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「特別の教科 道徳」の意義と役割 : 幼小連携強化における道徳授業への新提言

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Academic year: 2021

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特 別 の教 科   道 徳 」 の意 義 と役 割

一幼 小 連 携 強 化 にお け る道 徳 授 業 へ の新 提 言 一

The Role and Meaning

of Newly

Introduced

Moral

Education

in Schools

How lessons of moral education can help the transition between kindergarten and elementary schools

・ 隈

・ 広

DOE Shigehiro KUMAMOTO Yasuhiro HIROOKA Yoshiyuki

要 旨:   第1章 で は、 戦 後 日本 の 道 徳 教 育 の 展 開 を詳 細 に 考 察 して い る。 そ の 核 心 の 一 つ は 「道 徳 の 時 間 」 の特 設 で あ った。 文 部 省 は当 初 「公 民科 」 の 構想 に取 り組 ん で い た が 、 ア メ リカ の 指 示 によ って 「社 会 科 」 が 設 置 さ れ、 そ の 結 果 、 「社 会 科 」 を活 用 した 全 面 主 義 道 徳 教 育 が展 開 され る。 そ の後 、 幾 多 の 紆余 曲折 が あ り、1958(昭 和33)年 に 小 中学 校 で の 「道 徳 の 時 間 」 の 特 設 が 決 定 され た 。 以 来60年 近 い 歳 月 が 流 れ 、 「道 徳 の 時 間」 は、 学 校 教 育 全 体 に お け る道 徳 教 育 の 「要 」 と して 新 た に位 置 づ け られ た。   第2章 で は、 「道 徳 教 育 に お け る幼 小 連 携 へ の歩 み」 に焦 点 を絞 って考 察 を 展 開 して い る。 特 に 幼 稚 園教 育要 領等 か ら見 た 幼 児 期 の 道 徳 教 育 に つ い て論 じて お り、 そ の 際 の キ ー ワ ー ドは 「道 徳 性 の 芽 生 え」 と 「規範 意 識 の芽 生 え」 で あ る。   第3章 で は、 「『特 別 の教 科   道 徳 』 の 授 業 展 開」 に つ い て 考 察 を 深 め る。 具 体 的 に は絵 本 で あ り道 徳 の読 み物 資料 で もあ る 「は しの うえ の お お か み」 を 分 析 して い く。2015年7月11日(土)に 開 催 し た 「道 徳 の教 科 化 に 向 けた 道 徳 の 時 間 の充 実 した 授 業 に つ い て 」 の 研 修 会 で は、 中 舎 良 希 指 導 主 事 が 道 徳 の模 範 授 業 を行 った。 本 研 究 会 の意 義 を 道 徳 の 授 業 の 展 開 方 法 とい う観 点 か ら解 説 す る。 Abstract

In the first chapter, we examine the development of moral education after the Pacific War. One of the core points we looked at was the special history and development of "moral education" in Japan. Initially, the Ministry of Education had to tackle the concept of "Kominnka" (social studies), but as a result of the influence from the USA, "Shakaika" (social studies) was later formed and a complete moral education was then developed. It was not until 1958, when a national standard of "moral education" was decided on and established. Since then, almost 60 years have passed, and "moral education" has been placed and positioned as the pivot of moral education in all education at school.

In Chapter two, we focus upon the steps to "the cooperation of the moral education between preschool and the ele-mentary school". We look in detail at the moral education in childhood from the viewpoint of the "Course of study for Kindergarten". Our primary focus is the beginning of morality and beginning of the consciousness for the norm.

In the third chapter, we discuss the "lessons for teaching the special subject of moral education". In doing so we ana-lyze the picture book "A Wolf On The Log Bridge". In addition, on July 11th 2015, we organized a workshop to discuss the topic of teaching moral education as an official subject. At the workshop, supervisor Yoshiki Nakasha presented a model lesson for moral education.

キ ー ワ ー ド: 道 徳 の教 科 化 、 「特 別 の教 科   道 徳 」、 幼 小 連 携 、 戦 後 道 徳 教 育 の 展 開 、 「は しの うえ の お お か み」

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は じめ に   2014年4月 か ら2016年3月 の2年 間 に実 施 され た 本学 国 際 教 育研 究 セ ンタ ー主 催 の研 究課 題 は、 「道 徳 の教 科 化 に 向 け た幼 ・小 の連 携 強 化 へ の 具 体 的提 言、 お よ び小学 校 で の 道 徳 の 時 間 の 実 践 例 の 紹 介 」 で あ った。 企 画者 は、 神 戸親 和女 子 大 学 発達 教 育 学部 児 童 教 育学 科 の戸 江茂 博 、 隈元 泰 弘 、 広 岡義 之 お よび京 都 府 南丹 教 育 局 指 導 主事 の 中 舎 良 希 の 計4名 で あ る。   研究 目的 は以下 の 通 りで あ る。 道徳 の 「特 別 の 教 科 」 化 が 目前 に迫 って きた が 、 教 育 現場 で はそ の こ とが い まだ十 分 に実感 され て い な い と い う。 しか も幼 ・小 の連 携 強 化 の 必要 性 が 以 前 か ら指 摘 され る中 で 、 有効 な 具 体 的 手 立 て が 見 出 され て い な い の が実 状 で あ る。 そ こで 本 研 究 で は、 そ う し た 現状 を踏 まえ て 、 まず理 論 的 考 察 と して 、学 習 指 導要 領 の 今 回 の 改正 に至 る戦 後 道徳 教 育 の 展 開 の 内実 を解 明 す る。 そ の うえ で 、 道徳 教 育 にお け る幼小 連携 へ の歩 み につ いて論 考 を 進 め る。 こ う した 文 献 研 究 を前 提 と した うえ で 、 次 の 段 階 の 具 体 的考 察 と して、 小学 校低 学年 の 道徳 の読 み 物 資 料 に、 じつ は幼稚 園等 の紙 芝 居 や絵 本 の読 み 聞 か せ と多 く共 通 項 が あ る こ とを 指 摘 しつ つ、 さ らに 幼 稚 園 教諭 と小学 校教 諭 の 連 携 強 化 の た め の 教 育 研 究 的 話題 が 「道 徳教 育」 に あ る こ とを提 言 して い きた い。 また道 徳 の 教科 化 を 受 けて 、小 学 校 全 般 で先 進 的 な 道徳 の授 業実 践 を 試行 して い る中 舎 良 希 の 模範 授 業 も紹 介 す る。   こ こで 本 稿 の構 成 につ いて 触 れ て お きた い。 第 1章 で は 隈 元 泰 弘 が 、 「学 習 指 導 要 領 の 今 回 の 改 正 に至 る戦後 の道 徳教 育 の展 開」 につ いて論 じる。 第1節 「『道 徳 の 時 間 』 特 設 へ の 経 緯 」、 第2節 「『道徳 の 時 間 』 か ら 「特別 の 教 科  道 徳 』 へ」 が そ の 詳 細 で あ る。 第2章 で は 戸 江 茂 博 が 、 「道 徳 教 育 に お け る幼 小 連携 へ の歩 み」 につ いて論 ず る。 第1節 「幼 稚 園教 育要 領等 にお け る幼 児 期 の 道 徳 教 育 」、 第2節 「幼 児 期 か ら児 童 期 へ の 道 徳 教 育 の受 け渡 し」 が そ の詳 細 で あ る。 第3章 で は広 岡 義 之 が 、 「「特 別 の 教科  道 徳 』 の 授 業 展 開 」 につ いて 論 ず る。 第1節 「『子 ど もの徳 育 の 充 実 に 向 けた在 り方 につ いて 』(平 成21年)の 分析 」、 第2 節 「授 業 展 開 の具 体案 一 「は しの うえ の お おか み 』 の ポ テ ン シ ャ リ テ ィ ー 」、 第3節 「『道 徳 の 教 科 化 に 向 け た 道 徳 の 時 間 の 充 実 し た 授 業 に つ い て 』 の 一 考 察 」 が そ の 詳 細 で あ る 。 「終 わ り に 一 今 後 の 展 望 と課 題 一 」 で は 広 岡 が 本 稿 の 総 括 を して 締 め く く る 。 第1章 学 習 指 導 要 領 の 今 回 の 改 正 に至 る 戦 後 の   道 徳 教 育 の 展 開 第1節    「道 徳 の 時 間 」 特 設 の 経 緯 (1)「 公 民 科 」 の 構 想   終 戦 の 年(1945年)の12月31日 、 連 合 国 軍 総 司 令 部(GHQ)は 、 「修 身 、 口本 歴 史 及 び地 理 停 止 に関 す る件 」 と題 した 指 令 を発 した。 そ れ は、 修 身 、 口本 歴 史 、 地 理 の 授 業 を廃 止 し、 そ れ らの 教 科書 を 使 用 禁 止 と して 、 そ れ らにか か わ るす べ て の 法 令 、 規 程 、 訓 令 を 無 効 とす る もの で あ っ た。 翌 年 、 地 理 ・日本 歴 史 の 再 開 はGHQに よ って 許 可 され たが、 以 降 も修 身 が許 可 され る ことはな か っ た。   文 部 省(当 時 、 以 下 同)は 道 徳 教 育 の 新 しい あ り方 を 確 立 す る た め に、 す で に1945(昭 和20) 年11月 、 独 自 に公 民 教 育 刷 新 委 員 会 を 設 置 した。 修 身 教 育 に代 わ って 道 徳 教 育 を 担 うの は 「公 民 教 育」 で あ る と考 え られ 、 同 委 員 会 に よ って 「公 民 科」 の 設 置 が 提 案 され た。 文 部 省 は当 該 提 案 に立 脚 して 「公 民 科 」 の 構 想 に取 り組 ん だ 。 そ こで は まず 、 修 身 科 へ の 反 省 と して 、 画 一 主 義 、 自発 性 涵 養 へ の 無 配 慮 、 指 導 の 表 面 性(徳 目の 暗 記 へ の 過度 の傾 斜 等)や 実生 活 との遊 離 等 が 挙 げ られ た。 そ こか ら、 教 育 の 指 針 と して 、 次 の よ うな 点 が 強 調 され た。 す な わ ち、 自発 性 の 発 達 を 促 す 教 育 、 日常 生 活 の 指 導 、 個 性 を 伸 長 す る教 育 、 子 ど もの 発 達 段 階 に対 応 した指 導 等 で あ る。   しか し、 ア メ リカ に よ って 提 示 され たの は 「社 会科 」 の 設 置 で あ った 。 そ の た め、 日本 が 戦 後 独 自 に取 り組 ん で き た道 徳 教 育 改 革 と して の 「公 民 科」 が 実 現 され る こ と はな か っ たが 、 そ の 目的 と 内 容 は社 会 科 に受 け継 が れ る こ と とな っ た。 (2)「 社 会 科 」 の 新 設 と全面 主 義 道 徳 教 育  戦 後 の 教 育 体 制 の 民 主 化 並 び にそ の ため の 教 育 改革 に と って 最 も重 要 な意 義 を 持 った の は 「日本

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国 憲法 」 で あ り、 そ れ に基 づ いて制 定 され た 「教 育 基 本 法」 で あ る。 教 育基 本 法 は、教 育 の 目的 が 人 格 の完 成 で あ る こ と(第1条)、 教 育 の機 会 均 等 が保 障 され ね ば な らな い こ と(第2条)等 、 教 育 の基 本 原 則 を 定 め た 。   教育 基本 法 の理 念 を 具現 し、 新 教 育 制度 の骨 格 と な った の が 、 「学 校 教 育 法 」 で あ り、1947(昭 和22)年3.月 に制 定 され、 同年4月 に施 行 され た。 同年5月 公 布 の 「学 校 教 育 法 施 行 規則 」 に よ り、 教 育課 程 の 基準 は学 習 指 導要 領 によ る こ とが 示 さ れ た た め、 す で に同年3月20日 に公 表 され て いた 「学 習 指 導 要 領 一 般 編 、 試 案 」 が 新 課 程 の基 準 と して位 置 づ け られ る こ と とな った。 従 来 の 修 身 、 国 史、 地理 は廃止 され 、社 会 、 家 庭、 自由 研 究 が 新 た な 科 目 と して 設定 され た。 新科 目の中 で は、 既 述 の よ うに、構 想 され なが ら実 現 され ず に終 わ っ た 「公 民科 」 を 引 き継 ぐもの と して の 「社 会科 」 が特 に重要 で あ った。 社 会 科 は、 社 会 につ いて の 知 識 を 身 につ け、 社会 を理 解 し、 社会 へ の 適 応 、 良 好 な 人 間 関 係 の 形成 、社 会 の 進歩 へ の貢 献 等 に 必 要 な 能 力 を 培 う こ とを 目標 と した。 この よ うな 意 味 で 、社 会科 は他 の 諸科 目 と並 ぶ一 科 目で あ る と同 時 に、 道 徳教 育 の 核心 を な す もの と して位 置 づ け られ た の で あ る。   1950(昭 和25)年8月 、 第2次 ア メ リカ教 育 使 節 団 が 来 日 し、 日本 の 戦後 教 育 改革 に関 す る提 言 と して の報 告書 を 提 出 した 。 そ の 中 の 「道 徳 的 精 神 的 教 育 」 と題 され た文 書 で は、 「道 徳 を実 践 に よ って 身 につ け る」 と い う観点 か ら 「道徳 教 育 が 単 に社 会科 か らの み来 る と考 え るの は全 く無意 味 で あ る。道 徳 教育 は全 教 育課 程 を 通 じて 強 調 され ね ば な らな い 」 と主 張 さ れ、 「民 主 的訓 練 」 の 重 要 性 が 指 摘 され た。   こ う した 経 緯 か ら、 戦後 日本 の 道徳 教 育 は、 社 会 科 に積極 的 な意 味 を 認 め つ つ も、 学 校教 育 の 全 体 を通 して 行 う こ とを 基 本 方 針 と して 、全 面主 義 の 立場 で 出 発 す る こ と とな っ た。 (3)「 道 徳 」 の 時 間 の 特 設   1952(昭 和27)年 、 平 和 条 約 の 発 効 に よ っ て 日 本 は 独 立 国 の 地 位 を 回 復 した 。 そ れ に と も な い 、 教 育 の 充 実 ・改 善 を 自 主 的 に 行 お う と す る 機 運 が 高 ま っ た。 特 に戦 後 の 道 徳 教 育 に関 す る議 論 が 活 発 とな った 。 道 徳 教 育 の 徹 底 と い う こ とが 強 調 さ れ 、 そ れ まで の 全面 主 義 道 徳 教 育 は、 社 会 科 の 存 在 を 考 慮 して もな お 、 特 に道 徳 性 の 内面 的 自覚 と い う点 にお いて 不 十 分 で あ る と考 え られ た。 そ こ で 、1957(昭 和32)年 、 教 育 課 程 審 議 会 は、 「道 徳」 の 時 間 を設 置 し、 全 面 主 義 道 徳 教 育 は前 提 と しつ つ も、 「道 徳 」 の 時 間 に も独 自の 役 割 を 求 め る こ とを決 定 し、 翌1958(昭 和33)年3月15日 、 最終 答 申 を提 出 した。文 部 省 はた だ ち に3月18日 、 す で に教 材 等 調 査 研 究 会 道 徳 小 委 員 会 で 作 成 を 完 了 して いた 実 施 要 綱 並 び に教 師 用 指 導 書 を 発 表 し た。 小中 学 校 で 「道 徳 」 の 時 間 を週1時 間 行 うこ と と し、 同 年4月 の 新 学 期 か ら実 施 され る こ と と な った 。   教 育課 程 の 編 成 は、 学 校 教 育 法 施 行 規 則 に よ っ て 規 定 さ れ る。 「道 徳 」 と い う全 く新 しい領 域 を 立 て る に あ た って は、 当 然 それ に先 行 して 同 規 則 が 変 更 され ね ば な らな い。 しか し、 同 規 則 の 改 訂 が 発 表 され たの は、 同 年 の8月28日 で あ っ た(1)。 新 施 行 規 則 にお いて は、 同 規 則 は9月1日 か ら施 行 す る こ と と定 め られ て い るが 、 実 際 に は、 上 記 の よ うな事 情 で あ った 。 ま た、 同 規 則 に基 づ いて 新課 程 の 在 り方 を 規 定 した 新 学 習 指 導要 領 が 公 式 に発 表 され たの は10月1口 の こ とで あ っ た。 こ の 改訂 に よ って 、 教 育 課 程 は従 来 の 教 科 ・教 科 外 活 動 の 二 領 域 か ら、 各 教 科 ・道 徳 ・特 別 教 育 活 動 ・ 学 校 行 事 等 の 四 領 域 に細 分 化 され た。   以 来 、 今 日 に至 る まで 、 日本 の 道 徳 教 育 は、 全 面主 義 を 基 本 と しつ つ 、 道 徳 の 時 間 に も独 自の 役 割 を認 め る とい う方 針 で継 続 され て き たの で あ る。 第2節 「道 徳 の 時 間 」か ら 「特 別 の 教 科 道 徳 」へ (1)道 徳 教 育 論 争 の 転 換 点   道 徳 教 育 をめ ぐる近 年 の 動 向 と して 注 目す べ き こ と は、 「心 の教 育 」 とい う考 え方 が 前 面 に 出 て き た こ とで あ る。   既 述 の よ う に、 道 徳 教 育 は終 戦 後 も論 争 の 的 で あ った。 「道 徳 」 の時 間 の特 設 に あ って は、 賛 否 両論 渦 巻 き、 道 徳 特 設 の 以 降 にお いて も、 その 是 非 、 内 容 、 運 用 の 方 途 等 を め ぐって 議 論 の 絶 え る こ とが なか っ た。

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  と り わ け 、 道 徳 の 時 間 は 特 定 の 価 値 観 や 徳 目 の 注 入 の 場 と な っ て い る 、 と い う 批 判 が 繰 り 返 し提 出 さ れ て き た 。 ま た 逆 に、 道 徳 の 時 間 は、 道 徳 に つ い て 直 接 教 え る場 が 必 要 だ と い う観 点 か ら擁 護 さ れ て も き た 。 しか し、 そ の 論 争 は、 道 徳 教 育 に つ い て の 考 え 方 ・思 想 、 あ る い は 道 徳 教 育 そ の も の の 意 義 や 役 割 等 を 問 題 と す る こ と が 多 か っ た 。 す な わ ち 、 具 体 的 に道 徳 の 時 間 に ど う 教 え る か 、 学 校 教 育 全 体 に お け る道 徳 教 育 の 実 現 の た め に は 、 学 校 運 営 は ど う あ る べ き か 、 と い っ た 現 実 的 な 問 題 と は 離 れ た 思 想 的 論 争 と な る ケ ー ス が 多 か っ た の で あ る。   こ の よ うな 流 れ を 変 え る き っ か け と な っ た の は 、 少 年 犯 罪 の 驚 くべ き 残 虐 化 で あ っ た よ う に 思 わ れ る 。 そ れ を 象 徴 す る も の と な っ た 事 件 が 、1997 (平 成9)年5月 の 神 戸 市 の 小 学6年 生 殺 害 事 件 で あ っ た 。 頭 部 と 胴 体 が 切 断 さ れ 、 頭 部 の み が 中 学 校 正 門 の 門 扉 の 前 に 警 察 へ の 挑 戦 状 と と も に 置 か れ た 。 某 新 聞 社 に届 け られ た 犯 人 の 声 明 文 に は 、 「人 の 痛 み の み が 、 ボ ク の 痛 み を 和 ら げ る 事 が で き る 」 と さ れ 、 「透 明 な 存 在 で あ る ボ ク を 造 り 出 した 義 務 教 育 と、 義 務 教 育 を 生 み 出 した 社 会 へ の 復 讐 も 忘 れ て は い な い 」 と 記 述 さ れ て い た 。 こ の 犯 人 が 近 隣 の中 学 校3年 生 で あ る こ と が 判 明 した 時 、 世 間 は 驚 愕 した 。14歳 の 少 年 に ど う して こ の よ う な 残 虐 な 行 為 が で き た の か 、 信 じ られ な か っ た の で あ る 。   少 年 の 凶 悪 犯 罪 の 数 自体 が 圧 倒 的 に 増 え た と い う わ け で は な い 。 しか し、 は っ き り言 え る こ と は 、 大 人 に は 「信 じ られ な い 」 よ う な 少 年 犯 罪 が 続 発 した と い う こ と で あ る 。 事 件 の 突 発 性 、 安 直 さ 、 被 害 者 と の 関 係 の 希 薄 さ 等 、 い ず れ を み て も、     少 な く と も人 人 の 目 に は     そ の 犯 罪 の 深 刻 さ と は結 び つ か な か っ た 。   少 年 達 の 世 界 に 何 か 重 大 な 危 機 が 訪 れ て い る よ う に思 わ れ た 。 当 然 の よ う に 、 学 校 に お け る 道 徳 教 育 が 問 題 と さ れ た が 、 こ の と き は思 想 的 論 争 に は な らな か っ た 。 た だ 、 具 体 的 に何 が で き る か が 緊 急 の 問 題 と さ れ た の で あ る。 (2)道 徳教 育 へ の新 たな提 言 と新 たな教材 の開発 この よ うな 事件 とそ こか ら生 じた 問 題意 識 とを 契 機 と して 、1997(平 成9)年8月 、 文 部 大 臣 小 杉 隆 は 、中 央 教 育 審 議 会 に 「幼 児 期 か らの 心 の 教 育 の 在 り 方 に つ い て 」 と い う 諮 問 を 行 っ た 。 中 央 教 育 審 議 会 は 翌 年6月 、 「新 し い 時 代 を 拓 く 心 を 育 て る た め に    次 世 代 を 育 て る 心 を 失 う 危 機     」 と題 す る 答 申 を 提 出 し た 。 そ こ で は 、 心 の 教 育 に 関 して 家 庭 、 地 域 社 会 と と も に 学 校 が 取 り上 げ られ 、 「心 を 育 て る 場 と して 学 校 を 見 直 そ う 」 と 題 す る 章 が 立 て られ て 、 そ の 一 節 に 「小 学 校 以 降 の 学 校 教 育 の 役 割 を 見 直 そ う」 と す る 節 が 設 け られ た 。 そ して 、 当 該 節 に お い て 「我 が 国 の 文 化 と 伝 統 の 価 値 に つ い て 理 解 を 深 め 、 未 来 を 拓 く心 を 育 て よ う」 「道 徳 教 育 を 見 直 し、 よ り 良 い も の に して い こ う    道 徳 の 時 間 を 有 効 に 生 か そ う」 「カ ウ ン セ リ ン グ を 充 実 し よ う 」 と い っ た 提 言 が 行 わ れ た 。   特 に 「道 徳 の 時 間 を 有 効 に 生 か そ う」 と い う 目 的 の た め に 、 文 部 科 学 省 は2001(平 成13)年 度 末 に 「心 の ノ ー ト」 を 全 小 中 学 生 に 配 っ た 。 同 ノ ー トは 「小 学 校1・2年 」 「小 学 校3・4年 」 「小 学 校5・6年 」 「中 学 校 」 の 四 種 類 で あ る。 「心 の ノ ー ト」 は 文 部 科 学 省 に よ れ ば 、 「道 徳 教 育 の 充 実 に 資 す る 補 助 教 材 」 と い う 位 置 づ け で あ っ た 。   「心 の ノ ー ト」 は 、 育 も う と す る 道 徳 的 価 値 の 内 容 を わ か りや す く示 し、 児 童 生 徒 が 道 徳 的 価 値 に つ い て 自 ら考 え る 機 会 を 与 え よ う と す る 。 道 徳 の 時 間 だ け で な く、 学 校 教 育 の 全 体 に お い て 活 用 さ れ る と と も に 、 家 庭 と 連 携 して 児 童 生 徒 の 道 徳 性 の 育 成 に 資 す る こ と が 目 指 さ れ て い た 。   「心 の ノ ー ト」 は 、1.メ ッ セ ー ジか ら学 ぶ 、 2.自 己 を 見 つ め る 、3.行 動 して 考 え る 、 と い う 段 階 的 構 成 に な っ て い る 。 ま ず 道 徳 的 価 値(学 習 指 導 要 領 に 掲 げ られ た 徳 目)を 明 確 に 伝 え 、 そ こ か ら児 童 生 徒 が 自 ら考 え 、 行 動 に 移 す こ と で 、 そ の 内 面 化 を 図 ろ う と した 、 と 解 釈 で き る で あ ろ う。 (3)「 特 別 の 教 科   道 徳 」 へ の 変 更   既 述 の よ う に 、 「道 徳 の 時 間 」 が 特 設 さ れ た の は1958(昭 和33)年 で あ り、 以 来60年 近 い 歳 月 が 流 れ た 。 学 習 指 導 要 領 改 訂 の 度 に 新 た な 提 案 が 盛 り込 ま れ 、 前 回 の 改 訂(2008(平 成20)年3月 告

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示)で は、 「道 徳 の 時 間 」 は、 学 校 教 育 全 体 にお け る道 徳教 育 の 「要 」 と して新 た に位 置 づ け られ た。 しか し、学 校 教 育 の現 状 は必 ず しも改 善 に向 か った と は言 え な い。 い じめ は相 変 わ らず大 きな 課 題 であ り、学級 崩壊、小1プ ロブ レム、中1ギ ャ ッ プ 等、 む しろ学 校 現場 は さ らに混 迷 の 度 を 深 め て い る と さえ 言 え る。   特 に大 きな 問題 と考 え られ たの は、 そ の よ うな 状 況 で あ る に もか か わ らず 、 「道 徳 の 時 間 」 が 必 ず しも効 果 的 に は活用 さ れて いな い ことで あ った。 相 変 わ らず 教科 に比 して軽 ん じ られ、 ほか の 目的 (運動 会 の 準 備 、 学 活 の補 足 等)に 充 当 さ れ る こ と も少 な くな か った。 ど うす れ ば よ いの か?  そ れ へ の 今 回 の解 答 が、 道徳 の 「時 間」 を 「特 別 の 教 科 」 とす る こ とで あ った 。   教育 再生 実行 委 員 会 の提 言 や2014(平 成26)年 10月 の 中 央 教 育 審 議 会 の答 申 を 踏 ま え て 、 「道 徳 の 時 間 」 を 「特 別 の 教 科   道 徳 」(以 下 で は 「道 徳 科 」 と略 記 す る)と して 新 た に位 置 づ け る学 習 指 導要 領 の 一部 改正 が2015(平 成27)年3月 に行 わ れ た 。 具 体 的 な 改正 点 は、① 道 徳科 に検 定 教 科 書 を導 入 す る。 ② 道 徳 の 内 容 につ い て 、 い じめ の 問題 へ の対 応 を充 実 させ る。③ 問題 解 決 的 な学 習 や 体験 的 な 学 習 な どを 取 り入 れ て 、 指 導方 法 を 工 夫 す る。④ 数 値評 価 は行 わ ず 、 児 童生 徒 の 道 徳 性 に係 る成長 の 様子 を把 握 す る。 の4点 で あ る。   以上 を踏 まえ た うえ で 「考 え 、 議論 す る」 道 徳 科 へ の 転換 によ り、 児 童生 徒 の 道 徳性 を 育 む ため に、2015(平 成27)年 度 か ら、 一部 改 正学 習 指 導 要 領 の 趣 旨を 踏 まえ た 取 り組 み が可 能 とな っ た。 今 後 は、評 価 につ い て 専 門 家 会 議 を 設 定 して 、 専 門 的 に検討 を 進 め る。 小学 校 は2018(平 成30)年 度 、中 学校 は2019(平 成31)年 度 か ら、検 定 教 科 書 を導 入 して 「道 徳科 」 を 実 施 す る こ と にな る。   今 回 の小 学 校学 習 指 導要 領 の 一部 改 正 にお け る 主 た る変 更 点 は以 下 の と お りで あ る。 「第1章 総 則」 に、 学 校教 育全 体 と して の 道徳 教 育 の 目標 に加 え て、 配慮 事 項等 が示 され る。 現 行 の 「第3 章 道 徳」 の う ち、 学 校教 育 全 体 に よ る道 徳 教 育 に関 す る こ と は 「第1章 総 則 」 に盛 り込 み 、 現 行 の 「道徳 の 時 間」 を 「特 別 の 教科   道徳 」 に変 更 して、 そ の 内容 は 「第3章 特 別 の教科 道 徳 」 に 盛 り込 む 。(特 別 の 教 科 で あ る 道 徳 は 、 学 習 指 導 要 領 に お い て 「道 徳 科 」 と 略 記 す る 。)   近 年 に な い 大 幅 な 総 則 の 変 更 と な っ た が 、 本 稿 の コ ン テ ク ス トか らす れ ば 、 次 の 二 点 が 重 要 で あ る。   第 一 に 「自 己 の 生 き 方 を 考 え 、 主 体 的 な 判 断 の 下 に 行 動 し、 自 立 した 人 間 と して 他 者 と 共 に よ り よ く生 き る た め の 基 盤 と な る 道 徳 性 を 養 う こ と を 目 標 と す る 」(第1  教 育 課 程 編 成 の 一 般 方 針 の 2)と 記 述 さ れ た こ と で あ る 。 こ の 文 中 で 、 「自 己 の 生 き 方 」 並 び に 「基 盤 と な る 道 徳 性 を 養 う こ と を 目 標 と す る 」 は 前 学 習 指 導 要 領 に も ほ ぼ 等 し い 記 述 が あ る 。 「主 体 的 な 判 断 の 下 に 行 動 し、 自 立 した 人 間 と して 他 者 と 共 に よ り よ く生 き る 」 が 全 く新 し い 部 分 で あ る 。 主 体 性 を 重 視 しつ つ 自 立 と共 生 と の 調 和 的 実 現 を 狙 お う と す る 意 図 が 読 み 取 れ る 。   第 二 に 「道 徳 教 育 の 指 導 内 容 が 、 児 童 の 日 常 生 活 に 生 か さ れ る よ う に す る こ と 。 そ の 際 、 い じ め の 防 止 や 安 全 の 確 保 等 に も 資 す る こ と と な る よ う に 留 意 す る こ と。」(第4指 導 計 画 の 作 成 等 に あ た っ て 配 慮 す べ き 事 項 の3(3))と 述 べ られ る 。 こ の 第 一 文(「 道 徳 教 育 … … 生 か さ れ る よ う に す る こ と 」)は 、 改 正 前 は 、 「第3章   道 徳 」 の 第3 の4に 置 か れ て い た もの で あ る が 、 こ れ が 総 則 に 移 さ れ 、 そ れ に 全 く新 た な 第 二 文(「 そ の 際 、 い じ め の 防 止 や … … に 留 意 す る こ と 」)が 接 続 さ れ た と こ ろ に 根 本 的 な 変 更 が あ る 。   こ れ ま で は 、 学 習 指 導 要 領 の 中 で 直 接 に い じ め を 論 じ た こ と は な か っ た 。 た だ 、 い じめ 問 題 も包 摂 す る 形 で 「人 間 と して して は な らな い こ と を し な い よ う に す る こ と 」(改 正 前 、 「第1章   総 則 」 第1の2)、 「人 間 と して して は な らな い こ と を し な い こ と 」(改 正 前 、 「第3章   道 徳 」 第3の1 (3))と 言 わ れ る の み で あ っ た 。 しか し、 い じ め は も は や こ の よ う な 抽 象 的 な 禁 止 の 指 示 を は る か に超 え た 次 元 の 問 題 と な っ て い る 。 ま た 、 こ れ ま で や や も す れ ば 、 「道 徳 教 育 の 指 導 内 容 」 は 、 そ の 効 果 を 「児 童 の 日 常 生 活 」 ま で 及 ぼ す こ と は で き な か っ た 。 しか し、 そ れ で は 真 に 有 効 な 指 導 と は言 え な い 。 い わ ば 「日 常 生 活 」 の 隅 々 に ま で 浸 透 して 生 か さ れ て こ そ 、 道 徳 教 育 は 実 の あ る も の

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とな る。 そ こで、 あ くまで 第一 文 は残 しつ つ そ れ に第 二 文 「い じめ の 防 止 や 安 全 の 確保 等 に も資 す る こ と」 が 接 続 され て 今 回 の 改 訂 の 具 体 的 な 狙 い の ひ とつ との 関連 が 明 示 され る こ と とな った 、 と 解 釈 で き る。   「教 育課 程 編成 の一 般方 針」 で 自立 と共 生 との 調 和 を挙 げ 、 「指 導 計 画 の作 成 等 に あ た って配 慮 す べ き事項 」 で 日常 生 活 へ の 波 及 ・浸 透 と い じめ の 防止 を 目指 す こ とを 謳 う こ と によ って、 今 回 の 一 部 改 正 指 導要 領 は、 新た に次のよ うな指針を示 した と言 え よ う。 す な わ ち、 自立 と共 生 と は根 本 的 に一 体 的 な もの で あ って 、 自立 へ の 成長 が 同 時 に他者 と互 い に尊 重 しあ う関 係 の 形 成 を促 し、 ま た相 互 的 な 尊重 の 精神 の 育 成 が 児 童 の 人格 と して の 自立 を 育 む。 この よ うな 自立 と共 生 の一 体 的 発 展 を基 盤 と して、 道徳 教 育 を 日常生 活 へ生 か す こ とを 目指 し、 そ れ に よ って い じめ の 問 題 を 単 にそ の 現象 面 にお い て 解 決 す るの で はな く、子 ど もた ちを い じめ に駆 り立 て る原 因 そ の もの を子 ど もた ちの 内面 と人 間 関 係 との両 面 にお い て 解 消 す る。 改正 学 習 指 導要 領 が道 徳教 育 にお い て 新 た に 目指 す もの は、 ま さ に この よ うな 根 本 理念 とそ の 展 開 で あ る とみ な す こ とが で き よ う。 第2章  道 徳 教育 に お ける 幼 小 連 携 へ の歩 み 第1節   幼 稚 園教 育要 領等 にお け る幼 児 期 の 道 徳   教育   戦 後 の わ が 国 の 教 育 にお い て 、 道徳 教 育 は昭 和 33年 の 「道 徳 の 時 間」 の特 設 に よ って 時代 を 画 す る もの とな った。 戦 後 、学 校 にお け る道徳 教 育 は 社 会科 を中 心 と して学 校 の 教 育 活動 全 体 を 通 じて 行 う こ と と され て い た が、 昭 和33年 の 教 育 課程 の 改訂 にお いて 、義 務 教 育 で あ る小中 学 校 の 教 育 活 動 の1領 域 と して 、特 設 「道 徳 の 時 間 」 が 設 け ら れ、 道 徳教 育 の深 化、 統 合 が 図 られ た の で あ る。   道徳 教 育 推 進 の機 運 は、 幼 児 教 育 に も影 響 を 及 ぼ した 。小 学 校教 育 との連 携 が 求 め られ て い た幼 稚 園教 育 にお い て 、道 徳教 育 を どの よ う に取 り込 む か につ いて 活発 な議 論 が 展 開 され た 。 そ の ひ と つ の表 れ は、 幼稚 園 の 保 育 内 容 と され て い る 「領 域 」 に道徳 教 育 の 視点 を 導 入 しよ う と した こ とで あ る。   昭 和31年 に幼 稚 園 教 育 の ガ イ ドラ イ ンで あ る 「幼 稚 園 教 育要 領 」(小 学 校 の 「学 習 指 導 要 領 」 に 当 た る)が 試 案 と して 作 成 され 、 これ を 改 訂 す る 際 に文 部 省(当 時)に お いて 「教 材 等 調 査委 員 会 、 幼稚 園 教 育 小 委 員 会 」 が 発 足 し(昭 和36年)、 実 務 的 な 改 訂 作 業 が 行 わ れ た が 、 その さ い、 道 徳 教 育 を 領 域 の 中 に含 み 入 れ る様 々 の 考 え 方 が 提 案 さ れ た(2)。昭 和31年 の 「幼 稚 園 教 育 要 領 」 で は、 領 域 は健 康 、 社 会 、 言 語 、 自然 、 音 楽 リズ ム、 絵 画 製 作 の6領 域 で あ った が 、 「健 康 、 道 徳 、 国 語 、 音 楽 、 絵 画 製 作 」 の5領 域 案 、 「健 康 、 社 会 、 言 語 、 自然 、 音 楽 リズ ム、 絵 画 製 作 、 道 徳 」 の7領 域 案 な どが 提 案 され た の で あ る。 これ らは いず れ も採 用 され なか っ たが 、 道 徳 を 幼 稚 園 の 保 育 内 容 に取 り入 れ 、 幼 児 期 にお いて 道 徳 教 育 を 推 進 して い こ うと い う熱 意 が 感 じ られ る もの で あ っ た。   道 徳 は領 域 と して は取 り入 れ られ な か っ たが 、 昭 和38年 の 教 育 課 程 審 議 会 答 申(「 幼 稚 園 教 育 課 程 の 改 善 につ いて 」)に お いて 、 「人 間 尊 重 の 精 神 に基 づ く道 徳 性 の 芽 ば え を 正 し く伸 ば す こ と」 が 強 調 され 、 道 徳 教 育 を 幼 稚 園 保 育 にお いて 展 開 す べ き こ とが 提 案 され た の で あ る。 具 体 的 に は、 昭 和39年 の 改 訂 幼 稚 園 教 育 要 領 の 第3章 「指 導 及 び 指 導 計 画 作 成 の留 意 事 項 」 に、 「道 徳 性 の芽 ば え を つ ちか うに あた って は、 日常 生 活 にお け る基 本 的生 活 習 慣 や 、 望 ま しい対 人 的 な態 度 を 、 幼 児 の 自主 性 を 尊 重 しつ つ 身 につ け させ る と と もに、 教 師 の 是 認 や 否 認 な どを 通 して 、 よ い行 動 、 悪 い行 動 を 区 別 で き る よ う に し、 さ らに、 道 徳 的 心 情 が 内面 的 に深 ま る よ う に配 慮 して 、 積 極 的 にか っ 根 気 強 く指 導 す る よ う にす る こ と。 この 際 、 幼 稚 園 の よ いふ ん い気 を つ くる と と もに、 教 師 の 人 格 や 言動 、 友 達 や 家 庭 、 あ る い は地 域 社 会 の 環 境 が 特 に強 い影 響 を及 ぼ す こ とに留 意 す る こ と。」 と さ れ、 幼 稚 園 生 活 の 全 体 にお いて 道 徳 教 育 が 行 わ れ る こ とが 求 め られ たの で あ る。   昭 和40年 代 か ら50年代 に は、 核 家 族 化 や 都 市 化 の 急 激 な進 行 の も とで 、 人 々の 連 帯 感 の 衰 退 、 家 庭 の 教 育 力 の 低 下 が 際 立 つ よ うに な っ た り、 い じ め や 不 登 校 が 問 題 化 され る よ うに な って き た。 こ の よ うな状 況 の 下 で 、 小 中 学 校 の 義 務 教 育 にお い て は学 習 指 導 要 領 の 改 訂 の た び に、 道 徳 教 育 の 充

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実 方 策 が重 要 な政 策課 題 とな り、 た とえ ば 昭 和52 年 の学 習 指 導要 領 の 改 訂 にお いて は、 道 徳 的 な 心 情 の涵 養 だ けで はな く、道 徳 的 実 践 力 の 育 成 が 求 め られ る よ う にな り、 この よ うな動 向 は就 学前 教 育 に も影響 を 及 ぼ す こ と にな った。   文部 省 で は昭和59年 か ら 「幼 稚 園教 育要 領 に関 す る調 査 研 究 協 力者 会 議」 を 設 け、 幼 稚 園 教 育 要 領 の 改 訂 に向 けて、 これ か らの 幼稚 園 教 育 の 在 り 方 につ いて の 調査 研 究 を 進 め る こ と とな り、平 成 61年 に 「幼 稚 園教 育 の 在 り方 につ い て 」 と して 取 り ま とめ られ た の で あ る。 そ こで は、 幼稚 園 教 育 の基 本 的 な 在 り方 と して、 幼 児 の主 体 的 な 生 活 の 展 開 を中 心 に、遊 び に よ る教 育 と環境 に よ る教 育 が 提言 され る と と も に、幼 稚 園 の 教 育 内容 改善 の 視 点 と して 、 人 との か か わ りを もつ 力 の 育 成 、 自 然 との 触 れ 合 い や 身近 な環 境 との か か わ り合 いを 通 して の学 び、 そ して 基本 的 な生 活 習 慣 や 態 度 の 育 成 を 通 して 、 自己 の 存在 感 や 他者 との共 感 や 思 いや り と い った豊 か な 心情 を 養 う こ と、 自己 展 開 と 自己 抑制 の 調和 の とれ た 自律 性 を は ぐ くむ こ と な どが 求 め られ た の で あ る(3)。   そ して、 道 徳 的心 情 や道 徳 的 実 践 力 の芽 生 え を 培 う幼 児教 育 の視 点 を よ り明 確 にす るた め 、平 成 元 年 改 訂 の 幼 稚 園 教 育要 領 で は、下 表 【表1】 の 右 側 に明 らか な よ う に、幼 稚 園 教 育 の 目標 の一 っ に、 「道 徳 性 の芽 生 え を培 う」 こ とを 位 置 付 けた の で あ る。(下 線 は筆 者 に よ る。)   【表1】 の 右 側 の 平 成 元 年 版 幼 稚 園 教 育 要 領 に お け る幼 稚 園 教 育 の 目標 は、 左 側 の 幼 稚 園 教 育 の 目標 に関 す る法 規 定 を 子 ど もの 育 ちを 軸 に書 き改 め る と 同 時 に、 新 た に設 定 さ れ る予 定 の5領 域 (健康 、 人 間 関 係 、 環 境 、 言 葉 、 表 現)へ の対 応 を想 定 して 作 成 され た もの で あ る。 したが って 、 これ は幼 稚 園 に関 す る法 規 定 の 改 正 で は な いが 、 実 質 的 に は左 側 の 法 規 定 を 改 善 した もの と考 え ら れ る。 そ の 中 に、 初 め て 「道 徳 性 」 が 盛 り込 まれ た の で あ る。  平 成 元 年 版 幼 稚 園 教 育 要 領 にお いて は、 第3章 「指 導 計 画 作 成 上 の 留 意 事 項 」 の2「 特 に留 意 す る事 項 」 の 中 に、 「道 徳 性 の 芽生 え を培 うに 当 た っ て は、 基 本 的 な 生 活 習 慣 の 形 成 を図 る と と も に、 幼 児 が 他 の 幼 児 との か か わ りの 中 で 他 人 の 存 在 に 気付 き相 手 を尊 重 す る気 持 ちで 行 動 で き る よ うに し、 ま た、 自然 や 身 近 な動 植 物 に親 しむ こ とな ど を 通 じて豊 か な心 情 が 育 つ よ う にす る こ と。」 と され 、 幼 児 が 人 や 動 植 物 との 関 わ りを 通 して 道 徳 的心 情 を は ぐ くん で い くこ とが 求 め られ た。  平 成10年 の 幼 稚 園 教 育 要 領 の 改 訂 にお いて は、 幼 児 の道 徳 性 の芽 生 え に関 して は、 「指 導 計 画 作 成上 の 留 意 事 項 」 にお いて で は な く、 領 域 人 間 関 係 の 「内 容 の 取 扱 い」 にお いて 直 接 取 り上 げ られ こ と と な っ た。 いわ ば 、 道 徳 性 の 育 ちが 格 上 げ さ 【表1】 学 校 教 育 法(旧 法)第78条(幼 稚 園教 育 の 目標) 1  健 康 、 安 全 で幸 福 な生 活 の た め に 必要 な 日常 の 習 慣 を養 い、 身体 諸 機 能 の 調 和 的 発 達 を 図 る こ と。 2  園 内 に お い て、 集 団生 活 を 経 験 させ 、 喜 ん で これ に参 加 す る態 度 と協 同 、 自主 及 び 自律 の 精 神 の 芽 生 え を養 う こ と。 3  身辺 の社 会生 活 及 び 事 象 に対 す る正 しい 理 解 と態 度 の芽 生 え を 養 う こ と。 4  言 語 の使 い方 を正 し く導 き、 童話 、 絵 本 等 に 対 す る興 味 を養 う こ と。 5  音 楽、 遊 戯 、 絵 画 そ の他 の方 法 に よ り、 創作 的 表 現 に対 す る興 味 を養 う こ と。 平成元年幼稚園教育要領(幼 稚園教育 の目標) (1)健 康 、安 全 で 幸 福 な 生 活 の た め の 基 本 的 な生 活 習  慣 ・態 度 を 育 て 、 健 全 な 心 身 の 基 礎 を 培 う よ う にす   る こ と。 (2)人 へ の 愛情 や 信 頼 感 を 育 て 、 自立 と協 同 の 態 度 及   び道 徳 性 の 芽 生 え を 培 う よ う にす る こ と。 (3)自 然 な どの 身 近 な 事 象 へ の 興 味 や 関 心 を 育 て 、 そ  れ ら に対 す る豊 か な 心 情 や 思 考 力 の 芽 生 え を 培 う よ   う にす る こ と。 (4)日 常 生 活 の 中 で 言 葉 へ の 興 味 や 関 心 を 育 て 、 喜 ん  で話 した り聞 いた りす る態 度 や 言 葉 に対 す る感 覚 を  養 う よ う にす る こ と。 (5)多 様 な 体 験 を 通 じて 豊 か な 感 性 を 育 て 、 創 造 性 を 豊 か にす る よ う にす る こ と。

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れ た も の と 考 え る こ と が で き る 。 そ こ で は 、 先 に 挙 げ た 平 成 元 年 版 に お け る文 言 を 骨 子 と しな が ら、 次 の 事 項 が 付 加 さ れ た も の に な っ て い る。 「特 に 、 人 に対 す る 信 頼 感 や 思 い や り の 気 持 ち は、 葛 藤 や つ ま づ き も 体 験 し、 そ れ らを 乗 り越 え る こ と に よ り 次 第 に 芽 生 え て く る こ と に 配 慮 す る こ と 。」 幼 児 期 な り の 道 徳 的 実 践 力 を 意 識 した も の と な っ て い る こ と が 見 て 取 れ よ う。   平 成20年 の 幼 稚 園 教 育 要 領(現 行)の 改 訂 に お い て は 、 道 徳 性 の 取 り 上 げ 方 に 関 して は、 平 成10 年 版 幼 稚 園 教 育 要 領 を 踏 襲 し た も の と な っ て い る が 、 広 い 意 味 で の 道 徳 性 の涵 養 に か か わ る 別 の 要 素 が 登 場 して く る。 そ れ は 、 「規 範 意 識 」 で あ る 。   規 範 意 識 は学 校 教 育 法 の 改 正(平 成18年)に お いて 、 幼 稚 園 教 育 の 目標(学 校 教 育 法 第23条)の 中 に新 た に示 され た もの で あ る。 旧学 校 教 育 法 と 改正 学 校 教 育 法 を 比 較 して 示 した 【表2】 を ご覧 い ただ きた い。(下 線 は筆 者 に よ る。)   結 果 と して、 現 行 の幼 稚 園 教 育要 領 にお い て は、 広 義 の 道 徳 性 の涵養 につ いて 、 道 徳 性 の 芽 生 え を 培 う こ と と規 範 意 識 の 芽 生 え を 培 う こ との 二 つ の 側面 が 取 り上 げ られ た こ と に な る。 幼 稚 園 教 育 要 領 にお け る領域 人 間 関係 の 「内 容 の取 扱 い」 に は、 【表3】 の よ うに示 さ れ て い る。(下 線 は筆 者 に よ る。) 【表2】 学 校 教 育 法(旧 法)第78条(幼 稚 園 教 育 の 目標) 1  健 康 、 安 全 で幸 福 な生 活 の た め に 必要 な 日常 の 習 慣 を養 い、 身体 諸 機 能 の 調 和 的 発 達 を 図 る こ と。 2  園 内 に お い て、 集 団生 活 を 経 験 させ 、 喜 ん で これ に参 加 す る態度 と協 同 、 自主 及 び 自律 の 精 神 の 芽 生 え を 養 う こ と。 3  身辺 の社 会生 活 及 び 事 象 に対 す る正 しい 理解 と態 度 の芽 生 え を養 う こ と。 4  言 語 の使 い方 を正 し く導 き、 童話 、 絵 本 等 に 対 す る興 味 を養 う こ と。 5  音 楽、 遊 戯 、 絵 画 そ の 他 の方 法 に よ り、 創 作 的 表 現 に対 す る興 味 を 養 う こ と。 学 校 教 育 法(新 法)第22条(幼 稚 園 教 育 の 目標) 1  健康 、安 全 で 幸 福 な 生 活 の た め に必 要 な基 本 的 な 習慣 を 養 い、 身 体 諸 機 能 の 調 和 的 発 達 を 図 る こ と。 2    集 団生 活 を 通 じて 、 喜 ん で これ に参 加 す る態 度 を 養 う と と も に家 族 や 身 近 な 人 へ の 信 頼 感 を 深 め 、  自主 、 自律 及 び協 同 の 精 神 並 び に規 範 意 識 の 芽 生 え を 養 う こ と。 3  身 近 な 社 会 生 活 、 生 命 及 び 自然 に対 す る興 味 を 養 い、 そ れ ら に対 す る正 しい理 解 と態 度 及 び思 考 力 の 芽生 え を 養 う こ と。 4  日常 の 会話 や 、 絵 本 、 童 話 等 に親 しむ こ とを 通 じ て 、言 葉 の 使 い方 を 正 し く導 くと と も に、 相 手 の 話 を 理 解 しよ う とす る態 度 を 養 う こ と。 5  音 楽 、 身 体 に よ る表 現 、 造 形 等 に親 しむ こ とを 通   じて 、豊 か な 感 性 と表 現 力 の 芽 生 え を 養 う こ と。 【表3】 第2章 ね らい及 び 内容 人 との か か わ りに 関 す る領域 「人 間 関 係」 3  内容 の取 扱 い   (4)道 徳 性 の芽 生 え を 培 うに 当 た って は,基 本 的 な生 活 習慣 の 形 成 を 図 る と と もに,幼 児 が 他 の 幼 児 との か か     わ りの 中 で他 人 の 存在 に気 付 き,相 手 を尊 重 す る気 持 ち を も って 行 動 で き るよ うに し,ま た,自 然 や 身 近 な    動 植 物 に親 しむ こ とな どを 通 して豊 か な心 情 が 育 つ よ うに す る こ と。 特 に,人 に 対 す る信 頼 感 や 思 い や りの    気 持 ち は,葛 藤 や つ ま ず きを も体 験 し,そ れ らを乗 り越 え る こ とに よ り次 第 に 芽 生 え て くる こ と に配 慮 す る     こ と。   (5)集 団 の生 活 を 通 して,幼 児 が 人 との か か わ りを 深 め,規 範 意 識 の 芽 生 え が 培 わ れ る こ とを 考 慮 し,幼 児 が    教 師 との信 頼 関係 に 支 え られ て 自己 を 発揮 す る中 で,互 い に 思 い を 主 張 し,折 り合 い を 付 け る体 験 を し,き     ま りの必 要 性 な どに気 付 き,自 分 の 気 持 ち を 調 整 す る力 が 育 つ よ うに す る こ と。 第2節 幼 児期 か ら児童 期へ の道 徳教育 の受 け渡 し   幼児 期 か ら児童 期 へ の教 育 の 一 貫性 、幼 児 教 育 と小 学 校 教 育 の 接 続 や 連 携 が 模 索 さ れ て い る。 「幼 児 は 、 幼 稚 園 か ら小 学 校 に 移 行 して い く中 で 、 突 然 違 っ た 存 在 に な る わ け で は な い 。 発 達 や 学 び は 連 続 して お り 、 … 小 学 校 の 先 取 り を す る こ と で

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はな く、就 学前 まで の 幼 児 期 にふ さわ しい教 育 を 行 う こ とが 最 も肝 心 な こ とで あ る。 つ ま り、 幼 児 が 遊 び、生 活 が充 実 し、 発 展 す る こ とを援 助 して い く こ とで あ る。」(4)と言 わ れ る よ う に、 子 ど も の 発達 は連 続 して お り、 お お む ね 幼年 期(3歳 ∼ 8歳 く らい)の 子 ど も は、 具 体 的 な体 験 や 活動 を 通 して学 びや気 付 きを得 て い く時期 とされ て い る。 制 度 の 違 い(幼 児 教 育 と小 学 校 教 育)に よ って 子 ど もの 発達 の 姿 が 見誤 れ る こ とが あ って はな らな い。   ま た、 「幼 稚 園 の み な らず、 小 学 校 教 育 で も、 各 教科 にお い て、 教 師 が教 え るだ けで はな く、 自 分 で調 べ るな どの主 体 的 な 学 習 な どを 重視 して い る。 さ らに、総 合 的 な 学 習 の 時 間 で は、体 験 活 動 を 通 し、 自分 達 で課 題 を 見 付 け探 究 して い くこ と を 人切 に して い る。 また、 生 活 科 にお いて は、 他 教 科 な ど との 関連 を積 極 的 に図 り、 生 活科 を 中 心 と した合 科 的 な指 導 も行 わ れ て い る。」(5)と言 わ れ る よ う に、 幼稚 園 と小学 校 との 教 育 方 法 上 の 共 通 点 につ いて も理 解 す る こ とが 人 切 で あ る。   と りわ け、 小学 校 の 生活 科 は、 幼 児 教 育 との 連 続 性 を 前提 と して 設 け られ た科 目で あ る。   小学 校 の 他 の科 目の 内容 に は登場 す る こ とが な い 「遊 び」 が 、教 育 内 容 の 一 環 と して 位 置 付 け ら れ て い る。 幼 児教 育 は 「遊 び を 通 して の総 合 的 な 指 導」 を 原 則 とす るが 、総 合 的 な 指 導 は生 活科 の 指 導方 法 の 基 礎 で も あ る。 そ れ ゆ え、 「特 に、低 学 年 に お い て は生 活 科 を 中心 と して 、具 体 的 な体 験 を重 視 した 活動 が行 わ れ る。そ の こ と に よ り、幼 稚 園 か ら小学 校 へ の総 合 的 な 指 導 の 流 れ が一 貫 した もの とな る。」(6)ので あ る。   小学 校道 徳 の 時 間 も、 と くに低学 年 にお いて 、 幼 児教 育 との 連続 性 に配慮 す る こ とが 求 め られ て い る。 小 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 「道 徳 編 」 の第1 章 総 説 第1節 道徳 教 育 改訂 の要 点2道 徳教 育 改 訂 の 趣 旨(3)改 善 の 具 体 的 事 項 の一 つ に は、 次 の よ うに述 べ られ て い る。 「小 学 校 に お け る道 徳 の 時 間 にお いて は、 自己 の生 き方 及 び そ の基 盤 とな る道徳 的価 値観 の 形成 を 図 る指 導 を徹 底 す る観 点 か ら、 低学 年 で は、 幼 児教 育 との接 続 に配 慮 し、 例 え ば 、基 本 的 な生 活 習慣 や善 悪 の判 断、 き ま り を守 るな ど、 日常 生 活 や学 習 の 基 盤 とな る道 徳 性 の 指 導 や 感 性 に 働 き か け る 指 導 を 重 視 す る 。」(下 線 は 筆 者 に よ る 。)   幼 児 期 か ら児 童 期 に か け て の 道 徳 性 の 育 ち を 指 導 す る観 点 に お い て は、 と く に 、 信 頼 関 係 の 育 ち 、 協 同 性 の 育 ち 、 規 範 意 識 の 育 ち に 留 意 す る こ と が 大 切 で あ る 。 道 徳 は 、 何 よ り も、 他 者 と の 関 わ り に お い て よ り よ い 生 き 方 を 求 め る も の で あ り、 そ の 根 底 に は 人 へ の 信 頼 関 係 が あ る 。 信 頼 感 の 醸 成 は 、 自 分 自 身 へ の 自 信 を 生 み 、 自 己 肯 定 感 の 形 成 に も 結 び つ く も の で あ る 。 幼 児 教 育 で は 、 保 育 者 は常 に 傍 ら に い る 存 在 で あ る 。 寄 り 添 い 、 共 に い る 保 育 者 と の 信 頼 関 係 が 他 の 子 ど も と の 信 頼 関 係 に 発 展 し、 信 頼 す る 気 持 ち が 豊 か な 心 を は ぐ くむ 基 盤 と な る 。 教 師 も 、 常 に 子 ど も と 共 に 在 り、 「児 童 と共 に 考 え 、 悩 み 、 感 動 を 共 有 して い く」(7) 「共 」 育 者 と な る こ と が 求 め られ て い る 。   共 に 協 同 す る 体 験 も、 幼 児 期 か ら児 童 期 に か け て の 道 徳 性 の 育 ち に 寄 与 す る 。 「共 に 協 力 し て 目 標 を め ざ す と い う こ と に お い て は 、 幼 児 期 の 教 育 か らみ られ る もの で あ り、 小 学 校 教 育 へ とつ な が っ て い く も の で あ る こ と か ら、 幼 稚 園 生 活 の 中 で 協 同 し て 遊 ぶ 経 験 を 重 ね る こ と も人 切 で あ る 。」(8) も と も と 人 間 は 生 ま れ な が ら共 感 性 の 豊 か な 存 在 で あ る が 、 幼 年 期 に は と く に 共 に 歩 む 仲 間 と の 豊 か な か か わ りの 中 で 自 我 を は ぐ くん で い くの で あ る 。 「幼 児 期 か ら児 童 期 へ の 発 達 は 、 自 我 や 人 間 関 係 の 育 ち が そ の 基 底 に あ る 。 す な わ ち 、 自 己 発 揮 か ら 自 己 抑 制 へ 進 ん で い く。 ま た 、 協 同 性 が 成 立 す る と い う 、 協 同 の 中 で の 抑 制 に 支 え られ な が ら、 対 象 に 即 した 自 己 発 揮 が 可 能 と な っ て い き 、 や が て は 教 科 等 の 学 習 を中 心 と す る 小 学 校 以 降 の 教 育 の 基 盤 を 形 成 す る こ と と な る 。」(9)幼 児 期 の 豊 か な 仲 間 関 係 や 友 達 関 係 が 小 学 校 へ 入 っ て も受 け 渡 し さ れ て い く こ と が 重 要 で あ る 。   規 範 意 識 は 、 こ の よ う な 仲 間 関 係 が 成 熟 して い く中 で は ぐ く ま れ て い く。 規 範 意 識 と は 、 社 会 生 活 に お け る 自 分 あ る い は 他 者 の 行 動 に 関 して 、 何 を な す べ き か 、 何 を す る こ と が 期 待 さ れ て い る か 、 ま た 何 を 為 す べ き で な い か 、 な ど の 判 断 の 基 準 と な る意 識 の こ と を い う。 仲 間 と の 集 団 生 活 の中 で 、 自 らを 主 張 し た り、 自 分 の 思 い が 受 け 入 れ られ な か っ た り 、 あ る い は 、 自 己 主 張 と 自 己 抑 制 を 繰 り

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返 しな が ら、 生 活 の き ま り や ル ー ル を 身 に 付 け て い くの で あ る。 規 範 意 識 の 芽 生 え は 、 こ の よ う に 、 自 分 の 気 持 ち を 調 整 した り 、 折 り 合 い を つ け る 体 験 を 通 して は ぐ く ま れ て い くの で あ る 。   幼 児 期 に お い て は、 道 徳 的 心 情 や 規 範 意 識 は 保 育 者 と の 関 係 、 仲 間 と の 関 わ り を 通 して 培 わ れ て い く。 先 生 や 仲 間 と の 豊 か な 人 間 関 係 を 小 学 校 教 育 へ 受 け渡 して い く こ と が 望 ま れ る。 第3章 「特 別 の教 科 道 徳 」 の 授業 展 開 第1節 「子 ど もの 徳 育 の充 実 に向 けた 在 り方 につ   い て 」(平 成21年)の 分析   同報 告書 の 「3.子 ど もの 発 達 段 階 ご との 特 徴 と重 視 す べ き課 題 」 で は次 の よ うな 見 解 が 示 され て い る。 「子 ど も同 士 で 遊 ぶ こ と な どを 通 じ、 豊 か な想 像 力 を は ぐ くむ と と も に、 自 らと違 う他 者 の 存在 や視 点 に気 づ き、相 手 の 気 持 ち にな って 考 え た り、 時 に は葛 藤 を お ぼ え た りす る中 で 、 自分 の 感情 や意 志 を表 現 しな が ら、 協 同 的 な学 びを 通 じ、十 分 な 自己 の 発揮 と他 者 の 受 容 を 経験 して い く。 こ う した体 験 を 通 じ、 道 徳 性 や社 会性 の基 盤 が は ぐ くまれ て い く。」   「体 験」 を 通 して 「道徳 性 や 社 会性 の基 盤」 を 養 う道 徳教 育 の必 要 性 は、 以下 の よ うな社 会 的 問 題 を背 景 と して生 じて きた と推 測 され る。 す な わ ち、 「例 え ば、 少 子 化 や都 市 化 の影 響 か ら、 家 庭 や 地域 にお いて、 了 ど もが 人 や 自然 と直接 に触 れ あ う経 験 が 少 な くな った り、 この 時 期 の子 ど も に ふ さわ しい生 活 の リズ ムが 獲 得 され に くい こ とな どが あ げ られ る。 さ らに は、 家 族 や地 域社 会 の 在 り方 が 変化 す る中 で、 不安 や悩 み を抱 え る保護 者 が 増 加 して い る こ と、 ま た、  保 護 者 の 養 育 力 の 低 下 や児 童 虐 待 の増 加 な ど も指 摘 さ れ て い る」。 そ して 続 けて 「これ らを踏 まえ て 、乳 幼 児 期 にお け る子 ど もの 発達 にお い て 、重 視 す べ き課 題 と し て は、 以 下 が あ げ られ る。」 と した うえ で 、 ① 愛 着 の形 成  ② 人 に対 す る基 本 的 信 頼感 の獲 得  ③ 基 本 的 な生 活 習慣 の形 成   ④ 十 分 な 自己 の 発揮 と 他 者 の 受容 によ る 自己 肯定 感 の 獲 得   ⑤道 徳 性 や 社 会性 の芽 生 え とな る遊 びな どを 通 じた子 ど も同 士 の体 験活 動 の充 実 の5つ が 提 示 され て い る。   私 見 に よれ ば、 ① か ら⑤ に共 通 す る教 育 的課 題 は 「家 庭 教 育 の 充 実 」 と い う言 葉 で 集 約 で き る の で はな いだ ろ うか 。 ① の 愛 着 の 形 成 と は、 ま さ し く母 子 間 に構 築 さ れ るべ き 「包 括 的信 頼 」(ボ ル ノ ー)と 直 結 して い る。 特 に乳 幼 児 期 の 養 育 者 と の心 身 と もな る コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンな しに は、 ② の 人 に対 す る基 本 的 信 頼 感 を獲 得 す る こ と は困 難 にな るか らで あ る。 ③ の 基 本 的 な生 活 習 慣 の 形 成 に して も、 基 盤 と な るの は家 庭 教 育 の 充 実 と不 可 分 の 関 係 に あ る。 養 育 者 を 模 倣 す る中 で 、 子 ど も の基 本 的 な 生 活 習 慣 が 形 成 され る こ と は明 白 な こ とで あ る。 ④ の 十 分 な 自己 の 発 揮 と他 者 の 受 容 に よ る 自 己肯 定 感 の 獲 得 も ま た、 温 か い家 庭 の 雰 囲 気 の もとで 育 まれ て い く もの で あ るの で 「家 庭 教 育 の 充 実 」 と深 く関 連 して い る。 以 上 ① か ら④ ま で は主 と して 「家 庭 教 育 の 充 実 」 と い う観 点 か ら 説 明 可 能 で あ るが 、 ⑤ の 道 徳 性 や 社 会 性 の 芽 生 え と な る遊 び な どを 通 じた子 ど も同 十 の 体 験 活 動 の 充 実 につ いて は、 家 庭 教 育 の 観 点 か らよ りも、 む しろ幼 稚 園 等 や 小 学 校 教 育 の 中 で 、 子 ど もた ちが 身 につ けや す い性 質 の もの で は な いだ ろ うか 。 そ こで 、 本 稿 で は、 この う ちの5番 目の 「道 徳 性 や 社 会 性 の 芽 生 え と な る遊 び な ど を通 じた子 ど も同 士 の 体 験 活 動 の 充 実 」 に焦 点 を 絞 って 、 幼 稚 園 等 と小 学 校 の 両 方 で 実 践 可 能 な道 徳 教 育 の 具 体 例 を 以下 で 紹 介 して み た い。 幼 稚 園 等 と小 学 校 の 両 方 で 実 践 可 能 な道 徳 教 育 の 具 体 例 と して の 「は しの うえ のお おか み」を選 ん で以 下 で その可能 性 を探 っ て み た い。 第2節   授 業 展 開 の 具 体 案   一 「は しの うえ の お   お か み 」 の ポ テ ン シ ャ リテ ィー  一 般 に小 学 校 低 学 年 の 読 み 物 資 料 は、 児 童 の 発 達 段 階 に合 わ せ て 登 場 人 物 が ご く限 られ て お り、 ま た ス トー リー展 開 も単 純 で あ る。 そ の 意 味 で も この 道 徳 の 読 み 物 資 料 は、 幼 稚 園 等 で も絵 本 を 読 み 聞 か せ る こ とを 通 じて 、 十 分 に園 児 た ちの 道 徳 性 を 育 て る こ とが 可 能 な内 容 と な って い る。 実 際 に、 筆 者 は近 年 、大 阪 府 下 の 教 育 委 員 会 主 催 の 幼 稚 園 教 諭 の 道 徳 教 育 に関 す る講 習 会 で 、 この 「は しの うえ の お お か み 」 を 使 用 して 道 徳 の 模 擬 授 業 を お こ な っ た。 そ の と き に複 数 の 現 役 の 幼 稚 園 教 諭 か ら、 「は しの うえ の お お か み」 は小 学 校 の 資

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料 で あ る が 、 幼 稚 園 で も絵 本 等 の 読 み 聞 か せ の 中 で 実 践 可 能 で あ る と の 意 見 を 確 認 で き て い る。 こ う した 筆 者 の 経 験 か ら も 「は しの うえ の お お か み 」 が 、 幼 稚 園 等 と小 学 校 の 両 方 で 実 践 可 能 な 道 徳 の 読 み 物 資 料 と な り 得 る と判 断 した の で あ る 。   こ の 読 み 物 資 料 は、 絵 本 の よ う に読 み 聞 か せ る 形 で も 十 分 、 園 児 た ち に も 理 解 で き る が 、 さ ら に 加 え て 「ロ ー ル プ レ イ 」 等 の 役 割 演 技 を 導 入 す る こ と で 、 ス トー リ ー や 主 人 公 の お お か み の 心 情 を 一 人 ひ と り の 子 ど も が、 よ り 深 く把 握 す る こ と が 可 能 と な る 。 実 際 、 文 部 科 学 省 は 『小 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 道 徳 編 』(平 成20年8月)88頁 に お い て 、 「道 徳 の 時 間 に 活 か す 指 導 方 法 の 創 意 工 夫 」 の[5]に お い て も 、 「児 童 に 特 定 の 役 割 を 与 え て 即 興 的 に 演 技 す る工 夫 、 動 き や せ り ふ の 真 似 を して 理 解 を 深 め る工 夫 …(中 略)… な ど が よ く試 み ら れ る」 と 指 摘 して い る 。   さ て こ こ で 初 め に物 語 資 料 「は しの う え の お お か み 」 の ス トー リ ー を 要 約 して お こ う 。   一 匹 の う さ ぎ が 、 橋 を 渡 ろ う と して 橋 の 真 ん 中 へ や っ て き た 。 そ の と き 同 時 に 、 橋 の 反 対 側 か ら お お か み が や っ て き た 。 橋 は 狭 くて す れ 違 う こ と は で き な い 。 お お か み が 「も ど れ 、 も ど れ 。」 と 言 っ て う さ ぎ を 睨 み つ け た の で 、 う さ ぎ は 橋 の 端 ま で 戻 ら ざ る を 得 な くな っ た 。 お お か み は こ の い じわ る が お も し ろ くな り、 そ の 後 も 自 分 よ り小 さ くて 弱 い き つ ね や た ぬ き が 橋 を 渡 ろ う と す る と き に も 同 じ よ う に、 「も ど れ 、 も ど れ 。」 と、 自 分 が 橋 を 先 に 渡 り き る た め に 、 後 ろへ 追 い 返 して しま っ た 。 こ の 箇 所 が 物 語 の 「起 」 で あ る。   と こ ろ が あ る 日 、 お お か み は 橋 の 真 ん中 で 自 分 よ り も強 くて 大 き な くま と鉢 合 わ せ して しま っ た 。 す る と 、 お お か み は あ わ て て 、 お じ ぎ を して お お か み 自身 が 「う し ろ へ も ど り ま す 。 お さ き に わ た っ て く だ さ い 。」 と す ご す ご と 詫 び る で は な い か 。 す る と 、 そ れ を 聞 い た く ま は 「そ れ に は お よ ぼ な い よ 。」 と 返 答 し て 、 お お か み を ひ ょ い と抱 き 上 げ て 自 分 の 後 ろ に そ っ と抱 き か か え な が ら下 ろ し て 、 お 互 い が 橋 を 渡 り き る こ と が で き た 。 そ の と き お お か み は 、 く ま は 「な ん て 優 し い の だ ろ う 。」 と 感 じ入 る 。 こ の 箇 所 が 物 語 の 「転 」 で あ る。 元 来 「承 」 は 主 人 公 が 道 徳 的 葛 藤 の た め に悩 み 苦 し む 場 面 と な る が 、 こ の 資 料 で は お お か み が い じわ る を して 道 徳 的 葛 藤 で 悩 み 苦 しむ 場 面 が な い の で 「承 」 は 存 在 しな い 。   そ して 次 の 日 の こ と 、 お お か み は 橋 の 上 で 昨 日 い じわ る を し た う さ ぎ に ふ た た び 出 会 う 。 昨 日 痛 い 目 に あ っ た う さ ぎ は あ わ て て ひ き か え そ う と す る の だ が 、 そ の と き お お か み は や さ し い 声 で 呼 び と め て 、 う さ ぎ を 抱 き 上 げ 、 自 分 が く ま に して も ら っ た よ う に 、 後 ろ に そ っ と 抱 き か か え な が ら下 ろ して 互 い に 橋 を 渡 り き る こ と が で き 、 お お か み は い い 気 持 ち に な っ た 、 と い う 「結 」 で み ご と に 話 が 閉 じ られ て い る 。   「く ま」 に 抱 きか か え られ る経 験 を 初 め て 味 わ っ た お お か み は 、 自 分 の 内 面 に お お らか な 優 し さ が 欠 け て い た こ と に 気 づ き 、 そ こ か らお お か み は 自 らの 心 を 初 め て 善 い 方 向 へ 変 化 さ せ る こ と が で き た の で あ る 。 翌 日 、 お お か み は 同 じ橋 で 、 今 度 は う さ ぎ を だ き あ げ 、 自 分 が く ま に して も ら っ た よ う に 行 動 し た 。 そ の こ と で 主 人 公 の お お か み は 道 徳 的 成 長 を 遂 げ て い く。 「は しの うえ の お お か み 」 指 導 略 案       杉江ゆか り著 導 入 展 開 葉 学習活動 ・一 本 橋 を イ メ ー ジす る ・範読 を聞 く。 ・資料 の 内容 を確認する。 ・意地 悪 を し て いる と き の おおか み の心 情 を考 え る。 ・橋で 出会 っ た くま に'慌 て るお おか み の心情 を 考 える。 ・くまの後 ろ 姿 を見 るお おか み の心 情を考える。 ・感 想を書 く。 発 問 と予 想 され る児 童の 反応 一 本橋 って どんな 橋だ と思 いま すか ・丸 い木でで きている。 ・すれ違 いがで きない ・落 ちれば危ない 主 人 公 はだれ です か ・おお かみ 「『え へん、 え へん 』 このい じわ るが,と て もお も しろ くな りま した 。」 と書 いて い ま す。 おお かみ は,ど ん な ことを 考え て いた ので しょ う。 また,や ってや ろ う。 みん なが 自分 の言 う ことを聞 くか ら面 白 い 森 で,自 分 が一 番 え らいん だ。 偉 そ うにで きるか ら,た の しい。 他 の動 物が こま って い るか ら,面 白 い。 ざま あみ ろ。 他 の動 物 に もや って や ろ う。 くまにあ わて て 「わ た しが も ど ります」 と 言 ったの は,ど ん な気 持ち か らです か。 ・や ば い,く ま だ 。  こ わ い 。 ・し ま っ た ・く ま に は,さ か らわ な い よ う に し よ う 。 ・こ わ い 相 手 に は お と な し く し て お こ う 。 くまの う しろ姿 を み なが らどん な ことを考 えて い ま した か。 くまさんか っこいい。 くまみたいに しないといけない。 これか ら自分 もくまさんみたいにしよう。 自分の ことばか り考えて いたことを反 省 した。 自分 も意地 悪 を しないでや さしくで きるよ う にしてい きたい。 指導上の留意点 ・すれ 違 いが で きな い橋 で あ るこ とを 押 さえて お く ・資料 を範 読す る。 ・主人 公 を確認 し, 今 日は主 人公 の気 持 ちを考 えて い く ことを伝 え る。 ・何が 面 白い のか, ど う して 而 白い の か を問 い返 しの発 問で 深 め る。 ・相手 に よ って態度 をか えて い る こと に きつか せ る。 ・「や さ しい」 「か っ こいい」 とい う反 応 は容易 に 出て く る と思 われるので, 「まえ よ りず っ と い い きもち だ った の は ど う して 。」 と追 発問 す る こと に よ り,や さ し く す る ことに よ って 生 まれ る感情 に気 付か せ たい。 ・授業 で学 ん だ こと を感想 に書 かせ る。 杉 江ゆか り著 「楽 し く豊 か な 「道 徳 の時 間 」 をつ くる』 ミネ ル ヴ ァ書 房   65∼66頁 よ り引 用

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資 料 分 析 表1  資 料 名:は しの う え の お お か み  出展:横 山利 弘を囲む勉 強会での講 演メモよ り,広 岡義之が作成 した。 杉 江ゆか り著 『楽 し く豊 か な 「道 徳 の時 間 」 をつ くる」 ミネ ル ヴ ァ書 房  31頁 よ り引 用 ● 「は しの う え の お お か み 」 の 考 察   一 「助 言 者 の 構 図 」 を 中 心 に 一   こ の ス トー リ ー の 道 徳 的 変 化 の き っ か け に な っ て い る の は や さ しい 「く ま 」 で あ る こ と は 言 う ま で も な い 。 「く ま 」 に 抱 き か か え られ る こ と に よ っ て 初 め て お お か み は、 自 分 の 内 面 に お お らか な 優 し さ が 欠 け て い た こ と に 気 づ き 、 そ こ で 初 め て お お か み は心 を 良 い方 向 へ 道 徳 的 に 変 化 さ せ る 決 心 が で き た 。 実 際 、 お お か み は 「く ま は な ん て や さ しい の だ ろ う」 と 思 っ て い る。 翌 日、 お お か み は 同 じ橋 で う さ ぎ を だ き あ げ 、 自 分 が く ま に して も ら っ た よ う に行 動 す る こ と で 主 人 公 の お お か み は 道 徳 的 成 長 を 遂 げ て い く こ と に な る が 、 こ の よ う に主 人 公 を 良 い 方 向 へ 道 徳 的 変 化 を さ せ る 登 場 人 物 等 を 配 置 す る こ と を 「助 言 者 の 構 図 」 と い う 。   そ れ ゆ え 、 こ の 資 料 を 使 っ て の 道 徳 の 授 業 で は 、 お お か み の 心 に 目覚 め た や さ し い 「思 い や り」 に つ い て 考 え を 深 め さ せ れ ば よ い こ と に な る 。 結 果 と して 、 了 ど も た ち は、 優 れ た 人 と の 出 会 い に よ っ て 生 き 方 が 大 き く変 わ る こ と を 学 び 感 じ る こ と が で き れ ば よ い 。 中 心 発 問 は 、 「橋 の 上 で く ま さ ん に 出 会 っ た お お か み は、 くま さ ん か ら何 を 受 け取 っ た の だ と思 い ま す か?」 と な り 、 ま た そ こ か ら内 容 項 目 は 必 然 的 に2-(2)相 手 の こ と を 思 い や り、 進 ん で 親 切 に す る 「思 い や り」 で あ る 。 本 資 料 の ね ら い は 、 「自分 よ り弱 い 相 手 に い ば る こ と で 、 得 意 に な っ て い た 主 人 公 の お お か み が 、 く ま の 優 し さ に ふ れ 、 相 手 に 親 切 に す る こ と の 気 持 ち よ さ に 目覚 め る姿 を 通 して 、 人 に 大 き な思 い や りを も っ て 接 す る こ と の す ば ら し さ に つ い て 考 え 、 実 行 し よ う と す る 道 徳 的 実 践 意 欲 を 育 て る 」 こ と に あ る(10) 。   以 上 の考 察 か ら、 「は しの うえ の お お か み」 の 読 み 物 資 料 が 幼 稚 園 等 と小 学 校 の 道 徳 教 育 に きわ め て ふ さわ しい教 材 で あ る こ とが 理 解 で き た。 充 実 した幼 小 の連 携 の研究 会 等 を開催 す る うえ で も、 今 後 、 この 読 み 物 資 料 を 活 用 す る こ とが 期 待 され る。 第3節 「道 徳 の 教 科 化 に向 け た道 徳 の 時 間 の 充 実   した 授 業 につ いて 」 の 一 考 察   2015年7月11日(土)に 国 際 教 育 研 究 セ ンタ ー 主 催 の 研 究 ユ ニ ッ ト活 動 「道 徳 の 教 科 化 に向 け た 道 徳 の 時 間 の充 実 した授 業 に つ い て 」 の 研 修 会 (模擬 授 業)が 、 神 戸 親 和 女 子 大 学3号 館311教 室 で 盛 況 の も と に 開 催 さ れ た 。 約100名 の 参 加 者 (主 と して2年 の 児 童 教 育 学 科 の 学 生)の もとで 、 まず 隈 元 泰 弘 に よ る道 徳 の 教 科 化 の大 きな 流 れ の 解説 か ら開 始 され 、 続 いて 、 中 舎 良 希 の45分 の 模 擬 授 業 が2種 類 行 わ れ た。 こ う した講 義 と授 業 を

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