「ことば」を音楽表現の素材とした創作活動の意義
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第61巻 第1号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.61,No.1. 平成22年8月 August,2010. 「ことば」を音楽表現の素材とした創作活動の意義. 尾 藤 弥 生 北海道教育大学岩見沢聴音楽教育研究室. TheSignificanceofMusicalCreativeActivitywithMaterialsRelatedto“Words” BITO Yayoi DepartmentofMusicEducation,IwamizawaCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 筆者は次の考え方に基づき,2008,2009年と新しく開発した音楽の「創作学習教材」を実践した。その考 えは,音楽の創作活動において,「音による創作で音楽表現の喜びを体験できる」「イメージを持ちながら,. 音により自分の思いを表現することができる」「音楽の諸要素の学習をすることができる」の3点である。 そこで,本研究では,上記3点の中で,「音楽の諸要素の学習をすることができる」に焦点を当て,新し く開発した音楽の「創作学習教材」の実践において,音楽の諸要素がどのように取り入れられ,学習が成立 しているかを,二つの事例の分析を通して,検証することを目指した。. その検証方法は,実践的な研究方法を用いた。具体的には,創作した作品の分析,摘出蛙の創作活動の授 業記述記録の分析,学生の記入したワークシートの読み解き,などから行った。また,分析の視点として,「音. 楽の諸要素(旋律,音色,リズム,速度,強弱,テクスチュア,形式,構成(反復,変化,対照))」に注目 した。. 分析の結果,次の知見を得た。 ① 旋律作りを伴わない「ことば」のみを素材とした創作活動でも,音楽の諸要素の工夫が多様にでき,こ れらの諸要素を意識した創作学習が可能であること ② 特に,本草例の分析で共通に活用された音楽の諸要素は,「強弱」「テクスチュア」「構成」「イメージ」 であること. 以上の2点である。. 1−1研究の動機と目的. 平成20年3月告示の中学校学習指導要領(音楽)の「(1)A表現(3)創作」では,ア,イ,の2項目が記載さ れた。「ア」では「旋律をつくること」と記され,学習のポイントとして,言葉では抑揚,アクセントリ ズムの生かす,音階では構成音が生み出す音階の雰囲気を生かすこと,が求められている。「イ」では,「音 楽をつくること」と記され,学習のポイントとして,「表現したいイメージを持つ」「音素材の特徴を生かす」. 249.
(3) 尾 藤 弥 生. 「反復,変化,対照などの構成,全体のまとまりを工夫する」の3点が求められている。また,ここでの「音 素材」には,声や楽器の他,自然界の音や身の回りの音も含むとなっている。. この新しい指導項目を意識した中学校1年を対象とした研究授業「構成を工夫してわらべうたをつくろう」 を2009年12月参観した。生徒たちは意欲的に活動していたが,この創作は五音音階を使用した,音の高低が 明確な「ふし」づくりとなるため,生徒は自分たちの作品を演奏する時,音程が正確に歌えないとその点が 気になり「正しい音程で歌うこと」にこだわり,それに多くの練習時間を使っていた。また,反復や変化の 工夫においても,「音程を高くすることで,買い手の売ってほしい気持ちを表現した」等の「ふし」の変化 による工夫が多く見られた。. つまり,音程のある「ふしづくり」を取り入れてしまうと,生徒は創作する段階でも,それを演奏する段 階でも,音程の変化に意識の多くを集中してしまい,その他の音楽の諸要素の工夫まで考える余裕が少なく なるのではないかと考えた。 また,筆者は以前から,音楽を得意とする生徒と,そうでない生徒が混在する学校教育の現場においては, 創作学習でも,「ふしづくり」にこだわらなくても,「音による創作の喜び」「イメージを持ち,音により自 分の表現をすること」「音楽の諸要素の学習をすること」が可能であるという仮説をもっていた。. これらの仮説に基づいて筆者は,2008,2009年と新しく開発した創作学習教材を実施している。それは「ふ しづくり」ではない,「ことば」による創作学習教材であり,音楽の得意不得意に関わらず,児童や生徒が 楽しみながら,「作る喜び」「工夫する喜び」を味わえる教材であると実感している。 そこで本研究では,上記3点の仮説の中で,「音楽の諸要素の学習」に焦点を当て,「ことば」だけの学習 素材による創作活動で,音楽の諸要素がどのように取り入れられ,学習が成立しているのかを二つの事例の 分析を通し,検証することを目指す。. 1−2 本研究での「ことば」の定義. 「ことば」とは,広辞苑では「①ある意味を表す為,口で言ったり字に書いたりするもの。語。言語。② 物の言いかた。口ぶり,語気。③言語による表現。④言葉のあや。事実以上に誇張した表現。⑤文芸表現と しての言語。詩歌,特に和歌など。⑥謡い物,語り物でふしのつかない部分。歌集などで,歌以外の散文の 部分。⑦物語などで地の文に対して,会話の部分。1)」と記され,また明鏡国語辞典では「①人間の言語。 社会的に決められた音の組み合わせで,意思・思想・感情などを表現するもの。広くは,文字によるものも いう。②単語。また,語句。③能楽,邦楽など,旋律をもった節の部分に対して,通常のせりふの部分。④. 小説・戯曲などで,地の文に対して,会話の部分。2)」と記されている。ここらの意味を勘案しここでは,「こ とば」を「日本語のことばとしての高低アクセントは含む,絶対的な音高が決定されていない意味を表す言 語。その言語は口で発せられる時,意味や感情を表現する。」と定義する。. 1−3 本教材の特性 本教材は,「ことば」を組み合わせ,絶対的な音程を決定しない作品として創作するところに特徴がある為,. 音程,つまり音楽の諸要素としての旋律を意識しなくて良い。従って,その他の音楽の諸要素を意識して創 作に望みやすいと考えられる。. 2.先行研究について. 現在使用されている中学校音楽の教科書には,言葉を使った表現教材として,「くいしんぼうのラップ」3). ?50.
(4) 「ことば」を音楽表現の素材とした創作活動の意義. 「魔法のフルーツバスケット」4)などの楽曲が掲載され,さらに,その発展学習として創作活動の提案5)が 散見される。創作学習の碇案内容のみに絞ってみると,「くいしんぼうのラップ」の発展学習は,「言葉でリ ズムを楽しもう」という題材名で,まず,「タイトルを決めてリズムと歌詞を書いてみよう」として,言葉 のリズムを意識して言葉を選ぶ。次に,「言葉のイントネーション(音の高低や調子)を生かして音程をっ けよう」と「ふしづくり」の方向性を示している。 また,「魔法のフルーツバスケット」の発展学習とし ての創作では,同じリズムパターンをずらして重ねるという「リズムの重なり方」に焦点が当てられている。 従って,これ以外の音楽の諸要素はあまり意識されていないといえる。. この他,「言葉」を使った創作の実践として,星野6),東海林7),尾藤8)のオノマトペや言葉による創作, また,島崎9),坪能10),は色々なことばを使った音楽作りの方法を提示している。 次に,創作全般の学習に関する分析研究を検討する。橋本11)は,中学校音楽科で実践可能な「表現形成 の原理」を導入した「音楽づくり」の系統的なプログラムを開発することを目指していた。このプログラム. 開発のための実践の素材は,リズム創作や旋律創作である。溝口12)は,実践事例の分析を通して,指導内 容の三側面(「形式的側面」「内容的側面」「技能的側面」)が「音楽づくり」の学習にどのように関わってい. るか考察していた。その実践テーマは,自然から得たイメージを基に,楽器や音具で創作するというもので. ある。飯島13)は,「音楽づくり」学習の系統性を踏まえた指導と評価のあり方を探るため,これらの活動で の子供の発達的様相を明らかにする研究であった。ここでの分析対象となる実践も楽器を使用しての創作で ある。従って,言葉を使った創作についての研究はほとんど見られない,僅かに次の研究がある。一つ目は,. 小学校で地域の特産物の名前を使った創作実践を,子ども達の取組の姿勢から考察したもの(尾藤2002a)14), 二つ目,大学生による「オノマトペコンポジション」の実践を通して,将来指導者になる立場の学習者が,. 実践から何を学ぶことができたかを考察するもの(尾藤2002b)15)である。しかし,「ことば」のみの創作で の「音楽の諸要素の取り入れられ方」についての分析研究は見当たらない。. 3.二つの事例の概要 この学習素材による実践一つ目の分析対象の事例(事例A)は,2009年6月に小学校5年生を対象に1時 間設定で実践したものである。摘出姓は1グループ6名で,グループ創作活動時に学生1名が支援にあたっ た。二つ目の分析対象の事例(事例B)は,2009年6月大学3年を対象に1コマ設定で実施したものである。. 3−1実践概要 本研究の実践の素材は,「楽譜1」の通りである。ひとつの「ことば」「い・わ・み・ざ・わ」を分解して,. 18種類の「ことば」のリズムカード(以下「音符カード」と記す)を事前に作成しておき,それを学習者に 提示し自由に組み合わせて「ことば」の創作作品を作る,という活動内容である。. 3−2 事例Aの実践概要. 本草例の学習素材,実践対象,実施時間は,3および3−1に示した通りである。なお実践の展開では,指 導者側で『習作Ⅰ』(楽譜2)の曲を使用して,音の掛け合いや強弱の工夫の方法を提示した。しかし,音 の掛け合いや強弱を必ず取り入れることを創作の条件とはしていなかった。今回はそのような状況での創作 である為,どのような音楽の諸要素を取り入れ工夫するかは,学習者である児童にまかされていた。. 251.
(5) 尾 藤 弥 生 く/g兼粗の「こと∬.の快・ムガード〉. [雛語り. ①. ②. ③. ④. スピーキン7い・. コーラス「い・ホ・み・ざい・直J. 乱射ほ いわい:bいわ J「JIJl∼ いわみぎわ ざわ ざわ ざ わ ざ わ ざわ. JつJ「」i √いJつよ. いわ. 〔楽譜2〕. ⑥. ⑥. J「iよ) ざわ L. ⑦. /よよ 昆十. ⑨. ⑧ いわいb. 」1Jli主. ざわぎb. ㊥. ⑩. ⑩. 」.J」.J 」.J」‡ Jl几月Jl J「J「」主 よ し〟【 い わ」__■い. わいわいわいわい わ い わ いわい. わ_い わい. ⑩. ⑭. ⑯. ⑯. 」J J「」よ よ ざっ ざっ ぎざ_ ぎ7_ ⑫rJ■ 二,r「 ̄ j「mJTつ√「=みざわみぎわみぎわ ㊥Jlき よわぎ ざ. 」 」 み_ん み_ん. 本実践の学習指導案は以下の通りである。. 音 楽 科 学 日 時. 習 指 導 案. 平成21年6月22日(月)第3校時10:40∼11:25. 児 童 岩見沢市立00/ト学校 5学年 39名 1 題材名 『スピーキング・コーラス 「い・わ・み・ざ・わ」』. 2 題材設定の理由 小学枚音楽の学習指導要領の指導内容で,A表現(4)「音楽をつくって表現できるよう にする」という内容が全学年に求められている。この内容は学年を重ねるごとに学習 する音楽の諸要素(リズム,旋律,音の重なりやハーモニー,強弱,速度,音色,構 成)を追加しつつ深化させ,最終的には楽曲構成まで考えて「つくり」「表現」する 学習をすることが必要である。ここでは,だれもが日常的に使っている「声(話す声 や語る声)」という表現素材を使い,主に音楽の諸要素のリズム,強弱,高学年では 構成にも注目して創作し表現することを目指す。そして,これらの表現活動は,音楽 を通しての「自己学習力」と「生きる力」の育成にもつながる。. 3 指導目標 声という表現方法による創作とその表現活動を通して,自ら「つくる」楽しさを味わうと ともに,音楽の諸要素を工夫して「つくり,表現」する能力を育てる。. 252.
(6) 「ことば」を音楽表現の素材とした創作活動の意善. 4 評価規準 ア音楽への関心・意 欲・態度. エ 鑑賞の能力. 題材の評価 声の多様な表現に関心 多様な表現パターンを理解し, 自分の作った作品を的確 鑑賞作品の表現の特徴や. を持ち意欲的に学習に 自分なりの表現を工夫して作る に表現できる 取り組もうとしている ことができる. 規準. 良さに気付いて聴くこと ができる. 学習活動に ① 言葉の多様なリズ ① 言葉のリズムや抑揚の違い ① 自分の作った作品を ① 友達の表現意図を理 おける具体 ムに気付くことがで を感受できる 自信を持って発表でき 解し良さや特徴を聴き 取ることができる の評価規準 きる ② 自分のイメージにあわせた る ② 言葉のリズムの組 リズムの組み合わせを作るこ ② 自分の表現意図に ② 聴き取った良さを記 み合わせに積極的に とができる 沿った抑揚や強弱で表 述などで表現すること ができる 取り組もうとしてい ③ 自分のイメージにあわせた 現できる る 強弱や言葉の抑揚を工夫する ことができる ることができる. 5 指導計画 第1時 (本時)・「い・わ・み・ざ・わ」の5文字による多様な表現の演奏練習。. ・「い・わ・み・ざ・わ・習作I」 の演奏練習 ・グループごとに自分達の「い・わ・み・ざ・わ」の作品の創作 ・各蛙の作品の中間発表 第2時(25分). ・第1時の「い・わ・み・ざ・わ」の多様な表現と「習作I」の復習 ・第1時で作り上げた作品の本発表。 ・双方向学習番組の中での各学校の作品の鑑賞. 6 本時の学習 (1)本時の目標. ① 言葉の多様なリズムに気付くことができる ② 言葉のリズムや抑揚の違いを感受できる ③ 自分のイメージにあわせたリズムの組み合わせを作ることができる ④ 自分の作った作品を自信を持って発表できる. (2)本時の展開. 展 開. 児童の学習活動. 評. 教師の働きかけ. 価. 導 入 ることを知る。 展 ・「い・わ・み・ざ・わ」の5 ・「わーいわい」など4拍分のリズムを「音符カード」とし ・言葉の多様なリズム. 開. 文字による多様な表現の演奏 て18種類準備し,演奏練習させる。 ・言葉の多様なリズムに気付かせる。 練習。 ・「い・わ・み・ざ・わ・習作 ・言葉だけによる表現の可能性に気付かせる。 I」の演奏練習。. に気付くことができ る。. ・言葉のリズムや抑揚. ・展開2の創作の参考曲として,「習作I」を演奏させるこ の違いを感受できる。 とで,創作のヒントとさせる。. ・言葉に自分なりの気持ちを込めて演奏するよう支援する。 展 ・グループごとに,「音符カー ・用意した「音符カード」を自分達のイメージに沿って組み ・自分のイメージにあ. 開 2. ド」を使い白分達の作品をつ 合わせるよう支援する。 くる。. わせたリズムの組み ・自分で新たに「音符カード」を創作しても良いことを伝え 合わせを作ることが できる。 る。 ・楽しい気分など,何か表現するイメージを持って作ること. を支援する。. 253.
(7) 尾 藤 弥 生. ・班ごとに作った作品を友達に きいてもらう。. 本時は中間発表であることを伝える。 次回までに改善しても良いことを伝える。. 作品を自信を持って 発表できる。. 3−3事例Bの実践概要. 本草例の学習素材,実践対象者,実施時間は,3および3−1に示した通りである。なお実践の展開では, 指導者側で『習作Ⅰ』の曲を使用して,音の掛け合いや強弱の工夫の方法を提示した。しかし,それらを必 ず取り入れることを創作の条件とはしていなかった。今回はそのような状況での創作であるため,どのよう な音楽の諸要素を取り入れ工夫するかは,学生にまかされていた。本実践の展開は以下の通りである。. 展開 導入. 学生の学習活動. 教師の働きかけ. 評 価. ・「い・わ・み・ざ・わ」の 言葉を使ってグループで曲 を作ることを知る。. 展開1 ・「い・わ・み・ざ・わ」の ・「わーいわい」など4拍分のリズムを「音符カード」 ・言葉の多様なリズム に気付くことができ 5文字による多様な表現の として18種類準備し,演奏練習させる。 ・言葉の多様なリズムに気付かせる。 演奏練習。 る。 ・「い・わ・み・ざ・わ・習 ・言葉だけによる表現の可能件に気付かせる。 ・言葉のリズムや抑揚 作I」の演奏練習。. ・展開2の創作の参考曲として,「習作I」を演奏させ ることで,創作のヒントとさせる。. ・言葉に自分なりの気持ちを込めて演奏するよう支援す る。 展開2 ・グループごとに,「音符カー ・用意した「音符カード」を自分達のイメージに沿って ・自分のイメージにあ. わせたリズムの組み ド」を使い自分達の作品を 組み合わせるよう支援する。 つくる。 ・自分で新たに「音符カード」を創作しても良いことを 合わせを作ることが 伝える。 できる。 ・楽しい気分など,何か表現するイメージを持って作る. ことを支援する。 まとめ ・班ごとに作った作品を友達 にきいてもらう。. ・作品を自信を持って 発表できる。. 4.実践結果の分析・考察 4−1分析の視点. 本研究では,実践的な研究方法を用いて,創作した作品などを質的に分析する。分析の視点として,「音 楽の諸要素」(旋律,音色,リズム,速度,強弱,テクスチュア,形式,構成(反復,変化,対照))に注目 し,それらが,どのように使われていたかを分析・考察する。事例Aについては,摘出蛙の創作活動の授 業記述記録(蛙の創作活動の15分の記録,1名の学生が活動支援を行っている),創作した作品などを質的 に分析する。具体的には,音楽のどれかの要素に関わる指導者の支援に対する反応や児童同士の創作過程の 会話を取り出し分析を行う。事例Bについては,実践時における各学生のワークシートの記述より読み取っ た音楽の諸要素に関わる注目項目,そして,作品発表時の学生の作品解説および演奏作品から分析を行う。. 4−2 事例Aの分析結果. 「事例A」の作品は「楽譜3」の通りである。作品分析の結果,強弱に関しては,「わいわい」や「ざわ ざわ」と盛り上がるところで,クレシュンドを付けている。また,「いわ」と「ざわ」を重ねる時,フォル トとピアノで強弱の差をつけている所もある。テクスチュアに関しては,音の厚みを出す為,二つの言葉を 重ねたりしている。構成に関しては,「わーい」の3種類のカードを組み合わせること,終わりらしいまと. 254.
(8) 「ことば」を音楽表現の素材とした創作活動の意義. 強弱,イメージに関わる内容を読み取. まり感を工夫している。以上,音楽の諸要素の構成,テクスチュア, ることができた。次に,授業記録から各部分について考察する。. 〔楽譜3〕. ⑨相中登沌求璃 ⑳. 」 」. 生JlJl」よ 4 いわみざわ. ⑪. ...J月JIJIJl ざっ ざっ ざっ わいわいわいわい ざっ. み________ん み+ん. ④ いわいゎいわ. いわいわ JIJつ主 よ. J「J「Jつ‡. ぎわざわざわ. ざわざb. ③ 」1JIJコノつ. ざわざわぎわぎわ. ⑳ 「一−jr rJr r三l「. 刀1JTコmi みぎわみぎbみざわ. ∴. JlよJl主 わ ざ わ ぎ. _. ⑨. 」.J」.J ト __ い b __ い. ⑳. 」. ♪」き b+い ゎい. 4−3 事例Aの授業記述記録からの考察∼「構成」に関わる部分∼ 「構成に関わる活動の部分①」 の授業記述記録表 注:T→指導学生,S→児童 a,b,C,d,は児童名,()内は内容理解のため筆者が補足 これ以後の記録 も同様。 学習過程の構造. 授業記録の言葉 Sb あ,いわみざわ!入れようよ。. Tがまとまりのある構成を提案. T いわみざわ!(を入れる位置は)最初か最後がいいんじゃない? Sa 最初だ!. 1. まとまりのある構成に気付く. T 最後どうしよう?. 1. Sb 最後10 で決めるか. (判断して決定). Se lO!. 「いわみざわ,と わーいわい」を. T ああ,いいね!. 入れる場所. Sb い−わ! わいわいわい! わーいわい!よし,終わったな。 S 全員 お−,すご−−い. l. 演奏して確認. Sa 一回やってみれば いいべや Sb いってみよう! S 全員. ♪. l. ∼∼中略∼∼. 自分の耳で判断して納得。自己評価. T いいね−!. している。. 255.
(9) 尾 藤 弥 生. Sb いいな!終わり万が一番いいな! T 終わり方いいよね!. 「特に曲の終わりのまとまり感」を 体感できている。. Sd 終わり万が一番いい! ∼∼中略∼∼. Sa やっぱり終わり万が一番いい!. 授業記述記録の「構成に関わる活動の部分①」では,指導学生(以下,指導者と記す)は「いわみざわ」を. 入れる位置について,曲の最初か最後が良いのではと二通りの提案をしたのみである。児童はその支援によ り曲の構成,まとまり感を意識してT夫を始め,まず,「いわみざわ!」を曲の始めに入れ,「「いわみざわ」. を使った曲を演奏します」というイン1、ロらしさを作りだした。それと対比させ「最後どうしよう?」と質 問され,終わりらしさを工夫しようと終わりらしさを感じるカードを探し,まとまり感を作り出した。そし て試演後,児童自身の耳でそのできを聴き確認し判断して満足と納得している。そして複数の児童が「終わ り万が一番いい」とまとまり感(構成)の良さに納得している。. 以上,指導者の始めの構成に関する発間で,まとまり感,曲の構成というものに気付き,自ら工夫し判断 し決定している。この曲の終わり方は第三者が聴いても終わりらしさを感じるものである。さらに,このま とまり感に複数の児童が,自らの演奏確認体験を通して納得し大変満足している状況があることから,児童 は体験的に曲の終わりらしさを理解し,まとまり感を感覚的に獲得していて,それが生かされ構成感を感じ 取ったことが分かる。. 「構成に関わる活動の部分(郭」の授業記述記録表 授業記録の言葉. 学習過程の構造. Sc「これ,逆にしたらどう?」. 複数の児童がよりよい変化,対照に. Sb「なんで?いいじゃん」. 気づく. Sa「あー,でも逆にした方がいいかもしれない,バランス的に」 T これさ−,これとさ−,これとさ−,あれ あんじゃん。これ,一個ず つ増えてんじゃん。これ並べてだんだん増やしていったら面白くない? S 全員「ああ−!」 Sb「じゃあこの間に入れよう!」 Sa「じゃあまず こうでしょ‥・」. I. Tが音符の数の増加を指摘し,それ を理論的に説明 l. 全員納得し気付く l. 取り入れ改善。(判断し決定). 「構成に関わる活動の部分②」で,曲の構成原理にあたる変化,対照について,児童自身がよりよい組み 合わせに気付いている。そして,一人の発言に他の児童も「逆にした方がいいかも‥バランス的に」と気付 いている。そこに指導者が,「ざわ」がひとつずつ増えてゆく面白さと変化を説明したところ,児童全員が「あ. あ!」と共有理解し,作品2段目4/ト節(楽譜4)において,構成感ある組み合わせが決定されたと言える。 【鮒41 r格和てかカ憤る婚勧靡か㊤句楽泌j. 256.
(10) 「ことば」を音楽表現の素材とした創作活動の意義. つまり,感覚的に今までの経験からまとまり感のある構成に児童自身が気付き,それを指導者が理論的に 意識させるという展開で,全員が納得して改善されている。 以上,児童は自らの構成に対する感覚を本学習を通して生かすことができ,本学習で音楽の諸要素の「構 成」について,論理的に理解を深め,実体験を通してまとまり感を納得できる学習が展開されていたことが 分かる。. 4−4 事例Aの授業記述記録からの考察∼「テクスチュア」に関わる部分∼ 「テクスチュアに関わる活動部分①」の授業記述記録表 授業記録の言葉 T ここさ,二人で言ってもいいんじゃない?二つに分かれて,3人3人に. 学習過程の構造 Tより言葉の重ね方の提案. 分かれて,いわ いわ いわ って言う方と,ざわ ざわ ざわ って 言う方と‥・. l. 提案の音の重なりの工夫に気付き取. Sb「なるほど!その手があったか」. り入れる(判断し決定). Sb「よし,じゃあグーチーで決めよう!」. l. S全員「グーチーグーチ一 合ったっち!」 T おお−!じゃあどっちが‥・. 分担の決定. SB「俺らがいわ,いくわ!」. Sd「じゃあそっちが ざわ!」. l. T ここだけじゃないよ! Sb「全部ね!2つあるとこは全部俺たちいわ,お前ら ざわ」 Sd「やってみよ!」. 演奏して確認. ♪演奏3. T ここ,ちょっとどっちかまだ分かんない感じするね。もっとはっきり言っ た方がいいかな. l. 演奏の自己批評には至らない. 「テクスチュアに関わる部分①」では,指導者が音の重なり(言葉)の工夫を提案し,児童が「なるほど」. と気付き工夫することとなった。しかし,試演後の児童の良し悪しに関する反応が見られない。また,指導 者も言葉を重ねる効果が十分でないと述べていることから,演奏には十分効果が反映されたとは言いがたい。. その原因として考えられることは,次の2点である。①同じ音の高さで違う言葉「ざわ」と「いわ」を重ね ている為,お互いの言葉がはっきりしにくい,②音を重ねることに慣れていない,などが考えられる。. 「テクスチュアに関わる活動部分②」の授業記述記録表 学習過程の構造. 授業記録の言葉 T あ,一人だけ言う所があっても いいんじゃない?. Tより言葉を分担して演奏するとい. Sb「あ,そっか」. う構成とテクスチュアについての提. Sb「じゃあじゃんけんで負けた人一人だけさ−_・. 案. Sd「やだやだやだ」. 1. Sb「短いところでさ−」. 提案の昔の重なりの工夫に,気付き. Sb「出さなきゃ負けよ−最初はグー」(じゃんけん). 取り入れる(判断し決定). (一人で言う所を3人分決める). 1. Sd「じゃあこの手拍子だけ皆でやったらいいんじゃない?」. 分担の決定. Sb「いいよ,じゃあ手拍子だけね。じゃ一回やってみよ!」. さらに,児童の提案で手拍子の取り. ♪演奏6. 入れも決定. T ん,一人の所続くよりは離した方がいいんじゃない?. 1. 257.
(11) 尾 藤 弥 生. 学習過程の構造. 授業記録の言葉. 演奏して確認. Sb「じゃあ場所決めよ」 Sb「じゃあここをこうして…」. Tより分担方法の改善点指摘. Sb「そっか」. Sa「じゃわざにしよ」. 指摘を理解し早速改善. Sb「いいねわざ」. Sb「じゃやってみよう」. 演奏して確認. ♪演奏7. 演奏の自己批評には至らない. 「テクスチェアに関わる部分②」では,指導者の「ひとりだけで言うところがあっても」という言葉を分 担するという構成にも関わるテクスチュアの改善提案がなされた。児童はそれを理解し取り入れ,演奏して 確認する。しかし,演奏に対する自己評価や満足度に関する発言が見られない。これは,音の重なり方を変 化させる表現の意図や目的が明確でなかった為,満足度が得られなかったと考えられる。 以上,テクスチュアに関わる二つの部分の分析から,児童が重ねる面白さや創作方法のアイディアとして 効果的であることに気付き実践してみるが,演奏確認の結果,「お−!」という満足感にまでは至っていな いと言える。つまり,創作における変化,対照を作りだす方法として効果的であることは理解でき,納得し て作品の工夫は実行できたものの,演奏の段階で効果が上げられなかったと言える。原因として考えられる ことは,「ざわ」と「いわ」を重ねることの意味や意図,また,一人で演奏するところの意図が明確でない ことが,演奏効果を上げられない要因のひとつと考えられる。. 4−5 事例Aの授業記述記録からの考察∼「強弱」に関わる部分∼ 「強弱に関わる活動部分①」の授業記述記録表 学習過程の構造. 授業記録の言葉 T ここさ,最初,ちっちゃくして,だんだん大きくしてくといいんじゃな. Tより強弱についての提案. いかな? Sb「あー」. T ちょっと練習してみない?. l. 提案の強弱の工夫の効果に気付き取 り入れる(判断し決定). Sb「いわ をここでめちゃくちゃ大きくしよう!ざわ はまだここでは弱 く」. l. 強弱の方法決定. Sd「で,ここで!」. l. Sb「で,ここで強く」. T うん うん. 演奏して確認. ♪演奏5. T うん,いいね−!. I. Tより改善点指摘. 最後「わーい わい」だけ皆大声で言ったらいいんじゃない? Se「じゃあ,わーい わい」だけ地声で!. l. 指摘を理解し早速強弱の改善決定. T うん,地声で!. ここでは指導者が,児童作品の楽譜2段目の4/ト節間に強弱を付ける面白さ,工夫についての提案を行っ た。この時指導者は「ざわ」と「いわ」の言葉が付けられ,音の数が増えることに伴いだんだん大きくして ゆくことを想定していた。児童はその碇案による変化のおもしろさに気付き強弱の工夫をしようとする。そ. の時,指導者の想定とは少し違う形「ざわ」と「いわ」を交互に大きくするという強弱の工夫を考え出した。. 258.
(12) 「ことば」を音楽表現の素材とした創作活動の意義. ここでは,指導者の予想とは違う工夫であるが,児童の自主性,個性が発揮され,多様な強弱の付け方の可 能性が生み出された。. また,最後の「わーい わい」では,指導者の提案に共感し大きい声で言うことにしているが,その大き い声を「地声で」と捉えた点が児童らしい表現であると言える。. 以上,強弱については,指導者の提案に共感し理解して,工夫が行われたことが分かる。さらに,この要 素の工夫には多様な可能性があり,それぞれが意図に沿った正解であり,効果を生み出すことができている ことが分かる。. 4−6 事例Aの授業記述記録からの考察∼「イメージ」に関わる部分∼ 「イメージに関わる部分①」の授業記述記録表 授業記録の言葉 Sb「次 ざ−」. 学習過程の構造 児童の気付きに対して共感. Sb「テレビのさ−,チャンネルない所!ざ−」 T ははは,砂嵐ね! 「イメージに関わる部分②」の表 授業記録の言葉. 学習過程の構造. T これさ−,全体に何かストーリーみたいなの,つけたいよね!. Tより曲のイメージ化についての提. SB「ストーリー?」. 案. T 何か,最初 いわみざわ って言って,み−ん み−ん って…. l. 具体的説明でイメージ化に気付く. Sd「せみ」. T そう,せみが鳴いてて… Sb「ざっざっざっざっ‥・兵隊!」. l. Sb「で,わいわいわいわいは…」. 児童の中にカードごとの色々なイ. T 楽しい感じだよね!. メージが広がる. で,これはだんだん大きくなってくから‥・. Sb「ざわざわは,教室がざわざわしてる時の感じ」 T うん うん Se「ざっざっざっざっは戦争の兵隊が‥・」. T じゃあこれ,どこを思い浮かべる? Se「戦争」. S全員「えー−−−−−−−. 」. T ははは! Sb「皆で,遊んでるところ!」. T いいね−! Sa「やっぱ夏だよね」 Sb「うん,夏!」. Sb「それで,わざわざは虫がたくさんいて‥・それを岩で殺して,皆で殺し 合って最後に一人だけ生き残って,わーい わい」 Sd「何だ そりゃ」. ・ ̄イメージに関わる部分①,②」では,児童自身が「ざ−. 」からイメージを広げている。しかし,他の部. 分については,指導者のイメージを喚起するヒントで各カードにイメージを持つことに気付き,イメージ化 をどんどん広げている。例えば,児童自身カードの「み−ん み−ん」から,せみや夏をイメージできてい. 259.
(13) 尾 藤 弥 生. る。さらに,カードをつなぎ合わせた作品に対してストーリー化できていることも分かる。. 以上,児童の音楽の諸要素の学習状況をまとめると,構成にあたる曲のまとまり感については,体験的に 身についている感覚を生かすことができていた。また,構成の中の「変化,対照」「イメージ」に関しては, 指導者のアドバイスをヒントに,自分たちで工夫がなされ,作品の中で効果を上げることができていた。「テ. クスチュア,強弱」については,指導者の提案でその工夫の面白さに気付き実践してみるが,十分な効果は 上げられなかった。. 4−7 事例Bの分析結果. 事例Bの作品は,「譜例5」《セミと木々と太陽と雨のシンフォニー≫,「譜例6」《セミの羽化≫,「譜例7」 ≪岩見沢公園≫である。 ここでは,本草例の実践結果を次の項目によりまとめた。①実践時における各学生のワークシートの記述 より読み取った音楽の諸要素に関わる注目項目,②作品発表時の学生の作品解説および演奏作品から聴き 取った音楽の諸要素の結果,である。. 「事例B 学生作品の音楽の諸要素の導入状況の分類表」 氏名 旋律 音色 リズム 速度 強弱 テクスチェア 形式. 作品 セミと木々 と太陽と両. 構成(反復,変化,. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○構成. ○. ○. ○. ○構成. 作品. ○. ○. ○. ○反復,対照,構成 ○. Fm. ○. ○. ○. ○. ○構成. ○. ○対照. Y. のシンフオ. セミの羽化. 対照を含む). ○. Fh M. 作品 音程 望工夫 ○. 岩見沢公園 K. ○. ○. ○. ○. ○. Fu. ○. S. ○. ○. ○. ○. 作品. ○. ○. ○. ○変化,構成. 創作の始めの段階で,小学生は渡されたカードをトランプの如く,適当にまず並べてみようとするが,学 生の場合は,そのように適当にまず並べてみることに,抵抗を感じて「どうしよう」と考えこんでしまう姓 があった。そこで「表現したいイメージを決めて並べてみれば」と助言した。それにより学生は作品の題名. またはおおよそのイメージを決めてカードを並べ始めた。従って,創作過程でイメージにあわせて言葉を選. ?60. ○. ○反復,対照,構成 ○. 学生の創作過程について. ぶという活動が行われていた。. イメージ. ○.
(14) 「ことば」を音楽表現の素材とした創作活動の意義. 声:0の中は珠猪Lり. ①. 〔努緒7iく岩乳三人公凰〉. カートの番号 ㊥. 辛←住←藩. ①. (野キ㊥声1. 更§・化. 二W−三. 絶1. ◎. 偉 ①. 二〒∴. 平. ∝r亡l. 哲. 「セミと木々と太陽と雨のシンフォニー」の考察 この作品は,イメージに関して,「み−ん」をセミと感じ,「ざわ」を木々と感じ,「ザー」を雨と感じ,「み. ざわ」と「み−ん」から太陽を感じて題名をつけていた。そして,テクスチュアに関わる音を重ねるという ことについても,イメージと関連している。「み−ん」のセミの数が多くなり激しくなる様子を,パートを 重ねることで厚みと激しさを出そうとしている。また,雨が激しくなる様子をクレシュンドするという強弱 の変化で表現しようとしている。速度に関してはそれほど変化していないが,三連符と八分音符などの変化 で,速度の移り変わりを表現しようとしている。構成に関しては,表現したいイメージに即して山場を作る 構成が工夫されている。「み−ん」を繰り返すことで,夏らしさを強調し,「ざわ」「ざっ」「ざあー」という 似た言葉で対比感を出し,「ざわ」を3つのパートでずらせて重ねることで,掛け合い的な効果を出している。 最後の発表では,言葉の表情に合わせた動きも加わり,声だけでなく,体全体で自分達の表現を表していた。. 261.
(15) 尾 藤 弥 生. 「セミの羽化」の考察. この作品は,「み−ん」のカードからイメージを広げ,セミが羽化するまでの様子を表現しようと考えた 作品である。少しずつ脱皮する様子をフォルテとピアノの対照で表現を工夫し,テクスチュアに関しては, パートを重ねることと強弱の変化で,脱皮の様子とセミの気持ちを表現していた。また,速度の変化に関し ては,セミが羽化しそうな瞬間を表現する時,作品としての盛り上がりの部分を作り,アツチエレランドを 2箇所で使い,その盛り上がりの最後にG.P.(沈黙)も加えて,緊張感をうまく作りだしていた。「ざわ」 を掛け合いで重ねたり,繰り返したり,全員で演奏したりと反復,対照などの構成も表現意図のイメージに あわせて工夫されていた。 「岩見沢公園」の考察 この作品は,公園の静かな様子から賑やかになる公園の様子の変化を表現しようとしていた。ここでは, 同じ言葉も男子と女子が掛け合うことで,変化が生み出された。また,テクスチュアと速度に関しては,「ざ. わ」のパートを始め1パートで演奏し,次に2パートでとパートを重ね厚みを出していた。さらに,速度に 関しては,アツチエレランドと強弱の変化を使うことで,公園が賑やかになってゆく様子をうまく表現して いた。. 以上,学生の3作品および「事例B 学生作品の音楽の諸要素の導入状況の分類表」の考察より,この題 材による創作では,学習者全員が「強弱」を意識して,創作していたことが分かる。本創作のように,「ふ しづくり」を伴わない言葉のみの作品作りでは,音の大きさの変化が自分達の表現を表すのに有効であると 言える。また,作品全般から読み取れることは,言葉だけの創作でも表現したいイメージに沿って創作する ことで,自然と音楽の諸要素を変化させ,工夫して作ることになるということである。ここではその要素と して,速度.強弱,テクスチュア,反復・変化・対照などの構成が,多く使われることが分かった。. 5 まとめと今後の展望 本研究の2つの事例の分析より,旋律作りを伴わない「ことば」のみを素材とした音楽の創作活動でも, 音楽の諸要素の工夫が多様にでき,これらの諸要素を意識した創作学習が可能であるという知見を得た。特 に,本草例の分析で共通に活用された音楽の諸要素は,「強弱」「テクスチュア」「構成」「イメージ」であっ た。 この知見を基に,今後の実践に際しては,学習者のレディネスや発達段階に即して,工夫する諸要素を絞っ て創作させることが望ましいと思われる。 また今後,これらの創作活動をより多く分析し,音楽の諸要素の学習の可能性を一層明らかにしたい。. 注. 1)広辞苑第6版(2008)岩波書店 2)明鏡国語辞典(2002)大修館書. 3)中学音楽1「音楽のおくりもの」(2005)教育出版 和田 崇 作・構成の楽曲pp.42−43 4)中学音楽2・3上 「音楽のおくりもの」(2005)教育出版 滝口亮介 作曲pp.34−35 5)中学音楽1「音楽のおくりもの」(2005)p44,および 中学音楽2・3上 「音楽のおくりもの」(2005)p36,教 育出版に掲載されている。 6)星野圭朗(1993)『創って表現する音楽学習』音楽之友社 pp.63−75,120−130,164−168 7)東海林恵理子(1992)「いろいろな音であそばう 「意味ことば」から「書ことば」の表現へ」『創造的な音作りの実践 つくって表現しよう』教育音楽別冊 音楽之友社 pp.64−68. 262.
(16) 「ことば」を音楽表現の素材とした創作活動の意義 8)尾藤弥生(1992)「沈黙を意識する 耳慣れた音楽との凛点を考慮して指導」『創造的な音作りの実践 つくって表現しよう』 教育音楽別冊 音楽之友社 pp.125−128 9)島崎篤子(1993)『音楽づくりで楽しもう!』日本書籍 pp.104−116 10)坪能由紀子(1995)『音楽作りのアイディア』音楽之友社 pp.74−100 11)橋本真由(2006)「「表現形成の原理」を導入した「音楽づくり」のプログラム開発」学校音楽教育研究第10巻 pp.167−177 12)溝口希久生(2009)「/ト学校1∼6年生における「創造的音楽づくり」の発展的様相一指導内容の三側面の関連性に着目し. て」学校音楽教育研究第13巻pp.247258 13)飯島絵美子(1999)「音楽づくりの活動に見られる子供の発達的様相」学校音楽教育研究第3巻pp.162−169 14)尾藤弥生(2002a)「北海道の小規模小学校の特性を生かした「音楽」の教材および指導方法の開発」へき地教育研究第57 号 pp.91−99 15)尾藤弥生(2002b)「「′ト学校音楽の教育法」における「つくって表現する活動」」教材学研究第13巻 pp.167−172. (岩見沢校教授). 263.
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