肺癌治療 における放射線治療 の役割
山梨大学医学部放射線科
栗 山健 吾 要 旨:肺 癌 の 治療 にお いて放 射 線 治 療 は 手 術 療 法 、化 学 療 法 とともに集 学 的 に用 いられ る。それ ぞ れ の 臨床 病 期や 組 織 によって放 射 線 治 療 の 用 い られ 方 は異 な り、肺 癌 診 療 ガイ ドライン に記 され ている。限 局 期 非 小 細 胞 肺 癌 で は 手術 療 法 が 中心 とな るが 、手術 不 能 例 には根 治 的 化 学 放射 線 療 法 が行 わ れ る。近 年 、1期病 変 には 体 幹 部 定位 放 射 線 治療 が 行 わ れ 、良 好 な成績 が報 告 され ている。III期の非 小 細 胞 肺 癌 で は全 身 状 態 が 良好 な症 例 に は 、同 時 併 用 の根 治 的 化 学 放 射 線 療 法 が 行 わ れ る。高 齢 者 な どで 全 身 状 態 が不 良 な場 合 は 、化 学 療 法 の併 用 の 有 無 や タイミングにつ い ての 工 夫 が必 要 となる。照 射 範 囲 は臨 床 的 にみ とめ られ る病 変 の範 囲 とし、予 防 領 域 は含 め ない ことが 多 い。小 細 胞 肺 癌 で は 、LD 症 例 に対 して根 治的 化 学 放 射 線 療 法 が行 われ る。小 細 胞 癌 は増 殖 が速 く、加 速 過 分 割 照 射 法 で45Gy/30分 割/3週 が推 奨 され ているが 、照 射 野 の範 囲 や 化 学 療 法 併 用 による有 害 事 象 から70Gy/35分 割 程 度 の通 常 分 割 照 射 も行 われ る。LD例 でCRを 得 られ た場 合 、 予 防 的 全 脳 照 射 の適 応 となる。胸 部 領 域 の放 射 線 治 療 は 、① 呼 吸 性 移 動 が ある、② 放 射 線 に 対 して異 な る感 受 性 ・耐 容 性 を持 つ 臓 器 が集 まって いる、③ 照 射 野 内 の臓 器 の 組 織 密 度 の 差が 大 きいという特 徴 を考 慮 して行 われ る。CT画 像 を用 いて3次 元 治 療 計 画 を行 い 、組 織 の 電 子 密 度 を考慮 す る不 均 質 補 正 を加 味 した線 量 計 算 アル ゴリズムで 、適 切 なエ ネル ギー を用 いたビー ムの計 画 を計算 することが 必 要 である。 キ ー ワー ド:非 小 細 胞 肺 癌 、小 細 胞 肺 癌 、放 射 線 治 療 、肺 癌 診 療 ガ イ ドライン は じめ に 肺 癌 の 治 療 は 、そ の 臨床 病 期 や 組 織 型 により、手 術 療 法 、化 学 療 法 、放 射 線 治療 の いず れ か 、または 、全 てを組 み 合 わせ た 集 学 的 治 療 が 行 わ れ る。そ の 最 適 な 治 療 方 法 は 日々 、新 たな臨 床 試 験 により改修 さ れ 、日本 肺 癌 学 会 か ら発 刊 され る肺 癌 診 療 ガイドラインにも更 新 され て 記 載 され て い る。近 年 、テ ーラー メイド治 療 と言 われ 患 者 個 々 に合 わ せ た 治 療 方 針 を選 択 す るこ とが 良 いこととされ て い るが 、肺 癌 の診 療 に関 わ る医療 者 は 個 々 の状 態 を考 慮 しっ つ 大 筋 は この ガイドラインに則 った 治 療 方 針 を選 択 してい くことが、少 しでも患者 の予 後 とQOLに 貢 献 できることが 多 い。 ここで は 、放 射 線 治 療 が肺 癌 治 療 にお い てどの 段 階 で どの ように 関 わ ってい るか を肺 癌 診 療 ガイドラインに載 ってい る内 容 を 中心 に簡 潔 に 述 べ る。また、他 領 域 とは 異な る胸 部 領 域 の 放 射 線 治 療 にお ける技 術 面 につ いても触 れ る。 限 局 期 非 小 細 胞 肺 癌 限 局 期(1期 、II期)の 非 小 細 胞 肺 癌 の 治療 は手 術 療 法 が 中心 となる(図1)。 この 病 期 で の放 射 線 治 療 は 、主 に 医 学 的 に標 準 手 術 がで きない症 例 に 対 して行 われ る。 限 局 期 に 対 す る根 治 的 放 射 線 治 療 に 関す るま とまっ た ランダ ム 化 比 較 試 験 は な く、 シ ステ マ テ ィックレ ビュ ー で の 報 告 で は 根 治 的 放 射 線 治 療 を行 うべ きとされ て い る1)。 1期 の 病 変 に 対 して は 、近 年 、体 幹 部 定 位 放 射 線 治 療(以 下 、SBRT)が 積 極 的 に 行 わ れ て い る。SBRTの 特 徴 は 、① 画 像 誘 導 技 術 に よる小 さいset-upmargin、 ② 呼 吸 性 移 動 の 制 御 に よ る 小 さ いinternal margin、 ③3次 元 的 に 多 方 向 か らの 照 射 に よる病 巣 へ の 高 い 線 量 集 中 性 、④1回 高 線 量 ・短 い 治 療 期 間 で あ る2)。 これ らの 技 術 に よ り、従 来 の 通 常 分 割 で の 放 射 線 治 療(1回 線 量 が1.8-2Gy)よ り、重 篤 な 有 害 事 象 を 起 こ さず に 、腫 瘍 に 対 す る生 物 学 的 効 果 が 強 い 治 療 が 可 能 とな っ た 。 Gruttersら の メタ ア ナ リシ スで は 、SBRTと 通 常 分 割 照 射 の5年 全 生 存 率 は そ れ ぞ れ 42.1%、19.5%で 、SBRTの 方 が 局 所 制 御 が 良 く、生 存 率 の 向 上 に も つ な が る として い る3>。国 内14施 設 の 集 積 解 析 で は 、定 位 照 射 の 照 射 方 法 や 照 射 線 量 に ば らつ きが あ っ た もの の 、3年 局 所 制 御 率 は86.8%、3 年 、5年 全 生 存 率 は そ れ ぞ れ56.8%、47.2% で あ っ た4)。 登 録 症 例 の うち 、生 物 学 的 効 果 線 量(BED;biologicaleffectivedose)が 100Gy以 上 で 、か つ 医 学 的 に 手 術 可 能 で あ った 症 例 で の 解 析 で は 、5年 全 生 存 率 はIA期 が72.3%、IB期 が65.9%で あっ た 。 国 内 初 とな る 多 施 設 前 向 き第II相 臨 床 試 験JCOGO403で は 、164例 のIA期 症 例 が 登 録 され 、線 量48Gy/4分 割 でSBRTが 行 わ れ た。2010年 、2012年 の 米 国 放 射 線 腫 瘍 学 会 で 結 果 が 報 告 され た が 、そ の 解 析 結 果 の 誌 面 上 で の 報 告 が 待 た れ る ところ で ある。 進 行 期 非 小 細 胞 肺 癌 進 行 期(III期 、IV期)の 非 小 細 胞 肺 癌 の 図1.限 局 期 非 小 細 胞 肺 癌 の治 療 方 針 SBRT = stereotactic body radiotherapy; CTx = chemotherapy; CRT = chemoradiotherapy; RT = radiotherapy; PORT = post operative radiotherapy
図2.進 行 期 非 小 細 胞 肺 癌 の 治療 方 針 CRT = chemoradiotherapy; CTx = chemotherapy; RT = radiotherapy 治 療 は 化 学 療 法 が 中 心 とな る(図2)。 特 に III期 に 対 して は 、根 治 的 な 手 術 が 困 難 な 症 例 が 多 く、化 学 放 射 線 療 法(以 下 、 CRT)を 行 うことが 多 い 。 肺 尖 部 胸 壁 浸 潤 癌(い わ ゆ るsuperior sulcustumor;SST)で は 、根 治 的 切 除 を 基 本 とした 治 療 が 行 わ れ るが 、術 前 にCRT を 併 用 す る ことが 勧 め られ て い る。SSTに 対 す る術 前CRTの 前 向 き第II相 臨 床 試 験 JCOG9806で は 、76例 のT3-4N1-3MO症 例 が 登 録 され 、術 前 照 射45Gy/25分 割 を 行 っ て い る5)。完 全 切 除 割 合 は68%で 、5年 全 生 存 率 、無 増 悪 生 存 率 は そ れ ぞ れ56%、 45%で あ っ た 。照 射 範 囲 は 、肺 門 リンパ 節 は 含 め ず 、原 発 巣 お よび 同 側 鎖 骨 上 窩 の み とした 。
手 術 が 困 難 なIII期 症 例 に 対 す る治 療 方 針 として 、放 射 線 治 療 単 独 治 療 とCRTの ラ ン ダ ム 化 比 較 試 験RTOG88-08が あ る6)。 60Gy/30分 割 の 放 射 線 治 療 群 と照 射 前 の シ スプ ラチ ン(以 下CDDP)+ビ ンブ ラス チ ン (以 下VLB)併 用 群 の 比 較 で 生 存 期 間 中 央 値 が そ れ ぞ れ11.4ヶ 月 、13.2ヶ 月 で あ っ た 。臨 床 比 較 試 験 をま とめ た メタア ナ リシ ス の 結 果 で も 、CDDPを 含 む 化 学 療 法 併 用 群 で 生 存 率 の 向 上 を 示 して お り η、全 身 状 態 が 良 好 な 症 例 で は 、化 学 療 法 と放 射 線 治 療 の 併 用 が 勧 め られ る。 一 方 、高 齢 者 のCRTの 是 非 に つ い て は 、 ま とまっ た 見 解 が な い 。先 のRTOG88-08 の サ ブ セ ット解 析 で は 、70歳 以 上 の 高 齢 者 に お い て 、照 射 単 独 群 とCRT群 で 生 存 期 間 中 央 値 が そ れ ぞ れ13.1ヶ 月 、10.9ヶ 月 で あ り、CRTの 有 用 性 は 認 め られ な か っ た と報 告 して い る6)。しか し、71歳 以 上 を 対 象 とした ラン ダ ム 化 比 較 試 験JCOGO301で は 、60Gy/30分 割 の 照 射 単 独 群 とカ ル ボ プ ラチ ン(以 下CBDCA)同 時 併 用CRT群 で 生 存 期 間 中 央 値 が そ れ ぞ れ16.9ヶ 月 、 22.4ヶAで あ り、有 意 に 生 存 期 間 の 延 長 が 示 され た8)。高 齢 者 は 合 併 症 の 有 無 、内 臓 機 能 の 低 下 、全 身 的 な 体 力 に 個 々 の 差 が 大 き く、治 療 に よる有 害 事 象 が 重 度 とな る こともあ る。最 近 で は 、個 々 の 状 態 に 合 わ せ て 適 応 判 断 しCRTを 行 うことが 多 い 。 化 学 療 法 と放 射 線 治 療 の 併 用 時 期 に 関 して は 、時 代 に より変 わ って きた 。1990年 代 は 、急 性 期 の 有 害 事 象 を 考 慮 し、第2世 代 の 抗 癌 剤 を 逐 次 的 に 併 用 す るこ とが 多 か った 。そ の 後 、い くつ か の 臨 床 試 験 に お い て 、同 時 併 用 の 方 が 効 果 が 高 い と報 告 され た 。同 時 併 用 と逐 次 併 用 の 比 較 の 臨 床 試 験 を ま とめ た メタア ナ リシ ス が あ る9)。 同 時 併 用 群 で はCDDP/CBDCAを 、逐 次 併 用 群 で はCDDPとVLB,ビ ン デ シ ン, マ イ トマ イ シンC,エ トポ シ ド,ビ ノレル ビン, ゲ ム シ タビンな どの 第1世 代 、第2世 代 の 抗 癌 剤 の 併 用 療 法 で あ っ た 。5年 全 生 存 率 は 、同 時 併 用 群 、逐 次 併 用 群 で そ れ ぞ れ15.1%、10.6%で あ り、同 時 併 用 の 有 用 性 が 示 され た 。これ らの 結 果 を うけ 、根 治 的 CRTで は 同 時 併 用 が 標 準 治 療 とされ た 。 同 時 併 用 され る抗 癌 剤 は 、2000年 代 以 降 、第3世 代 の 抗 癌 剤 の 登 場 に より、プ ラ チ ナ 製 剤 とパ クリタキ セ ル(以 下PTX)や ド セ タキ セ ル の 併 用 療 法 とMVP療 法 の 比 較 検 討 が な され た10)。 治 療 効 果 と有 害 事 象 の 点 か ら、CBDCA+PTXが 標 準 治 療 として 有 用 で あ るとされ 、現 在 の 診 療 で も この 化 学 療 法 レ ジ メンが 選 択 され ることが 多 い 。 CRTに お け る照 射 野 の 範 囲 は 、従 来 は 原 発 巣 と予 防 的 リン パ 節 領 域 を含 む 照 射 野 で 行 わ れ て きた 。しか し 、こ の 照 射 野 で は 肺 や 食 道 へ の 有 害 事 象 の 点 か ら照 射 線 量 を60Gy以 上 に 増 や す の は 困 難 で あ っ た 。Yuanら は 、近 年 の3次 元 治 療 計 画 の 普 及 に よ り、予 防 領 域 を 省 い た 照 射 野 (involvedfield;IF)で68-74Gy照 射 した 群 と 、従 来 の 予 防 領 域 を 含 ん だ 照 射 野 (electivenodalirradiation;ENI)で 60-64Gy照 射 した 群 で ラ ンダ ム 化 比 較 試 験 を行 った11)。 放 射 線 肺 臓 炎 の 発 症 割 合 はENI群 で 有 意 に 高 く、5年 全 生 存 率 は 【F 群 、ENI群 で そ れ ぞ れ25.2%、18.3%とIF群 で 有 意 に 予 後 良 好 で あっ た 。また 、IF群 に お け る照 射 野 外 の 所 属 リンパ 節 再 発 は7% の み で あ っ た 。これ に 基 づ き 、近 年 で は 病 変 部 の み に 対 して66-70Gy照 射 され ること が 多 い が 、初 診 時 の 病 期 診 断 に 行 わ れ る 検 査 種 は 施 設 に よ りば らっ き が あ り、病 変 範 囲 の 設 定 が 困 難 な ことも あ る。最 適 な 局 所 評 価 の た め に は 、造 影CTお よ び
FDG-PET/CTが 必 要 と思 わ れ る。 今 まで 術 後 縦 隔 リン パ 節 陽 性 のp-IIIa期 に 対 す る 術 後 照 射(postoperative radiotherapy;PORT)は 予 後 の 向 上 に 寄 与 せ ず 、そ の 有 用 性 は 不 明 確 とされ て きた 。 BillietらのPORTに 関 す る8つ のtrialを ま とめ た メタア ナ リシ ス で は 、放 射 線 治 療 機 の 種 類 によ りPORTの 有 用 性 の 結 果 が 異 な ることを指 摘 して い る12)。従 来 のtrialで は 、放 射 線 治 療 に 遠 隔 コ バ ル ト照 射 装 置 (γ 線 発 生 装 置)と リニ ア ック(直 線 加 速 器 に よるX線 発 生 装 置)を 混 在 して使 用 して い るも の が 多 か っ た 。リニ ア ックを 使 用 して い るtrialだ け に 限 局 して 解 析 す ると、局 所 制 御 、生 存 率 ともに 向 上 す る と報 告 して い る。近 年 の3次 元 治 療 計 画 に 伴 い 、PORT の 有 用 性 に つ い て 新 しい 臨 床 試 験 で の 検 討 が 望 まれ る。 小 細 胞 肺 癌 小 細 胞 癌 の 治 療 は 化 学 療 法 が 中 心 とな る(図3)。 手 術 不 能 な1期 やLD症 例 で は CRTが 行 わ れ る。小 細 胞 癌 は 増 殖 速 度 が 速 い 腫 瘍 で あ り、長 い 照 射 期 間 は 加 速 再 増 殖 を 促 す 可 能 性 が あ る。照 射 期 間 を 短 縮 す る 目 的 で は 、 加 速 過 分 割 照 射 (acceleratedhyperfractionation;AHF)が 有 用 とされ て い るt3)】4)。Turrisiらは 、1日1 回 照 射 で45Gy/25分 割/5週 の 通 常 照 射 群 と1日2回 照 射 で45Gy/30分 割/3週 の A卜IF群 でCRTを ランダ ム化 比 較 し、5年 生 存 率 が そ れ ぞ れ16%、26%と 報 告 した。一 方 、 Bonnerら は 、同 様 の ランダ ム 化 比 較 試 験 を 、照 射 期 間 が 同 じとな る ように 、通 常 照 射 群50.4Gy/28分 割/5.5週 と、AHF群 48Gy/32分 割/5.5週 で 行 い 、局 所 制 御 、 生 存 期 間 とも に 差 が な か っ た と報 告 した 。 これ らか ら、照 射 期 間 を 短 縮 す るAHFが 図3.小 細胞 肺 癌 の治 療 方 針 CTx = chemotherapy; chemoradiotherapy; PCI = cranial irradiation CRT = prophylactic 推 奨 され て い る。しか し 、実 際 は 、照 射 野 が 大 きくな る場 合 や 化 学 療 法 の 併 用 に より 急 性 期 の 有 害 事 象 の 増 強 が 懸 念 され るた め 、70Gy/35分 割 程 度 の 通 常 照 射 も治 療 の 選 択 肢 とな って い る。 LD症 例 で 初 期 治 療 でCRが 得 られ た 場 合 は 、 予 防 的 全 脳 照 射(prophylactic cranialirradiation;PCI)を で きるだ け 早 期 に 行 う。7つ のPCIに 関 す る 臨 床 試 験 の メ タア ナ リシ ス で は 、CR例 の3年 生 存 率 は PCI施 行 群 とPCI未 施 行 群 で そ れ ぞ れ 20.7%、15.3%で あ り、PCIに よ り予 後 の 向 上 が ある として い る15)。この 解 析 の 登 録 例 の う ちED例 は 約15%で あ り、LD例 に お け る結 果 とも解 釈 で きる。一 方 、ED症 例 に 対 す る PCIの 有 用 性 に 関 す る第III相 臨 床 試 験 が 本 邦 で 行 わ れ 、2014年 に 米 国 臨 床 腫 瘍 学 会 で 報 告 され た16)。PCIに より脳 転 移 の 出 現 頻 度 は 有 意 に 減 少 した が 、PCI群 と非 PCI群 の 生 存 期 間 中 央 値 が そ れ ぞ れ10.1 ヶ 月 、15.1ヶ 月 で あ った 。この 結 果 に よ り、 ED例 のPCIは 推 奨 され な い こととな った 。 胸 部領 域 の放 射 線 治 療 技 術 肺 癌 診 療 ガイドラインの 中で 「放 射 線 治 療 装 置 ・治 療 計 画 法 」の 内 容 は 放 射 線 治 療 を専 門 にす る診 療 科 以 外 の 医療 者 には
理 解 しに くい 部 分 か もしれ な い 。胸 部 領 域 の 放 射 線 治 療 は 他 領 域 の 治 療 と比 較 し、 治 療 計 画 す る 上 で 技 術 的 に 複 雑 で あ る。 そ の 特 徴 は 、① 呼 吸 性 移 動 が あ る 、② 放 射 線 に 対 して 異 な る 感 受 性 ・耐 容 性 を 持 つ 臓 器 が 集 ま っ て い る 、③ 照 射 野 内 の 臓 器 の 組 織 密 度 の 差 が 大 きい 、の3点 で 示 され る。これ らの 特 徴 は 、近 年 の 高 精 度 な 放 射 線 治 療 をす る た め に は 、考 慮 す ること が 必 要 不 可 欠 で ある。 肺 は 放 射 線 に 暴 露 され ると間 質 性 変 化 を起 こし、組 織 的 に 線 維 化 を起 こす 。放 射 線 に 対 す る肺 の 耐 容 線 量 は 、全 肺 の1/3 の 照 射 で は45Gy、2/3の 照 射 で は30Gyと され て い る17>。 放 射 線 治 療 計 画 す る上 で 満 た す べ き とされ て い る線 量 制 約 で は 、 DVH(dosevolumehistogram)の 手 法 を 用 い 、V20(20Gy以 上 照 射 され る肺 体 積 の 割 合)≦35%、V5≦65%、MLD(肺 全 体 に 照 射 さ れ る平 均 線 量)≦20Gyと して い る18)。また 、 放 射 線 治 療 に よる 間 質 性 肺 炎 の 急 性 増 悪 は16%に み られ 、化 学 放 射 線 療 法 で は43% に み られ る と報 告 され て い る19)。これ らの よ うに 、放 射 線 治 療 を 安 全 に 行 うた め に は 、 病 変 へ の 十 分 な 線 量 を 保 ち つ つ 、肺 に 対 す る照 射 を 可 能 な 限 り小 さくす る ことが 求 め られ る。 胸 部 お よび 上 腹 部 の 臓 器 お よび 病 変 に は 、そ の 部 位 に よ り自 由 呼 吸 下 で20mm以 上 の 呼 吸 性 移 動 が あ り20)、病 変 へ の 線 量 を 確 保 す るた め に は 自 ず と照 射 野 が 大 きく な るが 、上 記 の 理 由 で 照 射 野 を 小 さくす る に は 、呼 吸 性 移 動 に 対 す る適 切 な 対 策 が 必 要 とな る。呼 吸 性 移 動 の 対 策 法 に は 、① 浅 呼 吸 、② 息 止 め 、③ 呼 吸 同 期 、④ 標 的 追 尾 が あ り(表1)、 様 々 な 呼 吸 イン ジ ケ ー タ装 置 が 用 い られ て い る。山 梨 大 学 で は 当 科 で 開 発 した 胸 腹2点 式 呼 吸 モ ニ ター 装 置(Abches⑭)を 用 い て 胸 壁 お よ び 腹 壁 の 動 き を 合 わ せ て 表 示 しな が ら呼 吸 停 止 下 で 照 射 す る 方 法 を採 用 して い る。 肺 癌 の 放 射 線 治 療 で は 、病 変 な どの 標 的 の 近 傍 に 正 常 肺 と同 様 に 照 射 リス ク臓 器(organsatrisk;OAR)が あ り、照 射 治 療 計 画 に は 注 意 が 必 要 で あ る 。OARと して は 、脊 髄 、食 道 、気 管 ・主 気 管 支 、心 臓 、 肺 動 静 脈 、大 動 脈 、上 大 静 脈 な どが あ り、 そ れ ぞ れ に 耐 容 線 量 や 線 量 制 約 が 設 け ら れ て い る17)18)。これ らの 条 件 を 満 た し治 療 す るた め に は 、CT画 像 を 元 に3次 元 的 に 線 量 分 布 を把 握 して 照 射 ビ ー ム を 設 定 す る必 要 が あ る。 胸 部 領 域 の 放 射 線 治 療 に 用 い る放 射 線 は 、直 線 加 速 器 に よる6-10MVのX線 が 推 奨 され て い る。胸 部 領 域 の ように 病 変 が 体 内 の 深 い 部 分 に あ る 場 合 、低 エ ネ ル ギ ー の 放 射 線 で は 減 弱 に よ り十 分 な 線 量 を 標 的 に 投 与 す ることが 困 難 に な る。過 去 に 表1.呼 吸 性 移 動 の 対 策 法
手法
移 動 幅 の変 化 計 画CT撮 像 法 照 射 野 マーヅ ン 照 射 浅 呼 吸 息 止 め 呼 吸 同 期 標 的 追 尾絶対的
絶 対 的 相 対 的 相 対 的 slOWscan fastscan 4D/fastscan 4D/fastscan 大 小 中 中持続的
間 欠 的 間 欠 的 間 欠 的図4.線 量 計 算 パ ラメー タの 違 い に よる線 量 分 布 図 の 比 較 A。 左 肺 門 近 傍 の 腫 瘍 に 対 す る照 射 の 線 量 分 布 。6,10MVX線 を使 用 し、スー パ ー ポ ジ シ ョン 法 で 計 算 。B.同 じ照 射 野 を4MVX線 の み を使 用 して 計 算 。肺 野 に 高 線 量 域 が 広 が って お り(白 矢 印)、 縦 隔 へ の 線 量 は 下 が っ て い る(黒 矢 印)。C.Aと 同 じ計 画 を 不 均 質 補 正 な しで 計 算 。腫 瘍 線 量 より高 い 線 量 域 が 体 表 か ら浅 い 肺 野 に 分 布(矢 印)。D.A と同 じ計 画 を 散 乱 線 を 加 味 しな い ア ル ゴ リズ ム で 計 算 。肺 野 に 高 線 量 域 が 広 が って い る (矢 印)。 使 用 され て い た 遠 隔 コバ ル ト照 射 装 置 は 、 γ線 エ ネ ル ギ ー が1.17-1.33MVと 低 く、胸 部 領 域 、特 に 肺 門 や 縦 隔 へ の 照 射 は 不 向 きで あ り、前 述 のPORTの 解 析 結 果 を 招 く こととな った 。X線 で も低 エ ネ ル ギ ー の もの は 深 部 へ の 進 達 が 弱 く、照 射 範 囲 内 の 線 量 の 不 均 一 性 が 高 度 とな るた め 、適 切 な エ ネ ル ギ ー 選 択 が 重 要 で あ る(図4)。 胸 部 領 域 の 放 射 線 治 療 計 画 を複 雑 に し て い る要 因 の1つ に 照 射 野 内 の 臓 器 の 組 織 密 度 の 差 が 大 きい ことがあ る。放 射 線 治 療 で使 用 され るレベ ル の 高 エ ネル ギー 放 射 線 は 、組 織 に あた ると主 にコンプ トン効 果 を起 こし、電 離 作 用 と同時 に散 乱 線 を発 す る。この 散 乱 線 の 発 生 量 は それ ぞ れ の 組 織 の組 織 密 度(電 子 密 度)に 依 存 し、電 子 密 度 が 高 い ほど散 乱 線 を多 く生 じる。照 射 され る領 域 に は 、電 子 密 度 の 低 い肺 組 織 、水 と同 程 度 の 密 度 の 縦 隔 な どの 軟 部 組 織 、電 子 密 度 の 比 較 的 高 い 脊 椎 などが
複 雑 に 混 在 す る。正 確 な 線 量 分 布 の 計 算 に は 、照 射 され るそ れ ぞ れ 組 織 毎 の 異 な る 電 子 密 度 に 合 わ せ た 散 乱 線 の 影 響 を加 味 (不 均 質 補 正)し た 計 算 手 法(ア ル ゴ リズ ム)が 不 可 欠 で あ る(図4)。 組 織 毎 の 電 子 密 度 情 報 の 取 得 に は 、治 療 計 画 用CTの 構 成 ピクセ ル 毎 のCT値 か ら電 子 密 度 に 変 換 され る。計 算 ア ル ゴ リズ ム は 様 々 な も の が 開 発 され 、主 な もの で 、散 乱 線 の 考 慮 の 程 度 の 違 い で 簡 易 な もの か ら、クラ ー ク ソン 法 、コンボ ル ー シ ョン 法 、スー パ ー ポ ジ ション 法 、モ ンテ カ ル ロ法 な ど が あ る。現 状 で は 、モ ン テ カル ロ法 が 最 も実 際 に 近 い 計 算 結 果 を 示 す と言 わ れ て い る が 、線 量 の 計 算 だ け で 数 時 間 を 要 し 、実 臨 床 で は 多 用 す る の は 難 しい 。山 梨 大 学 で は 、最 近 の 高 精 度 治 療 に お い て 推 奨 され て い る主 な 散 乱 線 を 考 慮 す るスー パ ー ポ ジ シ ョン 法 を 用 い て い る。 お わ りに 肺 癌 の 治 療 で は 、手 術 療 法 、化 学 療 法 と並 ん で 放 射 線 治 療 が 多 くの 段 階 で 関 わ って お り、そ の適 応 基 準 が肺 癌 診 療 ガイド ラインに記 され ているが 、実 臨床 の 現 場 で は 、治 療 方 針 の 判 断 に 苦 慮 す る場 面 も多 い。直 面 す る様 々 な 病 態 に 対 して 放 射 線 治 療 が有 効 なことも多 々 あると思 われ るの で 、各 医 療 施 設 の 放 射 線 治 療 医 に相 談 し てい た だ き、放 射 線 治 療 を 上 手 に 活 用 し てもらいた い。 最 後 に 、第44回 山梨 肺 癌 研 究 会プ ログ ラムと内 容 が 異 なったことに関 し、この稿 に お いて陳 謝す る。 引用 文献 1) Tyldesley S, Boyd C, Estimating the need
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