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Title
Effect of basic fibroblast growth factor(FGF-2)in
combination with beta tricalcium phosphate on root
coverage in dog
Author(s)
石井, 善仁
Journal
歯科学報, 112(5): 666-667
URL
http://hdl.handle.net/10130/2950
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 従来,根面被覆の外科処置として歯肉弁歯冠側移動術(CPF),歯肉弁側方移動術,遊離歯肉移植術,結合組 織移植術などが行われてきた。根面被覆術は審美性の改善とともに機能の回復である歯周組織の再生が求めら れている。しかし,従来の術式では組織学的に上皮性付着であり,機能的なコラーゲンの配列を有するセメン ト質の再生はわずかである。再生療法において,塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)は,血管新生や未分化間 葉細胞の増殖能を有し,歯槽骨,セメント質,歯根膜を含む歯周組織再生の促進が示されている。Beta trical-cium phosphate(β-TCP)は骨伝導能を有し,歯周組織再生におけるスペースメイキングやスキャフォールドと して有効であることが報告されている。そこで本研究の目的は,イヌの歯肉退縮における根面被覆に FGF-2 とβ-TCP の併用によって歯周組織再生が得られるかを検索することである。 2.研 究 方 法 実験にはビーグル犬を用い,上顎の左右犬歯に歯肉退縮欠損(6mm×5mm)を作製,プラークを蓄積させた。 ストリップス除去2週後,実験開始時にフラップ手術を行い,セメント−エナメル境に歯冠部ノッチを,欠損 の骨頂に根尖部ノッチを付与した。対照群は歯肉弁歯冠側移動術(CPF)のみ,FGF-2 群は FGF-2 の濃度を 0.3%に調整後,根面に応用した。FGF-2/β-TCP 群は FGF-2 を根面に応用した後,FGF-2 を混和した β-TCP を欠損部に移植した。応用後,歯肉弁を歯冠側に復位して縫合した。実験期間は2,4,8週とした。組織学 的観察はヘマトキシリン・エオジン染色,免疫染色として proliferating cell nuclear antigen(PCNA)染色を 行った。 3.研究成績および結論 対照群(CPF 群)では術後8週において露出根面は歯肉結合組織で被覆され,長い上皮性付着がみられた。 実験群では術後2週において FGF-2/β-TCP 群,FGF-2 単独群ともに露出根面の欠損は新生結合組織で満たさ れ,セメント質の再生は認められなかった。FGF-2/β-TCP 群では移植した β-TCP 顆粒は残存し,顆粒周囲に は多核巨細胞の付着が認められた。FGF-2 単独群では骨欠損底部にわずかな骨組織の再生を認めた。また PCNA 陽性細胞を FGF-2/β-TCP 群では新生結合組織内の広い範囲にみられた。FGF-2 単独群では根尖部の ノッチ部付近に認められるのみであった。術後4週では,象牙質表面に FGF-2/β-TCP 群及び FGF-2 単独群で 氏 名(本 籍) いし い よし ひと
石
井
善
仁
(東京都) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1899 号(甲第1151号) 学 位 授 与 の 日 付 平成23年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 Effect of basic fibroblast growth factor(FGF-2)in combination with beta tricalcium phosphate on root coverage in dog 掲 載 雑 誌 名 Acta Odontologica Scandinavica, doi : 10.3109/00016357.2012.
680906 論 文 審 査 委 員 (主査) 山田 了教授 (副査) 井上 孝教授 中川 寛一教授 下野 正基教授 歯科学報 Vol.112,No.5(2012) 666 ― 70 ―
コラーゲン線維の埋入を有するセメント質の再生が根尖部ノッチより歯冠側方向に認められた。FGF-2/β-TCP 群では移植したβ-TCP 顆粒を中心として根尖側の母床骨から骨組織の伸展が認められた。術後8週で は,FGF-2/β-TCP 群及び FGF-2 単独群で露出根面は歯肉結合組織で被覆され,象牙質表層には再生セメント 質の形成が認められた。骨組織の再生は FGF-2/β-TCP 群では母床骨より歯冠側へ β-TCP を中心として著し い伸展を認めた。FGF-2 単独群では母床骨からの再生骨の伸展はわずかであった。また,歯根吸収やアンキ ローシスは認められなかった。組織計測では,新生骨と新生セメント質量は FGF-2/β-TCP 群が FGF-2 単独 群より有意に大であった(P<0.01)。FGF-2 の応用は,残存歯根膜組織からの歯根膜細胞の増殖に働き, β-TCP のスキャフォールドを介して多くの骨及びセメント質の再生を生じると考えられる。以上の結果より, FGF-2/β-TCP 群は骨やセメント質の再生を促進することが示唆された。 論 文 審 査 の 要 旨 根面被覆術(MGS)は審美性の改善とともに機能の回復である歯周組織の再生が求められている。本研究の 目的は,イヌの歯肉退縮の根面被覆に FGF-2 とβ-TCP の併用によって審美性回復と共に歯周組織再生が得ら れるかを検索することである。実験にはビーグル犬を用い,上顎の左右犬歯に歯肉退縮欠損(6mm×5mm) を作製,実験開始時にフラップ手術を行い,対照群は歯肉弁歯冠側移動術(CPF)のみ,FGF-2 群は FGF-2 の 濃度を0.3%に調整後,根面に応用した。FGF-2/β-TCP 群は FGF-2 を根面に応用した後,さらに FGF-2 を混 和したβ-TCP を欠損部に移植した。実験期間は2,4,8週とした。組織学的観察はヘマトキシリン・エオ
ジン染色,免疫染色として proliferating cell nuclear antigen(PCNA)染色を行った。その結果,対照群(CPF 群)では術後8週において露出根面は歯肉結合組織で被覆され,長い上皮性付着がみられた。実験群では時間 の経過とともに,FGF-2/β-TCP 群及び FGF-2 単独群で露出根面は歯肉結合組織で被覆され,象牙質表層には 再生セメント質の形成が認められた。骨組織の再生は FGF-2/β-TCP 群では母床骨より歯冠側へ β-TCP を中 心として著しい伸展を認めた。FGF-2 単独群では母床骨からの再生骨の伸展はわずかであった。また,両群 で歯根吸収やアンキローシスは認められなかった。組織計測では,新生骨と新生セメント質量は FGF-2/β-TCP 群が FGF-2 単独群より有意に大であった(P<0.01)。以上の結果より,FGF-2 は,残存歯根膜組織から の歯根膜細胞の増殖に働と供にβ-TCP のスキャフォールドを介して多くの骨及びセメント質の再生を生じる と考えられる。結論,FGF-2 とβ-TCP の併用は根面被覆の回復と共に骨やセメント質の形成を伴う歯周組織 再生の促進が示唆された。 本審査委員会では,1)β-TCP の特性,2)対照群の設定,3)材料の応用方法,4)PCNA 陽性細胞の 活性についての討議ならびに質疑がなされ,概ね妥当な解答がえられた。また,論文の構成や図・写真の表現 など,改善の指摘があり修正された。 本研究で得られた知見は,歯科医学の発展の進歩発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと 判定された。 歯科学報 Vol.112,No.5(2012) 667 ― 71 ―