1.学習指導案は,何のために書くのか?
2.小学校での学習指導案例
3.中学校での学習指導案例
教育実習での学習指導案の作成。校内研究での学習指導案の作成。研究発表会での学習指導案の 作成。さまざまな場面で学習指導案が作成されます。そもそも,学習指導案は,何のために書くの でしょうか。
学習指導案は,授業の設計図
学習指導案は,授業の設計図であるとか,航海図ともいわ れます。本来,学習指導案は校内研究や研究発表があるから 書くのではなく,授業そのものの質を高め,授業の方向を確 かなものとするために書かなければならないものです。 また,授業の主人公は子どもたち自身です。子どもたちの 確かな学びを保障するためにこそ,学習指導案は書かれなけ ればならないと思います。 学習指導案を書きながら,教材の内容が深く理解できたり, 指導内容の系統を改めて理解できたりするということがよくあります。すでに深まった教材理解や 解釈を学習指導案に書くというより,学習指導案を書くことにより,教材理解・解釈がさらに深ま るという一面は見逃せないことです。 また,同じように学習指導案を書くことにより,改めて子どもたちの実態を捉えなおしたり,子 どもたちの課題を再認識したりすることがあります。すでに十分に把握された子どもたちの実態や 課題を学習指導案に書くというより,学習指導案を書くことを通して,子ども理解をさらに深める ということも現実としては,よくあることではないでしょうか。 学習指導案は,授業の設計図であり,航海図でもあるとすでに述べました。また,「深い教材理解」 の項で,教材を「山」に例えると「授業」 は,子どもたちとともに「山に登る」こ ととして捉えられるとも書きました。学 習指導案の中に教材の見所や「危険箇所」 (子どもたちの躓きやすい箇所)を明示し, その躓きを克服するための方法を事前に 明らかにすることにより,学習指導案は, 子どもたちにとっての安全な「山登り」 を保障する道標となります。 授 業 の 質 を 高 め る 授 業 の 方 向 を 確 か な も の に す る子どもたちの確かな学び
授業の設計図・航海図
学習指導案
深い
教
材
理解
確か
な指
導法
豊かな子ども理解
高まり合う
学習集団づくり
学習指導案は,何のために書くのか?
学習指導案を作成する上で,大切にしたいこと
学習指導案は,授業力を支える大きな力となるものです。作成に当たって何よりも大切にしたい のは,豊かな子ども理解です。目の前にいる子どもたちを豊かに理解してこそ,子どもたちの置か れている状況から出発し,子どもたちに届く教育実践が可能となるからです。その意味において, 学習指導案は,子どもたち一人ひとりの実態を踏まえた,オーダーメイドであるべきです。 また,教材に対する理解・解釈や指導法について,学習指導案に記述することにより,改めて, 教材に対する認識や理解を深めたり,子どもたちの実態に即した指導法を吟味したりすることがで きます。一方,子どもたちの視点から教材を捉え直すことにより,教材に対する理解や指導法に対 する吟味が深まるのではないでしょうか。 さらに学習指導案に「学級」を「学習集団」に高めるための取組を記述することにより,改めて 子どもたちの実態を見つめ直すことができます。 以上のような視点を学習指導案に記述することが,自らの授業力を高めるために役立つばかりで なく,学校として研究を推進していく上で,それぞれの個々の取組を学校組織として共有し,組織 として実践を積み上げる上で重要な意味をもちます。授業力を高めるための特効薬や即効薬はない かもしれません。しかし,学習指導案を可能な限り書き続けることで授業力が高まることは,はっ きりと断言できることです。 次に,小学校,中学校の学習指導案の一例を示しながら,学習指導案を作成する上で大切にしな ければならない内容について述べます。学習指導案の中に「授業力を高めるための4つの視点」に 関する内容や校内研究を進める上で大切な内容については,視点1 より豊かな子ども理解のために のように示しました。学習指導案を作成する上で必要な観点として意識していただきたいと思いま す。 京都市総合教育センター3階のカリキュラム開発支援センターには,現在およそ1万点の学習指導案 が集められています。京都市立の幼稚園,小学校,中学校,総合養護学校の研究発表会や校内の研究会 などで作成されたものです。それぞれの学習指導案は,教科・学年ごとに分類され,取り出しやすいよ うにファイリングされており,校種ごとの目録もあります。また,これらを活用して学習指導案の作成 等ができるように,光京都ネットに接続できるコンピュー タ,カラーコピー機,大判カラープリンタなども設置して います。 平日の夜間や土曜日には,学習指導案の作成等のために カリキュラム開発支援センターに京都市立学校の多くの教 員が来室されています。 校内研究での学習指導案の作成や日々の学習指導案の作 成にカリキュラム開発支援センターの学習指導案をご活用 ください。 カリキュラム開発支援センターの活用小学校での学習指導案例
○○科学習指導案
指導者 ○○○○ 1.学年・組 2.単元名 3.教材名 4.単元の目標 5.単元の評価規準 6.児童の実態と指導・支援 視点1 より豊かな子ども理解のために ①児童の実態(焦点化された子どもたちを中心に) ◇子どもたちの現時点での姿を正しく受け止めるために ◇子どもたちの背景を共感的に豊かに受け止めるために ②指導課題 ◇子どもたちの実態を踏まえ,本単元を通して育てたい子どもたちの姿を明確にする。 ③「学級」を「学習集団に高める」ための指導の経過 視点4 高まり合う学級集団づくりのために ◇学級目標の具現化に向けた取組について ◇「学びのしつけ」の具現化に向けて 7.教材観 視点2 より深い教材理解のために ①教材の系統を明らかにするために ②教材の背景にあるもの明らかにするために ③子どもたち自身の実態から教材を捉えなおすために ◇豊かな子ども理解が,深い教材理解・解釈を支える。 8.研究テーマに関わって 校内の研究テーマに迫るために ①研究テーマから見た子どもたちの現状 ②本単元を通して育てたい子どもたちの姿 ③指導上,特に留意したいこと 9.指導計画と評価の手がかり 視点3 確かな指導法を高めるために ①単元全体を通して子どもたちの育てたい姿 ②単元全体の指導計画と評価規準 いわゆる「指導と評価の一体化をめざして」 ③具体的な評価の方法 10.本時の目標 (本時の指導を通して育てたい子どもの姿を具体的に書く。) 11.本時の展開( / ) 視点3 確かな指導法を高めるために 学習活動 予想される児童の反応 主な発問と指導・支援 指導上の具体的な留意点 学 習 活 動 の 中 で 研 究 テ ー マ に 迫 る 内 容 を 具 体 的 に 明 示 す る。 ・予想される児童の反応 を具体的に明示する。 ○子 どもた ちに対 する 主 な発問を具体的な言葉 で明示する。 ◇指導・支 援を具体的 に 明示する。 ◇導 入 の 場 面 で ,興 味 関 心 を 高 め る た め の 具 体 的な手立て ○○を○○することによ り,興味関心を高める。◇子どもたちの実態を思 い浮かべながら具体的 な指導 ・支 援 を指導 案 作成の段階で準備し, 記述する。 ◇子どもたちの実態に即 して,有効な個別指導 を事前に考えておき,記 述する。 指導と評価の一体化をめざして ◇学習課題の意味や内容 についての理解を十分に 深める。 ◇子どもたち自身が学び方 を学ぶという視点を大切 にする。 指導すべきことを指導しきるために ◇指導すべきことを指導しき るための具体的な手立て を明示する。 ◇学習上気がかりな子ども の想定される躓きに対し て事前に手立てを準備し ておく。 12.板書計画 学習の流れを構造的に提示するために ①計画的な板書…場面ごとの板書計画を書き分ける。 ・導入の段階での板書 ・展開の段階での板書 ・まとめの段階での板書 ②学習の課題を明確にする板書 ③子どもたちの思考を支える板書 ④学習の流れを構造的に提示する板書 ⑤学習意欲が継続しにくい子どもたちに配慮した板書 学習意欲を高めるために,子どもた ちとともに具体的な学習課題を設定 する。 学び方を学ばせるために,子どもた ちとともに学習課題に迫るための具 体的な学習方法を明らかにする。 ○○で躓いた場合,○○ の 手 立 て を 打 つ こ と に よ り,○○できるようにする。 Bの評価の 具体的な子どもの姿 C の 状 況 の 子 ど も へ の 具体的な働きかけ *具体的な指導内容 *具体的な指導方法 板書 1 導入の場面の板書計画 ◇学習の意欲を高める板書 ◇学習課題を明確にする板書 ◇学習方法を明確にする板書 板書 2 展開の場面の板書計画 ◇学習の流れを構造的に提示する板書 ◇子どもたちの思考を支える板書 ◇学習意欲が継続しにくい子どもたちに配慮した板書 板書3 まとめの場面の板書計画 ◇学習を通して学び合ったことを確認できる板書 ◇学習課題と関連させ,学習のまとめを明確にできる板書 ◇学んだ内容を今後の学習に生かせる板書 Aの評価の 具体的な子どもの姿 *板書としては,1 枚のものですが,より 構造的なものにするために,意図的 に場面に分けて板書計画を立てるこ とが大切です。
中学校での学習指導案例
○○科学習指導案
指導者 ○○○○ 1.指導日時 2.指導学年 3.指導単元名 4.指導単元の目標 ①本単元を通して生徒たちに育てたい力 ②本単元を通して理解させたい内容 ③本単元を通して考えさせたい内容 ④本単元を通して気づかせたい内容 5.教 材 観 視点2 より深い教材理解のために ①教材の系統を明らかにするために ②教材の背景にあるもの明らかにするために ③生徒たち自身の実態から教材を捉えなおすために ◇豊かな生徒理解が,深い教材理解・解釈を支える。 6.生 徒 観(生徒の実態と分析) 視点1 より豊かな子ども理解のために ①生徒たちの実態(焦点化された生徒たちを中心に) ◇教科の指導内容に関する生徒たちの現時点での姿を正しく受け止めるために ◇生徒たちの背景を共感的に豊かに受け止めるために ②「学級」を「学習集団に高める」ための指導の経過 視点4 高まり合う学習集団づくりのために ◇目標の具現化に向けた取組について ◇「学びのしつけ」の具現化に向けて 7.指 導 観 視点3 確かな指導法を高めるために ①生徒たちの実態を踏まえ,本単元を通して生徒たちに育てたい力について ②本単元を指導する上で大切にしたい指導意図について ③本単元を指導する上で大切にしたい指導法や指導形態について 8.本単元 評価規準 (社会科を例に) 本単元の評価規準を観点ごとに明確にするために 社会的事象への 関心・意欲・態度 社会的な思考・判断 資料活用の技能・表現 社会的事象についての 知識・理解 9.指導計画・評価 「 」の学習指導計画例 配当時間( 単位時間 ) 教科書関連頁( ) 各指導時間の評価規準を明らかにするとともに,Cの状況の生徒への手立てを明らかにすることにより,指導と評価の一体化を図るとともに,指導すべき内容を指導しきる。 学 習 事 項 (学習のねらい) 評 価 規 準 (おおむね達成した状況 B) 判定のための基準 Cの状況の生徒への具体的な手立て10.本時の目標 11.本時の評価(例) 観点 判定のための基準 学習 内容 関 思 技 知 評価規準 Aの基準 Bの基準 Cの状況の生徒への具 体的な手立て 評価方法 ○ ◎ 12.本時の展開 学 習 活 動 教師の指導 指導上の留意点・評価基準 導 入 ○導 入 の 場 面 で の生 徒 の 活 動 を 具 体 的 に記入する。 ○生徒 の活 動の具 体 的な「ねらい」を記述 する。 ○導入の場面での学習課題を明 確にし,学習意欲を高めるため の手立てを示す。 ◇学習課題のもたせ方 ◇学習方法の学ばせ方 ◇導入の場面での,興味関心を高める ための具体的な手立てを明示する。 展 開 ○展 開 の 場 面 で の生 徒 の 活 動 を 具 体 的 に記入する。 ○生徒 の活 動の具 体 的な「ねらい」を記述 する。 ○展開の場面での指導や支援に ついて具体的に記述する。 ◇生徒が主体的に学習を進め るための具 体 的 な手 立 てに ついて (教科によっては) ◇一人ひとりの習熟の程度に応じた 指導・支援 ◇一人ひとりの習熟の程度に応じた 学習形態 ◇指導すべきことを指導しきるための具 体的な手立てを明示する。 指導すべきことを指導しきるために ◇学習上気がかりな生徒の想定される 躓きに対して事前に手立てを準備し ておく。 ◇指導と評価の一体化をめざす ・評価規準の明確化 ・評価方法・場面の具体化 ・評価を指導に生かす工夫 ま と め ○本時の学習を通してど のような生徒の姿をめ ざすのかを具体的に 記述する。 ○まとめの場面での指導や支援に ついて具体的に記述する。 ◇Cの状況の生徒への具 体 的 な働 き かけを明示する。 *具体的な指導内容 *具体的な指導方法 13.板書計画 学習の流れを構造的に提示するために 板書 1 導入の場面の板書計画 ◇学習の意欲を高めるための板書 ◇学習課題を明らかにするための板書 ◇学習方法を明確にするための板書 板書2 展開の場面の板書計画 ◇学習の流れを構造的に提示するための板書 ◇生徒たちの思考を支える板書 ◇学習意欲が継続しにくい生徒たちのための板書 板書3 まとめの場面の板書計画 ◇学習を通して学びあったことを確認できる板書 ◇学習課題と関連させ,学習のまとめを明確にできる板書 ◇学んだ内容を今後の学習に生かせる板書 ○○を○○することにより,興味 関心を高める。 ○○で躓いた場合,○○の手立 てを打つことにより,○○できるよ うにする。 *板書としては,1 枚のものですが,より 構造的なものにするために,意図的 に場面に分けて板書計画を立てるこ とが大切です。