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グループ学習に困難を示す生徒とそれに対応する教師の指導・支援に関する研究

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(1)平成24年度. 学位論文. グループ学習に困難を示す生徒とそれに対応する教師の指導・支援に関する研究.    兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 特別支援教育専攻.     障害科学コース       …1092J.      石井弘佐代.

(2) 目次. 第1章 問題と目的..... 1.  第1節 問題.... 1.  第2節 本研究の目的........ 8.  第3節 本研究の進め方... 9. 第2章 研究I  第1節  目白勺.....  第2節  方法........、.....、.........  第3節  結果...、................、、....  第4節  考察.、........  第5節  研究11における調査項目の設定、..  .、.... 10.      10  ...... 10.      11  ....... 18. ....   19. 第3章 研究1I...  .... 21.  第1節 目的...     21.  第2節 方法...     21.  第3節 結果...     22.  第4節 考察... ........ 39. 第4章 総合考察.... 43.  第1節 グループ学習に困難を示す生徒の実態.....__...... 43.  第2節 グループ学習に困難を示す生徒に対応する教師の指導・支援の実態_. 45.  第3節今後の課題..................__._.__..... 48. <参考文献〉.......、......1.........、............. 巻末資料 謝辞. 52.

(3) 第1章問題と目的 第1節 問題  2007年4月から「学校教育法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第80号)の 施行により、「学校教育法」の「第6章特殊教育」は「第6章特別支援教育」(現在は第 8章)に改められ、特別支援教育が本格開始された。それまでの日本における障害のあ る児童生徒への教育は、障害の程度等に応じて特別の場で指導を行う特殊教育であった。. その日本の特殊教育に転換が図られたのである。これは2003年3月28目に出された文 部科学省の有識者会議報告『今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)』と、. それを受けて2005年12月8日に答申された中央審議会の『特別支援教育を推進するた めの制度の在り方について(答申)』等をへて具体化されてきたものである。『今後の特. 別支援教育の在り方について(最終報告)』の概要には、今後の特別支援教育の基本的 方向として、障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から障害のある児 童生徒一人一人の教育的二一ズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への 転換を図る、ということがうたわれている。これは世界的な動向であるノーマライゼー ションの進展に向けて、障害のある児童生徒の自立と社会参加を社会全体として、生涯 にわたって支援していくべき、との考え方に基づいているものである。そして特別支援 教育においては従来の特殊教育の対象である盲・聾・養護学校に就学すべき障害だけで は無く、通常の学級に在籍する、いわゆる発達障害のLD,AD/HD、高機能自閉症などを 持つ児童生徒への対応も課題とされた。特別支援教育はここに、小中学校においても発 達障害を含む障害のある児童生徒等に対して適切な教育を行うことが、法律上に明確に. 規定されたのである。その根拠とされたのは、2002年の文部科学省における「通常の 学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」である。. 2002年のこの全国実態調査によれば、知的発達に遅れはないものの、学習面か行動面 で著しい困難を持っていると担任教員が回答した児童生徒の割合が、学級においては 6.3%であると報告された。「この調査によって、特別支援教育は明確に『通常学級の課. 題』となった」といわれている(是永、2007)。通常学級で一人ひとりの二一ズに合っ た特別支援教育が求められるようになったのである。.  文部科学省は特別支援教育の体制整備や必要な取り組みが各学校に求められたこと を受け、例年「特別支援教育体制整備状況調査」を、全国の国公私立の幼稚園・小学校・. 中学校・高等学校及び中等教育学校を対象として実施している。調査項目は、次の8項 1.

(4) 目である。. a校内委員会の設置状況、開催回数 b.実態把握の実施状況 C.特別支援教育コーディネーターの指名、連絡調整等の実施状況 a.個別の指導計画の作成状況 e.個別の教育支援計画の作成状況. £巡回相談員の活用状況 g.専門家チームの活用状況 h.特別支援教育に関する教員研修の受講状況.  平成23年度特別支援教育に関する調査は2011年9月1目に実施され、2012年5月 11日付けでその結果が通知された。調査の概要によると、全国の「公立幼・小・中・. 高等学校の合計では、比較できる全ての調査項目で平成22年度を上回っており、全体 として体制整備が進んでいる状況がうかがえる」となっている。国公私立・幼心中高当. 学校合計の項目別実施率一全国集計グラフ(平成19∼22年度)をみると、「校内委員会 の設置」、r実態把握」、rコーディネーターの指名」に関しては、いずれも80%を超え、. 他の5項目に関しても、年度を追うごとに右肩上がりにあがってきており、これらの数 値を見る限りでは、通常学校での特別支援教育の基礎的な体制整備は進んできていると. いえよう。しかし、この数値に表れた体制整備が即、通常学校での特別支援教育の教室 の実態そのものであるといえるのだろうか。南澤(2008)は、「担任教師が特別な支援. を必要とする児童生徒を抱えており、学級経営に苦慮している」ことを明らかにしてい る。南澤の研究は、特別支援教育の本格開始後1年を経過した時点での研究であり、通 常学級の課題となった発達障害を持っ児童生徒の指導に関する現場の声を表明してい るものと思われる。では通常学級の課題となった発達障害を持つ児童生徒に対する指導 要領はどこに、どのように規定されているのだろうか。.  文部科学省は「通常学級の課題となった」発達障害を持つ児童生徒の指導に関して、 指導の指針となる学習指導要領については特別支援学校の学習指導要領に位置づけて いる。「自立活動」の下位項目である「3 人間関係の形成」は、(1)他者とのかかわ りの基礎に関すること、(2)他者の意図や感情の理解に関すること、(3)自己の理解 と行動の調整に関すること、(4)集団への参加の基礎に関することからなっている。 「(1)他者とのかかわりの基礎に関すること。」は、人に対する基本的な信頼感を持ち、.

(5) 他者からの働きかけを受け止め、それに応じることができるようにすることを意味し、 指導内容例と留意点が示されている。「(2)他者の意図や感情の理解に関すること」に ついては、他者の意図や感情を理解し、場に応じた適切な行動をとることが出来るよう にすることを意味し、指導内容例と留意点が示されている。発達障害の具体的な診断名 を伴う記載は「(3)自己の理解と行動の調整に関すること」において記載されている。. それによると、「ADHDのある幼児児童生徒」に関しては、「状況にそぐわない行動を することがあるために友達に受け入れられず、集団参加が難しい場合がある。」と指摘 し、自分の困難を理解したうえで状況を観察したり理解したりする態度を身につけるこ. とが必要なので、ADHDのある幼児児童生徒に対しては、「具体的な状況を設定して指 導することが大切である」、と記載している。さらに自己肯定感が高められるような指. 導内容の検討が重要であることも述べている。次に「自閉症のある幼児児童生徒」につ いては、「他者が自分をどう見ているか」等の、他者の意図に対する理解が十分でない ことをあげ、友達の行動に対して適切に応じることが出来ない場合の指導を「体験的な 活動を通して」、自己理解を促したり他者への対応方法を身につけたり等、関連づけて 指導内容を設定することが必要であると述べている。また、「LDのある幼児児童生徒」 に関しては、「友達との会話の背景や経過を類推することが難しく、そのために集団に. 積極的に参加出来ないことがある」と指摘し、あらかじめ少人数の集団の中で学習して おくことが必要である」としている。.  さらに「(4)集団への参加の基礎に関すること」については「集団の雰囲気に合わ せたり、集団に参加するための手順や決まりを理解したりして、遊びや集団活動などに 積極的に参加できるようになることを意味している」と定義づけたうえで、「障害のあ. る幼児児童生徒は… 集団生活に適応できないことがある」ことを認め、具体的には LDのある幼児児童生徒を取り上げて、「あらかじめ少人数の集団の中で学習しておく ことが必要である」と記載しているのである。つまり、学習指導要領からは、発達障害 のある幼児児童生徒は集団への参加が難しい場合があるので、ロールプレイなどで自ら 学習することを進めつつ、「できるだけ具体的な状況を設定して指導することが大切で ある。」と記載されていると読み取ることができる。これらは一見、的を射た指導要領. を示しているようだが、r漠然とした提案しかしていない」(堀家、2012)との指摘も ある通り、この学習指導要領からは、個々に応じた具体的な指導・支援が見えてこない。. しかも通常学校における指導要領ではなく、特別支援学校での指導要領であるため、通.

(6) 常学校での発達障害のある児童生徒の指導には当然適用されない。通常学校に設置され た特別支援学級やr通級による指導」において参考とされるのみである。.  さらに特別支援教育の本格開始2年後には腰川ら(2010)によりr特別支援教育の 対象とならない児童・生徒の中にも授業への参加を促すために苦慮する児童生徒が存在 する」ことが報告されている。これは、発達障害と診断された児童生徒に加え、発達障 害という診断のない、表面上では特性がわかりにくいため支援が十分には行われていな い境界域の発達障害や、グレーゾーンともいわれている生徒たちの存在を意味する。通 常学級の課題となった発達障害を持っ児童生徒のほかに、診断はされていないが同様な. 傾向を持つ児童生徒に対する指導や支援のあり方についても検討することは、通常学級 において不可避な状況であることが示されたといえよう。腰川らは個別支援の対象とな らない児童の授業への参加について、グループ学習や教師の声がけで改善されたことを. 報告し、このような授業への参加が難しい児童生徒への通常学級における指導・支援に 関しては、グループ学習が有効であることを明らかにしている。.  グループ学習は論者により見解の相違はあるものの、一般には「学級集団を一定時間 解体してスモール・グループに分け、多少なりとも主体的に決めたテーマに取り組み、 活動の結果を次の授業の局面で活用する」(Traub,2004)という授業形態のことを指し ている(原田、2010)。このようなグループ学習は、成員の数が少ないことから一斉授. 業よりも積極的に生徒たちを授業過程に参画させ、一人では解決できない問題でも解決 できる可能性を開き、個人の能力を超えて学び合うことができる触発を成員から受ける ことができる学習形態である)と報告されている(杉江、1999)。.  また植木ら(2012)は、中学校の総合的な学習の時間における個人学習とグループ学 習を組み合わせた学習指導案を提案し、個人学習とグループ学習とを交互に組み合わせ た指導を行うことで、学習者に自ら課題設定を行えたと強く意識させる効果があること. や、学習に対する強い意欲を喚起させ、最後まで真剣に取り組めたと強く感じさせる効 果があることを明らかにしている。.  一方、通常学校での特別支援教育は、子どもの参加に開かれた学級指導論理がテーマ となることをあげ、集団の中での学びは「差異はありつつも共同していく世界を作り出 していく力を育てる」ことになり(湯浅、2008)、「その特異な身体生理的特長をクラス. の子どもたちから認められ、共に生活していく上で関係性を通した自己を捉え、自己肯 定感を持つ」ことも報告されている(越野、2011)。さらに、特別支援教育における通 4.

(7) 常学級の授業づくりにおいては、授業の形態を個別形態や一斉形態、小集団形態という 交互転換のある授業過程を取り入れることが、特別な教育的二一ズのある児童生徒と周 囲の生徒とが集団としてつながっていく授業方法であることも考察されている(吉田、 2009)。.  このように障害の持つ特性ゆえに、とかく迷惑な存在として排除されがちな発達障害 児の思いや意見表明が聞き取られる場と関係が、学級に形成されることがイングルーシ ヴ教育の理念の具現化には欠かせないのである。それは診断はされていないが同様な傾 向を持つ児童生徒についても同じで、湯浅は従来の学校と教師側の主導による学習内容、 学習方法から、発達障害児の学習リズムに添った特別支援教育を主張している。教える. から学びへ、困っている子の立場から、という視点での授業の実践が重要であると述べ ているのである。.  このように学校教育では児童生徒の主体的な学びや協同的な学びの重要性が強調さ れ、グループ学習を取り入れた授業が多く見られるようになっている(長田ら、2008)。. 佐藤(2006)は、「『競争的環境』の個人学習ではなく、『協同的学習』のグループ学習 の方が生産性が高いことは心理学領域の数多い研究ですでに立証されている」として、 「教室における学びは対話的コミュニケーションの活動であり、その過程にいくつもの 対話的実践が埋め込まれてる」と述べている。佐藤によると、対話的コミュニケーショ ンの成立する教室では「聴き合う関わり」が成立しており、互いに学びあう関係から、 「互恵的な学び」が実現し、「学び合う関係は相互的な学びであり、相互の協同によっ. て個人では達成できない、より高度でより豊かな学びを遂行する」としている。そして この学び合いこそ特別支援教育にも十分有効であると述べている(津守・岩崎、2005)。.  では教室で班をつくり、グループ学習を実施すれば直ちに学びあいは実現し、イング ルーシヴ教育は具現化するのだろうか。.  出口(2001)は、一斉学習に比べてグループ学習の方が学業の達成度や協同的態度が 促進され、異文化に対する態度もより肯定的になったことをふまえてもなお、教育の現 場で指摘されている問題点があることを述べている。出口は先行研究と教育の現場にお ける認知の相違が存在することを指摘し、現場における認知の内容を先行研究をふまえて 次の通りとしている。「危険な人間関係がある場合は、それがさらに進む場合がある」「考 えない子が出る場合がある」「力のある子の追及を鈍らせる場合がある」「力のある子・. 集団の力に屈服する子が出る場合がある」「集団思考により、むしろ低い考えが出され 5.

(8) てくる可能性がある」である。先の学習指導要領によれば、発達障害のある幼児児童生 徒は集団への参加が難しいと位置づけられている。障害の特性からも社会性の障害やコ ミュニケーションカの障害があり、集団活動には不適応をきたすことが明らかにされて. いる。出口によれば、グループ学習を実施することによりさらに不適応により生じた危 険な人間関係が進む場合がある、というのである。.  事実、自閉症者の自叙伝を読むと、共通して幼い頃からの学校への不適応が述べられ ている。生きにくさを人生の最初に覚えるのは幼稚園からはじまって、学校社会という. 集団への参加からなのである。集団への参加を実現するために、出口は、グループ学習 を実施するには、グループ学習の学習形態を取るだけにとどまらず、適切な指導が必要 になることを報告している。rグループ学習を行う際には、P行動(課題指向的な指導). とM行動(対人関係を指向した指導)の複数の指導方法の組み合わせの効果について留 意して考察することが重要」であることを明らかにし、先行研究と教育の現場における 認知の差は、Gilless&Ashman(1996.1997)による「訓練されていない」あるいは「構. 造化されていない」グループ学習が行われ、グループ学習による効果が十分に発揮され ていない可能性が考えられる、ことを指摘しているのである。特別支援教育にとって有 効であるといわれるグループ学習にも児童生徒が参加に困難を生み出す可能性がある ということである。.  興津、関戸(2007)は、クラスワイド社会的スキルトレーニングとトークンエコノミ ーを適用した介入パッケージを用いて、担任が通常学級で授業参加に困難を示す児童へ の支援を行った実践研究で、「授業中の対象児の行動問題は減少したが、グループ学習. や行事のように見通しを持ちづらい場面では、行動問題が観察された」と述べている。 学習形態別の変容では、「一斉学習と少人数学習では行動問題が大幅に減少したが、グ ループ学習では他の学習形態ほど行動問題が減少しなかった」と述べ、その要因をグル ープ学習と対象児の特性(広汎性発達障害)によるものであろうとし、担任や級友の配 慮が必要であると述べている。.  また、中学校におけるグループ学習については、発達段階が思春期であることから考 えられるコミュニケーションカ不足もあることから、様々な課題が散見されるとの指摘 がある。山本(2011)は、中学生は発達段階が「小学校高学年から中学生にかけては仲 間意識が高まる時期」であるが、「コミュニケーションカが十分に発揮されることなく. 様々な悩みが固定化して来る時期」でもあり、集団内での居場所のなさや学習意欲の低.

(9) 下などといった課題があることを指摘している。山本によると、コミュニケーションカ が極めて低い生徒や人間関係に困難を感じている生徒は、協同学習という学習形態に乗 り切れないというのである。そこで山本は、4人一組によるグループ学習を実践し、討 論と対話をもとに、多様な考え方を尊重し、自己の変容を受け入れあう場を設定するこ とや、学校全体での取り組みを推奨していくことで生徒たちはもとより教師間のコミュ. ニケーションカが高まったと報告しているのである。しかし、残念なことにこの論文に おいては特別支援教育への言及がなされていない。果たしてグループ学習に困難を示す 発達障害を持つ生徒は存在しなかったのだろうか。発達障害を持つ生徒や同じような特 性を示す生徒は、少なくとも6.3%は存在しているはずである。障害の特性からコミュ ニケーションカが極めて低い生徒や人間関係に困難を感じている生徒がグループ学習 ですっきりコミュニケーションカを高めることができたのだろうか。それが実践できた のであれば、6.3%という数値は低くなっていくことであろう。.  平成24年12月5目、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課より「通常の学級に 在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調 査結果について」が報告された。調査の目的はr特別支援教育が本格開始されてから5 年が経過し、その実施状況について把握することが重要である。また、障害者の権利に 関する条約に基づくイングルーシヴ教育システムを今後構築していくに当たり、障害の ある子どもの現在の状況を把握することが重要である。そのため、本調査により、通常. の学級に在籍する知的発達に遅れは無いものの発達障害の可能性のある特別な教育的 本支援を必要とする児童生徒の実態を明らかにし、今後の施策の在り方や教育の在り方 の検討の基礎資料とする。」ことにあるとしている。.  その結果に対する考察によれば、児童生徒の困難の状況について、平成14年に行わ れた「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の実態調査」で示 された、知的発達に遅れは無いものの学習面または行動面で著しい困難を示すとされた 児童生徒について、平成14年の割合6.3%を上回る、6.5%であることが報告されてい た。もちろん報告書は、今回の調査では調査の対象地域や学校、児童生徒の抽出方法が 平成14年とは異なることから、この数値をもって単純に「増えた」、「減った」といっ た比較は出来ないことに留意する必要がある、と述べている。.  とはいえ、先の全国調査から10年が経過した時点での全国調査である。やはり比較 して現状分析を加えるのが当然である、と考えるべきであろう。さらに、困難を示すか.

(10) れらへの対応は4割以上が出来ていないとの報告であった。体制整備が整っていると報 告されている「校内委員会」でさえ、機能はしていない、と調査は報告しているのであ る。また、実態調査とはいいながら、発達障害の可能性を持つ児童生徒が示す困難の具 体的な実態は見えてこず、単に障害の特性に当てはめただけの内容であるともいえよう。 具体的な実態が見えてこない限り指導・支援の方策もとりがたい。.  もしグループ学習を十分機能させることができたなら、この問題は解決していくだろ う。しかし、出口が指摘するように、もしグループ学習をうまく活用できないときには、. 発達障害のある児童生徒、もしくは診断はされていないが同様な傾向のある児童生徒に とって、障害の特性による不適応がさらに生じる活動になっていくことが推測される。. 第2節 本研究の日的  本研究は、通常学校における発達に障害を持つ生徒、および診断はされていないが、 同様な傾向を持つ生徒に焦点をあててその実態を明らかにすることから、対応する教師 の具体的な支援策を求めることを目論むものである。その際、漠然と対象を近隣の学校 の一斉授業に求めるのではなく、グループ学習に特化した実態調査が有効であると考え られる。つまり、これまで見てきたとおり、グループ学習は児童生徒の主体的な学びや 協同的な学びにつながるとされていること、小集団であることから、指導する教師は生 徒たち一人ひとりに目をかけることが出来ると思われる。また児童生徒個々の活動が重 視されるグループ活動は、集団活動への参加に困難な児童生徒の社会性の障害やコミュ ニケーションカについての困難も生じやすく、教師の気づきにもつながりやすいと考え られるからである。.  そこで、通常学校における特別支援教育は、「グループ学習において、グループ学習 に困難を示す児童生徒が存在し、教師は配慮が必要な児童生徒の存在を認識しつつも具 体的な指導・支援の手立てがわからず苦慮している」という仮説を立てた。通常学校で の特別支援教育の課題は、グループ学習場面に特化して、グループ学習に困難を示す生 徒の実態を明らかにすることで見えてくると思われる。そして対応する教師の指導・支 援の実態も明らかになることにより、今後の教師支援二一ズを導き出すための基礎とな る資料が提供できると思われる。.  本研究では、研究場所を中学校に特定し、グループ学習に困難を示す生徒、及びそれ に対応する教師の指導支援の実態を明らかにすることを目的とする。.

(11) 第3節本研究の進め方 (1)研究I 通常学級での特別支援教育の実施において、グループ学習に困難を示す生. 徒が存在し、教師は配慮が必要な生徒の存在を認識しつつも具体的な指導・支援の手立 てがわからず苦慮していると仮説して、質問紙による事前調査を実施する。. (2)研究1I研究Iで明らかになった課題をふまえて、グループ学習場面に特化して、 「通常学級でのグループ学習と特別な教育的二一ズに関するアンケート」と題した質問 紙調査を実施し、生徒の実態と教師の指導・支援の実態を明らかにする。. 9.

(12) 第2章 研究I 第1節 目的  通常学校における特別支援教育は、「グループ学習において、グループ学習に困難を 示す児童生徒が存在し、教師は配慮が必要な児童生徒の存在を認識しつつも具体的な指 導・支援の手立てがわからず苦慮している」という仮説のもとに、質問紙によるアンケ ート調査を実施した。この調査は、仮説内容を明らかにすることを目的とする。. 第2節 方法 1 対象  全校をあげて協働学習に取り組むA中学校では、佐藤学が提唱する教育実践論であ る学びの共同体づくりをキーワードに授業実践を行っている。A中学校における学びあ いでは、グループ学習を学びの形態としてだけではなく、個人の学びからグループの学 び、ひいてはクラスの学びへとつながる機能としての働きであるととらえ、課題設定な. どにも取り組んでいる。ヴィゴツキーのr最近接領域」を待つまでもなく、人は人との 関わりの中で発達するといわれているが、人と関わることが苦手とされる、いわゆる発 達障害を持つ子どもたちにとって、また指導に当たる教師にとって学びあいの現実はど のようなものなのだろうか。.  A中学校において大学教員による校内研修会「中学校で出来る最初の特別支援教育」 を開会する機会を得たので、研修会に参加した教師に対して質問紙調査を計画し、実施 した。さらに、研修会には参加しなかったが同中学校に勤務する非常勤講師も調査の対 象と考え、後目質問紙を配布し回収した。. 2 時期  2012年2月に実施する 3 手続き  校内研修会「中学校で出来る最初の特別支援教育」が開会される際、質問紙(巻末に 掲載 資料1)を参加者全員に配布し、研修会終了後記入してもらい回収した。配布し. た18名全員から回答が得られた。また研修会に参加しなかった講師5名には研修会当 目の資料とあわせて質問紙を配布したところ、内3名から回答が得られた。回収した調 査紙は表計算ソフト(Microsoft Exce1)を用いて集計し、自由記述の分析は、古井(2011). の質的分析を参照して行った。. 4 内容 10.

(13)  この質問紙調査では、グループ学習を実践している現場の現実の声が得られる構成に を考慮して、以下の6つの項目を設定した。回答方法は、当てはまる、やや当てはまる、. やや当てはまらない、当てはまらない、の4件法及び記述によるものとした。ただし、 一部の設問に対してはどちらともいえない、無回答もあったので、それはそのまま集計 に加えた。. (1−1)授業時、個別の二一ズに応える必要性を感じることがある (1−2)必要性があると感じたとき自分は対処できていると思う (2−1)グループ学習での学びが困難な生徒に気付くときがある (2−2)気付いたとき自分は対処できていると思う. (3)2002年の文科省の統計ではr困難を持つ生徒」は6.3%だった、と報告されてい.  る。増えたと思うか (4)困難を持つ子が教室にいることのメリットは大きい。. (5)発達障害など、表面からは見えない障害について知りたいと思うときがある (6)その他 自由記述. 第3節 結果  集計は表2−1に示す通りとなった。以下、項目ごとに順次結果を述べていく。 (1−1)授業時、個別の二一ズに応える必要性を感じることがある。.  当てはまる14名67%、やや当てはまる5名24%の回答が得られた。これから全体 の91%が「当てはまる」と回答していることが分かる。ただし何を個別の二一ズとす るか、内容を定義していなかったため「個別の二一ズ」が特定されないこととなり、「学 力」、「発達障害などの特別な二一ズ」という両面から捉えた上での「個別の二一ズ」の. 必要性を感じていることが示された。記述による回答には、9つの意味のまとまりがあ り、生徒の「学力の二極化」、教師の「学習支援及び障害の特性理解の必要」があるが. r適切な対応が出来ないことがよくある」など5つのコードが得られた。これらはさら に①生徒の実態、②教師の指導・支援、③教師の困り感の3つのカテゴリーに分類でき た。以後、記述による回答は、3つのカテゴリーに分類する。(巻末に掲載 資料2)  ①生徒の実態   ・学力の二極化   ・特性のある子どもの存在(学習支援と発達障害の特性).  ②教師の指導・支援 11.

(14)   ・特性理解ができていない   ・試行錯誤の繰り返し.  ③教師の困り感   ・適切な対処が出来ないことがよくある (1−2)必要性があると感じたとき、自分は対処できていると思う。.  当てはまると回答したものはO名だった。やや当てはまるが8名で、これは全体の 42%に当たる。残りの58%はやや当てはまらない、当てはまらないと回答しており、 58%にあたる対処できなかったに当てはまるグループの記述によると、二一ズの多様化 による対処の困難があげられており、全体指導の中で個別の指導をしていく上でのバラ ンスをとる難しさ、授業の進度とのからみからくる対処の困難も述べられ、対処はした が十分であったか不安であるという記述も見られた。.  記述による意味のまとまりは14得られ、コードは6つあった。これらは先の3つの カテゴリーのうち、②教師の指導支援、③教師の困り感に分類できた。.  ②教師の指導・支援   ・机間巡視などでできるだけ対応   ・全体指導と個別指導のバランスが難しい   ・進度とのかねあいの難しさ  ③教師の困り感   ・二一ズの多様化に対して効果的な対応ができているか、不安が多い   ・自分なりに対処しても十分ではないと感じている   ・測り間違えて自分自身が怪我しそうになったことがある (2−1)グループ学習での学びが困難な生徒に気付くときがある.  当てはまるが9名、ややあてはまるが12名で、やや当てはまらない、当てはまらな いはO名であった。つまり100%の回答者がグループ学習時に困難を示す生徒に気付い ていると回答している。記述については、次の設問である(2−2)気付いたとき自分は 対処できていると思う、と回答欄をこえて連関して記述されていた。.  記述による意味のまとまりは15、さらにコードは8あり、それらを3つのカテゴリ ーに分類した。.  ①生徒の実態   ・話し合いの輪に入れない 12.

(15)   ・グループ行動をしない   ’グループでの人間関係を作れない  ②教師の指導・支援   ・課題の設定   ・グループ構成メンバーに配慮   ・生徒同士の働きかけをさせる  ③教師の困り感   ・配慮してもうまくいくときといかないときがあり、非常に難しい、これでいいの    か悩む.   ・特性の見極めが難しく個別の対応が不十分 (2−2)気付いたとき自分は対処できていると思う。.  当てはまる0名、やや当てはまる9名と全体の43%が対処出来ていると回答してい る。一方、やや当てはまらない11名、当てはまらない1名と57%は対処出来ていない と回答している。記述によると、対処できたと回答した教師は、メンバー構成に配慮す. る、課題設定を工夫する、生徒同士の関わらせ方を工夫すると答えている。一方、やや 当てはまらない、当てはまらないと回答した教師は、生徒同士をどう関わらせるかが非 常に難しい、継続した指導方法が必要だが難しい、個別の対応が不十分、特性の見極め が難しい、構成メンバーを配慮するが、うまくいくときとそうでないときがある、具体 的な対処方法が参考になると思う、などの記述があった。. (3)2002年の文科省の統計では「困難を持っ生徒」は613%だった、と報告されてい る。増えたと思うか。.  当てはまる7名、やや当てはまる7名と、全体の66%が「増えている」と回答してい る。記述には、注意力が落ちた子供が増えている、明らかに増えている、個別性が認め られる時代だから当然だが、以前よりも適応しない傾向が顕著だ、という生徒の実態の. 一部を示す記述があった。一方、核家族が増えて適応を学習する機会が減ったのではな いか、と原因に言及した記述も見られたが、増加感はあるものの、その背景にある原因 について知りたいという記述もあった。ただ、無回答・分からないがあったことは、先 の報告の6.3%そのものに対する疑問を示す記述もあり、これは設問の不備であった。.  記述による意味のまとまりは10得られ、コードは4で、①生徒の実態と③教師の困 り感に分類できた。 13.

(16)  ①生徒の実態   ・「昔からいた」とよくいわれるが核家族化などもあり、適応を学習する機会が少.    なくなっている子どもたち   ・注意力が落ちた子どもが増えた   ・個別性が認められる時代だから傾向が顕著だ。(発達障害の傾向).  ③教師の困り感   ・本当に増えているのか、原因を知りたい (4)困難を持つ子が教室にいることのメリットは大きい。.  この設問でいう「メリット」とは、文部科学省の特別支援教育のあり方に関する特別 委員会が論点整理の中で述べている「障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶ ことは、共生社会の形成に向けて望ましいと考えられる。同じ社会に生きる人間として、 お互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合って生きていくことの大切さを学ぶなど、. 個人の価値を尊重する態度や自他の敬愛と協力を重んずる態度を養うことが期待でき る」に当てはめている。このようなメリットを、はたして現場はどう感じているのか。. 当てはまる2名、やや当てはまる11名と62%がメリットがあると回答している。  個々の記述から見えてきたのは、「教師を育てる」、「生徒を育てる」、「人生を考える」. という、関連はあるが異なる視点からの回答である。生徒を育てるメリットがあると教 師が考えるのは、人は一人ひとり違う、ということを学ぶことができる、周囲の生徒は 付き合い方や学習への手助けを学ぶことができる、学校は人との関わりを学ぶところな ので多様な生徒がいることが学びになる、などである。教師を育てるメリットがあると. 教師が考えるのは、教師の対応力が伸びる(その子がいることで学べる)、多様な子供 がいることでその子から学ぶことができる、授業作りについて考えを深めることができ る、その子がいる事で全体を見る目が養われる、いろいろな面を認め合うことの大切さ. に気づくことができる、学校は人とのか関わりを学ぶところなので多様な生徒がいる事 が学びになる、学級経営に特別支援の視点が必要であることに気づく、などであった。. また(教師が)人生を考えるメリットがある、と考えるのは、人はそれぞれ違う。その 違いを味わえることこそ、豊かな人間社会の根底であると考えます、本来、人は多様で ある。学校は人との関わりを学ぶ場であるはずだから、それぞれの個性を生かし、(良 さを評価しながら)生活できると楽しい、などがあった。.  一方、やや当てはまらないが4名、当てはまらないが1名と24%がメリットがない 14.

(17) と回答している。その記述によると、支援を有効的にしているかは疑問がある、メリッ トになるまでのクラスの熟成期間が必要になる、教師の対応力や気付きが必要になる、. などがあった。また、この設問には問いの意味が不明との回答が3名あった。記述には メリットとはなんぞや、メリットがあるかないか、考えるのは不自然である、とあり、 ここでもメリットを定義していない設問の不備が表れた。.  記述からは21の意味のまとまりが得られた。7つのコードをもとに先の3つのカテ ゴリーに分けた。.  ①生徒の実態(教師の希望的観測).   ・周囲の生徒にとってもつきあい方や学習の手助けを学べる   ・人はそれぞれ違う、ということを学ぶことが出来る  ②教師の指導・支援   ・生徒への対応力が伸びる   ・全体を見ていく目が養われる   ・困難を持つ子から学ぶ.  ③教師の困り感   ・支援を有効的にしているのかは疑問がある   ・メリットの有無を考えるのは不自然 (5)発達障害など、表面からは見えない障害について知りたいと思うときがある。.  当てはまる11名、やや当てはまる9名と全体の95%が知りたいと思うときがあると 回答している。記述には、授業者としての具体的な内容に関する記述がみられた。・表 面からは見えない障害について知ることでよりよい学級作り、授業作りにつなげること できる。・“自己流”には限界がある。・教育者として必要な知識である。・物事をうまく. 進めるための、なんらかのヒントを得たいときがあるのでその手段として、それぞれの 障害にあった対処法を知りたい。・他の生徒と同じように接していては伸びない生徒も. いるということを知ることが大切である、である。生徒を理解していくうえで必要と思 われる、(特別な二一ズのある子が)なぜそうなのか、どう考えているのかを知りたい、. という記述や、不登校や思春期やせ症などはっきり見えるものと見えないものとがあり、 見えないものをこれまで分からないままですませてきたのかもしれない、記述もあった。.  その一方、障害の知識を得ることで、障害に当てはめるだけになってしまい、個々へ の対応がおろそかになってしまう、ケースバイケースの場面がとても多い、の記述も見 15.

(18) られた。障害の知識があることで、かえって個を見ないで画一的な対応に陥ってしまう のではないか、教師として必要な知識ではあるが優先度はそれほど高くないのではない. か、という記述もあった。記述から得られた意味のまとまりは12で、コードは6、次 の通り3つのカテゴリーに分類した。.  ①生徒の実態   ・他の生徒と同じように接していては伸びない生徒もいる(多様な二一ズ).  ②教師の指導・支援   ・学級づくり、授業づくりにつなげることが出来る   ・障害に当てはめるだけになってしまい、個々の対応がおろそかになってしまう。.   ・必要な知識ではあるが優先度はそれほど高くない  ③教師の困り感   ・ケースバイケースの場面がとても多い   ・それぞれの障害に合った対処法を知りたい (6)自由記述.  これまで設間ごとの記述により得られた内容から意味のまとまりが81得られ、36の コードを抽出し、さらに、3つのカテゴリーに分類してきた。自由記述からは54の意 味のまとまりが得られた。それを17のコードに分け、さらに先の3つのカテゴリーに 集約した。.  ①生徒の実態   ・形を変えて特別支援外の生徒(発達障害の診断の有無に関わらない).   ・生徒の突発的な感情・行動なのか、障害の特性なのか見極められない生徒   ・支援の必要な生徒と支援を支える生徒   ・発達障害の特徴のある生徒  ②教師の指導・支援   ・特別支援教育は基本的な授業方法であり、人間のコミュニケーションのあり方で    ある.   ・支援の必要な生徒だけではなく、全ての生徒への関わり方をしっかり考える必要    がある。(発達障害と診断されている子どもに関わることは、他の生徒へも優し    い関わりになると思う).   ・障害の有無により集団の中での指導、接し方に差が出ることから、基準が複数に 16.

(19)   なって悩む  ・分かりやすい授業作りが支援を必要とする生徒にも、支援を支える生徒にも必要   ・特別支援のフィルターを通して色眼鏡で見る教師。   ・教師自身の良好な関係作りが生徒との関係を作ることにっながる。   ・自分の指導をメタ認知することが大切だ。. ③教師の困り感   ・どれほど効果的な対応が出来ているか不安な部分が多い。   ・自分なりに対処しているが個別め対応が十分にはできていない。   ・教師の対応力や気づきが一層必要になる.  ・非行傾向のある生徒に対してどのように継続して指導していけばよいのかわから   ない。.  ・小さな成功体験、ほめるところがみつからない。.  ・全体指導のなかでの個別の指導はバランスがとりにくく難しい  ・研修会での具体的なお話が参考になる、といった対処法を知りたい。. (表2−1)アンケート項目別集計  n=21単位(人) 項目. 授業時、個別の二一ズに応える必要 @  性を感じることがある. 必要性があると感じたとき自分は対 ?ナきていると思う グループ学習での学びが困難な生徒 ノ気付くときがある. 気付いたとき自分は対処できている ニ思う 2002年の文科省の統計では「困難を 揩ツ生徒」はa3%だった、と報告さ @れている。増えたと思うか。 困難を持つ子が教室にいることのメ @   リットは大きい。. 発達障害など、表面からは見えない 瘧Qについて知りたいと思うときが. 当てはま やや当て やや当て あてはま どちらで ワ ワ  オ @ナい @ナい 14(67%). 5(24%). 2(9%). O(0%). 0(0%). 8(42%). 10(53%). 1(5%). 9(43%). 12(57%). 0(O%). O(O%). O(0%). 9(43%). 11(52%). 1(5%). 7(33%). 7(33%). 4(19%). 1(5%). 2(1O%). 2(10%). 11(52%). 4(19%). 1(5%). 3(14%). 11(52%). 9(43%). 1(5%). O(O%). 17.

(20) 第4節 考察  調査の結果、仮説である通常学級でのグループ学習において、グループ学習に困難を 示す生徒が存在する、に対しては、回答者の100%が当てはまる、もしくはやや当ては まると回答している。これにより、グループ学習に困難を示す生徒が存在していること が示された。また、教師は配慮が必要な生徒の存在を認識しつつも具体的な指導・支援 の手立てがわからず苦慮しているに対しては、困難を示す生徒に気付いたとき、対処で. きた、に対する回答が、当てはまるO%、やや当てはまる42%であることから、対処に 苦慮していることが示された。当てはまる、ときっぱり答えることができない自信のな さも示されているものと考えられる。.  記述から浮かび上がるのは、グループ行動をしない、グループ内での人間関係づくり ができない、話し合いの輪に入れないといった、他者とのかかわりをうまく築いていけ. ない生徒たちの姿である。ここからは他者の話を聞く、他者の思いを受け止める、自分 の言いたいことはかり言わない、などといった社会性に関わる障害の傾向も読み取るこ とができる。このように発達障害の特徴的な行動をとる生徒の存在も記述されているこ とから、グループ学習時には教師の気づきが得られやすいことが示唆された。また記述. からは、多様な二一ズを示す生徒たちへの対応にとまどい、さらに対応しているものの これでよいのか悩むなど、教師個々の対応には限界があると感じていることもうかがえ. た。さらに教師たちは、学級経営・授業作り・生徒指導という教師の職務を遂行してい く上で、障害の知識があるとよいと考えていることも示された。これは、2007年の特 別支援教育本格開始以来、特別な教育的二一ズに対応する教育の場が、通常学校へと広 がったことと無関係ではないと思われる。広がったことで二一ズは増加し、教師は対応 に苦慮していることがうかがえる。  発達障害を持つ生徒は、「自閉症スペクトラム障害である」、「アスペルカー症候群で ある」、「ADHDである」、という診断がなされている生徒であっても、表面上は障害の特. 性はなかなか見えない。また、「発達の凸凹」(杉山、2011)を持つ生徒の存在も見逃せ. ない。杉山は「発達の凸凹十適応障害=発達障害」とその著書で表している。学校は適 応障害を起こす場ではなく、教育の場であることを忘れてはならないのである。.  今回の調査の中で、特別な教育的二一ズを持つ生徒に対応するには、障害に固執する ことなく多面的に捉える必要がある、という記述も見られた。これは今後の特別支援教 育への警鐘であるともいえよう。 18.

(21)  研究Iの目的である、「通常学校における特別支援教育の実態と教師支援二一ズを明 らかにする」については、グループ学習場面に特化することで目的が果たせるのではな いか、という見通しは立てられた。具体的内容としては設問項目ごとの記述と自由記述. をあわせると、意味のまとまりは135得られ、コードは53、それらを3つのカテゴリ ーに集約できた。①生徒の実態 ②教師の指導・支援、③教師の困り感である。これら. から、回答者たちは、グループ学習場面において発達障害の有無にかかわらず、それぞ れの二一ズに合った関わりが必要であるが、対処は十分ではないと捉えていることが示 唆された。しかし、生徒、教師それぞれの詳細な実態は明らかにならず、課題を残した 結果となった。また調査範囲を広げる必要性も考えられた。. 第5節 研究皿1こおける調査項目の設定.  そこで本研究は研究nとして、グループ学習場面に特化して(1)発達障害を持つ生 徒、及び診断はされていないが同様な傾向を持つ生徒の実態を明らかにする、(2)通 常学校で特別支援教育を実践している教員、講師への指導・支援の実態を明らかにする、. ことを目的とした質問紙調査を実施することを計画した(巻末に掲載 資料3)。.  研究■では、調査範囲をA中学校はもとより近隣の市町村に広げ、生徒と教師のより 詳細な実態を明らかにするために、グループ学習場面に特化して、先に見いだした3つ のカテゴリーに視点をあてた構成にする。項目を作成するに当たっては、3のカテゴリ ーを基に、発達障害の特性を参考にして以下の項目を筆者及び指導教員が協議を行い設 定した。. (1)①生徒の実態に集約された15のコードをもとに、グループ学習に困難を示す生徒. の実態について具体的な12項目を設定する  1) グループでの話し合いの輪に参加するのが難しい 2). グループの中での役割分担に応じるのが難しい. 3). グループでの席に着くのが難しい. 4). グループ活動になると意欲的に取り組む. 5). グループでの共同作業が難しい. 6). 他者の話を聞くのが難しい. 7). 他者の思いを受け止めることが難しい. 8). 9). 自分の意見を言うことが難しい. 課題にかかわらず、自分の言いたいことはかり言ってしまう 19.

(22)  10)自分の意見が通らないと怒ることがある  11)他者が嫌がることを言ったり、嫌がる行動をとったりする  12)先生の指示が通りにくいことがある (2)②教師の指導・支援に集約された21のコードをもとに、グループ学習に困難を示 す生徒に気づいた時にとった対処の具体的な6項目を設定する。  1). グループ構成への配慮をした.  2). 課題設定に配慮をした.  3). 生徒同士の関わらせかたを工夫した. 4). 授業の方法を工夫した. 5). 特別支援教育について学習をした. 6). 管理職・同僚に相談をした. (3). ②教師の指導・支援に集約された21のコードをもとに、グループ学習に困難を. 示す生徒に気づいた時うまく対処できなかった理由7項目を設定する。  1). 具体的な対処方法があまり分からなかった.  2). 専門的な知識があれば適切な対処がとれたと思う.  3). とっさに判断するのが難しかった.  4). 全体指導と個別指導とのバランスが難しかった. 5). 管理職・同僚に相談したが間に合わなかった. 6). 同時にいろんな対応をせまられ、手が足りなかった. 7). 一応対処したがあれでよかったのか、不安である. (4). ③教師の困り感に集約された17のコードをもとに、グループ学習に困難を示す. 生徒たちの指導に当たっての困り感8項目を設定する。 1). 対象生徒の「二一ズ」が多様である. 2). 対象生徒が何を考えているのか分かりにくい. 3). 話を聞く時間がとりにくい. 4). 授業の進行が遅れることが不安になる. 5). 周囲の生徒達の理解が得にくい. 6). 全体指導の中での個別指導には限界がある. 7). 障害があるとは考えられないがグループ学習を苦手とする生徒の指導が難しい. 8). 特別支援教育に関する知識が不足していると感じる 20.

(23) 第3章 研究皿. 第1節 目的  研究Iにおいて、質問紙によるアンケート調査を、全校をあげて協同学習に取り組ん. でいる近隣のA中学校で実施した結果、通常学級でのグループ学習において、グルー プ学習に困難を示す生徒が存在し、教師は配慮が必要な児童生徒の存在を認識しつつも. 具体的な指導・支援の手立てがわからず苦慮していることが示唆された。しかし、生徒 が示す困難はどのようなものなのか、また指導する教師はどのような対処をし、何に対 して困り感を抱いているのか、それぞれの詳細な実態は明らかにはならなかった。そこ. を明らかにすることにより通常学校における特別支援教育は始まるともいえるのでは ないだろうか。研究Iにより課題が明らかになったことをふまえ、さらに具体的な困難 の実態を知る必要が生まれ、またそれに伴い、調査範囲を広げる必要性も考えられた。.  そこで研究■として研究Iから得られた結果と考察を基に、通常学校における特別支 援教育を実施していくための基礎的な情報として、生徒の実態とそれに対応する教師の 指導・支援の実態を明らかにするために、グループ学習場面に特化して質問紙調査を実 施する。(巻末に掲載 資料3).  研究IIの目的は(1)発達障害を持っ生徒、及び診断はされていないが同様な傾向を 持つ生徒の実態を明らかにし、(2)グループ学習に困難を示す生徒に対応する教師の 指導・支援の実態を明らかにする、ごとにある。. 第2節 方法  1 対象  近隣の国公立中学校4校に勤務する教員・講師に対して「通常学級でのグループ学習 と特別な教育的二一ズに関するアンケート」と題した質問紙調査書を配布、回収して実 施した。.  2 時期  平成24年7月1日から7月末日の期間で実施した。.  3 手続き  近隣の教育委員会を通じて紹介された対象となる中学校に赴き、各校の校 長に直接依頼した。また国且中学校には直接赴き副校長に依頼した。回収については期 目を決めて直接各校に赴き回収した。その際、2校からは集計の結果を示すよう求めら れたので、結果が出来次第に報告に伺うということで了承を得た。 21.

(24)  回収した調査紙は、案件ごとに表計算ソフト(Microsoft Exce1)を用いて集計及び 分析を行った。また小島ら(2011)の研究から、特別支援教育に対する小・中学校の 担任教師の意識に影響を与える要因として、研修受講経験の有無などがあげられていた ことと、下無敷ら(2006)による特別支援教育に対する教員の意識調査結果に勤続年 数よる差異が認められていることにより、属性の勤続年数及び研修受講の有無による差 異にも着目した。また集計に際しては、4件法によるそれぞれの回答番号を得点として、. 当てはまるを4点、やや当てはまるを3点、やや当てはまらないを2点、あてはまら ないを1点として項目ごとに平均値を算出した。.  4 内容 研究Iの結果および得られた項目を基にして次の項目を問う構成にした。. 回答は設問により4件法と2件法での回答及び自由記述によるものとした。 (1)回答者の属性(教員・講師・担任の有無・研修受講の有無など). (2)グループ学習に困難を示す生徒に気づくときがあるか (3)グループ学習に困難を示す生徒の中に、発達障害を持っ生徒、診断はされていな   いが同様な傾向を持っ生徒はいるか。人数はクラスに何名か。 (4)生徒がグループ学習時に示す困難にはどのようなものがあるか。. (5)グループ学習に困難を示す生徒に気付いたとき、適切な対処が取れたか. (6)間い5で「はい」と答えた回答者に対して、その時取った具体的な対処を6項目    を示し、「はい」「いいえ」で回答を求める。. (7)「いいえ」と答えた回答者に対して、具体的な理由を7項目で示し、「はい」「いい    え」で回答を求める。. (8)グループ学習に困難を示す生徒たちの指導に当たっての教員の「困り感」はどのよ    うなことか。8項目を設定し「はい」「いいえ」で回答を求める。. 第3節 結果.  1 属性  対象者93名、回答者68名、有効回答67名、無効1名、回収率は72,O%であった 回答者は教諭54名81%、講師13名19%であり、通常学級の担任27名、特別支援学級 担任8名、担任無しが31名、無回答1名であった。教科に関しては、五教科担当が54 名、四教科担当が13名であった。平均勤続年数は14.6年であり、内訳は10年未満が. 28名42%で最も多く、次に10∼19年17名25%、20∼29年14名21%、30年以上8名 22.

(25) 12%である(図3−1)。文部科学省「学校教員統計調査報告書」平成22年度によれば、. 全国国公止中学校教員の平均勤続年数は190年である。管理職の平均勤続年数(29.3 年)を差し引いて考えても、今回の回答者の平均勤続年数が14.6年ということから、 調査地域は全国平均に比べて比較的経験の浅い教員が多いことが示唆される。また特別 支援学校(養護学校を含む)勤務経験については、勤務経験有りは8名12%であった。. 特別支援教育や発達障害に関する研修会の受講については受講有り36名54%、受講無 し31名46%であった(図3−2)。勤続年数による研修会受講の有無による構成は、表3. −1に示す通りであり、研修受講率は勤続10年以上30年未満の受講率が高いことが示 されている(図3−3)。. また、これまで受けた研修で役に立ったもの、および今後受講したい研修についての記 述は、以下の通りであった。.  ①役に立ったと思われる研修   ・道徳や生徒指導   ・知能テストや教材作成の研修   ・実例など具体的にあげられた研修が役にたつ   ・発達障害についての事例をとりあげての研修会、たけだ先生、中田先生  ②今後希望する研修会   ・病名とその症例についての研修会   ・ユニバーサルデザインの授業について   ・通常学校下での生徒対応例   ・アスペルカーなど発達障害全般に関する研修会、特にアスペルカーについて生徒    との関わり方についての研修会を希望する ①、②からは、実際に役立つ、使える研修会を評価し希望するということが示された。 (表3−1)勤続年数別人員及び研修受講表 (単位 人) 項目. 人数. 勤続10年未満. 勤続30年未満. 28 17 14. 勤続30年以上. 8. 勤続20年未満. 合計. 67. 割合. 受講有り. 受講率. 80∼9. 25%. 13 11. 65%.  19. 21%. 10. 71%. 12%. 2.  29  30∼. 25%. 36. 54%. 42%. 1OO%. 46%. ’1110∼. 1120∼. 23. (図3−1勤続年数別構成).

(26) 様勤続年数別研修受講割合         71    65. 1勤続年数O. (図3−2研修受講割合)      (図3−3勤続年数別研修受講割合).   2 調査項日別結果 (1) グループ学習時に困難を示す生徒に気づく時があるか.  表3−2に示すように、全体では当てはまる10名、やや当てはまる48名と87%が気 づくときがあると回答している。これにより研究Iの100%より低い数値ではあるが、 困難を示す生徒の存在への気づきに対しては同じ傾向であることが示された。平均値を 見ると、研修会受講の有無による差異はやや見られるものの、有意な差ではない。 勤続年数を比較すると、30年未満は全体平均と同じもしくは高い数値を示しているが、 30年以上になると低くなっている(図3−4)。また、30年以上になると、当てはまる、. 当てはまらないが両方とも0であり、「やや」というあいまいな回答二つに分かれてい る。自由記述が一人だけ書かれてあり、まだ中学生だが、少しでも自分の将来について 考えられたらもっと行動面が変わってくると常々思っている、とあった。 (表3−2)研修受講の有無、勤続年数別による集計及び平均値 頃1. 当てはまる. やや当てはまる. やや当てはまらな/、. 当てはまらな/、. 平均値. 全体(l1名). ll(l11). 11(111). 1(l11). 1(l1). 1.ll. 受講有1(l1名). 1(l11). ll(111). 1(ll). 1(l1). 1.ll. 受講無し(l1名). 1(l11). 11(111). 1(l11). 1(l1). 1.ll. 勤続11年未満(11名). 1(l11). ll(l11). 1(ll). 1(ll). 1.11. 勤続11年未満(11名). 1(l11). ll(111). 1(ll). 1(ll). 1.11. 勤続11年未満(l1名). 1(111). 1(lll). 1(ll). 1(11). 1.ll. 1(l1). 1(l11). 1(lll). 1(ll). 1.l1. 勤続11年以上(1名). 24.

(27) 平均値. 困難を示す生徒への気づき.   3.   2,9       3      3.11.    (図3−4研修受講の有無、勤続年数による平均値の比較) (1−2)(1)で「いいえ」と答えたもので、グループ学習以外で困難を示す生徒はいる か、回答を求める.  回答者9名が「はい」と回答し、具体的な例を記述している。それによると、個人の 特性に関するものとして、.   ・聞く学習のとき   ・学力補充   ・漢字が覚えられない、簡単な文章が覚えられない   ・同じ説明でも通じない   ・連絡時に質問があるとすぐに口に出してしまう   ・作業学習をしているとき個人差が大きい   ・修学旅行などの集団で行動する計画などのとき、集団への参加が困難である、 と回答している。.  また、教師の指導・支援に関しては、.   ・生徒からの質問に応じたり、要望(もう一度授業内容を説明してほしい等)に対応    する必要がある.   ・周囲のサポートが無く、当該生徒が何をしていいのかが分かってないときが困難 である、と回答している。これらからは、グループ学習以外でも困難を示す生徒が存在 し、その内容は集団活動に関わっている、ということが示された。 (2)グループ学習に困難を示す生徒の中に、発達障害を持っ生徒、診断はされていない が同様な傾向を持っ生徒はいるか。人数はクラスに何名か。  ※ 発達障害とは、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、自閉症スペクト ラム障害(アスペルカー症候群を含む)(ASD)等をいう。.  この設問には無回答があった(表3−3,3−4)。無回答者の属性を見ると、特別支援学 25.

(28) 級の担任8名が含まれており、これは研修受講有りの3名と5名計8名に相当する。研 修受講なしで無回答の9名に関しては、担任の有無や教員、講師の区別など属性による 共通した傾向は見られず、無回答であった理由は定かでは無い。生徒の個人情報に関わ る、との判断があったのかもしれないがそれはあくまで筆者の推測に過ぎない。  表3−3に示すとおり、発達障害を持つ生徒について「はい」と回答したもの26名39%、. rいいえ」29名43%、無回答12名18%である。人数については、r1∼2名」「2∼3 名」とばらばらの回答であることから、最小値、最大値をとり「人数1∼3名」と推察 する。また、表3−4に示すとおり、同様な傾向を持つ生徒の存在については、「はい」. 42名63%、「いいえ」11名16%無回答14名21%である。これも人数はばらばらの回 答から最小値と最大値をとり「人数1∼6名」と推測する。これらから、グループ学習 に困難を示す生徒の中に、発達障害を持つ生徒、診断はされていないが同様な傾向を持 つ生徒が存在していることが示唆された。.  研修受講の有無による回答を見ると、受講有り群(以下この論文では組とする)の回. 答では、診断を受けている生徒についての回答した18名、50%よりも、同様な傾向を 持つ生徒がいると回答したものが26名、72%と多い。受講無し群(以下この論文では. 組とする)の回答でも診断を受けている生徒の存在8名26%、傾向を持つ生徒の存在 については16名52%であり、こちらは傾向を持っ生徒の存在を答える割合が2倍にな っている。これらにより、グループ学習に困難を示す生徒の中に、診断は無いが発達障 害の傾向を持つ生徒の存在が示唆された、と考える。 (表3−3)発達障害を持つ生徒はいるか 項目. はし、.    一 オ、し、疋. 全体   (67名). 26(39%). 29(43%). 受講有り (36名). 18(50%). 15(42%). 3(8%). 受講なし (31名). 8(26%). 14(45%). 9(29%). 無回答 12(18%). (表3−4)診断はされていないが同様な傾向を持つ生徒はいるか 無回答. 項目. はし、. 全体   (67名). 42(63%). 11(16%). 14(21%). 受講有り (36名). 26(72%). 5(14%). 5(14%). 受講なし (31名). 16(52%). 6(19%). 9(29%).    一 オ、し、疋. 26.

(29) (3) 生徒がグループ学習時に示す困難にはどのようなものがあるか。.  表3−3に示すとおり、この設問には有効回答者67名の内、55名ないし57名が回答 している。無回答の10名から12名は先の設問3同様、属性からは共通点はみられない。 今回は、特別支援学級担任で回答しているものもあり、無回答の意図は推測しがたい。 ただ、無回答者の内1名が記述していたのは、該当する生徒が特定できず回答できない、 ということであった.対象者別の設問を用意する必要性に配慮しなかった設問の不備で あった。.  表3−5は、研究Iの考察から得られた12項目についての4件法による回答と平均値 である。また図3−5は平均値の高いものから順番に図に示したものである。平均値を見 ると、最も高いのは自分の意見を言うことが難しい3.19で、当てはまる、やや当ては まると回答している割合は84%である。次に高いのは話し合いの輪に参加するのが難 しい3.17で、当てはまる、やや当てはまるが95%を占めている。その次に高かったの は他者の思いを受け止めることが難しい2.96で、当てはまる、やや当てはまるが84% である。続いてグループの中での役割分担に応じるのが難しい2.89で当てはまる、や や当てはまるが77%、同じく他者の話を聞くのが難しい2.89で、当てはまる、やや当 てはまるは75%である。平均値2.79のグループでの共同作業が難しいについては当て はまる、やや当てはまるが77%を示している。その他、平均値2.5以上を示すのは、 先生の指示が通りにくいことがある2.75、課題にかかわらず、自分の言いたいことは かり言ってしまう2.60である。ただし、平均値でみると先生の指示が通りにくいこと があるが2.75と高いが、当てはまる、やや当てはまるが占める割合は、自分の言いた いことはかり言う2.60が60%で、指示が通りにくいことがあるの53%より高かった。  次に、研修会受講の有無および勤続年数別との平均値を比較すると(表3−6)、研修. 受講の有無や勤続年数による差はみられない。図3−6に示すように、勤続30年以上に 平均値の高さが顕著なものが見られる他は、形、高さ、流れとも勤続年数による大きな 差はない。グループ学習に困難を示す生徒の実態は、先の全体の平均値に示された通り の特徴があると読み取ることができる。. 27.

(30) (表3−5)項目別人数表( 項. )内は回答数. 当て1ままる. グループでの話し合い の輪に参加するのが. やや当てはまる. やや当てはまら尤 当てはまらない. 平均直. 13(23%). 40(72%). 3(5%). O(O%). 3.12. 11(20%). 32(57%). 12(21%). 1(2%). 2.89. 1(2%). 3(5%). 31(55%). 21(38%). 1.68. 3(6%). 22(40%). 27(49%). 3(5%). 2.37. 1(2%). 43(75%). 13(23%). O(O%). 2.79. 8(14%). 35(61%). 14(25%). 0(0%)一. 2.89. 8(14%). 39(70%). 9(16%). O(0%). 2.96. 20(35%). 28(49%). 9(16%). O(O%). 3.19. 5(9%). 29(51%). 18(31%). 5(9%). 2,6. 2(4%). 17(30%). 27(47%). 11(19%). 2.18. 5(9%). 21(37%). 28(49%). 3(5%). 2.49. 9(16%). 27(47%). 19(33%). 2(4%). 2.75. 難しい(56名). グループの中での殺害1. 分担に応じるのが難し い (56名). グループでの席1こ着く. のが難しい (56名). グループ活動になると. 意欲的に取り組む (55名). グループでの共同作業 が難しい (57). 他者の話を聞くのが難 しい(57. 他者の思いを受け止め ることが難しい. (56) 自分の意見を言うこと が難しい (57名). 課題1こかかわらず、自. 分の言いたいことはか り言ってしまう. 自分の意見が通らな いと怒ることがある (57名). 他者が嫌がることを 言ったり、嫌がる行動 とったりする(57名). 先生の指示が通りにく いことがある. (57). (図3−5. グループ学習に困難を示す生徒の具体例に対する平均値). 28.

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