人狼知能プロジェ ク ト
2015
AIWolf Project 2015
篠田孝祐
1∗片上大輔
2稲葉通将
3鳥海不二夫
4大澤博隆
5松原仁
6Kosuke Shinoda
1Daisuke Katagami
2Fujio Toriumi
3Masamichi Inaba
4Hirotaka Osawa
5Hitoshi Matsubara
61
電気通信大学
1
The University of Electro-Communications
2東京工芸大学
2
Tokyo Polytechnic University
3広島市立大学
3
Hiroshima City University
4東京大学
4
The University of Tokyo
5筑波大学
5
University of Tsukuba
6はこ だて 未来大学
6Future University Hakodate
Abstract: We propose a standard problem AIWolf game for artificial intelligence. This game is one of communication game around the table. This game called ”Are You a Werewolf?”, generaly. We has been thought this game is useful metrics for evaluating progress artificial intelligence. Moreover, our project held the competision at 2015
1
はじ めに
「 ある 村に, 人間の姿に化け ら れる 人喰い人狼が現 れた. 人狼は人間と 同じ 姿を し て おり , 昼間には区別 がつかず, 夜になる と 村人たち を 一人ずつ襲っ て いく . 村人たち は疑心暗鬼にな り な がら , 話し 合いによ っ て 人狼と 思われる 人物を 1 人ずつ処刑し て いく こ と にし た」・・・ 以上が, コ ミ ュ ニケーショ ン ゲームと し て 知ら れる 人狼ゲーム のカ バースト ーリ ーである . こ の人狼 と 呼ばれる ゲーム がある . こ のゲーム は, 基本プレ イ ヤ 同士の話し 合いによ り 進行し 勝敗がき ま る . こ の人 狼ゲームは, 言語のみで進行する ゲームであり ながら , 全世界で楽し ま れて いる ゲーム であり , 特に日本では オン ラ イ ン 上で行う BBS 人狼が日々 行われている . 本 論文では, こ の人狼ゲーム を , 人工知能記述の評価の ための標準問題と し て の提案と , それの普及に向け た 人狼知能大会に関し て 紹介する . ∗連絡先: 電気通信大学 情報システム 学研究科 〒 182-8585 東京都調布市調布ケ 丘 1-5-1 E-mail: [email protected]2
人狼知能の提案
2.1
人狼の概要
人狼ゲームは, アメ リ カのゲームメ ーカー Loony Labs. が 2001 年に発売さ れたパーティ ーゲーム「 汝は人狼な り や」 及びその派生ゲーム [4] の総称である . 多数の類 似ゲーム が世界中で市販さ れ, 世界中でプレ イ さ れて いる . 日本において も タ ブラ の狼やう そつき 人狼な ど 多数のゲーム が販売さ れて いる . 人狼を プレ イ する 方法と し て は, 前述し たよ う な 市 販のカ ード な ど を 使っ て 行う 対面型と , WEB 上のア プリ ケ ーショ ン を 使っ て 行う BBS タ イ プが存在する . 日本における BBS タ イ プの人狼の内, 最も 盛んにプレ イ が行われて いる サービスの一つが人狼 BBS(4) であ る . 人狼 BBS ではこ れま でに数千回以上のゲームが行 われて おり , ロ グデータ を 用いた研究も 行われて いる [5, 6]. プレ イ ヤ ーにはま ずラ ン ダム に「 役職」 が割り 当て ら れる . プレ イ ヤ ーは役職によ っ て , 人間ま たは人狼 陣営にそれぞれ振り 分け ら れ, 各プレ イ ヤ ーはチーム 人工知能学会研究会資料 SIG-SLUD-B502-20の勝利を 目指す. 人間陣営の目標は人狼の全滅に, 人 狼陣営の目標は人間の人数を 人狼の人数と 同数以下に する こ と にあり , 目標を 達成し た陣営の勝利と な る . 各自の役職は本人以外には非公開である ため, 自分 以外の誰がど の役職か分から な い. 特に, 人間側は誰 が人狼か分から な いため, 会話の中から 人狼を 探し 出 すこ と が基本的な 行動指針と な る . 一方, 人狼陣営の プレ イ ヤ ーは同じ 人狼陣営のプレ イ ヤ ーを ゲーム 開始 時に知ら さ れる . そのため, 人狼陣営に所属する プレ イ ヤ ーは互いに協力し な がら , 人間陣営に正体がばれ な いよ う に行動する こ と が基本的な 行動指針と な る . ゲーム は昼と 夜の 2 つのフ ェ ーズから な る . 昼のフ ェ ーズでは全て のプレ イ ヤ ーに よ っ て , 誰が人狼かを 探し 出すための議論が行われる . こ のと き , 後述する 各種能力を 持っ た役職について いる プレ イ ヤ ーは当該 能力によ っ て 知り 得た情報を 用いて , 自分たち の陣営 が有利にな る よ う に議論を 導く こ と にな る . 一定期間 の議論の後, プレ イ ヤ ー全員の投票によ っ て , 人狼と 考え ら れる 人物を 処刑する . 処刑さ れたプレ イ ヤ ーは ゲーム から 除外さ れ, ゲーム 終了ま で参加する こ と が 出来な い. 夜のフ ェ ーズでは, 人狼陣営に所属する プレ イ ヤ ー が人間陣営のプレ イ ヤ ーを 一人選び, 襲撃する . 襲撃 さ れたプレ イ ヤ ーは死亡者と し て 扱われ, 処刑さ れた プレ イ ヤ ーと 同様にゲーム から 除外さ れる . ま た, 各 種能力を 持っ た役職には, 夜のフ ェ ーズに能力に応じ た情報を 与え ら れる . 昼のフ ェ ーズと 夜のフ ェ ーズを 繰り 返し , 勝利陣営を 決定する . 議論において , 人間陣営に所属する プレ イ ヤ ーは人 狼の嘘を 見破る かが最大のポイ ン ト と な る . ま た, 能 力を 持つ役職に就いたプレ イ ヤ ーは能力によ っ て 知り 得た情報を 使っ て 他のプレ イ ヤ ーを 説得する こ と がポ イ ン ト と な る . 一方, 人狼陣営のプレ イ ヤ ーは自分た ち が不利にな ら な いよ う に議論を 誘導し , 時には能力 を 持っ た役職である と 偽り , 議論を 間違っ た方向へ誘 導する こ と な ど が基本プレ イ と な る . こ のよ う に人狼ゲームは, 不完全情報化で会話によ っ て 各プレ イ ヤ が認識し て いる 情報のエン ト ロ ピ ーを 操 作する コ ミ ュ ニケ ーショ ン ゲーム の一種である . 我々 は, こ の人狼ゲーム を , 人も し く はエージェ ン ト 間で のプレ イ する こ と を 目標と し た「 人狼知能プロ ジェ ク ト 」 を 立ち 上げた.
2.2
人狼ゲームの特性
2.2.1 コ ミ ュ ニケーショ ン によ る ゲーム進行 こ れま でのゲームの多く , 特に完全情報ゲームでは, 環境の状況( 他のエージェ ン ト の振舞も 含む) を も と に行動を 決定する ため, 状況の評価と それを 含めた探 索効率の向上がゲーム の主要素であっ た. それに対し て, 人狼ゲームでは, そのアク ショ ンだけでなく コ ミ ュ ニケ ーショ ン によ る 情報交換によ り ゲーム を 進行し 勝 敗を 決する . 鳥海ら [7] が, ゲームの状況を も と にプレ イ ヤ の行動 を 学習する こ と でゲーム 展開に有意な 影響を 与え る 行 動を 抽出でき る こ と を 示し たよ う に, 会話によ る 要素 がゲーム展開を 支配し ている 分けではない. だが, エー ジェント 同士の対戦だけでなく , 人間も 交えてゲームを 行う こ と を 検討し た場合には, すべて のプレ イ ヤ が合 理的に行動する と は限ら ず, それと 同時にすべて の参 加者が合理的に行動する と は信じ ら れな いために, コ ミ ュ ニケ ーショ ン が個々 のプレ イ ヤ がも つ情報や考え の確から し さ に 影響を 与え る と 考え る . ま た, コ ミ ュ ニケ ーショ ン は, 人と ゲーム を 楽し む要素と し て 非常 に重要でも ある . 2.2.2 情報の不完全性と 非決定性 将棋や囲碁のよ う な 完全タ ーン 性のゲーム では, 互 いの状況を 完全に把握でき る 環境である のに対し て, 人 狼ではお互いの情報を ある 程度秘匿する こ と でゲーム が成立する . ま た, 決定すべき 行動に投票な ど ある た め, 個々 の行動のみで場の状況が決定する こ と はな く 非決定的でも ある . 2.2.3 信頼の構築・ 説得 情報の不確定性を ベースにし て いる が, そこ から 情 報を 確定さ せて いく ためには, 自己の持つ情報を 開示 する な ど し て 説得する 作業が求めら れる . ただし , プ レ イ ヤ には複数の陣営がある ため, 他の陣営から 味方 の陣営の情報のエン ト ロ ピ ーを 意識し て 活動する 必要 がある . そのためにも , 信頼を 獲得し 説得する 作業が 重要である . そのため, 他者の行動目的や保有情報など の推定が必要であり , さ ら に他者から みた自己意図が ど のよ う な も のである のかを 推定する こ と が必要であ る . こ れら に合わせて, 情報開示などを 行う こ と で, 他 者から 自身への信頼を 構築する かど う かは, こ のゲー ム の特徴の一つである . 2.2.4 第三者的視点から の情報非決定性 人間同士の行う ゲーム, 特にボード ゲームは, いく つ かの種類に分かれている . その中で「 コ ミ ュニケーショ ンゲーム」 と 総称さ れる 分野がある . コ ミ ュニケーショ ン ゲーム ではゲーム の勝敗がプレ イ ヤ ー同士の情報交 換に依存する . コ ミ ュ ニケ ーショ ン ゲーム の中で広く 知ら れた例と し て は, プレ イ ヤ ー同士の交渉が勝敗を決定する モノ ポリ ー1やカ タ ン 2がある . モノ ポリ ー やカ タ ン では, プレ イ ヤ ー同士のコ ミ ュ ニケ ーショ ン によ る 説得や協調によ り 利得が変化する . 人狼は, こ のよ う な ゲーム の中でも っ と も 極端な 形を 持つゲーム であり ,「 コ ミ ュ ニケ ーショ ン 」 以外の客観的情報, 勝 敗決定要因がほと んど 存在し な い. 人狼で客観的と 言 える 情報は, 各人の発言内容自体と , 日数, 処刑者, 襲 撃者な ど であり , 人狼に登場する 殆の役職達は, 自分 自身の役職を ゲーム に参加し て いな い第三者にも 「 客 観的に」 証明する 手段を 持たな い. 具体例を 挙げる と , あなたが「 村人( 無能力者)」 で あり , あな たの友人がそのゲーム を 外から 観察し て い る( =ゲーム上の発話のみを 観測し ている ) と する . こ の時, ゲーム プレ イ 中に, あな たが村人, ある いは人 間側である こ と を その友人に対し 証明する こ と は不可 能である ( こ れは, あな たがど の役職であっ て も 同様 である ) . も ち ろ ん, ゲーム中の「 人狼」 のプレ イ ヤ ー にと っ て あな たが少な く と も 「 非人狼=人間側」 であ る こ と は自明である し , も し 村の中の占い師があな た を 占っ たと する と , その占い師はあな たが人間側であ る こ と を 知る こ と ができ , ま た占い師はあな たが人間 である と いう 発話を 行う こ と ができ る . し かし ながら , 村の外にいる あなたの友人から 見た時, その「 人狼」 の プレ イ ヤ ーが本当に人狼である のか, ある いは「 占い 師」 と 宣言し た人間が本当に占い師である のかど う か はゲーム 終了ま でわから な い. 人狼と いう ゲーム にお いて , 情報はも ち ろ ん, 他者の目的も 共有でき る 状況 は限ら れて いる . こ のよ う な , 客観的視点から の情報 決定ができ な いのは人狼ゲーム の基本原則であり , プ レ イ ヤ はそれを 前提と し て 戦略・ 戦術を 決めて いく 必 要がある .
2.3
人狼知能の目指すと こ ろ
人狼知能プロ ジェ ク ト では, 人狼知能を 人工知能の 標準問題と する に当たっ て , ゲーム 環境では以下の段 階を 検討し て いる . 第 1 段階: ソ フ ト ウ ェ アエージェ ン ト によ り 構成さ れ た村での人狼プレ イ の実現 第 2 段階: ソ フ ト ウ ェ アエージェ ン ト と 人間が混合し た村での人狼プレ イ の実現 第 3 段階: ロ ボッ ト エージェ ン ト と 人間が混合し た村 での人狼プレ イ の実現 ま た, それぞれにおいて 会話の自由度の段階も 人狼 のゲーム 性に大き な 影響を あたえ る ために人狼知能で も , 以下の段階を 考慮する . 1http://ja.wikipedia.org/wiki/モノ ポリ ー 2 http://ja.wikipedia.org/wiki/カ タ ン の開拓者たち 第 A 段階: 会話に用いる 単語なら びに論理記述を 限定 し た対話環境 第 B 段階: 自然言語によ る 対話環境 第 C 段階: 音声と 限定さ れた身体表現によ る 対話環境 第 D 段階: 自由な音声と 身体表現によ る 対話環境 A段階は, 自然言語を 容易に処理でき る 環境が整う ま でに相当の時間が必要ではな いかと 考え ら れる ため に, 現実的にはさ ら に細かい条件を 設け て 緩和する 方 法を 模索する こ と になる . ま た, C,D 段階と は身体性 に関わる 表現であり 、 こ ち ら も 言語と 同様に制限さ れた 環境から 自由な表現へと 拡張する こ と を 想定し ている 。 人狼ゲーム を 構成する 主たる 要素は他にも 考え 得る が, ま ずは上記の段階を も と に人狼知能の研究環境を 構築する . ま ずは, 1A の段階と し て , ソ フ ト ウ ェ ア エージェ ン ト 同士が人狼ゲーム を 行う ための会話プロ ト コ ルである 人狼プロ ト コ ル [8] を 用いて対戦が可能と な る 人狼サーバ [7] のプロ ト タ イ プを 実装し た.2.4
人狼ゲームサーバ
人狼サーバは, ゲーム におけ る ゲーム マ スタ ーと 試 合ロ グの保存な ら びに通信の制御を 行う . 人狼サーバ を 用いてゲーム参加する エージェント なら びに人は, 人 狼プロ ト コ ルを 通し て エージェ ン ト 間の会話な ら びに ゲーム 進行や情報を やり と り する . 人狼サーバの詳細 に関し て は, [7] や人狼知能プロ ジェ ク ト 3のページを 参考さ れたい.3
人狼知能にも と めら れる 人工知能
技術
人狼知能を 実現する 過程において 様々 な 人工知能技 術が求めら 得る と 考え ら れる . 主な も のと し て 下記の 要素は最低限必要と な る . • 記憶・ プラ ン ニン グ・ 推論・ 学習 こ の要素は, 人狼ゲームに限ら ず既存ゲームでも 必要と さ れている 研究課題であり , 人狼でも 変わ ら ず必要である . • 他のプレ イ ヤ への同調・ 反駁・ 説得 こ れも 既存の組織的活動が求めら れる 標準問題で も 自己・ 他者モデルは必要な技術である . 人狼を 含めた不完全情報下で行われる 多人数ゲームでの 特有な要素と し て, 同調や他者同士の競合を つく 3 http://www.aiwolf.org/り だすためには, 他者にある 自己を 含めた他者の モデルを 推測でき る モデルを 必要と する . • コ ミ ュ ニケ ーシ ョ ン ・ イ ン タ ーフ ェ ス 通常我々 の行う 人狼ゲームは自然言語を 用いて行 う が, 現時点においてソ フ ト ウ ェアエージェン ト などを 交えてゲームを 行う には自然言語で行う こ と は難し い. そこ で, ま ずはゲームプロ ト コ ルを 設定する などする こ と で, ゲーム性を 損なわない 範囲で限定さ れた言語を 用いてゲームを 行う . さ ら に, 実際のゲームでは人の行動や表情がゲーム の展開に影響を 与えてし ま う こ と も ある . そのた め, それら も ま ずは限定さ れた範囲で表情などの 振る 舞いを 加えてゲームを 行う こ と を 見当する 必 要がある .
4
人狼知能における 人工知能研究課
題
人狼知能における 研究課題の特徴は, コ アと し て, 不 完全情報下におけ る 他者の心理の理解と 会話を 通し た 場の情報エン ト ロ ピ ーの操作があり , ゲーム の基盤を 構築する ための課題と し て , ゲーム プロ ト コ ルの開発 や人間と ロ ボッ ト の対話や自然言語処理などがある . 以 下, いく つか具体的な 研究課題を 示す.4.1
ゲーム 性を 損なわない会話プロ ト コ ル
の設定
人狼ゲームを 初めコ ミ ュニケーショ ンゲームでは, 会 話は間違いな く 重要な 要素である . し かし な がら , 自 然言語を 初めから 扱う には現段階において は困難であ る . そのため, ゲーム 性を 損な わいが, ゲーム を 行う には十分な 対話プロ ト コ ルの設計が本プロ ジェ ク ト の 初期段階では重要である . ま た, 将来的に自然言語に よ る ゲーム を 行う 状況ま でに, ど のよ う な 要素を 緩和 し て いく こ と でゲーム 性を 大き く 変質さ せな いでゲー ム を 行え る のかも , プロ ジェ ク ト の展開には重要な 課 題である .4.2
人狼コ ーパスから の戦略獲得
現時点では, 人狼 BBS から 得ら れたゲームデータ か ら , 各プレ イ ヤ の行動パタ ーン な ど から 目的・ 意図を 推定し 戦略を 抽出する 課題がある . 今後は, 実際の人 狼ゲーム のプレ イ 動画な ど から 人狼コ ーパスを 生成す る こ と ができ る よ う になる こ と で, BBS 人狼と 対面人 狼と のゲーム 性・ 戦略戦術の違いな ど も 分析出き る よ う にな る .4.3
人狼における 定石の発見
人狼ゲームには, セオリ ーと 呼ばれるヒューリ スティッ ク な 常套手段はある が, 定石と 呼べる よ う な ゲーム 戦 術は, 現時点では明ら かにな っ て いな いと 考え る . こ れは, 客観的な ゲーム 状況の把握が難し いためゲーム の展開を 完全に記述が困難であり , 状況を 具体的に評 価する ための指標がないためだと 考え る . し たがっ て , ゲーム 状況を 客観的に評価し て 定石を 記述でき る4.4
HAI: Human Agent Interaction
ま ずは, ソ フ ト ウ ェ アエージェ ン ト を , 将来的には ロ ボッ ト な ど 身体を も っ たエージェ ン ト によ っ て 人狼 知能を プレ イ する こ と を 想定し て いる . その際, エー ジェ ン ト を 作成する と いう こ と はも ち ろ ん、 人間のグ ループで行われる 人狼ゲーム と エージェ ン ト を 交え て 行う それと にど のよ う な違いがある のかなど , HAI に 関連する 研究課題は多々 ある . ま た, 会話が重要な 要 素である 人狼では, 自然言語に よ る コ ミ ュ ニケ ーショ ン を 成立する と 同時に意図推定な ど も 研究が必要な 課 題であり 、 人狼はそのテスト 環境と し て 適切である と 考え る .
4.5
ゲームにおける 同調・ 引き 込み: 楽し
さ を 作り 出す構造
人狼ゲーム は, 日本に限ら ず世界各地でおこ な われ ている ゲームである . そのゲームが盛り 上がる 構造, 参 加者がそれぞれ楽し める ための要件な ど を 明ら かにす る こ と で, ゲーム によ る 教育や訓練におけ る 引き 込み 要素を 検討でき る .4.6
人間力教育ツ ールと し ての有用性の検証
こ れら コ ミ ュ ニケーショ ン ゲームを 活用する こ と で, 学生の人間教育に有用である と いう 示唆を 得ている . ま た, 人狼ゲーム を 入社時の評価手段の一つと し て 導入 し て いる 企業も ある と 聞く . し たがっ て , 人狼ゲーム を 知育ゲーム と し て 活用する のに有用な 可能性も 高い と 考える . し かし ながら , 人狼のどのよ う な要素が, 人 の能力を 引き 出すのかや伸ばすのかは分かっ て いない. そのため, ゲーム がプレ イ ヤ に与え る 心理的な 影響を 検討する 必要も ある .5
汎用的な知性の評価の手法
近年, 三度人工知能が注目を 浴びており , それと 重な る よ う に汎用人工知能 (Generic Artificial Intteligence)が注目を 集め始めて いる [9]. 汎用人工知能と は, 人間 レ ベルの知能を 実現する こ と を 目標と し た人工知能研 究のこ と である . こ の汎用人工知能の具体的な 姿は人 工知能や人間の汎用知能と 同じ く 明確な 定義は存在し ないが, Adams ら によ り , 汎用人工知能の実現にむけ た課題や評価シナリ オが整理さ れている [Adams2011]. 汎用人工知能に関する 詳細な 説明は, 本稿では割愛す る が, Adams ら は, 汎用人工知能の評価のためのシナ リ オと し て 以下の 6 つのシナリ オを 提案し て いる .
1. General Video-game Learning
特定のビデオゲームを 対象にする のでなく , さ ま ざま ビデオゲームを プレ イ し ながら 学びク リ アー でき る よ う にする と いう 課題. 主に視覚処理と 入 力操作の課題を 内包し たシナリ オ 2. Preschool Learning 基本的な運動能力や絵を 理解する 能力を 育てる シ ナリ オ 3. Reading Comprehension 読解力を みにつけ る ためのシナリ オ 4. Story/Scene Comprehension 文章を 理解し たう えで, 場面における 登場人物の 関係性や物語の流れを 読み解く 力を 学ぶシナリ オ 5. School Learning Preschoolと 関連ある シナリ オではある が, 論理 的な思考や社会的な関係性などを ま なぶこ と を 想 定し たシナリ オ
6. The Wozniak Test
見知ら ぬ家を 訪問し その家の主にコ ーヒ ーを 給仕 するこ と を 目標と し たシナリ オ. ある意味 RoboCup Homeの課題と 近い目標である が, 社会関係や他 者の理解ま で要求し て いる シナリ オ Adamsら は, こ れら のシナリ オを ベースと し て, 必要と する 環境と そこ で行う べき タ スク を 設定す る こ と を 求めている . ま た, 彼ら は, AGI の実現 に必要と さ れる 能力の領域も 提案し ている . 具体 的には, 知覚・ 記憶. 注意・ 社会イ ン タ ラ ク ショ ン・ プラ ン ニン グ・ モチベーショ ン・ 推論・ 運動 作業・ コ ミ ュ ニケ ーショ ン ・ 学習・ 情動・ 自己/ 他者モデル・ 構築/創造・ 定量化など 15 の能力エ リ アを 設け て いる . 人狼ゲームを ソ フ ト ウ ェアエージェン ト によ り 対 戦する ゲームと し たう えで, 人工知能と いう 観点 から 見たと き に, それを 実現する には, エージェ ン ト やイ ン タ ラ ク ショ ン・ 認知科学・ 心理学, ロ ボッ ト 工学など多様な領域にま たがる . Adams ら の挙げた能力エリ アでいう と , ソ フ ト ウ ェアエー ジェ ン ト と し て実装する だけでも , 記憶・ 社会的 イ ン タ ラ ク ショ ン・ プラ ン ニン グ・ 推論, コ ミ ュ ニケーショ ン・ 学習・ 自己/他者モデル・ 定量化な ど多岐にわたる 能力が必要と なる . つま り , 人狼 ゲームは, 汎用人工知能を 評価する ための標準問 題と し て も ある 程度カ バーでき る 可能性がある .
6
人狼知能大会の開催
本プロ ジェ ク ト では, 2015 年夏にゲーム開発者の会 議である CEDEC2015 において , 第一回人狼知能大会 を 行っ た. 本大会の目的は,「 強い」 人狼知能エージェ ン ト を 決める こ と と である と 同時に, 人狼知能研究の 環境のためのベースの構築にある . そのため, すべて のエージェ ン ト は人狼知能サーバにて 対戦可能な Java プロ グラ ム と し て 開発し て も ら い, 対戦の勝率に順序 を 決定する 方式で行っ た. 本大会に 参加し た チーム は, 登録時点で約 70 チー ム, プロ グラ ム提出時点で 40 チーム近く なり , 想定を 超え る 参加者ら の協力の下大会を 実施し た. 順位の決 定は, 1 つのゲーム (村) に参加する チームは 15 チーム であり 役職はラ ン ダム に決定し た, その組み合わせで 100ゲーム を 1 セッ ト と し て 行っ た. 1 セッ ト に 参加 する チーム の組み合わせはラ ン ダム で, すべて のチー ム が1 セッ ト に一定数参加する よ う にゲーム を 実施し ている . その方式で予選を 実施後, 上位 15 チームを 選 抜し , 決勝戦を 行っ た. ゲーム へのチーム の選択の過 程以外は同じ 方式で対戦さ せている . なお, 1 セッ ト が 100ゲームから 構成さ れて いる のは, サーバの仕様上, 各チームのプロ グラ ムは Java プロ グラ ムの内部A P I と し て 呼び出さ れる ため, ゲーム を ま たぐ 学習な ど を 行う エージェ ン ト を 配慮し て のこ と である . 大会の結果に関する 詳細は省く が, 決勝進出チーム のプロ グラ ムは, 人狼知能プロ ジェ ク ト の Web ページ にて 公開し て いる ので, 次回大会や人狼知能を 利用し た研究の検討に活用し て いただき たい.謝辞
本論文は, 人工知能学会の実践A I チャ レ ン ジ, 科 学技術融合振興財団 (FOST), 中山隼雄科学技術文化 財団, そし て JSPS 科研費 (15K12180) の助成を 受けて 行っ た研究である .参考文献
[1] Murray Campbell, “Knowledge discovery in deep blue”, Communications of the ACM, vol.42-11, pp.65–67, 1999.
[2] Hiroaki Kitano, Minoru Asada, Yasuo Ku-niyoshi, Itsuki Noda, Eiichi Osawa, “RoboCup: The Robot World Cup Initiative”, AGENTS’97, pp.340-347, 1997
[3] Hiroaki Kitano, Minoru Asada, Yasuo Kuniyoshi, Itsuki Noda, Eiichi Osawa, Hitoshi Matsubara, “RoboCup: A challenge problem for AI”, AI Ma-gagin, Vol.18, No.1, pp.74-85, 1997
[4] Wikipedia: Werewolf(game) http://en. wikipedia.org/wiki/Werewolf_(game) [5] 稲葉通将, 鳥海不二夫, 高橋健一 (2012) “人狼ゲー ム データ の統計的分析”, ゲーム プ ロ グラ ミ ン グ ワ ーク ショ ッ プ 2012 論文集, vol. 2012, no. 6, pp.144147 [6] 稲葉通将, 大畠菜央実, 鳥海不二夫, 高橋健一 (2013) “雑談ばかり し てる と 殺さ れる -人狼 BBS における プレ イ ヤ ーの発言傾向と 意思決定・ 勝敗の分析-”, JAWS2013, 2013 [7] 鳥海不二夫, 梶原健吾, 稲葉通将, 大澤博隆, 片 上大輔, 篠田孝祐, 西野順二, “人工知能は人狼の 夢を 見る か? − 人狼知能プロ ジェク ト − ”, 日本デ ジタ ルゲーム 学会, 2014 [8] 大澤博隆, 鳥海不二夫, 片上大輔, 篠田孝祐, 稲 葉通将 “人狼ゲームのプロ ト コ ル設計:推理と 説得 のプロ コ ト ル”, FAN2014, 2014 (発表予定) [9] am S. Adams et al.: “Mapping the Landscape
of Human-Level Artificial General Intelligence”, AAAI, 2011.