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「Let’s play the BEYER」に関する指導法:表現力を養うために

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Academic year: 2021

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第1章 はじめに

本学では教育学部児童教育専攻の小学校教育コース、幼児教育・保育 コースの学生が音楽実技I(基礎)の授業でピアノを選択必修の形で履修 している。それぞれの各コースの学生がクラス単位でML教室(ミュージッ クラボラトリー48台)にて受講し90分の演習授業を前半20分全体説明及 び全体練習、後半70分を2名の先生で個人指導の配分で行っている。 使用している教則本は、平成22年4月に他大学の先生方と共著で作成 した「Let’s play the BEYER」で抜粋されたバイエルが1年間で習得でき るように編集されている。 幼稚園教育要領の6つの領域から5領域(健康・人間関係・環境・言 葉・表現)となり幼児の主体性を重視し、遊びを通した指導という考え方 が示された。領域「表現」が「豊かな感性を育て、感じたことや考えたこ とを表現する意欲を養い、創造性を豊かにする観点から示したものであ る」とされた。目的は「1.いろいろなものの美しさなどに対する豊かな 感性をもつ」「2.感じたことや考えたことを様々な方法で表現しようと する」「3.生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ」であ

「Let’s play the BEYER」に関する指導法

-表現力を養うために-

今 田 政 成

・伊 藤 裕 美

・髙 岩 利 恵

3 1白鷗大学教育学部白鷗大学教育学部白鷗大学教育学部 責任著者e-mail:[email protected] 2020,14(1),91-113

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り、小学校学習指導要領と同じように「感性」という言葉が使用された。 現場では多様で豊かな表現力を持つ人材が求められている。そこで指を動 かす練習にとどまることなく、できるだけ正しい奏法で音楽を表現できる ような指導法を考察することとした。

第2章 『Let’s play the BEYER』の基礎的な奏法について

この教則本は、ピアノの基礎的な奏法を1年間で習得できるように『バ イエルピアノ教則本』から78曲と8つの音階練習を抜粋して作られてい る。履修者には経験者も含まれるが、特に初心者にとって、これを1年間 という限られた時間で習得することはたやすいことではない。第4章のア ンケート結果を見ても、多くの履修者は、左右の指を動かすことで精一杯 であり、姿勢よく座ることでさえ難しいのが現状である。指導者として は、教則本の一曲一曲を丁寧に進めたいところだが、限られた時間と履修 者の様々な習熟度によって、妥協している部分は大きい。 この教則本を引き続き使用するにあたって、それぞれの課題曲のテク ニックについて検討し、以前から疑問を持っていた楽譜の校訂に関する事 項を明らかにして、多様な表現に結び付く基礎的な奏法についてまとめて おきたい。 (1)読譜力について ここで言う「読譜」は音符を読むことである。読譜を苦手とする学生は 多く、初心者はもちろん、ピアノを習ったことがあっても、まず楽譜にす べての音名を振るところから始める学生を多く見かける。第4章アンケー トの5、6では未経験者の7割がこれを行っているという結果である。こ れは、授業では音符を読むための学習に十分な時間をかけられないことに も原因があるように思う。書いて覚えるという観点から、年度当初は音名 を振ることを認めてもよいと思うが、少し長い曲になると見づらく、また

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オクターブの読み間違いなどを引き起 こすので、できるだけ書かないように することが望ましい。ただ、読み間違 いや書き間違いによって、間違えて弾 いたり覚えたりすることのないよう楽 譜に書く際には注意深く行うよう指導 しなければならない。また、すべての 音に指番号を振る学生も少なからず見 掛けるが、これは鍵盤の弾くポジショ ンによっては音符と鍵盤が一致しなく なるし、「読譜」には至らない。読譜 の対策としては「音名唱」することを 意識して取り入れたい。各課題の片手 ずつ、まず音名で歌い、さらに歌いな がら弾くことを繰り返し行うよう指導 したい。 (2)テクニックについて 「基礎的な奏法」のことを拙稿では 「テクニック」の一言で表すこととす る。初歩に必要なテクニックとして手 の形、腕の使い方、レガートとスタッカート、メロディーと伴奏のバラン ス、手首の運動、3度のレガートが挙げられる。『バイエルピアノ教則本』 もこれらの技術が身につくよう段階を追って進むように作られている。 『Let’s play the BEYER』は抜粋されているが、内容は充分である。

次の表1は、『Let’s play the BEYER』で扱われるテクニックの種類と その頻度の一覧である。テクニックの種類は基本・少し難しい・アーティ キュレーション・伴奏形の4つに分類し、曲数は、該当するテクニックを (表1) テクニックの種類 曲数 A 基 本 1 姿勢と手の形 10 2 両手の練習基本 10 3 レガート奏法 58 4 拡張 33 5 移動 24 6 跳躍 8 7 平行 7 8 鏡型 6 9 縮小 4 B 少 し 難 し い 1 音階 24 2 同音連打指替え 14 3 3度の重音 7 4 半音階 4 5 装飾音 3 6 左右交差 2 7 トリル 1 C アーティキュレーション 1 アクセント 21 2 スタッカート 14 3 スタッカティッシモ 13 4 タイ 10 5 メッゾ・スタッカート 3 6 山型アクセント 4 D 伴 奏 形 1 ドミソ伴奏形 14 2 アルベルティバス 12 3 ワルツ伴奏形 6 4 左手保持音 6 5 ジャカジャカ音型 2

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練習目的とする曲の合計数になっている。曲が進むにつれて様々なテク ニックを必要とし、個々のテクニックは組み合わされて、指以外の体の 様々な部分を連動させるので難しくなる。「履修生が難しいと感じる曲」1 になると54番(14)、55番(14)、56番(11)、74番(13)(括弧内はテクニッ クの種類の数)というように数多くのテクニックを含んでいる。 A基本のうち、3のレガート奏法は、曲数も58となっているように、 ピアノを弾くために最も重要な技術である。ピアノは、弦をハンマーで叩 いて発音する楽器である。鍵盤を押すと内部のフェルトのハンマーが対応 する弦を叩くことで音が出る。その音は持続することなく、すぐに減衰を 始めるので、音と音がなめらかにつながって聞こえるためには、レガート 奏法は、なくてはならない技術なのである。『バイエル教則本』の№1に は、「音はなめらかに、ひとまとめになるように弾くことを心がけてくだ さい。この円滑な奏法(legato)は、ある鍵盤を打った指は、次の指が他 の鍵盤を打つまで、そのままの状態で保たれていなければできません。こ の法則はいつも守ってください」2と書かれている。また、『Let’s play the BEYER』では、「高さの異なる2つ以上の音を結ぶ弧線をスラーという。 この部分はなめらかに切れないように演奏することを示す。この奏法を legato(レガート)奏法という。」3と説明しており、楽譜には、スラーか legatoの記号が書かれている。少なくとも10番がおわるまでは、レガート 奏法の基礎となる手の形、手首の位置についても妥協することなく指導し たい。特に手首の位置については、ピアノの鍵盤にぶら下がったような (写真1)フォームの履修者が多いので、何とかレ ガート奏法とともに指導したい。ぶら下がった手 首への対処法としては、フレーズの弾き終わりに 手首を上げる動作を取り込むことが挙げられる。 実際の指導においても、手首を良い位置で保つこ とは無理でも、「そこで手首をupして」という助言 で、ふっと手首が上がってフレージングも自然に (写真1)

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なることがある。バイエルの言う「ひとまとめ」の弾き終わり、すなわち スラーの弾き終わりに手首を上げる動作をすることで、意図しなくても自 然と良い表現に結び付くのである。 B1の音階で必要なのは、「指くぐり」の技術である。これは、やはり 低すぎない手首の位置と指の動きと肘の動きを連動させることが大切であ る。B2の同音連打の指替えは、38番、46番、48番の音を保持する型と 55番の音を切る型と類似した型も含めると多数の曲で取り上げられてい る。指の運動だけでは、意味のない音の羅列になるので、保持型では手首 の連動、切る型は手首の上下の動きを少なくすることを意識させたい。 Cのアーティキュレーションは、ある音から次の音へ移る方法のこと で、音をつなぐかあるいは切るかということである。弦楽器奏者にとって はボウイング(運弓法)、管楽器奏者にとってのタンギングにあたるもの で、音楽表現に直接関わる大切なものである。先に述べた通りレガート奏 法は、音をなめらかにつなぐための技術なので、アーティキュレーション に最も大きく関わる要素であるから、種類としては7つになる。これらの アーティキュレーションは、記号或いは文字で表されている。履修生は、 スタッカートやアクセント記号などのある音に対して付されている記号 は、意識しているようだが、スラーの記号については、2つ以上の音に付 されているためか、意識しているのは僅かで、その意味を理解していない 場合も多いように思う。これに対しては、レガート奏法で述べた「スラー の弾き終わりに手首を上げる」を原則にすると、スラーの読み方は容易に なり、「手首をどの程度のスピードで上げるか」を指示することで、多様 な表現に結びついていく。レガート奏法と対極にある技術にスタッカート がある。これはしっかりと打鍵できる指にならないと、意味のある音には なりにくいので、鋭く切るとか、軽く切るといった表現での指導にとど まっている。 Dの伴奏形は左手で弾くものを計数した。2アルベルティバスは、どん な曲でも使えるので、各曲左手だけでも速く弾けるのが望ましい。早く弾

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くには、ぶら下がった手首(写真1)では難しい。5は便宜上名付けた音 型名で46番と63番に出てくる音型のことである。これはかなり難しいが 2曲しか出てこないので、46番のワンポイントアドバイスの楽譜を活用 したい。また伴奏形に「左手の和音」の曲がないのだが、原本の『バイエ ルピアノ教則本』にもないので、音楽実技Ⅱで取り上げるコード伴奏に結 び付くような曲を取り入れておくと有効かと思う。 (3)バイエルのアーティキュレーションについて バイエルの曲は古典派のスタイルであるのに、やたらと長いフレージン グスラーや小節を超えるスラーが付けられ、スタッカティッシモや山型ア クセントも強烈な印象で多少違和感があり、バイエル自身がどのような意 図でそれらを書いたのか疑問を持っていた。そもそもアーティキュレー ションの記号は、バイエル自身が書いたものなのか、校訂者によって付さ れたのかについて、原典版があれば確認したい箇所は多数あった。 多田による「初版譜」を初めて見たときは、フレージングスラーがほと んどなく、曲の印象が全く違うように思えた。これは、スラーの付き方が 変わることによって、指導すべき課題のとらえ方も変わると考えた。 ここで、バイエルにおけるスラーの意味について整理しておくと、ス ラーは、フレージングスラーとアーティキュレーションスラーの2つに分 けられる。フレージングスラーは2小節以上に渡るスラーでバイエルのほ とんどの曲にこのスラーが付けられている。アーティキュレーションス ラーは音4つくらいまでに付けられたものである。

次に『Let’s Play the BEYER』と「初版譜」とのアーティキュレーショ ンとフレージングの違いを考察することで、曲に対する認識が変わった事 項について述べる。

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①アーティキュレーションスラーに関係するもの 13番 第9~16小節間のスラーは、初版譜には無く左右とも冒頭2小節間の スラーだけ書かれているので、全体を通して2小節間のフレーズとして捉 える方が自然ではないか。 34番 右手第16小節目からのスラーは、細やかなアーティキュレーションス ラーがつけられていて少し不自然に思っていたが、初版譜でも同様のス ラーであった。これは、アクセント記号の付いた1拍目の音にアクセント をつけて弾くためのスラーと考えられる。スラーの弾き終わりに少し手首 を上げて、跳ねずに弾いて、スラーの終わりは1拍目であっても少し収め るように弾く、と解釈できる。 63番 右手全体にある8分音符のアウフタクトから3つ目の音までのスラー は、初版譜では1小節間のスラーになっていて、印象が随分違う。当然ス ラー毎に切って弾かなければならないと思っていたが、初版譜のスラーが バイエルの書いたものだとすると、第7、15、23小節に出てくる16分休 符以外は、手を明確には離さないで弾くことになる。また、左手には1小 節間のスラーが付されているので、3拍子の拍節の方を大切にしているよ うに感じる。初版譜のスラーで弾いた方がAndante dolceの性格にも合っ た弾き方に思える。 71番 右手の第7小節1拍目から次小節1拍目にかけてスラー、指番号は2種 類(42、31、31と53、42、31)、初版譜では、1小節間のスラーで指番号 は(42、31、31)である。初版譜においても、スラーと指番号に矛盾が ある。多田の「自筆譜書き起こし」を見ると、1拍と2拍にスラー、2拍 と3拍にスタッカート、指番号は42、31、31(第23小節も同様)で、アー ティキュレーションと指番号の矛盾はない。

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②フレージングスラーに関係するもの 31番 左手第13小節2拍目から最後までのスラーは、初版譜では第13、14小 節間のスラーとなっている。このことから1拍目と2拍目はつなげて弾い ても差し支えないと考えられる。 52番 第8小節のクレッシェンドは第1拍目から小節終わりまでだが、初版譜 では第8小節2拍目から小節終わりまでである。フレージングの終わりが 1拍目ということになる。また、第14小節クレッシェンドの始まりは1 拍目、初版譜では2拍目に始まっている。フレーズの始まりは2拍目から ということになる。 ③小節をまたぐスラー 26番左手第8から9小節1拍目にかけてのスラーのように、小節をま たぐスラーがたくさん出てくる。初版譜では1小節間のスラーになってい る。他の曲でも同じ例が多数ある。これは、初版が古典派時代までの記譜 のスタイルなので、どちらも同じ弾き方であると考えられる。 ④スラー終わりのスタッカート 51番右手第16小節1拍目のスタッカートは、初版譜では同じスラーだ が、スタッカートは無い。1拍目がスラー終わりの音だが、crescendo記 号があるので、1拍目をcresc.の頂点とすると1拍目は切って2拍目に2 の指で少しアクセントがつかないように着地すると解釈できる。スタッ カートを重視するより、2小節をひとつのまとまりとして弾けた方が良い のではないか。 54番右手第1、2小節、56番の右手第9、10小節、65番右手第8小節 2拍目のいずれもスラー終わりのスタッカートは、初版譜でも同じであ る。バイエルは、スラーの終わりを切って弾く必要がある場合にスタッ

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カートを書いているようである。つまり、54番、56番のように、次に鍵 盤のポジション移動がある、65番左手第16小節目のように同音での指替 えのためにその音を短く切って次の音を準備しなければならない、という 場合にスタッカートを書いているということである。

スラーの終わりにスタッカティッシモがついていることもある。『Let’s play the BEYER』の記号の説明では「スタッカートより鋭く短く演奏す る」3とある。バイエルがなぜ付けたのかを考えると、スタッカートと同 じ理由であるが、フォルテの記号があるときにスタッカティッシモを使っ ているから、「しっかり」とか「はっきり」といった意味が加わるだろう。

第3章 効率よく学ぶ曲目のポイント

伴奏部分を楽譜のとおりlegatoで手首が硬くならないように練習する。 「Let’s Play the BEYER」より

1小節目の右手の最後の音がスタッカートになっているので、その前の 第4指のタッチが不正確になってくっつきやすいので注意する。

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最初の2拍を感じてから弾き始める。13~15小節目右手の連打は、指 を鍵盤のそばに構え音が短くなりすぎないように弾く。

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曲の前半・後半は柔らかくlegatoで、中間部は左手の伴奏を軽快に弾く。 テンポが速くならないように弾く。

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左右ともに全休符をのばしているときには次の指の準備をしてスムーズ に弾く。

右手の付点リズムが固くならないように手首、腕の力を抜いて弾く。 7、8小節目の16分音符は指をはっきり動かしながら①②③の順で練習す ると良い。

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右手の前打音は速く打鍵するのではなく、音がはっきり聴こえるように 弾く。 初めは装飾音をとって練習する。よく練習してから装飾音を軽く添えて 弾く。 7小節目は左手の8分音符を速くならないように正確に弾き、右手の 16分音符を手の形を丸くしながら弾く。16分音符練習譜例

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第4章 アンケート結果と考察

音楽実技1の履修者にアンケートを実施し、ピアノの経験の有無や、授 業における意識調査を行った。このアンケートは7月に行い、幼保コース 73名、小学校コース143名から回答を得た。アンケートの内容については 以下の通り。 1.大学入学前にピアノ経験はありましたか。 2.1.で「ある」と答えた人のみ回答 (1)レッスンの形態は。 (2)ピアノ経験年数について。

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(3)レッスンでバイエルを使用したか。 ピアノの経験については、幼保コース選択者は6割が経験者であり、小 学校コースにおいてはピアノ未経験者が約6割であった。レッスン形態は 個人レッスンが圧倒的に多く、6年以上継続しているピアノ経験者が幼保 コース、小学校コースともに5割以上と多くいることが分かった。教本と してバイエルの使用数は少数であった。 3.ピアノ以外の楽器経験は。 楽器経験は、小中学校授業内でのリコーダーやカスタネット、ピアニカ が特に多い。他にはクラリネット、フルート、サックス、パーカッショ ン、ホルン、琴、ヴァイオリン、トランペット、ギター、ベース等が挙げ られ、部活動やサークル活動での経験によると考えられる。

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4.音楽実技1の授業内容(難易)について。 両コース経験者では「易しい・普通」と感じる者が8割いるのに対し、未 経験者では3割程度。具体的に「難しい」と感じる点については、「両手で 同時に指を動かす事」「音符を読むことの他に指が短く手が広がらない」「音 符を読みながら弾く事が難しい」などが挙げられたが、「何が難しいのか分 からないが難しい」と漠然とした不安を感じている意見も多くみられた。 5.現在、楽譜にドレミの音名を書いているか。

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幼保、小学校コースとも経験者は7割が書かないと答えたが、未経験者 幼保コースは、「書く」「全て書く」を合わせると半数以上、小学校コース では約7割の学生が音名を書いている。音符を読むことに慣れていない 為、全ての音に音名を書いていると分かる。 6.現在、楽譜に指番号を書いているか 指番号についてはいずれも6、7割の学生が書いていないことが分かっ た。教本の「バイエル」に既に番号が書かれているため、特に書き足すこ とがないという事であろう。 7.授業のためのピアノ練習はしているか

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8.7.で「している」と答えた人のみ (1)1回の練習時間は。 授業のためのピアノ練習の有無、練習時間についての問いには、週1~ 4日、時間は60分未満が多かった。個人の進行度により必要な練習時間は 個人差があるが、一般的に練習は毎日15分~30分程度が好ましいので、 1回の時間は短くとも練習日数を増やして毎日練習必須。 (2)練習で特に気を付けることは。

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指導者の注意に気を付けながら練習をし、つかえずに弾く事を練習して いることが分かる。 (3)いつもどこで練習するか。 練習場所は多くの学生が自宅と答え、自宅にピアノやキーボードなどが あり、学内にも練習室があり、練習環境は充実している。 9.前期進度表通りに課題番号まで終了したか。  ※いずれのコースも前期課題は教本1番から48番である。

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経験者が課題を終えた学生が多いのに対し、未経験者では「1~25番」 の学生が多くみられる。幼保コースでは「~48番」と終了に近い学生も多 いが、小学校コースは「終了した」「~47番」合わせても「1~25番」の 人数に追いつかないほど課題を達成できなかった学生がいる。小学校コー スの未経験者については当授業の課題を終える為には、より努力をする必 要がある。そして指導側も、より効率的な練習方法を指導し、遅れを取り 戻させる必要がある。 ◦アンケート結果まとめ 今回アンケートにより、経験の有無によってピアノへの苦手意識が大き く異なる事、それにより課題進度も異なる事が顕著に表れた。また、経験 者もブランクがある学生は不安を感じている事が分かった。練習時間を確 保しているにも拘らず課題未到達の学生が多いのは、非効率的な練習方法 や、誤った練習方法をしていると考えられる。練習方法は、授業で課題説 明の際に口頭で伝達するのみならず、授業内の個人指導の際にも繰り返し 伝え、その場で練習させる必要性を強く感じた。 MLでの授業では個人指導に充てられる時間は限られている為、その場 での練習が困難な場合は、個々の進度に合わせた自主練習方法を指導し、 個人練習でそれを繰り返し活用させる事でピアノ演奏力を養えるであろ う。 よって、まず一般的な効果的な練習方法として、以下の8点を挙げ、授

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業で伝え、個々の練習に活用してもらいたい。そして今後の成果に注目し たい。 ① 曲を弾く前にまずスケール、リズムなど指のストレッチを行う(10分 程度) まずは、指が滑らかに動くように、スケール、リズムを変えて練習す る。 特に指くぐり、指超えの練習は手首の位置、力の入れ過ぎ等も確認す る。 ②片手ずつの練習をする(10分~20分程度) 右手と左手をいきなり同時に弾くと、左右でト音記号とヘ音記号での異 なる楽譜があり、譜読みが遅いだけでなく、間違いにも気づきにくく効率 が悪い。必ず片手ずつ分けて練習してから両手合わせての練習をする。そ の際、音名で歌いながら弾いて読譜力もつけましょう。 ③テンポを下げて練習してから目標のテンポに近づける(10分程度) 指が転ばず、躓かず弾けるまで、まずはテンポを下げてゆっくり練習 (メトロノーム等を使用するとよい)。その後、テンポを徐々に上げて指示 された目標のテンポに上げていく。 いきなり速いテンポで弾くと、両手が揃っていないことに気づかず、弾 けたと勘違いをしてしまう事があるので要注意。 ④苦手ポイントに集中し、部分練習(10分~20分程度) 曲を通してだけの練習では、同じ個所の間違いが多くなる。間違った箇 所だけを取り出して何度も繰り返し練習し苦手を克服。部分練習をおろそ かにしがちだが、重要な練習であり、必須練習法である。 ⑤練習時間は多く取れずとも、毎日ピアノに触れる ピアノは1日で上達ならず。毎日少なくとも15~30分毎日繰り返し練 習することが大切。暗譜も楽になる。 ⑥録音して客観的に確認するのも効果的 自分の演奏を聞き、気づくことは多い。特にテンポ、強弱やフレーズな

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ど、弾いている時には気づかなかった事に気づく。MLには録音機能があ るのでぜひ活用してほしい。 ⑦曲想をイメージする 明るい曲か/淋しい曲か/愉快な曲か/悲哀な曲か。どんなテーマで書 かれた曲か/どんなシーンで演奏された曲か/イメージを膨らませる事に より豊かに表現が可能になる。 ⑧上手な演奏を聞き、真似る 演奏会に足を運び演奏を聞く事が最も好ましいが、インターネットを利 用し、良い演奏を探し何度も繰り返し聞く。良い演奏を「聞き」、「真似る」 を繰り返す事で暗譜も自然と身に付き感性も磨かれる。

第5章 まとめ

本論では、正しい奏法で音楽を表現できるような指導法の考察をするた めに、使用教本の課題曲におけるテクニックについての検討、初版譜との 校訂の比較をしたことにより、今までとは全く違う解釈を得ることができ た。楽譜に書かれていることは必ずしも作曲者の意図したことと同じとは 限らない。校訂者は、学習者が理解しやすいようにスラーやスタッカー ト、強弱の記号などを書き足すが、それがかえって難しくなっている場合 もある。指導者としては、音楽の表現としては間違いのない判断を示せる ように研究を重ねたい。 注意事項を書き込んだ楽譜については、実際の授業で履修学生が見られ るように作成していく予定である。そして、練習が報われた達成感や技術 を習得した時の喜び、音楽で表現する楽しさを履修者自身が感じる事が出 来れば、のちに幼児、児童に「表現」する心を養う学びを与える時に必ず 役立つと考えられる。

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引用文献

1  今田政成 2017 「ピアノ教則本バイエルに関する一考察」 白鷗大学教育学部論集  第11巻11号:97

2 バイエル 『全訳バイエルピアノ教則本』 全音楽譜出版社:13 3 荒井弘高(監修) 2010『Let’s play the BEYER』 圭文社:9

参考文献

バイエル 『全訳バイエルピアノ教則本』 全音楽譜出版社 荒井弘高(監修) 2010『Let’s play the BEYER』 圭文社

ジェームズ・W・バスティン著 1993 『効果的なピアノ指導法』 丸山太郎訳 東音企画 大村哲弥著 1998 『演奏法の基礎——レッスンに役立つ楽譜の読み方』 春秋社 ジョルジ・シャンドール著 2006 『シャンドール ピアノ教本——身体・音・表現』  岡田暁生訳 春秋社 小野亮祐,多田純一,長尾智絵著,安田寛(監修) 2016 『『バイエル』原点探訪——知 られざる自筆譜・初版譜の諸相』 音楽之友社 トン・コープマン著 2010『トン・コープマンのバロック音楽講義』 風間芳之訳 音楽 之友社

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参照

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