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〈論文〉工業科教育法における実践と課題

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1.はじめに

平成29年度文部科学省学校基本調査によると、高等学校全体に在籍する生徒のうち、工業科 に在籍する生徒数は約25万人であり、7.6%を占めている。全日制高等学校数でみると、全体の 約1割の516校である1)。生徒減少による統廃合や総合学科等への改編により工業科の学校数、 在籍者数は減少したが、専門教育を行う高等学校として、製造業を基幹産業とする我が国にお いて重要な役割を果たしている。 平成28年度高等学校全体の就職状況における求人倍率(平成29年3月末)は、全国2.23倍、 大阪府3.46倍と好調である2)。工業高校卒業者の就職状況を見ると、例えば平成28年度大阪府 立I工科高校の求人倍率は4.4倍とさらに高倍率となっており、高い水準で求人倍率を維持ま たは向上させている3)。これは、景気の回復等の社会状況によるところが大きいが、ものづく りを中心とした産業からの積極的なニーズの表れと考えるべきである。こうした期待に応え る、確かな技術、技能を持った人材の育成が求められる。また、工業高校において専門教育を 受けた生徒が、さらに工業の専門分野の学びを深めるため、大学等の高等教育機関に進学する 人数も増加の傾向にあり、工業技術への高い関心をもって高度技術を学ぶことの意義は大き い。 一方で、環境問題、エネルギー問題をはじめ技術者倫理など、製造業に課せられた社会的責 任を問う事案が多く報道されており、工業高校卒業者には「将来のスペシャリストとして必要 とされる専門性の基礎・基本」4)の学びの上に、倫理観や自律心の醸成がなされなければなら ない。

工業科教育法における実践と課題

丸 岡 俊 之*

Practice and Issues in Method

of Vocational Industrial Education

(MARUOKA Toshiyuki)

*近畿大学教職教育部教授 〔キーワード〕 学習指導要領、工業教育、技術者倫理、アク

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今後、工業教育においては、専門分野の基礎的・基本的な知識、技術の習得とともに、環境 問題への対応をはじめとする製造業の持つ社会的責任に対し、主体的に対応する能力の育成が より一層求められる。 本稿においては工業教育を巡る現況を踏まえ、 ① 文部科学省教職課程コアカリキュラム(案)に照らした工業科教育法 ② 現行高等学校学習指導要領における工業科教育について ③ 大学での工業科教育法の指導実践 の3つの内容について記述した。

2.工業科教育法の特質

 文部科学省教職課程コアカリキュラム(案)を確認 最初に、文部科学省が示した教職課程コアカリキュラム(案)における「各教科の指導法 (情報機器及び教材の活用を含む)」に照らし、工業科教育法の指導上の留意点について考察す る。 ここで全体目標として、「当該教科における教育目標,育成を目指す資質・能力を理解し,学 習指導要領に示された当該教科の学習内容について背景となる学問領域と関連させて理解を深 めるとともに,様々な学習指導理論を踏まえて具体的な授業場面を想定した授業設計を行う方 法を身に付ける」5)と基本的考えが示された。 まず、「当該教科の目標及び内容」については、一般目標として「学習指導要領に示され た当該教科の目標や内容を理解する」6)こととし、さらに到達目標として以下の5点が示され ている。 1)学習指導要領における当該教科の目標及び主な内容並びに全体構造を理解している。 2)個別の学習内容について指導上の留意点を理解している。 3)当該教科の学習評価の考え方を理解している。 4)当該教科と背景となる学問領域との関係を理解し、教材研究に活用することができる。 5)発展的な学習内容について探究し、学習指導への位置付けを考察することができる。 (中学校教諭及び高等学校教諭) 以上を踏まえ、「工業科の目標及び内容」について考察する。最初に、高等学校学習指導要 領工業編の教科の目標に示された内容の背景や意図を理解し、科目の構成等全体を把握・理解

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する必要がある。特に、工業科の科目数は61科目と多岐に渡っているが、「原則履修科目」や 「工業の各分野に関する基礎科目」については、工業科全体に共通して理解すべき内容であるこ とに留意して指導し、その上で各専門科目を理解させていきたい。学習評価については、工業 に関する観点別の評価規準を理解し、評価が指導と一体となり改善されるよう進める。教科 「工業」については、環境やエネルギーといった領域と不可分の関係であることを理解させると ともに、数学や理科といった普通教科の基礎的知識が、工業の専門分野の学びの前提となって いることにも留意しておきたい。また、工業技術が現代社会で果たす役割の重要性を鑑み、企 業等との連携によるカリキュラム開発や全国の工業教育研究の先行事例を学ぶなど、発展的な 学習を行い、生徒がものづくりを通じて、自ら考え、課題を探究するといった学習形態を考案 していくことが望まれる。 次に、「当該教科の指導方法と授業設計」の項目では、一般目標として、「基礎的な学習指 導理論を理解し、具体的な授業場面を想定した授業設計を行う方法を身に付ける。」7)としてお り、到達目標として以下の5点が示された。 1)子供の認識・思考、学力等の実態を視野に入れた授業設計の重要性を理解している。 2)当該教科の特性に応じた情報機器及び教材の効果的な活用法を理解し、授業設計に活用 することができる。 3)学習指導案の構成を理解し、具体的な授業を想定した授業設計と学習指導案を作成する ことができる。 4) 模擬授業の実施とその振り返りを通して、授業改善の視点を身に付けている。 5) 当該教科における実践研究の動向を知り、授業設計の向上に取り組むことができる。 以上をもとにして、「工業科の指導方法と授業設計」について考察する。まず、授業者は授 業の前提として、高校生の既習経験の調査や知識・技能等のレディネステスト(準備テスト) を行うなど、知識や技能等の実態を的確に把握し、適切な授業計画を立てることである。次に、 情報機器の活用であるが、授業者が教科の特色から見て、進展する工業技術について、高校生 にリアルタイムで最新技術を紹介することや、ものづくり技術を視覚的に理解させるなどにお いて有効と考えられる。さらに、高校性が自ら主体的に、情報機器を活用し課題解決するため の調査のツールとして用いることや、学習成果の発表などの言語活動に生かすことなどを授業 設計に組み入れることもできる。また、学習指導案が授業者である教師の指導観や個性を実現 させる授業の設計図・計画案であることを理解し、本時のねらいや評価を明確にした指導案を

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作成することである。 大学での授業(教科教育法)では、学生が行う模擬授業について、観察者の指摘や自らの振 り返りを通し、多くの気づきを抱かせることが重要である。授業の見通しの提示や児童生徒へ の発問や働きかけ、机間巡視等による観察や板書方法など、工夫を繰り返すなかで授業改善に 結び付くのである。学生には、学校現場では先輩や同僚からの指導・助言を受け入れるなど、 常にオープンマインドで改善に取り組む姿勢や、校内外の研修会や研究活動などを通じ、最新 の実践研究の情報を吸収する意欲を持つよう指導することである。  高等学校学習指導要領工業編の目標 前記のコアカリキュラム(案)を踏まえて、次に平成22年5月告示の現行高等学校学習指導 要領に示された工業科の目標を確認しておく。 目標は、「工業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における 工業の意義や役割を理解させるとともに,環境及びエネルギーに配慮しつつ,工業技術の諸問 題を主体的,合理的に,かつ倫理観をもって解決し,工業と社会の発展を図る創造的な能力と 実践的な態度を育てる。」8)とされ、同指導要領解説工業編において、3つの観点からこの目標 について記述されている。 第1点目については、「地球規模の課題である環境問題やエネルギー制約の一層の深刻化な どについて考える必要があり,工業製品について,資源の節約やリサイクルを踏まえ,原材料 の選定から加工,組立,廃棄するまでの過程において環境やエネルギーに配慮することとし た。」9)としている。 これは、工業製品の生産に伴い、これまでも環境問題は避けることのできない課題であった が、今日、地球規模の課題として受け止め、環境保全や省資源などに主体的に取り組み、解決 できる資質の育成が求められていると言えよう。したがって、従前の「いかに作るか」から、 環境問題や省資源などを視野に入れた、「どのようなものを,いかに作るか」10)という能力の育 成が求められているのである。 第2点目は、「将来の工業技術者としての倫理観を養うことが強く求められていることから, 安全な製品や構造物などのものづくりをするために必要な基礎的・基本的な知識・技術を確実 に身に付けさせ,技術者としての倫理観に基づいて課題の解決に取り組む態度を身に付けさせ る」11)とされている。

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これについては、近年の自動車メーカーによる不正データの捏造、建設業界における耐震偽 装や構造計算書偽造問題、さらに鉄鋼メーカーによる製品検査データの改ざん問題など、我が 国の製造業に対する信頼を揺るがす事件が頻発してきている。工業技術立国として、確かなも のづくり技術を標榜してきただけに、関係者のみならず国民の驚きは大きい。国際競争力を高 めながらも、品質の確保と高付加価値が求められる厳しい環境にあって、技術者倫理の醸成は、 工業教育の最重要課題の一つである。 第3点目は、「より広い視野をもち,安全・安心な新しいものづくりを創造する能力を身に付 け,実践的な技能をあわせもった工業技術者を育成する」12)である。 ここでは、工業に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得に加え、製造業においては、安 全性が最優先されることを踏まえなければならないことを強調している。これは「工業技術者 としての倫理観」にも通じることであるが、常に利用者、消費者の側に立ったものづくりの観 点であり、工業分野では安全について、客観的にエビデンスをもって説明できる必要がある。 また、少子高齢化やグローバル化などの時代の変化を広い視野で見、高齢者福祉関連機器等、 消費者が何を求めているかを的確に捉え、新たなものづくりを創造する能力の育成が必要とさ れていることも確認しておきたい。 以上の3つの観点を踏まえて、ものづくりに関する基礎的・基本的な知識、技術及び技能を 確実に身に付け、工業の社会的な役割を理解し、工業に関する学びに主体的に取り組み、職業 人として必要な人間性を養う教育を目標として捉える。

3.教科の内容と指導上の留意点

次に、工業科の教科としての主な内容に入る。工業科の科目編成は、「工業技術基礎」をは じめとする61科目に及ぶ(表1参照)。この科目数は他教科と比較しても抜きんでて多い。科目ごと の専門性や特色の相違も大きいことから、工業科として共通に捉え、教科教育法として教授す ることの難しさがここにある。 ここでは、「各学科において原則としてすべての生徒に履修させる科目」である「工業技術 基礎」「課題研究」と、「工業の各分野における基礎科目」である9科目の内、「実習」「製図」 「情報技術基礎」の3科目を中心に述べる。

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 「工業技術基礎」について 「工業技術基礎」の目標は「工業に関する基礎的技術を実験・実習によって体験させ,各専 門分野における技術への興味・関心を高め,工業の意義や役割を理解させるとともに,工業に 関する広い視野と倫理観をもって工業の発展を図る意欲的な態度を育てる。」13)である。 この科目は、基本的に第1学年で実施しており、専門分野を横断的に、工業に関する基礎的 技術を体験的に学ぶ。ここでは、生徒がはじめて工業分野に触れる機会であることから、まず、 ものづくりへの興味・関心を抱かせることに留意したい。さらに、安全に関する事項、工業技 術と人との関わりや社会的役割、技術者倫理等に関して理解させるところでもある。 実施単位数や授業のねらいを視野に、どのような教材開発を行い、カリキュラムを作り上げ るかがポイントとなる。そのため、教科書の内容をもとにしつつ、一方では生徒の実態や地域 性を踏まえて、工業教育の入り口として「何をどのように学ばせるか」という観点で計画して いくことが重要である。  「課題研究」について 「課題研究」は、平成元年告示の高等学校学習指導要領によってはじめて示され、平成6年 度から全国一斉に実施された専門高校の科目である。導入にあたっては、昭和62年教育課程審 議会答申の「問題解決能力や創造性を育成するための課題解決型の学習を一層重視し各教科に 新しい科目として『課題研究』を設ける」14)という提言を受けている。いわば、「総合的な学習 の時間」のさきがけ的存在ともいえる。 現行学習指導要領の科目の目標としては、「工業に関する課題を設定し,その課題の解決を図 る学習を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発 的,創造的な学習態度を育てる。」15)としている。各校においては、第3学年で設定されること が多く、機械科や電気科、建築科といった小学科の枠を超えて、少人数のグループ編成をする ことで、それぞれの専門性を生かした研究をすすめることができる。研究テーマを設定する際 は、これまで積み上げてきた学習成果を十分に活用した内容となるよう指導をしていく。ま た、下級生を上級生の成果発表会に参加させ、モデルを見せ、考えを深めさせることも有効で ある。この科目では、グループがチームとなって完成に向けた課題解決を進めながら、P・ D・C・Aサイクルによる改善についても学ばせることができる。また、成果の発表では思考 力・判断力・表現力の育成が図られるよう指導を工夫したい。

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内容として、作品製作、調査、研究、実験、産業現場等における実習、職業資格の 取得の4項目で構成しており、2 ∼4単位程度の履修と想定される。なお、職業を主とする学 科においては、「総合的な学習の時間」を「課題研究」で代替することができる。  「工業の各分野における基礎科目」について 「工業の各分野における基礎科目」は、「実習」「製図」「工業数理基礎」「情報技術基礎」「材 料技術基礎」「生産システム技術」「工業技術英語」「工業管理技術」「環境工学基礎」の9科目 である。ここでは、中でも共通に理解すべき事項が比較的多いと考えられる「実習」「製図」 「情報技術基礎」の3科目に絞り述べる。 「実習」についての目標は「工業の各専門分野に関する技術を実際の作業を通して総合的に 習得させ,技術革新に主体的に対応できる能力と態度を育てる。」16)としている。「実習」は座学 での学習内容を体験的に理解することができるなど、工業科の最も特色ある科目の一つであ る。内容として、要素実習、総合実習、先端的技術に対応した実習の3項目で構成され ている。「要素実習」は工業各分野の要素的内容を実習で学ぶことである。「総合実習」は複数 の要素技術を総合化した実習であり、例えば機械分野と情報分野を取り入れた数値制御機械実 習や建築分野と設備工業分野を取り入れた木造住宅建築実習などである。また、「先端的技術 に対応した実習」では、レーザー加工や三次元測定、燃料電池実験など先端技術に対応した基 礎的実習を行うこととしている。実習においては、特に授業規律や安全教育、さらに「整理」 「整頓」「清掃」といった3S運動についても、経験的に学ばせるようにすることが重要である。 「製図」の目標については、「製図に関する日本工業規格及び工業の各専門分野の製図に関す る知識と技術を習得させ,製作図,設計図などを正しく読み,図面を構想し作成する能力と態 度を育てる。」17)と示されている。内容としては、製図の基礎、各専門分野の製図・設計製 図、 CAD の基礎となっており、第1学年で製図の基礎として、共通に学ばせる意義は大きい と考える。の「各専門分野の製図・設計製図」では、「製図」に、機械や電気、建築などの 小学科名を冠した、「機械製図」などの科目名にしている。また、ここでは日本工業規格(JIS) や国際標準化機構(ISO)規格を取り上げ、製図を描くルールを習得させるとともに、どのよ うに作るかという設計者の観点からの学びができるよう、教材や課題の設定を工夫していきた い。さらに CAD については、その機能や取り扱いを理解させるとともに、3 次元 CAD では、 3  次元の立体から各要素を構想する能力も育む。

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「情報技術基礎」は、目標として「社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解さ せるとともに,情報技術に関する知識と技術を習得させ,工業の各分野において情報及び情報 手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。」18)としており、各学科共通に第1学年で設定し ているところが多く、専門教育で活用する情報処理技術や情報機器の取り扱い方法、情報ネッ トワークの活用や情報倫理などを学ぶ。科目の内容としては、産業社会と情報技術、コン ピュータの基礎、コンピュータシステム、プログラミングの基礎、コンピュータ制御の 基礎、情報技術の活用の6項目で構成している。 他の6科目については割愛する。 なお、現行の高等学校指導要領改編前は60科目であったが、「環境及びエネルギーに配慮しつ つ」19)という教科の目標を受け、新たに「環境工学基礎」が加わっている。また上記以外の50 科目が「工業の各分野に関する科目」に位置づけられている(表1参照) 表1 工業科目の新旧対照表 備考 従前 改訂 新設 1 工業技術基礎 2 課題研究 3 実習 4 製図 5 工業数理基礎 6 情報技術基礎 7 材料技術基礎 8 生産システム技術 9 工業技術英語 10 工業管理技術 1 工業技術基礎 2 課題研究 3 実習 4 製図 5 工業数理基礎 6 情報技術基礎 7 材料技術基礎 8 生産システム技術 9 工業技術英語 10 工業管理技術 11 環境工学基礎 11 機械工作 12 機械設計 13 原動機 14 電子機械 15 電子機械応用 16 自動車工学 17 自動車整備 18 電気基礎 19 電気機器 20 電力技術 21 電子技術 22 電子回路 23 電子計測制御 24 通信技術 25 電子情報技術 26 プログラミング技術 27 ハードウェア技術 28 ソフトウェア技術 12 機械工作 13 機械設計 14 原動機 15 電子機械 16 電子機械応用 17 自動車工学 18 自動車整備 19 電気基礎 20 電気機器 21 電力技術 22 電子技術 23 電子回路 24 電子計測制御 25 通信技術 26 電子情報技術 27 プログラミング技術 28 ハードウェア技術 29 ソフトウェア技術

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4.工業科教育法の指導実践

上記で述べた、コアカリキュラム(案)、学習指導要領の留意点等を踏まえて、工業科教育 法の実践構想としての将来のシラバスを示す。  科目名 工業科教育法Ⅰ(2単位) ① 授業の到達目標 ・工業教育の意義、役割を理解する。 ・工業教育の変遷及び現状と課題を理解する。 ・工業教育の実践事例から発展的教育内容を学ぶ意義を理解する。 ・学習指導要領の目標と主な内容及び教育課程の編成を理解する。 ・情報機器の活用及びアクティブ・ラーニングの観点による授業設計ができる。 名称変更 順序の変更 順序の変更 順序の変更 順序の変更 順序の変更 順序の変更 順序の変更 順序の変更 29 マルチメディア応用 30 建築構造 31 建築施工 32 建築構造設計 33 建築計画 34 建築法規 35 設備計画 36 空気調和設備 37 衛生・防災設備 38 測量 39 土木施工 40 土木基礎力学 41 土木構造設計 42 社会基盤工学 43 工業化学 44 化学工学 45 地球環境化学 46 材料製造技術 47 工業材料 48 材料加工 49 セラミック化学 50 セラミック技術 51 セラミック工業 52 繊維製品 53 繊維・染色技術 54 染織デザイン 55 インテリア計画 56 インテリア装備 57 インテリアエレメント生産 58 デザイン史 59 デザイン技術 60 デザイン材料 30 コンピュータシステム技術 31 建築構造 32 建築計画 33 建築構造設計 34 建築施工 35 建築法規 36 設備計画 37 空気調和設備 38 衛生・防災設備 39 測量 40 土木基礎力学 41 土木構造設計 42 土木施工 43 社会基盤工学 44 工業化学 45 化学工学 46 地球環境化学 47 材料製造技術 48 工業材料 49 材料加工 50 セラミック化学 51 セラミック技術 52 セラミック工業 53 繊維製品 54 繊維・染色技術 55 染織デザイン 56 インテリア計画 57 インテリア装備 58 インテリアエレメント生産 59 デザイン技術 60 デザイン材料 61 デザイン史

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・技術者倫理、安全に係る教育の重要性を理解する。 ・工業科教員として、話す、聴く、書く能力を養う。 ② 授業の概要 工業教育の意義や役割及び近現代に至るまでの歴史や変遷、現状と課題について考察する。 また、工業教育に関する法規、学習指導要領の目標や主な内容、教育課程の編成を理解する。 全国の工業教育実践事例など、発展的な教育内容の探究や、アクティブ・ラーニングの観点に よる授業設計を理解する。単元ごとにテーマを設定し、グループワーク等を取り入れることに より、自己の考えを深めるとともに、話す、聴く、書く能力の伸長を図る。また、ICT 機器を 活用した学習指導等の発表を行い、実践的に情報機器の活用の有効性を理解させる。 ③ 授業計画 第1回 工業教育の意義と役割について(オリエンテーションを兼ねる) 授業概要・方法等、学習・教育目標および到達目標、教科書、参考文献、成績評価および基準等。 工業教育が産業社会の発展に果たしてきた役割について理解を深める。 第2回 工業教育に関する教育関連法令について 教育全般に係る法令及び工業教育に関する法令について理解を深める。 第3回 工業教育の歴史と変遷 日本の工業教育の歴史(近現代)及び、制度と教育内容に係る変遷について理解する。 第4回 工業教育の現状と課題について 工業教育及び工業高校の現状と課題についての理解を深める。 第5回 工業教育の実践事例(発展的な内容を含む)について 全国の実践事例(発展的な内容を含む)の動向についての理解を深め、授業設計の向上に取り組む力 をつける。 第6回 諸外国の工業教育について アジアやヨーロッパ等諸外国の工業教育の制度や内容についての理解を深める 第7回 学習指導要領の目標や主な教育内容を理解する。 現行学習指導要領の趣旨及び新学習指導要領改訂のポイントについての理解を深める。 第8回 学習指導要領(工業)解説について 現行学習指導要領工業編の趣旨と主要科目の編成と主な内容についての理解を深める。 第9回 教育課程の編成  教育課程の意義、目標、役割、工業教育における教育課程の特徴についての理解を深める。 第10回 教育課程の編成  工業科における教育課程を編成する。 第11回 教育課程の編成  編成した教育課程について目標や趣旨を踏まえ発表及び協議を行う。 第12回 工業科の評価規準について 工業科に求められる資質能力と評価規準の観点を理解する。 第13回 工業技術基礎の趣旨及び技術者倫理と工業教育における安全教育を理解する。 工業技術基礎の目標と内容を理解し、技術者の社会的責任や倫理、及び実験・実習等学習上必要な安 全教育の理解を深める。 第14回 学習指導  工業科の実習・実験の紹介及び ICT の活用などによる指導方法の理解を深める。 第15回 学習指導  課題研究の目標と内容、ICT の活用などによる展開方法についての理解を深める。

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④ 学生に対する評価 ・基本事項の学習に加え、設定したテーマに対しグループワーク等により問題解決学習を行 い、振り返りレポートから学習到達度を評価する。 ・ICT 機器の活用等による学習成果の発表内容から学習到達度を評価する。 ・論述を中心とした定期試験により到達度を評価する。  科目名 工業科教育法Ⅱ(2単位) ① 授業の到達目標 ・工業科の学習について指導方法と評価方法について理解する。 ・学習指導要領に基づく学習指導案の作成ができる。 ・言語活動等により工業科教員として学習指導に必要な資質・能力を養う。 ・生徒が主体的に参加する授業づくりを模擬授業等により実践的に学ぶ。 ・工業科教員として、話す、聴く、書く能力を養う。 ② 授業の概要 工業科教員として必要な授業理論をはじめ、学習指導方法、学習評価について理解し、教科・ 科目の学習指導案の作成を行う。本科目の修得は、近畿大学における教員養成の理念と目的の 主として「2.教員に求められる専門性、実践的指導力の養成」の達成に関与している。実際 に、作成した指導案により模擬授業を行い、生徒が主体的に参加する授業づくりなど、教員と して必要な知識や技術などの指導力、さらに話す、聴く、書く能力の伸長を図る。授業につい ては、テーマごとのグループワークを取り入れ、学生が主体的・対話的で深い学びとなるよう 工夫する。 ③ 学習計画 第1回 学習活動と授業理論 教育論の歴史的展開と授業の方法、授業形態について理解する。 第2回 学習評価  学力観と求められる資質・能力、学習評価の規準について理解する。 第3回 学習評価  絶対評価と相対評価について理解する。 第4回 教育実習について 教育実習の意義、心得を理解する。 第5回 学習指導案の作成  学習指導案の役割と目標を理解し、構成を考える。 第6回 学習指導案の作成  模擬授業の学習指導案を作成する

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④ 学生に対する評価 ・基本事項の学習に加え、設定したテーマに対しグループワーク等により問題解決学習を行 い、振り返りレポートから学習到達度を評価する。 ・模擬授業等から工業科教員としての資質・能力を評価する。 ・論述を中心とした定期試験により到達度を評価する。

5.工業科教育法での課題と考察

学習指導要領に示された工業科の科目数は61科目と、整理されてきたとは言え、他の教科に 比し突出して多い。学生にとっては、この科目をどのように把握していくかに戸惑うが、まず、 工業科全体に課せられた教科の目標や役割を理解するため、原則履修科目である2科目や「工 業の各分野における基礎科目」の9科目の内容を理解することから始めるよう指導に留意する。 工業科では、工業技術基礎や課題研究などの科目の特徴として、専門分野を横断的に学ぶこ とにより、異分野技術の関連性や、複合技術が社会で果たす役割を理解できるとともに、生徒 のチームワークを生かした学びとなることから、相互の考えを重ねあい深い学びに結び付ける ことができる。 課題点として伝えておきたいのは、工業科教育は、授業者の教科に対する知識のみならず、 工業技術の習得状況や経験によるところが大きいということである。かつては、工業科には豊 富な実務経験を持つ教員が多くいたが、団塊世代の大量退職や若手教員の採用などにより、必 第7回 学習指導案の作成  模擬授業の学習指導案を作成し、研究協議する 第8回 授業実施上の留意点を理解する  心構えと授業展開の技術を深める 第9回 授業実施上の留意点を理解する  授業展開の技術について協議 第10回 模擬授業と評価  模擬授業の実施と評価・意見交換(ICT 機器の活用を含む) 第11回 模擬授業と評価  模擬授業の実施と評価・意見交換(ICT 機器の活用を含む) 第12回 模擬授業と評価  模擬授業の実施と評価・意見交換(ICT 機器の活用を含む) 第13回 模擬授業と評価  模擬授業の課題を整理し、再度の模擬授業の実施と評価・意見交換(ICT 機器の活用を含む) 第14回 模擬授業と評価  模擬授業の課題を整理し、再度の模擬授業の実施と評価・意見交換(ICT 機器の活用を含む) 第15回 まとめ 授業づくりについての総括・まとめ

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ずしも世代間の接続が円滑に行われているとは言えない。したがって、教員が工業技術につい ての研鑽を進め、資質・能力の向上が図られるよう研修の機会やその内容を充実させることが 求められている。 次に、授業づくりの援用として、情報機器の活用について述べる。実際に本授業における模 擬授業では、学生による情報機器の活用が大きな効果を発揮した。例えば、電気系学科の学生 から見た機械系の実習などは理解しがたいが、情報機器を用いて、関連する画像や動画を見せ ることにより、具体的な事象の理解を助けることができた。 また、情報機器は、他に技術者倫理に関する単元でも活用した。関係資料の確認に加えて、 適切な技術者倫理に関する啓発映像を学生が鑑賞し、その後、意見交換を行い、次のような感 想が出された。「映像を見たときには、『自分ならこうする』と思って見ていたが、その後、意 見交換で人により考えは様々で、責任感にも違いがあることに気付いた。そこで、技術者とし ての技術者倫理を心得るには教育が必要だと思ったし、具体にどのように教育するかを考えさ せられた。」「倫理観は持っていたとしても、実際に実践できるかどうかであると思った。」「企 業や会社全体の中に自分がいるという観点で考えたとき、個人として難しい判断であると感じ た。」など、学生の考えの深まりを見ることができた。このように、技術者倫理の醸成におい ては、情報機器等を活用した具体事例を教材とした問題解決型の授業が効果的であることがわ かる。 授業の展開においては単元ごとにテーマ設定を行い、グループワークなどにより理解や考え を深めていく授業実践の学習効果は大きいと考える。次期学習指導要領における、「何をどの ように学ぶか」にも通じることであるが、生徒が「主体的・対話的で深い学び」20)となるよう な授業の工夫が必要である。 例えば、本授業で、工業教育の歴史や変遷についての単元で、「昭和20年代の学習指導要領と 現在の学習指導要領に示された工業科の目標」について、それぞれを学生に示し、工業に求め られてきた目標の変遷を踏まえたうえで、「今後、工業教育が社会に必要とされていくにはどの ような教育内容が必要となるか」というテーマを与え、議論した。学生から、「時代が変わっ ても不易としての工業教育の基本は変わらないのではないか」とか、「今後の時代予測と工業科 の在り様は切り離せないが、それだけに基礎基本を大事にした教育を進めるべきだ」など、議 論としての深まりが見られたのである。 工業科教育法の授業では、工業科教育をより実践的な学びとするため、模擬授業を多く取り

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入れてきた。模擬授業における学生の振り返りから、「工業の現象を示すグラフなどが、何を意 味しているかを生徒にしっかり伝えられるかが課題と感じた。」「自ら工業分野に興味を持ち、 異なる分野との関連性を理解させながら授業をまとめていくというプロセスが大事だ。」「授業 で生徒を引き付けようとすることに苦労した。」「生徒にいかに教えるかを考えることが、自分 の一番の勉強になっていることに気付いた。」「これなら専門外の人でも工業の仕組みなどが理 解できると想像しながら、画像の用意などの教材準備をしたが、楽しかった。」などの意見や 感想が出された。工業科教育は実学教育といわれるが、高校生に教科の魅力をいかに実感を 持って伝えられるか、また工業に関する諸事項の関連性を横断的に理解させられるかに教科の 課題があることを示している。また、教える側の姿勢や熱意が授業づくりの大きな要素となっ ていることもわかる。 「ものづくりは人づくり」21)といわれるが、これは常に作り手の気持ちがモノとなって、使い 手に伝わっていくことであると私は考えている。そこには、安全で安心なものづくりには、屹 立した技術者倫理がなければならない。まさに、「ものづくり」には「ひと」をつくることが 基本であり、これは人間性尊重に通ずる考え方である。 15歳から18歳という柔軟な心を持つ学習者に、こうしたものづくりの知識、技、そして心を 伝える工業科教育の役割は大きいことを再認識し教育法の指導を構築したい。 注及び引用・参考文献 1) 文部科学省(2017)「平成29年度学校基本調査(初等中等教育機関、専修学校・各種学 校)」http//www.mext.go.jp 2) 厚生労働省(2017)「厚生労働省平成28年度 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る 求人・求職状況 取りまとめ(全体版)」http://www.mhlw.go.jp 3) 大阪府立今宮工科高等学校(2017)「進路の手引き」p.4 4) 文部科学省(1995)「―スペシャリストへの道―職業教育の活性化方策に関する調査研究 会議(最終報告)について 文部省初等中等教育局職業教育課長通知」 5) 文部科学省(2017)「教職課程コアカリキュラム(案)」p.6 6) 文部科学省(2017)「教職課程コアカリキュラム(案)」p.6 7) 文部科学省(2017)「教職課程コアカリキュラム(案)」p.6 8) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領」p.165

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9) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領解説工業編」p.6 10) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領解説工業編」p.6 11) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領解説工業編」p.6 12) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領解説工業編」p.6 13) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領」p.165 14) 文部科学省(1987)「教育課程の基準の改定について(昭和62年12月教育課程審議会最終 答申)」 15) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領」p.166 16) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領」p.166 17) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領」p.167 18) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領」p.168 19) 文部科学省(2009)平成21年3月告示「高等学校学習指導要領」p.165 20) 文部科学省(2017)平成29年3月告示「中学校学習指導要領」p.7 21) 伊藤賢次(2006)「『ものづくりは人づくり』哲学の考察 ―その普遍性と意味づけ―」日 本生産管理学会論文誌12巻№2 p.67

参照

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