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JAIST Repository: NEDOプロジェクトが人材育成に与える影響とその分析手法

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/ Title NEDOプロジェクトが人材育成に与える影響とその分析 手法 Author(s) 吉田, 朋央; 大竹, 裕之 Citation 年次学術大会講演要旨集, 29: 392-395 Issue Date 2014-10-18

Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/12471

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

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2B08

NEDO プロジェクトが人材育成に与える影響とその分析手法

○吉田朋央(NEDO)、大竹裕之(未来工学研究所) 1.はじめに 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO とする)では、これまでプロジェ クト終了後の状況を把握する追跡調査やバイ・ドール調査、アウトカム調査、NEDO インサイド等、種々 の調査を通じ、NEDO プロジェクトがもたらす効果を測定する幾つかの手法について開発を行ってきた。 これらの調査では大きく2 つの分析を実施しており、1 つはプロジェクトマネジメントにフィードバ ックすることを主目的としたマネジメントに係る分析1)、もう1 つはプロジェクトの費用対効果に係る 分析である。中でも、費用対効果分析については、直接的な売上げのみならず、技術的な波及効果や雇 用創出効果、CO2排出量削減効果等の社会的便益までを含めた分析を行っているが、研究開発という特 性上、研究開発ステージが初期段階に近いプロジェクトほど、その後、幾つかのプロジェクトや企業内 での研究開発を経てから市場に投入される為、NEDO プロジェクトによる成果が当該製品にどれほど影 響を及ぼしているか(寄与率)を、どのように算出すればよいかが課題となっていた2) 例えば、寄与率の算出については、欧州ではBETA 法と呼ばれる分析手法が用いられているが、プロ ジェクト関与者に対する大規模なヒアリング調査やアンケート調査等から寄与率等を算出している為、 規模が大きいNEDO プロジェクトを BETA 法のみで評価するには効率が悪い。他方、プロジェクト関 係者による特許や論文を被引用件数やインパクトファクターなどにより評価する手法もあるが、簡便で ある一方、必ずしも、これらの評価において高い評価を受けたものが製品として社会実装されていると は限らないのが現状である。しかしながら、両者に共通する点は「ヒト」に対する評価が多分に含まれ ている点であり、追跡調査や実用化ドキュメント等のヒアリングにおいてもプロジェクト関係者からは 「ヒト」の存在や人材育成について語られることがしばしある。特に、社会実装された製品については、 技術をインテグレートするインテグレーターの存在やインテグレーター人材の育成について語られて いるが3)、このような無形資産の評価を行う術もないのが現状である。 そこで、本報告では、注目度が高い優秀な研究者ではなく、社会実装に必要なインテグレーターの存 在に着目し、これらの人材や、その育成に与える NEDO プロジェクトの影響について簡便に把握する 手法について検討したので、その結果を概説する。 2.調査方法 2.1 対象技術の選定 対象技術は、次の基準に従って選定した。①NEDO プロジェクトの成果が製品に寄与していることが 明らかになっていること ②社会実装が実現されており、社会に一定のインパクトを与えていること ③NEDO プロジェクトから特許が出願されていること 以上の基準に従い、NEDO インサイドや実用 化ドキュメント等でも取り上げられている「固体高分子形燃料電池」(エネファーム)を対象技術とし て選定した。 2.2 分析方法 株式会社パテント・リザルトが提供する特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて「固体高分子形燃 料電池」に関連する特許の書誌情報を「IPC 分類“H01M8”×キーワード“PEFC”」の検索式にて収集し た。次に、仮説として、発明者が社会実装に必要な技術のインテグレーターであるとするならば、関連 する特許の発明者としても数多くの出願がされていることが想定される。そこで、作成したリストの中 から出願頻度が高い発明者(以下、最頻出発明者とする)を抽出するとともに、発明者を軸として特許 情報を再収集し、Biz Cruncher が提供する特許レイティングサービス「パテントスコア」に基づき発 明者の評価を行った。更に、発明者を軸として出願日(遡及日)別に特許情報を整理し、対象技術の技 術開発過程の構造化を行うとともに、発明者が関与した NEDO プロジェクトとの変遷を重ね合せ、 NEDO プロジェクトが発明者に与えた影響について考察した。

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3.結果と考察 3.1 分析対象者の選定 固体高分子形燃料電池に関連する最頻出発明者を抽出し、当該発明者が出願した特許を軸にパテント スコアに基づく発明者の評価を行った結果を図1 に示す。これをみると、発明者の中で最も評価が高い のはA 氏(日産自動車)であり、H01M8(燃料電池)以外にも C23C8(化成被覆等)に関わる特許を 出願している。次いで、B 氏(京セラ)、C 氏(東レ)、D 氏(京セラ)、E 氏(カネカ)と続き、表 1 に示すNEDO 関連特許の最頻出発明者とあわせてみると、C 氏と E 氏が上位発明者リストの中でも 3 位と5 位に位置していることがわかる。そこで、C 氏との E 氏を分析対象者として選定し、技術開発活 動の変遷の把握を試みた。 0.0  5.0  10.0  15.0  20.0  25.0 

A氏 B氏 C氏 D氏 E氏 F氏 G氏 H氏 I氏 J氏 K氏 L氏 M氏 N氏 O氏

その他 H01B 13 C23C 8 H01B 1 H01M 4 H01M 8 19.6 16.3 16.0 14.3 14.2 13.8 13.8 13.5 13.5 13.5 13.4 13.3 13.1 12.6 12.5 図1 固体高分子形燃料電池を軸とした上位発明者リスト 注)上位発明者にある数値は、Biz Cruncher のパテントスコア算出値に基づく 表1 NEDO 関連特許の最頻出発明者 発明者 特許数 1 C 氏 (東レ株式会社) 41 2 E 氏 (カネカ株式会社) 38 3 X 氏 (三菱重工業株式会社) 37 4 Y 氏 (東レ株式会社) 34 5 Z 氏 (三菱重工業株式会社) 34 3.2 技術開発活動の変遷の把握 図2 に、筆頭 IPC に基づいて、C 氏との E 氏の主な特許の内容と NEDO プロジェクトの変遷を示し た。これをみると、両氏ともNEDO プロジェクト参加期間中には特許の出願数が増え、筆頭 IPC の領 域も広がっていることがわかる。 C 氏の場合、固体高分子形燃料電池の技術開発自体に直接関わる成果を創出したのは 2000 年になる。 「H01M8/02」(燃料電池の細部、電極細部)に分類された特許で、「導電シートおよび該シートを用い

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た燃料電池用電極」である。以降、2001 年には、「膜-電極接合体の製造方法」と、「高分子電解質膜 およびその製造方法ならびにそれを用いた固体高分子型燃料電池」を出願している。2002 年には、 NEDO「固体高分子形燃料電池技術開発」プロジェクトの成果の一つとして、「高分子固体電解質およ びその製造方法ならびにそれを用いた固体高分子型燃料電池」、「高分子固体電解質およびそれを用いた 固体高分子型燃料電池」を出願している。両特許とも、高出力を達成できる新規の高分子固体電解質及 びその製造方法、高性能な固体高分子形燃料電池等を提供するため、ポリマーと炭素以外の元素を含む 3 次元架橋体が内部貫入高分子網目構造の高分子固体電解質を発明したものである。なお、前年に「固 体高分子形燃料電池」に関する特許を出願しているが、こちらは、多孔基材にプロトン伝導体を充填し た構造を有する高分子電解質膜において、該多孔基材の少なくとも片面にプロトン伝導体層を有するこ とを特徴とする高分子電解質膜としている。2003 年以降の特許は、主に NEDO プロジェクトの成果で あり、燃料電池の細部に関する特許を2003 年に 8 件、2007 年に 7 件出願している。また、電極に関す る特許も2006 年に 6 件出願しており、電極と燃料電池細部(電極を含む)に関する技術の蓄積を図っ たことが伺える。また、NEDO プロジェクト以降、着手していなかった技術分野(高分子物質を含む成 形品の製造)の成果も創出しており、技術開発活動の変遷図からは、NEDO プロジェクトが当該技術開 発分野への誘因となった可能性も考えられる。 一方、E 氏の場合、燃料電池技術に直接関わる成果を創出したのは C 氏と同様に 2000 年からである が、それ以前は「B09B3/00」といった固体廃棄物の破壊や無害化に関する技術開発に関わっていたこ とがわかる。2003 年から 2009 年にかけて NEDO プロジェクトに関連する特許(主に H01M8/02〈燃 料電池の細部〉)をコンスタントに創出しているが、2010 年以降は燃料電池技術に関する特許の出願が みられなくなっている。 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 C⽒(東レ) E⽒(カネカ) H01M8/02 燃料電池(細部) H01M4/86:電極 (無消耗電極) H01M4/92:電極 (無消耗電極触媒) H01M10/40:⼆次 電池(有機電解質) C08J5:⾼分⼦物 質を含む成形品製造 固体⾼分⼦形 燃料電池技術開発 ※2004年は1課題が関連 固体⾼分⼦形燃料電池 実⽤化戦略技術開発 H01M8/02 燃料電池(細部) H01M8/04:燃料 電池・補助装置 H04M4/86:電極 (無消耗電極触媒) B09B 3/00:固体廃 棄物の破壊・無害化 H01B13/00:導体・ ケーブル製造装置 固体⾼分⼦形燃料電 池システム技術開発 固体⾼分⼦形燃料電池 実⽤化戦略技術開発 C03C 27/00:ガラ ス、他材料への接着 ※これまで着⼿していない 技術開発領域 (NEDOプロ以降の展開) 定置⽤燃料電池⼤規模実証研究 (2005〜09) 固体⾼分⼦形燃料電池 システム技術開発 (2002〜04) 固体⾼分⼦形燃料電池 実⽤化推進技術開発 (2010〜14) 固体⾼分⼦形燃料電池実⽤化戦略的 技術 開発(2005〜09) NEDO プロジェクト 3 3 4 2 1 4 2 1 2 1 2 3 8 2 3 2 4 6 2 3 2 2 1 3 1 1 1 1 3 4 9 4 2 5 3 9 6 9 3 7 4 2 2 1 1 1 3 2 1 1 3 図2 固体高分子形燃料電池を軸とした上位発明者(NEDO 関連特許)の技術開発活動の変遷 注)円の大きさは、1 年間に各分類で出された特許の数を示したもの。小サイズの円は、1〜3 の特許が出されている ことを示し、中サイズの円は4〜6 の特許、大サイズの円は 7 以上の特許が出たもの。

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3.3 発明者に対する NEDO プロジェクトの寄与率の推計に向けて 表2 に C 氏が出願した固体高分子形燃料電池に関連する技術の特許と NEDO 関連特許との関係を示 した。これをみると、固体高分子形燃料電池については、C 氏が着手した技術開発領域(IPC 分類)の うち、42.3%が NEDO 関連特許で構成されていることがわかる。技術開発領域別にみると、「H01M4」 (電極)ではNEDO 率が 41.7%であり、筆頭 IPC のサブグループ別にみると、電極の製造や触媒の選 択に関する割合が高くなっていることがわかる。また、「H01M8」(燃料電池)でも NEDO 率が 65.1% と高く、中でも補助的な装置の技術開発におけるNEDO 率が高かった。 表2 C 氏が出願した固体高分子形燃料電池に関連する技術の特許と NEDO 関連特許との関係 IPC 分類 ・サブG 説明 出願数 合計 NEDO 関連 NEDO 率 H01B 13 ・H01B 13/00 導体またはケ-ブルを製造するために特に使用する装 置または方法 3 3 100.0% H01M 4 電極(電気分解用電極 C25) 24 10 41.7% ・H01M 4/86 触媒により活性化された無消耗性電極 10 4 40.0% ・H01M 4/88 〔無消耗性電極〕製造方法 1 1 100.0% ・H01M 4/90 〔無消耗性電極〕触媒の選択 1 1 100.0% ・H01M 4/92 〔無消耗性電極・触媒の選択〕白金族の金属 4 3 75.0% ・H01M 4/96 〔無消耗性電極〕炭素を主とする電極 2 1 50.0% H01M 8 燃料電池;その製造 43 28 65.1% ・H01M 8/02 細部(発電要素以外の部分の構造の細部、電極の細部 40 25 62.5% ・H01M 8/04 補助的な装置または方法(圧力制御、流体循環) 3 3 100.0% 総計 97 41 42.3% 4.結論 本調査では、発明者の技術開発活動の変遷から、発明者が NEDO プロジェクトを経験することによ り、プロジェクト以降の技術開発活動の絞り込みや展開、或いは当該技術の継続的な活動をリードする 等の役割を担っていることが伺えた。また、着手途上の技術開発課題は NEDO プロジェクトに参加す ることにより加速され、主要な技術開発分野に進展するとともに、一部の発明者ではプロジェクト終了 後に新たな関連領域へも成果を創出しつつあった。加えて、重要特許の主要技術別(筆頭IPC)にみた 場合、発明者に対する NEDO 関連特許の割合が高い技術も見られ、公的資金が果たした多面的な影響 を数値的に把握する上でも簡便かつ有用な方法の一つになりうる可能性も示唆された。さらに、本調査 により検討した手法の妥当性をヒアリング調査等によって検証することにより、NEDO プロジェクトに 参加する機関における NEDO プロジェクトの位置づけ(新たな技術領域への挑戦、既存技術領域の拡 充等)についても把握することができると期待される。 今後は、これらの手法をヒアリング前のスクリーニングとして用い、ヒアリング調査等と併せて寄与 率等の数値的な妥当性について検証していきたい。 【参考文献】 1)吉田朋央 他(2013),追跡ヒアリングを中心としたコンソーシアム型 NEDO プロジェクトにおける,研究技術計画 学会第28 年次学術大会 2)萬木慶子 他(2013),NEDO プロジェクトから生まれた「NEDO インサイド 70 製品」に関するインパクト評価に関 する研究,研究技術計画学会第28 年次学術大会

3)Tomohiro Ijichi, Tatsuro Yoda, Ryo Hirasawa, “Mapping R&D Network Dynamics: Analysis of the Development of Co-author and Co-inventor Relations”, 「研究技術計画」, Vol.8, No.3/4, 263-267, 1993.

参照

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