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「進学校」と呼ばれる高等学校における特別支援教育の現状と課題-生徒・教員への質問紙調査と教員への理解推進を通して-

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Academic year: 2021

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(1)「進学校」と呼ばれる高等学校における特別支援教育の現状と課題. _生徒・教員への質問紙調査と教員への理解推進を通して一 特別支援教育学専攻 心身障害コース. M07109A 名村美保. I問題と目的. 4.結果と考察.   小中学校では特別支援教育の体制整備が進んでい. (1)生徒用アンケート《学習編》.  るものの、高等学校においてはまだまだ地域差が大.   学校群」との平均得点と標準偏差は表1の通り。 分散分析の結果、3つの学校群間で1%水準の有意差.  きい。さらに「学校間による差が大きい」ことも柘 植(2008)が指摘している。.  が認められた。.   一方、若林(2003)は、大学で自然科学を専攻す. 表1生徒刷学習橋》学校寿ごとの平均得点.  る学生のAQ得点(自閉症スペクトラム指数)が、. 公立進学校 私立違学校 公立一銭校.  人文・社会科学を専攻する学生より有意に高いこと. M   SD   M   SD   M   SD 学習.6  35.12 11.35 28.36 12.92 38.50 11.57.  を指摘している。このことより、理系の生徒が半数  以上を占める「進学校」では、高機能自閉症やアス.   さらに丁止ey法による多重比較を行ったところ、.  ベルガー症候群の生徒が多く在籍していることが予.  全8領域(聞く・話す・読む・書く・計算する・推  論する・不注意・多動性衝動性)においてr公一>. 想される。しかし、学業成績の良好な生徒は、社会  性にっまずきがあっても問題視されないことが多く、.  分進>私道」となり、1∼5%水準の有意差が認めら.  実態把握が遅れがちになる(小栗,2008)。.  れた。また「高得点者_気になる生徒」の割合は、.   以上のことから、r進学校」の発達障害に焦点を. 公立進学校1.5%、私立進学校O.7%、公立一般校3.4%.  あて、「進学校」における特別支援教育の現状と課.  であり、進学校では、LD・ADHDタイプの生徒は.  題について明らかにすることを、本研究の目的とす.  少ないことがわかった。. ② 生徒用アンケートく性活編》.  る。. I研究1・…・・生徒・教員の実態調査.   学校群ごとの平均得点と標準偏差は表2の通り。. 1.日的.   α係数は、5つの領域(領域1は社会的スキル、.   生徒の実態、教員の意識について、 r進学蜘と.  領域2は注意の切り替え、領域3は細部への注意、.   r一般校」の共通点・相違点を明らかにする。.  領域4はコミュニケーション、領域5は想像力)に. 2.対象.  おいてO.20∼O.44であった。よって、《生活編》に.   X県公立進学校2校、私立進学校2校、公立一般.  関しては統計処理を施さず、そ剛貢向を述べるにと.  校2校の教員と生徒』教員は計265名、生徒は計.  どめる。.  2,201名。. 表2生徒用性活橋)学校群ごとの平均得点. 3.手続き. 公立進学校 私立進学校 公立一眼校 M   SD   M   SD   M   SD.   質問紙調査。実施時期は2008年2∼3月。教員の. 鋼日   9,64  3.28 10,14  3,56  9,91 3.17.  回収率は574%。生徒の回収率は1OO%。生徒用質 「高得点者=気になる生徒」の割合は、公立進学.  聞紙は得点が高いほど、つまずきの自覚が強い。. 一224一.

(2)  校2.6%、私立進学校4.6%、公立一般校2.2%てあっ.  の生徒に対して指示や説明を工夫したりするなど、.  た。私立進学校は他の2群に比べて、高機能自閉症・.  望ましい行動の増加が見られた。多動傾向の生徒へ.  アスペルカー症候群タイプの生徒が多いことが示唆.  の注意・叱責が減少したのも、研修の成果であろう。.  された。. (2)小中学校と高等学校との違い. (3)教員用アンケート.   当該生徒の自己理解を促し、特性を生かした進路.   発達障害に関する知識について3群で違いは見ら.  指導を行うことの必要性を訴える声が多かった。自.  れなかったが、担任が気になる生徒として挙げた割.  己理解を進めることが、生徒の自己肯定感を損なう.  合は、公立進学校1.50%、私立進学校α51%、公立.  ことにつながらないよう配慮しながら、教員は取り.  一般校1,46%と、私立進学校教員の気付きが少なか.  組みを進めなければならない。.  った。また、発達障害の疑われる生徒への対応につ. (3)各高等学校の特色による違い.  いても、記述に具体性を欠いていた.   部活動の盛んな学校では、対人関係のトレーニン.   アンケート全体を通じて、私立進学校教貝が特徴.  グをしたり、生徒の自尊感情を育てたりする場とし.  的な数字を示した。これは、私立高校の人事交流の.  て部活動を活用できると考えていた。また、進学1交.  少なさに起因すると思われる。同じ職場で同じよう.  の教員は、周囲の生徒がよき理解者・支援者になる.  なタイプの生徒と長く関わるため、指導のバリエー.  だろうととらえていた。各学校の持ち味を生かした.  ションを増やしにくいのだろう口今後は、研修制度.  特別支援教育の推進は、主体的でローコストの取り 組みになる可能性を含んでいる。.  の充実等が望まれる。 皿.研究2・・・…教員への理解推連. 1V.総合考察. 1.目的.   「進学校にはアスペルカー症候群の生徒が多い」.  >研修資料に寄せられた教員の意見や疑問を分析.  という言葉をしばしば耳にするが、本研究において.    し、「進学校」と「一般校」における特別支援.  もその傾向が確認できた。また研修の有無が、教員.   教育の違いを多面的にとらえる。.  の指導スキルに影響を与えることもわかった。進学.  >小中学校とは異なる高等学校独自の視点を盛り.  校に在籍する発達障害の疑われる生徒は、高い能力.   込んだ、効果的な理解推進の方策を探る。.  ゆえ、表面的には適応しているように見えることも. 2.対象.  ある。しかし、生きにくさを抱えている一部の生徒.   X県公立進学校2校、公立一般校2校の教員.  を、教員は見落としてはならない。その一方で、進. 3.手続き.  学校の比較的安定した空間だからこそ、彼らが自身.   2008年5月∼1O月まで、特別支援教育をテーマ.  の特性をうまく受け止め、個性を生かした自己実現..  にした筆者作成の研修プリントを月1∼2回発行し、.  を図ることができるのだということも、教員は理解.  毎号ごとの感想メモとプレ・ポストアンケートで研.  しておく必要があろう。.  修の有効性を確かめた。またA校では8月、F校で.   なお、進学校にはデータを蓄積・分析することや、. 個々の指導事例を集積するといった進路指導のノウ.  は11月に職員研修会を実施した。 4.結果と考察.  ハウがある。量的側面(アンケート)と質瑚則面(事. 例)の両方から、特別支援教育を充実させていくこ. (1)教員の変容.   自閉症傾向の生徒については、教員が周囲の生徒.  とが期待される。.  との仲介をする動きが増えた。また、LD傾向の生.              主任指導教員柘植雅義.  徒に対して課題プリントを工夫したり、不注意傾向.              指導教員   柘植雅義. 一225一.

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