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電子線回折法によるヒト皮膚角層に対する経皮吸収促進剤の浸透メカニズムの解析

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Academic year: 2021

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電子線回折法によるヒト皮膚角層に対する経皮吸収

促進剤の浸透メカニズムの解析

著者

伴 佳尚

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2009年度 修士論文要旨

電子線回折法によるヒト皮膚角層に対する経皮吸収促進剤の

浸透メカニズムの解析

関西学院大学大学院理工学研究科

物理学専攻

加藤研究室 伴 佳尚

我々人間の体は皮膚と呼ばれる多層構造の膜で覆われている。皮膚は構造や組成の違いにより外 側から表皮、真皮、皮下組織に分けられ、さらに表皮は外側から角層、顆粒層、有棘層、基底層に 分けられる。角層は生体と外界の境界面に位置し、アレルゲンの侵入や体内からの過度な水分の蒸 散を防ぐバリア機能において重要な役割を担っている。角層は細胞間脂質によって取り囲まれた角 層細胞によって埋め尽くされており、近年のX線結晶構造解析により細胞間脂質アシル鎖の側方充 填配列構造がバリア機能に重要であると示唆されてきた。しかし、バリア機能と側方充填配列構造 の関係には未だ不明な点が多い。 本研究では皮膚を通した薬品の浸透を高める経皮吸収促進剤が角層構造にどのような影響を与 えるか評価することにより、細胞間脂質構造と薬品の皮膚透過性の関係について調べた。経皮吸収 促進剤はヒト皮膚角層の構造変化を起こし、角層のバリア機能を低下させる働きがあると考えられ ている。しかし脂質側方充填配列構造に経皮吸収促進剤が与える影響についての具体的な報告はま だない。そこで我々はヒト皮膚角層における側方充填配列構造の深さ依存性を解析できる電子線回 折法を用いてその浸透メカニズムの解明を試みた。 実験にはすでに促進効果の報告されているイソプロピルミリステート(IPM)とミネラルオイル (MO)を経皮吸収促進剤として使用した。試薬を塗布したのち 1 時間経過した前腕内側部からグリッ ドストリッピング法により角層細胞を採取した。この時にテープストリッピングの回数を変えるこ とにより、表面から異なる深さの角層試料を採取した。また、比較対象として試薬を塗布していな い皮膚からも同様に角層を剥離した。脂質側方充填配列構造に由来する散乱ベクトルの大きさ s≈2.4 nm−1付近の回折ピークの出現頻度 Frは、上層では試薬未塗布の試料と比べて低いことがわか った。また、下層に進むにつれて Frは高くなり、表面から4 層あたりでは未塗布試料とほぼ一致す ることがわかった。さらに我々はこの時得られた電子線回折像を1 次元化することによって試薬未 塗布の試料と試薬を塗布した試料の電子線回折像に差がないか調べた。上層において IPM や MO を塗布した試料から得られたs≈2.4 nm−1付近の回折ピークの半値幅は試薬未塗布のものよりも広い ものが多く分布していることがわかった。また、試薬を塗布することによりs≈2.4 nm−1付近の回折 ピークの積分強度と、s≈2.7 nm−1付近の回折ピークの積分強度の比は低下しており、脂質側方充填 配列構造が変化していることが示唆された。これらのデータを基に経費吸収促進剤の浸透メカニズ ムについて、多層膜内の流動相状態の領域を側方拡散していくというモデルを提案した。

参照

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