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ステロイド合成におけるα-tocopherolおよびβ-caroteneの役割 : ヒト黄体、ヒト胎盤での検討

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Academic year: 2021

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ステロイド合成におけるα-tocopherolおよびβ

-caroteneの役割 : ヒト黄体、ヒト胎盤での検

著者

横江 保彦

発行年

1992-03-23

URL

http://hdl.handle.net/10422/1883

(2)

氏名・(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与の要件 学位授与年月日 学位論文題目 横 江 保 彦(滋賀県) 博士(医学) 博士 第111号 学位規則第4条第1項該当 平成4年3月23日 ステロイド合成におけるα−tOcOPheroJおよびβ−carOteneの役割∼ヒト 黄体、ヒト胎盤での検討 審 査 委 員  主査  教授 野 崎 光 洋 副査 教授 大久保 岩 男 副査 教授  吉 田 書 信 論 文 内 容 要 旨 〔目 的〕 黄体中に多量に含まれる抗酸化物質であるa−tOCOpherol(VE)およびβ−CarOtene(β−CA) の役割を検討するために、ヒト黄体中のVEおよびβ−CAの変動を月経周期の黄体期を通して検 討した。 さらに、ステロイド合成での役割を検討する目的で、ヒト胎盤のmicrosomeを用いて testosterone(T)からestradiol(E2)への変換を行うaromatizationの過程で、VEおよびβ− CAがどのような役割を果たすかをinvitroで検討した。 〔方 法〕 子宮単純全摘術を施行した正常月経周期の婦人から、術前に了解を得て卵巣中の黄体のみを摘 出し、黄体期初期・中期・末期に分け、MacCrehanらの方法により、黄体中のVEおよびβ−C A濃度を測定した。さらに、arOmatizationとVEおよびβ−CAの関係では、大量のmicrosome が必要なためヒト胎盤を用い、以下2つの検討を行った。まず、arOmatizationに伴う superoxide(0盲)発生の有無を検討するために、2、5mM glucose−6−phosphate、0.25unit glucoseT6−phosphate dehydrogenaseおよび50pMの濃度の基質Tを含む50mM potassium phosphatebuffer(PH7.4)1.Oml中に、microsome(100−200〟gprOtein)100mlを加え、さ

らにepinephrineを最終濃度200〟M、またはcytochromeCを20〟Mとなるように加え、37℃ で5分間静置した後、10mMNADPH20〝1を加え、epinephrineでは480nm、CytOChromeC

(3)

1■ では550nmでの吸光度変化を連続測定し、〇百発生を検討した。次にaromatase活性の測定お よびaromatization反応によるVEおよびβ−CA濃度の変化を検討した。Aromatase活性の測 定には、Taniguchiらの方法を用い、生成したE2をHPLCで測定した。反応後のVEおよびβ− CAは、MacCrehanらによるHPLC法により測定を行った。 〔結 果〕 (むヒト黄体中のVEおよびβ−CAは、黄体形成の初期から徐々に増加し、黄体期中期に最大と なり、黄体退縮とともに後期に急減するcurveを描いた。また同じcarotenoidであるa− caroteneおよび1ycopeneが黄体中に検出され、これらも同様の変動を示した。 ②ヒト胎盤microsomeを用いたaromatizationの過程で、0盲の発生が見られることが明ら かとなった。 ③aromatizationの反応過程で、microsome中のVE量は、生成したE2量の増加に応じて減 少したが、β−CAに関しては減少は認められなかった。 〔考 察〕 今回の検討でヒト黄体中のVEおよびcarotenoidsの濃度は、黄体の発達と共に増加し、黄体 期中期に最大値をとり、そして後期には急減する特徴的なcurveを措いた。この変動はやや黄体 期後期に偏位しているが、黄体期における血中progesterone濃度曲線に類似しており、ステロ イド合成とこれらの抗酸化物質との関連が強く示唆される。従来から、17αおよび 21−hydroxylationによるステロイド分子の水酸化反応には、活性酵素が関与することが示唆さ れている。今回、arOmataSeによるE2の生成にも、○盲が発生することが明らかとなった。こ のように活性酸素が、ステロイド合成時に発生すれば、脂質を基本とする生体膜は当然過酸化を 受け、細胞膜、microsome膜およびmitochondria膜は過酸化刺激により細胞機能は大幅に障害 されることになる。VEおよびβ一CAなどの抗酸化物質が黄体に大量存在することは、このよう な過酸化刺激による生体膜障害に対応した防御機構を示すものと解釈可能であろう。過排卵処理 したラット卵巣中でのSOD活性の急激な上昇も、この解釈を強く支持する。胎盤microsomeを 用いた今回のinvitroの検討で、arOmatizationの反応過程でVEが減少したことは、この解釈 をさらに強く裏付けるものであろう。この意味で、VEは黄体細胞のみならずステロイド合成細 胞の機能維持には不可欠な物質であろうと推定される。一方β−CAは今回の検討では、 aromatizationの反応過程で明らかな減少を示さず、この反応との関わりは不明である。β−CA は、あくまで一重項酸素のquenchingagentであり、arOmatization時に一重項酸素の発生する か否かが不明である以上、β−CAとステロイド合成との具体的な関わりを示すことは困難であろ う。しかし、microsome中にあり、ステロイド合成時の水酸化反応を司るcytochromep−450 camは自動酸化されるときに、一重項酸素が生じて化学ルミネセンス現象がみられることが報 告されており、arOmatization反応ではなくステロイド水酸化反応による一重項酸素発生に対応 −100−

専一

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してmicrosome膜などを保護する役割を持っとも考えられる。 〔結 論〕 ヒト黄体中に多量に含まれるVEおよびcarotenoidsは、黄体のステロイド合成能に応じた変 動をし、その役割はステロイド産生に伴って発生する0盲およびそのはかのfreeradicalに対応 して、細胞内membranesystem、特にmicrosome膜を保護する役割を営むことが示唆された。

学位論文審査の結果の要旨

この研究は、ヒト黄体中に多量に含まれるa−tOCOPherol(Ⅴ.E.)およびβ−CarOtene(β−CA) のsteroid合成における役割を検討するために、Ⅴ.E.およびβ−CA濃度の月経周期の黄体期を通 しての変動を測定し、さらにヒト胎盤のmicrosomesを用いてaromatization反応との関わりを 検討したものである。 ヒト黄体中Ⅴ.E.およびβ−CAは、血中progesteroneの変動とほぼ同様の変化を示し、黄体形 成の初期から徐々に増加し、黄体期中期に最大となり、黄体退縮とともに急減した。また同じ carotenoidであるa−CarOteneおよび1ycopeneも黄体中に検出され、これらも同様の変動を示し た。arOmatizationの反応過程では、microsomesより0盲 の発生が確認され、また aromatizationの反応過程でmicrosomes中のV.E.は、添加基質量および産生estradiol量に依 存的に減少した。以上の結果から、黄体中のⅤ』.は、ステロイド合成、とくにestrogen合成時 に発生する○盲に対応して、細胞内membranesystem、特にmicrosomes膜などの保護に当た るものと考察している。 以上の様に、本研究はステロイド合成、特にaromatizationに0盲の発生が見られることを初 めて明らかとしただけでなく、ステロイド合成細胞における抗酸化物質存在の意義についても、 freeradicalよりの膜保護に当たると言う合理的な説明が初めて可能となった。よって、本研究 は博士(医学)の学位を授与するに値するものと認める。 −101−

参照

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