空環境医学会評議員 国際公募国際宇宙ステーション利用実験主任研究者 ― 47 ―2 月 7 日 (土)
特別講演・記念講演 義肢装具療法はリハビリテーション(リハ)における有用な治療方法の一つである。この手段と して使用される義肢・装具は、時代とともに著しい進化をとげてきており、最近ではロボティク スリハに代表されるように、最先端技術により開発された高機能のものが臨床でも使用され、そ の効果も期待されてきている。一方で、日常診療の中では、誰もが処方するオーソドックスな義 肢・装具というものもある。その種類はそう多いものではないが、いまだ明らかな治療効果に対 するエビデンスがあるものが少ないためか、処方者の多くは処方基準や適合評価に対する認識が あまりなく、適応疾患やサイズ・固定力・矯正力の選択、さらには使用方法について明確な考え を持たないまま処方する場合もあり、このことが最終的な義肢・装具の治療効果にも影響している ものと考えられる。いずれにせよ、義肢装具療法は、医師が処方し、義肢装具士が作製し、リハビ リテーションスタッフがその義肢・装具を用いてリハビリ治療を行うという、まさしくリハビリ テーション医療の基本をなすチーム医療そのものである。その中で、医師は、義肢装具療法におけ るリーダーシップをとり、チームアプローチを円滑に進める役割を担っている。そのために、医師 には、義肢装具療法を行う上で必要な疾患や病態の理解と把握、適合に関する十分な評価、対象者 の社会的背景や満足度への配慮、連携のためのコミュニケーション能力などが要求される。今回、 義肢装具療法を行う上で医師として知っておいていただきたい基本的な事項を中心にお話しする が、義肢・装具に新たな視点で再度向き合っていただける機会になればと思っている。記念講演 3
義 肢・ 装 具 の 基 本
浅見 豊子
佐賀大学医学部附属病院 先進総合機能回復センター・リハビリテーション科 診療教授 日本リハビリテーション医学会 理事 講師略歴 浅見 豊子(あさみ とよこ) 昭和 59 年 福岡大学医学部卒業 昭和 63 年 佐賀医科大学大学院修了 平成 2 年 佐賀医科大学附属病院 外科学講座(整形外科) 助手平成 6 年 米国 Christine M. Kleinert Institute for Hand and Microsurgery 留学 平成 7 年 佐賀医科大学 外科学講座(整形外科) 学内講師 平成 16 年 佐賀大学医学部附属病院 リハビリテーション部 助教授 平成 19 年 佐賀大学医学部附属病院 リハビリテーション科 診療教授 平成 22 年 佐賀大学医学部附属病院 先進総合機能回復センター 副センター長 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 理事(兼務) 平成 24 年 一般社団法人 日本義肢装具学会 理事長(兼務)
2 月 7 日 (土)
特別講演・記念講演
神経生理学的検査は、疾患の病態を掴み、リハビリテーションを行うために必要な検査である。 そのなかで針筋電図検査は疾患の鑑別やその進行、回復程度の把握を目的として行われる。その 中でも随意収縮時の検査は、被検筋をわずかに収縮させて個々の運動単位電位(MUP: Motor Unit Potential)の波形の観察を行うことと被検筋に徐々に力を入れてもらい、MU の動員を観察し、最 終的には最大収縮をさせ干渉波の観察を行う。
正常人では、収縮力を高めていくと、MU が大きさの原則に従って、前角細胞が発射する。筋収 縮を強めると、新たに MU が動員されると同時に、すでに動員されていた MU の発射頻度を上昇 させる。上肢近位筋や下肢筋では MU の動員が 80% MVC(maximal voluntary contraction)以上ま で動員されるものの、発射頻度の上昇は少ない。一方、手内筋は 50% MVC 以上で動員される MU は、ほとんどなく、さらに筋張力に上げるのは、発射頻度の上昇によってである。 針筋電図検査で記録される波形は、筋張力が上がるにつれ、MU の動員と発射頻度の上昇によっ て影響される。正常では記録される波形は干渉波となり、MUP が重なって記録され、干渉波とな る。つまり、ほとんど基線が見えなくなる。神経疾患と筋疾患では、MU の動員が異なるために観 察される干渉波に違いが生じる。つまり神経疾患では、MU のいくつかが機能しなくなった状態で あり、MU の数が減少しており、最大収縮においても干渉波に至らない。しかしその代償として残 存した MU が高頻度で発射する。一方筋原性疾患では、個々の MU の筋線維数が減少し、残存筋線 維も正常ではなく、その筋張力が減少する。それゆえ、弱収縮でも多くの MU が動員され、筋力の 保持に当たる。つまり早期に多くの MU が動員され、容易に干渉波となり、early recruitment と呼 ばれる。
記念講演 4
リハビリテーションに必要な筋電図の基本
正門 由久
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授 日本リハビリテーション医学会 理事 講師略歴 正門 由久(まさかど よしひさ) 学 歴: 昭和 57 年 慶應義塾大学医学部卒 平成 4 年 博士(医学)(慶應義塾大学) 職 歴: 昭和 57 年 慶應義塾大学医学部リハビリテーション科 平成元年 Boston University NeuroMuscular ResearchCenter
平成 5 年 慶應義塾大学医学部専任講師
平成 13 年 Division of Neurophysiology, Department of Medical Physiology
The Panum Institute, University of Copenhagen
平成 15 年 慶應義塾大学医学部・月が瀬リハビリテー ションセンター助教授 平成 20 年 東海大学医学部専門診療学系リハビリテー ション科学 教授 現在に至る。 所属学会: 日本リハビリテーション医学会 理事、代議員、指導医、専門医、認定臨床医 日本臨床神経生理学会 理事、代議員、認定医(神経伝導・筋電図・脳波) 米国神経筋電気診断医学会(AANEM) 専門医(ABEM)、正会員 ― 49 ―
2 月 7 日 (土)
特別講演・記念講演
小児リハビリテーション(以下、小児リハ)は、これまでの運動障害中心の脳性麻痺(以下 CP) 児を中心としたリハから、発達障害全体をその対象とするように変貌しつつある。極低出生体重児 の救命率の改善に伴い、発達障害児が増えている。その有病率は全体で 8.3 ∼ 9.2%とされている が、極低出生体重児(1000g 以下)では特に AD/HD(attention deficit hyperactivity disorder: 注意 欠陥・多動性障害): 14.1%∼ 23.1%、および LD(Learning Disabilities: 学習障害): 16.7 ∼ 26.7% などの軽度発達障害が多くなる。一方、これまで小児リハの中心的な対象とされてきた CP は 0.2% 内外である。したがって現在の小児リハは、以前の少数の CP を中心とし、運動障害を主なター ゲットにした医療から、AD/HD および LD などのいわゆる軽度発達障害の情緒・多動・基本的な 学習などの障害へシフトしていくことが求められている。
CP 児 の 医 療 自 体 も 粗 大 運 動 能 力 評 価 シ ス テ ム(Gross Motor Function Classification System: GMFCS)の開発による層別化と、Gross Motor Function Measure (GMFM)の Rasch 分析が行わ れ、難易度マップが使える評価尺度が、これらの他にも考案されたことによって、より精緻化・詳 細化している。治療に関しても痙縮に対するボツリヌス毒素治療、バクロフェンの髄腔内注入、選 択的後根切断術などの適応、片側性障害に対する CI 療法など、新しい治療手段の適用によって、 その長期的な予後すらも大きく変わろうとしている。一般的なリハ科医として、これら全ての評価 および治療技術を、CP 児に対して適用する能力を身につける必要は無いが、少なくとも手術を含 めた治療の重症度別の適用に関する知識を持ち、それを適切に CP 児の保護者に伝えられるように なるのが小児リハの基本と考える。
記念講演 5
小児のリハビリテーションの基本
近藤 和泉
独立行政法人国立長寿医療研究センター 機能回復診療部 部長 日本リハビリテーション医学会 理事 講師略歴 近藤 和泉(こんどう いずみ) 昭和 57 年 弘前大学医学部卒業 昭和 63 年 London、Bobath Center における脳性麻痺児の神経発達学的治療コース修了 平成 7 年 弘前大学医学部附属 脳神経疾患研究施設リハビリテーション部門 助教授 平成 8 年 Canada、McMaster 大学、Foreign Researcher平成 18 年 輝山会記念病院(副院長)
平成 20 年 藤田保健衛生大学 藤田記念七栗研究所リハビリテーション研究部門 教授 平成 22 年∼ 独立行政法人国立長寿医療研究センター 機能回復診療部 部長
平成 25 年∼ 日本ニューロリハビリテーション医学会 / 理事長 平成 26 年 第 41 回日本脳性麻痺研究会 / 会長
2 月 7 日 (土)
特別講演・記念講演 心臓リハビリテーション(リハ)は、運動療法・冠危険因子是正・患者教育およびカウンセリン グ・最適薬物治療を多職種チームが協調して実践する長期にわたる多面的・包括的プログラムをさ す。心臓リハでは、①運動耐容能の増加、②冠動脈硬化・冠循環の改善、③冠危険因子の是正、④ 生命予後の改善、⑤ QOL の改善などのめざましい効果が示されている。AHA ガイドラインでは心 筋梗塞患者の生命予後を改善する方法として、後期回復期心臓リハがエビデンス A、クラスⅠ(確 実に有効なもの)として挙げられている。心臓リハの有効性が認められている疾患には、心筋梗塞 の他にも、狭心症、冠動脈バイパス術後、心臓弁膜症術後、大動脈瘤手術後、心不全、心臓移植後 などがある。 心臓リハの目的は、単に自宅退院、ADL(日常生活活動)の自立や復職にあるのみではなく、循 環器疾患の再発防止、予防、生命予後の延長までをめざすものであり、この点が脳卒中リハなどと 大きく異なる。つまり、自宅退院や復職が達成できれば心臓リハの目的を完全に達成したと考える ことは誤りである。 6 か月間の回復期心臓リハを行うと心筋梗塞患者の 3 年後の死亡率を 52%も低下できる。この理 由は、心筋梗塞の多くは狭窄度 50% 未満の血管の不安定プラークが破綻することで発生するため である。わが国の「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012 年改訂 版)」では、血管における侵襲的治療を重視してきた医師の反省、すなわち、血管病の予後の改善 が侵襲的治療のみでは達成できないという多くの多施設試験結果から運動療法が再認識されている と明記されている。 エビデンスが明らかでリスク管理の徹底した心臓リハはリハ医療の中でも先進的であり、超高齢 社会、重複障害時代のリハにおいてその役割が益々大きくなることは明白である。循環障害患者の 高齢・障害の重複化に対しては、関節拘縮・バランス改善や予防という理学療法や環境対策も含め た広い意味でのリハに熟知したリハ科医に任せることで、心臓リハ対象患者を拡大できる可能性が 高く、リハ科医と循環器科医の協力体制のより緊密な構築が望まれる。記念講演 6
心臓のリハビリテーションの基本
上月 正博
東北大学大学院医学系研究科 障害科学専攻 機能医科学講座 内部障害学分野 教授 日本リハビリテーション医学会 理事 講師略歴 上月 正博(こうづき まさひろ) 1981 年東北大学医学部卒業。東北大学第二内科、メルボルン大学医学部などを経て、2000 年に東北大学大学院医学系研 究科障害科学専攻機能医科学講座内部障害学分野教授(∼現在)、東北大学病院内部障害リハビリテーション(リハ)科 長(∼現在)に就任。2002 年より講座主任兼務(∼ 2008 年)、東北大学病院リハ部長兼務(∼現在)、2008 年より障害科 学専攻長も兼務(∼現在)。日本心臓リハ学会理事、日本リハ医学会副理事長、日本腎臓リハ学会理事長、Asian Society of Human Service 理事長、日本運動療法学会理事、日本臨床運動療法学会理事、国立大学リハ部門代表者会議会長、東 北大学医師会副会長、艮陵医学振興会常任理事、等を歴任。リハ科専門医、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門 医、心臓リハ認定指導士、呼吸ケア指導士、摂食嚥下リハ認定士。英文原著 252 編、和文原著 106 編、編著書 32 冊。 ― 51 ―2 月 7 日 (土)
特別講演・記念講演 回復期リハ病棟は 2000 年の制度創設から 14 年が経過し、2014 年 11 月には 1,282 病院、1,603 病棟、 71,022 病床となり、さらに増加の一途をたどっている。当初、人口 10 万人あたり 50 床の整備を目 標としたが、量的整備状況は良好なようにみえる。しかし、都道府県別にみると人口 10 万に 30 床 から 140 床まで 4 倍以上の格差が存在し、二次医療圏でみると明らかに過剰な地域がある一方で 1 病棟もない地域の存在など、地域間格差の解消が課題となっている。一方、質的整備状況について は、急性期病院から玉成混交と指摘されているなど課題は多い。2008 年から診療報酬にて回復期 リハ病棟に質の評価が導入され、改定の度に見直しがなされている。現在、入院料1から入院料 3 までの 3 段階に加え、入院料1の体制強化加算を加えると 4 段階の評価となった。しかし、この入 院料区分が本当に質を評価しているのか疑問もある。第 1 にリハ専門医の有無である。推定 20%の 病棟にしかリハ専門医は配置されていないのが現状である。成熟したチームアプローチを推進する ためにもリーダーとなるリハ専門医は必須であるが、現状はかなり厳しい状態にある。第 2 にリハ 看護・リハ介護の格差である。自立支援・セルフケアへの技術が未熟で、従来のバイタルサインの チェックや処置中心の看護から離脱が図れていない病棟も存在する。第 3 に個別リハの提供量であ るが、患者 1 人 1 日当たり平均 6 単位以上が提供されるようになってきた。ただし、PT・OT・ST は経験 5 年未満が 50%を超えており、技術的不安がある。当然、教育・研修体制の充実が必須とな るが、この点でもリハ専門医の存在は欠かせない。第 4 に病棟構造や備品である。この他にも課題 は多く、質に関する課題は山積状態である。評価できるのは、昨年の 1 年間で約 27 万人が回復期リ ハ病棟を通過し、平均 77 日の入院期間で、72%が自宅復帰を遂げていることであろう。記念講演 7
回復期リハビリテーションの現状と課題
石川 誠
医療法人社団 輝生会 理事長 日本リハビリテーション医学会 理事 講師略歴 石川 誠(いしかわ まこと) 所属先: 医療法人社団 輝生会 理事長、初台リハビリテーション病院、船橋市立リハビリテーション病院、 船橋市リハビリセンター、在宅総合ケアセンター元浅草、在宅総合ケアセンター成城 職 歴: 昭和 48 年 群馬大学医学部卒 群馬大学医学部脳神経外科研修医 昭和 50 年 佐久総合病院 脳神経外科医員 昭和 53 年 虎の門病院 脳神経外科医員(虎の門分院リハビリテーション担当) 平成 1 年 医療法人社団 近森会 近森リハビリテーション病院院長 平成 11 年∼ 医療法人財団 新誠会 理事長 平成 14 年∼ 医療法人社団 輝生会 理事長 (平成 14 年∼ 17 年 初台リハビリテーション病院院長) (平成 20 年∼ 船橋市立リハビリテーション病院指定管理者代表) 日本リハビリテーション医学会 専門医・理事 回復期リハビリテーション病棟協会 常任理事 日本リハビリテーション病院・施設協会 顧問教
育
講
演
ランチョンセミナー
教育講演 ・ ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー2 月 8 日 (日)
脳卒中は脳血管の閉塞または破綻によって生じる急性発症疾患であり、数日以内に病巣が確定し た後、病巣周辺の機能低下部の回復と中枢神経系の可塑的変化により、残存機能が環境に適応する 形で回復していく。したがって、到達する機能は病巣によって一義的に決まるのではなく、発症前 の脳の構造と機能、ならびに発症後のリハビリテーション(以下、リハと略す)によって大きく影 響される。リハは急性期、回復期、維持期に分けられるが、それぞれの時期が科学的に定義されて いるわけではない。 急性期リハの柱は早期座位であり、基本的 ADL の確立に主眼を置く。開始時期は病型と症状か ら判断し、進行・再発に対するリスク管理を行う。関節拘縮や褥瘡の発生予防はもちろん、誤嚥性 肺炎や尿路感染症、深部静脈血栓症などの合併症の予防・管理がリハを進める上で重要である。リ ハの治療計画の作成と処方は障害評価に基いて行われ、評価には機能的帰結の予測が含まれる。発 症後早期においては、リハの適応に対して感度の高い帰結予測が大切である。 回復期のリハはダイナミックなチーム医療である。多職種による精度の高い障害評価と帰結予測 に基づき、治療目標が共有され、生活全体が治療の場として構成される。また、急性期よりも患 者・家族の主体性が発揮されることが求められ、それを促進するコミュニケーションが大切とな る。リハ治療は学習の原理によって計画される。すなわち課題難易度の設定、フィードバック、反 復、動機付けを適切に行い、中枢神経系の可塑的変化を最大限引き出して環境への再適応を図る。 維持期は生活期とも呼ばれ、医学的には再発と廃用症候群の予防が重要である。機能的目標が比 較的合理的に提示される回復期と違い、患者・家族の生活上の要望や人生の展望をふまえた対応が 求められ、リハはより個別的となる。それを遂行するためのコミュニケーションは重要な医療技術 であり、その一つにコーチングがある。 以上のように脳卒中のリハは、多職種による個々の治療技術を、最適なタイミングと組合せで提 供し、それによって患者・家族による、回復への主体的な取り組みを促進し、社会への再適応を実 現するシステムである。教育講演1
脳卒中のリハビリテーションの基本
出江 紳一
東北大学大学院 医工学研究科 研究科長・教授 日本リハビリテーション医学会 副理事長 教育講演 ・ ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー 講師略歴 出江 紳一(いずみ しんいち) 慶應義塾大学医学部卒業 平成 4 年 6 月 米国ニュージャージー医科歯科大学ポス トドクトラルリサーチフェロー 平成 5 年 9 月 慶應義塾大学病院リハビリテーション科 医長 平成 7 年 4 月 東海大学医学部リハビリテーション学 講師 平成 11 年 4 月 東海大学医学部リハビリテーション学助 教授 平成 14 年 8 月 東北大学大学院医学系研究科肢体不自由 学分野 教授 平成 20 年 4 月 同医工学研究科リハビリテーション医工 学分野 教授(医学系研究科肢体不自由 学分野 教授 兼任) 平成 23 年 10 月 第 22 期日本学術会議連携会員 平成 26 年 4 月 東北大学大学院医工学研究科長 学 会: 日本リハビリテーション医学会 専門医、代議 員、副理事長(平成 24 年∼)2 月 8 日 (日)
脳外傷によって救命救急医療を受けた患者の中には、一見して健常者あるいは、軽微な障害のよ うに見える程に回復したが、残存する高次脳機能障害のために社会生活に支障を来たしている者が 少なくない。医療者からも積極的な治療や身体障害者手帳交付の対象外とみなされてきた「見えな い障害」は社会問題として捉えられ、平成 13 年から高次脳機能障害支援モデル事業、平成 18 年か ら高次脳機能障害支援普及事業が開始された。その主たる症状は、1)記憶障害、2)注意障害、3) 遂行機能障害、4)社会的行動障害で、前頭葉の外側穹隆部・内側基底面・前部帯状回・眼窩面、 側頭葉の下内側面などが主な責任病巣となっている。 リハビリテーション医療は急性期から開始され、回復期に加えて生活期に至っても重要で、 WAIS- Ⅲに加えて WMS-R・RBMT などの記憶検査、SCAA・TMT (Part A・B)・CAT などの注意機 能検査、BADS・WCST・FAB などの遂行機能検査を行ったうえで、言語聴覚療法や作業療法が処 方される。大脳には著明な可塑性が存在するため、適切な学習課題を繰り返すことによって高次脳 機能障害の症状も大きく変化する。我々のデータでは記憶機能、遂行機能、全般的知的機能には統 計的有意な改善が認められたが、注意機能の改善は顕著ではなかった。社会復帰の状況について は、WAIS- Ⅲや WMS-R、BADS の改善が良好であった者に就労者(復職、就職)が多かった。病 識のない患者の場合には家族の苦労が多く、病識のある患者では心理的異常が問題となる傾向があ る。そのため、医師による家族支援や臨床心理士による心理的アプローチ、集団訓練、家族教室な どが非常に重要である。 高次脳機能障害者とその家族に対しては県レベルの支援体制が進められているが、岡山県では医 療的拠点機関と福祉的拠点機関の連携体制を採っている。両者の支援コーディネーターが相互に連 絡を取り合って、社会復帰を促進している。また、中核的な病院・施設による支援、支援普及事業 による啓発に加えて、脳外傷友の会の役割も重要である。教育講演 2
脳外傷による高次脳機能障害の基本
椿原 彰夫
川崎医療福祉大学 学長 日本リハビリテーション医学会 理事 教育講演 ・ ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー 講師略歴 椿原 彰夫(つばはら あきお) 最終学歴:昭和 53 年 3 月 慶應義塾大学医学部卒業、医学博士 勤 務 歴:昭和 53 年 5 月∼ 慶應義塾大学病院リハセンター(現在、リハ科)研修医 昭和 64 年 1 月∼ 慶應義塾大学月が瀬リハセンター医長、講師 平成 7 年 4 月∼ 川崎医療福祉大学リハ学科教授 平成 12 年 4 月∼ 川崎医科大学リハ医学教授 平成 25 年 1 月∼ 川崎医療福祉大学学長(現職) 留学歴:昭和 61 年 6 月∼ 62 年 6 月 ワシントン大学(シアトル)リハ医学教室 役 職: 1)日本リハ医学会理事(前副理事長)、2)日本摂食・嚥下リハ学会理事長、3)日本高次脳機能障害学会理事、4) 日本義肢装具学会理事、5)日本ニューロリハ学会世話人、6)日本リハ学校協会会長、7)回復期リハ病棟協会 理事 ― 56 ―2 月 8 日 (日)
運動器は、骨、関節、筋肉とそれらの動きに関与する神経で構成され、それぞれが連携して四 肢・体幹の運動を可能としている。運動器のリハビリテーション(リハ)は、外傷や整形外科手術 後に行われる急性期リハと、慢性疾患に対して症状のコントロールや再発予防を目的として行われ るリハに大きく分けられる。 前者の代表は骨折のリハであり、治療の内容、骨折の癒合状態を確認しながら運動や荷重を進め ることになる。骨折部への荷重量は根拠を決めにくいが、骨折部の安定性、年齢などを参考にす る。固定法そのもの(ギプス固定、プレート固定、髄内釘、創外固定など)のみならず、荷重によ り骨折部にどのような力が加わるかを検討することも重要である。リハが骨癒合を妨げてはならな いが、徒に運動や荷重を遅らせることも良くない。代表的な骨折として、脊椎椎体骨折、大腿骨近 位部骨折を取り上げ、リハの実際を述べる。いずれも高齢者の骨粗鬆症と密接に関連した疾患であ り、骨折再発予防のための生活指導、運動療法、薬物治療を含めた包括的診療が必要である。 後者の代表は、変形性関節症のリハである。運動療法、装具治療の他、物理療法、薬物療法、体 重コントロールも重要である。運動療法では、単に筋力を強化するのではなく、神経・筋の協調性 を意識する。このためには、Open Kinetic Chain と Closed Kinetic Chain の考え方を理解する必要 がある。装具治療では、下肢のアライメントと関節モーメントを考慮して装具を処方する。変形性 関節症に対する手術治療として、人工関節置換術が広く行われている。術後のリハは、人工関節の 特性に基づいたプロトコールに従う。退院後に外来リハを継続することによる効果は、明らかでは ない。教育講演 3
運動器のリハビリテーションの基本
芳賀 信彦
東京大学大学院 医学系研究科 リハビリテーション医学 教授 日本リハビリテーション医学会 理事 教育講演 ・ ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー 講師略歴 芳賀 信彦(はが のぶひこ) 昭和 62 年 3 月 東京大学医学部卒業 昭和 62 年 6 月 東京大学医学部附属病院整形外科 昭和 63 年 7 月 旭中央病院整形外科 平成 1 年 7 月 心身障害児総合医療療育センター整形外科 平成 2 年 7 月 榛原総合病院整形外科 平成 4 年 1 月 静岡県立こども病院整形外科 平成 5 年 7 月 東京大学医学部附属病院整形外科助手 平成 6 年 6 月 静岡県立こども病院整形外科科長 平成 18 年 7 月 東京大学大学院 医学系研究科 リハビリテーション医学分野 教授2 月 7 日 (土)
サルコペニアという言葉は、1989 年 Rosenberg によって提唱された造語であり、 ギリシャ語 で Sarco が筋肉、penia が減少、消失という意味である。定義としては、2010 年のヨーロッパのサ ルコペニア研究班から、「骨格筋量と筋力の進行性かつ全身性の低下に 特徴づけられる症候群で、 身体機能障害、 QOL の低下、死のリスクを伴うもの 」とされている。65 歳以上の高齢者で、まず 10m 歩行時間が 12.5 秒以上かかるか握力の低下があり、かつ骨格筋量が低下している場合をサルコ ペニアと診断する。サルコペニアでは速筋線維優位の萎縮が主であり、筋線維数が減少する。サ ルコペニアに抵抗性の影響を与える液性因子しては、テストステロン、成長ホルモン GH および IGF-1 などがある。食物との関連では、必須アミノ酸のうち、ロイシン、イソロイシン、バリン は、アクチンとミオシンの主成分であり、特に重要である。アミノ酸供給を伴ったレジスタンス運 動が、最も効果的という意見もある。ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、運動器の障害に よって、介護・介助が必要な状態になっていたり、そうなるリスクが高くなっていたりする状態を いい、運動器の機能低下が原因で、日常生活を営むのに困難をきたすような歩行機能の低下、ある いはその危険があることと定義される新しい概念である。ロコモの早期発見のために、7 項目のロ コチェックを行い一つでも該当するようであればロコモの可能性がある。ロコモである可能性があ る場合には、ロコモーショントレーニング(ロコトレ)を勧める。年代相応の移動能力を維持でき ているかを判定するために、ロコモ度テストが提案されている。ロコモ度テストには、立ち上がり テスト、2 ステップテスト、およびロコモ 25 があり、基準値が設定されつつある。基準値について、 最新の情報を述べるとともに、ロコモを提唱する意義についても考察したい。ランチョンセミナー 1
サルコペニアとロコモティブシンドローム
千田 益生
岡山大学病院 総合リハビリテーション部 教授 日本リハビリテーション医学会 理事 教育講演 ・ ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー 講師略歴 千田 益生(せんだ ますお) 1983 年 3 月 岡山大学医学部卒業 1987 年 3 月 岡山大学大学院医学研究科(整形外科学専攻)修了 1987 年 4 月 高知県立子鹿園医療係長 子鹿園医療係長 1990 年 6 月 岡山大学整形外科助手1993 年 4 月 Australia Royal Perth Rehabilitation Hospital 留学 1997 年 4 月 岡山大学整形外科講師 1999 年 4 月 岡山大学医学部附属病院リハビリテーション部助教授 2004 年 4 月 岡山大学病院総合リハビリテーション部部長 2010 年 11 月 岡山大学病院総合リハビリテーション部教授 現在、日本リハビリテーション医学会 専門医・代議員・理事 ― 58 ―
2 月 8 日 (日)
現在において、痙縮に対する治療法には様々なものがあり、それぞれに長所と短所があります。 痙縮を呈する患者に対しては、各治療法の特徴を十分に理解したうえで、個々の患者に応じて、目 的をしっかり定めて、適切な痙縮治療を選択するべきです。英国内科医師会による治療コンセプト でも、理学療法的介入を用いること、痙縮の広がり(局所性か全身性か)を的確に評価することの 重要性などがうたわれています。代表的な痙縮治療法としては、ストレッチングに代表されるリハ ビリテーション、全身性に効果を示す経口筋弛緩薬、手技に熟練を要する局所的治療のフェノー ルブロック、本邦でも広まりつつある A 型ボツリヌス毒素(以下、BoNT-A)療法、主に対麻痺に 対して試みられる髄腔内バクロフェン療法、腱延長術に代表される整形外科的選択的痙性コント ロール手術があります。実際には、これら治療法のうち、いくつかを組み合わせて用いることで、 患者の機能予後の改善が得られることがある。 今回、2010 年 10 月末より本邦において上肢痙縮、下肢痙縮に対して保険収載された BoNT-A を 中心に自験例からいろいろ検討をします。ランチョンセミナー 2
ボ ツ リ ヌ ス 毒 素 療 法
安保 雅博
東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座 教授 日本リハビリテーション医学会 副理事長 教育講演 ・ ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー 講師略歴 安保 雅博(あぼ まさひろ) 平成 2 年 3 月 東京慈恵会医科大学卒業 平成 5 年 3 月 神奈川リハビリテーション病院リハビリテーション科医員 平成 8 年 4 月 東京都立大久保病院リハビリテーション科医員平成 10 年 4 月 カロリンスカ研究所/病院 Department of Clinical Neuroscience に留学 平成 12 年 5 月 帰国
平成 12 年 8 月 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座講師 平成 13 年 9 月 東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科診療部長 平成 19 年 4 月 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座主任教授 平成 21 年 4 月 首都大学東京客員教授
シンポジウム
シン ポ ジ ウ ム2 月 8 日 (日)
超高齢社会におけるリハビリテーションを検討するためには、高齢者における医学的な問題点を 理解する必要がある。加齢とともに一般的に生じる問題点としては、何らかの疾患に罹患している ということと廃用症候群に容易に陥るということである。さらに、単一の疾患ではなく複数の疾患 に罹っており、各々が慢性化した病態を呈している。我が国において二人に一人は罹患すると言わ れている悪性新生物においては早期に治療を行うことができ完治する場合はあるが、すでに転移し ている状況下で診断される場合も少なくはなく、高齢者においても同様のことがいえる。治療を進 めていく中で薬物治療の副作用の合併や感染症にも注意が必要となり、さらに病態は複雑となる。 入院など非日常の環境におかれることで、せん妄、認知機能の悪化を引き起こすことはよく経験 され、転倒の危険性はますます増加する。転倒による骨折を伴うこともあり、寝たきりの要因は増 える一方である。また、動脈硬化が原因となる心疾患や脳血管障害においては、エビデンスの高 い、高度な医療は発展してきているものの、現時点においても後遺症が残存することは少なくはな い。脳血管障害では、麻痺、高次脳機能障害、認知症の合併を認めることがあり、自立した生活だ けでなく、自律が難しい状況に陥る。一方で高齢者だけでなく、若年性の認知症も増加してきてい る。 以上のような状況では、疾患とうまくつきあう術を習得する智恵が必要となる。 リハビリテーションの観点は、個々の患者の能力を多職種で構成されたチームで引き出し、適切 で健全な方向へと導くことができる。診断早期からの介入や外科的処置など治療前からの介入によ り、起こり得る障害を軽減させ、自立と自律の伴った生活を送ることが可能となる。人生をしなや かに生き抜くためにも、リハビリテーションの観点は医学が発展すればするほど、どの分野におい てもますます不可欠となる。シンポジウム
超高齢社会におけるリハビリテーションの役割
高齢者に対するリハビリテーション
中馬 孝容
滋賀県立成人病センター リハビリテーション科 部長 シン ポ ジ ウ ム 講師略歴 中馬 孝容(ちゅうま たかよ) 平成 2 年 奈良県立医科大学卒業 平成 3 年 奈良県心身障害者リハビリテーションセン ター神経内科 医師 平成 5 年 奈良県立医科大学附属病院神経内科 医員 平成 7 年 新生会高の原中央病院神経内科 医長 平成 7 年 北海道大学医学部附属病院リハビリテーショ ン科 医員 平成 8 年 北海道大学医学部リハビリテーション医学講 座 助手 平成 15 年 北海道大学病院リハビリテーション科 助 手、平成 19 年助教 平成 20 年 滋賀県立成人病センターリハビリテーション センター医療部リハビリテーション科 副部 長、平成 21 年部長 平成 25 年 滋賀県立成人病センターリハビリテーション センター医療部長 日本リハビリテーション医学会専門医 日本神経学会専門医 日本臨床神経生理学会認定医 日本リハビリテーション医学会代議員 日本神経治療学会評議員 バイオメカニズム学会評議員2 月 8 日 (日)
日本の高齢社会が世界に先立ち急速に進行していることは周知されている。高齢化率は 2014 年 6 月 1 日現在 25.7%、推定 2015 年 26.8%、推定 2025 年 30.3%、75 歳以上は同 12.5%、同 13.0%、同 18.1%とされる(国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集 2014 年版)。老年人口指数(老 年人口/生産年齢人口)は 2014 年 6 月 1 日現在 42.6%(逆数 2.3)、2015 年 44.2%(2.3)、2025 年 51.6%(1.9)、2030 年 54.4%(1.8)、2060 年 78.4%(1.3)と推定される。 今後日本の食料事情、生活様式、医療水準が維持されると仮定すれば、75 歳で高齢化にともな う心身の変化により重度介護状態になることは多くないと思われるが、臨床経験では今も 80 歳∼ 85 歳を超えるころからその割合が高くなる印象がある。 介護を担う医療者、介護者の年代は幅がある。今後、世界経済の変化で日本の産業構造、就労構 造も変わるためこれらの就労人数の予測は困難である。しかし必要な経験や精神年齢を考慮した場 合、医療・介護職での主たる担い手は 30 歳から 50 歳前後と考えてよいだろう。国の施策に沿うと 施設専従介護であるとは限らず、在宅も含めれば被介護者と介護者の関係を 80 歳以降と 30 歳∼ 50 歳をペアとして人口ピラミッドをみることは意味があると考える。人口ピラミッドの推移をみると 過去二回のベビーブーム(1947 年∼ 1949 年、1971 年∼ 1974 年)があり、今後は壺状になってい く。実際に介護度の高い被介護者と介護者の数的ミスマッチが問題となるのは 2030 年から明確化 すると思われ、2050 年からは一段と悪化すると考えられる。 シンポジウムでは、さらに加速する超高齢社会において人が人らしく生きていくために求められ る社会の変化と高齢者のあり方について、リハ医療の観点だけではなく広く遠く展望する視点を提 議したい。シンポジウム
超高齢社会におけるリハビリテーションの役割
超高齢社会におけるリハビリテーションの役割
高橋 守正
第二岡本総合病院 リハビリテーション科 部長 シン ポ ジ ウ ム 講師略歴 高橋 守正(たかはし もりまさ) 1984 年慶應義塾大学医学部卒業。 同大学リハビリテーション医学教室入局。 慶應義塾大学病院、塩原温泉病院、東埼玉病院、慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター、東京専売病院、小 田原市立病院、旭川リハビリテーション病院を経て 2003 年より第二岡本総合病院。専門はリハビリテーション医学、電 気生理(筋電図、神経伝導検査)、高次脳機能障害。 博士(医学)。 ― 64 ―ポ ス タ ー 演 題
ポス タ ー 演 題2 月 8 日 (日)
8:00 ∼ 8:55 ポスターセッション (55 分) ポスター 1 運動器リハビリテーション 1 座長 徳永大作 P1-1前外側大腿皮弁における皮弁採取部の筋力低下について
池口良輔(MD)、太田壮一(MD)、野口貴志(MD)、貝澤幸俊(MD)、織田宏基(MD)、竹内久貴(MD) 渡邉 睦(MD)、奥谷祐希(MD)、金村 卓(MD)、安田 義(MD)、松田秀一(MD) 京都大学リハビリテーション科、京都大学整形外科、神戸市立医療センター中央市民病院整形外科 【はじめに】 前外側大腿皮弁は、穿通枝の位置に解剖学的変異があるため外側広筋を温存できないこともあ る。穿通枝皮弁であるため主要血管や筋肉を犠牲にすることがなく採取部の障害は少ないが、報告も散見さ れる。今回我々は前外側大腿皮弁を用いた症例における皮弁採取部の障害について検討したので報告する。 【対象と方法】 2010 年 4 月から 2013 年 5 月まで前外側大腿皮弁を用いて上肢の軟部組織の再建を行った症例 を対象とした。下肢に骨折などの外傷のある症例や既往症として下肢に障害のある症例は除外し、経過観察 可能であった 6 例を対象とした。疼痛など主観的評価、大腿四頭筋の筋力、膝関節可動域、皮弁採取部の知 覚障害を検討項目とした。 【成績】 穿通枝は 6 例とも外側広筋を貫いていた。膝関節可動域は全例で健側との差を認めなかった。1 例で 健側と比較して大腿四頭筋の筋力低下が認められ、皮弁採取部遠位での知覚障害が認められた。 【考察】 採取時に大腿神経を血管茎に含んだ症例で知覚障害と違和感が発生し、大腿四頭筋の筋力低下が認 められたため、大腿神経を温存することが重要であると考えられた。その他の症例では穿通枝剥離時に外側 広筋を損傷しているにもかかわらず筋力低下は認められなったため、外側広筋の損傷と障害とは関係は少な いと考えられた。 【まとめ】 前外側大腿皮弁の採取部の障害を少なくするためには、1 次縫合可能な皮弁の大きさとする、大 腿神経を温存することが重要で、採取時の外側広筋の損傷の関係は少ないと考えられた。 P1-2当院で施行した人工膝関節全置換術後リハビリテーションにおける
持続他動運動(CPM)の有用性
梶川佳照(MD)1)、清水長司1)、岸田愛子1)、河合生馬1)、齋藤令馬1)、小田良之輔1)、寺田 央2)、勝見泰和1) 1) 宇治武田病院 整形外科、2) 宇治武田病院 リハビリテーション科【目的】 当院で施行した人工膝関節全置換術(TKA)後のリハビリテーションにおける持続他動運動(con-tinuous passive motion: CPM)の有用性について検討する。
【対象および方法】 2013 年 1 月から 12 月までに、当院で変形性膝関節症に対して施行した初回 TKA127 例
132 膝、年齢平均 75(60 ∼ 85)歳を対象とし、CPM を手術翌日から入院期間中、毎日 1 時間施行した 98 膝 を CPM 群、CPM を使用しなかった 34 膝を非 CPM 群とした。入院期間、術前、術後 1ヵ月、6ヵ月の可動域、 VAS、JOA スコアおよび日本版膝関節症機能評価尺度(Japanese Knee Osteoarthritis Measure: JKOM スコア) を両群で比較し検討した。 【結果】 入院期間は両群間に有意差を認めなかった。手術後 1ヵ月、6ヵ月の屈曲・伸展可動域は両群間に有 意差を認めなかった。JOA スコアは両群で経時的に改善したが、両群間に有意差を認めなかった。JKOM ス コアは両群で経時的に改善し、手術後 1ヵ月において CPM 群で低い(良い)傾向にあるものの有意差を認め なかった。 【考察】 CPM は TKA 術後後療法において広く利用されているが、早期の機能回復に効果を示さない報告が 多い。本研究の結果からも機能回復、入院期間の短縮に CPM は有利ではなかったが、患者立脚型評価であ る JKOM スコアの結果から、CPM が入院中、退院時の患者満足度に良い影響を有する可能性があると考え た。 ポス タ ー 演 題 ― 67 ―