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会計上の資産概念と資産評価に関する検討--バクスターの所説を中心として

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(1)' 、 、 ,. 庵箋 四。鶏 .鐙蜜 い 、3. 写ぐ. 瓶辱∴. ザ 、 '. 商経学叢. 第54巻 第3号2008年3月. 会計上 の資産概念 と資産評価 に関 する検討 バ ク ス タ ー の 所 説 を 中 心 と して. 要約. 口. 中. 召 日. 山. ♂巴 、. 本 稿 は,会 計 上 の 資 産 概 念 と資 産 評 価 の 問 題 に関 す る検 討 の手 掛 か りを得 る た め に,. バ ク ス ター の 所 説 を 中 心 に考 察 しよ う とす る もの で あ る。 彼 の所 説 で は,資 産 を将 来 的 便 益 の 源 泉 と して 捉 え,会 計 測 定 上,カ. レ ン ト ・バ リュー が 適 用 され るべ き で あ る とす る。 カ レ. ン ト ・バ リ ュー に 基 づ く会 計 測 定 の 理 論 的 基 礎 を あた え る もの が 剥 奪 価 値 概 念 で あ る。 剥 奪 価 値 概 念 に つ い て み る と,そ れ は 限 界 ア プ ロー チ に基 づ くもの と いえ る。 限 界 ア プ ロ ー チ は 彼 の理 論 の な か で 重 要 な 役 割 を は た す もの で あ る。IAS第36号. で は,個 別 資 産 の 減 損 損 失 に. 関 す る 認 識 と測 定 に 回収 可 能 価額 が 用 い られ て い る。 回 収 可 能 価 額 の 定 義 は問 題 解 決 の た め の鍵 とな る。 こ こで は,限 界 ア プ ロー チ と回 収 可能 価 額 との 関 連 性 が 説 明 され て い る。 彼 の 考 え方 に は,資 産 評 価 の論 理 を考 え る上 で 示 唆 に 富 む もの が あ る。. AbstractThispaperisintendedasaninvestigationoftheconceptandvaluationof assetinaccountingfromtheviewpointofProf.W.T.Baxter'sideas.Inviewof Baxter'sview,asanassetisthesourceoffuturebenefits,currentvalueshouldbe incorporatedintotheaccountingmeasurement.Theconceptofdeprivalvalueisdirectedtowardsclarifyingatheoreticalbasisofcurrentvalue.Whenwetrytounderstandthedeprivalvalueconcept,weknowthatthemarginalapproachfulfills theimportantroleinhistheory.IAS36usestherecoverableamountfortherecognizingandmeasuringofimpairmentlossesforanindividualasset.Sothedefinitionofrecoverableamountholdsthekeytothesolutionoftheproblem.This paperattemptstoexplaintherelationshipbetweenthemarginalapproachandthe recoverableamount.Itwillbeshownthathisideasonthelogicofassetvaluation areworthyoffurtherresearch.. キ ー ワー ド. カ レ ン ト ・バ リ ュ ー,将. 来 的 便 益,剥. 原 稿 受 理 日2008年1月11日. 125(295). 奪 価 値,限. 界 ア プ ロ ー チ,回. 収 可能 価額.

(2) 第54巻. 1は. 第3号. じ. 会 計 上 の原 価 と 時 価 の 問 題 の 解 明 は,古. め. に. き に して 新 た な 研 究 領 域 で あ る。 周 知 の よ う. に,会 計上 の 資 産 とそ の 評 価 に 関 す る問 題 は,こ れ ま で 貸 借 対 照 表 能 力 論,評 価 論 と して 論 じ られ て き た。 動 態論 の 立 場 は,期 間 損 益 計 算 を 適 正 に行 うた め に,取 得 原 価 主 義 会 計 の 枠 組 み の な か で,取 得 原 価(歴 史 的 原 価)に 基 づ く基 準 を 資 産 評 価 に適 用 す る。 わ が 国 の 企 業 会 計 原 則 につ い て み れ ば,取 得 原 価 主 義 会 計 の フ レー ム ワ ー クが ベ ー ス と され て い る こ と は あ らた め て 指 摘 す る まで もな い。 近 年 にお いて,金 融 資 産 に係 る会 計 基 準 を は じ め,固 定 資 産 の 減 損 処 理 が 検 討 され,時 価 の 導 入 が 図 られ て い る。 固定 資産 の減 損 等 の問 題 の 論 議 に は,あ. らた めて 会 計 上 の 資 産 概 念 と資 産 評 価 が 一・ つ の 問題 の焦 点 を形 成 して い. る もの と考 え られ る。 そ こで,本 稿 は,会 計 上 の資 産 概 念 と資 産 評 価 の問 題 に関 す る検 討 の 手掛 か りを得 る た め に,バ. クス ター の 所 説 を 中心 に考 察 し よ う とす る もの で あ る(1)。この 考 察 は,次 の よ う. に行 われ て い る。 まず,会 計 上 の 資産 とそ の評 価 で あ る。 そ こで は,貸 借対 照 表 に 計上 さ れ る資 産 と そ の評 価 につ い て,彼 は い か に思 考 して い る か とい う問題 の検 討 が 行 わ れ る。 つ い で,剥 奪 価 値 に基 づ く資産 評 価 が取 りあ げ られ て い る。 カ レ ン ト ・バ リュー に よ る資 産 評 価 を行 うた め に,彼 は剥 奪 価 値 説 を主 張 す る。 そ こで,剥 奪 価 値説 の意 義,剥 奪 価 値 の根 拠 に 関す る検 討 が行 わ れ る。 そ して,固 定 資藍 の減 損 損 失 に お け る測 定 概 念 の 内 容 が 剥 奪 価 値 説 の視 点 か ら考察 され て い る。 な お,固 定 資産 の 減 損 処理 に関 す る会 計 基 準 と し て は,IAS第36号. 「資 産 の減 損 』(2)をと りあ げ る もの とす る。. H会. 1.資. 計上 の資産 とその評価. 産 の認 識. 企 業 の経 営 活動 は,当 該 企 業 の 支配 下に あ る経 営 資 源 を 有 効 に利 用 す る こ と に よ って 行 (Dな. お,会 山口忠昭. 号(平. 計 上 の 資 産 概 念 と 資 産 評 価 の 検 討 に 関 し て は,下. 記 の 拙 稿 が べ 一 ス と され て い る。. 「会 計 上 の 資 産 概 念 と 価 値 概 念 に つ い て 」 「京 都 学 園 大 学 経 営 学 部 論 集 』 第12巻. 第3. 成15年3月)。. 山 口 忠 昭 「会 計 上 の 資 産 概 念 に 関 す る 諸 問 題 」 『京 都 学 園 大 学 経 営 学 部 論 集 』 第13巻 成15年7月)。 (2)IASC,InternationalAccountingStandardNo.36:1〃1ρ 日本 公 認 会 計 十 協 会 『国 際 会 計 基 準 書 第36号. 国 際委 員 会 訳. 第1号(平. αか1η6η1ρ プA∬8孟∫,IASC,London,1998.. 「国 際 会 計 基 準 書2001』. 資 産 の 減 損 」 に つ い て は,以. 126(296)一. 同 文 舘,平. ド,IAS第36号. 成13年. 。. と記 す こ と と す る 。.

(3) 会計上の資産概念 と資産評価 に関す る検 討(山 口) わ れ る。 会 計 上 の 資 産 と して 経 営 資 源 を認 識 ・評 価 しよ う とす る と き,経 営 資 源 の な か で, どの よ うな もの を 資 産 と して 認 識 し,そ れ を いか に評 価 す るか とい う こ とが重 要 な 問題 と な る。 バ クス ター は,会 計 上 の 資 産 の 認 識 と資 産 評 価 の 問 題 を 取 りあ げ る。 資 産 の 認 識 につ い て は,ア カ ウ ン タ ン トに よ って 資産 の 実 在 が 確 か め られ な けれ ば な らな い と され る(3)。こ こ に い う資産 の認 識 は,あ る項 目が貸 借 対 照 表上 の 資 産 と して 計 上 され る能 力 を 有 す るか 否 か の 問題 に関 連 す る もの で あ る。 もち ろ ん,あ る項 目が 資 産 と して 計 上 され る こ とに な れ ば,そ の項 目 は資 産 評 価 の問 題 にか か わ りを もつ こ と とな る。 彼 は,資 産 が 資 産 で あ る こ と の所 以 を,資 産 が 将 来 的 便 益 を もた らす 源 泉 と な る こ とに 求 め て い る(4)。こ こ で注 意 す べ き は,資 産 を 将 来 的 便 益 の 源 泉 と して 捉 え て い る こ と に あ る。 将 来 的便 益 の源 泉 の意 味 す る と こ ろは,資 産 と して 見 な され う る もの が,過 去 ・現 在 ・将 来 と い う時 の経 過 の な か で,将 来 時 点 に お い て 便 益 を もた らす 源 にな る こ と を さす 。 しか し,資 産 と して見 な さ れ う る もの が,は た して確 実 に将 来 的 便 益 を 生 ず る源 泉 とな りう るか 否 か につ いて は,そ れ が将 来 的事 象 で あ る こ とか ら,予 測 不能 な もの とい わ ざ るを 得 な い。 こ こ に資 産 を 認 識 す る こ との 困難 な 問題 が あ る が,将 来 的便 益 の 源 泉 とい う観 点 か らあ る項 目を,会 計 上 の 資 産 と して記 録 す る措 置 が と られ る こ と とな る。 さ て,会 計 上 の 資 産 概 念 を考 え る とき,「FASB討. 議 資料. 財務 会 計 お よ び財 務 報 告 の. た めの 概 念 フ レー ム ワ ー クに関 す る論 点 の分 析:財 務 諸 表 の構 成諸 要素 とそ の 測定 』 の な か で 述 べ られ て い る見 方 に は,実 に示 唆 に富 む もの が あ る。 す な わ ち,そ の 見 方 で は,資 産 概 念 に関 す る大 部 分 の 定 義 にお いて,潜 在 的 便 益(potencialbenefit)が. 中心 的 な要 素. と して 含 ま れ て い る とす る指 摘 が み られ る の で あ る(5)。 か か る 見 方 に お いて は,将 来 の用 役,用 役 潜 在 力,将 来 の 経 済 的 便 益,将 来 の 営 業 活 動 に対 す る貢 献 ま た は経 済 的 価 値 の よ うに どの よ うな 名 称 で 呼 ば れ よ う と も,将 来 の キ ャ ッシ ュ ・イ ンフ ロ ー は資 産 の本 質 的 特 徴 を な し,資 産 価 値 の 根 源 的 な 源 泉 で あ る と され る。 こ こ に い う潜 在 的 便 益 は ス トックの. (3)W.T.Baxter,A∬. σ 協1配85"Gθoめ. γ〃1"`1η4B君. αη4Nω. η8∫,OccasionalResearchPaperNo.14,. CharteredAssociationofCertifiedAccountants,1993,p.1. 上 記 の 文 献 は バ ク ス タ ー の W.T.Baxter,Acco配 (4)W.T.Baxter,`フ. と題 す る 著 書 に 収 録 さ れ て い る 。. り,,Garland,NewYork・London,1996,pp.19-57.. ρ.c〃.,p.1.. (5)FASB,E45BD'5c配. ∬'oη ル181ηoroη4〃 脚,A'z・4η 躍w'∫. F冨ηoηdolAcco朋'〃1goη4R8ρoπ Stamford,1976,par.100.津 平 成9年,87頁. 「会 計 理 論 』. η〃η8η7ω. ρブ 孟∬ μ8∫R81α'8480C`♪. 〃1g'E1θ71θ7孟 ∫ ρプF∫ηoηdo1∫ 守 常 弘 監 訳. 「FASB財. 下,『FASB討. 議 資 料 』 と 記 す こ と と す る 。. 127(297). ノと ♪r. 務 会 計 の 概 念 フ レ ー ム ワ ー ク 』 中 央 経 済 社,. 。. こ の 文 献 に つ い て は,以. ηc8ρ加 α1Fπ 〃η8wo敢. ∫ α'6〃16η酌`〃z4η16'rル18α3L肥1η8η',FASB,.

(4) 第54巻. 概 念 で は な く,将. 第3号. 来 の キ ャ ッ シ ュ ・イ ン フ ロ ー,端. 的 に 言 え ば,フ. さ れ て い る の で あ る 。 た と え ば,「 財 務 会 計 概 念 書 第6号(6)』 う に 定 義 さ れ て い る 。 す な わ ち,「 資 産 と は,過. ロ ー の概 念 と して理 解. に お い て,資. 産 概 念 が次 の よ. 去 の 取 引 ま た は 事 象 の 結 果 と し て,あ. 定 の 実 体 に よ り取 得 ま た は 支 配 さ れ て い る,発. る特. 生 の 可 能 性 の 高 い将 来 の 経 済 的 便 益 で あ. る(7)」とす る 。 こ の 定 義 に つ い て み れ ば,「FASB討. 議 資 料 』 に よ る指 摘 が 的 確 に 当て は ま. る も の と い え る 。 バ ク ス タ ー に よ る 資 産 概 念 の 解 釈 に つ い て も ま た,資. 産 の もつ 便 益 と い. う フ ロー 概 念 が 重 視 され て い る。. 2.資. 産評価. 会 計 上,資 産 の実 在 が認 識 さ れ る と,次 に資 産 の評 価 が 問題 とな る。 資産 評 価 に つ い て み る と,そ れ に は,二 つ の 評 価 を あ げ る こ とが 可 能 で あ る(8)。そ の 一・ つ は歴 史 的 原 価 に基 づ く資産 評 価 で あ る。 い ま一 つ の 資産 評 価 と して,カ. レ ン ト ・バ リュー に 基 づ くもの が あ. げ られ る。 歴 史 的 原 価 に 基 づ く資 産 評 価 で は,資 産 取 得 時 の 実 際 の 支 出額 で 記 帳 が 行 わ れ る。 そ の 結 果,資 産 取 得 日以 降 にお いて 資 産 価 値 の 凍 結 が 生 ず る こ と とな る。 こ こ に資 産 価 値 の 凍 結 と は,歴 史 的 原 価 で 表 現 され た 価 値 は,い か な る経 済 的 環 境 等 の 変 化 が あ ろ う と も,そ の 変 化 に影 響 され る こ とな く,資 産 取 得 日以 降,持 続 的 に保 持 され る こ とを さす 。 歴 史 的 原 価 に基 づ く資 産 価 値 の凍 結 につ い て,バ ク ス タ ー は次 の よ うに批 判 す る。 す な わ ち,資 産 の価 格 は一 般 的 に み て年 度 に わ た り変 動 す る もの で あ る か ら,歴 史 的原 価 に基 づ く評 価 が現 在 の企 業 の規 模 と構 造 に 関す る貧 弱 な写 像 を提 供 し,そ の結 果,財 務 諸 表 利 用 者 を誤 導 す る傾 向 に あ る と さ れ る(9)。さ らに ま た,経 営 者 の 意 思 決 定 に 際 して,歴 史 的 原 価 に よ るデ ー タが用 い られ る な らば,こ れ また 経 営 者 は誤 導 され る とす る(lo)。 彼 は い う。 「経 営 者 が 予算 に よ って競 合 す るプ ラ ンの 中 で選 択 を行 うな らば,経 営 者 は現 存 資 産 の 「費 消』 を, 過 去 の 数 値 で は な く,現 在 の 数 値 で 費 用 計 算 を 行 うべ きで あ るqD」と。 こ の論 述 の なか で,. (6)FASB,StatementofFinancialAccountingConceptsNo.6ElementsofFinancialStatement,∫'α'8〃16η'∫. 犀1伽. αηdα1Acco燃'η8Coηc6ρ. 財 務 会 計 の 諸 概 念 』 中 央 経 済 社,平 こ こ で は,上. 記 の 文 献 が. (7)砺4.,par.25.同 こ こ で は,上. 成6年. ∫ ∫,IRWIN,1993.平. 『財 務 会 計 概 念 書 第6号. 上 訳 書,297頁 記 の 文 献 を,以. 松 一・ 夫,広. 。 』 と 記 さ れ て い る 。. 。 下,財. 務 会 計 概 念 書 第6号. (8)W.T.Baxter,oρ.d∫.,pp.1-2. (9)1わ'4.,P.1. (10)1わ'ol.,p.1. (ll)1わ'ゴ.,P.1.. -128(298)一. と 記 す こ と と す る 。. 瀬 義 州 訳. 『FASB.

(5) 会 計 上 の資 産 概 念 と資 産 評 価 に 関 す る検 討(山 過 去 の 数 値 と は 歴 史 的 原 価 を,現. 口). 在 の 数 値 は カ レ ン ト ・バ リ ュ ー を さ し,現. ン ト ・バ リ ュ ー を 重 視 す べ き こ と が 説 か れ て い る 。 な ぜ な ら,現 リ ュ ー こ そ が,経 と こ ろ で,歴. 有 資 産 の カ レ ン ト ・バ. 営 者 の 意 思 決 定 に 資 す る もの と な る か ら で あ る 。 史 的 原 価 に 基 づ く資 産 評 価 論 に つ い て み る と,歴. 便 益 と の 両 者 に は,等 え 方 に よ れ ば,資. 史 的原 価 と資 産 の将 来 的. し く一 致 す る 関 係 が 成 り 立 つ も の と 仮 定 す る 考 え 方 が あ る 。 そ の 考. 産 そ れ 自体 の も つ 将 来 的 便 益 を 貨 幣 額 に よ り表 現 し た もの が 歴 史 的 原 価. で あ る と す る 。 こ れ に 対 し て,歴. 史 的 原 価 は,期. な い とす る 見 解 が あ る 。 バ ク ス タ ー は,こ. 待 され た 将 来 的 便 益 を あ らわ す もの で は. の 見 解 を 支 持 し,カ. レ ン ト ・バ リ ュ ー こ そ が 資. 産 そ れ 自 体 の もつ 将 来 的 便 益 を あ ら わ す も の で あ る と主 張 す る。 か くて,い の 将 来 的 便 益 を 測 定 す る か と い う問 題 が,カ の な か で,提. 有 資産 の カ レ. か に現 有 資産. レ ン ト ・バ リ ュ ー に 基 づ く資 産 評 価 論 の 展 開. 起 され る こ と とな る。. カ レ ン ト ・バ リ ュ ー は い くつ か の 意 味 ・内 容 を 有 し,多. 義 的 な用 語 と して考 え られ る こ. と が で き る。 カ レ ン ト ・バ リ ュ ー に 訳 を あ て る な ら ば,そ. の訳 語 は現 在 的価 値 も し くは現. 在 的 な評 価 と な る。 こ こで 現 在 的 価 値 あ る い は 現 在 的 な 評 価 が 資 産 評 価 の 中心 を な す と い っ て も,会. 計 上 の 理 論 的 立 場 の 相 違 に よ っ て,異. な る 論 理 展 開 が み られ る こ と に な る の. で あ る。 そ れ で は,バ. ク ス タ ー の い う カ レ ン ト・バ リ ュ ー と は 何 を 意 味 す る の で あ ろ う か 。. こ の 問 題 を 検 討 し,カ. レ ン ト ・バ リ ュ ー の も つ 意 義 を 考 え て み よ う 。. 過 去,現. 在,将. 来 と い う 時 の 経 過 の う ち,現. 在 時 点 と い う 視 点 か ら会 計 上 の 価 値 を 捉 え. る と,事. 前 的 価 値 と事 後 的 価 値 の 二 つ を あ げ る こ と が 可 能 で あ る 。 通 常,事. 価 を,事. 後 的 価 値 と し て 原 価 が あ げ ら れ る 。 バ ク ス タ ー の 所 説 に お い て,カ. リ ュ ー が 事 前 的 価 値 と し て 捉 え ら れ て い る(12)。 す で に 述 べ た よ う に,資 あ た り,そ. の 認 識 の 中 心 を な す も の が,期. レ ン ト ・バ. 産 の実 在 の認 識 に. 待 さ れ た 将 来 的 便 益 に お か れ る の で,事. 値 た る カ レ ン ト ・バ リ ュ ー の 適 用 が 重 視 さ れ る こ と に な る 。 つ ま り,彼 カ レ ン ト ・バ リ ュ ー は,過. 前 的 価 値 は時. 去 と 将 来 の う ち,可. 前 的価. の 思 考 に お い て,. 能 な 限 り将 来 的 な 事 象 の 測 定 を 指 向 し よ う. と す る 概 念 と して 理 解 さ れ て い る 。 カ レ ン ト ・バ リ ュ ー の 内 容 と そ の 測 定 に つ い て み れ ば,個 分 け て 整 理 さ れ る こ と が で き る(13)。 個 人 的 評 価 は,財 よ っ て 行 わ れ た 見 積 額 を さ す 。 す な わ ち,あ. 人 的 評 価 と市 場 価 値 の 二 つ に. 産 の 評 価 に 関 し て,特. 定 の個 人 に. る 人 が 資 産 の もつ 便 益 を 得 る た め に 喜 ん で 支. (12>1わ'4.,P.2. (13)1わ'4.,PP.2-3.. 129(299)一.

(6) 第54巻 払 う最 大 額,こ. 第3号. れ が 個 人 的 評 価 とな る。 個 人 的 評 価 は 主 観 的 評 価 と い う性 格 を 有 す るが,. 資 産 購 入 の 決 定 に 際 して 不 可 欠 な もの とい え る。 次 に市 場 価 値 の 種 類 につ い て み る と,二 つ の もの を あ げ る こ と が で き る。 そ れ は,購 入 価 格 と売 却 価 格 で あ る。 購 入 価 格 は,資 産 の 購 入 と い う市 場 取 引 か ら得 られ る市 場 価 値 を さす 。 購 入 市 場 に基 づ く市 場 価 値 につ い て は,取 替 原 価 が測 定 概 念 と して 用 い られ る。 売 却 価 格 は,資 産 の 売 却 な る市 場 取 引 に基 づ く市 場 価 値 で あ る。 販 売 市 場 か ら得 られ る市場 価 値 につ い て み れ ば,測 定 概 念 と して正 味実 現 可 能 価 値 が適 用 され る こ と とな る。 個 人 的 評 価 が い か な る市 場 取 引 と も結 び つ か な い の に対 して,取 替 原 価 ・正 味 実 現 可 能 価 値 は ど ち ら も購 入市 場 ・販 売 市場 に 関連 す る もの で あ る。 バ ク ス ター の 所 説 に お いて は,資 産 の 実 在 が,予 測 され る将 来 的 便 益 に依 存 す るな らば,資 産 の 便 益 とそ の 市 場 価 値 を で き るだ け 緊 密 に結 びつ け る こ と に よ り,資 産 評 価 の数 値 が 導 き 出 され るべ き で あ る とす る(14)。 換 言す れ ば,予 測 され る将 来 の 便 益 を 測 定 す る場 合,事 前 的 価 値 に あ た るカ レ ン ト・バ リ ュー を 適 切 とみ る見 解 が 主 張 され て い る ので あ る。 か くて,彼 の 所 説 で は,資 産 評 価 にお い て, 市 場 取 引 に基 づ くカ レ ン ト ・バ リュ ー を重 視 す る考 え方 が説 か れ る こ と とな る。. 皿. 1.剥. 剥奪価値 に基 づ く資産評価. 奪 価 値 の意 義 と そ の 測 定. 周 知 の よ うに,「 企 業 に と って の 価 値 」 は,英 国 の 会 計 実 務 基 準 書 第16号. 『カ レ ン ト ・. コス ト会 計』 にお け る資 産 評 価 基 準 と して 適 用 され た ⑮。 「企 業 に と って の 価 値 」 に よ る資 産 評 価 基 準 は,バ. ク ス ター の 剥 奪 価 値 概 念 と同 一 の 内 容 で あ る。 バ ク ス ター に よれ ば,彼. 自身 の 説 く剥 奪 価 値 概 念 が,ボ. ン ブ ラ イ トの 「所 有 主 に と って の 価 値 」 と い う考 え 方 を基. 礎 にす る もの で あ る と され る㈲。 ボ ンブ ラ イ トの 「所 有 主 に と って の 価 値 」 は,次 の よ う に定 義 され て い る。 す な わ ち,あ る財 産 の 所 有 主 に と って の価 値 は,所 有 主 が そ の財 産 を 剥 奪 され た と仮 定 され た場 合 に,所 有 主 が 被 る と予 測 され る直 接 的 お よ び 間接 的 なす べ て. (14)1わ. ∫4.,P.1.. ⑮AccountingStandardsCommittee,C〃. 舵. η∫Co∫'Acco朋"ηg,StatementofStandard. AccountingPracticeNo.16(SSAP16),ASC,London,1980,par.42. 会 計 実 務 基 準 書 第16号. に お け る 資 産 評 価 基 準 等 の 問 題 の 検 討 に つ い て は,下. さ れ た い 。 山 口 忠 昭. 『物 価 変 動 会 計 論 』 同 文 舘,平. 成6年,221-239頁. (1⑤W.T.Baxter,oρ.d'.,p.5.. -130(300)一. 。. 記 の 拙 著 を 参 考 に.

(7) 会 計上 の資産概念 と資産評価 に関す る検討(山 口) の損 失 とい う不 利 な価 値 に よ る金 額 と同一 で あ る,と され る(切 。 ボ ン ブ ラ イ トの よ る「所 有 主 に と って の価 値 」 の解 釈 を め ぐ って,チ. ェ ンバ ー ス,バ ク ス ター 等 の 間 で 論 議 が 行 わ れ. た が,会 計 実 務 基 準 書 第16号 に み られ る資産 評 価 の 考 え 方 は,利 用 価 値 で はな く,所 有 価 値 と して解 す る立 場 を とる(18)。 既 述 した よ う に,会 計 実 務 基 準 書 第16号 で は,「 企 業 に と って の 価 値 」 と い う用 語 が 使 用 され て い る。 バ クス ター に と って み れ ば,ボ ンブ ラ イ トに よ る 「所 有 主 に と って の価 値 」 の考 え 方 を適 用 す る場 合 に,「 企 業 に と って の 価 値 」 よ り も,む し ろ剥 奪 価 値 とい う呼 称 が適 切 で あ る とい う(19)。 そ れ は,「所 有 主 に と って の価 値 」が,資 産 を有 して い な い場 合 に, 所 有 主 が どれ だ け 不 利 に な るか に 関 わ る概 念 で あ るか ら,「企 業 に と って の価 値 」と い う漠 然 と した不 明確 な 用語 よ り も,む し ろ剥 奪 価 値 と い う用 語 が 的 確 に ボ ンブ ラ イ トの考 え 方 を あ らわ す とい う理 由 に 基 づ く。 ボ ンブ ライ トに よ る 「所 有 主 に と って の 価 値 」 は,1930年 れ で は,何 故 に1970年 代 にい た って,バ. 代 に説 か れ た もの で あ る。 そ. ク ス ター は ボ ンブ ラ イ トの 「所 有 主 に と っ て の価. 値」 を べ 一 ス と しつ つ,剥 奪 価 値 説 を 主 張 したの で あ ろ うか 。 結 論 か ら述 べ る と,バ ク ス ター の 説 く剥 奪 価 値 説 は,会 計 上 の資 産 評 価 に現 有 資 産 の カ レ ン ト ・バ リュー を 適 用 す るた め に主 張 され た もの と い え る。 こ こ に こ そ,剥 奪 価 値 説 の 意 義 を 見 い だ す こ とが で き るの で あ る。 現 有 資 産 の カ レ ン ト ・バ リ ュー は,基 本 的 に三 つ の 財 務 的 測 定 概 念 か らな る。 三 つ の財 務 的 測 定 概 念 とは,現 有 資 産 の取 替 原 価(RC),正 味 実 現 可 能 価 値(NRV)お. よ び使 用 価 値(UV)を. さ す。 これ らの 財務 的測 定 概 念 は,現. 有 資 産 の 評 価 時 点 に お いて,現 有 資 産 の再 購 入 ・現 有 資産 の売 却 ・現 有 資産 の継 続 的 利用 と い う三 つ の 評 価 目的 を それ ぞれ 反 映 した もの とい え る。 これ ら三 つ の評 価 目的 を意 思 決 定 の観 点 か ら捉 え れ ば,現 有 資 産 の再 調 達 と い う意 思 決定 に 基 づ く場 合 に は 取 替 原 価 を, 現 有 資 産 の売 却 な る意 思 決 定 で あ れ ば正 味 実 現 可 能 価 値 を,そ. して現 有 資 産 の 継 続 的 な 利. 用 と い う意 思 決 定 に基 づ く場 合 に は使 用 価 値 を,各 意 思 決 定 の 局 面 に した が って 適 用 す る こ とが で き る。 こ の よ うに,剥 奪 価 値 に よ る資 産 評 価 で は,取 替 原 価,正 味 実 現 可 能 価 値, 使 用 価 値 の三 つ の測 定 概 念 が,そ れ ぞ れ の経 営 意思 決 定 に 応 じて 選 択 的 に適 用 され るの で. (1のJ.C.Bonbright,η. 昭 悔1配o"oη ρブP眉oρ6r之v(Vol。1),TheMichieCompany,Virginia,1937,. Reprinted1965,p.71. ㈹. ボ ン ブ ラ イ トの よ る 所 有 主 に と っ て の 価 値 の 解 釈 を め ぐ る 論 議 に つ い て は,ド され た い。 山 口忠 昭 82-83頁. 「物 価 変 動 ドに お け る 剥 奪 価 値 説 の 検 討 」 「會 計 』 第150巻. 第2号(平. 。. (1窃W.T.Baxter,D6卿do"ηgA∬8'∫. 酒'11脈)4μ -131(301)一. σ'`川,Gee&CoLimited,London,1981,P・14・. 記の拙稿を参照 成8年8月),.

(8) 第54巻. 第3号. あ る。 剥 奪 価 値(DV)は,取. 替 原 価,正. 味 実 現 可 能 価 値,使. 用 価 値 に よ っ て 構 成 さ れ,こ. れ. ら三 者 の 大 小 関 係 に よ っ て 決 定 さ れ る こ と と な る。 バ ク ス タ ー は 剥 奪 価 値 の 測 定 を 図 表1 -1の. よ う に 示 し て い る(2① 。. 剥 奪 価 値(DV) =い ず れ か 一 方 の 低 い数 値. 取 替 原 価(RC) (回 避 され た 原 価). 使 用価 値(UV). 図 表1-1で. は,取. 替 原 価 と 回 収 可 能 価 額(RA)を. 剥 奪 価 値 と な る 。 し た が っ て,剥. 奪 価 値 は,次. 比 較 し,い. ず れ か 一方 の 低 い数 値 が. の よ うに 表現 で き る。. … …(1). DV=min(RC,RA) 図 表1-1で. は,回. 収 可 能 価 額 な る 用 語 が 使 用 さ れ て い る が,バ. 代 の 文 献 の な か で は,将. 来 用 役 等 の 価 値 ⑳,予 測 さ れ た 直 接 的 な 便 益(2の,資産 の もつ 将 来 的. な 貢 献(futurecontribution)⑳ は,資. と い う用 語 を 用 い て い る 。 こ れ ら の 用 語 の 意 味 に つ い て. 産 そ れ 自体 か ら生 ず る キ ャ ッ シ ュ ・イ ン フ ロ ー を あ ら わ す も の と し て 理 解 す る こ と. が 可 能 で あ る。 取 替 原 価 と 回 収 可 能 価 額 を 比 較 し た 場 合,回 れ ば,現. ら,現. 有 資 産 の 取 替 原 価 は,企. W. ㈱W. T T T T T. (2①W. 収. 産 を 取 替 調 達 を 行 っ て も採 算 が と れ る こ と,(ロ). 現 に 資 産 が 所 有 さ れ て い る 状 態 に あ り,新. (22)W. 収 可 能 価額 が 取替 原 価 を上 回. 有 資 産 の 価 値 は 取 替 原 価 で 測 定 さ れ る こ と に な る 。 そ の 理 由 と して,(イ)回. 可 能 価 額 が 取 替 原 価 を 上 回 る 場 合,資. (21)W. ク ス タ ー は,1970・80年. た に資 産 を 再 調 達 す る必 要 が な い と い う観 点 か. 業 に と っ て 回 避 さ れ た 原 価 と な る こ と,こ. Baxter. (,ρ.d'.,P.7.. Baxter. 1厩1α"oηAcω. Baxter. Acco〃. Baxter Baxter. D8耀c1α"oη,Sweet&Maxwell,London,1971,p.36.. 〃1"ηg,PhilipAllan,Oxford,1984,p.206.. η加9協1聯oη411耀o'∫oη,McGraw-Hil1,London,NewYork,1975,P・126・. 01フ.d∫.,1984,P.206.. -132(302). の二 点 が あ げ ら.

(9) 会 計 上 の 資 産 概 念 と資 産 評 価 に 関す る検 討(山 口) れ る 。 し た が っ て,通. 常,現. 回 収 可 能 価 額 は,資. 有 資 産 の もつ 便 益 は,取. 産 そ れ 自 体 の もつ 便 益 を,資. で 測 定 した も の で あ る 。 回 収 可 能 価 額 は,正 れ,両. 者 の う ち,い. 替 原 価 で 測 定 さ れ る こ と と な る。. 産 か ら生 ず る キ ャ ッ シ ュ ・イ ン フ ロ ー. 味 実 現 可 能 価 値 と使 用 価 値 の 両 者 か ら構 成 さ. ず れ か 一 方 の 高 い 数 値 で 測 定 さ れ る 。 回 収 可 能 価 額 は,次. の よ うに表. され る こ とが で き る。. RA=max(NRV,UV). … …(2). 回収 可 能 価 額 を構 成 す る 使 用 価 値 は,現 有 資 産 か ら生 ず る と期 待 され る将 来 収 入 の 現 在 価 値 を意 味す る。 バ クス タ ー は,使 用価 値 を経 済 価 値(EV)⑳. な る用 語 で あ らわ す こ と も. あ る。 使 用 価 値 あ る い は経 済 価 値 とい う異 な る用 語 で 表 現 され て い る と は いえ,意 味 す る と こ ろ は 同 じで あ る。 か くて,剥 奪 価 値 は,取 替 原 価,正. 味実 現 可 能 価 値,使 用 価 値 に よ って 構 成 され る。 そ. して,剥 奪 価 値 は こ れ ら三 者 の人 小 関係 に よ って 決 定 され る こ とに な る。 上 記 の(1)と(2)の 式 か ら,剥 奪 価 値 は次 の よ う に示 す こ と が で き る。. DV=min{RC,max(NRV,UV)}. ・・・…(3). 使 用 価 値 を 求 め る と き,将 来 キ ャ ッシ ュ ・フ ロ ー の 見積 な ど不確 定 要素 が 介 入 す る。 測 定 値 の 硬 度 か ら使 用 価 値 を捉 え れ ば,使 用 価 値 は硬 い数 値 で は な く,や わ らか な数 値 とい う性 格 を 有 す る。 した が って,使 用 価 値 は主 観 的 な価 値 の表 現 とい え る。 使 用 価 値 を 市 場 取 引 との 関 連 で 捉 え る と,取 替 原 価,正 味 実 現 可 能 価 値 と比 較 して,使 用 価 値 は市 場 取 引 との 関 連 が 相 対 的 に弱 い もの で あ る。 そ れ ゆ え,資 産 の現 状 維 持 ・利 用 は行 わ れ る けれ ど も,資 産 の 取 替 調 達 を 行 わ な い場 合,現 有 資産 に残 存 す る用 役 の測 定 に 対 して,最. も適 切 な取 替 の コ ス トが 代 替 的 に適 用 され るべ き で あ る こ とを 彼 は説 く㈲。 つ. ま り,使 用 価 値 に代 え て,代 替 的 に適 用 され る た め の取 替 コ ス トが説 明 さ れ る の で あ る。 こ こで 代 替 的 に適 用 され る最 も適 切 な 取 替 コ ス トと い う表 現 は,い さ さ か分 か りに くい の で,こ れ に つ い て い ま少 し取 りあ げ て み よ う。 バ ク ス タ ー の 所 説 で は,原 価 節 約(cost savingS)な. る概 念 に よ って,代 替 的 に適 用 され る取 替 コ ス トの 測 定 が 説 明 され て い る⑳。. 原 価 節約 の 内容 に 関 して理 解 す るた め に,一 台 の 機 械 設 備 を所 有 して い る場 合 を あ げ て み. rO ワー ∩﹂ 1. 1 3 1. 乙 C. 9 ° り乙 1. 4 ∩﹂ ∩﹂ 1. μ 0. 7. ム C. D⊥ D、 Dニ. ー 8 ∩口 1. μ 0. rD 1. ∼ C. T. μ 0. T. r r r e e e 十し 十し ← し X X X a a a B B B. T. W W W. φ 粉 (q O乙 nノ白 ∩1血.   3 0 3 く 3 3 1.

(10) 第54巻. 第3号. よ う。 一一台 の 機 械 設 備 を 所 有 す る場 合 に は,(a)機 械 設 備 の 所 有 に よ っ て リー ス料 の支 払 い を 回避 で き る こ と,(b)機 械 設 備 の もつ 生 産 能 力 に よ り,そ の生 産 力 に 見合 う人 件 費 の節 約 が 可 能 で あ る こ と,こ れ ら二 つ が 考 え られ る。 したが っ て,回 避 で き る リー ス料,節. 約さ. れ る人 件 費 の 額 で,現 有 資 産 に残 存 す る用 役 が測 定 さ れ る とみ る。 代 替 的 に適 用 され る取 替 コ ス トにつ いて は,回 避 可 能 な リー ス料,節 約 さ れ る 人件 費 が これ に あ た る とす るの で あ る。 バ ク ス タ ー の い う剥 奪 価 値 説 の思 考 は,カ. レ ン ト ・バ リ ュー を 会 計 計 算 に取 り入 れ るた. め の論 理 と して機 能 す る。 換 言 す れ ば,彼 の所 説 は,時 価 を ス トレー トに導 入 す るの で は な く,剥 奪 価 値 とい う橋 渡 しの概 念 を 据 え て,カ. レ ン ト ・バ リュー に基 づ く資 産 評 価 に説. 得 力 を もた せ よ う と した とい え る。 上 記 の(3)式か ら理 解 で き る よ う に,剥 奪 価 値 説 で は, 取 替原 価,正. 味実 現 可能 価 値,使 用 価 値 の 大 小 関 係 に よ り,測 定 概 念 の 選 択 的 適 用 が 行 わ. れ る。 さて,あ. らた め て,取 替 原 価,正 味 実 現 可 能 価 値,使 用 価 値 と い う三 つ の測 定 概 念 の選. 択 的 適 用 に つ い て 考 え て み る と,測 定 概 念 の 選 択 的 適 用 を 支 え る根 拠 は ど こ に あ る のか と い う問 題 が 浮 上 す る こ と にな る。. 2.剥. 奪 価 値 と資 産 に関 す る代 替 的 予 算. バ クス タ ー の所 説 を検 討 す る と,カ レ ン ト ・バ リュー概 念 が,資 産 に 関す る代 替 的 予算 伽 に関 連 させ て 思 考 され て い る と こ ろ にユ ニ ー ク さ を見 い だす こ とが で き る。 代 替 的予 算 と は,一 単 位 の 資 産 を有 す る場 合 の予 算 と,一 単 位 の資 産 を有 して い な い場 合 の 予算 を比 較 し,ど の よ う な相 違 が 生 ず るか と い う点 を明 らか にす る もの で あ る。 す な わ ち,一 単 位 の 資 産 を有 す る場 合 の予 算 で は,所 有 主 が資 産 を所 有 し続 け る とき,ど の よ うな将 来 キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー を生 ず るか とい う数 値 が示 さ れ る。 一 単 位 の 資産 を有 して い な い場 合 の予 算 に お い て は,所 有 主 は資 産 の調 達 に 関す る意 思 決 定(資 産 を調 達 す るか 否 か の 決定)を 行 うが,そ の 意 思 決 定 に 基 づ い て 生 ず る将 来 キ ャ ッシ ュ ・フ ロー の数 値 が示 され る。 そ し て,一 単 位 の資 産 を有 す る場 合 の予 算 の数 値 と,一 単位 の 資産 を有 して い な い場 合 の 予算 の数 値 とを比 較 して,二 つ の予 算 か ら差 異 が求 め られ る。 差 異 の数 値 は,現 在 時 点 に お い て,資 産 を所 有 す る こ との有 利 さを あ らわす もの で あ る。 こ の よ うに,資 産 を有 す る場 合 の予 算 と,資 産 を 有 して い な い場 合 の予 算 と を比 較 して,. ⑳W.T.Baxter,(,ρ.d'.,1993,p.5.. 一134(304)一.

(11) 会 計 上 の資 産 概 念 と資 産 評価 に 関 す る検 討(山. 口). 資 産 所 有 の有 利 さ を表 現 しよ うとす る考 え方 に,剥 奪 価 値 の特 色 が み られ,三 つ の 測 定概 念 の 選 択 的 適 用 を支 え る根 拠 が おか れ て い る。 バ クス ター の所 説 に お い て は,資 産 を 有 す る場 合 と,資 産 を有 して い な い場 合 の予 算 を比 較 す る とき,ど の よ うな 相違 が生 ず るか と い う考 え 方 が 限 界 ア プ ロ ー チ あ る い は 限界 思 考(marginalthinking)に. 基 づ くもの で あ. る と して い る㈱。 この 考 え 方 は,彼 の剥 奪 価 値 説 を理 解 す る うえ で,き わ め て重 要 な位 置 を 占め る もの で あ る。 剥 奪 価 値 説 に お い て,将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロー の 数値 を代 替 的 予算 の な か に取 り入 れ る狙 い は,事 後 的 事 象 の測 定 で は な く,将 来 的 な事 象 の 測 定 を可 能 な 限 り行 お う とす る こ と に あ る。 そ こで,資 産 に関 す る代 替 的 予 算 の 検 討 に あ た り,仮 設 的 な数 値 例(設 例)と. して(a)剥. 奪 価 値 と して 取 替 原 価 が 適 用 され る場 合,(b)剥 奪 価 値 と して正 味実 現 可 能 価 値 が適 用 され る場 合,(c)剥 奪 価 値 と して 使 用 価 値 が 適 用 され る場 合,こ. れ ら三 つ の ケ ー ス を取 りあ げ て. み よ う⑳。 な お,こ の 設 例 につ いて は,バ ク ス タ ー の基 本 的 な考 え 方 が べ 一 ス と され,彼 の 例 示 と は異 な る数 値 が 用 い られ て い る。. (a)剥. 奪 価 値 と して 取 替 原 価 が 適 用 さ れ る 場 合. 剥 奪 価 値 と し て 取 替 原 価 を 適 用 す る ケ ー ス に つ い て,次 う 。 設 例1で. は,次. の こ と が 仮 定 さ れ て い る 。 す な わ ち,(イ)現. 両 運 搬 具 は,収 益 を 稼 得 さ れ る こ と が 予 測 さ れ,そ る と 見 積 も られ る こ と,(ロ)現 支 出 が 必 要 で あ る こ と,こ つ い て は,表1-1の. の 設 例1に 在,所. よ り検 討 して み よ 有 され て い る車. の 収 益 の 現 在 価 値 が500,000ポ. ン ドで あ. 有 の 車 両 運 搬 具 を 取 替 調 達 す る 場 合 に は,30,000ポ. ン ドの. れ ら二 つ の 条 件 が あ る も の と す る。 資 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 に. よ う に 作 成 さ れ る こ と が で き る。. 表1-1資. 産 に関 す る代 替 的 予 算. (1)資 産 を 有 す る場 合 の 予算 車 両 運 搬 具 か ら得 られ る と予 測 さ れ る収 益 の現 在価 値. 500,000. (2)資 産 を 有 して い な い場 合 の 予 算 車 両 運 搬 具 を調 達 す る と き の支 出額(30,000) 車 両 運 搬 具 か ら得 られ る と予 測 さ れ る収 益 の現 在 価 値 … …500000. 470000 30000. (3)差 異:車 両 運 搬 具 を所 有 す る こ と に よ る有 利 さ. ⑱W.T.Baxter,oρ.cl'.,1971,p.43. W.T,Baxter,DecisionBudget-theoryandIllustrations,inOsamuKojima,(ed.),∫ '加B配. ∫ 磁8∫. ∫'η8∬Ecoηo囲c∫,DaigakudoShoten,Kyoto,1977,p.10.. W.T.Baxter,Acα. 川 η加gR8∫80κ. 乃一Acαゴ6加c㍑. AccountantsofScotland,Edinburgh,1988,p.14. ⑳W.T.Baxter,oρ.d'.,1993,pp.5-6.. -135(305)一. η45v8κ. ∫〃5Pハoσ'cα1N副. ∫,TheInstituteof. 加.

(12) 第54巻 表1-1の. 第3号. 資 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 に お い て,(1)資 産 を 有 す る 場 合 の 予 算 で は,車 両 運 搬. 具 か ら 得 ら れ る と 予 測 さ れ る 収 益 の 現 在 価 値500,000ポ は,投. 下 資 本 の 回 収 に か か わ る も の で あ る か ら,資. ン ドが 示 さ れ る。 収 益 の 現 在 価 値. 産 を 取 得 す るか 否 か に関 す る資 本 予 算. に お い て 重 要 な 役 割 を 果 た す 数 値 と な る 。 こ こ で 収 益 の 現 在 価 値500,000ポ. ン ドは,現. 有. 資 産 た る一・ 台 の 車 両 運 搬 具 か ら 獲 得 さ れ る 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー を あ らわ して い る 。 す な わ ち,一 ・ 単 位 の 資 産 を 有 す る 場 合,現. 有 資 産 に よ っ て 得 ら れ る 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー. の 数 値 が 示 さ れ て い る の で あ る 。 収 益 の 現 在 価 値500,000ポ 価 あ る い は 見 積 に 基 づ く も の で あ り,そ. 表1-1の(2)資. 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー と い う フ ロ ー 概 念 を 用 い. 意 す べ き 点 と して あ げ ら れ る。 産 を 有 し て い な い 場 合 の 予 算 に お い て,経. に 関 す る意 思 決 定 が 行 わ れ る。 な ぜ な ら ば,現 い る の で,資. に 資 産 を 所 有 して い な い こ と が 仮 定 さ れ て. わ れ る こ と に な る か ら で あ る 。 か か る 意 思 決 定 に あ た り,キ お い て 資 産 を 調 達 す る と き の 支 出 額 と,資. 産 調 達 の意 思 決 定 が 行. イ と な る 数 値 が,現. 在時点 に. 産 か ら得 られ る と予 測 され る収 益 の現 在 価 値 で. あ る。 現 在 時 点 の 資 産 調 達 に 関 す る 支 出 は,取. 替 原 価 を さ す 。 こ の 設 例 に お い て は,車. 運 搬 具 か ら 得 ら れ る と 予 測 さ れ る 収 益 の 現 在 価 値500,000ポ. の 結 果,当. 営 者 は資 産 を 調 達 す るか 否 か. 産 の 取 得 を 行 う こ と が 有 利 で あ る と 判 断 さ れ れ ば,資. を 上 回 る の で,資. く ま で も個 人 的 評. の 意 味 で 主 観 的 な 性 格 を もつ 数 値 と い え る。 資 産. の 将 来 的 便 益 を 主 観 的 数 値 で あ ら わ し,将 て い る こ と が,留. ン ドは,あ. ン ドが 取 替 原 価30,000ポ. 産 の 調 達 が 行 わ れ る こ と と な る 。 そ して,車. 両 ン ド. 両 運 搬 具 と い う資 産 の 調 達. 該 資 産 か ら得 ら れ る と 予 測 さ れ る キ ャ ッ シ ュ ・イ ン フ ロ ー は470,000ポ. ン ドで. あ る こ と が 示 さ れ て い る。 表1-1の(3)差. 異 に つ い て は,上. な い 場 合 の 予 算 と の 差 額 で あ り,現 産 所 有 の 有 利 さ は,現. 述 の(1)資 産 を 有 す る 場 合 の 予 算 と(2)資 産 を 有 し て い 在,資. 産 を 所 有 す る こ と に よ る 有 利 さ を あ らわ す 。 資. に 資 産 を 所 有 し て い る状 態 に あ る の で,新. 出 を 行 う必 要 が な い こ と に 存 す る。 そ れ ゆ え に,車. たな資産調達のための支. 両 運 搬 具 と い う資 産 を 調 達 す るた め の. 支 出 が 回 避 さ れ る こ と と な る。 資 産 調 達 の た め に 回 避 さ れ た 支 出 額 は,取 測 定 さ れ る 。 した が っ て,車 り,こ. 替 原 価 に よ って. 両 運 搬 具 の カ レ ン ト ・バ リ ュ ー は 取 替 原 価30,000ポ. ン ドで あ. の取 替 原 価 の数 値 が 資産 を所 有 す る こ との 有 利 さを あ らわ す こ と とな る。 車 両 運 搬. 具 に 関 す る 資 産 評 価 額 に 関 し て は,取. 替 原 価30,000ポ. ン ドが 計 上 さ れ る 。. (b)剥 奪 価 値 と して正 味実 現 可 能 価 値 が適 用 され る場 合 さ て,設 例2で. は,(イ)現. 在,所 有 さ れ て い る車 両 運 搬 具 か ら稼 得 され る収 益 の現 在 一136(306)一.

(13) 砲. 場. つ P. ー ∼. 直. ー. 1.

(14) 会 計 上 の 資産 概 念 と資 産 評価 に 関 す る 検 討(山. 口). 資 産 所 有 の有 利 さ を表 現 しよ う とす る考 え方 に,剥 奪 価 値 の特 色 が み られ,三 つ の測 定 概 念 の 選 択 的 適 用 を 支 え る根 拠 が お か れ て い る。 バ ク ス タ ー の所 説 に お い て は,資 産 を有 す る場 合 と,資 産 を 有 して い な い 場 合 の 予 算 を 比 較 す る と き,ど の よ うな相 違 が生 ず るか と い う考 え 方 が 限 界 ア プ ロー チ あ るい は 限 界 思 考(marginalthinking)に る と して い る軋. 基 づ く もの で あ. こ の考 え方 は,彼 の 剥 奪 価 値 説 を理 解 す る うえ で,き わ め て 重 要 な 位 置. を 占 め る もの で あ る。 剥 奪 価 値 説 に お い て,将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロー の 数 値 を 代 替 的 予 算 の なか に取 り入 れ る狙 い は,事 後 的事 象 の測 定 で は な く,将 来 的 な事 象 の 測 定 を 可 能 な 限 り行 お う とす る こ と に あ る。 そ こで,資 産 に関 す る代 替 的 予算 の 検 討 に あ た り,仮 設 的 な数 値 例(設 例)と. して(a)剥. 奪 価 値 と して 取 替 原 価 が 適 用 され る場 合,(b)剥 奪 価 値 と して正 味 実 現 可 能 価 値 が適 用 さ れ る場 合,(c)剥 奪 価 値 と して 使 用 価 値 が 適 用 され る場 合,こ れ ら三 つ の ケ ー ス を取 りあ げ て み よ う(29。 な お,こ の設 例 に つ い て は,バ ク ス ター の 基 本 的 な 考 え 方 が べ 一 ス と され ,彼 の 例 示 とは異 な る数 値 が用 い られ て い る。. (a)剥. 奪 価 値 と して 取 替 原 価 が 適 用 さ れ る 場 合. 剥 奪 価 値 と し て 取 替 原 価 を 適 用 す る ケ ー ス に つ い て,次 う 。 設 例1で 両 運 搬 具 は,収. は,次. の 設 例1に. の こ と が 仮 定 さ れ て い る。 す な わ ち,(イ)現. 益 を 稼 得 さ れ る こ と が 予 測 さ れ,そ. る と 見 積 も ら れ る こ と,(ロ)現 支 出 が 必 要 で あ る こ と,こ つ い て は,表1-1の. よ り検 討 して み よ. 在,所. 有 され て い る車. の 収 益 の 現 在 価 値 が500,000ポ. 有 の 車 両 運 搬 具 を 取 替 調 達 す る 場 合 に は,30. ン ドで あ. ,000ポ ン ドの. れ ら二 つ の 条 件 が あ る も の と す る 。 資 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 に. よ うに作 成 され る こ とが で き る。. 表1-1資. 産 に関 す る代 替 的 予 算. (1)資 産 を 有 す る場 合 の 予算 車 両 運 搬 具 か ら得 られ る と予 測 され る収 益 の現 在 価 値. 500,000. (2)資 産 を 有 して いな い場 合 の 予 算 車 両 運 搬 具 を 調 達 す る と きの 支 出額(30,000) 車 両 運 搬 具 か ら得 られ る と}測 され る収 益 の 現 在 価 値 ・ … ・500000 (3)差. 異:車 両運 搬 具 を 所 有 す る こ と に よ る有 利 さ. 470000. 30000. ㈱W.T.Baxter,oρ.dム,1971,p.43. W.T.Baxter,DecisionBudget-theoryandIllustrations. ,inOsamuKojima,(ed.),∫. 磁. '加 、8〃8加6∬Eα,η`)刑'6∫,DaigakudoShoten,Kyoto,1977,p.10. W.T.Baxter,Acco〃. η"ηgR8∫80舶. 一Acα漉 〃2'c7γ2η4∫v8燗5Proc"co1漉64∫. AccountantsofScotland,Edinburgh,1988,p.14. ㈱W.T.Baxter,oρ.d∫.,1993,pp.5-6.. 135(305). ,TheInstituteof. ∫8∫加.

(15) 第54巻 表1-1の. 第3号. 資 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 に お い て,(1)資 産 を 有 す る 場 合 の 予 算 で は,車 両 運 搬. 具 か ら得 ら れ る と 予 測 さ れ る 収 益 の 現 在 価 値500,000ポ は,投. 下 資 本 の 回 収 に か か わ る も の で あ る か ら,資. ン ドが 示 さ れ る 。 収 益 の 現 在 価 値. 産 を取 得 す る か否 か に 関す る資本 予 算. に お い て 重 要 な 役 割 を 果 た す 数 値 と な る。 こ こ で 収 益 の 現 在 価 値500,000ポ. ン ドは,現. 有. 資 産 た る 一・ 台 の 車 両 運 搬 具 か ら獲 得 さ れ る 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー を あ ら わ し て い る 。 す な わ ち,一. 単 位 の 資 産 を 有 す る 場 合,現. 有 資 産 に よ っ て 得 られ る 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー. の 数 値 が 示 さ れ て い る の で あ る 。 収 益 の 現 在 価 値500,000ポ 価 あ る い は 見 積 に 基 づ く も の で あ り,そ. 表1-1の(2)資. 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー と い う フ ロ ー 概 念 を 用 い. 意 す べ き点 と して あ げ られ る。 産 を 有 して い な い 場 合 の 予 算 に お い て,経. に 関 す る 意 思 決 定 が 行 わ れ る 。 な ぜ な ら ば,現 い る の で,資. 営 者 は 資産 を調 達 す る か否 か. に資 産 を所 有 して い な い こ とが仮 定 さ れ て. 産 の 取 得 を 行 う こ と が 有 利 で あ る と 判 断 さ れ れ ば,資. わ れ る こ と に な る か ら で あ る 。 か か る 意 思 決 定 に あ た り,キ お い て 資 産 を 調 達 す る と き の 支 出 額 と,資. イ と な る 数 値 が,現. 在 時点 に. 替 原 価 を さ す 。 こ の 設 例 に お い て は,車. 運 搬 具 か ら得 ら れ る と 予 測 さ れ る 収 益 の 現 在 価 値500,000ポ. の 結 果,当. 産 調 達 の意 思 決 定 が行. 産 か ら得 ら れ る と予 測 さ れ る収 益 の 現 在 価 値 で. あ る 。 現 在 時 点 の 資 産 調 達 に 関 す る 支 出 は,取. を 上 回 る の で,資. くま で も個 人 的 評. の 意 味 で 主 観 的 な 性 格 を もつ 数 値 と い え る。 資 産. の 将 来 的 便 益 を 主 観 的 数 値 で あ ら わ し,将 て い る こ と が,留. ン ドは,あ. 産 の 調 達 が 行 わ れ る こ と と な る 。 そ し て,車. ン ドが 取 替 原 価30,000ポ. 両 ン ド. 両 運 搬 具 とい う資産 の調 達. 該 資 産 か ら 得 ら れ る と 予 測 さ れ る キ ャ ッ シ ュ ・イ ン フ ロ ー は470,000ポ. ン ドで. あ る こ とが 示 され て い る。 表1-1の(3)差. 異 に つ い て は,上. な い 場 合 の 予 算 と の 差 額 で あ り,現 産 所 有 の 有 利 さ は,現. 述 の(1)資 産 を 有 す る 場 合 の 予 算 と(2)資 産 を 有 し て い 在,資. 産 を所 有 す る こ とに よ る有 利 さ を あ らわす 。 資. に 資 産 を 所 有 し て い る 状 態 に あ る の で,新. 出 を 行 う 必 要 が な い こ と に 存 す る 。 そ れ ゆ え に,車. た な資 産 調 達 の た め の支. 両 運 搬 具 と い う資 産 を 調 達 す る た め の. 支 出 が 回 避 さ れ る こ と と な る 。 資 産 調 達 の た め に 回 避 さ れ た 支 出 額 は,取 測 定 さ れ る 。 し た が っ て,車 り,こ. 替 原 価 に よ って. 両 運 搬 具 の カ レ ン ト ・バ リ ュ ー は 取 替 原 価30,000ポ. ン ドで あ. の 取 替 原 価 の 数 値 が 資 産 を 所 有 す る こ との 有 利 さ を あ らわす こ と と な る。 車 両 運 搬. 具 に 関 す る 資 産 評 価 額 に 関 して は,取. (b)剥. 替 原 価30,000ポ. ン ドが 計 上 さ れ る 。. 奪 価 値 と して 正 味 実 現 可 能 価 値 が 適 用 され る場 合. さて,設 例2で. は,(イ)現. 在,所 有 され て い る車 両 運 搬 具 か ら稼 得 され る収 益 の 現 在 一136(306).

(16) 会 計 上 の 資 産 概 念 と資 産 評 価 に 関 す る検 討(山 価 値 が45,000ポ. ン ドで あ る と 見 積 も ら れ る こ と,(ロ)現. 合 に は,100,000ポ に60,000ポ. ン ドの 支 出 が 必 要 で あ る こ と,(ハ)現. ン ドの 収 入 が あ る こ と,こ. 替 的 予 算 は 表1-2の. 口). 有 の 車 両 運 搬 具 を 取 替 調 達 す る場 有 の 車 両 運 搬 具 を 売却 した と き. れ ら三 つ の 条 件 が あ る も の と す る。 資 産 に 関 す る 代. よ う に 作 成 さ れ る。. 表1-2資. 産 に 関 す る代 替 的予 算. (1)資 産 を 有 す る場 合 の 予 算 車 両 運 搬具 の 売却 か ら得 られ る収 入. 60,000. 9自. 資 産 を 有 して い な い場 合 の 予 算. Qu. 差 異:車 両 運搬 具 を所 有 す る こ とに よ る有 利 さ. 60000. 設 例2に お い て,現 有 資 産 た る車 両 運 搬 具 に関 して,次 の 意 思 決 定 が 行 われ て い る。 す な わ ち,車 両 運 搬 具 の取 替 原 価100,000ポ ン ドは,車 両 運 搬 具 か ら稼 得 され る収 益 の 現 在 価 値 と,現 有 の 車 両 運 搬 具 の 売 却 か ら得 られ る収 入 の 両 者 を上 回 る ので,資 産 の取 替 調 達 を 行 わ な い とす る意 思 決 定 が と られ る。 な ぜ な ら,か. りに資 産 の取 替 調 達 を した と して も,. 取 替 支 出 額 を 回 収 す る こ とが で きな い か らで あ る。 そ して ま た,資 産 の継 続 的 な利 用 よ り も,む. しろ現 有 資 産 の 売 却 とい う意 思 決 定 が 行 わ れ る。 そ の理 由 は,現 有 資 産 の収 益 の 現. 在 価 値 と,現 有 資 産 の 売 却 収 入 の 両 者 を 比 較 す る と,現 有 資 産 の売 却 収 入 が現 有 資産 収 益 の 現 在 価 値 を 上 回 るの で,現 有 資 産 の 売 却 と い う意 思 決 定 が 企 業 に と っ て有 利 で あ る とす る判 断 に基 づ くもの で る。 か くて,設 例2の 資 産 に関 す る代 替 的 予 算 は,二 つ の意 思 決 定, つ ま り資 産 の 取 替 調 達 を しな い とす る意 思 決 定 な らび に現 有 資産 の売 却 をす る と い う意 思 決 定 か ら成 り立 つ こ と とな る。 表1-2の. 資 産 に関 す る代 替 的 予 算 を み る と,(1)資 産 を有 す る場 合 の 予算 で は,資 産 の継. 続 的 利 用 よ りも,現 有 資 産 の 売 却 と い う代 替 案 が と られ,そ の代 替 案 に基 づ く意 思 決 定 か ら生 ず る将 来 キ ャ ッシ ュ ・イ ンフ ロ ーが 示 さ れ て い る。 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・イ ン フ ロー は車 両 運 搬 具 の売 却 か ら得 られ る収 入60,000ポ ン ドで あ る。(2)資産 を 有 して い な い場 合 の 予算 で は,資 産 の調 達 を しな い とす る意 思 決 定 が行 わ れ て い るの で,資 産 に 関 す る将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー は無 記 入(ゼ. ロ)と な る。(3)差異 は,車 両運 搬 具 の 所 有 に よ る有 利 さを あ ら. わ し,売 却 収 入60,000ポ ン ドと な る。 か くて,車 両 運 搬 具 の カ レ ン ト ・バ リ ュー は 売却 価 格60,000ポ ン ドで あ る。 資 産 評 価額 に関 して は,売 却 価 格60,000ポ ン ドが 計 上 さ れ る こ と とな る。. 一137(307)一.

(17) 第54巻 (c)剥. 第3号. 奪 価 値 と して 使 用 価 値 が 適 用 さ れ る 場 合. 設 例3で 70,000ポ. は,(イ)現. 有 さ れ て い る 車 両 運 搬 具 か ら稼 得 さ れ る 収 益 の 現 在 価 値 が. ン ドで あ る と 見 積 も ら れ る こ と,(ロ)現. は,100,000ポ 20,000ポ. 在,所. 有 の 車 両 運 搬 具 を取 替 調 達 す る場 合 に. ン ドの 支 出 が 必 要 で あ る こ と,(ハ)現. ン ドの 収 入 が あ る こ と,こ. 的 予 算 に つ い て は,表1-3の. 有 の 車 両 運 搬 具 を 売 却 した とき に. れ ら三 つ の 条 件 が あ る も の とす る 。 資 産 に 関 す る 代 替. よ うに作 成 され る こ とが で き る。. 表1-3資. 産 に関 す る 代 替 的 予 算. (1)資 産 を 有 す る場 合 の 予算 (a)車両 運 搬 具 の 売 却 か ら得 られ る収 入20,000 (b)車両 運 搬 具 の 継 続 的 な利 用 か ら得 られ る収 益 の現 在 価 値 … … …70,000 70,000. (c)-L記の(a)売却 収 入 と(b)収益 の現 在 価 値 の両 者 う ち,高 い方 の額 (2)資 産 を 有 して い な い場 合 の 予算. 70000. (3)差 異:車 両 運 搬 具 を所 有 す る こ と に よ る有 利 さ. 表1-3の. 資 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 に 関 し て,(1)資 産 を 有 す る 場 合 の 予 算 で は,三 つ の 内. 容 が あ ら わ さ れ て い る 。 第 一 は,現. 有 資 産 の 売 却 と い う 意 思 決 定 に 基 づ く将 来 キ ャ ッ. シ ュ ・フ ロ ー で あ る。 こ れ に つ い て は,(a)車 ドと して 記 入 が 行 わ れ て い る 。 第 二 は,現. 両 運 搬 具 の 売 却 か ら得 ら れ る 収 入20,000ポ. ン. 有 資 産 の 継 続 的 利 用 な る意 思 決 定 に 基 づ く将 来. キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー で あ る 。(b)車 両 運 搬 具 の 継 続 的 な 利 用 か ら 得 ら れ る 収 益 の 現 在 価 値 70,000ポ. ン ドが,こ. れ に あ た る。 第 三 は,現. 有 資 産 の 売 却 と現 有 資 産 の 継 続 的 利 用 と い う. 異 な る 二 つ の 意 思 決 定 の な か で,ど. ち らが企 業 に と って適 切 な意 思 決 定 で あ るか を あ らわ. す も の で あ る 。 こ れ に 関 し て は,売. 却 収 入 と収 益 の 現 在 価 値 の 両 者 う ち,い. 高 い 方 の 額 に よ っ て 測 定 が 行 わ れ,そ い る 。 こ れ は,現. の 結 果,収. 有 資 産 の 継 続 的 利 用 な る 意 思 決 定 が,企. 断 に よ る も の で あ る 。 し た が っ て,資. ら,車. 70,000ポ. ン ド と,現. の で,た. と え 資 産 を 調 達 し,営. 表1-3の(3)差. 産 調 達 を行 わ な い とす る意 思. 産 に 関 す る 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー は 無 記 入(ゼ. 両 運 搬 具 の 取 替 原 価100,000ポ. ン ドは,車. 業 活 動 を 行 っ た と し て も,採. な る。 な ぜ な. ン ドの 両 者 を 上 回 る. 算 が とれ な い か らで あ る。. 両 運 搬 具 を 所 有 す る こ と に よ る 有 利 さ は,資 一138(308)一. ロ)と. 両 運 搬 具 か ら稼 得 され る収 益 の 現 在 価 値. 有 の 車 両 運 搬 具 の 売 却 か ら得 ら れ る 収 入20,000ポ. 異:車. 産 の継 続 的 利 用 か ら. ン ドが 示 さ れ る こ と と な る 。. 産 を 有 して い な い 場 合 の 予 算 に お い て,資. 決 定 に 基 づ い て,資. ン ドが 記 入 さ れ て. 業 に と っ て 有 利 で あ る と す る判. 産 を 有 す る 場 合 の 予 算 で は,資. 得 られ る 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー70,000ポ 表1-3の(2)資. 益 の 現 在 価 値70,000ポ. ず れ か一 方 の. 産 を有 す る場 合 の 予.

(18) 会 計 上 の 資産 概 念 と資産 評 価 に 関 す る検 討(山. 口). 算 と資産 を有 して い な い場 合 の 予算 の比 較 か ら求 め られ る。 資 産 を 有 す る場 合 の 予 算 か ら 70,000ポ. ン ドを,資. の で,車. 両 運 搬 具 の 所 有 に よ る 有 利 さ は,資. ロ ー70,000ポ. 産 を有 して い な い場 合 の 予 算 か らゼ ロ とい う数 値 を 得 る こ とが で き る 産 の 継 続 的 利 用 に 基 づ く将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ. ン ドと な る 。. 上 記 の(a)剥 奪 価 値 と し て 取 替 原 価 が 適 用 さ れ る 場 合,(b)剥 価 値 が 適 用 さ れ る場 合,(c)剥 ス で,資. 奪 価 値 と して正 味実 現 可 能. 奪 価 値 と し て 使 用 価 値 が 適 用 さ れ る 場 合,こ. れ ら三 つ の ケ ー. 産 に 関 す る代 替 的 予 算 が 示 され て い る。 三 つ の ケー スの 資 産 に関 す る代 替 的 予 算. か ら 次 の こ と が 理 解 で き る 。 そ れ は,資 リ ュ ー が 用 い ら れ る こ と に よ り,経 タ ー は,資. 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 の な か で カ レ ン ト ・バ. 営 意 思 決 定 に 資 す る も の と な る こ と で あ る。 バ ク ス. 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 が 管 理 会 計 の 目 的 に 適 合 す る もの で あ る と し,資. 産 に関. す る 代 替 的 予 算 の も つ メ リ ッ トを 力 説 して い る ㊤ ①。 資 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 に つ い て,注 シ ュ ・フ ロ ー の 測 定 が,カ. 目 す べ き は,現. 有 資産 にか かわ る将 来 キ ャ ッ. レ ン ト ・バ リ ュ ー に 基 づ く資 産 評 価 の 基 底 に あ る こ と で あ る 。. 現 有 資 産 に か か わ る 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー が 資 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 の な か で 用 い ら れ, 取 替 原 価,正. 味 実 現 可 能 価 値,使. 用 価 値 の 三 つ の 測 定 概 念 の う ち,い. 念 で 資 産 評 価 を 行 う こ と が 示 さ れ て い る 。 こ れ は,有. ず れ か 一・ つ の測 定 概. 高 と し て の ス ト ッ ク概 念 よ り も,む. し ろ 将 来 的 便 益 と して の フ ロ ー 概 念 の 視 点 か ら資 産 概 念 を 理 解 し て い る こ と に 通 ず る も の と いえ よ う。. 3.固. 定 資 産 の減 損 処 理 に み られ る 回収 可 能 価 額. 経 営 者 は企 業 の経 営 資 源 を有 効 に活 用 しな け れ ば な らな い。 経 営 活 動 を 円 滑 に遂 行 す る た め に,経 営 者 は企 業 の現 有 資産 に 関 して最 も適 切 な意 思 決 定 を 行 うで あ ろ う とす る仮 定 を設 け る こ とが で き る。 この仮 定 に基 づ け ば,経 営者 は,当 該 資 産 の 取 替 調 達,売 却 あ る い は継 続 的利 用 に三 つ の うち,ど れ か一 つ を 選 択 す る とい う意 思 決 定 を 行 う こ と にな る。 固定 資産 の減 損 の生 じて い る状 況 で は,資 産 の 収 益 性 が 著 し く低 下 して い るの で,当 該 資 産 の取 替 調達 とい う意 思 決 定 が 行 わ れ る こ とは あ り得 な い。 な ぜ な ら,固 定 資 産 の 減 損 と い う事 実 が 存 在 す る限 り,た とえ 資 産 の 取 替 調 達 を 行 っ た と して も投 下 資 本 の 回収 が 不 可 能 とな るか らで あ る。 した が って,経 営 者 は,現 有 資産 の 売 却 も し くは 継 続 的 利 用 の うち, いず れ か 一 方 の意 思 決 定 を 行 う こ と にな る。. (3①1Z>'61.,P.8.. 139(309).

(19) 第54巻. 第3号. 固 定 資 産 の 減 損 処 理 に 関 す る 会 計 基 準 と して,IAS第36号. を 取 りあ げ て み よ う。IAS. 第36号 の 減 損 処 理 の 適 用 に つ い て み る と,回 収 可 能 価 額 の 定 義 が 鍵 概 念 に相 当 しGl),重要 な役 割 を担 う。IAS第36号. で は,減 損 処 理 を行 うか否 か の判 定 に 際 して,資 産 の 帳 簿 価 額. と 割 引 後 の 将 来 キ ャ ッシ ュ ・フ ロ ー との 両 者 を 比 較 し,資 産 の 帳 簿 価 額 が 割 引 後 の将 来 キ ャ ッ シュ ・フ ロー を上 回 れ ば,固 定 資産 の 減 損処 理 が 行 わ れ る こ と にな る。 固 定 資 産 の 減 損 処 理 に つ い て み る と,回 収 可 能 価額 が 減 損 損 失 の認 識 とそ の 測 定 にお い て キ ー ワー ド と な る の で あ る。 す な わ ち,減 損 の 兆候 の あ る 資産 の 帳 簿 価額 が 回 収 可 能 価 額 を 超 過 す る 場 合 に,減 損 損 失 が認 識 さ れ る紛。 そ して,減 損 損 失 が認 識 され る と き,当 該 資産 の 帳 簿 価 額 は 回収 可 能 価 額 まで 減 額 さ れ るの で,そ の 減 少 額 が減 損 損 失 とな る⑬。 こ こ で 回収 可 能 価 額 とは,資 産 の 正 味 売 却 価 格 と使 用 価 値 の う ち,い ず れ か一 方 の 高 い金 額 を さ す憐。 す で に述 べ た よ うに,回 収 可 能 価 額 は,RA=max(NRV,UV)と. して 表 す こ とが で き る。. か くて,回 収 可 能 価 額 は減 損 損 失 の認 識 と測 定 に 中心 的 な働 き を 示 して い る こ とが 理 解 で き る。 因 み に,わ が 国 の 「固定 資 産 の減 損 に係 る会 計 基 準 」 に み られ る 時価 概 念 に つ い て取 り あ げ る と,減 損 損 失 の測 定 属 性 は,IAS第36号. の考 え方 と軌 を一 にす る もの で あ る と解 す. る こ とが で き る。 す な わ ち,わ が 国 の 「固定 資 産 の 減 損 に 係 る会 計 基 準」(二 ・3)に. お. いて,「減 損 損 失 を認 識 す べ き で あ る と判 定 さ れ た 資産 又 は 資産 グル ー プ に つ い て は,帳 簿 価 額 を回 収 可 能 価 額 まで 減 額 し,当 該 減 少 額 を減 損 損 失 と して 当期 の損 失 とす る」 と され る。 そ こで は,減 損 損 失 の 測 定 に 際 して,回 収 可 能 価 額 な る概 念 の 適 用 が 明 記 され て い る。 そ れ ゆ え,「 固 定 資 産 の減 損 に係 る会 計 基 準」 に お いて も,回 収 可 能 価 額 は減 損 損 失 の 測 定 に と って 重 要 な もの で あ る こ とが 理 解 で き る。 そ こで 減 損 損 失 の 測 定 を 図 示 す れ ば,図 表1-2の. よ う に あ らわ す こ とが で き る。. 減 損 損 失(固 定 資 産 の 帳 簿 価 額 一回 収 可 能 価 額). 回 収 可 能 価 額 図 表1-2. (31)Ernst&Young,乙1κ(蔓1班8耀o"oη ⑳IASC,01λd'.,par.5.日 ㈱1わ'4.,par.58.同 ⑳1わ. 〃.,par.5.同. α1GAAP,Tolley,London,2001,P.1026 本 公 認 会 計 十 協 会. 上 訳 書,608頁 上 訳 書,599頁. 。 。. -140(310). 国 際 委 員 会 訳,前. . 掲 訳 書,600頁. 。.

(20) 会計上 の資産概念 と資産 評価に関す る検討(山 口) 回収 可 能 性 を反 映 さ せ る べ く帳簿 価 額 を減 額 す る と きに 適 用 され る概 念 が,回 収 可 能 価 額 で あ る。 回収 可 能 価 額 は,資 産 の正 味 売 却 価 格 と使 用 価 値 の うち,い ず れ か 一・ 方の高い 金 額 と な る の で,(イ)NRVが. 適 用 さ れ る場 合 と(ロ)UVが. 適 用 され る場 合 の 二 つ の ケ ー. ス を あ げ る こ とが で き る。 固 定 資 産 の 帳簿 価 額 をHCと. して あ らわ す と き,(イ)と(ロ)の. ケ ー ス に関 して は,. つ ぎの よ うな 大 小 関 係(a)と(b)が示 され る こ と にな る。. (a)HC>NRV>UV (b)HC>UV>NRV. (a)と(b)の ケ ー ス は,ど. ち ら も 帳 簿 価 額 が 使 用 価 値 と 正 味 売 却 価 格 を 上 回 り,固. 定資産の. 減 損 が 生 じ て い る 状 況 を 示 す も の で あ る 。 こ の よ う な 状 況 で は,も. ち ろん 資 産 の 取 替 調達. が 行 わ れ る こ と は な く,取. ケ ー ス に 関 し て は,資. 替 原 価 は 無 関 係 な 数 値 と な る 。(イ)の. 産 が も た らす 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー はNRVの. 方 がUVよ. り も大 で あ る か ら,現. の 売 却 と い う 意 思 決 定 が 行 わ れ る 。 そ れ ゆ え,NRVがUVを 価 にNRVが. 適 用 さ れ る こ と に な る 。 次 に,(イ)と. 上 回 る 場 合 に は ,資 産 の 評. は 逆 の ケ ー ス,す. ス に つ い て は,資 産 が も た ら す 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー はUVの る か ら,現. 有 資産. な わ ち(ロ)の. 方 がNRVよ. ケー. り も大 で あ. 有 資 産 の 継 続 的 利 用 と い う意 思 決 定 が 行 わ れ る。 し た が っ て,UVがNRVを. 上 回 る場 合,資. 産 の 評 価 にUVが. す で に 述 べ た よ う に,バ が 適 用 さ れ る場 合 と,剥. 適 用 され る こ と とな る。. ク ス タ ー の 所 説 に お い て は,剥. 奪 価 値 と して 正 味 実 現 可 能 価 値. 奪 価 値 と し て 使 用 価 値 が 適 用 さ れ る 場 合 の 二 つ の ケ ー ス を あ げ,. 資 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 が 示 さ れ て い る。 そ し て,資. 産 に 関 す る 代 替 的 予 算 の な か で,経. 営 意 思 決 定 を 反 映 し た カ レ ン ト ・バ リ ュ ー が 用 い ら れ て い る 。 こ こ に 彼 の 説 く限 界 ア プ ロ ー チ は,固. 定 資 産 の 減 損 処 理 に 適 用 で き る こ と が 理 解 で き る 。 した が っ て,IAS第36号. の 回 収 可 能 価 額 を 検 討 す る と き,回. 収 可 能 価 額 と い う測 定 属 性 は,剥. 奪 価 値 の 測 定 な る会. 計 測 定 観 と 整 合 性 を もつ も の と い え る ㈱。. ㈲. 高 田 正 淳,山 口忠 昭,竿 田 嗣 夫,藤 川 義 雄,大 成 利 広,庄 舘,平 成17年,40-45頁 。. 141(311). 司樹 古 『国 際 会 計 の基 本 問題 』 同 文.

(21) 第54巻. 第3号. び. す. IVむ. 本 稿 で は,二 つ の 内容 が検 討 さ れ た。 そ の一 つ は会 計 上 の 資 産 とそ の 評 価 で あ る。 他 の 一 つ と して は,剥 奪 価 値 に基 づ く資産 評 価 が取 りあ げ られ た。 そ して,こ れ らの 検 討 に よ り,次 の こ とが 明確 に さ れ て い る。 ま ず 会 計 上 の 資 産 とそ の評 価 に お い て,バ. ク ス タ ー の 所 説 で は,将 来 的 便 益 とい う フ. ロー の観 点 か ら資 産 概 念 を 捉 え て い る こ とが 指 摘 され て い る。 そ して,資 産 評 価 に あ た り,事 後 的 価 値 に 代 え て,事 前 的 価 値 た る カ レン ト ・バ リュ ーの 適 用 の重 要 性 が 明 らか に され て い る。 つ い で,剥 奪 価 値 に基 づ く資 産 評 価 に お いて は,カ. レ ン ト ・バ リュ ー に よ る 資産 評 価 の. た め に,剥 奪 価 値 概 念 の 適 用 が 明 らか に され て い る。 剥 奪 価 値 は,取 替 原 価,正. 味実 現 可. 能 価 値,使 用 価 値 に よ って 構 成 され,こ れ ら三 者 の大 小 関 係 に よ って 決定 され る。 す な わ ち,取 替 原 価 と回 収 可 能 価 額 を比 較 し,い ず れ か一 方 の低 い数 値 が剥 奪 価 値 とな る。 回収 可能 価 額 につ いて は,正 味 実 現 可 能 価 値 と使 用 価 値 の両 者 か ら構 成 され,両 者 の う ち,い ず れ か一 方 の 高 い数 値 が これ に あ た る。 剥 奪 価 値 説 の特 色 は,資 産 を 有 す る場 合 の 予算 と,資 産 を 有 して い な い 場 合 の 予 算 とを 比 較 して,資 産 所 有 の 有 利 さを 表現 しよ う とす る考 え方 に あ る。 そ して,こ の 考 え 方 に三 つ の測 定 概 念 の選 択 的適 用 を 支 え る根拠 が お か れ て い るの で あ る。 バ ク ス タ ー は,資 産 を 有 す る場 合 と,資 産 を 有 して い な い 場 合 の 予 算 を 比 較 す る と き,ど の よ うな 相 違 が 生 ず る か とい う考 え 方 を 限 界 ア プ ロー チ に基 づ くもの で あ る とす る。 限 界 ア プ ロ ー チ は,彼 の 剥 奪 価 値 説 を 理 解 す る うえ で,き わ め て 重 要 な 位 置 を 占め るの で あ る。 減 損 損 失 の 認 識 とそ の 測 定 にお いて,IAS第36号. で は,回 収 可 能 価 額 が キ ー ワ ー ドとな. る。 バ ク ス ター の 所 説 にお いて,剥 奪 価 値 と して 正 味 実 現 可 能 価 値 が適 用 さ れ る場 合 と, 使 用 価 値 が 適 用 され る場 合 の 二 つ の ケ ー スの なか で,資 産 に関 す る代 替 的予 算 が示 さ れ て い る()そ こで は,経 営 意 思 決 定 を反 映 した カ レ ン ト ・バ リュ ー の適 用 が,資 産 に 関す る代 替 的 予算 の な か で 明 確 に さ れ て い る の で あ る。 こ こ に お い て,彼 の い う限 界 ア プ ロ ー チ をIAS第36号. の 回 収 可能 価額 に適 用 す る こ とが で き る。 したが って,IAS第36号. 可能 価 額 な る測 定 属 性 は,彼 の説 く剥 奪 価 値 説 と整 合 す る もの で あ る。. 142(312). の 回収.

(22) 会 計 上 の 資 産 概 念 と資 産 評 価 に 関す る検 討(山 口). 参. ASC〔1980〕:αrr6η'α,51Acα. 考. 文. 献. 川 η'〃zg,StatementofStandardAccountingPracticeNo. .16. (SSAP16),ASC,London. Baxter,W.T.〔1971〕:D8ρr8c'`π'`,η,Sweet&Maxwell,London. Baxter,W.T.〔1975〕:Acco〃1痂9乾11〃6∫. ω1ゴ1'ザ1α1'`♪η,McGraw-Hill,London,NewYork. .. Baxter,W.T.〔1977〕:DecisionBudget-theo1・yandIllustrations,inOsamuKojima '65加. 〃18Bμ ∫加6∬Eα. ,(ed.),∫'〃`1-. ♪1z`刀 η'c∫,DaigakudoShoten,Kyoto.. Baxter,W.T.〔1981〕:Dピ. ρr8do'囎A∫. ∫α5'んz11π. Baxter,W.T.〔1984〕:11ぴ7α"oηAcco〃. πノ`ん κ ∫'`川,Gee&CoLimited. η∫加9,PhilipAllan,Oxford. Baxter,W.T.〔1988〕:A(℃. θ川 π加gR6∫. ,London.. .. α1r(ゾ1-Acα`18〃2'cγ ン ぞη4∫v6r8〃3Prα. α'α11論845. ,TheInstitute. ofAccountantsofScotland,Edinburgh. Baxter,W.T.〔1993〕:A∬. ぞ1悔1〃85"α,θ`加. 〃"α. η4Br`〃1`1κ. α1踏,OccasionalResearchPaper. No.14,CharteredAssociationofCertifiedAccountants. Baxter,W.T.〔1996〕:A6co〃. η加8τ1z80rぎ,Garland,NewYork・London.. Bonbright,J.C.〔1937〕:τ116鞄1〃08'θ. η ρブPrθ ρρ〃y(Vol.1),TheMichieCompany,Virginia,. Reprinted1965. Ernst&Young〔2001〕:乙1κ(隻1〃'6〃 FASB〔1976〕:E4∫. π'"`川`11Gん4P,Tolley,London.. 」8D'∫c`45∫1`♪η ル18用 θr6〃14'〃71,、411Aη α1鐸'∫`ゾ1∬z'6∫R61α. ノ〔 ∂r17'η(:〃1clolAccoz〃1'"19α FASB,Stamford.津 9年. ∫6ゴ10C`川c81フ. 醜`11Frα'η8w`♪ 腋. η{ゴRピρ`ノr"η8'E181η6'1'∫qプ17'〃`1ηc'01∫'61'61η6ぞ11'∫6〃147118'rル16`15〃r8〃78'z', 守 常 弘 監 訳. 「FASB財. 務 会 計 の 概 念 フ レ ー ム ワ ー ク 』 中 央 経 済 社,平. 成. 。. FASB〔1993〕:StatementofFinancialAccountingConceptsNo.6ElementsofFinancial Statement,∫8016〃18η'5qプF加 「FASB財. ω1c'`〃Ac(・o'〃1∫ 〃zgC`〃1c81,'∫,IRWIN,1993.平. 務 会 計 の 諸 概 念 』 中 央 経 済 社,平. 成6年. IASC〔1998〕:InternationalAccountingStandardNo.36:11η 日 本 公 認 会 計 士 協 会 高 田 正 淳,山 文 舘,平. 口 忠 昭,竿 成17年. 国 際 委 員 会 訳 田 嗣 夫,藤. 川 義 雄,大. 成 利 広,庄. 司 樹 古. 同 文 舘,平 〔2005〕:「. 物 価 変 動 会 計 論 』 同 文 舘,平. 山 「1忠 昭. 〔1996〕:「. 物 価 変 動 下 に お け る 剥 奪 価 値 説 の 検 討 」 「會 計 』 第150巻. 3号(平 山 口 忠 昭. 成13年. 。. 国 際 会 計 の 基 本 問 題 』 同. 。. 〔1994〕:『. 山 口 忠 昭. 瀬 義 州 訳. ρo'〃 ηθ11`ガDA∬8'5,IASC,London. 「国 際 会 計 基 準 書2001』. 山 口 忠 昭. 年8月. 松 一 夫,広. 。. 成6年. 。 第2号. ・第3号(平. 成8. ・9月)。 〔2003〕:「. 会 計 上 の 資 産 概 念 と 価 値 概 念 に つ い て 」 『京 都 学 園 大 学 経 営 学 部 論 集 』 第12巻. 成15年3月)。 〔2003〕:「. 会 計 上 の 資 産 概 念 に 関 す る 諸 問 題 」 「京 都 学 園 大 学 経 営 学 部 論 集 』 第13巻. (平 成15年7月)。. 143(313). 第1号. 第.

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参照

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