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1990年代の公共投資と財政

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Academic year: 2021

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(1)1990年 代 の公 共 投 資 と財 政 山 田. 1.問. 明. 題 の所 在. 公共 事 業 は現 在 、わ が 国 の政 治 経 済 や 行 財 政 改 革 の焦 点 とな って い る。 小 泉 内 閣 がす す め て い る 「 構 造 改革 」 の柱 の一 つ が公 共 事 業 で あ り、 そ れ と密 接 に か か わ る地 方交 付税 を は じめ と した 地 方 財 政 シ ス テ ム で あ る。 経 済 財 政 諮 問会 議 の基 本 方 針 に お い て も、 第2章 求」、第4章. 「新 世 紀 型 の 社 会 資 本整 備 一 効果 と効 率 の追. 「 個 性 あ る地 方 の競 争 一 自立 した 国 ・地 方 関係 の確 立 」な どで 、公 共 事業 の 問題 点 や. 改革 方 向 を提 示 して い る。 公 共 事 業 と地 方 財 政 に か か わ る主 な 指 摘 を 列 挙 して み よ う。 地 方 が主 体 的 に決 定 す べ き地 方 単 独 事 業 は、 国 の各 種 公 共 事 業 関 係 計 画 の 目標 と位 置 づ け な い。 特 定 の事 業 につ い て 、地 方 債 の発 行 を 許 可 して そ の償 還 費 を 後 年 度 に 交 付 税 措 置 す る仕 組 み等 は 、地 方 が 自分 で効 果 的 な事 業 を 選 択 し、 効 果 的 に行 って い こ うとい う意 欲 を 損 な って い る面 が あ る。 地 方 主 導 に 改 め るた め 、 こ う した 資 源 配 分 の仕 組 み を 縮 小 す る。 地 方 自治 と言 い つ つ 、 ロー カル な公 共 事 業 に ま で 国 が実 質 的 には 関 与 して い る。 補 助 金 や 交 付 税 、 あ るい は 地方 財 政 計 画 に よ り財 源 を手 当 てす る歳 出 の範 囲 ・水 準 を 縮 小 す る。 こ う した指 摘 は 、戦 後 の公 共 事 業 と地 方 財 政 の関 係 、 と りわ け90年 代 の政 策 展 開や 財 政 危 機 を 反 映 した も の とい え よ う。 公 共 投 資 は90年 代 のバ ブル 崩 壊 以 降 、 国 と地方 の財 政 危 機 に拍 車 をか け る と とも に、 そ の財 政 危 機 に よ って 前 半 か ら後 半 に か け て 大 き く構 造 変化 を とげ る。80年 代 に は民 間 活 力 に よる 内需 拡 大 、 いわ ゆ る民 活 型 の 社 会 資 本 整 備 が 重 要 で あ った がω、90年 代 に は バ ブ ル崩 壊 後 の景 気 対 策 や 財 政 危 機 が 公 共 投 資 を 方 向づ け る こ とに な る。 そ こ で本 稿 で は 、90年 代 公 共 投 資 の構 造 変 化 を 国 地 方 の 財 政 関 係 、 国 地方 の財 政 危 機 な どと関 連 づ け て統 計 的 に検 証 す るな か で 、 公 共 投 資 や 公 共 事 業 を め ぐる若 干 の 論 点 を提 示 して い きた い。 統 計 的 な検 証 を お こな う前 に 、 公 共 投 資 が90年 代 に ど の よ うに 展 開 して きた か を 、経 済 社 会 や 財 政 状 況 の変 化 を ふ ま えて 概 観 して お こ う(表1)。. 2.公. 共投資の展 開. 90年 代 の公 共 投 資 は、 まず は グ ローバ リゼ ー シ ョン の直 撃 を うけ る。90年6月. に 最終 報 告 が ま. とま り一 応 の決 着 を みた 日米 構 造 協 議 は、80年 代 後 半 の 日 米 の政 治 経 済 関 係 を 象 徴 す る も の で あ っ た。 巨額 の対 米黒 字 をか か え る 日本 へ の風 当た りが 強 ま り、 制 裁 措 置 を ち らつ か せ た貿 易交 渉 と と もに 、「構 造 的 な 貿 易 障壁 」の 調 整 に 関 す る協 議 が 本格 的 に すす め られ て きた。 この協 議 の 45.

(2) なか で ア メ リカ側 が と りわ け 重 視 した の が 、 日本 の公 共投 資 で あ る。 公 共投 資 に よ る 内需拡 大 が、 対 米 黒字 削減 の切 り札 とされ 、GNP比. 率 の 引 き上 げ が 執 拗 に要 求 され て き た。. 表11990年. 年度. 1990. 1991. 1992. 1993. 1994. 代 以 降 の 公 共 投 資/略 年 表. 公共投資 ・社会資本整備の動 き. 経 済 社 会 ・政 府 の 動 き. 日米構造協議 「 最終報告」 赤 字国債 から脱却 金融引締政策 に転換. 公 共投 資 基 本 計 画(430兆 円公 共 投 資) 91年 度 予 算 と生活 関 連 重 点 化 枠2000億. バ ブル崩壊→景気後退. 92年 度予算 と公共投資充実臨時特別措置 規制緩和の推進、特定商業集積法 と都市再開発 「 入札制度の改善に関す る建設省 の対応」. 第3次 行 革 審1.2次. 答申. 経済審議会2010委. 員会報告. 円. 建 設業 刷新検討委員会、市場開放問題. 新経済計画=生活 大国5か 年計画 ノミブ ル崩 壊 不 況 の 進行. 社 会 資 本 の新 た な整 備 目標 、 「 生 活 の質 」 総 合 経 済 対 策(公 共投 資 等8.7兆 円). 行 革 審3次 答 申(パ イ ロ ッ ト自治 体). 拠点都市整備法、広域行政 と拠点都市 開発. 円急騰 と景気対策、金 融緩和. 総 合 的 な景 気 対 策(10.7兆. 経 済 改革 につ い て(平 岩 レポ ー ト). 行革審 答申と地方分権 推進の動 き. 公共事業 ・建設業批判 、相次 ぐ民活 事業 の破たん 「 公共 事業 の配分のあ り方 に関す る報告」. 中核市 ・広域連合制度. 総 合 経 済対 策(7.9兆. 円)、新 社 会 資 本. 円)、 関 西 国 際 空港 開港. 公共投資基本計画改定(630兆 円公共投資). 阪 神 ・淡 路 大震 災. 震 災復 興事業. 円高の進行 と金融破たん. 経 済 対 策(12.8兆. 1996. 住専問題、赤字 国債 と国 の財政危機. 財 政 構 造 改 革 に 向 けた 中 間 報 告 ・ 「白書」. 1997. 金融危機、消費税増税 財政構造改革法制定. 東京湾横断道路、改正河川法、諌早湾干拓事業 公共投資基本計画改定(3年 間延長、実質減額). 1998. 景 気悪化、財政構 造改革法凍結 大 都市都府県 「財政危機宣 言」. 総 合 経 済 対 策(10兆 円)、緊 急 経 済 対 策(9.3兆 円) 「 五 全 総 」、 長 野 冬季 五 輪 、 中 心 市 街 地 活 性化 法. 1999. 経 済戦略会議 「最終報告」 産 業競争力強化対策、産 業再 生法 市町村合併 の推進. 相 次 ぐ三 セ ク破 た ん、 第 三 セ ク タ ー に関 す る指 針 経 済 新 生対 策(9.8兆 円). 1995. 2000. 2001. 46. 円)、 長 良 川 河 口堰 本 格稼 動. PFI法 公布、環 境影響評価法施行. 介 護 保 険制 度 ス タ ー ト. 国土交 通省 の誕生、公共事業 の機構再編 吉野川 可動堰住民投票、公共事業見直 しの動 き. 行政改革大綱、大店立地法. 日本 新 生対 策(6.5兆. 経済財政諮問会議 の基本方針 都市再生本部、特殊法人見直 し. シ ー ガ イ ヤ倒 産 、 リゾー ト基 本構 想見 直 し. 地方分権一括法、中央省庁再編. 21世. 円). 紀 の 国土 交 通 の グ ラ ン ドデ ザ イ ン.

(3) 日米 構 造 協議 の 最終 報 告 を うけ て、1991-2000年. の10年 間 を 対 象 とす る公 共 投 資 基 本 計 画 が 策. 定 され た 。計 画 の なか で、430兆 円に の ぼ る公 共 投資 の実 施 溝 明記 され た。 これ は過 去10年 間 の 実 績 見込 み額 の1.6倍 で あ り、民 営 化 され たNTTとJRの. 投 資 額 を 加 え る と455兆 円 に な る。90年 代 に. 巨額 の 公 共投 資 を実 施 す る こ とが、 対 米 「公 約 」 され た 。基 本 計 画 で は公 共 投 資 の うち 、 生 活 環 境 ・文 化 機 能 に か かわ る投 資 の割 合 を50%台. 前 半 か ら、計 画期 間 中に は60%程 度 に 増 加 させ る と. した。 そ して 、計 画 の主 要 な施 策 と して 、 豊 か さを実 感 で きる 国民 生 活 の実 現 や 地 域経 済 社 会 の 均 衡 あ る発 展 を あ げ、 投 資 の重 点 化 を は か る と した。92年 に ま と め られ た 「生 活 大 国5か. 年計. 画」 で は 、利 用 者 の視 点 に立 った 整備 目標 等 を ふ まえ 、生 活 に 関連 した 社 会 資 本 の 整備 を 重 点 的 にす す め る とされ た 。 対米 「 公 約 」 され た 公 共 投 資 は 、91年 度 予 算 か ら具 体 化 され てい った 。 折 りか らの バ ブ ル 景 気 に よ り、90年 に は 長 年 に わ た る赤 字 国債 か ら脱 却 で き た。 「 財 政 再 建 」 の も とで 、公 共事 業 予 算 が 大 幅 に 拡 大 され て い く。91年 度 予 算 で 公共 事 業 費 は6%増. とな り、80年 以 降 で は最 高 の伸 び と な. る。 予 算 編 成 で は 生 活 重 視 が うた い文 句 に な り、公 共 事 業 費 のな か で 「生活 関連 重 点化 枠 」 と し て2000億 円が 計 上 され た 。92年 度 予算 で は 、この 生活 関連 枠 に加 え て、「公 共投 資 充 実 臨 時 特 別 措 置 」2000億 円が 設 け られ 、特 別 枠 め が け て各 省 庁 や 族 議 員 らが 殺 到 した 。 これ は高 速 道 路 や 整 備 新 幹 線 な ど、 生 活 関 連 とい う枠 に は入 らな い公 共 事 業 向け の 追 加 的 な 財 政支 援 とい う色 合 い が 強 い 。 こ うした 公 共 事業 の別 枠 に対 す る各 省 庁 の要 求 額 を み て も、 強 大 な 力 を もつ 建 設 族 を バ ッ ク に した 建 設 省 が ダ ン トツ とな って い る。 公 共 投 資 基本 計 画 は そ の後 、94年 と97年 に改 定 され る。94年 の 改 定 は 、93年12月 の 「経 済 改 革 に つ い て」(平 岩 レポ ー ト)に お い て、経 済 に 活 力 の あ る間 に 社 会 資 本 整備 を一 層 促 進 す る必 要 か ら、計 画 の 見直 しをす べ き とい う指 摘 を うけ た こ とに よる。1995−2004年 度 の10年 間 の計 画 期 間 中 に 、お お むね630兆 円(弾 力枠30兆 円 を含 む)の 公 共 投 資 を お こな うと され た。当 初 の基 本 計 画 に比 べ て 、公 共 投 資 の規 模 が200兆 円 も増 額 され た こ とに な る。 こ う した 公 共投 資 の規 模 拡 大 は 、 サ ミッ トで 内需 拡 大 を表 明 した こ とも背 景 に あ る。 こ こ数年 、 サ ミッ トの前 に な る と ア メ リカ 政 府 か ら内需 拡 大 圧 力 が か か り、 そ れ が 公 共 投 資 拡 大 の 引 き金 に な って い る。90年 代 の 予 算 編 成 や 財 政 運 営 を み る と、 族 議 員 を 中心 に した 政 治 主 導 の 色 合 い と と もに 、 国際 的 な イ ンパ ク トが ます ます 強 ま って い る。 公 共 投 資 は97年 の改 定 では 一 転 して 縮 小 再 編 され る。 財政 危 機 に対 応 して 閣 議 決 定 され た 「 財 政 構 造 改革 の推 進 に つ い て 」 に お いて 、 公 共 投 資 の 水 準 を 引 き下 げ る必 要 が あ る と され た こ と か ら、基 本 計 画 の改 定 が な され た 。具 体 的 に は 、計 画期 間 を3年 間 延 長 して 、600兆 円ベ ース で み て 10年 間 で470兆 円程 度 へ と投 資 規模 を実 質 的 に縮 減 す る。 公 共 事業 予 算 の配 分 に つ い て 、 経 済 構 造 改 革 関 連 の社 会 資 本(高 規 格 幹 線 道 路 等 、拠 点 空港 、 中枢 ・中核 港 湾 、 市 街 地 整 備 等)に つ い て 、 物 流 の効 率 化 に 資 す る もの を 中 心 と して 、優 先 的 ・重 点 的 に整 備 す る。 社 会資 本 の整 備 ・運 営 に あた り、 事 業 箇 所 の 重 点 化 に よ る早 期 完成 の促 進 な どで あ る。 こ う した 公 共 投 資 基 本 計 画 の 改 定 に 象徴 的 な よ うに 、90年 代 公 共 投 資 は 計 画 ベ ース で も大 き く 47.

(4) 変 動す る。 そ れ だ け揺 れ 動 く経 済 な い し財 政 動 向 に左 右 され た の で あ る。91年 にバ ブ ル が崩 壊 し て 景気 が 急速 に 悪化 す る と、92年8月. に10兆 円規 模 の 「 総 合 経 済 対 策」 が実 施 され る。 こ の 「総. 合経 済 対 策」 を皮 切 りに2000年11月 の 「日本 新 生 対 策 」 まで 、 経 済 対策 とい う名 の景 気 対 策 が 継 続 され る(表2)。. 事 業 規 模 は 公 共 投 資 等 の 拡 大80兆 円 、 中 小 企 業 対 策 や 民 間設 備 投 資 の促 進 等 、. 減 税 等 を あ わ せ て総 額130兆 円程 度 に もな る。 この うち地 方 単 独 事 業7.4兆 円、 公 共 用 地 先 行取 得 等6.2兆 円、 あわ せ て13.6兆 円が 地 方 自治 体 の 事 業 で あ った 。 これ らを 中 心 に 経 済 対 策 の 地 方 へ の影 響 分 は 、全 体 で31.2兆 円 に の ぼ る。 地 方 単 独 事 業 を は じめ と した 地 方 負 担 額 が22.3兆 円 、減 税 の うち 地方 の減 収 分 が8.9兆 円で あ る。90年 代 の 景気 対 策 は 、 ま さに 地方 財 政 を 全 面 的 に 動 員 して実 施 され た の で あ る。. 表2最. 近の経済対策の概要 単 位:兆 円. 92.8. 93.4. 1公 共投資等の拡大. 8.7. 10.7. うち公 共 事業 関係. 3.9. 教 育 ・研 究 ・医療. 93.9. 94.2. 95.9. 98.4. 98.11. 99.11. 01.11. 5.2. 7.9. 12.8. 10.0. 9.3. 9.8. 6.5. 3.6. 0.6. 1:コ. 1.6. 2.8. 3.5. 2.1. 10.7. 0.7. 1.8. 2.5. 2.3. 2.4. 0.8. 1.5. 1.4. 2.0. 8.6. 13.0. 6.0. 9.4. 14.2. 12.0. 17.9. 4.6. 9∼. 社会福祉 施設 情報通信 等 地方単独 事業等 2中 小企業対策 及び 民間設備投資 の促進等 小 3減. 計. 税等 合. 1:コ 司. ;1コ. 6.2. 0.6. 0.2. 5.9. 7.4. 5.4. 4.5. 17. 11. 17. 11. 計. 10.7. 13.2. 6.0. 15.3. 14.2. 地方へ の影響分. 3.1. 3.7. 1.0. 4.6. 3.7. 6.1. 5.8. 1.8. 1.4. ・地 方 負 担額. 3.1. 3.'6. 1.0. 1.7. 3.7. 3.9. 2.1. 1.8. 1.4. 2.2. 3.7. ・減 税 の う ち. 0.1. 2.9. 16.6. 27∼. 地方の減収 分 注)(1)98年11月. の9∼ は9兆. 円超 、27∼ は27兆 円規 模 。. (2)総務 省 『 地 方 財 政 関 係 資 料』2001年 よ り作 成 。. こ う した 景気 対 策 に よる公 共 事 業 予 算 の拡 大 は 、 バ ブ ル崩 壊 後 の大 幅 な税 収 下 落 とあ い ま っ て、 国 の財 政 危機 に拍 車 を か け て い った 。 大 蔵 省 は96年 度 の 予算 編 成 にの ぞ ん で 、赤 字 国 債 の大 量 発 行 に踏 み 切 らざ る を え な い と、 事 実 上 の 「 財 政 危 機 宣 言」 を お こ な った 。96年 の財 政 制 度 審 議 会 報 告 書 は 、財 政 危 機 を打 開 して い くに は 、 歳 出削 減 を 中心 と した 財 政構 造 改革 が避 け られ な い と した。97年 に は 「 財 政 構 造 改革 の推 進 に 関 す る特 別 措 置 法」、い わ ゆ る財 政 構 造 改 革 法 が制 定 され 48.

(5) た 。 当 面 の方 針 と して 、2003年 度 ま でに 国 地 方 の財 政 赤 字 の 対GDP比. を3%以. 下 と し、そ れ まで. に 赤 字 国 債 依 存 か ら脱 却 す る こ とな どで あ った 。 そ の た め社 会 保 障 や 公 共 投 資 な ど9つ の歳 出分 野 ご とに 、 量 的 な縮 減 目標 が定 め られ た 。 公共 投 資 につ い て は、 公 共 投 資 基 本 計 画 の3年 間 の期 間延 長 、多 くの 公共 事業 長 期 計 画 の2年 延 長(土 地 改 良 は4年)、98年. 度 の 公 共 事 業 予 算 の7%削. 減 な どで あ る。 しか し、金 融 シ ス テ ム不 安 や ア ジ ア経 済 の混 乱 な どか ら、 景 気 が 急 速 に 冷 え込 ん で くる。98年 の8月 に は 、 当面 の財 政 運 営 に あ た っ て は財 政 構 造 改 革 の 推 進 とい う基 本 的考 え方 は 守 りつ つ 、 まず は景 気 回復 に全 力 をつ くす と して、 財 政 構 造 改 革 法 は 凍 結 され る。 そ して 、総 額27兆 円規 模 とい う過 去 最 大 の緊 急 経 済 対 策 が実 施 され 、 さ らに 国 債 残 高 を 膨 らま せ て い っ た。99年 度 予 算 は 景 気 に最 大 限配 慮 して編 成 され 、99年6月. には 「 緊 急 雇 用 対 策 及 び 産業 競 争 力 強 化 対 策 」 が 策 定. され 、第1次 補 正 予 算 が 編 成 され た 。11月 に は 「 経 済 新 生 対 策 」 が 策 定 され 、第2次 補 正 予 算 が 編 成 され 、2000年 度 予 算 に お いて も景 気 に 配 慮 した 積 極 的 な 財 政 運 営 が お こなわ れ た。10月 に は 、 「日本 新 生 のた め の新 発 展 政 策 」 が 策 定 され 、 補 正 予 算 が 編 成 され る な ど、 ひ きつ づ き景 気 回 復 に 向 け た取 り組 み が積 極 的 に す す め られ た(2)。 財 政 危 機 が厳 しさ を増 す な か で 、 財 政 再 建 =財 政 構 造 改 革 が 重 要 な 政 策 課 題 に な っ て く る 。 2001年6月. の財 政 制 度 等 審 議 会 ・財 政 制 度 分 科 会 「財 政 構 造 改 革 部会 中 間報 告 」 は、 総 論 の 部 分. で今 回 の財 政 危 機 につ い て次 の よ うに 指 摘 して い る(3)。 わ が 国 の財 政 収 支 は 欧 米 諸 国 と 比 べ て 、 累 次 の経 済 対 策 の発 動 や 減 税 の影 響 も あ り、 と くに90年 代半 ば 以 降大 幅 な悪 化 をみ て い る。 欧 米 諸 国 で は景 気 対 策 と して 公 共 投 資 が 用 い られ て いな い が 、 わ が 国 で は 景気 下 支 え の た め に積 極 的 に活 用 して い る。 いわ ゆ るバ ブル 崩 壊 以 降 の財 政 運 営 と景 気 動 向 を振 り返 る と、 こ の 間 、補 正 予 算 を と もな う経 済 対 策 を 計11回(事. 業 規 模 に して計130兆 円)実 施 す る な ど、財 政 は96,97年. をの. ぞ き、 か つ てな い 規 模 で 拡 張 的 なスタンス を と って きた 。 しか しな が ら、経 済 成 長 率 は総 じて低 迷 を つ づ け てお り、 民 需 中 心 の回 復 が み られ た のは ご くわず か の 時期 だ け で あ った 。 この よ うに 成 長 率 が 総 じて 低 迷 して いた のは 、 拡 張 的 財 政 政 策 の 効 果 が 不 十 分 とい う よ り、 生 産 性 が低 く効 率 性 に劣 る部 門 に 資 源 が 固 定 化 され た ま まで あ った こ とに よる 日本経 済 の潜 在 的 な成 長 力 の低 さ や 、 不 良 債 権 処 理 の遅 れ が 原 因 で あ る。 こ う した 考 え は 、先 に み た経 済 財 政 諮 問 会 議 の基 本 方 針 で 具 体 化 され て い く。 公 共 事 業 を 中 心 に した 積 極 的 な 財 政 運 営 は 、 地 方 財 政 危機 に も拍 車 をか け る こ と に な る。 地 方 自治 体 もバ ブル 崩 壊 後 に 税 収 が 大 幅 に 落 ち 込 む な か で 、 国 の景 気 対策 に全 面 的 に動 員 され 、地 方 債 に 依 存 して 公 共 事 業 を 拡 大 して い った 。 そ の 結 果 が急 激 な地 方 債 の急 増 で あ り、 深 刻 な財 政 危 機 で あ った 。 地 方 分 権 推 進 委 員 会 の 最終 報 告 に お い て も、現 在 進 行 して い る地 方 財 政 危 機 につ い て 次 の よ うに 述 べ て い るω。 「地 方 財 政 の 急 速 な 悪 化 は 、個 々 の地 方 公 共 団体 の財 政 運 営 の取 組 み に よる場 合 も あ るが 、 地 方 財 政 全 体 と して は 、 国 の経 済 政策 の 中 で、 公 共 事 業 の拡 大 や 減 税 に対 す る協 力 を 求 め られ 、 地 方 公 共 団 体 も これ に 応 じて きた こ とが主 要 な要 因 とな って お り、他 の先 進 国 に お いて 、 地 方 公 共 団 体 が わ が 国 の よ うな 規 模 で財 政 赤 字 と借 金 を背 負 っ て い る例 は な い。」 49.

(6) 地 方 債 の急 増 に と もな う財 政 硬 直 化 に よ り、 地 方 自治 体 の財 政 運 営 は 困難 を きわ め てい る。 景 気 が再 び悪 化 した98年 に は 、 大 都 市 都 府 県 が 相 次 い で財 政 危 機 を 宣 言 して 、赤 字 団 体 に 転 落 す る こ とに な る。 大 都市 圏 を 中 心 に 地 方 財 政 危機 が進 行 して、 地 方 単 独 事 業 が大 幅 に縮 小 され 、 国 の 景 気 対 策 に も深 刻 な影 響 を お よぼ す 。 今 回 の地 方 財政 危 機 は 、 第 三 セ ク タ ーや 土 地 開 発 公社 な ど の 外 郭 団 体 の経 営破 た ん に も特 徴 が あ る。 これ もバ ブ ル後 遺 症 とい え るが 、 リゾ ー ト関 連 を は じ め と した 開 発 型 第三 セ クタ ー の 多 くは 、 バ ブ ル崩 壊 後 に経 営 が急 速 に 悪 化 して 「再建 」 が課 題 と な る(5)。 90年 代 後 半 に は 、公 共 事 業 に 対 す る 国民 の批 判 が ます ます 高 ま り、 そ の 見 直 しが せ ま られ る。 長 良川 河 口堰 の本 格 運 用 や 諌 早 湾 干拓 事 業 な ど、公 共 事 業 に よる環 境 破 壊 や 事 業 の必 要 性 ・採 算 性 に 厳 しい 目が 向 け られ る。98年 版建 設 白書 は社 会 経 済 情 勢 の変 化 の な か で 、近 年 、住 宅 ・社 会 資 本 整 備 の あ り方 につ い て様 々 な観 点か ら厳 しい批 判 が 出 て きた と して 、 公 共 事業 の あ り方 と見 直 しを 直 接 の テ ー マ に か か げ た(6)。 社 会 資 本 整 備 は 行 政 と国民 が 協 同 で整 備 す る こ とが 大 切 で あ り、 行 政 側 が利 用 者 で あ る 国民 の 意見 を 聞 き、 意 思 決 定 プ ロセ スへ の参 加 を積 極 的 に求 め るべ き とす る。 事 業 に つ い て も、 新 しい 事業 を始 め る よ り、 既存 の ス トック を長 持 ち させ 、 機 能 を 十 二 分 に発 揮 させ る工 夫 が必 要 と して い る。 公 共 事 業 の 「再 評価 シ ス テ ム」 導 入や 一 部 事 業 の凍 結 な ど が実 施 され る が、 公 共 事 業 の抜 本 的 な見 直 しに は程 遠 い。 公 共 事 業 の 見直 しは、 国 と地 方 の財 政 再 建 、 ひ いて は経 済 財 政 運 営 の重 要 な政 策 課 題 で あ り、 小 泉 内閣 の 「 構 造 改革 」 の焦 点 に な っ て い る。. 3.公. 共 投 資 の構 造 変 化. 90年 代 の 公 共投 資 や 社 会 資 本 整 備 は、 経 済 や 財 政 の 動 き と密 接 に 関 連 して 、 この よ うに 推 移 し て きた 。 公 共投 資 が 実 際 に ど の よ うに構 造 変 化 して きたか 、80年 代 と も対 比 させ な が ら各 種 の 統 計 か ら検 証 してみ よ う。 ・建 設 投 資(表3) 建 設 投 資 の実 績 値 は 、1980年 の49.5兆 円か ら97年 の76.5兆 円へ と1.5倍 ほ ど増 加 して い る が 、 投 資 内 訳 は か な り変 化 して い る。80-90年. は バ ブル経 済 の影 響 を うけ て 、 民 間 を 中 心 と した建 築. 投 資 の 伸 び が 目立 つ 。 建 築 の な か で も、 オ フ ィス ビル な どの 建 設 ラ ッシ ュを 反 映 した 非 住宅 投 資 が1.9倍 、 投 資 全体 の ウ ェイ トも31%ま で上 昇 して い る。 90-97年. に はバ ブル崩 壊 に よ り、 この 非住 宅 投 資 が大 き く落 ち 込 ん で い る。 住 宅投 資 も低 迷 す. るな か で 、建 築 全 体 と して も24%の 下 落 とな った 。民 間 部 門 は建 築投 資 に 比 例 す る よ うに下 落 し て お り、 土木 投 資 中 心 の 政 府 部 門 の ウ ェイ トが 高 まった 。 政 府 部 門 の な か で 大 きな ウ ェイ トを 占 め る公共 事業 は、97年 に は 全 体 の33%ま. で上 昇 して お り、 そ の43%が. 道 路 関 係 で あ った。. ・公 的総 固定 資 本 形成(表4) 98年 の総 固定資 本 形 成 の 規 模 は39兆 円 、80年 に比 べ て15兆 円 ほ ど増 加 して い る。80−90年 は地 50.

(7) 方 が6.6兆 円増 加 した が 、中 央 が1.5兆 円減 少 して 、全 体 で5兆 円余 りの増 加 に と ど ま った 。中央 の 落 ち込 み は 、電 電 公社 や 国鉄 とい っ た公 的 企 業 の民 営 化 に よる もの で あ る。90年 に は地 方 の ウエ イ トが76.8%ま. で 上昇 して 、全 体 の4分 の3以 上 を 占め る こ とに な る。. 表3建. 設投資の推移 単位:億. 1980 金. 1990. 額%. 総計. 494,723. 建築 住宅 非住宅. 金. 1997. 額%. 金. 100.0. 814,126. 100.0. 292,159. 59.1. 522,319. 160,140. 32.4. 267,359. 132,019. 26.7. 土木 政府 公共事業 民間. 202,564 148,143. 112,974. 政府計 民間計. 196,192. 39.7. 298,531. 60.3. 54,421. 円. 額%. 1.65. 764,641. 100.0. 0.94. 64.2. 1.79. 398,474. 52.1. 0.76. 32.8. 1.67. 238,025. 31.1. 0.89. 254,960. 31.3. 1.93. 160,449. 21.0. 0.63. 40.9. 291,807. 35.8. 1.44. 366,167. 47.9. 1.25. 29.9. 211,470. 26.0. 1.43. 288,542. 37.7. 1.36. 22.8. 185,742. 22.8. 1.64. 254,785. 33.3. 1.37. 10.2. 0.97. 11.0. 80,337. 9.9. 1.48. 77,625. 257,480. 31.6. 1.31. 346,768. 45.4. 1.35. 556,646. 68.4. 1.86. 417,873. 54.6. 0.75. 注)実 績 値 で建 設 省 推 計 に よ る。 『 建 設 白書 』 よ り作 成 。. 表4公. 的総 固定資本形成の推移 ●. 単 位:億 円 1980 金. 中央 一般政府 一般会計. 非企業特別会計 事業 団 公的企業 地方. 1990. 額%. 金. 1998. 額%. 金. 80294. 343. 65451. 229. 23. 797. 10 2. 32. 783. 11 5. 5 161. 2 2. 3 782. 1 3. 7 3. 25 564. 17 182 1 451 54. 496. 0. 6. 24. 1. 3 436 32. 668. 101609. 9 0 ゜1. 額%. 55. 000. 260. 1. 14. 6 497. 1 7. 473. 11 6. 45. 2. 3 030. 11 4. 46 609. 0. 8. 11 9. 153447. 655. 219251. 768. 287875. 737. 一般政府. 132 866. 56. 7. 193 103. 67. 6. 253. 664. 64. 9. 普通会計 非企業特別 会計 公的企業. 114 080. 48 7. 163 233. 57. 2. 204 066. 52. 2. 社会保障基金 総固定資本形成計. 18. 787. 8 0. 29. 869. 10 5. 49. 598. 12 7. 20 581. 8 8. 26. 149. 9 2. 34. 211. 8 8. 826. 0.3. 511. 234,252. 0.2. 100.0. 285,528. 100.0. 1,377. 390,860. 0.4. 100.0. 注)『 財 政 統 計 』 よ り作 成 。. 51.

(8) 90−98年. に は10.5兆. 円 増 加 し て い る が 、95年 の43.3兆. な か で も一 般 政 府 の 普 通 会 計 を 中 心 に 、 地 方 が3兆. 円 を ピ ー ク と し て4.2兆. 円減 少 して い る。. 円 ほ ど 減 少 し て お り、 地 方 財 政 危 機 の 影 響 が. 公 的 総 固 定 資 本 形 成 に も 明 確 に あ らわ れ て い る 。90年 代 に は80年 代 と は 逆 に 、 地 方 よ り中 央 の 伸 び の 方 が 高 い 。80年 代 は 公 的 企 業 の 民 営 化 、90年 代 に は 地 方 財 政 危 機 が 投 資 の 動 向 を 左 右 し て い る 。 そ れ と 中 央 ・地 方 と も に 、 非 企 業 特 別 会 計 の 伸 び が 目立 ち 、 特 定 財 源 な ど と の 関 係 が 注 目 さ れ る。 ・行 政 投 資(表5)(表6) 行 政 投 資 は バ ブ ル と と も に 拡 大 に 転 じて 、85年 の26,5兆 円 へ と20兆 円 余 り増 加 し て い る 。 ピ ー ク は93年 の51.1兆 と に な る 。90―93年 3.5%減. 円 か ら90年 の36.8兆. 円 で あ り、 そ の 後4兆. は 高 い 伸 び で あ り、94年 は85年 以 来 の6.5%減. 、97年6.7%減. とつ づ き 、98年 に は3.1%増. 表5行. 円 、98年 の47.3兆 円 近 く減 少 し た こ. と な っ た 。95年6.4%増. 、96年. とな る。. 政投資の推移 単 位:億. 行政投資 金額. 都道府県. (内訳)国. 金額. 市町村. 指数. 金額. 265,055. 100. 62,924. 100. 87,001. 100. 115,130. 100. 86. 278,608. 105. 66,165. 105. 91,787. 106. 120,656. 105. 87. 304,116. 115. 67,680. 108. 106,179. 122. 130,257. 113. 88. 316,790. 120. 68,070. 108. 110,485. 127. 138,235. 120. 89. 338,276. 128. 73,226. 116. 115,525. 133. 149,525. 130. 90. 367,937. 139. 78,398. 125. 123,585. 142. 165,955. 144. 91. 403,362. 152. 85,303. 136. 132,332. 152. 185,727. 161. 92. 463,373. 175. 98,966. 157. 153,920. 177. 210,487. 183. 93. 511,270. 193. 113,182. 180. 168,767. 194. 229,321. 199. 94. 478,287. 180. 98,902. 157. 164,932. 190. 214,453. 186. 95. 508,944. 192. 109,963. 175. 177,989. 205. 220,992. 192. 96. 491,267. 185. 104,025. 165. 169,775. 195. 217,467. 189. 97. 458,379. 173. 98,630. 157. 159,411. 183. 200,338. 174. 98. 472,613. 178. 110,379. 175. 162,899. 187. 199,336. 173. 1985. 指数. 指数. 金額. 注)指 数 は1985年 を100と した 数 値 で あ る。 『 行 政 投 資 』 よ り作 成 。 52. 円. 指数.

(9) 表6地. 域別事業主体 ・資金負担別の行政投資(1人. 当 り額 と全国指数) 単位:億. 1985. 事業主体別 国. 大 都市 圏. 地方圏. 52,433. 45,234. 51,677. 63,870. 86. 99. 100. 66,242. 122,909. 100,684. 100. 都道府県. 72,496. 市町村. 95,935. 100 100. 資金負担別 国. 90,633 100. 都道府県. 54,846. 市町村. 75,386. 100 100 220,864. 計. 100. 1998. 1990. 全国. 91 71,368 74 64,249 71 57,690 105 60,905 81 182,844 83. 全国 大都市圏. 地方圏. 全国. 大都市圏. 62,662. 49,942. 87,904. 75,924. 98. 78. 100. 137,956. 129,729. 121,356. 円. 地方圏. 92,218. 86 105,218. 105 238,579. 170. 100. 121. 137. 100. 105,166. 135,203. 117,583. 139,080. 158,747. 110. 100. 87. 103. 100. 135,445. 92,945. 78,283. 110,578. 138,824. 149. 100. 84. 119. 100. 77. 141. 86,679. 116,092. 105,430. 104,620. 88,984. 176,778. 72,748 133. 81 117,045. 184 198,853. 74 106,710. 125 195,650. 100. 129. 118. 100. 71,559. 117,133. 107,225. 110,961. 132,936. 85. 95. 100. 92. 95. 100. 77. 153. 279,751. 299,758. 301,600. 326,978. 376,380. 298,186. 529,650. 127. 100. 101. 109. 100. 79. 141. 102,493. 169 157,223. 注)上 段 が1人 当 り額 、下 段 が全 国 指 数 。 こ こで の大 都 市 圏 とは 東 京 ・愛 知 ・大 阪 、地 方 圏 とは 青 森 ・ 島 根 ・鹿 児 島 を 集計 した もの で あ る 。 『 行 政 投 資 』 よ り作 成 。. 事 業 主 体 別 で は 、90年 代 前 半 まで は 都道 府 県や 市 町 村 の伸 び が 高 か ったが 、 そ の後 は国 の 方 が 高 くな る。 と くに 市 町村 は ピー クの93年 か ら3兆 円減 少 して 、 全 体 に 占め る ウ ェイ トも下 降 して い る。 資 金 負 担 別 に お い て も、90年 代 半 ば 以 降 は 国費 の増 加 、 都 道 府 県 費 や市 町村 費 の減 少 とい う傾 向 が み られ る。地 域 別 の動 向 で は 、90年 に は東 京 を 中心 に 大 都 市 圏 の伸 び が 目立 った が 、 バ ブル 崩 壊 と と もに 大 き く落 ち込 む こ とに な る。 典 型 的 な大 都 市 圏 と地 方 圏 の 自治 体 か ら、1人 当 り額 を 事 業 主 体 と資金 負担 別 に 比 較 す る と、地 域 的 な変 化 の特 色 が 明 らか に な る。90年 には 、 両 者 の 格 差 が か な り縮 小 す る が 、98年 に は 再 び地 方 圏 が大 都 市 圏 を 大 幅 に 上 回 る こ とに な る。 ・国 土 保 全 及 び 開 発 費(表7) 99年 の 国 地 方 の 純計 額 は31.1兆 円 で あ り、90年 よ り8兆 円近 く増 え て い るが 、95年 と比 べ る と 2.8兆 円減 少 して い る。 純 計 額 に 占 め る地 方 の ウ ェイ トは72%で. あ り、91年 の80.7%を. ピークに. 下 降 して きて い る。 これ は80年 代 に は 地 方 の伸 び が高 か った が 、90年 代 後 半 に は 地方 財 政 危 機 に よ り下 落 に 転 じた こ とに よる 。90−99年 の 伸 び は 国1.9に 対 して 、地 方1.2に と ど まる。 と りわ け 国 の 一 般 会 計 は 、80年 代 に は 下 落 傾 向 に あ った が 、90年 代 に は1.9倍 ほ どの伸 び と な って い る。 そ れ と注 目され るの が 「国 か ら地 方 へ の 支 出」 の動 向 で あ る。 これ は 地 方 交 付 税 や 地方 譲 与 税 、 国 庫 支 出金 な どの 合 計 額 で あ り、99年 で 国 の 支 出 の4割 を 占 め て い る 。 た だ し、80年 当 時 に は 53%で. あ った の で 、90年 代 の 落 ち 込 み が 目立 つ。 これ は補 助 金 削減 を は じめ と して 、 公共 事 業 を. め ぐる国 地 方 の 財 政 関 係 と して 「地 方 か ら国 へ の 支 出」 と と もに重 要 な 変 化 とい え よ う。 53.

(10) 表7国. 土保全及び開発費の推移 単位:億. 1980. 国. 1990. 1985. 1995. 円. 1999. 一般会計. 59,750. 58,107. 58,991. 109,376. 特別会計. 42,200. 46,479. 63,314. 102,617. 96,490. 67,967. 72,496. 89,272. 151,950. 142,975. 計(A). 110,840. 112,057. 134,351. 198,391. 264,122. 240,287. 国→ 地 方(C). 35,935. 35,575. 44,190. 61,395. 55,832. 地 方 → 国(D). 4,601. 6,579. 11β79. 14,952. 16,106. 45,082. 90,555. 87,143. 地方(B). (A)一(C)(E). 32,032. 36,921. (B)一(D)(F). 107,456. 127,772. 187,072. 249,170. 224,181. (E)+(F)(G). 139,488. 164,693. 232,154. 339,725. 311,324. (F)/(G). 77.0. 77.6. 80.6. 73.3. 72.0. (C)/(A). 52.9. 49.1. 49.5. 40.4. 39.1. 注)『 地 方 財 政 白書』 よ り作 成 。. ・地 方 財 政 計 画 の地 方 単 独 事 業 費(表8) 計 画 ベ ー ス で の地 方 単 独 事 業 の 推移 に つ い て は、 地 方 財 政 計 画 か らア プ ロ ーチ で き る。85年 の 8.4兆 円 か ら2001年 の17.5兆 円 へ倍 増 して い る。90年 の12.6兆 円か ら5兆 円 余 り増 加 して い る。 ピー ク は97年 の20.1兆 円 な ので 、 こ こ数年 は減 少 傾 向に あ る。91―94年 には10%を. 超 え る伸 び で. あ った が 、95年 以 降 は下 降 に転 じてお り、 こ こに も財 政 危 機 の影 響 が あ らわ れ て い る。 単独 事 業 費 は 一 般 事 業費 と特 別 事 業 費 に 区 分 され るが 、 この間 の 伸 び に大 き な違 いが み られ る。 85年 か らの 伸 び は 一 般1.3倍 に 対 して 、特 別 が2.6倍 とな っ て い る。 単独 事 業 費 に 占め る割 合 も、 一 般 は41%か. ら25%に 低下 した が、 特 別 は59%か. ら75%に 上 昇 して い る 。90年 代 の単 独 事 業 の 拡. 大 は 、 特別 事 業 の伸 び に よる もの で あ る。 この 特別 事業 は長 期 計 画 事 業 が最 大 で あ り、 最 近 で は 特 別 単 独 事 業 ・過 密 過 疎 対策 事 業 ・ふ る さ と対 策 事業 ・臨 時 経 済 対 策 事業 な どの規 模 が 大 きい 。 長 期 計 画 事 業 は90年 代 に ウエ イ トを低 下 させ 、 特別 単 独 事 業 な どが 上 昇 して き て い る。 最 大 の 長 期 計 画 事 業 の6割 以 上 が 道 路 で あ り、特 別 単 独 事 業 の 臨 時地 方 道 整 備 事 業 を あわ せ る と、2001年 に は道 路 関 係 が 特 別 事 業 の42%を. 占 め る こ とに な る。. ・普 通 建 設 事 業 費(表9)(表10)(表11)(表12) 普 通 建 設 事 業 費 の純 計 決 算 額 は 、80年 の14.5兆 円か ら99年 の26.1兆 円 へ と11.6兆 円増 加 して い る が、95年 か らは5兆 円減 少 して い る 。 この間 の伸 び は 都道 府 県 の方 が 市 町村 を か な り上 回 って い る。90年 代 半 ば ま では 、 単 独 事業 が 大 幅 に伸 びて ウ ェイ トを高 めて きた が 、 そ の後 は下 落 に 転 じて、 補 助 事 業 や 国直 轄 事 業 の 伸 び が 目立 つ 。90年 代後 半 の普 通 建 設 事 業 の落 ち込 み は、 主 に 単 独 事 業 の下 落 に よる。 普 通 建 設 事 業 に 占め る補 助 ・単 独 事 業 の ウ ェイ トを地 域別 に 比較 す る と、 か な りの違 い がみ ら れ る。 大 都 市 圏 の単 独 事 業 は90年 を ピ ー クに上 昇 して、 そ の後 は低 下 して くる 。99年 の単 独 事 業 の ウ ェイ トは85年 な み の水 準 とな り、 と りわ け都 道 府 県 で は補 助 事 業 との 差 が か な り縮 小 して く 54.

(11) る。 地 方 圏 の都 道 府 県 で は、 ひ きつ づ き単独 事業 の ウ ェイ トが上 昇 して い る。 普 通 建 設 事 業 の財 源 内訳 の 推 移 も、90年 代 半 ば を さか い に大 き な変 化 が み られ る。全 国 的 に 地 方 債 の ウ ェイ トが 大 幅 に 上 昇 す る一方 で 、一 般 財 源 等 の低 下 が 目立 つ 。 一般 財 源等 の ウ ェイ トは 補 助 事 業 で4分 の1、 単 独事 業 で 半減 して い る。 補 助 事 業 で 国 庫 支 出金 が 上昇 して い る の も注 目 され る。 地 域 的 に は 、 と くに大 都 市 圏 で90−95年 に お い て大 きな変 化 が み られ る。. 表8地. 方財政計画 のなかの地方単独事業費 単 位:億 円. 1985. 単独事業費. 1990. 84,146. 1995. 120,638. 2000. 195,000. 2001. 185,000. 175,000. (100.0). (100.0). (100,0). (100.0). (100.0). 34,351. 46,618. 62,572. 45,287. 43,734. うち. 一般事業費. (40.8) 特別事業費. 49,795. (59.2). (38.6) 74,020. (61,4). (32.1) 132,428. (67.9). (24.5) 139,713. (75.5). (25。0). 131,266. (75.0). (内訳). 長期計画事業費. 25,071. (50.3). 40,818. (55.1). 61,837. (46.7). 56,775. (40.6). 56,223. (42.8). うち. 道路 治山治水 港湾 廃 棄物 都市公園 交通安全. 15,298. 広域市町村 圏等振興 整備事業 地域総合整備特別対 策事業 ふ る さ とづ く り事 業. うち. 臨時地方道 整備 臨時経済対策事業. 37,280. 37,130. (64,7). (65。7). (66.0). 2,004. 2,576. 3,245. 2,812. 2,745. (8.0). (6.3). (5.2). (5.0). (4.9). 563. 924. (2.1). (1.4). (1.5). (1.4). (1.4). 1,970. 2,015. 5,730. 5,548. 5,548. (7.9). (4.9). (9.3). (9.8). (9.9). 2,339. 2,669. 4,796. 4,033. 3,936. 523. 807. 788. (9.3). (6.5). (7.8). (7.1). (7.0). 1,959. 3,524. 4,261. 3,786. 3,662. 12,140. (8.6) 13,787. (6.9) 18,630. (6.7) 17,851. (6.5) 17,071. (24,4). (18.6). (14.1). (12.8). (13.0). 2,377. 2,625. 3,191. 2,989. 2,828. (4.8). (3.5). (2.4). (2.1). (2.2). 一. 6,450. 8,910. 5,731. 3,831. (4.1). (2.9). 一. 2,000. (8.7) (2.7). 特別単独事業. 39,994. (69.0). (7.8) 過密過疎対策事業. 28,164. (61.0). 6,217. 7,560. (12.5). (10.2). 4,600. 5,440. (74.0). (72.0). (6.7) 14,300. (10.8) 16,830. (12.7) 13,640. (81.0). 一. 注)特 別 事 業 費 に は 「そ の 他」 を含 む。 内訳 の()は. 10,000. (7.2) 20,907. (15.0) 17,987. 8,810. (6.7) 20,033. (15.3) 17,378. (86.0). (86.7). 8,000. 8,000. (5.7). (6.1). 各 々 の事 業 費 に対 す る構 成 比 で あ る。. 『地 方 財 政要 覧 』 『 地 方 財政 計 画』 『 地 方 財 政 』 よ り作 成 。. 55.

(12) 表9普. 通建設事業の内訳 単 位:億 円. 1980. 1985. 1990. 1995. 1999. 補助事業 純計. 86,974. 都道府県. 50,310. 市町村. 41,784. 85,021. 80,061. (60.0). (53,1). (37.6). 48,968. (78.2). 56,118. (60.7). (47,7). 35,540. (53.4). 33,121. (45.4). (28.4). 125,473. 116,504. (40.3). (44.6). 85,481. 80,563. (48.8). (52.9). 47,122. 42,556. (31.7). (34.2). 単独事業 純計. 53,540. (42.6). 9,921. 都道府県. (15,4). 国直轄事業 純計 都道府県 市町村. (57.5) 51,606. 25,940. (32,1). 36,120. 市町村. 129,917. 64,267. (36.9). (43.9). 42,152. 82,423. (46.1). (53.9). 4,457. 6,374. (3.1). (4.2). (4.8). 4,080. 5,822. 9,924. (6.3). (7.2). (8,4). 553. 983. (0.7). (0.8). 377. (0.5). (70.7) 10,908. 171,043. 128,886. (55.0). (49.4). 76,856. 57,527. (43.9). (37.8). 99,960. 76,108. (67.2). (61.1). 14,615. 15,729. (4.7). (6.0). 12,907. 14,174. (7.4). (9.3). l,708. 1,554. (1.1). (1.2). 普通建設事業計 144,971. 純計 都道府県 市町村. 150,702 80,730 78,245. 64,311 78,281. 225,846 117,648 116,527. 311,131 175,244 148,790. 261,119 152,264. 124,556. 注)99年 度 の市 町 村 の普 通 建 設 事 業費 には 県 営 事業 負 担 金 を含 む。 ()は. 各 々 の普 通 建 設 事 業 費 に 占 め る割 合 で あ る。 『地 方財 政 白書 』 よ り作 成 。. 表10補. 助 事 業 ・単 独 事 業 の 地 域 別 推 移 単 位:億 円. 1990. 補助 大都市圏 うち都道府 県. 市町村 地方圏 うち都道府 県. 市町村 全国 うち都道 府県. 市町村. 単独. 1999. 1995. 普建. 945,398 3,741,854 4,883,931 100 100 100 525,664 1,818,039 2,451,784 100 100 100 419,734 1,923,815 2,432,147 100 100 100 577,261 403,486 1,055,353 100 100 100 409,216 150,701 610,650 100 100 100 168,045 252,785 444,703 100 100 100 8,848,250 13,211,208 23,679,004 100 100 100 5,566,912 5,082,708 11,764,786 100 100 100 3,281,338 8,128,500 11,914,218 100 100 100. 補助. 単独. 普建. 1,534,055 4,022,562 5,809,440 162 108 119 933,332 1,974,876 3,050,980 178 109 124 600,723 2,047,686 2,758,460 143 106 113 817,583 694,715 1,616,997 142 172 153 578,268 333,790 970,911 141 221 159 239,315 360,925 646,086 142 143 145 13,171,742 17,452,748 32,904,945 149 132 139 8,501,853 7,595,027 17,524,475 153 149 149 4,669,889 9,857,721 15,380,470 142 121 129. 補助. 単独. 1,349,116 143 778,656 148 570,460 136 806,598 140. 2,195,317 59 884,792 49 1,310,525 68 723,812 179 405,907 269. 602,125 147. 204,473 122 12,209,771 138 8,004,858 144 4,204,913 128. 注)補 助は補 助事 業費 、単 独は単 独事 業費 、普建 は普通 建 設事業 費の略 で ある。 ここで の大都 市 圏 とは東京 ・愛知 ・大 阪、地 方圏 とは青 森 ・島根 ・鹿児 島 を集計 した もの であ る。 『地方財 政統 計年 報』 よ り作 成。. 56. 普建 3,788,681 78 1,819,277 74 1,969,404 81 1,644,181 156 1,078,186 177. 565,995 126 127 13,169,480 27,681,994 100 117 5,657,206 15,226,366 111 129 7,512,274 12,455,628 92 105 317,905.

(13) 表11補. 助 事 業 ・単 独 事業 の地 域 別 内訳. 単位:%. 大都市圏 うち 都道府県 市町村 地方 圏 うち 都道府県 市町村 全国 うち 都道府県 市町村. 36.5. 58.2. 19.4. 76.6. 26.4. 69.2. 35.6. 41.1. 53.5. 21.4. 74.2. 30.6. 64.7. 42.8. 57.9. 48.6. 32.8. 62.0. 17.3. 79.1. 21.8. 74.2. 29.0. 66.5. 67.8. 26.1. 54.7. 38.2. 50.6. 43.0. 49.1. 44.0. 77.1. 16.5. 67.0. 24.7. 59.6. 34.4. 55.8. 37.6. 53.0. 41.3. 37.8. 56.8. 37.0. 55.9. 36.1. 56.2. 52.4. 41.1. 37.4. 55.8. 40.0. 53.0. 44.1. 47.6. 60.8. 30.7. 47.3. 43.2. 48.5. 43.3. 52.6. 37.2. 44.0. 51.4. 27.5. 68.2. 30.4. 64.1. 33.8. 60.3. 注)受 託 事 業 費 を 除 く補 助 事 業 費 と単 独 事 業 費 が 普 通 建 設 事 業 費 に 占 め る割 合 で あ る。 こ こで の大 都 市 圏 と は東 京 ・愛 知 ・大 阪 、 地 方 圏 とは 青 森 ・島根 ・鹿 児 島 を集 計 した も ので あ る。 『地 方 財 政 統 計 年 報 』 よ り作 成 。. 表12普. 通建 設 事 業 の財 源 内訳(都 道 府 県 分/90年. ・95年 ・99年). 単位:% 国庫支出金 大都市圏 普通建設事業 補助事業 単独事業 地方圏 普通建設事業 補助事業 単独事業 全国 普通建設事業 補助事業 単独事業. 8.3. 15.1. 21.0. 38.5. 49.2. 49.1. 一. 一. 一. 分担金 ・負 担金 寄 付金. その他の 特定財源. 地方債. 一 般財源 等. 2.4 2.5. 3.0. 2.3 1.5. 12.7. 53.2. 54.1. 11.0. 10.1. 4.9. 65.6. 18.7. 1.7. 25.9. 35.0. 40.2. 7.4. 5.4. 3.5. 25.5. 8.8. 17.7 5.8. 2.5. 3.6. 3.3. 8.8. 61.0. 61.7. 11.4. 11.8. 4.4. 77.3. 23.5. 30.6 18.0. 31.0. 34.6. 31.4. 4.1. 40.2. 2.3. 6.1. 7.4. 34.9. 21.6. 56.0. 5.1. 3.0 3.2. 34.1. 56.8. 3.6 4.1. 27.7. 45.2. 25.6. 27.5. 29.2. 1.4. 4.6. 5.8. 22.9. 7.1. 5.9. 1.5. 2.7. 2.5. 32.7. 43.0. 54.4. 4.1. 8.9. 9.3. 61.7. 45.4. 33.7 18.6. 一. 一. 一. 20.4. 26.5. 28.4. 3.9. 3.7. 3.3. 22.8. 41.9. 42.8. 6.2. 6.6. 6.9. 46.7. 21.3. 42.7. 54.4. 53.8. 4.9. 3.9. 3.3. 24.3. 3.8. 3.9. 25.2. 8.1. 6.4. 3.2. 2.9. 19.5. 32.6 50.7. 3.0. 2.9. 29.9 51.1. 9.2. 9.3. 10.7. 68.4. 36.3. 35.7. 一. 一. 一. 注)左 か ら90年、95年 、99年 の内訳 で ある。 ここで の大 都市 圏 とは東 京 ・愛知 ・大 阪、 地方 圏 とは青 森 ・島根 ・鹿 児 島を集 計 した もので あ る。 『 都 道府 県決 算状 況調 』 よ り作成 。. 4.公. 共 投 資 の 構 造 変 化 と財政. こ うした90年 代 公 共 投 資 の 展 開 と統 計 的 な検 証 か ら、公 共 投 資 の構 造 変 化 と財 政 に か か わ る主 な 論 点 を 提 示 して み よ う。 まず 第1に 、 公 共 投 資 を め ぐ る国地 方 の財 政 関 係や 財 政 危 機 に か かわ る問 題 で あ る。80年 代 後 半 か らの バ ブル と と もに 急 膨 張 した 公 共投 資 は 、90年 代 前 半 ま で拡 大 を つ づ け た 。90年 代 公 共 投 資 は 、 と くに80年 代 後 半 か らの 膨 張傾 向 と関連 づ け て評 価 して い く必 要 が あ る。90年 代 の公 共 投 資 拡 大 は 、 日米 構 造 協 議 で 対 米 「公 約」 され た430兆 円(の ち に630兆 円)公 共 投 資 、 バ ブ ル期 に 57.

(14) 計 画実 施 され て きた 民活 型 の 大 型 プ ロ ジ ェ ク トな どの 影 響 もあ る が、 や は り総 額130兆 円 に も お よぶ景 気 対策 の実 施 が決 定 的 で あ った 。 バ ブル 崩壊 後 の景 気 対 策 の 中 心 は 、 巨額 の公 共 投 資 と減 税 で あ った 。 これ は 地 方 財 政 を 全 面 的 に動 員 して実 施 され 、 国 と地 方 の 財政 関 係 に も大 きな 影 響 を お よぼ した 。 地 方 財 政 計 画 の 投 資 的 経 費 、な か で も地 方 単 独 事 業 の 動 向 が重 要 で あ る。 単 独 事業 は90年 代 半 ば まで 拡 大 を つ づ け るが 、 と りわ け 国 の 各 種 長 期 計 画 の 一 環 と して 、 あ る い は特 別 の地 方 債 を財 源 と して 公 共 施設 等 の整 備 充 実 を 計 画 的 に 推 進 す る特 別 事業 費 の 伸 び が 目 立つ 。 一 般事 業 費 は95年 か らマ イ ナ ス とな った が 、 特 別 事業 費 の 方 は2000年 度 か らで5年. もの ズ. レが あ り、単 独 事 業 費 に 占め る ウ ェイ トを高 め て きた 。特 別 事 業 費 の な か で も大 きい の が道 路 を 中心 に した長 期 計 画事 業 費 で あ り、 また臨 時 地 方 道 整備 事業 を 中 心 に した 特 別 単 独事 業 費 で あ る。 また 、過 密過 疎 対 策 ・ふ る さ とづ く り ・臨 時 経 済 対 策 とい った 事 業 費 も大 きい 。 公共 投 資 の なか で膨 張 を とげ た地 方 単 独 事 業 とい って も、 国 の各 種 長 期計 画 や 政 策 に 直 接 関 連 した事 業費 が大 半 を 占 めて お り、補 助 事 業 的 な 性 格 が 強 くな って い る。 地方 債 と地 方 交 付 税 を セ ッ トに した誘 導 的 な財 政 措 置 も、 こ う した 補 助 事 業 的 な性 格 に拍 車 を か け たω。 地 方 財 政 は90年 代 半 ば 以 降 、 大 都市 圏 の 自治 体 を 中 心 に深 刻 な 財 政 危機 に み ま われ る。90年 代 の地 方 財 政 危機 は 、 バ ブ ル 崩壊 に と もな う税 収 減 の も とで 、 景 気 対 策 の 大 合 唱 に よ り単 独 事 業 を 大 幅 に拡 大 して きた こ とに よ る。 そ れ で単 独 事 業 は94年 か ら頭 打 ち 傾 向 とな り、地 方 財 政 計 画 で の 当初 計 画 が達 成 で きな くな る。実 質 の計 画 未 達 成額 は 、94年 の1兆2431億. 円 か ら98年3兆7531. 億 円 へ と増 大 し、計 画 の4分 の1以 上 が未 達 成 とい う状 況 に な る。 地 方 財政 危機 が激 しさ を増 す な か で、 単 独事 業 の計 画 割 れ が つ づ き、地 方 財 政 計 画 に お い て も単 独 事業 の規 模 縮 小 が せ ま られ る。 財 政 危機 が激 しい大 都 市 圏 の 自治 体 ほ ど、 単 独 事業 が大 幅 に 抑制 され 、 国 の景 気 対 策 に も少 な か らぬ 影響 を あ た え る 。 大 都 市 圏 を 中心 に抑 制 基 調 の 単独 事 業 に か わ って 、補 助 事 業 が92年 か ら拡 大 に転 じて きた 。 と くに90年 代 の後 半 に は 、補 助事 業 が単 独 事 業 を か な り上 回 る伸 び を つ づ け て き た。 そ れ は財 政 危 機 に よる単独 事 業 の抑 制 と と もに 、 国 の景 気 対 策 に補 助 事 業 が積 極 的 に活 用 され た こ とに よ る。 地方 財 政 が激 し さを増 す な か で 、補 助 事 業 な どに も影 響 が あ ら わ れ て き た。2001年 度 の地 方 財 政 計 画 の投資 的経 費 は4.4%減. とな った が 、 これ は 国 の公 共 事 業 関 係 費 が 前 年 度 とほ ぼ 同 額 に もか. か わ らず 、直 轄 ・補 助 事 業 計 が マ イ ナ スに な った こ とに よる。 全 体 と して、 当 該 国 費が 地 方 負 担 を伴 わ な い事 業(国 直 営 お よび 公 団営 事 業)に. シフ トして き た 。. 第2に 、90年 代 公 共 投 資 の地 域 的 な特 徴 で あ る 。80年 代 後 半 か らの民 活 型 の社 会資 本 整 備 、 そ してバ ブル期 に は大 都 市 圏 で の 公共 投 資 拡 大 が 顕著 で あ った 。 公 共投 資 や 社 会 資 本 整 備 に お い て も、東 京一 極 集 中 が展 開 した(8)。 公 共 投資 はひ きつ づ き90年 代 に も、 計 画 面 で は大 都 市 圏 が 重 視 され る。 国 際 化 や情 報 化 が進 展 す るな か で 、世 界 都 市 戦 略 とい った グ ローバ ル戦 略 の一 環 と して 、都 市 社 会 資 本 が位 置 づ け られ た。97年 に 改定 され た 「 公 共 投 資 基 本 計 画 」 で は 、財 政 構 造 改 革 の も とで投 資 額 を実 質 減額 す る 58.

(15) と とも に 、公 共 投 資 予 算 の重 点 配 分 を も とめ た。 拠 点 空 港 、 中 枢 ・中 核 港湾 、市 街 地 整 備 な ど、 都 市 社 会 資 本 を 優 先 的 ・重 点 的 に整 備 す る と した。98年3月. に 策 定 され た 「21世紀 の 国土 の グ ラ. ン ドデザ イ ン」、五 全 総 で は 「 地 域 格 差 の 是 正」 論 を 事実 上 や め て 、 「地 方 の 自立 」 論 に転 換 した といわ れ る。 また 、 「 大 都 市 の リノベ ー シ ョン」 が4つ の主 要 戦 略 のひ とつ とされ た。99年2月. の. 経済戦略会議の最終報告では、 「 都 市 の 生 活 環 境 改 善 と国 際競 争 力 の 向上」 を 重 点 的 に 取 り組 む べ き戦 略 プ ロジ ェ ク トと した 。 国家 戦 略 と して の都 市 社 会 資 本 の 重 点 整備 が政 策 化 され た(9) 。 こ う して 計 画 レベ ル で は 、都 市 社 会 資 本 が これ まで 以 上 に 重 視 され て い くが、 実 際 の投 資 動 向 は 大 都 市 圏 よ り地 方 圏 の 方 が大 きな伸 び をつ づ け た。90年 代 公 共 投資 は 、地 域 的 に は地 方 圏 に傾 斜 した が 、 そ の 大 きな 要 因 は大 都 市 圏 自治 体 の深 刻 な 財 政 危 機 で あ った。 大 都 市 圏 で は財 政 危 機 が 進 行 す るな か で 、80年 代後 半 か ら膨 張 をつ づ け た地 方 単 独 事 業 を 大 幅 に 削減 す る。 大 都 市 圏 と して東 京 ・神 奈 川 ・愛 知 ・大 阪 の4都 府 県 の単 独 事 業 費 を 集 計 す る と、 そ の全 国 シ ェア ー は都 道 府 県 分 で は85年 の27.3%か. ら90年 に39.7%ま. で上 昇 す るが 、99年 に は17.6%ま. で低 下 して い る。. 全 国 の4割 か ら2割 弱 へ と大 幅 に落 ち込 ん で い る。 市 町 村 分 も都 道 府 県 分 ほ ど顕 著 で は な い が 、 31.1%か. ら23.1%へ. と低 下 して い る。. そ の一 方 で 、 地 方 圏 は 国 の 景気 対 策 の も とで 、補 助 事 業 と と もに 単独 事業 も拡 大 させ て い っ た。 地 方 債 と地 方 交 付 税 を セ ッ トに した 、単 独 事 業 を拡 大 させ る財 政 誘 導 も地 方 圏 に強 く作 用 した。 景 気 対 策 の名 に よ る政 治 主 導 の バ ラマ キ型 の公 共 投 資 は 、 地 方 圏 ほ ど顕著 で あ っ た とい え よ う。 冒頭 で 述 べ た よ うに 、 現 在 すす め られ て い る小 泉 内閣 の 「構 造 改 革 」 は 、公 共 事 業 や 地 方 交 付 税 を は じめ と した 地 方 財 政 シス テ ムの 見直 しが重 要 な タ ーゲット に され て い る。 そ れ は先 の90年 代 の公 共 投 資 と財 政 に か か わ る2つ の論 点 と密 接 にか か わ る。 経 済 財 政諮 問会 議 の基 本 方 針 や 地 方 分 権 推 進 委 員 会 の最 終 方 針 、「都 市 再 生 」の動 きな ど とか か わ らせ て 、公共 投 資 と地 方 財 政 の 改 革 につ いて 別 稿 で 検 討 して い きた い。. 注 (1)拙. 稿 「 民 活 と公 共 投 資」(横 田茂 ・永 山利 和 編 『 転 換 期 の 行 財 政 シス テ ム』 大 月 書 店 、1995年)、. 「 戦 後 日本 の公 共 投 資 と社 会 資 本一1980年 4、1998年)な (2)加. 拙稿. 代 まで の理 論 と実 際 」(『名 古 屋市 立 大 学 人 文 社 会 学 部 紀 要 』. どを参 照 。. 藤 治 彦 編 『図 説 日本 の 財政 』2001年 度 版 、 東 洋 経 済 新 報 社 、 第 皿部 第5章. 「 社会資本 の整備 」 を参. 照。 (3)こ. の 中 間 報 告 は 総論 が 「マ ク ロの 財 政 構 造 の 国 際 比較 と推 移 」 「 財 政運 営 に 関す る理 念 一90年 代 の財 政. 運 営 を 題材 に 」、各 論 と して 社 会 保 障 ・公 共 投 資 ・地方 財 政 が と りあげ られ 、 問題 点 と改 革 方 向が 提 示 さ れ て い る 。 各 論 の 対 象 は経 済財 政 諮 問会 議 の基 本 方 針 と 同 じで あ り、 全 体 と して 基 本 方 針 の ベ ー ス に な って い る。 (4)「 分 権 型 社 会 の 創 造:そ の道 筋 」 とい う副 題 がつ いた 最 終 報 告 は 、4章 か ら構 成 され て い る。 と くに第 3章. 「 第2次 分 権 改 革 の 始 動 に 向 け て一 地 方 税 財 源 充 実 確 保 方 策 に つ い て の提 言 」 は 、 地 方 財 政 の 改 革. 方 向 に つ い て 重 要 な 指 摘 が な され て い る。 経 済 財 政 諮 問 会 議 の 基 本 方 針 の 改 革方 向 と は、 と りわ け 地 方 交 付 税 の 改革 を め ぐ って 大 きな違 いが あ る(神 野 直 彦 「 分 権 型 財 政 調 整 論」 『地 方 財 政』2001年8月. 号を. 参 照 の こ と)。 59.

(16) (5)自. 治 省 が99年5月. に 出 した 「 第 三 セ ク タ ーに 関 す る指針 」 では 、経 営 の悪 化 が深 刻 で あ り、将 来 の 経 営. 改善 の可 能 性 が な い と判 断 され る第三 セ ク タ ーに つ い て は、 問 題 を 先 送 りせ ず 、 早 急 に 対 処 方 策 を 検 討 すべ きで あ る と して 、 第 三 セ ク タ ー方 式 で の 事 業 の存 廃 そ の も の につ い て も判 断す べ き と した 。 (6)建. 設 白書 で は 、当 初 は 効 率 性 や 透 明性 に つ い て の 行政 の説 明責 任 を 問 う観 点 か ら の議 論 が 多 か った が 、. 最 近 では これ に 加 え て 、 現 在 の 行 政 が もつ 仕 組 み で は利 用 者 で あ る国 民 の ニ ー ズを 満 足 させ る サ ー ビス を行 うこ とが 困 難 で な い か 、 とい うよ り根 本 的 な と ころ に も議 論 が 及 ん で い る よ うに 思 わ れ る と 指 摘 す る(『 建 設 白書 』98年 版 の 第1総 説 第3章 (7)拙. 「 新 た な 住宅 ・社 会 資 本 整 備 の あ り方 に 向け て」 を 参 照)。. 稿 「1980年代 の地 方 公 共 投 資 と財 政 」(『日本 地 方財 政 学 会 研 究 叢 書 』第2号 、勁 草 書 房)を 参 照 され. た い。な お 、地 方 公 共 投 資 を 体 系 的 に 分 析 した もの と して、加 藤 一 郎 『公 共 事 業 と地 方 分 権 』 日本 経 済 評 論社 、1998年 も あわ せ て 参 照 の こ と。 (8)拙. 稿 「80年代 地 方 公 共投 資 の 地 域 構造 と地 域 政 策 」(『日本 都 市 学 会 年 報 』27号)に. おい て 、統 計 的 な 検. 証 もお こ な って い る。 (9)保. 母武 彦 『公 共 事 業 を ど う変 え るか』 岩 波 書 店 、2001年 を 参 照 。小 泉 政 権 に よる 「 構 造 改革 」 は 、東 京. を ター ゲ ッ トに した 都 市 再 生 が 課 題 と され て い るが 、 経済 戦 略 会 議 な ど の政 策 を引 き継 ぐ もの とい え よ う。. 60.

(17)

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