• 検索結果がありません。

自己表現と学校適応感に関する一考察

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "自己表現と学校適応感に関する一考察"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)自己表現と学校適応感に関する一考察 学校教育学専攻 学校心理学コース. M06092H 古 本 眞 理        問題と目的. 効果を得て,普通科生徒との差を生じさせてい.  学校適応感についてはこれまでに様々な研. るのではないかと思われた。そこで本研究では,. 究がなされてきているが,その多くにおいて. この「いきいきと過ごしている」という実感を. 「友人適応」「教師適応」「学業適応」など,学校. 学校適応感とし,ダンス療法の理論から学校適. 環境で適応的と想定しうる項目の集合として. 応感の再構成を行い,質問細こよって生徒の学. 測定されている。(例えば,内藤・浅川・高瀬・古. 校生活における自己表現行動の程度を測定し. 川・小泉,1987;小泉,1995;浅川・森井古川・上. て,学校適応感との関係を確認した上で,自己. 地,2002など)。これに対して大久保(2005). 表現・自己主張の度合いの高い生徒は,学校適. は、学校適応感を個人一環境の適合性の視点か. 応感が高いという仮説,また,「身体表現」の. らr居心地の良さの感覚」r被信頼受容感」r課. 授業体験によって自己表現・自己主張の度合い,. 題・目的の存在」下劣等感の無さ」の4つの要. 学校適応感が高まるという仮説を検討するこ. 因として捉え直した。これら4要因のうち先の. とを目的とした。. 2つについては,他者とのコミュニケーション.          方 法. のあり方が深く関係しており,他者とのコミュ. 1.調査対象’H県立高等学校2学年に在籍す. ニケーション,つまり,他者1こ向けた自己表現. る144名。うち普通科107名(男子54名,女. や自己主張は,学校への満足感・適応感・享受. 子53名),Tコース37名(男子9名,女子28. 感の重要な要因と言える。. 名).  一般的に高校生は,周りの友人から浮くこと. 2.調査時期と手続き12007年4月下旬と. を回避して自己表現を控える傾向にあるが,筆. 2008年2月下旬(r身体表現」の授業履修前後). 者は自己表現に積極的で,かつ非常にいきいき. に行った。 調査は,被調査者の所属するクラ. と学校生活を送るクラスを経験した。そのTコ. ス単位で,クラス担任によってホームルームの. ース(1学級定員40名)では,普通科にはない. 時間に一割こ無記名で行われた。. 3.質問紙の構成. r身体表現」という授業があり,その内容がダ. ンス療法のダンスやムーブメントのエクササ. 1)自己表現回避傾向尺度  吉村(1997)の自. イズと類似しているため,ダンス療法の効果と. 己表現・主張測定尺度,清水ら(2003)の日本版. されている,身体的,精神的,社会的健康を維. Rathus Assertiveness Sclleau1e(RAS),金・. 持,増進,回復する(町田 1998)ことと同様の. 伊藤(2004)の児童用自己表現・主張尺度から項. 一88一.

(2) 目を収集し,20項目の自己表現回避傾向尺度. 点を目的変数とした重回帰分析、及び,各変数. を構成し、4件法で回答を求めた。. の下位尺度得点を説明変数と目的変数とする. 2)学校適応感尺度  古市玉木(1994)の学. 重回帰分析を行った。その結果,学校適応感の. 校享受感尺度,河村(1999)の学校生活満足度尺. 「外圧へのセルフコントロール」と「自分らしさ. 度(高校生用)と中高校生用スクール・モラール. の探求」は自己表現や自己主張の影響を受けな. 尺度から収集した50項目によって構成し,4. いが,全体的には自己表現行動レベルが高いほ. 件法で回答を求めた。. ど,また,自己表現回避傾向が低いほど.学校. 3)自己表現行動レベルの測定  被調査者の. 適応感が高まっていた。従って自己表現・自己. 日常生活の中での自己表現の度合いを測定す. 主張の度合いの高い生徒は高い学校適応感を. るために,具体的な8つの場面を設定して,3. 感じているという仮説は検証されたと言える。. 件法で回答を求めた。. 3.「身体表現」の授業体験によるTコース生.         結果と考察. と普通科生の差異の検討. 1.各尺度の因子分析.  「身体表現」の授業体験の影響をみるため,.  自己表現回避傾向尺度20項目について因子. Tコース生と普通科生の授業前後における自. 分析(主因子法・Varimax回転)を行った結果,. 己表現行動レベル,自己表現回避傾向と学校適. 固有値の推移と解釈可能性から3因子解(「表現. 応感の差を,それぞれの下位尺度における授業. 行動における消極性」「拒絶の困難」「表現1こ対. 前後の得点変化を従属変数として,所属(コー. する怖じ気」)を採用した。. スか普通科か)を独立変数,授業前の各下位尺.  学校適応感尺度50項目についても因子分析. 度得点を共変量とする共分散分析を行った。そ. (主因子法・Varimax回転)を行った結果,固有. の結果、自己表現回避傾向「表現行動における. 値の推移と解釈可能性から6因子解(「楽しさの. 消極性」と自己表現行動レベルおよび「他者と. 実感」rクラスでの存在感」r友人とのコミュニケ. のコミュニケーションによる安心感」を除くす. ーションによる安心感」r教師とのコミュニケ. べての学校適応感の下位尺度において所属の. ーションによる安心感」r外圧に対するセルフ. 主効果が有意となり、授業が終了した2月下旬. コントロール」r自分らしさの探求」)を採用した。. では,Tコース生は普通科生に比べて「表現行. その上で,第3因子と第4因子を「他者との. 動1こおける消極性」が低下し,自己表現行動レ. コミュニケーションによる安心感として合算. ベルが向上し,学校適応感の多くの側面もまた,. し,これら5因子を学校適応感の下位尺度とし. 普通科生よりも上昇していた。こ才しらの結果か. て分析に用いるものとした。. ら,「身体表現」の授業の効果として,自己表. 2.自己表現行動レベルと自己表現回避傾向,. 現回避傾向が抑制され,学校適応感を高めるこ. 学校適応感との関連. とが可能になるという予測は概ね支持され,ま.  自己表現や自己主張が学校適応感1こ及ぼす. た,授業そのものの効果として学校適応感の向. 影響を検討するために,自己表現回避傾向尺度. 上が認められた。. 項目の合計得点と自己表現行動レベル(8項目.      主任指導教官   淺川潔司. の合計得点)を説明変数,学校適応感の合計得.      指導教官 秋光恵子. 一89一.

(3)

参照

関連したドキュメント

[r]

当日は,同学校代表の中村浩二教 授(自然科学研究科)及び大久保英哲

It was shown clearly that an investigation candidate had a difference in an adaptation tendency according to a student's affiliation environment with the results at the time of

専攻の枠を越えて自由な教育と研究を行える よう,教官は自然科学研究科棟に居住して学

(注1)平成18年度から、

(評議員) 東邦協会 東京大学 石川県 評論家 国粋主義の立場を主張する『日

オーディエンスの生徒も勝敗を考えながらディベートを観戦し、ディベートが終わると 挙手で Government が勝ったか

小学校学習指導要領総則第1の3において、「学校における体育・健康に関する指導は、児