税効果会計(平成 27 年度更新)
第 1 回 :「繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する適 用 指 針 」について
2016.04.12 新日本有限責任監査法人 公認会計士 浦田千賀子 新日本有限責任監査法人 公認会計士 村田貴広 1. はじめに 本 解 説 シリーズは、企 業 会 計 基 準 委 員 会 (ASBJ)から平 成 27 年 12 月 28 日 に公 表 された「繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する適 用 指 針 」(以 下 、回 収 可 能 性 適 用 指 針 )の内 容 を織 り込 み、税 効 果 会 計 の適 用 に当 たっての留 意 事 項 を解 説 します。なお、文 中 の意 見 に関 する部 分 は私 見 であること をお断 り申 し上 げます。 2. 回 収 可 能 性 適 用 指 針 公 表 の経 緯 回 収 可 能 性 適 用 指 針 が、企 業 会 計 基 準 委 員 会 (ASBJ)から平 成 27 年 12 月 28 日 に公 表 されまし た。 税 効 果 会 計 に関 連 する会 計 基 準 の体 系 は、企 業 会 計 審 議 会 が平 成 10 年 10 月 に公 表 した「税 効 果 会 計 に係 る会 計 基 準 」(以 下 「税 効 果 会 計 基 準 」という。)等 を受 けて、日 本 公 認 会 計 士 協 会 から実 務 指 針 として定 められる形 となっています。これらの実 務 指 針 については、基 準 諮 問 会 議 から平 成 25 年 12 月 に ASBJ へ移 管 するための審 議 を行 うことが提 言 され、平 成 26 年 2 月 から ASBJ において 審 議 が続 けられてきたものです。 その経 緯 で監 査 委 員 会 報 告 第 66 号 「繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の判 断 に関 する監 査 上 の取 扱 い」 (以 下 「廃 止 前 66 号 」という。)に対 して、実 務 に対 して硬 直 的 ではないか、もう少 し柔 軟 な基 準 適 用 を 可 能 にできないかなどの問 題 意 識 が強 く聞 かれたことから、繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する適 用 指 針 を先 行 して開 発 (移 管 )することとされました。主 に、廃 止 前 66 号 および監 査 委 員 会 報 告 第 70 号 「その他 有 価 証 券 の評 価 差 額 および固 定 資 産 の減 損 損 失 に係 る税 効 果 会 計 の適 用 における監 査 上 の取 扱 い」(以 下 「監 査 委 員 会 報 告 第 70 号 」という。)、会 計 制 度 委 員 会 報 告 第 10 号 「個 別 財 務 諸 表 における税 効 果 会 計 に関 する実 務 指 針 」(以 下 「個 別 税 効 果 実 務 指 針 」という。)等 において定 められている繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する定 めを引 き継 ぎ、必 要 と考 えられる見 直 しを行 い、 平 成 27 年 5 月 に企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 公 開 草 案 第 54 号 「繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する 適 用 指 針 (案 )」(以 下 「公 開 草 案 」)を公 表 して広 く意 見 を求 めました。そして、公 開 草 案 に対 して寄 せ られた意 見 を踏 まえ、内 容 を一 部 修 正 したうえで、今 回 の公 表 に至 ったものです。 3. 主 な改 正 点 (1)用 語 の定 義 回 収 可 能 性 適 用 指 針 においては、税 効 果 会 計 基 準 や個 別 税 効 果 実 務 指 針 等 において使 用 されて いる用 語 のうち、必 要 と考 えられる用 語 の定 義 を 3 項 において明 確 に定 めることとしています。新 たに 定 められるもののうち重 要 なものは「一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 」です。「一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 」とは、将 来 の事 業 年 度 における課 税 所 得 の見 積 額 から、当 該 事 業 年 度 において解 消 することが見 込 まれる当 期 末 に存 在 する将 来 加 算 (減 算 )一 時 差 異 の額 (及 び該 当 する場 合 は、当 該 事 業 年 度 において控 除 することが見 込 まれる当 期 末 に存 在 する税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の額 )を除 いた額 のことです(下 記 図 表 1 参 照 )。 例 えば、図 表 1 の X2 期 の場 合 、将 来 の事 業 年 度 における課 税 所 得 の見 積 額 が 640 から、当 該 事 業 年 度 において解 消 することが見 込 まれる当 期 末 に存 在 する将 来 減 算 一 時 差 異 の金 額 -300 を差 し引 いた 940 が、一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 となります。 従 来 の個 別 税 効 果 実 務 指 針 では、「課 税 所 得 」という用 語 が、当 期 末 に存 在 する将 来 加 算 (減 算 )一 時 差 異 の額 を加 算 (減 算 )する前 の金 額 として使 用 されている場 合 もありましたが、今 回 の改 正 により 「課 税 所 得 」という用 語 の定 義 が明 確 化 されています。 (図 表 1) • 当 期 は X1 年 末 であり、当 期 末 の賞 与 引 当 金 の残 高 は 300 • 翌 期 (X2 年 )末 の賞 与 引 当 金 残 高 は 340、翌 々期 (X3 年 )末 の賞 与 引 当 金 残 高 は 360 と見 込 んで いる • 翌 期 の税 引 前 当 期 純 利 益 の予 測 は 600、翌 々期 の税 引 前 当 期 純 利 益 の予 測 は 550 • それぞれの事 業 年 度 の期 末 において、賞 与 引 当 金 繰 入 限 度 超 過 額 以 外 の将 来 減 算 一 時 差 異 、 将 来 加 算 一 時 差 異 及 び税 務 上 の繰 越 欠 損 金 は有 していない。 (*1) X3 年 末 賞 与 引 当 金 残 高 360-X2 年 末 賞 与 引 当 金 残 高 340=20 当 期 末 に存 在 する一 時 差 異 の解 消 ((図 表 1)の当 期 末 の賞 与 引 当 金 300)については、一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の下 に反 映 し、それ以 降 に発 生 する一 時 差 異 ((図 表 1)の X2 期 賞 与 引 当 金 340、 X3 期 賞 与 引 当 金 20)については、一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の上 で反 映 させる。 (2)見 積 将 来 課 税 所 得 による繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する取 扱 い ①企 業 の分 類 回 収 可 能 性 適 用 指 針 では、廃 止 前 66 号 における企 業 の「分 類 」に応 じた取 扱 いの枠 組 みを基 本 的 に踏 襲 したうえで、取 扱 いの一 部 について、必 要 な見 直 しを行 いました。 具 体 的 には、要 件 に基 づき企 業 を(分 類 1)から(分 類 5)までに分 け、当 該 分 類 に応 じて回 収 が見 込 まれる繰 延 税 金 資 産 の計 上 額 を決 定 することとしています(詳 細 は第 3 回 で説 明 )。
②企 業 の分 類 ごとの繰 延 税 金 資 産 の計 上 可 能 範 囲 回 収 可 能 性 適 用 指 針 においては、 • (分 類 2)に該 当 する企 業 におけるスケジューリング不 能 な将 来 減 算 一 時 差 異 に関 する取 扱 い • (分 類 3)に該 当 する企 業 における将 来 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の合 理 的 な見 積 期 間 に 関 する取 扱 い • (分 類 4)に係 る要 件 を満 たす企 業 が分 類 2 または分 類 3 に該 当 する場 合 の取 扱 い について、新 たな項 目 が設 けられました(詳 細 は第 3 回 で説 明 )。 上 記 の取 扱 いによって、一 定 の条 件 のもとでは、廃 止 前 66 号 と比 べ繰 延 税 金 資 産 を計 上 する幅 を広 げることが可 能 となりました。これは個 別 税 効 果 実 務 指 針 の過 年 度 の納 税 状 況 及 び将 来 の業 績 予 測 等 を総 合 的 に勘 案 する考 えに比 べると、廃 止 前 66 号 では、企 業 の過 去 の事 象 に重 きを置 き過 ぎて おり、実 態 が反 映 されていないのではとの意 見 を考 慮 したものです。 4. 従 前 の取 扱 いが引 き継 がれている項 目 以 下 の項 目 については、廃 止 前 66 号 等 の考 え方 が踏 襲 されています。 (1)長 期 解 消 将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る取 扱 い 退 職 給 付 引 当 金 や建 物 の減 価 償 却 超 過 額 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 のように、スケジューリングの 結 果 、その解 消 見 込 年 度 が長 期 にわたる将 来 減 算 一 時 差 異 は、企 業 が継 続 する限 り長 期 にわたる が解 消 され、将 来 の税 金 負 担 額 を軽 減 する効 果 を有 すると考 えられる点 については、廃 止 前 66 号 の 考 え方 と同 様 です。 (2)固 定 資 産 の減 損 損 失 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 の取 扱 い 償 却 資 産 と非 償 却 資 産 の減 損 損 失 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 年 度 のスケジューリングの 取 扱 いが異 なる点 については、監 査 委 員 会 報 告 第 70 号 と同 様 です。償 却 資 産 の減 損 損 失 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 については、(1)の長 期 解 消 将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る取 扱 いの特 例 が適 用 されま せん。 (3)役 員 退 職 慰 労 引 当 金 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 の取 扱 い (4)その他 有 価 証 券 評 価 差 額 に係 る一 時 差 異 の取 扱 い (5)退 職 給 付 に係 る負 債 に関 する一 時 差 異 の取 扱 い (6)繰 延 ヘッジ損 益 に係 る取 扱 い (7)繰 越 外 国 税 額 控 除 に係 る取 扱 い 5. 適 用 時 期 適 用 時 期 は平 成 28 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する連 結 会 計 年 度 及 び事 業 年 度 の期 首 から原 則 適 用 とな りますが、平 成 28 年 3 月 31 日 以 後 終 了 する連 結 会 計 年 度 及 び事 業 年 度 の年 度 末 に係 る連 結 財 務 諸 表 及 び個 別 財 務 諸 表 から早 期 適 用 も可 能 です(*1)。
適 用 初 年 度 においては、以 下 の項 目 を適 用 することにより、これまでの会 計 処 理 と異 なることとなる場 合 には、会 計 基 準 等 の改 正 に伴 う会 計 方 針 の変 更 として取 り扱 うこととされています。 ① (分 類 2)に該 当 する企 業 において、スケジューリング不 能 な将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る繰 延 税 金 資 産 について回 収 できることを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 する場 合 には回 収 可 能 性 があ るとする取 扱 い ② (分 類 3)に該 当 する企 業 において、おおむね 5 年 を明 らかに超 える見 積 可 能 期 間 においてスケジ ューリングされた一 時 差 異 等 に係 る繰 延 税 金 資 産 が回 収 可 能 であることを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 する場 合 には回 収 可 能 性 があるとする取 扱 い ③ (分 類 4)の要 件 に該 当 する企 業 であっても、将 来 において 5 年 超 にわたり一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 が安 定 的 に生 ①ることを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 する場 合 には(分 類 2)に該 当 するものとする取 扱 い 基 本 的 に、回 収 可 能 性 適 用 指 針 を適 用 したことによる影 響 額 は損 益 処 理 となりますが、上 記 ①~③ の会 計 基 準 等 の改 正 に伴 う会 計 方 針 の変 更 に係 る影 響 額 は、適 用 初 年 度 の期 首 の利 益 剰 余 金 に 加 減 することとされています。ただし、その他 の包 括 利 益 累 計 額 または評 価 ・換 算 差 額 等 に係 る影 響 額 に関 しては、当 該 その他 の包 括 利 益 累 計 額 または評 価 ・換 算 差 額 等 に加 減 することになります。 適 用 初 年 度 においては、会 計 基 準 等 の改 正 に伴 う会 計 方 針 の変 更 による影 響 額 の注 記 について、 企 業 会 計 基 準 第 24 号 「会 計 上 の変 更 及 び誤 謬 の訂 正 に関 する会 計 基 準 」第 10 項 (5)ただし書 の定 めに関 わらず、以 下 の項 目 のみを注 記 することとしています。 • 適 用 初 年 度 の期 首 の繰 延 税 金 資 産 に対 する影 響 額 • 適 用 初 年 度 の期 首 の利 益 剰 余 金 に対 する影 響 額 • 適 用 初 年 度 の期 首 のその他 の包 括 利 益 累 計 額 又 は評 価 ・換 算 差 額 等 に対 する影 響 額 (*1)早 期 適 用 固 有 の取 扱 いとして、下 記 が定 められています。 • 早 期 適 用 した年 度 の期 首 に遡 って適 用 • 早 期 適 用 した連 結 会 計 年 度 及 び事 業 年 度 の翌 年 度 に係 る四 半 期 連 結 財 務 諸 表 および四 半 期 個 別 財 務 諸 表 においては、早 期 適 用 した連 結 会 計 年 度 及 び事 業 年 度 の四 半 期 連 結 財 務 諸 表 及 び 四 半 期 個 別 財 務 諸 表 について本 適 用 指 針 を当 該 年 度 の期 首 に遡 って適 用
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第 2 回 :税 効 果 会 計 の意 義 と計 算 構 造
2016.05.13 新日本有限責任監査法人 公認会計士 浦田 千賀子 新日本有限責任監査法人 公認会計士 村田 貴広 1. 税 効 果 会 計 の意 義 ・対 象 税 効 果 会 計 とは、企 業 会 計 上 の収 益 又 は費 用 と、課 税 所 得 計 算 上 の益 金 又 は損 金 の認 識 時 点 が 異 なることから、会 計 上 の資 産 ・負 債 と課 税 所 得 計 算 上 の資 産 ・負 債 の額 に相 違 がある場 合 に、法 人 税 その他 所 得 を課 税 標 準 とする税 金 を適 切 に期 間 配 分 することにより、法 人 税 等 (法 人 税 、住 民 税 、所 得 を課 税 標 準 とする事 業 税 及 び地 方 法 人 特 別 税 )を控 除 する前 の税 引 前 当 期 純 利 益 と税 金 費 用 を合 理 的 に対 応 させることを目 的 とする会 計 手 法 です。 税 効 果 会 計 の対 象 となる税 金 (法 定 実 効 税 率 の算 定 に含 められるもの)は、利 益 に関 連 する金 額 を 課 税 標 準 とする税 金 です。法 人 税 (含 む地 方 法 人 税 )、住 民 税 (市 町 村 民 税 ・道 府 県 民 税 )、地 方 法 人 特 別 税 や、事 業 税 (所 得 割 )が対 象 となります。したがって、たとえば、収 入 金 額 その他 利 益 以 外 の ものを課 税 標 準 とする事 業 税 (外 形 標 準 課 税 )等 は含 められません。 2. 繰 延 税 金 の計 算 方 法 と会 計 処 理 (1) 一 時 差 異 の把 握 会 計 上 の収 益 及 び費 用 と、税 務 上 の益 金 及 び損 金 の認 識 時 点 が相 違 することから両 者 の間 に差 が 生 じます。この差 のうち、将 来 解 消 されるものを一 時 差 異 と呼 び、税 効 果 会 計 の対 象 となります。一 時 差 異 には、将 来 減 算 一 時 差 異 と将 来 加 算 一 時 差 異 の 2 種 類 があります。また将 来 の課 税 所 得 と相 殺 可 能 な繰 越 欠 損 金 は、繰 越 外 国 税 額 控 除 も含 めて、一 時 差 異 に準 ずるものとして扱 われます。永 久 差 異 は交 際 費 の損 金 不 算 入 額 、受 取 配 当 金 の益 金 不 算 入 額 などをいい、会 計 上 は費 用 及 び収 益 となりますが税 務 上 は永 久 に損 金 及 び益 金 とはなりませんから税 効 果 会 計 の対 象 とはなりません (図 表 1)。 <図 表 1> 将 来 減 算 一 時 差 異 とは、課 税 所 得 の計 算 上 、差 異 が生 じたときに加 算 され、将 来 解 消 するときに減 算 されるものです。税 効 果 会 計 の適 用 において最 も取 り扱 う機 会 が多 いのが将 来 減 算 一 時 差 異 です。貸 倒 引 当 金 の損 金 算 入 限 度 超 過 額 、賞 与 引 当 金 及 び退 職 給 付 引 当 金 の額 、減 価 償 却 費 の損 金 算 入 限 度 超 過 額 、棚 卸 資 産 等 に係 る評 価 損 などが該 当 し、回 収 が見 込 まれる期 の実 効 税 率 を乗 じ て繰 延 税 金 資 産 を計 上 します。 将 来 加 算 一 時 差 異 とは、課 税 所 得 の計 算 上 、差 異 が生 じたときに減 算 され、将 来 解 消 するときに加 算 されるものです。剰 余 金 の処 分 によって積 み立 てられた租 税 特 別 措 置 法 上 の諸 準 備 金 等 が該 当 し、 支 払 いが見 込 まれる期 の実 効 税 率 を乗 じて繰 延 税 金 負 債 を計 上 します。なお、実 効 税 率 は次 のよう に算 定 します。 法定 実効税率 = 法人税率×(1+地方法人税+住民税率)+事業税率+事業税標準税率×地方法人特別税の税率 1+事業税率+事業税標準税率×地方法人特別税の税率 なお、税 務 上 の繰 越 欠 損 金 は一 時 差 異 ではありませんが、繰 越 欠 損 金 のうち、将 来 の課 税 所 得 と相 殺 可 能 な部 分 は、一 時 差 異 と同 様 な税 効 果 が生 じるため、一 時 差 異 と同 様 に取 り扱 います。一 時 差 異 と税 務 上 の繰 越 欠 損 金 を総 称 して一 時 差 異 等 といいます。 (2) 繰 延 税 金 資 産 (負 債 )の算 定 別 表 5 の利 益 積 立 金 額 で一 時 差 異 に該 当 する項 目 が計 算 対 象 です。ただし未 払 事 業 税 も一 時 差 異 に該 当 するため計 算 に含 めます。一 時 差 異 の合 計 金 額 に法 定 実 効 税 率 を乗 じたものが繰 延 税 金 資 産 (負 債 )で、期 首 の繰 延 税 金 資 産 (負 債 )と期 末 の繰 延 税 金 資 産 (負 債 )との差 額 が損 益 計 算 書 の 法 人 税 等 調 整 額 となります。 図 表 2 では、期 首 から期 末 までの一 時 差 異 及 び繰 延 税 金 を一 覧 する表 としたもので、一 時 差 異 に法 定 実 効 税 率 を乗 じたものが繰 延 税 金 であり、期 首 の繰 延 税 金 資 産 (負 債 )と期 末 の繰 延 税 金 資 産 (負 債 )との差 額 が損 益 計 算 書 の法 人 税 等 調 整 額 となることが理 解 できると思 われます。 <図 表 2> 税 金 税 効 果 一時 差異 期 首 増 加 減 少 期 末 残 高 賞与引当金 280,000 300,000 280,000 300,000 未払事業税 210,000 ▲ 95,000 210,000 ▲ 95,000 退職引当金 595,000 20,000 15,000 600,000 減価償却資産 200,000 200,000 0 400,000 貸倒引当金 150,000 30,000 20,000 160,000 合計 1,435,000 455,000 525,000 1,365,000 繰延 税金 期 首 増 加 減 少 期 末 残 高 賞与引当金 84,000 90,000 84,000 90,000 未払事業税 63,000 ▲ 28,500 63,000 ▲ 28,500
退職引当金 178,500 6,000 4,500 180,000 減価償却資産 6,000 6,000 0 120,000 貸倒引当金 45,000 9,000 6,000 48,000 合計 430,500 136,500 157,500 409,500 ※1:実 効 税 率 を 30%として計 算 ※2:評 価 性 引 当 額 はないものとして計 算 ※3:期 首 合 計 430,500-期 末 合 計 409,500=21,000 が法 人 税 等 調 整 額 の借 方 に計 上 されます。 (3) 表 示 方 法 の検 討 貸 借 対 照 表 における繰 延 税 金 資 産 及 び繰 延 税 金 負 債 は、流 動 資 産 と流 動 負 債 、固 定 資 産 と固 定 負 債 を相 殺 して表 示 します。流 動 と固 定 の分 類 は貸 借 対 照 表 に計 上 した資 産 又 は負 債 との関 連 に 基 づく分 類 のほかに、税 効 果 の実 現 する時 期 が 1 年 以 内 であるか否 かによる分 類 (1 年 基 準 )があり ます。つまり貸 借 対 照 表 の資 産 ・負 債 と関 連 性 が認 められる繰 延 税 金 資 産 ・繰 延 税 金 負 債 は当 該 資 産 ・負 債 の表 示 区 分 に従 い、貸 借 対 照 表 の資 産 ・負 債 と関 連 性 が認 められない繰 延 税 金 資 産 ・繰 延 税 金 負 債 は 1 年 基 準 によって流 動 ・固 定 の区 分 を行 います。 図 表 3 では、図 表 2 における繰 延 税 金 の期 末 残 高 につき、流 動 固 定 分 類 を行 っています。 <図 表 3> 流 動 ・固 定 分 類 一 時 差 異 期 末 残 高 固 定 資 産 流 動 資 産 賞与引当金 300,000 300,000 未払事業税 ▲ 95,000 ▲ 95,000 退職引当金 600,000 600,000 減価償却資産 400,000 400,000 貸倒引当金 160,000 160,000 合計 1,365,000 1,000,000 365,000 繰 延 税 金 期 末 残 高 固 定 資 産 流 動 資 産 賞与引当金 90,000 90,000 未払事業税 ▲ 28,500 ▲ 28,500 退職引当金 180,000 180,000 減価償却資産 120,000 120,000 貸倒引当金 48,000 48,000
合計 409,500 300,000 109,500 ※実 効 税 率 を 30%として計 算
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第 3 回 :繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性
2016.05.13 新日本有限責任監査法人 公認会計士 浦田 千賀子 新日本有限責任監査法人 公認会計士 村田 貴広 1. 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する判 断 指 針 繰 延 税 金 資 産 は、将 来 の課 税 所 得 を減 少 させることにより、将 来 の税 負 担 を軽 減 することが認 めら れることを条 件 に資 産 計 上 が認 められる資 産 です。よって将 来 の課 税 所 得 を減 少 させ、税 負 担 を軽 減 すると認 められる範 囲 での計 上 が要 求 されており、繰 延 税 金 資 産 の計 上 は、将 来 減 算 一 時 差 異 の スケジューリングなど、慎 重 かつ十 分 な検 討 を行 い決 定 することが必 要 です。以 下 では、その判 断 要 件 について説 明 します。なお、繰 延 税 金 資 産 は、その後 の事 業 年 度 に回 収 不 能 が明 らかになり、取 り 崩 しがなされることがあります。 繰 延 税 金 資 産 が計 上 されている事 業 年 度 に繰 延 税 金 資 産 に相 当 する金 額 が、配 当 の原 資 として使 われる場 合 には、繰 延 税 金 資 産 計 上 時 点 に遡 って繰 延 税 金 資 産 計 上 の妥 当 性 を問 われることがあ り、当 時 の配 当 決 議 が違 法 配 当 と判 断 される可 能 性 があることに十 分 留 意 する必 要 があります。 (1) 収 益 力 に基 づく一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得※1の十 分 性 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の判 断 において、まず収 益 力 に基 づく一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の十 分 性 が問 題 とされます。収 益 力 に基 づく一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の十 分 性 は、将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 年 度 ないし税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の繰 越 が認 められる期 間 において一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 が生 じる可 能 性 が高 いと見 込 まれるか否 かにより判 断 されることとなります。 一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 が発 生 する可 能 性 が高 いかどうかを判 断 するためには、合 理 的 な仮 定 に基 づく業 績 予 測 によって、将 来 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の額 を見 積 る必 要 があります。 実 務 においてこの将 来 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 を合 理 的 に見 積 ることが最 も難 しいと考 えら れます。 ※1:一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 とは、将 来 の事 業 年 度 における課 税 所 得 の見 積 額 から、当 該 事 業 年 度 において解 消 することが見 込 まれる当 期 末 に存 在 する将 来 加 算 (減 算 )一 時 差 異 の金 額 を除 いた額 のことをいいます。 (2) タックス・プランニングに基 づく一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 タックス・プランニングとは、将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 年 度 や税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の繰 越 期 間 に、具 体 的 な一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 を発 生 させることを計 画 することをいいます。含 み益 の ある固 定 資 産 または有 価 証 券 を売 却 するなどタックス・プランニングが存 在 することにより、将 来 減 算 一 時 差 異 等 の減 算 が生 じる年 度 における一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 を確 保 することで繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 が確 実 なものとなります。(3) 将 来 加 算 一 時 差 異 ① 将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 年 度 に、将 来 加 算 一 時 差 異 が解 消 されると見 込 まれるかどうか。 ② 税 務 上 の繰 越 欠 損 金 に係 る繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 繰 越 期 間 に税 務 上 の繰 越 欠 損 金 と相 殺 される将 来 加 算 一 時 差 異 が解 消 されると見 込 まれるか どうか。 2. 繰 延 税 金 資 産 の計 上 限 度 額 と回 収 可 能 性 の見 直 し 将 来 減 算 一 時 差 異 と税 務 上 の繰 越 欠 損 金 に係 る繰 延 税 金 資 産 は、回 収 可 能 性 の判 断 要 件 を考 慮 した結 果 、当 該 将 来 減 算 一 時 差 異 (複 数 の将 来 減 算 一 時 差 異 が存 在 する場 合 には、それらの合 計 ) 及 び税 務 上 の繰 越 欠 損 金 が将 来 の課 税 所 得 を減 少 させ、税 金 負 担 額 を軽 減 する効 果 を有 さなくな ったと判 断 される場 合 があります。当 該 部 分 については、評 価 性 引 当 額 として繰 延 税 金 資 産 を計 上 し ないことになります。 また、繰 延 税 金 資 産 の計 上 額 は毎 期 見 直 し、回 収 可 能 性 がなくなった場 合 には、計 上 されていた繰 延 税 金 資 産 のうち回 収 可 能 性 がない金 額 を取 り崩 さなければなりません。
3. 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の判 断 に関 する手 順
繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 を判 断 する場 合 の具 体 的 な手 順 は、以 下 の図 のとおりに行 います。
また期 末 に税 務 上 の繰 越 欠 損 金 を有 する場 合 、その繰 越 期 間 にわたって将 来 の課 税 所 得 の見 積 額 に基 づき、税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の控 除 見 込 年 度 及 び控 除 見 込 額 のスケジューリングを行 い、回 収 が見 込 まれる金 額 を繰 延 税 金 資 産 として計 上 します。
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第 4 回 :繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性
2016.05.13 新日本有限責任監査法人 公認会計士 浦田 千賀子 新日本有限責任監査法人 公認会計士 村田 貴広 1. 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する判 断 指 針 将 来 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見 積 りの問 題 は、回 収 可 能 性 適 用 指 針 に従 った対 応 が要 求 されます。 具 体 的 には、繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 は、収 益 力 に基 づく一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 等 に 基 づいて判 断 することになりますが、その際 、一 定 の要 件 あるいは過 去 の業 績 等 を総 合 的 に勘 案 し、 企 業 を 5 つに分 類 し、回 収 が見 込 まれる繰 延 税 金 資 産 の計 上 額 を決 定 する際 の考 え方 を示 していま す。 (1) (分 類 1)に該 当 する企 業 の取 扱 い 過 去 (3 年 )及 び当 期 のすべての事 業 年 度 において、期 末 における将 来 減 算 一 時 差 異 を十 分 に上 回 る課 税 所 得 が生 じており、かつ当 期 末 において、近 い将 来 に経 営 環 境 に著 しい変 化 が見 込 まれない 企 業 の場 合 は、繰 延 税 金 資 産 の全 額 (解 消 見 込 年 度 が長 期 にわたる将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る繰 延 税 金 資 産 も含 む)について回 収 可 能 性 があるものとします。 (2) (分 類 2)に該 当 する企 業 の取 扱 い 過 去 (3 年 )及 び当 期 のすべての事 業 年 度 において、臨 時 的 な原 因 により生 じたものを除 いた課 税 所 得 が、期 末 における将 来 減 算 一 時 差 異 を下 回 るものの、安 定 的 に生 じており、重 要 な税 務 上 の欠 損 金 が生 じておらず、かつ当 期 末 において、近 い将 来 に経 営 環 境 に著 しい変 化 が見 込 まれない企 業 の 場 合 は、一 時 差 異 等 のスケジューリングの結 果 、繰 延 税 金 資 産 を見 積 る場 合 、当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があるものとします。 解 消 見 込 年 度 が長 期 にわたる将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る繰 延 税 金 資 産 についても、回 収 可 能 性 が あるものと判 断 します。 しかし原 則 的 に、(分 類 2)に該 当 する企 業 の場 合 、スケジューリング不 能 な将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る繰 延 税 金 資 産 については回 収 可 能 性 がないものとします。ただし、税 務 上 の損 金 算 入 時 期 が個 別 に特 定 できないが将 来 のいずれの時 点 で損 金 算 入 される可 能 性 が高 いと見 込 まれるものについて、 当 該 将 来 のいずれかの時 点 で回 収 できることを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 する場 合 、当 該 ス ケジューリング不 能 な将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があるものとします。 (3) (分 類 3)に該 当 する企 業 の取 扱 い 過 去 (3 年 )及 び当 期 において、臨 時 的 な原 因 により生 じたものを除 いた課 税 所 得 が大 きく増 減 してお り(負 の値 となる場 合 を含 む)、かついずれの事 業 年 度 においても重 要 な税 務 上 の欠 損 金 が生 じてい ない企 業 の場 合 、将 来 の合 理 的 な見 積 期 間 (概 ね 5 年 )以 内 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見積 額 に基 づいて、当 該 見 積 可 能 期 間 の一 時 差 異 等 のスケジューリングの結 果 繰 延 税 金 資 産 を見 積 る場 合 、当 該 繰 延 税 金 資 産 (解 消 見 込 年 度 が長 期 にわたる将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る繰 延 税 金 資 産 を含 む)は回 収 可 能 性 があるものとします。 ただし、5 年 を超 える見 積 可 能 期 間 においてスケジューリングされた一 時 差 異 等 に係 る繰 延 税 金 資 産 が、臨 時 的 な原 因 により生 じたものを除 いた課 税 所 得 が大 きく増 減 している原 因 、中 長 期 計 画 、過 去 における中 長 期 計 画 の達 成 状 況 、過 去 (3 年 )及 び当 期 の課 税 所 得 の推 移 等 を勘 案 した結 果 、回 収 可 能 であることを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 する場 合 、当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 が あるものとします。 (4) (分 類 4)に該 当 する企 業 の取 扱 い 次 のいずれかの要 件 を満 たし、かつ翌 期 において一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 が生 じることが見 込 まれる企 業 は、(分 類 4)に該 当 します。 ①過 去 (3 年 )又 は当 期 において、重 要 な税 務 上 の欠 損 金 が生 じている ②過 去 (3 年 )において、重 要 な税 務 上 の欠 損 金 の繰 越 期 限 切 れとなった事 実 がある ③当 期 末 において、重 要 な税 務 上 の欠 損 金 の繰 越 期 限 切 れが見 込 まれる (分 類 4)に該 当 する企 業 の場 合 、翌 期 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見 積 額 に基 づいて、翌 期 の一 時 差 異 等 のスケジューリングの結 果 、繰 延 税 金 資 産 を見 積 る場 合 、当 該 繰 延 税 金 資 産 (解 消 見 込 年 度 が長 期 にわたる将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る繰 延 税 金 資 産 を含 む)は回 収 可 能 性 があるものと します。 ただし、(分 類 4)に該 当 する企 業 の場 合 でも、重 要 な税 務 上 の欠 損 金 が生 じた要 因 、中 長 期 計 画 、 過 去 における中 長 期 計 画 の達 成 状 況 、過 去 (3 年 )及 び当 期 の課 税 所 得 又 は税 務 上 の欠 損 金 の推 移 等 を勘 案 して、将 来 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 を見 積 る場 合 、将 来 において 5 年 超 にわた り一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 が安 定 的 に生 じることを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 するとき は、(分 類 2)に該 当 する企 業 として取 り扱 います。 また、上 記 (分 類 4)に該 当 する企 業 の場 合 で、重 要 な税 務 上 の欠 損 金 が生 じた要 因 、中 長 期 計 画 、 過 去 における中 長 期 計 画 の達 成 状 況 、過 去 (3 年 )及 び当 期 の課 税 所 得 又 は税 務 上 の欠 損 金 の推 移 等 を勘 案 して、将 来 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 を見 積 る場 合 、将 来 においておおむね 3 年 から 5 年 程 度 は一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 が生 じることを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 する ときは、(分 類 3)に該 当 する企 業 として取 り扱 います。 (5) (分 類 5)に該 当 する企 業 の取 扱 い 過 去 (3 年 )及 び当 期 のすべての事 業 年 度 において、重 要 な税 務 上 の欠 損 金 が生 じており、かつ、翌 期 においても重 要 な税 務 上 の欠 損 金 が生 じることが見 込 まれている企 業 の場 合 、原 則 として繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 はないものとして取 り扱 います。 解 消 見 込 年 度 が長 期 にわたる将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る繰 延 税 金 資 産 に関 しても同 様 に、原 則 とし て繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 がないものとして取 扱 います。
(6) 上 記 分 類 の要 件 をいずれも満 たさない企 業 の取 扱 い 上 記 (分 類 1)から(分 類 5)までの要 件 をいずれも満 たさないような企 業 は、過 去 の課 税 所 得 又 は税 務 上 の欠 損 金 の推 移 、当 期 の課 税 所 得 又 は税 務 上 の欠 損 金 の見 込 み、将 来 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見 込 み等 を総 合 的 に勘 案 し、各 分 類 の要 件 からの乖 離 度 合 いが最 も小 さいものと判 断 される分 類 へと区 分 することが定 められています。 (7) 企 業 の分 類 ごとの繰 延 税 金 資 産 の計 上 可 能 範 囲 回 収 可 能 性 適 用 指 針 においては、 (分 類 2)に該 当 する企 業 におけるスケジューリング不 能 な将 来 減 算 一 時 差 異 に関 する取 扱 い (分 類 3)に該 当 する企 業 における将 来 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の合 理 的 な見 積 期 間 に関 する取 扱 い(下 記 (※1)) (分 類 4)に係 る要 件 を満 たす企 業 が分 類 2 または分 類 3 に該 当 する場 合 の取 扱 い(下 記 (※2)(※4)) について、新 たな項 目 が設 けられました。 各 分 類 で計 上 可 能 な繰 延 税 金 資 産 の範 囲 は以 下 の図 表 2 の通 りです。 <図 表 2> ※1(分 類 2)に該 当 する企 業 においては、原 則 的 にスケジューリング不 能 な将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る 繰 延 税 金 資 産 については回 収 可 能 性 がないものとします。ただし、税 務 上 の損 金 算 入 時 期 が個 別 に特 定 できないが将 来 のいずれの時 点 で損 金 算 入 される可 能 性 が高 いと見 込 まれるものについて、 当 該 将 来 のいずれかの時 点 で回 収 できることを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 する場 合 、当 該 スケジ ューリン グ不 能 な将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があるものとし ます。 これは、改 正 前 66 号 の考 え方 では長 期 に安 定 した課 税 所 得 があり、将 来 当 該 一 時 差 異 を相 殺 でき
る(分 類 2)に該 当 する企 業 の実 態 を反 映 しないとの考 えや、IFRS または米 国 会 計 基 準 の影 響 も鑑 みて、今 回 の改 正 において新 しく追 加 された項 目 となっています。 ※2(分 類 3)に該 当 する企 業 においては、将 来 の合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (おおむね 5 年 )以 内 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 の見 積 額 に基 づいて、当 該 見 積 可 能 期 間 の一 時 差 異 等 のスケジューリングの結 果 繰 延 税 金 資 産 を見 積 る場 合 には、当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があるものとします。 ただし臨 時 的 な原 因 により生 じたものを除 いた課 税 所 得 が大 きく増 減 している原 因 、中 長 期 計 画 、 過 去 における中 長 期 計 画 の達 成 状 況 、過 去 (3 年 )及 び当 期 の推 移 等 を勘 案 して、5 年 を超 える見 積 可 能 期 間 においてスケジューリングされた一 時 差 異 等 に係 る繰 延 税 金 資 産 が回 収 可 能 であるこ とを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 する場 合 、当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があるものとさ れます。 これは、改 正 前 66 号 における、一 律 に 5 年 と設 定 する考 え方 では、企 業 の実 態 を反 映 しない可 能 性 があることから、5 年 を超 える見 積 可 能 期 間 においてスケジューリングされた繰 延 税 金 資 産 について も、要 件 を満 たす場 合 には回 収 可 能 性 があると取 り扱 う旨 が今 回 の回 収 可 能 性 適 用 指 針 において 新 しく追 加 されています。 ※3(分 類 4)に該 当 する企 業 においては、翌 期 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見 積 額 に基 づいて、 翌 期 の一 時 差 異 等 のスケジューリングの結 果 、繰 延 税 金 資 産 を見 積 もる場 合 には、当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があるものとします。 ※4(分 類 4)に該 当 する企 業 であっても、重 要 な税 務 上 の欠 損 金 が生 じた原 因 、中 長 期 計 画 、過 去 に おける中 長 期 計 画 の達 成 状 況 、過 去 (3 年 )及 び当 期 の課 税 所 得 または税 務 上 の欠 損 金 の推 移 等 を勘 案 して、将 来 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 を見 積 もる場 合 、将 来 において 5 年 超 にわたり 一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 が安 定 的 に生 じることを企 業 が合 理 的 な根 拠 をもって説 明 するとき は(分 類 2)に、将 来 においておおむね 3 年 から 5 年 程 度 は一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 が生 じる ことを企 業 が合 理 な根 拠 をもって説 明 するときは(分 類 3)に該 当 するものとして取 り扱 うことが可 能 になります。 (※2)ただし書 き、 (※4)の取 扱 いは、回 収 可 能 性 適 用 指 針 において、一 定 の条 件 のもとでは、繰 延 税 金 資 産 を計 上 できる幅 を広 げることが可 能 となりました。これは個 別 税 効 果 実 務 指 針 の過 年 度 の納 税 状 況 及 び将 来 の業 績 予 測 等 を総 合 的 に勘 案 する考 えに比 べると、改 正 前 66 号 では、企 業 の過 去 の事 象 に重 きを置 き過 ぎており、実 態 が反 映 されていないのではとの意 見 を考 慮 し、緩 和 要 件 を設 けることで、改 正 前 66 号 と比 較 して柔 軟 な運 用 の余 地 ができました。
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第 5 回 :連 結 財 務 諸 表 と税 効 果 会 計
2016.05.13 新日本有限責任監査法人 公認会計士 浦田 千賀子 新日本有限責任監査法人 公認会計士 村田 貴広 連 結 財 務 諸 表 に税 効 果 会 計 を適 用 するには、連 結 消 去 仕 訳 の段 階 で次 のような連 結 固 有 の税 効 果 を認 識 します。 1. 未 実 現 損 益 の消 去 に関 する事 項 連 結 会 社 間 の物 品 販 売 取 引 等 で、当 該 物 品 がグループ企 業 外 に販 売 されず、連 結 会 社 内 に在 庫 と して残 っている場 合 、当 該 在 庫 に対 して販 売 元 が計 上 した損 益 を未 実 現 損 益 といいます。以 下 特 に 断 りのない限 り未 実 現 利 益 を前 提 にします。 税 効 果 会 計 の考 え方 には財 産 的 なアプローチによる資 産 負 債 法 と損 益 的 なアプローチによる繰 延 法 の二 つがあります。税 効 果 会 計 の導 入 は、国 際 財 務 報 告 基 準 でも採 用 されている資 産 負 債 法 を基 本 に制 度 化 されたものですが、未 実 現 利 益 の消 去 には繰 延 法 の考 え方 が採 用 されています。資 産 負 債 法 と具 体 的 な相 違 として以 下 のようなものが挙 げられます。 資産負債法 繰延法 実効税 率 一時差異解消時点の実効税率を使 用 販売元の利益計上時点の実効税率を使用 一時差 異 会計上の簿価と税法上の簿価の差 を一時差異として認識 一時差異の有無に関係なし 回収可 能性の 検討 繰延税金資産の計上に当たっては、 将来減算一時差異の回収可能性の 検討が必要 繰延税金資産の計上額は、利益を計上した会社の実効税 率による。課税所得がなければ税効果なしとなる。回収可 能性の検討は必要なし 上 図 のような場 合 において、親 会 社 の個 別 財 務 諸 表 ですでに課 税 済 みとして処 理 した 200 の利 益 (売 却 価 格 1,000-製 造 原 価 800)は連 結 上 未 実 現 として消 去 されます。ここで個 別 財 務 諸 表 上 の簿 価 と、連 結 財 務 諸 表 上 の簿 価 に一 時 差 異 が生 じるため税 効 果 を認 識 するわけですが、税 金 を計 上 し た親 会 社 に税 効 果 が生 じるのか、一 時 差 異 を有 する子 会 社 に税 効 果 が生 じるのかが問 題 となります。資 産 負 債 法 の考 え方 からは、将 来 の税 金 費 用 を軽 減 する効 果 を有 している子 会 社 の実 効 税 率 を使 って繰 延 税 金 資 産 を計 上 するということになりますが、国 際 的 にも未 実 現 損 益 については例 外 的 な方 法 で繰 延 法 を採 用 していることや実 務 動 向 に配 慮 して、販 売 元 の実 効 税 率 を使 って繰 延 税 金 資 産 を 計 上 するという繰 延 法 の考 え方 を採 用 することとしました。 仕訳 (借方)繰延税金資産 60 (貸方)法人税等調整額 60 親 会 社 の実 効 税 率 を 30%とすると 60=未 実 現 利 益 200×30% 翌 期 の開 始 仕 訳 仕訳 (借方)繰延税金資産 60 (貸方)利益剰余金期首 60 この考 え方 は個 別 財 務 諸 表 で計 上 した税 金 費 用 (販 売 元 で納 付 済 みであり確 定 している)を連 結 上 将 来 に繰 り延 べるものであるため、税 率 が変 更 になった場 合 でも繰 延 税 金 資 産 の見 直 しを行 わない ことに留 意 する必 要 があります。また、個 別 財 務 諸 表 で計 上 し、納 付 した税 金 費 用 を繰 り延 べるため 将 来 の回 収 可 能 性 について検 討 する必 要 はありませんが、個 別 財 務 諸 表 で計 上 した税 金 費 用 以 上 に繰 延 税 金 資 産 を計 上 することはできません。 ※100%グループ内 の法 人 間 の資 産 の譲 渡 損 益 の繰 延 べが適 用 される場 合 の税 効 果 会 計 平 成 22 年 度 の税 法 改 正 において、100%グループ内 の内 国 法 人 間 における一 定 の資 産 の譲 渡 損 益 については、100%グループ内 の会 社 へ譲 渡 した段 階 では、譲 渡 損 益 を認 識 せず、再 譲 渡 したときに、 その移 転 を行 った法 人 において譲 渡 損 益 を計 上 するという、いわゆる 100%グループ内 の法 人 間 の資 産 の譲 渡 損 益 の繰 延 べが導 入 されました。ここに一 定 の資 産 とは、1,000 万 円 以 上 の固 定 資 産 、土 地 、有 価 証 券 (売 買 目 的 有 価 証 券 を除 く)、金 銭 債 権 及 び繰 延 資 産 であるとされます。 100%グループ内 の法 人 間 の資 産 の譲 渡 損 益 の繰 延 べが適 用 される場 合 の税 効 果 会 計 の適 用 は以 下 のとおりです。 ① 繰り延べられた譲渡損益に係る税効果 100%グループ内 の法 人 間 の資 産 の譲 渡 損 益 の繰 延 べが適 用 される場 合 、対 象 資 産 を譲 渡 した会 社 で譲 渡 益 が計 上 される場 合 には、譲 渡 益 に係 る法 人 税 等 が繰 り延 べられることになるので、当 該 対 象 資 産 を譲 渡 した会 社 の個 別 財 務 諸 表 において繰 延 税 金 負 債 が計 上 されます。譲 渡 益 を 200、法 定 実 効 税 率 を 30%とすると、仕 訳 は以 下 のとおりです。 仕訳 (借方)法人税等調整額 60 (貸方)繰延税金負債 60 ② 未実現利益の相殺消去と税効果の修正 当 該 対 象 資 産 が、連 結 グル-プ内 にとどまっている場 合 には、当 該 対 象 資 産 の譲 渡 益 200 は未 実 現 利 益 として、連 結 手 続 において相 殺 消 去 されます。
仕訳 (借方)譲渡益 200 (貸方)対象資産 200 一 方 で、対 象 資 産 を譲 渡 した会 社 において計 上 された繰 延 税 金 負 債 も、税 効 果 がなかったものと考 え、反 対 仕 訳 を行 います。 仕訳 (借方)繰延税金負債 60 (貸方)法人税等調整額 60 なお、企 業 集 団 内 での投 資 (子 会 社 株 式 または関 連 会 社 株 式 )を売 却 した場 合 は、上 記 とは取 扱 い が異 なる点 に留 意 する必 要 があります(連 結 財 務 諸 表 における税 効 果 会 計 に関 する実 務 指 針 30- 2)。 2. 債 権 債 務 の消 去 に伴 い減 額 修 正 される貸 倒 引 当 金 に関 する事 項 連 結 会 社 間 の債 権 債 務 の消 去 に伴 い減 額 修 正 された貸 倒 引 当 金 は、個 別 財 務 諸 表 上 では損 金 算 入 されますが、連 結 上 、債 権 の消 去 に伴 い貸 倒 引 当 金 が減 額 修 正 されるので、個 別 財 務 諸 表 上 の 簿 価 と連 結 財 務 諸 表 上 の簿 価 に一 時 差 異 が生 じるためこれに対 して税 効 果 を認 識 します。 例 えば、連 結 会 社 が他 の連 結 会 社 に対 する債 権 1,000 を有 しており連 結 手 続 上 50 の貸 倒 引 当 金 を 計 上 (損 金 算 入 )していたとすると、連 結 上 以 下 の消 去 仕 訳 とともに 50 に対 して税 効 果 を認 識 します。 連結消去仕訳 (借方)買掛金 1,000 (貸方)売掛金 1,000 (借方)貸倒引当金 50 (貸方)貸倒引当金繰入 50 税効果の仕訳 (借方)法人税等調整額 15 (貸方)繰延税金負債 15 15=50×実 効 税 率 30% 翌期の開始仕訳 (借方)利益剰余金期首 15 (貸方)繰延税金負債 15 (借方)貸倒引当金 50 (貸方)利益剰余金期首 50 なお、上 記 のように無 税 で処 理 された貸 倒 引 当 金 ではなく、有 税 で処 理 された貸 倒 引 当 金 がある場 合 は注 意 が必 要 です。無 税 で処 理 された貸 倒 引 当 金 は、減 額 修 正 された段 階 で将 来 加 算 一 時 差 異 が発 生 するため繰 延 税 金 負 債 を計 上 しますが、有 税 で処 理 された貸 倒 引 当 金 は、減 額 修 正 された段 階 で、個 別 財 務 諸 表 において認 識 した将 来 減 算 一 時 差 異 が消 滅 するため、これに対 して計 上 した繰 延 税 金 資 産 を取 り崩 すことになります。 次 のように子 会 社 に対 する債 権 の回 収 可 能 性 に懸 念 があり、税 務 上 の損 金 算 入 限 度 額 以 上 に貸 倒 引 当 金 を計 上 したような場 合 は無 税 で処 理 されている部 分 と有 税 で処 理 されている部 分 に分 けて税 効 果 の仕 訳 を行 います。
親会社の損金算入限度額 800 → 無税 有税引当額 200 → 有税 個別財務諸表上の税効果認識額 60(=200×実効税率 30%) 親会社の個別財務諸表上の仕訳 (借方)繰延税金資産 60 (貸方)法人税等調整額 60 連結消去仕訳 (借方)買掛金 1,600 (貸方)売掛金 1,600 (借方)貸倒引当金(無税) 800 (貸方)貸倒引当金繰入 800 (借方)貸倒引当金(有税) 200 (貸方)貸倒引当金繰入 200 税効果に影響する仕訳 (借方)法人税等調整額 240 (貸方)繰延税金負債 240 (借方)法人税等調整額 60 (貸方)繰延税金資産 60 無 税 部 分 の税 効 果 : 240=800×実 効 税 率 30% 有 税 部 分 の税 効 果 : 60=200×実 効 税 率 30% 業 績 が悪 化 した連 結 子 会 社 に対 する貸 倒 引 当 金 の減 額 修 正 連 結 会 社 相 互 間 の債 権 債 務 の相 殺 消 去 に伴 い減 額 修 正 された貸 倒 引 当 金 が、税 務 上 損 金 算 入 さ れたものであれば、減 額 修 正 により将 来 加 算 一 時 差 異 が発 生 し、この将 来 加 算 一 時 差 異 に対 して連 結 手 続 上 、原 則 として繰 延 税 金 負 債 を計 上 しますが、債 務 者 である連 結 子 会 社 の業 績 悪 化 に伴 い、 債 権 者 が個 別 財 務 諸 表 上 で貸 倒 引 当 金 を計 上 し、税 務 上 損 金 算 入 した場 合 には、当 該 将 来 加 算 一 時 差 異 につき税 効 果 を認 識 しないことになります。これは、税 務 上 の損 金 算 入 が認 められる貸 倒 引 当 金 が、債 権 債 務 の相 殺 消 去 に伴 い減 額 修 正 されても、債 権 が回 収 されない限 り、将 来 加 算 一 時 差 異 に係 る税 金 は将 来 においてその支 払 いが見 込 まれないと考 えられるからです。 3. 新 規 連 結 と税 効 果 会 計 親 会 社 がある会 社 の支 配 を獲 得 した場 合 には、新 規 連 結 となりますが、新 規 連 結 の場 合 には、支 配 獲 得 日 において、子 会 社 となる会 社 の資 産 及 び負 債 の全 てを支 配 獲 得 日 の時 価 により評 価 する方
法 (全 面 時 価 評 価 法 )により評 価 します(連 結 基 準 20)。時 価 評 価 に伴 い、子 会 社 の資 産 及 び負 債 の 時 価 による評 価 額 と当 該 子 会 社 の税 務 上 の資 産 ・負 債 の帳 簿 価 額 に乖 離 (かいり)が生 じますが、こ の乖 離 が一 時 差 異 となり繰 延 税 金 の計 上 の検 討 が必 要 になります。以 下 、設 例 により説 明 します。 <条 件 > (1)3 月 決 算 会 社 である P 社 (公 開 企 業 )は、×1 年 3 月 末 に A 社 の株 式 の 80%を 2,500 で買 収 し子 会 社 化 した。 (2)×1 年 3 月 末 における P 社 、A 社 の個 別 貸 借 対 照 表 は、以 下 のとおりである。 P 社 A 社 P 社 A 社 諸資産 投資有価証券 子会社株式 土地 1,500 1,600 500 1,000 2,400 諸負債 資本金 利益剰余金 その他有価証券 評価差額金 土地再評価差額金 1,300 1,000 800 2,000 1,000 400 200 300 資産の部計 3,100 3,900 負債・純資産の部計 3,100 3,900 (3)A 社 の個 別 財 務 諸 表 上 、時 価 評 価 すべき資 産 は土 地 であり、支 配 獲 得 時 の時 価 は、3,000 であ る。 (4)実 効 税 率 を 30%とする。 <支 配 獲 得 時 の連 結 仕 訳 > (1) 土地の時価評価替え (借方)土地 600 (貸方)評価差額 600 (2) 評価差額に係る税効果の認識 (借方)評価差額 180 (貸方)繰延税金負債 180 計算 式=600×30%=180 評 価 差 額 は、一 時 差 異 であることから、税 効 果 が認 められるため繰 延 税 金 負 債 が計 上 されます。 評 価 替 え後 の A 社 貸 借 対 照 表 A 社 A 社 諸資産 投資有価証券 土地 500 1,000 3,000 諸負債 繰延税金負債 資本金 利益剰余金 評価差額 その他有価証券評価差額金 2,000 180 1,000 400 420 200
土地再評価差額金 300 資産の部計 4,500 負債・純資産の部計 4,500 (3) 資本連結 (借方) 資本金 1,000 (貸方) 子会社株式 2,000 利益剰余金 400 少数株主持分 ※1 464 その他有価証券 評価差額金 200 土地再評価差額金 300 評価差額 420 のれん※2 144 ※1 A 社 純 資 産 (1,000+400+420+200+300)×20%=464 ※2 投 資 2,000-(A 社 純 資 産 (1,000+400+420+200+300)×80%)=144
税効果会計(平成 27 年度更新)
第 6 回 :その他 有 価 証 券 の評 価 差 額 に対 する税 効 果 会 計
2016.05.17 新日本有限責任監査法人 公認会計士 浦田 千賀子 その他 有 価 証 券 の時 価 評 価 に伴 い発 生 する評 価 差 額 は、税 効 果 会 計 適 用 上 の一 時 差 異 に該 当 し、 これについて繰 延 税 金 資 産 又 は繰 延 税 金 負 債 が認 識 されます。 今 回 の改 正 においても、監 査 委 員 会 報 告 第 70 号 のその他 有 価 証 券 の評 価 差 額 に係 る一 時 差 異 の 取 扱 いに関 する考 え方 を踏 襲 しています。 1.原 則 的 な処 理 個 々の銘 柄 ごとにスケジューリングを行 い、評 価 差 損 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 については当 該 スケ ジューリングの結 果 に基 づき回 収 可 能 性 を判 断 したうえで繰 延 税 金 資 産 を計 上 し、評 価 差 益 に係 る 将 来 加 算 一 時 差 異 については繰 延 税 金 負 債 を計 上 します。 2.許 容 される処 理 ①その他 有 価 証 券 の評 価 差 額 に係 る一 時 差 異 がスケジューリング可 能 な一 時 差 異 である場 合 評 価 差 額 を評 価 差 損 が生 じている銘 柄 と評 価 差 益 が生 じている銘 柄 に区 分 し、評 価 差 損 の銘 柄 ごとの合 計 額 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 については、スケジューリングの結 果 に基 づき回 収 可 能 性 を判 断 した上 で繰 延 税 金 資 産 を計 上 し、評 価 差 益 の銘 柄 ごとの合 計 額 に係 る将 来 加 算 一 時 差 異 については繰 延 税 金 負 債 を計 上 します。 ②その他 有 価 証 券 の評 価 差 額 に係 る一 時 差 異 がスケジューリング不 能 なもの 評 価 差 損 の銘 柄 ごとの合 計 額 と評 価 差 益 の銘 柄 ごとの合 計 額 を相 殺 した後 の純 額 の評 価 差 損 に 係 る将 来 減 算 一 時 差 異 又 は評 価 差 益 に係 る将 来 加 算 一 時 差 異 について、繰 延 税 金 資 産 又 は繰 延 税 金 負 債 を計 上 します。 (ア)純 額 で評 価 差 益 の場 合 純 額 の評 価 差 益 に係 る将 来 加 算 一 時 差 異 については、繰 延 税 金 負 債 を計 上 します。ただし、当 該 評 価 差 益 はスケジューリング不 能 な将 来 加 算 一 時 差 異 ですので、繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の判 断 に当 たっては、その他 有 価 証 券 の評 価 差 額 以 外 の将 来 減 算 一 時 差 異 とは相 殺 できな いものとして取 り扱 います。 (イ)純 額 で評 価 差 損 の場 合 純 額 の評 価 差 損 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 は、スケジューリング不 能 な将 来 減 算 一 時 差 異 です ので、原 則 として当 該 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 は無 いものとして取 り扱 います。ただし、その 他 有 価 証 券 は、通 常 は随 時 売 却 が可 能 であり、長 期 的 には売 却 が想 定 される有 価 証 券 ですので、会 社 の業 績 等 の状 況 を回 収 可 能 性 の判 断 基 準 とすることができるとされます。業 績 等 の状 況 を判 断 基 準 とするということは、回 収 可 能 性 適 用 指 針 における(分 類 1)~(分 類 5)への当 てはめ により、回 収 可 能 性 の判 断 基 準 とするものであり、以 下 の場 合 には、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 についても回 収 可 能 性 があると判 断 されます。 (1)(分 類 1)に該 当 する企 業 及 び(分 類 2)に該 当 する企 業 ((分 類 2)に該 当 するものとして取 り扱 われ る企 業 を含 む) 純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 につき、回 収 可 能 性 があると判 断 します。 (2)(分 類 3)に該 当 する企 業 ((分 類 3)に該 当 するものとして取 り扱 われる企 業 を含 む) 将 来 の合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (概 ね 5 年 )内 の課 税 所 得 の見 積 額 からスケジューリング可 能 な一 時 差 異 の解 消 額 を加 減 した額 に基 づき、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 を見 積 るときは、 当 該 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 があると判 断 します。 (3)(分 類 3)に該 当 し、かつ 5 年 を超 える見 積 可 能 期 間 においてスケジューリングされた一 時 差 異 等 に 係 る繰 延 税 金 資 産 を合 理 的 に説 明 する(臨 時 的 な原 因 により生 じたものを除 いた課 税 所 得 が大 き く増 減 している原 因 、中 長 期 計 画 、過 去 における中 長 期 計 画 の達 成 状 況 、過 去 3 年 及 び当 期 の 課 税 所 得 の推 移 等 を勘 案 )企 業 5 年 を超 える見 積 可 能 期 間 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見 積 額 にスケジューリング可 能 な 一 時 差 異 の解 消 額 を加 減 した額 に基 づき、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 を見 積 る場 合 、 当 該 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 はあると判 断 します。 <設例> 1.原則的な処理 銘 柄 売 却 予 定 原 価 時 価 評 価 差 額 税 効 果※ 1 資 産 負 債 A 株式 あり 1,000 2,000 1,000 - 300 B 株式 あり 1,000 500 △500 ※2150 - C 株式 なし※3 1,000 1,300 300 - 90 D 株式 なし※3 1,000 700 △300 - - 計 4,000 4,500 500 150 390 ※1 法 定 実 効 税 率 は 30% ※2 繰 延 税 金 資 産 は、回 収 可 能 と判 断 された。 ※3 売 却 予 定 がなくスケジューリング不 能 であるため、繰 延 税 金 資 産 を計 上 できないと判 断 した。
仕 訳 A 株 式 (借方)投資有価証券 1,000 (貸方)有価証券評価差額金 700 (貸方)繰延税金負債 300 B 株 式 (借方)有価証券評価差額金 350 (貸方)投資有価証券 500 (借方)繰延税金資産 150 C 株 式 (借方)投資有価証券 300 (貸方)有価証券評価差額金 210 (貸方)繰延税金負債 90 D 株 式 (借方)有価証券評価差額金 300 (貸方)投資有価証券 300 ※ 回 収 不 能 として繰 延 税 資 産 は計 上 しない まとめ (借方)投資有価証券 500 (貸方)有価証券評価差額金 260 (借方)繰延税金資産 150 (貸方)繰延税金負債 390 2.許容される処理 (1) スケジューリング可 能 なものとスケジューリング不 能 なものが混 在 している場 合 銘 柄 売 却 予 定 原 価 時 価 評 価 差 額 税 効 果※ 1 資 産 負 債 合 計※ 4 A 株式 あり※2 1,000 2,000 1,000 - 300 △300 B 株式 あり※2 1,000 500 △500 150 - 150 C 株式 なし※3 1,000 1,300 300 - 90 △90 D 株式 なし※3 1,000 800 △200 60 - 60 計 4,000 4,600 600 210 390 △180 ※1 法 定 実 効 税 率 は 30% ※2 売 却 予 定 ありの銘 柄 については、スケジューリング可 能 であり、いずれも回 収 可 能 と判 断 された。 ※3 売 却 予 定 のない銘 柄 については、スケジュ-リング不 能 と判 断 した。 ※4 税 効 果 合 計 欄 は、繰 延 税 金 負 債 に△。
① スケジューリング可 能 であり回 収 可 能 であると判 断 された銘 柄 仕 訳 A 株 式 (借方)投資有価証券 1,000 (貸方)有価証券評価差額金 700 (貸方)繰延税金負債 300 B 株 式 (借方)有価証券評価差額金 350 (貸方)投資有価証券 500 (借方)繰延税金資産 150 (貸方) ② スケジューリング不 能 と判 断 された銘 柄 仕 訳 (借方)投資有価証券 100 (貸方)有価証券評価差額金 70 (貸方)繰延税金負債 30 スケジューリング不 能 と判 断 された銘 柄 については、純 額 で評 価 差 益 となるので、繰 延 税 金 負 債 を認 識 します。 ①と②の合 計 仕 訳 (借方)投資有価証券 600 (貸方)有価証券評価差額金 420 (借方)繰延税金資産 150 (貸方)繰延税金負債 330 (2) 全 てスケジューリング不 能 であり、純 額 で評 価 差 損 となる場 合 ア. 2.②(イ)(1) に該 当 する会 社 の場 合 銘 柄 売 却 予 定 原 価 時 価 評 価 差 額※ 2 税 効 果※ 1 資 産 負 債 合 計※ 3 A 株式 なし※2 1,000 800 △200 60 - 60 B 株式 なし※2 1,000 500 △500 150 - 150 C 株式 なし※2 1,000 1,100 100 - 30 △30 D 株式 なし※2 1,000 700 △300 90 - 90 計 4,000 3,100 △900 300 30 270 ※1 法 定 実 効 税 率 は 30% ※2 全 ての銘 柄 の株 式 に売 却 予 定 はなく、スケジュ-リング不 能 と判 断 した ※3 税 効 果 合 計 欄 は、繰 延 税 金 負 債 に△
仕 訳 (借方)有価証券評価差額金 630 (貸方)投資有価証券 900 (借方)繰延税金資産 270 回 収 可 能 性 適 用 指 針 の(分 類 1)及 び(分 類 2)に該 当 する場 合 には、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 につき、回 収 可 能 性 があると判 断 します。 イ. 2.②(イ)(2) に該 当 する会 社 の場 合 前 提 :将 来 5 年 間 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見 積 額 2,000 銘 柄 売 却 予 定 原 価 時 価 評 価 差 額 税 効 果※ 1 資 産 負 債 合 計※ 3 A 株式 なし※2 1,000 800 △200 60 - 60 B 株式 なし※2 1,000 500 △ 500 150 - 150 C 株式 なし※2 1,000 1,100 100 - 30 △30 D 株式 なし※2 1,000 700 △ 300 90 - 90 計 4,000 3,100 △900 300 30 270 ※1 法 定 実 効 税 率 は 30% ※2 全 ての一 時 差 異 はスケジュ-リング不 能 ※3 税 効 果 合 計 欄 は、繰 延 税 金 負 債 に△ ※4 将 来 の合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (概 ね 5 年 )内 の課 税 所 得 の見 積 額 からスケジューリング可 能 な 一 時 差 異 の解 消 額 を加 減 した額 を 500 とします。 仕 訳 (借方)有価証券評価差額金 750 (貸方)投資有価証券 900 (借方)繰延税金資産 ※5150 ※5 純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 の総 額 =500×30%=150 委 員 会 報 告 66 号 の(分 類 3)に該 当 する場 合 には、将 来 の合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (概 ね 5 年 )内 の 一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見 積 額 からスケジューリング可 能 な一 時 差 異 の解 消 額 を加 減 した 額 に基 づき、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 を計 上 することとなります。 ウ. 2.②(イ)(3) に該 当 する会 社 の場 合 銘 柄 売 却 予 定 原 価 時 価 評 価 差 額※ 2 税 効 果※ 1 資 産 負 債 合 計※ 3 A 株式 なし※2 1,000 800 △200 60 - 60 B 株式 なし※2 1,000 500 △500 150 - 150
C 株式 なし※2 1,000 1,100 100 - 30 △30 D 株式 なし※2 1,000 700 △300 90 - 90 計 4,000 3,100 △900 300 30 270 ※1 法 定 実 効 税 率 は 30% ※2 全 ての一 時 差 異 はスケジュ-リング不 能 ※3 税 効 果 合 計 欄 は、繰 延 税 金 負 債 に△ ※45 年 を超 える見 積 可 能 期 間 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見 積 額 にスケジューリング可 能 な 一 時 差 異 の解 消 額 を加 減 した額 は 600 とします。 仕 訳 (借方)有価証券評価差額金 720 (貸方)投資有価証券 900 (借方)繰延税金資産 ※5180 ※5 純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 の総 額 =600×30%=180 2.②(イ)(3) に該 当 する場 合 には、5 年 を超 える見 積 可 能 期 間 の一 時 差 異 等 加 減 算 前 課 税 所 得 の見 積 額 にスケジューリング可 能 な一 時 差 異 の解 消 額 を加 減 した額 に基 づき、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 を計 上 することになります。 3. 減損処理したその他有価証券の取扱い 減 損 処 理 したその他 有 価 証 券 に関 して、期 末 における時 価 が減 損 処 理 の直 前 の取 得 原 価 に回 復 す るまでは、減 損 処 理 後 の時 価 の上 昇 に伴 い発 生 する評 価 差 益 は将 来 加 算 一 時 差 異 ではなく、減 損 処 理 により生 じた将 来 減 算 一 時 差 異 の戻 入 れとなります。このため、原 則 どおり、個 々の銘 柄 ごとに スケジューリングを行 い、当 該 その他 有 価 証 券 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 については当 該 スケジュー リングの結 果 に基 づき回 収 可 能 性 を判 断 した上 で、繰 延 税 金 資 産 を計 上 することになります。