Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
インプラントのメインテナンスの現状
Author(s)
尾谷, 始子; 升田, 菜穂子; 貝谷, 深雪; 齋藤, 佑季子;
太田, 光江; 柴原, 孝彦; 矢島, 安朝
Journal
歯科学報, 111(4): 441-441
URL
http://hdl.handle.net/10130/2548
Right
目的:慢性歯周炎患者の歯周治療を行う過程におけ る,特にスケーリング・ルートプレーニング(SRP) を行う際の歯石除去効率に注目し,手用スケーラー を用いる方法と超音波スケーラーの機械を用いる方 法との比較検討を行った。 症例:43歳男性。左上前歯の歯周病を主訴として来 院。全身的な既往歴は特に無かったが,20本/日の 喫煙者であった。上顎左側前歯部に深い歯周ポケッ トを認め,他院にて抜歯の診断を受けるも,保存し たいとの希望が強く,治療計画として同部位の歯肉 剥離掻爬術(F. Op)を予定した。歯周基本治療時 の SRP において,#21は超音波スケーラーのみ, #22は手用スケーラー,#23には超音波スケーラー を用いたスケーリング後,手用スケーラーにてルー トプレーニングを行った。その後,F. Op を行う際 の歯肉弁剥離時に縁下歯石の付着状態を調査した。 なお,残存した縁下歯石は F. Op 時に完全に除去 した。 成績:1.歯肉弁剥離時に肉眼で観察された縁下歯 石の付着量は,#22で最も多く,次いで#23,#21 の順であった。2.特に#22遠心に多くの縁下歯石 の付着が認められた。3.SRP 前後の歯周ポケッ トの減少においては,#21が最も良好で,次いで# 22,#23であった。 考察:今回得られた結果から,超音波スケーラー は,作業時間を統一にした場合に手用よりも清掃性 が高く,チップが細いためポケット深部までの到達 性が良好であり,加えてチップを接触させること で,キャビテーション効果と微細振動による歯石除 去が可能なため,縁下歯石の取り残しが少量であっ たものと考えられた。さらに,#22遠心に縁下歯石 の残存が特に認められた原因として,根面溝の陥凹 の存在が考えられた。このような器具の到達が困難 な部位に対し,細いルートプレーニング用チップを 用いることが有効であると思われるが,縁下歯石の 触知を行いながらの清掃は困難である。したがっ て,効率良く SRP を行うためには,まず超音波ス ケーラーを用いて大まかな縁下歯石の除去を行った 後,歯根表面や周囲組織への外傷に留意しながら手 用スケーラーにて根面の滑択化を図ることが必要で あると思われた。 目的:インプラント治療におけるメインテナンス は,そのインプラント治療の長期的な予後を左右す る大変重要な因子であることが広く知られている。 当科においてメインテナンスは歯科衛生士にとって 重要な業務となっており,その数も年々増加してい る。今回,当科で手術を受け上部構造を装着した患 者のうち,どのくらいの患者がメインテナンスに来 院しているかを把握するために調査を行ったので報 告する。 方法:2005年から2008年に当科においてインプラン ト埋入手術を受けた患者が,2009年,2010年の2年 間にメインテナンスにどのくらい来院しているかを 調査した。調査項目は性別,年齢,埋入本数,およ びメインテナンスの来院回数である。 成績および考察:2005年から2008年に当科において インプラント埋入手術を受けた患者は671名で男243 名,女428名であった。そのうち,2009年,2010年 の2年間にメインテナンスに来院した患者は,512 名(76%)であった。年齢別で見ると,20才代,30 才代ではほぼ60%であるが,60才代以上では,80% 前後と多くなっていた。一方,メインテナンスを2 年間に一度も受診していない患者は106名(16%) であった。インプラント埋入本数別で見ると,1∼ 2本の埋入患者のうちメインテナンスに来院した患 者は76%であったが,10本以上の埋入患者では85% であり,埋入本数が多くなるに従ってメインテナン スに来院する割合は増加した。メインテナンスに来 院した回数は2年間で1∼23回であり,平均すると 1年間に0.5∼2回来院した患者が243名(58%), 2.5∼4回が160名(38%)であった。 インプラント治療は包括的な多領域連携型の歯科 医療であり,チーム医療の重要性が理解されてい る。そのチームの中で歯科衛生士の業務は,実際の メインテナンスを行うこととともに,いかに多くの 患者の来院へのモチベーションを高めるかも大きな 役割であると思われる。今後は,メインテナンス未 来院患者への積極的アプローチはもとより,インプ ラント治療中の患者へのメインテナンスの重要性を 再教育していく必要があると考えられた。