資 料 名古 屋市 立 大学 看 護 学 部 紀 要 第11巻2012
地 域 看 護 活 動 に お け る ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 有 用 性 に つ い て
肥
後
恵美子
要 約 本 研 究 の 目 的 は 、 公 衆 衛 生 学 的 研 究 に お け る ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 と健 康 と の 関 連 性 、 及 び ソ ー シ ャル ・ キ ャ ピ タ ル 指 標 の 明 確 化 に つ い て 、 文 献 レ ビ ュ ー に て 明 ら か に し、 公 衆 衛 生 看 護 活 動 に お け る ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 有 効 性 に 関 す る 基 礎 的 検 討 を 行 う こ と で あ る 。 今 回 、PubMedと 医 学 中 央 雑 誌 の デ ー タ ベ ー ス を 用 い てRCTの 文 献 検 索 を 行 つ た 。 キ ー ワ ー ド は 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 、 健 康 と し た 。 医 学 中 央 雑 誌 に お い て は 、 抽 出 さ れ た 文 献 は な か っ た 。PubMedに つ い て は 、13件 の 文 献 が 抽 出 さ れ 、 研 究 目 的 に 有 効 な5件 の 文 献 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。 分 析 の 結 果 、 ①RCT研 究 に 用 い ら れ て い た 指 標 は 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 基 本 的 要 素 を 基 礎 と した も の で あ り、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル を 測 定 して い た 。 ②5件 の 文 献 は 、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 構 成 要 素 を 設 定 して い た が 、 具 体 的 な 質 問 項 目 に 共 通 性 は 見 い だ せ な か っ た 。 ③ 現 在 ま で のRCT研 究 の 蓄 積 に お い て は、 健 康 と 社 会 凝 集 性 と し て の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 強 い 関 連 性 は 確 定 さ れ な か っ た が 、 貧 困 世 帯 の 多 い 地 域 で は 、 関 連 性 が 示 さ れ た 研 究 が あ っ た 。 ④ 分 析 手 法 と し て は 、 個 人 特 性 の 交 絡 因 子 の 影 響 を 除 去 す る た め に 回 帰 分 析 が 用 い ら れ て い た 。 今 後 は、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 下 位 概 念 の 構 成 を 検 討 した 上 で の 測 定 指 標 の 構 築 が 必 要 で あ る と考 え ら れ た 。 キ ー ワ ー ド ソ ー シ ャ ル キ ャ ピ タ ル,健 康,指 標,社 会 的 凝 集 性 I.は じ め に現 在 、 我 が 国 の生 活 習慣 病 患 者 は増 加 傾 向 に あ る。 そ
の た め、2000年 よ り健 康 日本21が 掲 げ られ、 更 に は、 健
康 増 進 法 の下 、 健 康 診 査 結 果 に よ る、 動 機 付 け支援 や、
集 団指 導 が行 わ れ、 会社 組 織 な どの集 団 員 や地 域 住 民 の
健 康 向上 へ の 支援 が続 け られ て い る。 しか し、 生 活 習慣
病 を は じめ と した疾 病 へ の予 防行 動 や、 生 活 習慣 病 の進
行 予 防 の た め の健 康 的 な生 活 の継 続 は、 対 象 集 団 に と っ
て非 常 に 困難 な課 題 で あ る こ とは否 め な い。
この よ うな状 況 か ら研 究 者 は、 以 前 に行 動 変 容 に対 す
る探 求 の一 環 と して地 域 で生 活 して い る Ⅱ型 糖 尿 病 患者
の 自己管 理 に つ い て、 質 的研 究 を行 った。 そ の結 果、 地
域 で暮 らす Ⅱ型 糖 尿 病 患 者 の 自己管 理 行 動 の実 施 と継 続
に つ い て は、 当事 者 が 自己 管理 の 支 え とす るた め に構 築
した、 他 者 との繋 が りが影 響 を及 ぼ して い る可 能 性 が 示
唆 され た。
この よ うな、 他 者 との繋 が りを何 らか の 資産 と捉 え る
理 論 と して 、 ソ ー シ ャル ・キ ャ ピタ ル(social capita)
とい う概 念 が あ る。 この概 念 は、1960年 代 に、 ハ ニ フ ァ
ンが 初 め て 用 い た概 念 で あ る1)。 当 初 ハ ニ フ ァ ン は、
「社 会 単 位 を 構 成 す る 個 人 や 家 族 間 の 仲 間 意 識 、 共 感 、 社 会 的 交 流 が 、 そ の 社 会 単 位 全 体 の生 活 状 態 の 改 善 に と っ て 重 要 で あ り、 そ れ らの 蓄 積 した もの が ソ ー シ ャル ・キ ャ ピ タ ル で あ る」 と 述 べ 、 こ の 考 え 方 は、 今 日 に お け る ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 基 本 的 ポ イ ン トを 全 て 捉 え て い る2)と い わ れ て い る。 そ の 後 、 多 くの 社 会 学 者 が ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 概 念 化 を 独 自 に 構 想 し3)、1993年 に は パ ッ トナ ム が 政 治 学 に 援 用 し大 規 模 な 調 査 研 究 の 指 標 に 用 い た こ と で 大 き く発 展 して い る4)5)。 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル と い う概 念 は 、 現 在 、 公 衆 衛 生 領 域 に お い て も取 り入 れ ら れ 、 研 究 さ れ る よ う に な っ て き た6)7)8)9)。 しか しな が ら、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル は 、 様 々 な 側 面 か ら論 じ ら れ 、俯瞰 さ れ た 概 念 で あ る た め に 、 現 在 の 研 究 段 階 で は 標 準 的 な 測 定 方 法 も な く10)、 総 合 指 標 を 用 い た ソ ー シ ャ ル キ ャ ピ タ ル 指 標 自体 の 意 味 に 対 し て 宿 命 的 な 理 論 的 曖 昧 さ を 批 判 さ れ る こ と も 多 い11)状況 で あ る 。 一 方 で 、 前 述 し た よ う に 、 現 在 、 公 衆 衛 生 領 域 の 研 究 で は 、 多 く取 り 入 れ ら れ つ つ あ る概 念 で あ り、 対 象 集 団 や 地 域 の集 団 的 な 健 康 問 題 に対 して 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル が 何 ら か の 影 響 を 有 し て い る こ と や 、 有 効 活 用 の 可 能 性 が 示 唆 さ れ て い る3)。1)名 古屋市立大学看護学部
現 在 、 地 域 保 健 活動 に お い て は、 適 切 な生 活 習慣 の獲
得 の た め に、 生 活 習慣 病 予 防教 室 を は じめ と した集 団 に
対 す る保 健 事 業 の 開催 と、 終 了後 の 同窓 会 な どに よ る継
続 的 な支 援 とい った ア プ ロー チが 行 わ れ て い る。 しか し、
対 象 集 団 が個 人 の健 康 行 動 に どの よ うに影 響 す るの か を
明 らか に した研 究 は み られ て い な い。 この様 な視 点 に対
して、 地 域 保 健 活 動 に お け る ソー シ ャル ・キ ャ ピ タル の
有 用 性 の検 討 は、 地 域 で生 活 す る人 々 へ の生 活 習慣 病 予
防 に 関 す る保 健 活 動 と して の、 対 人 的 ア プ ロー チ へ の評
価 を得 る手 が か りに な る と考 え られ る。
そ こで今 回、 公 衆 衛 生 領 域 の研 究 に お い て、 ソー シ ャ
ル ・キ ャ ピ タル概 念 が どの よ うな指 標 を 用 い て調 査 され
て い るの か、 健 康 との 関連 が どの よ うに 明 らか とな って
い るの か文 献 レ ビ ュー を実 施 す る こ と と した。
Ⅱ.研
究 背 景
現 在 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 論 の 有 用 性 に つ い て 様 々 な 分 野 が 注 目 し、 国 単 位 で の 大 規 模 な 調 査 研 究 を 実 施 し て い る9)12)。公 衆 衛 生 の 分 野 に お い て もパ ッ トナ ム の 枠 組 み を 用 い た 疫 学 的 研 究 が 行 わ れ て お り、 ソ ー シ ャ ル ・ キ ャ ピ タ ル と 健 康 と の 関 連 が 明 らか と な っ て い る6)7)8)。 Public Health Nurseの 分 野 で は 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャピ タ ル 論 を 用 い た 研 究 が 行 わ れ 始 め て い る が 、 日本 の 公 衆 衛 生 看 護 学 分 野 に お い て は ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル を 用 い た 学 術 研 究 は1件13)あ る の み で あ る。 ま た 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル は 、 そ れ ぞ れ の 研 究 者 の 視 点 に よ っ て 解 釈 が 異 な っ て 発 展 して き て い る1)5)14)15) 概 念 で あ り、 ナ シ ョナ ル サ ー ベ イ で は 、 そ の 測 定 に パ ッ トナ ム が 使 用 した 変 数 を 用 い て い る が 、 そ の 指 標 に は 、 「ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 」 と い う独 立 変 数 の 中 に す で に 一 つ の 因 果 関 係 が 組 み 込 ま れ て い る4)と い っ た 課 題 や 、 地 域 レ ベ ル の 疫 学 的 研 究 に よ っ て ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル と健 康 と の 間 に 正 の 相 関 が あ る こ と は 明 ら か と な っ て い る こ と か ら保 健 医 療 分 野 で の 有 用 性 が 期 待 さ れ る が 、 相 関 関 係 の 方 向 性 や 変 数 に つ い て 解 明 す る 必 要 が あ る6)7)16)と言 わ れ て い る 。 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル と健 康 と の 間 に 正 の 相 関 が あ る こ と か ら地 域 保 健 活 動 へ の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 援 用 の 有 益 性 が あ る と考 え られ た が 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 今 後 の 活 用 の た め に は 、 そ の 第 一 段 階 と して 、 現 在 ま で の 先 行 研 究 を 基 に ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル が 、 ど の よ う な 指 標 に よ っ て 測 定 さ れ て い る の か 、 ま た 、 測 定 さ れ た ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル と 健 康 と の 関 連 性 は 明 ら か と な っ て い る の か に つ い て 調 査 す る必 要 が あ る と考 え ら れ た 。
Ⅲ.研
究 方 法
先 行 研 究 に よ る 研 究 背 景 の 結 果 を ふ ま え 、 ど の よ う な ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 変 数 に よ り、 健 康 と の 関 連 が 明 ら か と な っ て い る の か に つ い て 、 保 健 医 療 分 野 に お け る 文 献 検 索 と検 討 を 行 っ た 。 1.文 献 検 索 方 法 1)デ ー タ ベ ー ス:「 医 学 中 央 雑 誌 」 「PubMed」 2)検 索 期 間:先 行 文 献 を 参 考 に1999年 ∼2010年 ま で と した 。 3)検 索 手 順 (1)用 語:医 学 中 央 雑 誌 で は 、 「ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 」 と し、PubMedで は 、 「social capital」 と して 検 索 を 実 施 す る と と も に 、 そ れ ぞ れ の デ ー タ ベ ー ス で 「健 康 」 「Health」 と のAND検 索 を 実 施 した 。 (2)PubMedで は 、 言 語 の 自 動 読 み か え を 避 け る た め 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル のLimitをTitle/A bstractに 限 定 し た 。 (3)ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル と健 康 の 関 連 性 に つ い て の 有 効 な 研 究 論 文 を 得 る た め 、 医 中 誌 、PubM edと も にRCTに 限 定 した 。 (4)(1)∼(3)に よ っ て 、 医 中 誌 に お い て 検 索 さ れ た 文 献 は な か っ た 。PubMedに お い て は13件 が 検 索 さ れ た 。 (5)更 に 、 健 康 と ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル と のAN D検 索 を 実 施 し た が 、 検 索 数0件 と な っ た た め 、 (4)で抽 出 さ れ た13件 の 文 献 か ら、 本 研 究 の 目 的 に 有 効 で あ る と考 え ら れ る文 献5件 を 分 析 対 象 と し た 。 IV.結 果 5件 の 文 献 検 討 の 結 果 、 サ ン プ リ ン グ に つ い て は 、 選 定 さ れ た 対 象 地 域 に 居 住 して い る者 に 対 して 層 化 無 作 為 抽 出 が 行 わ れ て い た 。 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル に 用 い ら れ た 指 標 は、 ナ シ ョ ナ ル サ ー ベ イ を 参 考 に した 指 標 と 先 行 研 究 に よ る 指 標 を 組 み 合 わ せ て 用 い て お り 、 ナ シ ョナ ル サ ー ベ イ で 採 用 さ れ て い る 指 標 は、 パ ッ トナ ム の 分 析 手 法 が 基 盤 と な っ て 発 展 した ス ケ ー ル で あ っ た5)。 ま た 、5つ の 文 献 で 用 い ら れ た 指 標 は 、 「信 頼 」 「規 範 」 「ネ ッ ト ワ ー ク 」 と い う ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 基 本 的 要 素 を 基 礎 と した も の で あ り 、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念7)を 測 定 す る 目 的 で 設 定 さ れ て い た 。 ま た 、 そ の 多 く は 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 構 成 要 素 で あ る 認 知 的 ソ ーシ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル と構 造 的 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル7) を 測 定 す る た め の 指 標 で あ っ た 。 し か し、 そ れ ぞ れ の 研 究 で 独 自 に 測 定 指 標 の 精 度 が 検 証 さ れ て い る も の の 、5 件 の 文 献 に お い て ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 構 成 要 素 か ら更 に 具 体 的 な 共 通 要 素 は 見 出 せ な か っ た 。 統 計 手 法 に つ い て は 、 指 標 の 精 度 を 補 う と共 に ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 指 標 以 外 の 交 絡 因 子 の 影 響 を 避 け る た め に 回 帰 分 析 に よ る 統 計 手 法 や 、 マ ル チ レ ベ ル 回 帰 分 析8) が 用 ら れ て い た 。 健 康 と ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 関 連 性 に つ い て は 、 前 述 し た 回 帰 分 析 に よ り、 交 絡 因 子 を 除 き指 標 の コ ン ト ロ ー ル を 行 つ た 結 果 、 対 象 と な っ た コ ミ ュ ニ テ ィ の 健 康 に 関 す る指 標 と ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 指 標 と の 関 連 性 は 、 弱 い 関 係 性 に 留 ま っ て い た 。 し か しな が ら、 一 つ の 特 性 で あ る 貧 困 世 帯 に つ い て は 、 健 康 に 影 響 す る 因 子 と し て の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 存 在 が 明 ら か と な っ て い る文 献 が み ら れ た21)(表1)。
V.考
察
今 回 の 文 献 レ ビ ュ ー で は、 対 象 文 献 をRMに 限 定 す る こ と で 実 証 研 究 のevidenceが 確 保 さ れ た も の を 抽 出 す る と と も に 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 と して の 指 標 を 調 査 す る 目 的 か ら、 検 索 シ ス テ ム の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル に 対 す る 自動 読 み 替 え を 避 け て 検 索 した 。 そ の 結 果 、5件 の 文 献 が 抽 出 さ れ た 。 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 指 標 に つ い て は 、 「信 頼 」 「規 範 」 「ネ ッ ト ワ ー ク」 と い う ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 基 本 的 要 素 を 基 礎 と し た も の で あ る と考 え ら れ た が 、 抽 出 した5件 の 文 献 に お い て 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 基 本 的 要 素 よ り も よ り 具 体 的 な 測 定 項 目 に お け る 共 通 要 素 は 見 出 せ な か っ た 。 各 文 献 に お け る ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 指 標 は 、 ボ ラ ン テ ィ ア 協 会 と の 関 係 の 幅 と 深 さ に 対 す る 認 知17)や、 有 害 な 薬 物 を 使 用 す る こ と へ の 行 動 規 範19)、隣 人 を 有 益 な 者 と して 理 解 し て い る か20)、 と い っ た 人 々 と の 関 係 性 に お け る主 観 的 認 知 を 指 す 、 認 知 的 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 測 定 が 多 く実 施 さ れ て い た 。 ま た 、 一 方 で 、 所 属 し て い る 自 主 的 な 団 体 を3つ あ げ る 質 問 項 目17)や、 学 校 の 共 同 の 状 況 、 そ の 土 地 に 住 ん で い る友 愛 と して の 絆 の あ る者 と の 接 触21)と い っ た 、 構 造 的 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル が 含 ま れ て い る指 標 も 見 ら れ て い た 。 こ れ ら の 指 標 の 共 通 性 は 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル を 社 会 凝 集 性 と し て 捉 え 、 健 康 と の 関 連 を 明 ら か に す る た め に 指 標 を 作 成 し た こ と で あ る と い え る。 しか しな が ら、 社 会 凝 集 性 と し て の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 下 位 項 目で あ る 認 知 的 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル と、 構 造 的 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル そ れ ぞ れ の 評 価 指 標 に お い て も、 そ の 具 体 的 質 問 項 目 の 共 通 性 は 見 い だ せ て い な い 現 状 が 明 ら か と な っ た 。 ま た 、 こ れ ま で の 先 行 研 究 に お い て 健 康 と ソ ー シ ャル ・ キ ャ ピ タ ル と の 関 連 性 が 示 唆 さ れ て い る3)も の の 、RCT の レ ベ ル に お い て は 明 確 に は な り 得 て い な か っ た 。 こ れ は 、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 曖 昧 さ が 、 測 定 指 標 の 一 般 化 に 影 響 して い る と考 え ら れ る。 そ れ に よ っ て 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 測 定 が 焦 点 化 さ れ て い な い の で は な い だ ろ う か 。 ソ ー シ ャ ル ・ キ ャ ピ タ ル は 非 常 に 大 き な 概 念 で あ り、 様 々 な 捉 え 方 が な さ れ て い る。 故 に ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 全 体 に お け る一 つ の 側 面 で あ る と考 え ら れ る社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 に お い て も、 更 に 下 位 概 念 の 明 確 化 と構 造 化 が 求 め ら れ る の で は な い だ ろ う か 。 今 回 の 文 献 レ ビ ュ ー に お い て 、 調 査 指 標 の 具 体 的 な 共 通 性 が な か っ た こ と 、RCTレ ベ ル で は 、 健 康 と の 直 接 的 で 強 い 関 連 性 が 見 い だ せ な か っ た こ と は 、 前 述 した 内 容 を 示 唆 す る も の で あ り、 今 後 は、 更 に 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 精 緻 化 と、 指 標 の 開 発 が 必 要 で あ る と考 え ら れ た 。 ま た 、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 と 健 康 と の 関 連 性 に つ い て は 、 一 部 の 研 究 で は 、 貧 困 地 域 に お け る ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル と健 康 の 関 連 性 が 示 唆 さ れ た 。 しか し、 前 述 し た よ う に 、 ソ ー シ ャル ・ キ ャ ピ タ ル の 測 定 指 標 自体 が 研 究 個 々 に よ っ て 概 念 の 様 々 な 側 面 か ら設 定 さ れ て も の で あ る と 推 測 さ れ た こ と か ら、 RCTレ ベ ル の 研 究 と して は 、 現 段 階 で は ソ ー シ ャ ル ・ キ ャ ピ タ ル 概 念 と健 康 の 関 連 性 が 明 確 で あ る と は言 い 難 い と考 え ら れ る。 他 方 、 今 回 の 文 献 レ ビ ュ ー に よ っ て 、 現 在 ま で のRC Tで は 、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 に お け る 多 側 面 的 な 捉 え が 各 研 究 の 調 査 指 標 に 反 映 さ れ て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 以 上 か ら、 今 後 、 公 衆 衛 生 分 野 に お け る ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 を 用 い た 研 究 に お い て は、 そ の 概 念 の 様 々 な 側 面 に よ っ て 、 各 々 に ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 下 位 概 念 と そ の 指 標 が 構 築 さ れ る可 能 性 も有 して い る と考 え ら れ る。 実 際 に 文 献 レ ビ ュ ー に よ り、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の そ れ ぞ れ の 側 面 に よ っ て 指 標 が 異 な っ て 設 定 さ れ 用 い ら れ て い た こ と か ら、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の ど の よ う な 下 位 概 念 を 用 い る こ と で 仮 説 が 検 証 さ れ う る の か 、 そ の た め に ど の よ う な 研 究 の 枠 組 み で 測 定 指 標 を 設 定 す る必 要 が あ る の か 、 構 造 的 に 捉 え た う え で 議 論 を 重 ね 、 研 究 枠 組 み に 取 り 入 れ る こ と に よ り、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 下 位 概 念 に お け る様 々 な 側 面 で 概 念 が 構 築 さ れ 、 構 造 化 が 進 む 可 能 性 を 有 して い る と考 え ら れ る。 ま た 、 分 析 手 法 に つ い て は、 個 人 特 性 と の 交 絡 を 避 ける た め に 回 帰 分 析 に よ る手 法 が 用 い られ て い た 。 こ れ は 、 集 団 に お け る リ ソ ー ス と し て の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 測 定 の 場 合 、 個 人 特 性 を排 除 す る た め の 手 法 で あ り、 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 測 定 に は 妥 当 で あ る と考 え ら れ る8)。 何 を 交 絡 因 子 と して 捉 え る の か に つ い て は 、 ソ ー シ ャル ・ キ ャ ピ タ ル 概 念 の ど の 側 面 を 研 究 に 組 み 入 れ る の か に よ っ て 決 定 さ れ る。 そ の た め 、 統 計 手 法 に お い て も、 研 究 全 般 に お け る ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 捉 え 方 の 明 確 性 が 必 要 で あ る と考 え ら れ た 。
Ⅵ.結
論
①RCT研 究 に 用 い られ て い た ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 指 標 は、 「信 頼 」 「規 範 」 「ネ ッ ト ワ ー ク 」 と い う ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 基 本 的 要 素 を 基 礎 と し た も の で あ り、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・ キ ャ ピ タ ル を 測 定 して い た 。 ② 抽 出 さ れ た5件 の 文 献 は 、 社 会 凝 集 性 と して の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 構 成 要 素 で あ る認 知 的 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 、 構 造 的 ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル の 測 定 項 目 を 設 定 し て い た が 、 具 体 的 な 質 問 項 目 に 共 通 性 は 見 い だ せ な か っ た 。 ③ 現 在 ま で のRCT研 究 の 蓄 積 に お い て は 、 健 康 と社 会 凝 集 性 と し て の ソ ー シ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル 概 念 の 強 い 関 連 性 は 確 定 さ れ な か っ た が 、 貧 困 世 帯 の 多 い 地 域 で は 、 関 連 性 が 示 さ れ た 研 究 が あ っ た 。 ④ 分 析 手 法 と して は 、 個 人 特 性 の 交 絡 因 子 の 影 響 を 除 去 す る た め に 回 帰 分 析 が 用 い ら れ て い た 。Ⅶ.参
考 ・引 用 文 献
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