第3学年2組 道徳学習指導案 1 主題名 温かい心 (2-(2) 温かい人間愛の精神を深め、他の人々に対し思いやりの心を持つ。) 2 資料名 『生協の白石さん』白石昌則・東京農工大の学生の皆さん(講談社) 3 主題設定の理由 ○ 本学級の生徒は穏和な性格の人が多く、他人を陥れたり自分さえよければというような、殺伐とし た心の持ち主は一人もいない。また、「人の気持ちがわかる人になりたいですか。」という問いにも、 81%の人が「なりたい」と答えている。しかし、その思いとは裏腹に、これまでの日常生活を見て いると、自分から他者を理解し関わっていこうとする行動があまり見られず、親や教師から言われた ことしかしないというように、受動的な行動が多くみられた。そこで、2年生の後半より「気配り・ 心配り」というテーマを設けて、他者への積極的な気配りを促した。その結果、掃除や給食などのち ょっとした日常生活の場面では、友達に手を差し延べるなどの行動を次第に見受けるようになった。 しかし、日々の会話を聞いていると、思いやりの足りない言葉を発したり、その言葉に感情的に反応 したりというような事態がまだまだ起こっている。その上、本年度行われた道徳アンケートでも、他 者との関わりを問う「自分勝手な行動や言動をしないようにしていますか。」という質問に、「はい」 と答えた生徒が31%と低い結果となっており、まだまだ自己中心的であると言わざるを得ない。こ れは、中学生の時期が自我が芽生え自己主張できる反面、物事を一つの見方で理解しがちで、立場を 変えて考える柔軟さにまだ欠けているためと考える。そこで、さまざまな社会に巣立っていく卒業を 半年後に控え、自己主張とともに、他者への配慮が求められるこの期に本主題を設定する。このこと は、他の人の立場を尊重し、思いやりの心を育む上から大変意義深い。 ○ 人はたくさんの人と関わる中で、互いを尊重し、思いやり、励まし合って生きている。思いやりの 心は、自分が他者に能動的に接するときに必要な心の在り方で、その根底には、人間尊重の精神に基 づく人間に対する深い理解と共感が存在する。ところが、昨今、思いやりの心が強調される反面、社 会の複雑化、価値観の多様化により、「自分は自分」「他人は他人」というように、人間関係が希薄に なっていることも否めない。また、最も重要なコミュニケーションの手段である言葉も、使い方次第 で相手を温かい気持ちにさせることもあれば、心をズタズタに引き裂くこともあり、言葉の暴力が問 題とされている。このような中で、相手を受け止め、ユーモアのある言葉を返すことがいかに人の心 を和ませるのか、またそのような言葉を発することのできる人が、いかに温かい心を持っているのか を学ぶことは重要であると考える。 ○ 本資料は、東京農工大消費生活協同組合に対する要望や質問を書いた「ひとことカード」に対する 白石職員の回答をまとめたものである。どんな無理難題にも、ユーモアと絶妙の変化球を織り交ぜな がら回答する誠実な白石さんの答えから、温かい言葉が持つ思いやりの心を感じさせることができる。 本主題の指導にあたっては、相手の言葉や態度を真摯に受け止める姿勢や温かいユーモアのある言葉 が、その言葉を発する人の「温かさ」「優しさ」からにじみ出るものであることを感じ取ることがで きるようにする。そのために、資料を演習的に活用し、今までの自分の言動と照らし合わせながら考 えさせていく。まず、導入段階では、「楽しかったよ」という詩を使って、現在の自分ならどのよう に発言するかを考え、価値への方向付けを行う。次に、展開前段では、実際に白石さんのもとに寄せ られた要望を生徒会への「ひとことカード」としてとらえて、回答について話し合わせることを通し て、身近な問題としてとらえさせるとともに、相手の気持ちを受け止めた上での言動の温かさや優し さに気づかせる。また、白石さんの温かい言葉の原動力となっている気持ちを考えさせることで、本 主題の主体的自覚を図る。終末段階では、導入で使った「楽しかったよ」の詩の朗読を聞くことで余 韻を残し、道徳的実践への意欲を高めさせる。 4 ねらい ・思いやりのある言葉からにじみ出る「温かさ」「優しさ」にふれることで、他者を理解し共感する 心情を育てる。 ・演習という学習方法を取ることで、より自己の生き方を見つめ直すことができるようにする。
5 準 備 『生協の白石さん』抜粋プリント、ワークシート、名前カード、 「楽しかったよ」の詩、BGMのCD、CDレコーダー 6 学習指導過程 段階 学習活動と予想される生徒の反応 教師の支援 導 1 「楽しかったよ」の詩の場面で、自分ならどう母親 ○「楽しかったよ」の詩の野球観戦 に言うかを話し合う。 に行った場面のみを話し、今まで 入 予想される 反応 の自分たちの言動を確認し、学習 ・お母さん、何しよん! の方向付けをする。 「心の温かさ」に迫ってみよう。 2 資料「生協の白石さん」を通して、白石さんの回答 ○ 実際に資料に載っている要望を、 について話し合う。 生徒会の問題として取り上げるこ (1)校内の生徒会で『ひとことカード』を始めたとい とで、生徒たちが身近な問題とし 展 う設定で、「学校で牛を飼ってください。」という要 て考えることができるようにする。 望に対する回答を実際に書いて発表する。 ○ ワークシートを用いて、自分な 開 予想される 反応 りの回答を整理させる。 ・飼うのは難しいので断る。 前 ・先生に相談して答える。 段 ○ 白石さんの回答を聞き、感想を出し合う。 ○ ここで、資料「生協の白石さん」 予想される 反応 を紹介し、資料中の回答を紹介す ・ていねい。 る。 ・いったんお礼を言っているところがよい。 ・おもしろい。 T2: ○ T2 が白石さんに扮して回答する。 ご要望ありがとうございます。 本日丁度職場会議が開かれたのですが、結果、牛は 置けない、と決議されました。即決でした。申し訳ご ざいません。『生協の白石さん』p35 (2)「あなたを下さい。白石さん」という要望に白石 ○ より多くの生徒を指名し発表さ さんがどのように答えたかを班で考える。 せる。また、その気づきについて 予想される 反応 隣の生徒に感想を求めるなどして、 ・ご要望ありがとうございます。 互いの意見を共感的にとらえさせ ・申し訳ございません。 る。 ・私は売り物ではありません。 ○班で考えることで心の解放を図る。 ○ 白石さんの回答を知り、白石さんの回答のよさに ○画用紙に書いて掲示させる。 ついて話し合う。 予想される 反応 ○ 白石さんに習ってもう一つ演習 ・むげに断っていない。 することで、相手の立場を考えた ・最後に励ましている。 答え方に近づけさせる。 ・相手がムカッとしない断り方をしている。 ○ 自分たちの発想を超えた白石さ ・ユーモアがある。 んの回答のすばらしさに着目させ る。 私の家族にもこの話をしてみたのですが、「まだ譲 る気はない」との事でした。言葉の端々に一抹の不安 は感じさせるものの、まずは売られずにほっと胸をな で下ろした次第です。という事で諸事情ご理解の上、
どうぞご容赦下さい。 『生協の白石さん』p25より (3)ユーモアのある白石さんの回答をいくつか読んで、 ○『生協の白石さん』から10個の 自分が一番気に入ったものに名前カードを貼り、意見 要望を抜粋し、ユーモアのある温 を交流し合う。 かい回答に多く触れさせる。 ○ 板書した10個の回答に名前カ ードを貼ることで、共同の学びの 場を作る。 (4)白石さんがこんなコメントを書く原動力になって ○ 白石さんの「温かい言葉」は「温 いる気持ちは何かを話し合う。 かい心」から生まれるものである 予想される 反応 ことを気づかせる。 ・優しさ ・温かさ ・思いやり 展 3 自分がどんなところで白石さんの対応を取り入れた ○ 今までの思いやりのない言葉や 開 いと考えているかを考える。 態度を振り返りつつ、今後の心の 後 持ち方を考えさせたい。 段 4「楽しかったよ」の詩を聞く。 ○ 導入で考えた「楽しかったよ」 終 の詩を聞くことで、温かい気持ち 末 に余韻を残す。