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レーザー側域センサーを用いた円柱対象物の高精度位置計測システムと建築基礎計測への応用

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(1)

レーザ測域センサーを用いた円柱対象物の高精度

位置計測システムと建設基礎計測への応用

井上 文宏

*

High Accuracy Position Measurement System for Cylindrical Object Using

Laser Range Finder and Its Application for Construction foundation

Fumihiro INOUE

Abstract:

This paper describes a study of high accuracy and low cost position measurement system using laser range finder (LRF), and its application for construction foundation. In proposed system, the data obtained from LRF assuming the arc-shaped contours of the object, the center position was analyzed introducing the least square method and maximum likelihood estimation. The error between the analysis and the measurement was corresponds enough to the allowable accurate range. Applying this system to the construction work, the high accurate pile marking and the pile drive positioning were recognized. Since the position and direction of the worker was easily found, the high efficient and short term works were surely performed.

KEY WORDS: LRF, Position Measurement Method, Error Estimation, Construction Application 要旨: レーザ測域センサー(LRF)を用いて円柱対象物を計測し,低コストかつ高い精度で位置計測が可能な計 測システムを開発した。LRF から得られた距離データが円柱の輪郭であると仮定し,円柱の中心位置を最 小二乗法および最尤推定法を用いた解析・推定した。その結果 LRF 自体の精度を越える高い精度で円柱 の中心位置を推定でき,ほぼリアルタイムで位置表示が可能な計測システムを確立した。開発した計測シ ステムを建築基礎工事における杭芯位置や打設杭位置の計測に適用した結果,杭芯位置の許容精度を十分 に満たす高い精度で計測が可能となった。計測者は1人で対応できる他,小型モニターで常に自己位置を リアルタイムで確定できるため,作業効率の向上,作業の省力化が可能となった。 キーワード:レーザ測域センサー,位置計測法,誤差評価,建築適用

1.諸 言

1990 年以降,高層ビル建設の増加や各種の大規模 なインフラ整備に伴い,建設分野では様々な自動化 機械や作業ロボット,高度な計測システムが開発さ れ,適用されてきた。こうした建設施工の自動化は, 作業効率の向上,工期短縮,危険作業の回避に大き く貢献している。昨今の少子高齢化に伴う労働者不 足,熟練作業の継承は深刻な問題であり,その解決 策の一つとして施工の自動化やロボット化に対する 需要は以前にもまして増加すると予想される1, 2。 近年,測量・計測の分野でも計測システムの高度 化が進み,建築基礎工事における敷地測量や杭芯 墨出し作業には高度なトランシットやトータルステ ーションなどが使用され,作業の効率化が図られて いる。また広域な敷地や周囲に遮蔽物のない場所で

はGPS (Global Positioning System) による測量も精度

の向上と共に適用されつつある。こうした測量機器 は精度が高い反面, (1) 価格やレンタル費が高額 (2) 複数の計測を同時にできない (3) リアルタイム計測が少ない (4) 計測に複数の作業者が必要 (5) 周囲環境や測量範囲が限定される など,改善課題も残されている。 一方,これまでの個々のポイント計測に対して, 作業空間の状況を 2 次元あるいは 3 次元的に計測す る手法として,レーザ測域センサー(Laser Range Finder 以下,LRF と呼ぶ)を用いたスキャン技術が開 ______________________ *湘南工科大学 工学部 機械工学科 教授

(2)

発されている。LRF はレーザ光線を回転させながら 物体に照射し,その反射光を読み取ることで TOF (Time of Flight) の原理から物体表面までの距離を連 続計測できる安価なセンサーである。また複数物体 の位置をリアルタイムで計測できる他,作業空間に おける人や移動ロボットの環境認識センサーとして も幅広い利用が見込まれている。特に,建設現場で は,建物の杭や鉄骨建方の位置計測,建物内外の出 来形イメージ取得,進捗状況の確認などへの利用が

期 待 で き る 。 最 近 は BIM (Building Information

Modeling) を利用した建物管理における簡易計測ツ ールとしても活用され始めている。 提案する位置計測システムでは,LRF を用いて作 業空間内を移動する円柱対象物をスキャンし,その 輪郭から中心位置をリアルタイムに推定するもので ある。一般にLRF から得られるデータは円柱対象物 の輪郭の一部分に過ぎないため,回転に対して形状 が不変である円柱平版を使用した。これにより円柱 の向きに関わらず,得られたデータは円弧となり, 解析的に円弧の中心位置を推定することで,より精 度の高い位置計測が可能である。ただし,上記で示 した位置計測は,高精度なトータルステーションの 精度にはやや劣るため,ここではLRF の計測分解能 を補完するハードの導入やソフトの改善を行い,よ り低価格で高い精度の位置計測システムの実現を目 指した。 本稿では,提案する計測システムの原理と計測結 果の検討,またこの計測システムを用いた建設基礎 計測における杭芯および杭打設後のリアルタイム計 測への適用状況について報告する。

2.LRFを用いた位置計測システム

2.1 LRF の原理と位置推定 本計測システムでは,図1に示すような測量用の 三脚上部に設置したLRF と円柱平板を固定した基準 ポールを使用し,作業員が手に持ちながら移動して, 計測ポイントを指示す計測を行う。また,図2に示 すような円柱状の移動ロボットのボディを計測し, 自己位置判定やロボットの自律移動への適用を目指 して行く3, 4。 使用したLRF の仕様を表1に示す。レーザ波長 870 nm,測定可能距離 30 m であり,後述する建設分野へ の適用を目的とするため中距離計測用(5~30 m)を 採用した。またLRF は走査時間 25ms で高速スキャ ンを行なうが,レーザ照射分解能は 0.25 deg.である ため,計測距離が長くなると小さな計測対象は捉え られなくなる。そこで基準ポールの上部に円柱平版 図1 LRF を用いた円柱対象物(基準ポール)の計測シ ステムの概要 図2 LRF を用いた円柱対象物(移動ロボット)の計測 システムの概要 表1 LRF の仕様 (半径250 mm)を設置し,計測範囲内における対象 物の認識を可能にした。計測は円柱の外周面で LRF からのレーザを反射させ,各円柱面までの距離を測 定し,この測定結果を基に円柱の中心位置を解析的 に推定した。 2.2 位置計測のプロセス 図3にスキャンデータの処理工程を示す。LRF か ら得られたデータはLRF の周囲から反射された物体 の位置を示すもので,その生データだけでは基準ポ ールの位置を確定できない。そこで,背景差分法, クラスタリング,中心位置推定,カルマンフィルタ による誤差低減の 4 つのプロセスを経ることにより, 基準ポールの中心位置を確定する。 X1 X2 X3 Y1 Y2 Y3 X1 X2 X3 Y1 Y2 Y3 レーザ・レンジ・ファインダ モニターイメージ 円柱基準棒 LRFのデータイメージ LRF 項   目 適    用 機種タイプ UTM-30LX 光源 半導体レーザ λ=905nm 0.1~10m, ±30 mm 10~30m, ±50 mm 分解角度,範囲 0.25 deg , 270 deg スキャン時間 25 ms 計測精度 移動ロボット LRF レ ー ザ ・ レ ン ジ ・ ファインダ

(3)

図4に示すように,背景差分法ではLRF のスキャ ンデータから移動物体(前景領域)と静止物体(背 景領域)を分離し,次いで背景差分法により前景領 域に属すると判断された点に対して,最短距離法(ユ ークリッド距離)に基づいたクラスタリングを行う。 これにより,各クラスタの中心位置 を得る ことができる。しかしながらLRF は物体の一方の側 面しかスキャンできないため,クラスタ中心と物体 中心は必ずしも一致しない。ここでは,図5に示す ようにクラスタ中心から一定距離 d 進んだ点をクラ スタが表す物体の中心位置 と仮定した (以後,一定距離法と呼ぶ)5。 すなわち ここで, はLRF の原点とクラスタ中心を結ぶ直 線が LRF のX 軸の正方向となす角,d は物体の半径 に応じたパラメータである。また,得られた中心位 置に対してカルマンフィルタを通すことで誤差を低 減した。式 (1)で表される一定距離法はどのような形 状の物体に対しても大まかな中心位置を推定できる という点で利便性はあるが,物体の形状を考慮し, クラスタ中心だけでなく全てのスキャンデータを利 用した方がより正確な位置推定が期待できると考え られる。そこで,得られた基準ポールの輪郭に円の 方程式を当てはめ,中心位置をより正確に推定する 手法を検討した6。 2.3 高精度位置推定手法 一般に二次元平面上における円の方程式は次式で 表される。 ここでa,b は円の中心,r は半径とする。図5に示 すように LRF から得られた基準バーの輪郭に属する データ点 から,円のパラメーa,b, r を推定するために,以下の 2 つの手法を採用した。 (1) 最小二乗法 円の最小二乗法7では式(3)に示す誤差の二乗和 を最小化するようなパラメータa,b,r を計算するこ とで,円の中止位置を推定した。 図3 スキャンデータの処理工程 図4 スキャンデータの処理工程 図5 一定距離法による中心位置の推定 (2) 最尤推定法 得られたデータがある仮定した誤差分布から最も 得られ易いと見なせるようにパラメータを推定する 手法が最尤推定である8。本計測ではLRF から得られ た各データ点 が,各点の誤差がない場合の 位置 に対して,期待値0,標準偏差σの正 規分布に従う誤差が独立に加わったものと仮定した。 このとき,各点の尤度 は, 式(4)で表される。

β

β

sin

cos

d

y

y

d

x

x

cl obj cl obj

+

=

+

=

) , (xcl ycl (a) スキャンデータ (b) 背景のスキャンデータ (c) 背景差分 (d) 中心位置の推定 クラスタリング (-) 差分 ) (xobj, yobj

β

(1) x y LRF 推定した中心位置 最短距離法による中止位置 基準バーの輪郭に属する データ の分類 N y x , ), 1,..., ( α α  

α

=

0

)

(

)

(

x

a

2

+

y

b

2

r

2

=

(2) LS

J

[

]

=

+

=

N LS

x

a

y

b

r

J

1 2 2 2 2

(

)

)

(

α α α (3)

)

,

(

x

α

y

α

)

,

(

x

α

y

α

N

y

x

p

(

α

,

α

),

α

=

,1

2

⋅⋅

⋅⋅

β 背景除去 LRFのデータスキャン 固定物体のデータ除去 分類化 移動物体のデータ分類 中心の推定解析 中心位置の推定 カルマンフィルタ データノイズの除去 基準バーの輪郭に属する データ の分類

(4)

ここで, は, の真値を示す。 尤度 の最大値を求めるため, 対数の逆値 を最小化する。 式(4)の両辺に対して対数を取り,最小化に関与しな い定数を消去すると,円の最尤推定法は式(5)でに示 す を最小化することに等しい(2,3) しかしながら,式(5)は制約条件として式(2)を 満足しなければならない。そこで,ラグランジュの 未定乗数法を用いて,式(5) を書き直すと拘束条件を 含む式(6)を得る。 ここで,λはラグランジュの未定乗数を示す。 の 最小値を求には,式(7)を満たす必要がある。 式(7)を計算することにより, とλをa,b,rで表現でき,また式(5)から, とλを消去すると, はパラメータa,b,rのみの関 数として式(8)で表される。 円柱平板の半径はで既知であることから, を最 小化するa,bを求めることで円の中心位置を推定す ることができる。 図6 RT ミドルウエアを用いた解析ソフトの構成 図7 LRF によるスキャン結果の表示例 一般に円の最尤推定は,式(8)に示すように非線形 方程式となるため,ここでは非線形方程式の反復解 法としてニュートン法を採用し,その初期値には, 式(1)に示した一定距離法の推定値 を使 用した。 2.4 計測システムの構成 LRF を用いた位置計測システムをコンポーネント 化 し て 作 業 の 効 率 化 を 図 る た め ,AIST(Advanced Industrial Science and Technology) が中心となって開

発を進めている RT-ミドルウエアを用いて各プロセ スを実装した 9。RT-ミドルウエアを使用した場合, 様々な機能を有する RT-コンポーネント(各ソフトウ エア要素をモジュール化した単位)をそれぞれ結合 することで,必要なシステムが構成できる利点があ る。図6に示す本計測システムは,LRF データ取得 コンポーネント,位置計測コンポーネント,位置表示 コンポーネントから構成されている10。各コンポーネ ントは入力ポートと出力ポートに分けられ,各入出 力ポートを線で結合することで,データの流れが発

 

2 2 2 2 / / 1 N 1 N 2 2 N α α α α 2 2 α 1 N 2 α α α α α 1 2N 2 p x ,...,x ,y ,...,y exp x x exp y y exp x x y y / 2σ 2



                  

) , (xy ( , )x yα α (4)

N

y

x

p

(

,

),

 2

1

,





log[ (p x ,...,x , y ,..., y1 N 1 N)] 

 

     N ML x x y y J 1 2 2      (5)

 

     N ML x x y y J 1 2 2     

 

      N x a y b r 1 2 2 2   

(6)

0

a

J

ML

0

b

J

ML

0

ML

J

, ,

) 2 , 1 ( ,y N x 

   (7)  

y

x ,

ML J ML

J

2 1 2 2

     N ML x a y b r J    (8) ML J

)

(

x

obj

, y

obj ML J

(5)

生し,各コンポーネントではその機能に応じた処理 作業を行う。また,異なるコンポーネントを結合す ることで他のシステムとの通信も可能である。 図7にLRF の周囲をスキャンした結果の一例を示 す。本計測システムを用いると,簡単な操作で,物 体までの距離をほぼリアルタイムで知ることができ, 計測のリアルタイム化や自己位置の確認,誘導制御 などに活用した。 3.中心位置の推定検証と高精度化 3.1 実験検証 2章で示した計測システムの有効性を検証するた め,屋外環境下に設置したLRF を用いて,基準ポー ルに取り付けた円柱平板(半径250 mm)の中心推定 を実施した。なお,得られたスキャンデータは円柱 の表面の材質によって大きく変化するため,ここで は赤外でも反射率の高い白色紙を円柱に張り付け, 2節で述べた 3 つの推定手法,①一定距離法,②非 線形最小二乗法,③非線形最尤推定を用いて解析を 行った。 図8に計測実験の状況を示す。LRFから基準ポール までの距離 L を2 mから30 mまで2 m 毎に計測を行 い,円柱平板の中心位置を推定した。図9に距離 L と中心位置の誤差(絶対値)EV の関係を示す。図中,

CDM(Constant Distance Method)は一定距離法を, LSM(Least Square Method)は最小二乗法を,MLE

(Maximum Likelihood Estimation)は最尤推定法をそれ

ぞれ示している。 図9より,半径を予め与えた最小二乗法及び最尤 推定法では,距離L に対して誤差 EVは直線的に増加 する傾向があるが,共にほぼ正確に中心位置を推定 できることが可能である。また最尤推定法の方が最 大二乗法に比べて誤差がやや小さい。 ・最小二乗法の誤差:EV = 0.87 L ・最尤推定法の誤差:EV = 0.68 L LRF 本体の誤差は 10 m 以上 50 mm 以下であること から,解析的に円柱の中心位置を求めた方がより精 度の高い推定手法と思われる。 3.2 中心位置の高精度計測 3.1 に示した位置計測の誤差は,高精度なトータル ステーションの誤差に対してはやや大きい値となる ため,ここではLRF のデータ取得の改善や計測分解 能を補完する機器の導入を行い,より高い精度の計 測システムを検討した。 3.2.1 データ取得の改善 (1) ノイズ除去 図 10-(a) に示す円柱周囲のスキャ ンデータを見ると円弧の端部で適合しないデータが 図8 LRF を用いた屋外での計測実験 図9 各解析方法による計測誤差の比較 図 10 RBIF を用いたスキャンデータのノイズ除去 含まれている。これは端部で反射して戻って来る光 が鏡面反射成分ではなく,実際には乱反射成分のみ が戻って来るため,反射光のS/N 比が低下すると考 0 10 20 30 40 50 60 70 0 5 10 15 20 25 30 35 LSM :最大二乗法 MLE :最尤推定法 CDM :一定距離法 LRF自体の誤差 LRFと基準ポールの距離 L m 計測誤差 |E V | mm EV-LSM = 0.87 L EV-MLE = 0.68 L L=10m L=20m L=30m LRF 基準ポール LRF LRF 10 m 不適合データ (a) (b) 10 m

(6)

えられる。そこで円柱の各スキャンデータの反射光 強度を測定し,強度が小さいデータはノイズである

と判断して除去した 11。この反射光強度フィルタ

(RBIF: Reflected beam intensity filter)を用いることで,

図 10-(b) に示すように,円弧に沿ったデータのみを 抽出することが可能となった。 (2) データの平均化 図 11 に示すように,1回のス キャン結果のみではノイズに大きく影響され,対象 点を見逃す場合がある。複数回のスキャン結果に対 してその円柱の中心位置を推定し,ノイズに対して ロバストな推定手法を検討した。ここでは反射光強 度フィルタを用いてノイズを除去し,また 10 回分の スキャン結果に対して中心位置を推定することで, 精度の向上と再現性を確保した。 3.2.2 角度分解の改善 本計測システムで使用したLRF は,レーザ照射の 分解角が0.25 deg.と比較的粗いため,解析に必要な データ数を十分取得することはできない。特に計測 距離が長くなると円柱の円弧に対応する計測点数は 非常に少なくなるため,円弧のクラスタリングが難 しくなる。そこで,図12-(a) に示すような LRF の 分解角に対して,より微小な角度で回転できる高分 解角パンユニット(分解角:0.015 deg.,回転速度: 25 ms/scan)を導入し,LRF と同期させて駆動させ ることで,スキャンデータ数の増加を図った9)。その 結果,図12-(b)に示すように,スキャンデータ数は 増加でき,遠距離での計測に対しても位置推定が可 能となった。 データ取得の改善を行なった後,3.1 と同様の実験 を行い,中心位置の推定とその精度の検証を実施し た。図13 に距離 L と中心位置の誤差(絶対値)EV の 関係を示す。データ取得の改善後,誤差値は, 図12 高分解角パンユニットよる位置推定の改善 図13 高分解角パンユニットを用い各解析方法 による計測誤差率の比 ・最小二乗法の誤差:EV = 0.47 L ・最尤推定法の誤差:EV = 0.36 L の関係となり,誤差がほぼ1/2 に低下して,より高い 精度で中心位置を推定できることが確認できた。ま た最尤推定法は最大二乗法に比し,遠距離でも誤差 値が小さく,建設現場のような広域な位置計測シス テムとしても十分使用できるものと考えられる。 LRF LRF LRF 1 回のスキャン LRF LRF 中心位置 クラスタリング 1 回のスキャン N 回のスキャン クラスタリング レーザ点 レーザ点 (a) 1 回スキャン (b) N 回スキャン 図11 位置推定精度を向上させる複数回計測の導入 (a) パンユニットと角度分解のイメージ (b) 位置推定のためのデータ数の増加 0 10 20 30 40 50 60 70 0 5 10 15 20 25 30 35 LSM :最大二乗法 MLE :最尤推定法 CDM :一定距離法 LRF自体の誤差 LRFと基準ポールの距離 L m EV-MLE = 0.36 L EV-LSM = 0.47 L 計測誤差 |EV | mm LRF パンユニット LRF 最小分解角 0.015 deg. LRFの分解角0.25 deg.

(7)

4. 計測システムの建設基礎計測への応用

4.1 建設現場への応用検討 3 章の結果より,提案する計測システムは,遠距 離でも高い精度の位置計測が可能であることが確認 された。しかしながら,建設工事における建物の建 て方精度は,遠距離であっても数ミリ程度の精度が 求められる場合が多く,現状のLRF を用いた計測シ ステムでは必ずしも十分とは言えない。 そこで比較的許容寸法の範囲が広い建設基礎工事 における杭芯計測への応用を試みた。ここでは杭芯 点の墨出しや杭打設後の杭芯位置の計測を行い,既 に計測された墨出し点や杭位置の簡易確認をリアル タイムで実施した。従来,杭打ち工事における杭芯 の位置精度についてはあまり調査されておらず,微 小な杭頭処理でその誤差を吸収していたが,本計測 システムの適用により精度の高い杭打ち工事が可能 となり,基礎工事の精度向上と手直しのない効率的 な施工が期待できる。なお,本計測システムを利用 した応用例としては,以下に示す例が考えられる。 ・杭打設機械の移動や杭打設時のリアルタイム計測 ・資材運搬における各車両のリアルタイム誘導や自 律システムの確立 ・人や資材の位置計測から危険域の立入りを警告す る安全システム,作業者管理 4.2 実現場における杭芯計測 本計測システムの適用として,既に測量器で杭芯 位置が墨出された敷地に対し,杭芯位置の確認作業 を実施した。 4.2.1 計測の準備と計測方法 (1) LRF の設置 測量用の三脚上に設置した LRF を 測量の原点に正確に設置した。LRF のレーザ照射位 置を地上から約2.5 m の高さに設定し,作業者によ る反射,未確定な物体の出現を極力排除した(図14)。 (2) 計測点の入力 図面上の杭芯座標を計測プログ ラムに入力し,敷地面に置いた基準ポールの位置と 計測画面との対応位置が一致することを確認した。 同様に計測用のモニターを調整し,基準ポールの自 己位置がモニター上の座標位置に対応することを確 認した (図 15)。 (4)計測方法 図 16 に示すように,LRF に対して計 測者が基準ポールを持ち,モニター画面で自己位置 を確認しながら杭芯点まで移動して,既に墨出した 点が近傍に存在するかを確認し,墨出した点に基準 ポールを垂直に設置して,その座標点を計測した。 図16 の上部に基準ポールを持った作業者のモニタ 図14 LRF を用いた杭芯位置計測の準備作業 図14 LRF を用いた杭芯位置計測の準備作業 図15 LRF を用いた杭芯位置計測の準備作業 図16 LRF を用いた杭芯位置の計測状況 携帯端末画面 0 Y X Yc Xc 0 Y X (Xc, Yc) 0 Y X (Xc, Yc) 現場キャリブレーション 反射テープが 付したた基準棒 LRF 基準ポール LRF モニター画面 確定点 未確定点 LTF 現在位置点

(8)

画面の状況を示す。画面上の十字点が基準ポールの 位置に対応し,その座標が表示されている。丸点(縁 無)は既に確認した杭芯点であり,丸点(白縁)は 未確認の杭芯点に対応する。作業者の位置と移動方 向が画面に表示されるため,目標点を定め易いこと が分る。また作業者が自己位置をリアルタイムで確 認しながら移動できるため,計測作業の確認は極め て迅速に実施できた。 4.3 計測結果と誤差評価 図17 に測量器を用いて計測された杭芯位置と本シ ステムで計測した杭芯点との誤差を示す。円の中心 推定法には最尤推定法を採用し,杭芯の確認チェッ クが主目的であるため,高分解角ユニットは使用せ ず,LRF 単体による計測を行った。 杭芯位置の計測では,誤差はLRF からの距離に比 例して増加し,最大で57mm であることが分かる。 ところで,杭芯位置の全体誤算 ET-marked は,式(10) で示される様々な誤差が含まれる。 ここで,Emarkedは杭芯位置を実際に計測した誤差であ り,真値とのずれを表す。Einir.は測量器の計測誤差で あり,およそ5mm 以内と見込まれる。EmarkedはLRF 自体の誤差であり,図9に示したように距離に比例 した誤差値をとる。すなわち,式(10)を書き換えると になる。計測範囲内(L≦30m)における Emarkedが57mm 以下とすれば,全体誤差の最大値は82.6 mm となり, 杭芯位置の許容誤差100 mm 以内にあることが確認 できた。 一方,図18 に示すように,杭打設後に杭頭中心を 本システムで計測し,杭芯位置との誤差を推定した。 図17 に計測した誤差の結果を示す。この場合,全体 誤差ET-drivenは となる。ここで,Edrivenは杭頭位置を実際に計測した 誤差であり,杭芯位置と真値を含むずれを表す。真 値との計測範囲内(L≦30m)における Emarkedが65mm 以下とすれば,全体誤差の最大値は85.4 mm となり, 杭打設後の中心位置も許容誤差100 mm 以内にある ことが確認できた。 図17 LRF を用いた杭芯位置および杭打設位置 の誤差比較 図18 LRF を用いた杭打設位置の計測状況 建設基礎工事における杭芯位置は,地盤や作業現 場の状況によって移動することがしばしばあり,杭 打設後に誤りに気付く場合もある。本計測システム の推定精度は,高度な計測機器にはやや劣るものの 杭芯計測の許容精度を十分に満たすことができる。 杭芯位置が大きく異なる場合や計測位置が非常に多 い場合の簡易計測などには非常に適している。本シ ステムの構成は簡易であり,盛換えや移動が容易で ある。また作業者 1 人でリアルタイムな計測ができ るため,作業の効率化に十分な機能を果たすものと 推察できる。

5.結 論

LRF を使用した簡便,低コスト且つ高精度な位置 計測システムを考案し,システムの構成,位置推定 手法の概要と基礎実験および建設基礎計測における LRF init marked marked T

E

E

E

E

=

+

.

±

)

68

.

0

(

5

L

E

E

Tmarked

=

marked

+

±

LRF driven driven T

E

E

E

=

±

)

68

.

0

(

L

E

driven

±

=

LRFと基準ポールの距離 L m 0 20 40 60 80 0 5 10 15 20 25 30 35 計測誤差 |EV | mm :杭打設位置 :杭芯位置 ET-drivenの最大値 レーザ光 杭芯位置 LRF設置点

(9)

杭芯位置の計測に応用した。以下の結論を得た。 (1) LRF を用いて円柱平板の周囲をスキャンし,そ のデータから円柱の中心位置を推定するアルゴ リズムと推定手法,計測システムを確立した。 (2)推定手法には,一定距離法,最大二乗法,最尤 推定法を応用し,円の方程式に対する誤差式を 各々誘導した。円の半径はで既知であることか ら誤差を最小化する2つのパラメータa,bを求 めることで円の中心位置を推定した。 (3)最大二乗法,最尤推定法を用いた場合,円柱の 中心位置の誤差精度は,LRF自体の誤差より小さ く,高精度な計測が可能である。反射光強度フ ィルタや高分解角パンユニットなどの導入によ り,データ取得の改善を行うことで計測精度は さらに向上する。 (4)開発した位置計測システムを杭芯の位置計測に 応用するため,計測手法,計測点のリアルタイ ム表示,データ収集方法を確立した。計測した すべての位置で計測誤差は許容範囲内にあるこ とを確認した。 本計測システムの推定精度は,高度な計測機器は やや劣るものの杭芯計測の許容精度を十分満たすこ とが確認できた。本システムの構成は極めて簡易で あり,盛換えや移動が容易である。また作業者1人で リアルタイムな計測ができるため,作業の効率化や コストの削減が十分な可能と推察できる。今後は計 測精度の向上を目指すと共に,計測システムの応用 分野を拡充し,その普及を実施して行く。 最後に本研究開発に際し,ご協力頂いた中央大学 橋本秀紀教授,芝浦工業大学佐々木毅助教および関 係各位に記して感謝の意を表す。

参考文献

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参照

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