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教材研究に着目した数学科教師の数学教育に対する据え方の傾向

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Academic year: 2021

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(1)Title. 教材研究に着目した数学科教師の数学教育に対する据え方の傾向. Author(s). 久保, 良宏. Citation. 春期研究大会論文集, 1: 203-206. Issue Date. 2013-06-30. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/10508. Rights. Hokkaido University of Education.

(2)    . 第1回春期研究大会論文集. 学会指定課題研究の部. 教材研究短着目した数学科教師の数学教育に対する据え方の傾向. 久保 良宏. 北海道教育大学旭川校. 要. 約. 教師教育に着目した数学教育研究は, わが国では1990年代から, 授業 (教育観) と 数学観との関連などから検討されてきたと考えられる, 教師教育における教材研究で は, このような点やPCK概念などに目を向け, 教師の実態にも着目した検討が必要で ある. 本稿は, 数学科の教師教育における教材研究について検討する資料として 中 , 学校数学科教師を対象とした調査研究から, 教師の数学教育に対する捉え方の傾向に ついて述べるものである, 調査の結果から, 数学科教師は自身の指導力不足を認識し ており, 指導内容では関数の意味や文字式を用いた説明についての指導などで困難さ を感じている一方で, 研究授業についての悩みは少なく, 数学教育研究会に参加する 教師は約 半数といっ た傾向が見られた, 教材研究では, 「内容についての知識」 と 「教 えることについての知識」 との関連について検討することが重要であると考える, キーワー ド: 教師教育, 教師調査, 教材研究, PCK. I. は じめに. 討論型〕 の 3つに分類 してい る. そ して, 算. 教師教育や教員養成に着目した数学教育研 究は, わが国では 1990 年代から, 授業 (教. 育観) と数学観との関連などから検討されて き たと考 えられる,. )は, 明治以降の数学教育を, ①数 湊( 1996 学あって数学教育なしの型〔講義型〕 , ②数学 教育が, 教育心理学の援助のもとで数学の指 導方法論であるとされる型〔問答型〕 , ③数学 教育が人間形成の一貫である型 〔自力解決・. 数・数学教育の目的は③型に依拠し,「数学を 用いることによる実用的・日常性を基底 に含 み文化的実践への参加の中で行われる人間形 成 である」,と述 べ ている(湊, 2000. J数学教育におけ る数学が い わ ここでは, ,. ゆる専門的数学とは異なることが強調される そ して,教材研究では,「内容に ついての知 識」 と 「教えることに ついての知 識」 に着目 した PCK(Pedagog i )や caI Content 取ロowl edge. −203 −.

(3)    . 「翻 案( t ) ransf orming 」 の概念 か ら多く の示. 唆が得 られる のではない かと考える.. 本稿はこのような点を踏まえながら, 筆者. ( 1 1項目)の中の7つにおける肯定率(「重視し ている」「どちらかというと重視 してい る」 の 合計)は, 表 1の通りである,. の3つの科研で行 っ た調査の中から, 教師の. 経験年数に視点を当てた中学校数学科教師を. T1. 表1 数学教育の目的の重要度( ) % 全体 質問項目 虹. 対 象 と す る 調 査 研 究(久 保 ・長 崎, 2010: 久. 皿. )に着目し, 数学科教師の数学教育に 保, 2013. 数学内容の理解と処理. 87. 87. 88. 88. 対する捉え方の傾向に つ いて述 べ る,. 数学の特性や意義の理解. 70. 69. 66. 85. 本稿で示す調査は, 平成 21 年に北海道の す べ ての中学校( 682 校)を対象に郵送法で行. 受験においてよい成績を. 68. 71. 62. 73. 数学を通 して教養を高める. 64. 63. 66. 65. っ たもの で, それぞれの学校において, 経験. 数 学を通 して自 立的 な態. 52. 51. 53. 53. 年数の最も少ない教師に回答を求めた. 回収. 度を養う. 率は約52%で354名 の回答が分析の対象とな り, これを 「集団1: 10 年以下( 198 名) 」 「集. 数 学を通 して人間が築き. 37. 30. 41. 63. 55. 53. 56. 63. 団n: 10年以上20年以下( 116名) 21 」「集団m:. ,. 上げてきた文化を理解する. 数学が社会に有用. 年以上( 40名) 」の3つ集 団に分けて分析 した. 本稿 では, この調査の質問項目の中から, 教. 材研究に関係する内容に着目して検討する, 2. 数学科教師の傾向 (1) 教師は指導力の不足を認識している )の 「授業三型論」 に関する論考や 湊( 1996 )の 「教師の 古藤( 1995 .役割」 な どの主張から 示唆を得て, 教育, 数学, 授業, コミ ュ ニケ ー ショ ンの観点から 「授業タイ プ」 を 7つ に. した研究では, 約 77%の教 師が問題解 決型 の 授業を理想と しているものの, 実際には, 問. 題解決型の授業は約 21%しか選択 さ れてい ない実態が明 らかにな っ ている. 自由記述の. 分析から, 理想の授業タイプを取り入れられ ない理由としては, 「教師自身の指導力不足」 が第一に挙げられる(久保, ) 2013 .. (2) 人間形成的目的や文化的目的はあまり 重視されていない . 数学教育の目的の重要度(「数学教育の目的 を考える際に重視すること」)に関する質問. まり重視されていない傾向 にある.. ・指導の困難さを感じている内容がある (3) 数学の指導内容の難しさ(「数学を指導する 上で, 難 しいと感 じてい る 内容 は どれ か」). に関する質問( 10項目)で, 肯定率(「ほんと“ う にそうだ」 「だいたい そう だ」 の合計)が高い 項目 の順に示すと, 表 2の通り である,. 表2 数学の指導内容の難しさ( % ) 全体 亘 質問項目 T1. 類型化(講義タイプ,教科書の記述重視タイプ, 自力解決・説明タイプ, 自力解決・個別指導 タイプ, 問題解決型収束タイプ, 問題解決型 発散タイ プ, 問題解決型学習者主導タイプ). 数学そのものに関する重要度は高いが, 人 間形成的目的や文化的目的に関すること はあ. 皿. 関数の意味. 58. 66. 53. 35. 文字の意味や説明. 57. 65. 51. 38. 空間図形. 51. 59. 47. 25. 図形の証明. 50. 54 .48. 40. 関数と方程式の関係. 45. 53. 40. 23. 標本調査. 41. 55. 28. 10. 統計に関する内容(中1 ). 39. 56. 20. 13. 関数を表・式・グラ フで表. 35. 42. 34. 8. 確率. 19. 25. 12. 10. 数と式の計算. 17. 20. 16. 8. す. −204 −.

(4)  . 「確率↓ や 「数と式 の計算」 については肯. 定率が低いが, 「関数の意味」 「文字の意味や 文字 を使 っ た説 明」「空間図形」「図形の証明」 な どの指導は’ 全体 で50%以上の教師が難 し いと感 じてい る. また, 「標本調査」 や r統計. に関する内容(中1 ) 」 では, 経験年数によって 40 ポイ ン ト以上 の差が見 られるも のもある,. 方法」 では悩 みを持 っ ている教師 が多 い.. (5) 情意面や考え方の評価での悩みがある 数学の評価についての悩み(「数学を指導す る上で, 評価のこと で悩 んでいること はない か」)に関する質問( 7 項目)ついて, 肯定率 の 高い項目順に示すと, 表 4の通りで ある.. (4) 若手教師は指導法で悩みを持っている 数学の指導法についての悩み(「数学を指導. が比較的 高いも の( 8 項目)と肯定率が低いも の( 2項目)に着目す ると,表3の通り である.. 質問項目. 全体. 生 徒自 らが 課題 を見 つ け. 60. T1. 表3 数学の指導法についての悩み( % ) 72. 江. 皿. 49. 38. る方法. 質問項目. 全体. 関心・意欲・態度の評価. 40. 数学的な考え方の評価. T1. する上で, 指導方法 で悩 んでいること はない か」)に関す る質問( 33項目)ついては, 肯定率. 表4 数学の評価についての悩み( % ) 亘. m. 43. 38. 33. 28. 34. 22. 15. 目標・指導・評価の関連. 21. 24, 20. 10. 知・理と表・処の違い. 16. 17. 16. 10. 試験の部分点の配点. 13. 14. 14. 8. 目標準拠評価の意味. 10. 10. 11. 5. 8. 9. 6. 8. 共通テ. ス トの作成方法. 「 ‐ 関心・意欲・態度」 とい っ た情意 面の評. 日常事象との関連. 47. 58. 39. 20. 多様な考え方のさせ方. 46. 56. 38. 23. 発言を活発にさせる方法. 45. 56. 33. 23. 数学的推論のさせ方. 42. 54. 28. 20. 内容を発展させる方法. 32. 44. 21. 8. 生 徒 同士の コ. 31. 39. 21 ‐. 18. (6) 研究授業についての悩みは多くはない 数学科の研究授業の悩み(「数学科の研究授 業について思うこと」)に関する質問( 4 項目). 24. 31. 16. 13. についての肯定率は, 表 5の通り である,. 授業前に何を準備すれば. 3. 4. 3. 3. 生 徒との コミ ュ ニ ケ ー シ. 5. 7. 3. 3. ュ ニ ケー. ショ ンのさせ方. 問題の提示方法. 価や 「数学的な考え方の評価」 についての悩 みが多いが, 評価については, 指導内容や指 導方法に比べ, 経験年数による差はあまり見 られない.. 質問項目. ョ ンの取り方. 研 究授 業の目 的が分 から. 「生徒 自 らが 課題 を見 つ ける 方 法」 「日常. 全体 6. T1. 表5 数学科の研究授業についての悩み( % ) 亘. 皿. 10. 3. O. 8. 5. 3. 16. 25. 6. 3. ・5. 7. 3. O. なし、. 事象と数学をどのように関連付けるか」「多様 な考え方をさせる方法」 などで悩みを持って いる教師が多い, また, 半数以上の若手教師. 学習指導案の作り方が分. が悩 みを持 っ ている項目は 5 つ にの ぼる, −. 視点で発言 しでよいか. 方,「授業前に何を準備すればよいか」 などに. 助言を受け入れられない. 7.. からない 授業反省 会 で どのよ うな. ついて の悩 みは少 ない. なお,「生 徒とのコ ミ ュ ニケー ショ ンの取り方」の肯定率は低 いが, ・ 「生徒 同 士 のコミ ュ ニ ケ ー ショ ンの活発 化の .. 「授業反省会のとき, どのような視点で発 言 したらよいか分からない」 について は, 若. −205 −.

(5)    . / 4 が, また全体でも 16%が肯定的 手教 師の1. 反応を示しているが,「学習指導案の基本的な 作 成 方 法が 分 から ない」 な ど, 他 の 項 目 は 10%以下であり, 研究 授 業についての 悩みは. 結果から, 多く の課題が明 らかにな っ た. こ. れは, 経験が増せば解決するものではないよ うである. また, 教師教育の課題 は, 学校の. 多く はない とい っ た傾向にある.. )や, 教師の専門性(出身 2006 設置形態(久保, 学科) , 学校の地域の特性(農漁村, 住宅地)な. (7) 研究会に参加する教師は約半数である. )にも着目す べ き点 が ある. ど(久保他, 2009. 「数学の授 業を考える際に 行うこと」 に関 する質問( 14 項目)についての 肯定率(「よくす. ・教師教育では,教師の実態 を踏ま えなが ら, 数学教育の目 的, 内容, 方法, 評価, さ らに,. る」 「とき どきする」 の合計)は, 表 6 の通 り である.. 教師を取り巻く学習や研究の環境などにも着 目 して, 幅広い視点から検討するこ とが大切 で あると考えられよう. ま た, PCK 概 念に照 らせ ば, 「内容に ついての 知 識」 と 「教 えるこ. 質問項目. 全体. T1. % ) 表6 数学の授業を考える際に行うこと( 亘. 皿. とについての知識」 との関連 について検討す 〕 るこ とがより一層 重要であると 考える.. 教師用指導書を読む. 66. 75. 56. 53. 数学の専門書を読む. 56. 57. 56. 58. 数学教育の書籍や雑誌を. 61. 61. 61. 68. 数学教育の論文を読む. 13. 11. 15. 18. 「 ) 古 藤 怜(1995 . コ ミ ュ ニ ケ ー ショ ン を 重 視 し. 使用以外の教科書を読む. 45. 48. 41. 43. 297 た算数教育」 o . .東洋館 ,新 しい算数研究N. 先輩の先生から助言を. 53. 60. 49. 30. 出 版 社. pp.62‐65 .. 数学教育の研究会に参加. 53. 57. 47. 58. ) 久保 良宏( 2006 .「中高一貫 教育にお ける数 学. 指導主事から話を聞く. 17. 17. 21. 10. 数学教育研究者の講演会. 25. 27. 25. 18. 科のカリキ ュ ラ ムに関する研究」,日本数 学 2‐10 教育学会誌第 88 巻第9 号, pp . .. 授業を参観する. 67. 63. 71.. 73. 授業を参観 してもらう. 47. 40. 55. 60. 自分の授業をビデオに. 5. 6. 7. O. 大学の数学教育のノ ー ト. 13. 17. 12. O. 大学時代の先生から助言. 9. 8. 10. 8. 一. 「教科書の教師用指導書を読む」「数学教育 の書籍や雑誌を読む」「授業を参観する」 は6 割 を超えるが, これに比 べ て,「数学教育を専. 引用・参考文献. ) 2013 久保良宏( .「中学校数学科における授業 タイ プに関する研究−コミ ュ ニケ ー ショ ン に焦点をあてて −」,日本 数学教育 学会誌第 2‐10. 95 巻 第 1 号, pp.. ) 2010 久保良宏・長崎栄三( .「中学校数学科教 師の経験年数による数学の指導上の悩みと 課題」,日本数 学教育学会 誌第92巻 第7号, pp,2‐11.. ) 2009 久保良宏・久永靖 史・小川 淳( .「中学校. 数学科における総括的評価の傾向からみる 教師教育の視点」 , 第42回数学教育論文発. 門とする研究者の講演会に参加する」「授業を 参観しても らう」 「自分の授業をビデオに撮 る」 といっ た項目にお ける肯 定率は低い.「数. 学教育の研究会に参加する」も約半数である.. 表 会 論 文 集, pp. 703‐708.. ) 湊三郎( 1996 .「算数・数学 における 授 業三型 論」, 第 29 回数 学教育論 文発表会 論 文集, pp.699‐700.. 3. おわりに. 教師教育における教材研究の検討では, 教 材の吟味, 検討が重要であるが, 教師調査の. ) 2001 湊 三郎( .「算数・数 学 教育の呼称 をめ ぐ っ て」, 東北数学 教育学会 年報第 32 号,. − 206 −. pp.14‐27..

(6)  . 第1回. 春期研究大会 論文集 平成2 5年6月3 0日(日). 筑波大学. 主催. 日. 共催. 筑. 本 波. 数 大. 学. 教 学. 日本教育大学協会. 育 人. 学 間. 会 系. 数学部門.

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