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はじめに

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Academic year: 2021

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(1)連続講座「グローバル・ヒストリーズ―国民国家から新たな共同性へ」 第 2 シリーズ「歴史のなかの感覚変容」 第 1 回「音声をめぐる感覚変容―《声》の政治史・《音》の社会史」. はじめに 西 成彦 今年の連続講座は,とりわけ前近代以降の人間の身体にまつわる感覚の変容ということで,4 回が組み立てられていて,とりわけゲームという観点を加えると,その触覚性,四肢・手足の 問題が重視されてくるようになるので,そういう意味でも面白い 4 回になるのではないかと思 います。そして,本日はひとまず聴覚の問題ということになります。 まず,メイン講師の東琢磨さんのご紹介も兼ねて,少しだけお話ししておきます。 もともと東さんはディスクユニオンという,その昔,「レコード屋」と言われていたところに お勤めで,そういうこともあって幅広く,いわゆる人間が 20 世紀になってから流布させた,そ ういう音源不在のところに新しく音をちりばめるというシステムの末端で仕事をされてきて, また,その音楽の世界,グローバルな移動を追い掛けるかたちで,ずっと仕事をされてこられ た方ですので,今日スピーカーとしてお招きしたのは最善の選択であったと思います。 そのさまざまな足跡の中で得られた情報や思考を 1 冊の本にされたのが,もう 8 年ぐらい前 になると思いますけども,『全 ‐ 世界音楽論』(青土社,2003)という本で,いろいろな情報や 着想をいただけたという意味でも,非常に豊かな読書をさせていただきました。その中の 「Musical Instruments 楽器と音の至福」という短い文章の冒頭で,東さんは,こういう問い掛け をおこなっておられています。 ―世界と音の間に人間が入り込んだのは,いつのことなのだろうか。(p. 293) この文章に,僕は啓示を受けました。つまり,人間が人間である以前から,すでに地球上に は音というものが存在したわけです。人間も,そういう地球の中で音を発する,いわゆる動物 の一部として成立したわけなのです。ところが,その中で人間は世界の,まさにサウンドスケー プを大きく変容させる上で貢献したとも言え,また破壊的な役割を果たしてきたとも言えるわ けです。 もちろんランドスケープに関しては,もっと人間は大変なことをやってしまっているわけで, 人工衛星から,宇宙ステーションから眺めるような地球の風景をさえ変えてしまいかねない大 きな civilization というものを人間はつくり上げてきたわけです。しかし,かりにサウンドスケー プに目を移した都市としても,やはり人間が果たしてきた役割というのは,功罪を含めてとて も大きいということが,まず,あると思います。 そういう中で,先ほど申し上げたような録音技術,また,それを複製していく技術というよ うなものが,われわれの生活の中に音を偏在させる格好になってきていて,それは,まさにレコー ドや CD,あるいは,そういう,さまざまな音源を複製・拡散させていくようなメディアを介し て,われわれは,さまざまな音に触れることができると同時に,さまざまな音が世界中を飛び −1−.

(2) 立命館言語文化研究 24 巻 2 号. 交うという状況に,いま達しているわけです。 ですから,今日はそういう,この 100 年間ぐらいを振り返りながら,人間が地球上の音をど う作り変え,この状態にまで至らしめたのかを考える契機になろうかと思いますので,皆さん も一緒に,今日はこの問題について思考をめぐらせてみようと思います。 では,東さん,よろしくお願いします。. −2−.

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参照

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