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力技の知能(Brute Force AI)からユーザ参加型知能(User Participatory AI)へ─勇躍する学会を目指して─

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Academic year: 2021

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498 人 工 知 能  31 巻 4 号(2016 年 7 月) 最近,地方自治体,労働組合,歯科技工士,大学生新 聞,私学中高進学塾,小学生こども新聞など,AI とは あまり縁がないと思われる組織から,「AI による地域活 性化策は?」,「人と AI の関係は?」,「AI は人の職業を 奪うのか?」,「AI 未来社会における教育の在り方は?」 というような質問を受けるケースが増えてきた. また,昨年,渡辺 明棋王と対談する機会があり(AI 将棋なら松原 仁会長であるが,なぜか著者にお鉢が回っ てきた),将棋界のトッププロ棋士と AI 将棋の関係につ いて議論できる機会があった.「プロ棋士は絞り込んだ 手を先読みするが,AI は多くの手を力技で読んでいく ので,打ち方がかなり違う」,「AI は,棋士同士で共有 されるセオリーにとらわれない打ち方をしてくる」,「最 近の若い棋士は AI にすぐに答えを聞くので,地頭が育 たない.将棋界は,依然,羽生(善治)さん世代が強く, 若手が勝てないのは,AI 将棋の登場と無関係とは思え ない」など,将棋界のトッププロ棋士から,興味深いコ メントを聞くことができた. そして,大方の予想を覆して,2016 年 3 月,Google Deep Mind社の AlphaGo が囲碁の世界トッププロ棋士 イ・セドル氏に勝利した.AlphaGo は,数万台のサー バという強力な計算力,および自己対局による棋譜デー タという膨大なデータ力を盾にして,深層強化学習を実 行し,世界トッププロ棋士に挑戦し圧勝した.ネット上 の Google Deep Mind 社へのインタビュー記事によれば, 数万台のサーバがなければ,勝利するのに 3 年は費やし たであろうとコメントされ,計算力とデータ力という, 力技の知能が人類の英知を凌駕したともいえる.しかし ながら,AlphaGo は,新手を生み出したといわれるが, なぜその手が良いのかと説明を求められれば,深層強化 学習の膨大で詳細な計算結果が示されるだけで,人には 理解できない.この辺りの理解困難性が,人に不気味さ を与え始めている.不気味の谷は,ロボットで使われる 用語であるが,同様の不気味さを力技の AI に人は感じ 始めているといえる. このように,AI が多様なユーザと関わり始めた状況 においては,研究者とユーザが対等レベルでプロダクト を開発していく「ユーザ参加型デザイン」を AI 開発に も導入する時期が来ていると感じる(今号の特集:国内 人工知能拠点紹介②「慶應義塾大学人工知能ビッグデー タ研究開発センター」p. 550 参照).例えば,聞いて話 して(音声対話),考えて(知識推論),見て(画像セン シング),動かして(動作)という一連の知的振舞いを 統合した AI をユーザが簡単に開発できれば,親近感を 覚える AI になろう.力技の知能の研究も必要であるが, 他方で,AI の透明性を高めて,人と AI が協働できるユー ザ参加型知能の研究も必要であり,多様な AI 研究の発 展を期待したい. 最後に,渡辺棋王からいただいた,サイン入り色紙の 写真を掲載しておく.「勇躍して勝負に挑む」という言 葉があるが,「勇躍して未知の多様な AI 研究に挑む」と 解釈したい.本学会の AI 研究者へのエールと思って, 研究者と AI がともに発展していくことを期待したい. 「創設 30 周年記念特集─歴代会長随想─」

力技の知能

(Brute Force AI)

から

ユーザ参加型知能

(User Participatory AI)

─勇躍する学会を目指して─

第 14 代会長 

山口 高平

(慶應義塾大学理工学部) 図 1 AI 研究者へのエール 山口 高平(正会員) 1979年大阪大学工学部通信工学科卒業,1984 年同大学院工学研究科博 士後期課程修了.同年,大阪大学産業科学研究所助手.1989 年静岡大学 工学部助教授.1997 年同大学情報学部教授.2004 年より慶應義塾大学 理工学部教授.工学博士.定理証明,知識システム,データマイニング, オントロジー,LOD,知能ロボットに関する研究に従事.2007 年度大川 出版賞.2014 年度本学会功績賞.2012 ~ 13 年度本学会会長,現顧問. 電子情報通信学会,情報処理学会,AAAI,IEEE-CS など各会員.

著 者 紹 介

参照

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1978年兵庫県西宮市生まれ。2001年慶應義塾大学総合政策学部卒業、