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【書評】システムと行動(松田正一 著)

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Academic year: 2021

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松田正一著

システムと行動

泉文堂 1983年発行定価 6000 円 449ページ 11111111111 ・ s ・ 11111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 ‘ 11111111111111111111 ・ 111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 ・ 11111111111111111111111111 本書は早稲田大学システム科学研究所の松田正一元教 授のシステム論に感銘を受け,先生の主催するゼミやシ ンポジウムに参加してきた,いわば松田門下生が先生の 退職を記念して出版された,松田システム論の基礎と応 用の書といえよう. 松田氏は物理学からスタートし, OR やコンビュータ 等の企業への適用に従事され,その際にひき起されるさ まざまな歪の存在に気づき,システム研究へ変遷してゆ くようになった経緯が述べられている.本書によると, 松田システム論の骨子は以下の 3 特徴に要約されよう. 第 1 はシステム的認識とは全体的認識のことであり,全 体的認識は対象を実体概念ではなく関係概念で見ること であり,全体と部分の関係を機能的に把えることにある とする点である.われわれはシステムモデルを構築する とき,個々の実体を要素にとり,その上に結合関係を考 えて全体モデルを建てることが多いが,このようなやり 方は実体概念にもとづくモデル構築といえる.これに対 して機能概念(関係概念)によるアプローチは,見ょう とするのは全体そのものであり,まず全体が与えられ, それを部分に分割することになるが,その仕方は実体で はなく機能にもとづかなければならないとする点に特徴 がある. 松田システム論の第 2 の特徴は,人間の行動モデルの 構築にあるが,基本的にはオートマタモデルを用いつ つ,人間行動を表層構造(表に現われる行動を計算する 部分)と深層構造(心の状態変化により表層の行動様式 を変化させる部分)に分けるところにある.このような 多層的認識は構造主義の影響を受けているといえよう. 第 3 の特徴は,従来のシステム論が認識論に偏してい たのに対し,システムの存在論,解釈論,意味論が指向 されていることである. 序論では「システム論の諸層 J と題して,松田氏自身 による γ ステム論の基本枠組みが述べられている.第 1 部「システム論の基礎」は 6 章からなり, システム論の 歴史,主意主義的行為論,および松田システム論の中絞 をなす表層・深層構造の解説があり,松田システム論の 理解の一助となろう.第 2 部「システムとモデル j は 6 1983 年 10 月号 章からなる.システム科学はモデルの利用を絶対とする が,モデル論の展開はあまりなされてこなかった.第 2 部では, γ ステム論におけるモデル論の展開と,さまさ. まなシステムモデルのうち機能構造に注目するモデル表 現が,松田システム論の展開という形でなされている. 第 9 章では機能構造が束構造をなし,その束準同型像を もってモデルと把撞している.第 10章では,オートマタ

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(0, À の同定)の問題を論じている.第 11 章では,学習 可能性概念を言語理論的枠組みを用いて定義し,学習可 能であるための条件を与えている. 第 3 部「システムと行動」は 7 章からなり,松田シス テム論の中心をなす行動の表層・深層構造の応用集とい うことができょう.第 13章では,表層・深層の両構造を マルコブモデルで表現し,深層構造の状態変化により表 層構造の遷移行列が変化するとし、う定式化で集団内相互 作用を表現している.第 15-18章は都市・地域・建築計 画等のシステム論的展開を扱っており,建築関係では建 築空間と人間行動の総体としてのシステム, r もの J と 「人間 j からなる全体としてシステム論に高い関心があ るようである.最終章は消費者行動に対して表層・深層 モデルを考えている. 松田システム論の知的関心の広さは,工学にとどまら ず,文化人類学,社会学,言語学,哲学にまでおよんで いる.本書には見られなかったが,システムの存在論や 解釈論,意味論,さらには松田氏自身が試みられている とし、う短歌の分析なども載せられたら一層おもしろかっ たように思われる.松田システム論は工学からスタート し,究極的には人文科学的領域までとり込む,大変裾野 の広いシステム論になっているといえ,底の浅い即物的 なシステムズアプローチしか手にふれることの少ないわ れわれにとって大いなる反省を与えるとともに,知的好 奇心の旺盛な人々の知的満足を充足し,また人文系の人 々にも興味を覚えさせる書であるといえよう. (中野文平東京工業大学) (57)

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