看護基礎教育機関を退学した学生の退学に至る経験
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(2) 一方、その過程で困難に直面する〕 〔青年期の発達課題の克服を困難にする可能性がある〕 〔学生と指導者の 間の上下関係により、学生が弱者となった結果生じる〕 〔最終的に退学を決断し、それを表明するまでの過程 により生じる〕 〔新たな目標が明確に定まるとそれに向けて尽力する〕の5つの特徴を持つことを示した。教 員や実習指導者は、退学した学生が、これらの特徴を持つ経験をしていることを理解することが必要である。 解することが困難な経験であることを示す。これ. Ⅰ.緒言 看護基礎教育機関に入学したにも関わらず卒業. は、学生個々に応じた状況を理解し、学生へのよ. できない学生は、卒業予定の学生の約10%を占め. りよい進路決定支援をしていくために、学生に関. 1). る 。また、看護基礎教育機関の学生が退学に至. わる人々が多様な経験を含めた退学に至る経験の. る理由は、進路変更が最も多く、続いて学業不振. 全体構造を理解できる知識を持つ必要があること. が多いと報告されている 2)。これらは、看護基礎. を示唆する。一方、退学した学生を対象として退. 教育機関を退学する者の中に、入学後に看護と異. 学に関わる経験を解明した研究は少数であり、こ. なる進路を希望したり、学業不振により学業の継. れらは特定の地域や教育機関の学生に焦点を当て. 続を断念したりする者が含まれていることを示. たり、退学理由に関わる特徴的な経験に焦点を当. す。さらに、退学後、退学したことを後悔する者. てていたりしており、退学に至るまでの経験の全. 3). がいるという報告もある 。このような現状は、. 体構造は解明されていなかった。. 学生が、看護基礎教育機関を退学する理由や退学. 以上を背景とする本研究は、看護基礎教育機関. という経験の受け止め方が一様ではないことを示. を退学した学生の退学に至る経験を表す概念を創. す。看護基礎教育機関を退学した学生(以下、退. 出し、その特徴を考察する。本研究の成果は、退. 学した学生とする)の理解に向け、看護基礎教育. 学を迷う学生の個々の状況の理解に活用でき、. 機関の退学に関する文献を概観した結果、次のこ. 個々の学生に応じた進路決定支援につながる。. とを確認した。先行研究の圧倒的多数は我が国と 看護教育制度が異なる海外の文献 4)であった。ま た、これら海外の先行研究は、将来の看護職労働 人口減少の重要な要因の1つに退学を位置づけ、. Ⅱ.研究目的 看護基礎教育機関を退学した学生の退学に至る 経験を表す概念を創出し、その特徴を考察する。. 看護師の人材確保の視点からその回避に向け、入 学前の保健医療職との関わりの必要性 5)や望まし い入学者選抜方法. 6). を提言していた。また、我が. 1.看護(nursing). 国の研究も徐々に蓄積され、海外の先行研究と同. 看護師とクライエントの人間的な相互行為のプ. 様に、退学回避策の検討を目指し、看護基礎教育. ロセスであり、そのプロセスによって、各人は、. 機関を退学する理由 7) や学業を継続できた理由 8). 他者とその置かれている状況を知覚し、コミュニ. を解明していた。また、国内外合わせて8件の文. ケーションを通じて目標を設定し、手段を探求し、. 9)10)11)12)13)14)15)16). 献. は、看護基礎教育機関に在籍. する学生の退学に関わる経験に焦点を当て研究し. 目標達成のための手段に合意することである 21)。 2.学生(students). ていた。例えば、ある研究 17)は、退学の経験に影. 看護実践に必要な能力修得に向け 22)、目標達成. 響した要因に「学生が入学前に抱く期待と入学後. を目指して学習活動を展開する学習主体である 23)。. の現実の不一致」が存在することを明らかにして. 3.退学(drop out). いた。一方、この8件の先行研究のうち、退学に. 修学年数、単位数など、在学している学校が定. 関わる経験そのものを解明していた研究は、国内. めている卒業基準を満たすことなく、学生が在学. 外合わせて2件であった 18)19)。2件のうち1件 20). 中途で学校をやめること 24)である。. は、退学前に学校から支援を受けられた経験をも. 4.経験(experience). つ学生と支援を受けられなかった経験をもつ学生. 主体としての人間が関わった過去の事実を、主 体の側から見た内容であり 25)、人間と環境の関連. がいることを明らかにしていた。 以上の先行研究の結果は、退学した学生の退学 に至る経験が一様ではなく、一側面から捉えて理. 12. Ⅲ.用語の概念規定. の仕方やその成果の総体を意味する 26)。また、そ の意味は、知覚により与えられる 27)。. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020.
(3) Ⅳ.研究方法. 2.データ収集. 本研究は 、 研究方法論として看護概念創出法. 28). 1)研究対象者. を適用した。看護概念創出法は、看護学に関わる. 本研究は、看護基礎教育機関を退学した学生の. 多様な現象から質的データを抽出し、それらを構. 退学に至る経験を表す概念を創出し、その総体を. 成した行動や経験を表す概念の創出、全体構造を. 明らかにすることを目的とする。この目的を達成. 看護学独自の視点から解明することを目的とす. するため、看護基礎教育機関の学生の退学に関わ. る 29)。また、データ収集方法として半構造化面接. る経験をすべて包含するデータを収集する必要が. 法を用いた。以下に本研究の具体的な研究方法を. ある。これは、対象者が自己の体験を経験として. 示す。. 客観視し、明瞭に想起できる必要性を意味する。. 1.持続比較のための問い. そこで、看護基礎教育機関における退学の経験を. 看護概念創出法は、データ収集段階から分析段 30). 客観的に語ることができる、退学後、5年未満の. 階まで、一貫して持続比較分析を行う 。その際、. 者を対象とした。その理由は次の通りである。過. 看護学独自の視点を反映した研究成果の産出に向. 去に遭遇した出来事、人々、物事などの記憶は、. け、分析視点の一貫性を維持し、長期間にわたる. 1年に5パーセントずつ忘れ去られ 31)、2年以上. データ収集、分析による研究目的の混乱を避ける. 経過した出来事は、印象の強度に影響を受けて想. ため、持続比較のための問いを用いる。本研究は、. 起される 32)。本研究が対象とする「退学」という. 退学を「学校が定めている卒業基準を満たすこと. 現象は、それを経験した人にとって印象に残る出. なく、学生が在学中途で学校をやめること」と規. 来事のため、2年以上経過しても想起できる可能. 定した。退学した学生であっても、退学を決定す. 性が高い。また、看護概念創出法を適用した学生. るまでは、学校が定めている卒業基準の充足をめ. の経験を明らかにした複数の先行研究 33)34)35)36)37). ざし、学業を継続している。そのため、退学した. は、看護基礎教育機関を卒業して5年未満の者を. 学生の退学に至るまでの経験が「卒業基準の充足. 対象にデータを収集し、概念の創出に成功してい. に向かっているのか、向かっていないのか」ある. た。以上は、退学して5年未満の者が、退学まで. いは、「学業の継続に向かっているのか、向かっ. の経験を明瞭かつ客観的に想起できる可能性を示. ていないのか」という視点から比較することによ. す。また、本研究の究極的な目的は、学生個々に. り、その経験の同質性、異質性を見極められる可. 応じたよりよい進路決定に向けた支援に資する成. 能性が高いと判断した。そこで、次の二つの問い. 果を産出することである。これは、退学の決定が、. を、本研究の持続比較のための問いとして仮に設. 校長や学長等、学校側による判断ではなく、学生. 定した。それらは、「この看護基礎教育機関を退. 自身による意思であることを前提とする。そこで、. 学した学生の経験は、卒業基準の充足という視点. 本研究は、学生の意思により退学を決定した者を. から見るとどのような経験か」と「この看護基礎. 研究対象とした。一方、看護師免許を持ち大学に. 教育機関を退学した学生の経験は、学業継続とい. 編入学した者は、編入した大学において看護基礎. う視点から見るとどのような経験か」である。二. 教育の補完教育を受けており、その背景に起因す. つを検討した結果、「卒業基準の充足」を持続比. る特有の経験を有する可能性がある。また、准看. 較のための問いとした場合には、退学前に休学や. 護師養成教育を受けた経験を持つ者は、この教育. 留年をした学生の経験の性質の差異を見極めるこ. を受けたことに起因する特有の経験を有する可能. とが困難であった。一方、「学業の継続」を持続. 性がある。そのため、これらの対象者は本研究の. 比較のための問いとした場合には、学業の継続に. 研究対象から除外した。. 向かう、あるいは遠ざかるという視点から持続比. 2)研究対象者の探索. 較分析の視点として一貫性を持ち、対象者の退学. 研究対象者の探索は、ネットワークサンプリン. に至った経験の差異を明瞭に見極められることを. グ 38)を用いた。まず、研究対象者の条件に合致す. 確認した。以上の検討により、本研究の持続比較. る対象候補者の紹介が可能な紹介者を知人から探. のための問いを「この看護基礎教育機関を退学し. 索した。その際、紹介者へ研究協力依頼書に沿っ. た学生の経験は、学業継続という視点から見ると. て研究内容を説明し、研究協力の承諾を得た。紹. どのような経験か」に決定した。. 介を受けた対象候補者に対しては、事前に紹介者. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020. 13.
(4) を介して、研究者が直接連絡する可否を確認した。. を表現することによって対象者の精神的苦痛が増. その後、研究者が対象候補者に電子メールや電話. 強した際に、研究者から面接の中断を提案できる. を用いて連絡し、説明を受けることへの諾否を確. よう、対象者の表情、言動に注意した。. 認した。対象候補者から研究説明の承諾を得た後、. 5)データ収集終了時期の決定. 研究協力依頼書に沿って研究内容を説明し、協力. 看護概念創出法を適用し、データ収集方法に面. を依頼した。以上の手続きを経て、順次対象者の. 接法を用いた際の面接内容の飽和化は、持続比較. 探索を進めた。. のための問いに対する回答が、これまで聴取した. 3)質問項目の決定. ものと同様であると判断できる状況を意味す. 対象者が退学に至るまでの経験を全般にわたっ て想起し、環境との相互行為を反映した豊富な体. これまで聴取した9名と性質の異なる新たな回答. 験を経験として言語化できる内容 39)を聴取するた. が存在しなくなったことを確認した。一方、飽和. め、次の手続きにより質問項目を作成した。第1. 化が完全であることを確認するためには、さらに. に、看護基礎教育課程における学生の経験を解明. 4名から5名の面接を重ねる必要がある 43)。本研. するために用いられた質問の様式を検討した研. 究も研究方法論に則り、飽和化が完全であること. 究 40) を検討し、第2に、看護概念創出法を適用. を確認するために、さらに対象者を探索した。し. し、退職した新人看護師の経験を表す概念を創出. かし、本研究の対象者は看護基礎教育機関を退学. 41). を検討した。これは、この研究の対象. した者であり、面接への協力依頼の返答が得られ. 者が、所属する組織を離れた経験を持つ者という. なかったり、対象者の体調が万全でなかったりと. 点において本研究の対象と類似していることに起. いう理由により、それ以上の研究対象者を探索す. 因する。検討の結果、時間的経過に沿って質問を. ることは不可能であった。以上より、対象者1名. 設定し、退学した学生が退学に至る経験を表す概. の協力を得、11名の面接を終了した時点で、面接. 念を創出するため、学生が遭遇した出来事をあり. を終了した。. のままの事実として聴取する「経験の事実聴取型」. 3.データ分析. の質問様式を設定した。「経験の事実聴取型」の. 1)データ化. した研究. 質問様式とは、学生が遭遇した出来事の詳細な記. 看護概念創出法の面接フォーム 44)を用いて、次. 述を目指して設定される質問の様式である。また、. の手続きにより面接記録をデータ化した。まず、. 必ずしも退学の契機や出来事が明瞭であるとは限. 面接終了時にフィールドノートの記載内容と IC レ. らないため、退学に関わる経験をもれなく聴取で. コーダーに録音した対象者の回答内容を逐語記録. きるよう、退学を思案した時期や出来事から6ヶ. として文字化し、逐語記録をもとに看護概念創出. 月前に遡って質問するよう設定した。. 法の面接フォームを用いて、各対象者の回答内容. 第3に、2名への予備面接を実施し、質問の順. の性質を把握した。次に、質問項目別回答の概要. 序の変更およびワーディングの修正を行い、質問. に持続比較のための問いをかけ、各対象者の回答. 項目を決定した。(表1). 内容の同質性と異質性を比較し、持続比較を行っ. 4)面接の実際. た。データ化を終えた対象者の回答内容と性質の. データ収集は、2018年3月10日から2018年11月. 差が最大であると判断した対象者の回答内容から. 8日であった。面接日時や面接場所は、対象者の. 順に、整理した逐語記録を分析フォーム 45)の初期. 希望を優先して決定し、プライバシーの守られる. コード欄に転記した。また、それまでにデータ化. 場所であり、対象者ができる限り自由に質問に回. した回答内容と同質であると判断した場合、コー. 答できる場所を確保した。また、面接内容は、許. ド化の対象としなかった。. 可を得て、IC レコーダーへ録音し、フィールド. 2)コード化. ノートに記載した。面接の開始に際し、研究目的、. 14. る 42)。本研究は、10名の面接を終了した時点で、. データ化した初期コードを以下の手続きにより. 意義、方法、内容、倫理的配慮等を説明し、面接. コード化した。まず、「初期コード」を「一般的. 開始前や開始後の辞退が可能であることを伝え. な人間の経験としてみるとどのような経験か」と. た。その後、改めて研究協力への同意の意思を確. いう視点から抽象度をあげ命名し、「看護基礎教. 認し、同意書に署名を得た。さらに、自己の経験. 育機関を退学した学生の経験コード」欄に記述し. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020.
(5) 表1 質問項目 〈導入〉 ① 退学した学校の種類(大学や専修学校など)をお聞かせください。 ② 退学された時期は、何年生の何月ですか。また、西暦何年ですか。 ③ 退学を考え始めた時期は、何年生の何月ですか。 ④ 看護基礎教育機関にご入学されたのはどのような理由でしたか。 〈退学までの経験に関する質問項目〉 問1.(退学を考え始めた時期の6ヶ月前に遡り)その学年はどのようなご経験をされましたか。 退学のきっかけとなった出来事を含めお話しください。 問2.次の学年は、どのようなご経験をされましたか。 (以後、1学年ごとに退学した学年までの経験を聴取する。) 問3.さらに、その次の学年はどのようなご経験をされましたか。 問4.最終的にこの時期(退学した時期)に退学を決定したのはどのような理由ですか。 問5.最後に、退学に関して追加してお話したいことがありましたらお話しください。 〈対象者の経験をより深く理解するための質問〉 問6.看護基礎教育機関を退学した経験を現在、どのような経験であったとお考えですか。 〈対象者のプロフィールの確認〉 対象者の年代、現在の状況(職業等)、看護基礎教育機関が所在する地域、退学前の留年及び 休学の有無とその期間、在学期間、家族との同居の有無と通学時間 (それまでの質問により回答が得られた場合は問わない). た。次に、「看護基礎教育機関を退学した学生の. タを活用し、看護概念創出法に精通した共同研究. 経験コード」に持続比較のための問いをかけ、そ. 者(以下、共同研究者とする)と面接内容を確認. の問いへの回答に命名し「看護基礎教育機関を退. した。次に、コードの確実性、信頼性、確証性の. 学した学生の経験-学業継続対応コード」の欄に. 確保に向け、全てのコードを一貫した視点と手続. 記述した。. きにより命名するため、分析フォームを用いた。. 3)カテゴリ化. また、命名したコードが、持続比較のための問い. 看護概念創出法におけるカテゴリ化の手続き. 46). に対応し精度の高いものであるか共同研究者と検. に従い、カテゴリ化した。「看護基礎教育機関を. 討し、可能な限りコードの精度を高めた。最後に、. 退学した学生の経験-学業継続対応コード」の表. カテゴリの置換性、信頼性、確証性の確保に向け、. 現を手がかりに、経験の同質性と異質性により、. 対象者に偏りが生じないよう可能な限り配慮し. 分離および統合することを通してサブカテゴリを. た。また、収集したデータの同質性と異質性を検. 形成した。同様に、カテゴリ、コアカテゴリと抽. 討し、データが飽和化していることを確認した。. 象度を上げ、これ以上は統合も分離も不可能とい. さらに、形成したカテゴリが、一貫して持続比較. う状態までこの作業を継続した。. のための問いに対応し、現象を忠実に反映してい. 4.本研究の信用性. るか否かを、共同研究者と検討した。. 看護概念創出法の信用性は、確実性、置換性、. 5.倫理的配慮. 信頼性、確証性の4つの基準を充足することによ. 対象者への倫理的配慮は、日本看護教育学学会. り確保される 47)。本研究も、信用性の確保に向け. 研究倫理指針 48)に基づき、次のように行った。研. て、まず、データ収集に先立ち、模擬面接および. 究参加による時間的負担と精神的負担を最小にす. 予備面接を実施し、これらの結果に基づき質問項. るため、対象者への連絡は対象者の希望する日時、. 目の内容的妥当性を検討し、質問を決定した。さ. 連絡方法に沿って実施した。また、模擬面接や予. らに、逐語記録の作成は、対象者の回答内容を正. 備面接を行い、面接技術を洗練し、質問を精選し. 確に理解するために、IC レコーダーに録音した面. た。さらに、面接を実施する際は、直前に再度研. 接内容を繰り返し聴取するとともに、付加的デー. 究協力の意思を確認し、面接中の途中辞退が可能. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020. 15.
(6) であることや、話したくないことは話さなくてよ. 表2 対象者の特性. いことを説明した。加えて、面接を実施する際は、 対象者が自由に回答できる雰囲気作りに努め、評 価的視点を持つことなく傾聴した。対象者に精神 的苦痛が生じていると予測されるときには、即座 に研究者から面接の中断を提案できるよう対象者 の状態に注意した。なお、以上の倫理的配慮は、. n=11 性別 女性. 6名(54.5%). 男性. 5名(45.5%). 年齢 19歳から31歳. 平均24.7歳. 退学した看護基礎教育機関の種類. 千葉大学大学院看護学研究科倫理審査委員会の承. 看護系大学. 5名(45.5%). 認を得た。. 3年課程専門学校. 6名(54.5%). 看護基礎教育機関の所在地域 東北地方. 2名(18.1%). Ⅴ.結果. 関東地方. 7名(63.6%). 1.研究対象者および分析対象データ. 中国・四国地方. 2名(18.1%). 本研究のデータは、退学した11名の対象者に実 施した半構造化面接法により得られた回答内容で ある。この11名への面接時間は23分から85分の範. 留年の有無 留年あり. 1名( 9.0%). 留年なし. 10名(91.0%). 退学した時期. 囲であり、合計8時間4分、平均44.4分であった。. 1年生前期. 1名( 9.0%). 分析対象データとなった逐語記録は、A4サイズ用. 1年生後期. 3名(27.2%). 紙合計72枚、89,869文字であった。. 2年生前期. 3名(27.2%). 2年生後期. 3名(27.2%). 3年生前期. 1名( 9.0%). 4年生前期. 1名( 9.0%). 2.対象者の特性 本研究の対象者11名の年齢や、退学した看護基 礎教育機関、退学の時期や退学理由など背景は多 様であった(表2)。 3.看護基礎教育機関を退学した学生の退学に至. 退学理由(重複回答) 単位修得不可による進級不可. 6名(54.5%). 教員との信頼関係の欠如. 4名(36.3%). 看護学の学習に伴う過重負担知覚. 3名(27.2%). る経験を表す概念. 職務実見による看護師という職業への失望 3名(27.2%). 対象者11名により得られた11データから、241. 看護職適性への懐疑. 3名(27.2%). 他分野の職業従事希望払拭不可. 3名(27.2%). 同級生との協同不可による孤立感知覚. 1名( 9.0%). 経済的および生活基盤調整不可. 1名( 9.0%). 出産による育児と学業の両立不可. 1名( 9.0%). 回答内容を得た、これらに持続比較のための問い をかけ比較分析した結果、対象者11名のうち、7 名による120回答内容を性質の異なる経験として 抽出できた。これら120回答内容から309のコード を抽出した。これら309コードは、142サブカテゴ リ、88カテゴリ、19コアカテゴリを形成した。す なわち、看護基礎教育機関を退学した学生の退学 に至る経験を表す19概念を創出した(表3)。 以下、概念は【 】を用いて表す。 【1.看護学の学習への期待と学生生活の満喫】 この概念は、看護基礎教育機関を退学した学生 が、未知の領域である看護学の学習に期待を抱き、 学生生活を楽しむという経験を表す。 【2.単位修得に向けた学習と学習難渋による単. 【3.同級生との協同と協同回避】 この概念は、退学した学生が、授業の目標達成 に向け同級生と協力し合う一方、同級生との相互 行為に嫌悪や煩わしさを感じ次第に接触を避ける ようになるという経験を表す。 【4.他分野の学習や余暇活動への傾倒による看 護学の学習停滞】 この概念は、退学した学生が、一般教養科目等 の他分野の学習や自動車教習などの余暇活動に心. 位修得不可】. を注ぎ、看護学の学習を停滞させるという経験を. この概念は、退学した学生が、卒業要件に必要. 表す。. な単位の修得を目ざし学習を進める一方、学習の. 【5.信頼できる教員との相互行為累積と不信感. 過程に困難が生じ単位を修得できないという経験. を抱く教員との相互行為回避】. を表す。. この概念は、退学した学生が、信頼できると感 じる教員と相互行為を続ける一方、不信感を抱い. 16. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020.
(7) 表3 看護基礎教育機関を退学した学生の退学に至る経験を表す19概念 1.看護学の学習への期待と学生生活の満喫 2.単位修得に向けた学習と学習難渋による単位修得不可 3.同級生との協同と協同回避 4.他分野の学習や余暇活動への傾倒による看護学の学習停滞 5.信頼できる教員との相互行為累積と不信感を抱く教員との相互行為回避 6.学習難渋克服への支援要請による支援獲得と獲得不可 7.学業継続のための障害克服と克服不可による学業継続断念 8.新たな学習環境への違和感感知による看護基礎教育課程在籍への迷い 9.想像と現実の乖離知覚による看護師志望意思の動揺 10.教員からの看護師就業意思決定への干渉受理 11.不当な評価受理による教員への懐疑と自己の正当性主張 12.教育機関の監視体制への服従 13.指導者からの圧力への忍耐と退学決断による忍耐からの解放 14.指導者指示意図への理解不可による指示無視と指示追従 15.退学決断不可と決断のための時間確保 16.家族への退学願望秘匿と契機獲得による退学願望表出 17.家族からの退学への慰留受理と同意獲得 18.退学決断と教員への決断表明 19.退学決断による新たな目標実現に向けた活動. た教員との相互行為を避けるという経験を表す。. して就業する意思の有無や進路の決定について、. 【6.学習難渋克服への支援要請による支援獲得. 教員から頻繁に意思表示を求められるという経験. と獲得不可】. を表す。. この概念は、退学した学生が、学習の過程に生 じた困難を克服するために他者に支援を求め獲得 する一方、支援を求めたにもかかわらず獲得でき ないという経験を表す。. 【11.不当な評価受理による教員への懐疑と自己 の正当性主張】 この概念は、退学した学生が、根拠のない否定 的な評価を受け教員に嫌悪や理不尽さを感じ、自. 【7.学業継続のための障害克服と克服不可によ る学業継続断念】. 身が誤っていないことを主張するという経験を表す。 【12.教育機関の監視体制への服従】. この概念は、退学した学生が、学費の支払い困. この概念は、退学した学生が、教員による厳格. 難等の学業継続を阻む障害を克服する一方、予期. な成績管理や生活指導に疑念や拘束感を感じなが. せぬ妊娠等の障害を克服できず学業継続を断念す. らも、それに従うという経験を表す。. るという経験を表す。. 【13.指導者からの圧力への忍耐と退学決断によ. 【8.新たな学習環境への違和感感知による看護 基礎教育課程在籍への迷い】. る忍耐からの解放】 この概念は、退学した学生が、教員や実習指導. この概念は、退学した学生が、入学後に新しい. 者といった指導者の発言を絶対であると捉え、指. 学習環境になじめず違和感を覚え、このまま在籍. 導者の発言通りに行動する一方、退学の決断を契. し続けてよいのか迷うという経験を表す。. 機に発言に左右されることなく行動するという経. 【9.想像と現実の乖離知覚による看護師志望意 思の動揺】. 験を表す。 【14.指導者指示意図への理解不可による指示無. この概念は、退学した学生が、自身が持つ看護 職のイメージとその実際が異なっていると感じ、. 視と指示追従】 この概念は、退学した学生が、教員や実習指導. 看護師を目指す意思が揺らぐという経験を表す。. 者の指示の意図を理解できず指示を無視する一. 【10.教員からの看護師就業意思決定への干渉受理】. 方、意図を理解できなくても指示に従うという経. この概念は退学した学生が、卒業後に看護師と. 験を表す。. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020. 17.
(8) 【15.退学決断不可と決断のための時間確保】 この概念は、退学した学生が、学業継続と退学. 1)「授業の目標達成を目指し学習を進める一方、 その過程で困難に直面する」という特徴を持つ. を迷い、退学を決断するための時間を確保すると. 経験. いう経験を表す。. この特徴は、7概念【1.看護学の学習への期. 【16.家族への退学願望秘匿と契機獲得による退. 待と学生生活の満喫】【2.単位修得に向けた学. 学願望表出】. 習と学習難渋による単位修得不可】【3.同級生. この概念は、退学した学生が、退学を望む気持. との協同と協同回避】【4.他分野の学習や余暇. ちを家族に隠す一方、打ち明けるきっかけをつか. 活動への傾倒による看護学の学習停滞】【5.信. み、家族に表出するという経験を表す。. 頼できる教員との相互行為累積と不信感を抱く教. 【17.家族からの退学への慰留受理と同意獲得】. 員との相互行為回避】【6.学習難渋克服への支. この概念は、退学した学生が、退学の意思を打. 援要請による支援獲得と獲得不可】【7.学業継. ち明けた際に家族に引き留められるという経験. 続のための障害克服と克服不可による学業継続断. と、退学の同意を得るという経験を表す。. 念】から見出された。. 【18.退学決断と教員への決断表明】. 看護専門学校を対象に退学理由を調査した先行. この概念は、退学した学生が、自身の退学の意. 研究は合計3件あり 50)51)52)、教育責任者による回. 思が変わらないことを確信したり、家族から退学. 答や記録類の分析を通して、学生の退学理由を明. への理解を得たりして退学を決断し、教員にその. らかにしていた。このうち「進路変更」および 「学業不振」は、退学理由の上位に位置づいてい. 意思を伝えるという経験を表す。 【19.退学決断による新たな目標実現に向けた活動】. た。また、看護系大学を退学した学生の退学理. この概念は、退学した学生が、退学の決断を契. 由 53)は、1校のみの集計結果であるが、多い順に. 機に今後の就職先の探索等、次の目標に向けて活. 「進路変更(就学意欲の低下を含む)」 、「健康上の 問題」であった。両調査結果が示す退学理由の上. 動するという経験を表す。. 位に位置づく「進路変更」には、他大学への受験 や看護職以外の就職など積極的な進路変更と、学. Ⅵ.考察 本研究の結果、看護基礎教育機関を退学した学. 業不振や学習意欲の低下など消極的な進路変更が. 生の退学に至る経験を表す19概念が創出された。. 含まれており、「進路変更」として計上された理. 本研究は、看護基礎教育機関を退学した学生の退. 由のほとんどは消極的な進路変更であった 54)。こ. 学に至る経験を表す概念を創出することを目的と. れらは、学生が多様な理由により退学を選択して. し、その目的達成に向けて看護概念創出法を適用. いることを示すとともに、その多くが学業不振や. した。看護概念創出法は、結果の置換性を高める. 学習意欲の低下を理由に退学している可能性を示. ために次の内容を規定している。その内容とは、. 唆する。 【2】を構成する〔学習難渋による単位. 多様な場面により構成された現象をデータとする. 修得不可〕、【3】を構成する〔同級生との協同回. こと、データとなる現象が、その現象に関わる. 避〕、【4】、そして【5】を構成する〔不信感を. 人々の代表により構成されること. 49). である。本研. 抱く教員との相互行為回避〕は、これらの先行研. 究の対象者は、退学した経験を持つ11名であり、. 究が解明した「学業不振」「学習意欲の低下」と. その性別や、退学した看護基礎教育機関の種類や. いった退学理由に関わる経験であり、退学した学. 所在地、退学時期や退学理由等は多様であった。. 生が、看護学の学習の過程でこれらの経験を経て. さらに、対象者11名の回答内容の持続比較を通し. 退学に至ることを裏付ける。. て、性質の異なる新たな回答を認めなくなったこ. 一方、【1】、そして【2】を構成する〔単位修. とを確認した。これらは、本研究のデータが、多. 得に向けた学習〕、【3】を構成する〔同級生との. 様な背景を持つ対象者から収集されており、退学. 協同〕、【5】を構成する〔信頼できる教員との相. した学生と環境の相互行為を包括している可能性. 互行為累積〕は、退学した学生が、期待を抱いて. が高いことを示す。以上を前提とし、創出した19. 看護学を学び、学生生活を楽しんだり、同級生や. 概念の特徴を考察する。. 教員との関わりを深めたりしながら学習に取り組 む経験を表す。本研究は、学生を「看護実践に必. 18. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020.
(9) 要な能力修得に向け 55)、目標達成を目指して学習 56). 題である。. 活動を展開する学習主体 」と規定した。また、. 以 上、 【 1】【 2】【 3】【 4】【 5】【 6】【 7】. 看護基礎教育は、「看護実践に必要な能力の習得」. は、授業の目標達成を目指し学習を進める一方、. を目標とし、知識の習得とともに実践の場で看護. その過程で困難に直面する経験であるという特徴. を展開するために必要な技術や専門職としての態. を持つ。今後、退学した学生を対象に、学業継続. 57). 度の習得を目標とする授業を提供する 。さらに、. に向け克服できた障害と克服できなかった障害の. 退学とは「学校が定めている卒業基準を満たすこ. 相違や、それらの障害を克服するために学生が必. となく、学生が在学中途で学校をやめること」で. 要としていた支援を解明することが必要である。. あり、退学した学生も、退学まで看護実践に必要. 2)「青年期の発達課題の克服を困難にする可能. な能力の習得という授業の目標達成をめざし、学. 性がある」という特徴を持つ経験. 業を継続していることを示す。これら4概念に関. この特徴は、3概念【8.新たな学習環境への. わる経験は、授業の目標達成を後押しする経験で. 違和感感知による看護基礎教育課程在籍への迷. あり、退学した学生が、退学に至るまでに退学理. い】【9.想像と現実の乖離知覚による看護師志. 由に関わる経験だけでなく、学習に対する肯定的. 望意思の動揺】【10.教員からの看護師就業意思. な経験もしていることを示す。. 決定への干渉受理】から見出された。. また、【7】は、退学した学生が、自身の努力. 看護基礎教育機関に在籍する学生の多くは、青. や他者からの支援により、学業継続を阻む障害を. 年期という発達段階に位置づき、青年期は、同一. 克服できる状況と、障害を克服できず学業継続を. 性の確立と同一性の拡散の克服という固有の課題. 断念せざるを得ない状況があることを示す。両者. を持つ 61)。また、青年期は同一性の確立とともに. の相違が、学生が遭遇する障害の種類や障害への. 自分の進路や職業などに関わる、永続的な選択を. 対応方法等の影響を受け生じることは容易に推測. する時期でもある 62)。. できる。さらに、それらの障害を学生が克服でき. 同一性獲得に関わる学生時代の経験の構造を解. るか否かは、教員を始めとする他者からの支援の. 明した研究 63)は、青年期の看護師の同一性の獲得. 有無や程度に影響を受ける。学生の退学に関わる. において、「社会性の獲得」「自己の可能性と存在. 58). は、退学した学生が教育機. 意義の発見」「自己の受け入れと解放」「意志決定. 関から支援を得ることが困難な経験をしているこ. への試行錯誤」という学生生活における経験が関. とを明らかにした。このことは、教員による支援. わっていることを明らかにした。このうち、「意. の有無やその支援の適否が学生の退学に影響を及. 志決定への試行錯誤」は、学生が、選択した進路. ぼすことを示唆する。 【6】を構成する〔学習難. や職業の現実が理想とかけ離れているように感じ. 渋克服への支援要請による支援獲得不可〕は、退. たり、時間の経過とともにその選択事項に対する. 学した学生が、学習上の困難を克服するために支. 適性があるのかどうか迷ったりするという経験を. 援を求めたにも関わらず期待した支援を獲得でき. 表す 64)。この結果は、青年期の同一性獲得と職業. ないという経験を表す。これは、先行研究 59)と同. の選択が関連していることを示し、看護職の選択. 様に、学生にとって必要な支援を獲得できないと. を迷うという経験が同一性の獲得に向け重要な経. いう経験が、学業継続を阻む障害の克服を阻害し、. 験であることを示唆する。本研究が明らかにした. 学生の退学に何らかの影響を及ぼした可能性が高. 【8】【9】が示す経験は、退学した学生が、看護. 経験を解明した研究. いことを示唆する。. 学を学び続けるかどうかや、将来看護職をめざす. 一方、退学に関わる支援の実態を調査した研究. かどうか悩む経験をしていることを示し、看護基. 2件 60)は、いずれも教育機関の責任者や教員を対. 礎教育機関に入学した後も先行研究 65)と同様の経. 象に実施しており、実際に退学した学生を対象に. 験をしていることを示唆する。. 支援の実態を解明した研究は存在しない。今後、. また、【10】は、退学した学生が、卒業後、看. 退学した学生を対象に、学業継続に向け克服でき. 護師として就業する意思の有無や進路の決定につ. た障害と克服できなかった障害の相違や、それら. いて、教員から頻繁に意思表示を求められるとい. の障害を克服するために学生が必要としていた支. う経験を表す。. 援を解明することは、看護教育学研究の重要な課. 看護基礎教育課程に在籍する学生の職業的同一. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020. 19.
(10) 性について、看護師として就業後、離職率との関 66)67)68). が行われている。そ. 教授者という指導関係にあるだけで学習者による. の中に、看護基礎教育課程在学中に看護師志望意. 自発的追従が生じ、両者の関係が上下関係となり. 思を高く持ち、職業的同一性の形成を促すことに. 得る可能性が高い状況にあることを示す。このこ. より、看護師として就業後の離職率を低減させる. とは、指導者と学生が、評価する者と評価を受け. 連に基づき複数の研究. 可能性を示唆する研究. 69). も存在する。これは、 【10】. る者という立場になることが多く 72)学生がしばし. が、教員が学生に対し、看護職として離職するこ. ば弱者の立場に立たされる 73)ことによっても裏づ. となく働き続けられるよう看護職としてのアイデン. けられる。これら、【11】【12】【13】【14】を構成. ティティの形成を意図して関わったことにより生じ. する「不当な評価受理」「服従」「圧力への忍耐」. た経験である可能性が高い。一方、看護師の職業. 「指示追従」は、学生と指導者の間に上下関係が. 経験に関する研究 70)は、5年以上病院に就業し続. 生じた結果、学生が弱者となり生じた経験である. けている看護師が、 「職業継続への迷いと選択」と. 可能性が高い。また、上下関係のうち弱者に位置. いう経験をしていることを明らかにした。この結果. づけられた経験は、その人の尊厳を著しく傷つけ. は、看護師が職業に就いた後も、看護職への適性. る 74)。このような上下関係を前提とした相互行為. に悩んだり、職業継続の意思がゆらいだりという経. は、学生の自尊心を傷つけるだけでなく学生に負. 験をしながら職業の継続を迷い、迷いながらもそ. の感情を抱かせる 75)可能性がある。一方、看護基. の継続を決定していることを意味する。職業的同. 礎教育 76)は、看護実践能力の修得に向け、広範囲. 一性形成が望ましいという教員の考えに基づき、. で確実な基礎を提供することを目的とする。この. 看護師としての就業意思の有無を頻繁に確認する. 目的を達成するため、学生は、看護職者が行う実. ような働きかけは、看護師としての就業意思を明. 践の中に身を置き、実際のクライエントとの相互. 瞭に持たない学生に、看護学の学習を続けること. 行為を通して、看護職者の立場で看護を実践する. への罪悪感を抱かせる可能性があり、学生が、自. ことを求められる 77)。これらは、看護学がクライ. 己の職業適性に疑問を感じたり悩んだりすること. エントの生老病死という問題に直接関わり、その. を自由にできる教育環境が必要である。. 人の生活に深く関わることを通して援助するとい. 以上、 【8】【9】【10】は、青年期の発達課題. う特徴 78)を持つことを示す。そのため、看護学の. の克服を困難にする可能性のある経験であるとい. 教授者は、時として、看護師として、人として、. う特徴を持つ。このような経験は、青年期の学生. 組織人としてあるべき姿を毅然とした態度で学生. にとって自己同一性の獲得に向け重要な経験であ. に伝えることが必要となる 79)。このような背景に. るため、学生を支援する者は、学生が自由に自己. 起因し、看護学教育において各看護学の専門領域. の職業適性に疑問を感じたり悩んだりできる教育. の教授に留まらず、人として接する態度や言葉遣. 環境を整えることが必要である。. い、身だしなみを含む指導や、学生が自己中心的. 3)「学生と指導者の間の上下関係により、学生. な見方から他者との関係を客観的に理解できるよ. が弱者となった結果生じる」という特徴を持つ. うな関わりを推奨すること 80) も重要である。特. 経験. に、他者との関係性を通して看護師としての自身. この特徴は、4概念【11.不当な評価受理によ. を見直す機会となる看護学実習 81) は、指導者が、. る教員への懐疑と自己の正当性主張】【12.教育. 5人から6人の学生を個別に担当し教授活動を展. 機関の監視体制への服従】【13.指導者からの圧. 開する授業である。このように学生個々への教授. 力への忍耐と退学決断による忍耐からの解放】. 活動は、多数の集団を対象とした授業に比べ、指. 【14.指導者指示意図への理解不可による指示無 上下関係. 71). 導者の言動が学生に及ぼす影響が大きい 82)。また、 「こうあるべき」「こうあってほしい」という指導. 視と指示追従】から見出された。 とは、各人の保有する社会的諸価値. の質量的不平等に基づく社会的地位や勢力の格差. 20. 別される。これらは、学生と指導者が、学習者と. 者の願いが強ければ強いほど、学生の意向とずれ が生じやすいことも指摘されている 83)。そのため、. から生じる優越と従属という地位的な人間関係を. 【12】【13】【14】を構成する「監視」「圧力」「指. 指す。また、上下関係は、上位者の強制による支. 示」が、看護学教育の特徴と関連し、教員の何ら. 配関係と下位者の自発的追従による指導関係に大. かの意図があって生じた可能性もある。本研究は、. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020.
(11) 退学した学生の経験を学生の知覚を通して明らか. 関への入学動機が「親からの勧め」である場合、. にした。そのため、教員にどのような意図があっ. 入学後、学習進行に伴い、学生が看護職を自身が. たのか、あるいは教員の意図と異なり学生が解釈. 思い描く職業と異なることに気づいても、親の期. し、このように知覚したのか、その経緯は不明で. 待を裏切れないという思いが生じ葛藤を抱くこと. ある。しかし、どのような経緯があったとしても、. 〔家族 もある 86)。実際、本研究の対象者のうち、. 学生が「指示追従」「監視体制への服従」「圧力へ. への退学願望秘匿〕という経験を語った者も同様. の忍耐」と感じる経験は、学生の自尊心を傷つけ、. の状況にあり、退学に向け家族から同意を得るた. 学生に負の感情を抱かせることにつながる。本来、. め、退学願望を表出する機会を探索していた。こ. 学生と指導者は、各々学習者、教授者という役割. のような状況は、退学を願望する学生にとって、. は異なるものの、両者は対等な関係である. 84). 。看. 葛藤をさらに増大させる可能性がある。学生が、. 護学教育において指導関係が、学生に自発的追従. 退学の決断に至るまで時間を要することや、家族. をもたらし、上下関係となり得る可能性が高いこ. に退学の願望を伝えにくいことを理解し、退学決. とを十分に理解し、学生との知覚の一致を目指し. 断前に休学を提案したり、必要時は保護者との橋. て関わることは重要である。. 渡しをしたり、決断のための環境が整えられるよ. 以上、 【11】【12】【13】【14】は、学生と指導者. う支援することは重要である。さらに、 【17】を. の間の上下関係により、学生が弱者となった結果. 構成する〔家族からの退学への慰留受理〕は、家. 生じる経験であるという特徴を持つ。学生に関わ. 族に退学したいことを打ち明けた学生が、退学を. る者は、指導関係が学生に自発的追従をもたらし、. 引き留められるという経験を表す。この経験は、. 上下関係となり得る可能性が高いことを十分に理. 家族から退学を思い留まるよう引き留められ、再. 解し、学生との知覚の一致を目指すことが重要で. 度、登校を試みたり休学したりするなど、退学の. ある。. 決断を一旦保留にすることを意味する。本研究の. 4)「最終的に退学を決断し、それを表明するま. 対象者のうち、家族から退学の慰留を受けた学生. での過程に生じる」という特徴を持つ経験. は、家族の要請に応じ、一旦退学の決断を保留に. この特徴は、4概念【15.退学決断不可と決断. した結果、最終的に退学を選択した。このことは、. のための時間確保】【16.家族への退学願望秘匿. 〔家族からの退学への慰留要請受理〕という経験. と契機獲得による退学願望表出】【17.家族から. も【15】と同様に、学生自身による最善の進路決. の退学への慰留受理と同意獲得】【18.退学決断. 定に向け検討する時間を確保することにつながる. と教員への決断表明】から見出された。. 可能性がある。また、看護基礎教育機関の退学に. 概念【15】は、学生が、学業継続と退学を迷い、. 保証人の同意が必須であり、退学を決断した多く. 退学を決断するための時間を確保するという経験. の学生は、保証人の同意を得た後、退学の意思を. を表す。看護専門学校の退学等に関わる支援の実. 教員に表明する。【17】を構成する〔家族からの. 85). 、最終的に学生が自ら選択. 退学への同意獲得〕と、 【18】は、退学を決断し. すべき方向性を決定するために、学生自身が考え. た学生が、看護基礎教育機関を退学するために必. る時間を作り、納得して進路を決定できるよう教. 須の経験である。. 態を調査した研究は. 員が支援していることを明らかにした。本研究の. 以上、 【15】 【16】 【17】 【18】は、最終的に退学を. 対象者は、11名全員が【15】という経験をしてい. 決断し、それを表明するまでの過程の経験であると. た。また、面接終盤に行った質問「看護基礎教育. いう特徴を持つ。学生を支援する者は、学生が最. 機関を退学した経験を現在、どのような経験で. 善の進路を決定できるよう十分な時間を確保するこ. あったとお考えですか」に対し、全員、後悔して. とが必要であることや家族に退学の要望を伝えにく. いないと回答した。これらは、退学という重大な. い状況があることを理解し、決断に向け必要な環. 決定をするために、十分な時間を確保することが. 境を整えられるよう支援することが必要である。. 必要である可能性を示す。また、 【16】は、学生. 5)「新たな目標が明確に定まるとそれに向けて. が、退学したいという気持ちを家族に隠す一方、. 尽力する」という特徴を持つ経験. 打ち明けるきっかけをつかみ、自身の気持ちを家. この特徴は、概念【19.退学決断による新たな. 族に表出するという経験を表す。看護基礎教育機. 目標実現に向けた活動】から見出された。. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020. 21.
(12) 看護学科における就学状況の改善に向けた施策 を報告した研究. 87). は、学習継続を支援するシステ. ムを整備しても、一定数の退学者が存在すること. e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=0045 0141&tstat=000001022606&cycle=8&seco nd2=1,(2019年6月2日アクセス).. を明らかにした。また、これらの退学を選択した. 2)富樫和代他:3年課程看護学校の過去10年間. 学生は、看護職への適性を考慮し、他分野へ進路. における退学・休学・留年の実態,中国四国. を変更した者であったと報告した。看護基礎教育. 地区国立病院付属看護学校紀要,2,88-91,. 機関で行われる看護職養成教育は、職業教育もし. 2006.. くは専門教育に該当し、大学、短期大学、看護専 門学校のいずれにおいても看護師養成を目的. 88). と. する。これは、看護基礎教育機関の最も多い退学 理由が進路変更であるのも、看護基礎教育機関に. 3)軸原久美子他:3年課程看護専門学校中途退 学者の退学に至った要因,日本看護学教育学 会学術講演集,25巻,188,2015. 4)たとえば以下のような文献がある。. おいては、将来の職業として看護職から他職種へ. ① Yvonne ten Hoevea., et al.: Dreams and. の変更が、退学という決断に直結しやすいことを. disappointments regarding nursing: Student. 示唆する。実際に、本研究の対象者も、11名のう. nurses’reasons for attrition and retention. A. ち半数以上の6名が、「看護職適性への懐疑」や. qualitative study design, Nurse Education. 「他分野の職業従事希望払拭不可」という理由に. Today, 54, 28-36, 2017.. より退学を決断し、新たな道に進んでいた。この. ② Bowden J: Why do nursing students who. ように自己の将来の職業と看護職が合致していな. consider leaving stay on their courses?, Nurse. いと判断し退学を思案する学生には、希望する進. Researcher, 15 (3): 45-58, 2008.. 路に進むことができるよう支援することが、その. ③ Pia Kekkonen., et al.: Discontinued students in nursing education ─ Who and why?, Nurse. 学生の発達に必要である。 以上、【19】は、新たな目標が明確に定まると. Education in Practice, 17, 67-73, 2016.. それに向けて尽力する経験であるという特徴を持. ④ Hugh O’ Donnell., et al.: Expectations and. つ。自己の将来の職業と看護職が合致していない. voluntary attrition in nursing students, Nurse. と判断し、退学を思案する学生には、希望する進. Education in Practice, 11 (1), 54-63, 2011.. 路に進むことができるよう支援することが必要で. ⑤ Williams MG: Attrition and retention in the nursing major: understanding persistence in. ある。. beginning nursing students, Nursing Education Perspectives, 31(6), 362-367, 2010.. Ⅶ.結論 1.本研究は、看護基礎教育機関を退学した学生. ⑥ Stott A., et al.: Exploring factors affecting. の退学に至る経験を表す19概念を創出した。. attrition of male students from an undergraduate. 2.本研究は、考察を通して、看護基礎教育機関. nursing course: a qualitative study, Nurse. を退学した学生の退学に至る経験が5つの特徴. Education Today, 27 (4), 325-332, 2007. ⑦ Rouse SM., et al.: Factors for attrition in an. を持つことを明らかにした。. accelerated baccalaureate nursing program, Journal of Nursing ducation, 49(6), 359-362,. Ⅷ.謝辞 本研究の趣旨を理解し、協力してくださった皆. 2010. ⑧ Andrew S., et al.: Hate the course or hate to go:. 様に心より感謝申し上げます。. semester differences in first year nursing attrition, Nurse Education Today, 28(7), 865-. 利益相反の開示 本研究における利益相反は存在しない。. 872, 2008. ⑨ Pryjmachuk S., et al.: Nurse education: factors associated with attrition, Journal of Advanced. 【引用文献】 1)政府統計窓口:学校養成所卒業生就業状況, 学 校 養 成 所 区 分 別 卒 業 者 数,https://www.. 22. Nursing, 65(1), 149-160, 2009. ⑩ Wilson Anne., et al.: Should nursing-related. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020.
(13) work experience be a prerequisite for acceptance into a nursing programme? A study of students’reasons for withdrawing from. 理論,医学書院,179,2001. 22)杉森みど里他:看護教育学 第6版,医学書 院,254,2018.. undergraduate nursing at an Australian. 23)舟島なをみ:看護教育学研究 発見・創造・. university, Nurse Education Today, 31 (5), 456-. 証明の過程 第2版,医学書院,138,2010.. 460, 2011.. 24)細谷俊夫他:新教育学大事典5,「退学」の. 5)前掲書 4)⑩.. 項,第一法規出版,19-20,1990.. 6)Sheila Rodgers., et al.: Recruitment, selection and retention of nursing and midwifery students in Scottish Universities, Nurse Education Today, 33, 1301-1310, 2013.. 25)見田宗介他編:社会学事典,「経験」の項, 弘文堂,245,1988. 26)林達夫他編:哲学辞典,「経験」の項,平凡 社,391,1979.. 7)例えば以下のような文献がある。 ①加藤かすみ他:看護師養成所3年課程の休 学・退学と学生への支援の実態,中国四国 地区国立病院附属看護学校紀要,9,142151,2013.. 27)森宏一:哲学事典,「経験」の項,青木書店, 110,1996. 28)舟島なをみ:質的研究への挑戦 第2版,医 学書院,138,2012. 29)前掲書28).. ②前掲書 2).. 30)前掲書23),156.. 8)例えば以下のような文献がある。 ①住谷圭子他:看護専門学校生の学業継続に 影響する要因人間看護学研究,13,43-49, 2015.. 31)U.Neisser 編, 富 田 達 彦 訳:Memory Observed 観察された記憶(上)自然文脈での想起,誠 信書房,105,1988. 32)G. コーエン他,長町三生監修 認知科学研究. ②吉野ひろ子他:看護専門学校(3年課程) における学生が、学業継続を図る要因,東 京都福祉保健医療学会,平成20年度受賞演 題論文集,9-16,2008.. 会訳:認知心理学講座1 記憶,海文堂出版, 48,1989. 33)横山京子他:実務経験を持つ編入学生の看護 学士課程における学習経験に関する研究,看. 9)前掲書 4)④.. 護教育学研究,9(1),1-14,2000.. 10)前掲書 4)⑦.. 34)横山京子他:短期大学卒業後に看護学士課程. 11) Mansoureh Ashghali Farahani a 他:Attrition among Iranian nursing students: A qualitative study, Nurse Education in Practice, 22, 2017. 12)前掲書 4)⑩.. へ編入学した学生の学習経験 ─ 短期大学を卒 業した編入学生理解のための指標の探求 ─ , 看護教育学研究,11(1),26-39,2002. 35)山下暢子他:看護学実習における学生の「行. 13)S m i t h VA : N u r s i n g s t u d e n t a t t r i t i o n a n d. 動」と「経験」の関連 ─ 行動概念と経験概念. implications for pre-admission advisement,. のメタ統合を通して ─ ,看護教育学研究,15. Journal of Nursing Education, 29(5), 215-218, 1990.. (1),22-33,2006. 36)松田安弘他:男子看護学生の学習経験に関す. 14)Deary IJ., et al.: A longitudinal cohort study of burnout and attrition in nursing students, Journal of Advanced Nursing, 43(1), 71-81, 2003.. る 研 究, 看 護 教 育 学 研 究,10(1),15-38, 2001. 37)田嶋紀子他:5年一貫看護師養成教育課程に. 15)前掲書 4)③.. 在籍する生徒の学習経験に関する研究,看護. 16)前掲書 3).. 教育学研究,22(1)41-56,2013.. 17)前掲書 4)④.. 38)D.F. ポーリット他,近藤潤子監訳:看護研究 . 18)前掲書 4)③.. 原理と方法,医学書院,743,2016.. 19)前掲書 3).. 39)前掲書 23),173.. 20)前掲書 4)③.. 40)山下暢子他:看護学実習における学習経験を. 21)Imogen M. King,杉森みど里訳:キング看護. 解明した面接方法の現状 ─ 質問項目に焦点を. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020. 23.
(14) 当てて ─ ,看護教育学研究,13(1),79-84, 2001.. 大学看護学部紀要,9-15,2003. 66)千葉朝子:看護学校在学中の看護師志望意志. 41)塚本友栄:就職後早期に退職した新人看護師. の変化と影響要因および職業的アイデンティ. の経験 ─ 就業を継続できた看護師との比較を. ティとの関連,国立病院看護研究学会誌,9. 通して ─ ,平成19年千葉大学大学院看護学研. (1),2-12,2013. 67)波多野梗子他:看護学生および看護婦の職業. 究科博士論文,2007. 42)舟島なをみ:看護教育学研究 発見・創造・ 証明の過程 第2版,医学書院,146,2018. 43)前掲書 42).. 的アイデンティティの変化,日本看護研究学 会雑誌,16(4),21-28,2013. 68)白鳥さつき:看護大学生が看護職を自己の職. 44)前掲書 23),176.. 業と決定するまでのプロセスの構造,日本看. 45)前掲書 23),170.. 護研究学会雑誌,32(1),2009.. 46)前掲書 23),187-188.. 69)前掲書 66).. 47)前掲書 23),155.. 70)鈴木美和:看護職者の職業経験に関する研. 48)日本看護教育学学会:日本看護教育学学会研. 究─ 病院に勤務する看護婦に焦点を当て. 究 倫 理 指 針 の 項, 看 護 教 育 学 研 究,26(1),. て ─ 千葉大学大学院看護学研究科平成11年度. 94-95,2017.. 修士論文,32,1999.. 49)前掲書 42),169.. 71)森岡清美編:新社会学辞典「上下関係」の項,. 50)前掲書 23).. 有斐閣,730,1993.. 51)山木健市,鈴木敏行:看護専門学校における 中途退学者の動向に関する研究,医学教育, 34巻(補冊),42,2003.. 72)池西静江他:看護教育へようこそ,医学書院, 20,2015. 73)前掲書 72).. 52)前掲書 7)①.. 74)薊理津子:屈辱感,羞恥心,罪悪感の喚起要. 53)布花原明子他:看護学科における就業状況の 改善に関する一試策,西南女学院大学紀要, 15,25-38,2011.. 因としての他者の特徴,パーソナリティ研究, 18(2),2010. 75)前掲書 72).. 54)前掲書 53).. 76)前掲書 22),79.. 55)前掲書 22),254.. 77)文部科学省:看護学教育モデル・コア・カリ. 56)前掲書 23),138.. キュラム,大学における看護系人材養成の在. 57)舟島なをみ:看護学教育における授業展開,. り方に関する検討会,4,2017. 78)前掲書 22),362.. 医学書院,6,2016. 58)前掲書 4)③.. 79)前掲書 72),22.. 59)前掲書 4)③.. 80)前掲書 72),7.. 60)前掲書 7)①.. 81)前掲書 72),7.. 61)佐藤栄子編:事例を通してやさしく学ぶ中範. 82)前掲書 72),9.. 囲理論入門 第2版,日総研,295,2017. 62)舟島なをみ他:看護のための人間発達学 第 5版,医学書院,199,2017.. 83)前掲書 72),49. 84)舟島なをみ監修:看護学教育における授業展 開 質の高い講義・演習・実習の実現に向け. 63)杉森みど里他:看護師養成教育課程における. て,医学書院,5,2016.. 学生の同一性形成に関わる経験の分析 ─ 臨床. 85)前掲書 7)①.. 経験2年目の看護婦の面接調査から ─ ,千葉. 86)金子多喜子他:学生の背景理解と担任レベル. 大学看護学部紀要,9-15,2003.. で の 支 援, 看 護 人 材 教 育,7(4),108-112, 2010.. 64)前掲書 62). 65)杉森みど里他:看護師養成教育課程における 学生の同一性形成に関わる経験の分析 ─ 臨床. 87)前掲書 53). 88)前掲書 22),51.. 経験2年目の看護婦の面接調査から ─ ,千葉. 24. 看護教育学研究 Vol.29 No. 1 2020.
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