* 非会員 豊橋技術科学大学 Toyohashi University of Technology **正会員 豊橋技術科学大学 Toyohashi University of Technology 1.初めに 東三河の中心都市である豊橋の駅前周辺エリアは、文化、 産業、交通の結節点として栄えてきたが、1990 年代頃から 居住人口の減少や商業機能の衰退に直面してきた。駅前大 通の再開発事業を契機に 2018 年「豊橋まちなか会議」が 民間主導で立ち上がり、市民・民間企業・行政が地域の将 来像を共有すべく、ビジョンの策定が進められている。本 研究の目的は豊橋市中心市街地の 2010 年代の空間変容を 明らかにすることである。 2.調査手法 2008 年の豊橋市駅前大通南地区まちづくりビジョンの 調査項目を踏まえて対象地を中心市街地(125ha)に選定し て調査行った(図1)。開発動向、土地利用、人口世帯数、 交通量、地価水準の変化を地図上で分析した。 3.調査結果 3.1 大規模開発の動向 商業機能については、複合商業施設ココラフロント、コ コラアベニューがそれぞれ 2008 年、2009 年に開設した。 2012 年に豊橋丸栄百貨店から名前を変えて営業開始した ほの国百貨店は 2020 年 3 月に閉店した。2013 年には芸術 文化交流施設である「穂の国とよはし芸術劇(プラット)」 が開館した。半世紀の間中心市街地の玄関口として交流拠 点となっていた名豊ビル・豊橋バスターミナルは 2018 年 1 月より取り壊し工事が始まり、隣接する開発ビルは 2021 年の取り壊しが決まっており、豊橋駅前大通二丁目地区第 一種市街地再開発事業が行われている。 また、住機能に着目すると、中心市街地ではマンション 建設が進んでいるが、2000 年代は分譲住宅が多かったのが 2010 年代になると賃貸が多くなっている。とくに、中・大 規模マンションが数棟建設されており、まちなか居住をお しすすめている(図2)。 豊橋市中心市街地の 2010 年代の空間変容に関する研究 A study on spatial changes in the central part of Toyohashi city in the 2010s
チャダラーバルエンへオド*・小野悠** Chadraabal Enkh-Od*, Haruka Ono** The area around Toyohashi Station, which is the central city of Higashi Mikawa, has flourished as a hub for culture,
industry, and transportation, but since the 1990s it has been facing a decline in the resident population and decline in commercial functions. Following the redevelopment in front of the station, the “Toyohashi Machinaka Conference” was launched by the private sector in 2018, and a revision is underway to share the future image of citizens, private companies, and administrative regions. The purpose of this study is to clarify the spatial transformation in the central part of Toyohashi city in the 2010s.
Keywords: Spatial changes, redevelopment, aging population, diminishing population 空間変容、中心市街地、再開発、高齢化、人口減少
日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集No.31
3.2 人口・世帯構成 豊橋市全体の人口は 2009 年から 2019 年にかけて 2.08% で減少し、世帯数は 6.52%で増加した。それに対して中心 市街地全体の人口は 5.2%減少し、世帯数が 7.2%増加した。 中心市街地は豊橋市全体に比べて、人口減少が緩やかで、 世帯数の増加が顕著であることがわかる。また、町丁目ご とにみると、豊橋駅から東に少し離れた一帯で人口と世帯 数が増加していることが見てとれる(図3、図4)。 これは図2と重ねると、マンション建設が進んでいるエリ アであり、マンション建設が人口増加の要因となっている ことが確認できる。 また、豊橋市人口の 13.5%が 60 歳以上の高齢者で占められ ているが、中心市街地では 8.8%と高齢者が占める割合が低 い。町丁目別にみると、60 歳以上の高齢者が 4 割以上を占 める町丁が半数以上を占めている(図5)。一方で、人口・ 世帯数が増加している町丁では高齢者の割合が顕著に低い ことがわかる。これはマンションに移り住んできた住民の 年齢構成が相対的に若いことを示唆している。 3.3 土地利用状況 図6と図7から中心市街地で駐車場が増えていることが わかる。土地利用の個別の変化をみると、商業利用されて いた土地が駐車場になっていることが多い。また、再開発 事業によって中心市街地の貴重な公園のひとつであった狭 間児童公園がなくなっているが、新たにまちなか広場が建 設される予定である。 日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集No.31 22
3.4 交通量 豊橋商業高校が実施した豊橋市内の交通量調査 結果のうち、中心市街地の 10 か所のデータを使っ た(図8)。この調査は 10 月の平日 8 時から 16 時に実施したものである。2010 年と 2017 年の交 通量変化をみると、自動車は5.5%、自転車は42%、 歩行者通行は 30%、それぞれ減少していることが わかる(図9)。通り別にみると、自動車は全体的 に微減にとどまっているが(図10)、自転車は花 園通や大橋通りを除いて全体的に大きく減少し (図11)、歩行者は広小路通一丁目、花園通など で減少率が大きい(図12)。 日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集No.31 23
3.5 地価水準 1999 年から2009 年の10 年間は中心市街地のいずれのポ イントでも地価水準が大きく下がっている(表1)。50%以 上の下げ率を示しているところが多い中、駅前のポイント では下げ幅は比較的小さい(図13)。2009 年から 2019 年 の 10 年間は地価水準はほとんど変化がないが、駅に近いポ イントでは微増を示している(表1)。これは駅前の複合商 業施設や公共施設の開設または再開発事業が行われている エリアの近くで確認される(図14)。 表1 3時点の地価公示・地価調査 地点 1999 年 2009 年 2019 年 地 価 公 示 ① 990 525 530 ② 780 274 277 ③ 670 214 216 ④ 360 137 136 ⑤ 285 146 118 ⑥ 243 122 121 ⑦ 314 146 144 地 価 調 査 ① 940 520 535 ② 790 368 - ③ 425 150 155 ④ - 137 - ⑤ 228 109 ⑥ - 120 149 4.終わりに 本研究でわかったことを整理する。 豊橋市全体の傾向と比べて、中心市街地では人口減少が 緩やかで、世帯数の増加が顕著、高齢者の割合が高い傾向 がみられる。 中心市街地の中でも駅から東にやや離れたエリアでは、 人口の増加、世帯数の増加、高齢化の減退がみられる。こ れは新規のマンション建設によるものと考えられる。 平日の交通量は自転車と歩行者で著しく減少しているの に対し、自動車は微減にとどまっている。調査は平日の 8 時から 16 時まで人が一番少なく通る時間帯で実施してい るため、休日や夜間の実態把握も必要である。 地価水準は 2000 年代には中心市街地全体で大きく下が っていたが、2010 年代には大きな変化は見られず、豊橋駅 に近い箇所では微増を示している。これは複合商業施設や 公共施設等の開発が影響を与えていると考えられる。 以上、中心市街地の動向を踏まえた上で、今後のあり方 を検討していく必要がある。 参考文献 1)豊橋市:第二期豊橋市中心市街地活性化基本計画, 2014.4 http://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/22892/%E7%AC%AC2% E6%9C%9F%E8%A8%88%E7%94%BB(%E4%B8%80%E6 %8B%AC%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83 %AD%E3%83%BC%E3%83%89).pdf 2)豊橋駅前大通南地区まちなみデザイン会議:豊橋駅前大 通南地区まちづくりビション, 2011.3 http://ekidesign.info/pdf/ekid-v.pdf 3)豊橋市:豊橋市統計 http://www.city.toyohashi.lg.jp/item/16255.htm#itemid16255 4)国土交通省土地総合情報システム https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet?LY=20 19&TDK=23&SKC=23201&X=494584.74&Y=125150.778 5)豊橋商業高校:交通量調査 https://opendatatoyohashi.jp/node/1503 6)住宅地図 2010,2019 日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集No.31 24