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SMAD4発現保持とRUNX3発現喪失は膵管癌予後不良因子となる

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Academic year: 2021

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SMAD4発現保持とRUNX3発現喪失は膵管癌予後不良因

子となる

著者

廣瀬 勝也

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

11301甲第19152号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00129297

(2)

(書式18)課程博士 1

博士論文題目

SMAD4 発現保持と RUNX3 発現喪失は膵管癌予後不良因子となる

東北大学大学院医学系研究科 医科学専攻 病理病態学講座 病態病理学分野 学籍番号 B6MD5165 氏名 廣瀨 勝也 膵臓癌の遺伝子背景は解明されてきているが, その発生と進展の機序に関しては未だ不明な部分が多い.分 子間の関係性を解明しその機序を理解することができれば, 膵臓癌の悲惨な予後を改善できる可能性がある.

遺伝子改変した膵臓癌マウスを使った実験において, Runt-related transcription factor 3 (Runx3) と Smad4 は連 携して癌細胞の局所的な増殖と転移の均衡を調節していることが報告されている. ヒト膵臓癌において, SMAD4 と RUNX3 がどのような役割を果たしているかを明らかにするため, 本研究では外科的に切除された 膵管癌 101 症例において SMAD4 の発現, 変異, コピー数異常, RUNX3 の発現, KRAS の変異について調べ, そ れらの結果と臨床病理学的特徴との関連性について検討した. その結果, SMAD4 発現が保持されている (retained) と判断した症例群では, SMAD4 発現が減弱 (reduced) もしくは欠失 (loss) しているとした症例群と 比較して, 遠隔転移再発は有意に高頻度に認められた (n = 0.0432). また, SMAD4 発現が retained かつ RUNX3 発現が喪失していた (null) 症例群では, SMAD4 発現が reduced もしくは loss であった症例群や, RUNX3 がび まん性 (diffuse) もしくは局所的 (focal) に発現している症例と比較して生存期間解析において有意に予後不 良であった(n = 100, p = 0.0220, log-rank). 他の予後因子を含めた多変量解析においても, SMAD4 retained かつ RUNX3 null であった症例群は, その他の症例と比較して有意に予後不良であった (n = 100, p = 0.0290 log-rank). 以上の結果より SMAD4 は retained の状態で切除膵管癌の転移性再発を促進し, さらに, RUNX3 が存 在しない状況下では有意に生存期間を短縮させることが示唆された.

RUNX3 は SMAD4 を含んだ SMADs と複合体を形成することにより標的遺伝子の転写調節を行い, それに より発がん遺伝子としてもがん抑制遺伝子としても機能することが知られている. RUNX3 を欠失した状態に おいて SMAD4 が含まれる TGF-beta signaling pathway は遺伝子の不安定性を促進するという報告もされており, 今回の結果においては SMAD4 retained, つまり TGF-beta signaling pathway の機能が保持された状態で, RUNX3 発現が喪失することで, 遺伝子の不安定性が高まり, 癌の成長及び転移再発の促進に寄与した可能性が考えら れる.

膵管癌において SMAD4 は機能喪失をきたすことにより悪性化が進むと考えられている. 本研究の結果はそ れに相反する可能性があり, 膵管癌における SMAD4 の働きを見直すきっかけとなりうる. SMAD4 と RUNX3 の関連性と膵臓癌の進展への寄与についてさらに検討を重ねることで, 膵臓癌のより画期的な診断法や治療 法が発見されることが期待される.

参照

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