• 検索結果がありません。

両立支援とジェンダー平等政策は車の両輪(PDF:500KB)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "両立支援とジェンダー平等政策は車の両輪(PDF:500KB)"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

提 言

No. 707/June 2019 1 女性の職場進出の増大は出生率の低下につなが るというのが 60 年代から 80 年代にかけての定 説であった。しかし,90 年代の終わりになると, 北欧諸国やフランスなどで出生率が上昇傾向に転 じる。他方,東欧諸国や南欧諸国,東アジア諸国 では,依然として人口を安定的に維持する人口置 換水準を下回る低出生の状態が続いている。 出生率の回復に成功した国を見ると,両立支援 もさることながら,ジェンダー平等政策(Gender Equality Policy)があり,女性の力を経済に生か すことによって経済の発展を推進しながら出生率 を回復させている。そのことの重要性を昨年韓国 で開かれた国際会議に出席してあらためて思っ た。 例えばスウェーデンでは,70 年に税制度や社 会保障制度が個人単位化され,いつでも学び直し ができる無償の教育制度がある。そして,両立支援 に関して言えば,家族に依存しないケアの仕組みが 整っている。さらに,家事や育児に関しても両性の 平等が原則となった休業制度が導入されている。 フランスは,多様な家族形態を認めるととも に,働く女性の視点から保育環境が整備されてい る。子供手当においては,出産数が多くなるほど 支給や税額控除が増えるといった顕著な出生奨励 策が取られている。また,父親の出産休暇は 2 週 間と短く,基本的には女性が育児をする社会だと聞 く。同時に,OECD 諸国の中で,女性のフルタ イム就労(あるいはそれに近い就労)が多く,労 働時間が顕著に短いパート就労をする女性が少な い。ちなみに,フランスのフルタイムの週あたり の労働時間は 37 時間と短い。 これに対してドイツは,男性稼ぎ主が前提とさ れた国であって,性別役割分業意識も強い。子 育て中はパートの中でも労働時間が短い mini-job と言われる就労をする女性が多かった。税制度に おいてもパート就労が優遇され,保育所も不足し ており,開閉時間にも問題があった。そのために, 高いスキルを持った女性は,キャリアを優先し, 結婚しないことを選択する傾向があり,それが少 子化に拍車をかけていた。 そのドイツでメルケル政権下の 2007 年に,出 生政策のパラダイムシフトが起き,出生率の回復 と出産後の女性の労働参加の拡大,男性の育児参 加を促進するための制度改正がおこなわれ,育児 休業中の所得補填額が増額され,父親が取得しな いと失われる育児休業制度が導入されるなどに よって,出生率も上昇に転じるのである。 少子化対策はそれぞれの国の特徴があるのだ が,しかし,回復基調にのせたスウェーデンやフ ランスでは,ジェンダー平等政策と両立支援政策 を両輪に据えた少子化対策がとられている。ドイ ツもその方向に舵を切った。 ところが日本では,少子化対策は強化され,99 年には均等法は強化されたが,同時に,派遣の自 由化などによって,その効果は弱まった。また, 不安定雇用が男性にも広がったことによって,結 婚したくても経済的な裏づけが持てない若者が増 えたことが少子化をさらに進めた。少子化対策に おいては正社員がその対象となるが,バブル経済 崩壊後には,正社員の採用が抑制されたため,対 象範囲も狭められた。 加えて,正社員が育児休業制度を取得したり, 短時間勤務制度を利用したりすると,所得のロス が生じることが多くの研究で実証されている。 働き方改革によって,「定時に帰る」社会を作 り,両立支援とともにジェンダー平等政策を両輪 に据えた政策が超少子化からの脱却につながるの ではないだろうか。 (おおさわ・まちこ 日本女子大学教授)

大沢真知子

両立支援とジェンダー平等政策は車の両輪

参照

関連したドキュメント

ともわからず,この世のものともあの世のものとも鼠り知れないwitchesの出

事業所や事業者の氏名・所在地等に変更があった場合、変更があった日から 30 日以内に書面での

となってしまうが故に︑

1に、直接応募の比率がほぼ一貫して上昇してい る。6 0年代から7 0年代後半にかけて比率が上昇

大村 その場合に、なぜ成り立たなくなったのか ということ、つまりあの図式でいうと基本的には S1 という 場

就職後の職場定着が最大の使命と考えている。平成 20 年度から現在まで職場 定着率は

もうひとつ、今年度は安定した職員体制の確保を目標に取り組んでおり、年度の当初こそ前年度から かしの木から出向していた常勤職員 1