有限責任監査法人トーマツ
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表題は28ptの太字
IFRS第17号「保険契約」の修正
にむけたIASBにおける議論の解説
金融機関のためのIFRS最新連続セミナー(第18回)
IFRS第17号の修正にむけた議論の概要
4
A)投資サービスに帰属するCSM
13
B)保険獲得キャッシュ・フロー
19
C)リスク軽減オプション
31
D)期中財務諸表
37
E)IFRS第17号の発効日等
40
F)その他
43
講師経歴
48
目次
本資料の意見に関する部分は筆者の私見であり、有限責任監査法人トーマツの公式見 解ではありません。 本資料は信頼できると判断した資料・データ等により作成いたしましたが、その正確性お よび完全性について保証するものではありません。参考にいたしました資料やそこに記 載されていた数値等につきましては、その合理性や妥当性についてのレビューは一切 行っておりません。 本資料中に記載された意見や予測は作成時点のものであり、今後新たな情報等が得ら れた場合には予告なく変更される可能性があります。凡例
CF
Cash Flow (キャッシュ・フロー)
CIF
Cash In Flow (キャッシュ・イン・フロー)
CSM
Contractual Service Margin (契約上のサービス・マージン)
FVPL
Fair Value Through Profit or Loss(純損益を通じて公正価値で測定)
IASB
International Accounting Standards Board (国際会計基準審議会)
IFRS
International Financial Reporting Standards(国際財務報告基準)
IFRS第9号
IFRS第9号「金融商品」
IFRS第15号
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
IFRS第17号
IFRS第17号「保険契約」
PAA
Premium Allocation Approach (保険料配分アプローチ)
TRG
Transition Resource Group (移行リソース・グループ)
VFA
Variable Fee Approach (変動手数料アプローチ)
修正公開草案
公開草案「IFRS第17号の修正」
審議会
国際会計基準審議会
保険獲得CF
保険獲得キャッシュ・フロー
履行CF
履行キャッシュ・フロー
IFRS第17号の修正にむけた議論の概要
(1)IFRS第17号の修正までの時系列
(2)IASBによる修正公開草案に対するフィードバックの審議
(3)審議会で検討されたトピック
(4)審議会がIFRS第17号を修正すると暫定決定したトピック
(5)解説の構成
「IFRS第17号の修正」は
2020年中頃に発行
される予定です
(1)IFRS第17号の修正までの時系列
2017年5月
IFRS第17号を公表
2020年中頃
「IFRS第17号の修正」
を発行
2019年9月まで
公開草案「IFRS第17号の修正」
のコメント募集
2019年10月から2020年3月
公開草案「IFRS第17号の修正」
に対するフィードバック等を審議
2018年2月から
2019年4月
合計4回のTRG会議
を開催
2019年6月
公開草案「IFRS第17号
の修正」を公表
2019年12月から2020年3月の審議会で
IFRS第17号の修正内容が協議
されました
(2)IASBによる修正公開草案に対するフィードバックの審議
IASBは、 2019年10月から2020年3月に開催した審議会において、公開草案「IFRS第17号の修正」に寄
せられたコメントレターおよびアウトリーチからのフィードバックを以下の通り議論しました
2019年10月および11月の審議会:
フィードバックの要約や再審議計画の確認など
2019年12月から2020年3月の審議会:
各トピックについてIFRS第17号を修正するか否か、修正する場合のその内容を決議
本資料は、IFRS第17号から修正公開草案、そして暫定決定
に至るまでにどのような議論および修正が行われたのか、
2019年12月から2020年3月の審議会で検討された内容を中
心に解説します
審議会では
19個のトピック
が検討されました(1/2)
(3)審議会で検討されたトピック(1/2)
#
トピック
Agenda paper
1
融資についての範囲除外
2019年12月AP2A
2
投資サービスに帰属するCSM - 直接連動有配当保険契約についてのカバー単位
2019年12月AP2A
3
財政状態計算書における表示 - グループ・レベルではなくポートフォリオ・レベル
2019年12月AP2A
4
リスク軽減オプションの適用可能性 - 保有している再保険契約
2019年12月AP2A
5
企業結合についての経過的な救済措置
2019年12月AP2A
6
リスク軽減オプションについての経過的な救済措置 - 移行日からの適用および公正価
値アプローチを適用する選択肢
2019年12月AP2A
7
クレジットカードについての範囲除外の提案
2020年1月AP2A
8
保険獲得CFの予想される回収についての修正案
2019年12月AP2B
9
投資サービスに帰属するCSMについての修正案 - 直接連動有配当保険契約以外の保
険契約についてのカバー単位、開示および用語法
2020年2月AP2A
10
保有している再保険契約についての修正案 - 損失の回収
2019年12月AP2C
審議会では
19個のトピック
が検討されました(2/2)
(3)審議会で検討されたトピック(2/2)
#
トピック
Agenda paper
11
リスク軽減オプションの適用可能性 - 純損益を通じて公正価値で測定する非デリバティ
ブ金融商品
2020年2月AP2C
12
IFRS第17号の発効日の提案
2020年3月AP2A
13
IFRS第4号「保険契約」におけるIFRS第9号「金融商品」の一時的免除の延長の提案
2020年3月AP2A
14
経過措置 - リスク軽減オプションの遡及適用の禁止
2020年1月AP2B
15
軽微な修正の提案
2020年2月AP2D
16
集約レベル - 一部の特定の保険契約についての年次コホート
2020年2月AP2B
17
企業結合 - 決済期間において取得した契約
2020年1月AP2C
18
期中財務諸表
2020年1月AP2D
19
追加の具体的な経過的修正および救済措置
(保険獲得CFに係る経過措置を含む)
2020年1月AP2E
2020年2月AP2E
審議会は10区分・
18個のトピック
の修正を暫定決定しました(1/2)
(4)審議会がIFRS第17号を修正すると暫定決定したトピック(1/2)
#
トピック
審議会による暫定決定
修正公開草案
通りの修正
修正公開草案の変
更を伴う修正
修正公開草案で提
案されていない修正
1A
保険契約の定義を満たすクレジットカードおよびその他の類似する契約
についての範囲除外
2020年1月AP2A
1B 保険契約の定義を満たす融資についての範囲除外
2019年12月AP2A
2
保険獲得CFの予想される回収
2019年12月AP2B
2020年1月AP2E
3
投資リターン・サービスと投資関連サービスに帰属するCSM
2019年12月AP2A
2020年2月AP2A
4
保有している再保険契約 - 基礎となる保険契約に係る損失の回収
2019年12月AP2C
5
財政状態計算書における表示
2019年12月AP2A
6A リスク軽減オプションの適用可能性 - 保有している再保険契約
2019年12月AP2A
6B
リスク軽減オプションの適用可能性 -純損益を通じて公正価値で測定
する非デリバティブ金融商品
2020年2月AP2C
7
期中財務諸表に係る会計方針の選択
2020年1月AP2D
審議会は10区分・
18個のトピック
の修正を暫定決定しました(2/2)
(4)審議会がIFRS第17号を修正すると暫定決定したトピック(2/2)
#
トピック
審議会による暫定決定
修正公開草案
通りの修正
修正公開草案の変
更を伴う修正
修正公開草案で提
案されていない修正
8A IFRS第17号の発効日
2020年3月AP2A
8B IFRS第4号「保険契約」におけるIFRS第9号「金融商品」の一時的免除
2020年3月AP2A
9A 獲得した保険契約に対する経過的な救済措置
2019年12月AP2A
9B リスク軽減オプションに対する経過的な救済措置 - 移行日からの適用
2019年12月AP2A
9C
リスク軽減オプションに対する経過的な救済措置 - 公正価値アプロー
チの適用の選択
2019年12月AP2A
9D 裁量権付有配当投資契約に対する経過的な救済措置
2020年2月AP2E
9E 保有している再保険契約が獲得された日に対する経過的な救済措置
2020年2月AP2E
9F 期中財務諸表に対する経過的な救済措置
2020年2月AP2E
10 軽微な修正
2020年2月AP2D
「審議会で検討された19個のトピック」を
詳述する5つのテーマ(A~E)
とその他(F)に区分して解説します
(1/2)
(5)解説の構成(1/2)
2
投資サービスに帰属するCSM - 直接連動有配当保険契約についてのカバー単位
2019年12月AP2A
9
投資サービスに帰属するCSMについての修正案 - 直接連動有配当保険契約以外の保
険契約についてのカバー単位、開示および用語法
2020年2月AP2A
A)投資サービスに帰属するCSM
8
保険獲得CFの予想される回収についての修正案
2019年12月AP2B
19
追加の具体的な経過的修正および救済措置
(保険獲得CFに係る経過措置)
2020年1月AP2E
B)保険獲得CF
4
リスク軽減オプションの適用可能性 - 保有している再保険契約
2019年12月AP2A
6
リスク軽減オプションについての経過的な救済措置 - 移行日からの適用および公正価
値アプローチを適用する選択肢
2019年12月AP2A
11
リスク軽減オプションの適用可能性 - 純損益を通じて公正価値で測定する非デリバティ
ブ金融商品
2020年2月AP2C
14
経過措置 - リスク軽減オプションの遡及適用の禁止
2020年1月AP2B
C)リスク軽減オプション
「審議会で検討された19個のトピック」を
詳述する5つのテーマ(A~E)
とその他(F)に区分して解説します
(2/2)
(5)解説の構成(2/2)
18
期中財務諸表
2020年1月AP2D
D)期中財務諸表
12
IFRS第17号の発効日の提案
2020年3月AP2A
13
IFRS第4号「保険契約」におけるIFRS第9号「金融商品」の一時的免除の延長の提案
2020年3月AP2A
E)IFRS第17号の発効日等
1
融資についての範囲除外
2019年12月AP2A
3
財政状態計算書における表示 - グループ・レベルではなくポートフォリオ・レベル
2019年12月AP2A
5
企業結合についての経過的な救済措置
2019年12月AP2A
7
クレジットカードについての範囲除外の提案
2020年1月AP2A
10
保有している再保険契約についての修正案 - 損失の回収
2019年12月AP2C
15
軽微な修正の提案
2020年2月AP2D
16
集約レベル - 一部の特定の保険契約についての年次コホート
2020年2月AP2B
17
企業結合 - 決済期間において取得した契約
2020年1月AP2C
19
追加の具体的な経過的修正および救済措置
(保険獲得CFに係る経過措置以外)
2020年2月AP2E
F)その他
A)投資サービスに帰属するCSM
#
トピック
Agenda paper
2
投資サービスに帰属するCSM - 直接連動有配当保険契約についてのカバー単位
2019年12月AP2A
直接連動有配当保険契 約以外の契約の場合、 保険カバーのみを考慮 すると一部の契約で財 務業績を忠実に表現で きないのではないか 直接連動有配当保険契 約の場合、カバー単位 には投資関連サービス を含めるべきなのか
A)投資サービスに帰属するCSM(1/5)
(B119項)CSMをカバー単 位に基づいて一定の期間 に基づいて損益に認識する (1)修正公開草案から変更 なし (2)要件の1つである「正の 投資リターン」を「投資リ ターン」に変更 (3)履行CFには、投資リ ターン・サービスが存在しな い場合でも、企業が保険カ バーの給付を拡充するため の投資関連コストが含まれ ることを規定 (4)修正公開草案から変更 なしIFRS第17号
フィードバック1
修正公開草案
暫定決定
(1)保険契約サービス(保 険カバー、投資リターン・ サービス、投資関連サービ ス)の定義を追加(付録A) (2)投資リターン・サービス を提供する可能性のある要 件を追加(B119B項) (3)履行CFには、投資関連 サービスおよび投資リター ン・サービスを提供する際 のコストが含まれることを規 定(B65項) (4)下記開示を企業に要求 i. 企業がCSMを純損益に いつ認識すると見込ん でいるのかに関する定 量的情報(109項) ii. 保険カバーと投資リター ン・サービスまたは投資 関連サービスが提供す る給付の相対的なウェイ ト付けを決定するための アプローチ(117項)フィードバック2
(1)コメントを寄せたすべて の者が修正公開草案に肯 定的であった (2)「正の投資リターン」は 不明確で実務上の取扱い に疑問を生じさせる (3)修正公開草案の要件を 満たさない場合、投資活動 に係る取引コストが履行CF として取り扱われず実態を 反映しない (4)多くは修正公開草案に 肯定的であったが、少数の 者から、定性情報の開示で 十分である、他の基準で将 来業績の見込みを開示す る要求事項はないといった 否定的なコメントがあった 保険カバーのみでは企業の 各期間にわたる財務業績を 忠実に表現できない場合が ある 例えば、年金期間にのみ保 険カバーを提供する年金残 高のある据置年金契約など の場合、据置期間中にCSM が損益に認識されないこと になり、据置期間中の投資 リターンサービスの事実を適 切に反映できない 投資関連サービスを考 慮することを要求してい るのか、認めているの か、禁止しているのか 様々な見解が存在 (TRGの議論など) 会計処理にばらつきが 生じ、企業間の比較可 能性を低下させるリスク がある 企業は保険契約期間を通じ て保険契約者に給付を与える ために投資活動を実施すると いう事実に反する 暫定決定で修正 何に対して「正」なのか、契約期 間全体を通じて「正」か決定す る必要があるのかなど 暫定決定 で修正 (1)~(4)のそれぞれを次ページ以降で詳述2019年12月 Agenda paper 2A、2020年2月 Agenda paper 2A IFRS第17号の修正 あり 修正公開草案からの変更 あり
修正公開草案において、保険契約サービスの定義等が追加され、投資サービス
に帰属するCSMの要求事項が明確化または新たに追加されました
A)投資サービスに帰属するCSM(2/5)
修正公開草案において、保険契約サービスの定義が追加され、カバー単位の識別では投資関連サービスまたは投資リ
ターン・サービスを考慮することが明確化等されました(修正公開草案からの変更なし)
(付録A)保険契約サービスとは、企業が保険契約の保険
契約者に提供する次のようなサービス:
(a)保険事故に対するカバー(保険カバー)
(b)直接連動有配当保険契約以外の保険契約について、
該当がある場合には、保険契約者のための投資リ
ターンの生成(投資リターン・サービス)
(c)直接連動有配当保険契約について、保険契約者に代
わっての基礎となる項目の管理(投資関連サービス)
追加された保険契約サービスの定義
(B119項)保険契約グループについての契約上のサービ
ス・マージンの金額は、当該期間に
保険契約
グループに
基づいて提供された保険契約サービスを反映するために、
各期間の純損益に認識される
CSMの計算で保険契約サービスを考慮する旨を規定
青字
:修正公開草案で追加された箇所
直接連動有配当保険契約:
カバー単位を、保険カバーと投資関連サービスの両
方の給付の量および予想期間を考慮して識別する
直接連動有配当保険契約以外の保険契約:
カバー単位を、保険カバーに加えて、投資リターン・
サービス(もしあれば)の給付の量および予想期間を
考慮して識別する
新たな要求事項
明確化
実務に与える影響の考察1:
保険契約を下記の3種類に分類する必要がある
直接連動有配当契約 直接連動有配当契約以外の保険契約(投資リターン・サービスあり) 直接連動有配当契約以外の保険契約(投資リターン・サービスなし)実務に与える影響の考察2:
保険カバーと投資リターン・サービスまたは投資関連サー
ビスが提供する給付の相対的なウェイト付けの決定にお
いて、保険商品特性等を踏まえて判断を行う必要がある
実質的に投資関連
サービス契約である
投資リターン・サービスの有無は
要件に照らして企業が判断する
(次ページ参照)
左記の変更の結果、以下の取扱いとなる
暫定決定の詳細
– (1)保険契約サービス
A)投資サービスに帰属するCSM(3/5)
保険契約サービスの定義追加に伴い、修正公開草案において「投資リターン・サービスの提供に係る要件」が追加され、
暫定決定において一部の文言の修正が行われました
(B119B項)直接連動有配当保険契約以外の保険契約は、
次の場合に、かつ、次の場合にのみ、投資リターン・サー
ビスを提供する可能性がある
(a)投資要素が存在するか、または保険契約者がある金
額を引き出す権利を有している
(b)投資要素または保険契約者が引き出す権利を有して
いる金額に、投資リターンが含まれると企業が見込ん
でいる(例えば、投資リターンはマイナス金利の環境
ではゼロを下回る可能性がある)
(c)企業がその投資リターンを生み出すために投資活動
を行うと見込んでいる
追加された投資リターン・サービスの提供に係る要件
投資リターン・サービスが存在する場合
=保険事故が生じていなくても保険契約者が投資リターンから便益を
受ける権利を有している場合
そのため、
(a)を満たさない場合、保険契約者は保険事故の発生なしに投
資リターンから便益を受ける権利を有していない
(a)を満たさない場合、保険契約者は区分された投資リターン・
サービスを受けているのではなく、企業の投資活動により拡充さ
れた保険カバーの便益を受けている
IASBスタッフ見解
実務に与える影響の考察:
以下の事項の決定が必要
保険契約が投資リターン・サービスを提供するのか
投資リターン・サービスを提供する場合に、CSMの償却ドライ
バーの決定に関連して、投資リターン・サービスの給付の量をど
のように算出するのか
IASBの投資要素に対する意図を明確化するために、修
正公開草案において、投資要素の定義が以下のように修
正されている(#15:軽微な修正の提案(2020年2月
AP2D))
「保険契約が、保険事故が発生するかどうかにかかわら
ず、すべての状況において
たとえ保険事故が発生しな
かった場合であっても
保険契約者に返済することを企業
に要求している金額」
(参考)関連する他の修正
修正公開草案では「正の投資リターン」とされていたが、下記の理由
により「投資リターン」に修正された:
B119B項は投資リターン・サービスの最低限の要件を定めており、
企業は特定された事実と状況、経済的実質に基づいて判断する
企業に適切な判断を行うためには、単に「投資リターン」と規定す
るだけで十分である
暫定決定の詳細
– (2)投資リターン・サービスの提供に係る要件
A)投資サービスに帰属するCSM(4/5)
修正の背景
履行CFとは契約の履行に直
接関連するCFである
修正公開草案により、保険
契約サービスが下記の3つ
に整理された
(a)保険カバー
(b)投資リターン・サービス
(c)投資関連サービス
上記各サービスに直接関連
するCFの範囲を明確にする
必要がある
(1)直接連動有配当保険契約
資産管理コストは契約の履行に直接関
連する
(2)直接連動有配当保険契約以外の保
険契約(投資リターン・サービスあり)
企業が投資リターン・サービスを提供す
るためのコストは契約の履行に直接関
連する
(3)直接連動有配当保険契約以外の保
険契約(投資リターン・サービスなし)
企業が保険カバーの給付を拡充するた
めの投資関連コストは契約の履行に直
接関連する
整理された履行CFの範囲
直接連動有配当保険契約は実質的に投資
関連サービス契約(企業は保険契約者に
代わって資産を管理してる)であり、資産管
理コストは契約履行コストの一部
IASBスタッフ見解
投資リターン・サービスは保険契約サービ
スであり、投資リターンサービスを提供する
ためのコストは契約履行コストの一部
拡充された保険カバーの給付を通じて保険
契約者が投資リターンを受取ることを、企
業が保険契約者と訳している場合には、拡
充のためのコストは契約履行コストの一部
実務に与える影響の考察:
投資取引に係るコストのうち履行CFに含める範囲の決定が必要
履行CFに含める投資取引に係るコストの範囲は不利な契約の判定に影響を与える
修正公開草案には含まれていなかったが、企業
は保険契約期間を通じて保険契約者に給付を
与えるために投資活動を実施するという事実に
反するというフィードバックに同意し追加
暫定決定の詳細
– (3)履行CFの範囲
保険契約サービスの定義追加に伴い、修正公開草案では下記「整理された履行CFの範囲」欄に記載の(1)および(2)が
整理され、暫定決定では(3)が追加されました
A)投資サービスに帰属するCSM(5/5)
修正の背景
直接連動有配当保険契約:
カバー単位を、保険カバーと
投資関連サービスの両方の
給付の量および予想期間を
考慮して識別する
直接連動有配当保険契約以
外の保険契約:
カバー単位を、保険カバーに
加えて、投資リターン・サービ
ス(もしあれば)の給付の量
および予想期間を考慮して
識別する
カバー単位の決定において
複数のサービスをウェイト付
けすることで主観性と複雑性
が増大するため、開示の手
当てが必要
(109項)CSM損益認識の定量情報:
当報告期間の末日現在で残っている
CSMを純損益に認識すると予想して
いる時期についての説明を、適切な期
間帯で定量的に開示する
(117項)給付の相対的なウェイト付け
保険カバーと投資リターン・サービスま
たは投資関連サービスによって提供さ
れる給付の相対的なウェイト付けの決
定アプローチを開示する
拡大された開示
左記定量情報は、サービス提供のパ
ターンに関する有用な情報を提供し、
当開示を要求することは、IFRS第17号
が重要な判断を企業に求めている観点
から正当化される
多くの企業は既に同様の情報を保持し
ていると考えら、企業の不当なコスト負
担にはならない
IASBスタッフ見解
109項が要求する定量情報を踏まえると、
主観性と複雑性への対応は、給付の相対
的なウェイト付けを要求することで十分であ
る
実務に与える影響の考察:
当開示に対応する情報を保持していない場合、システム開発と内部統制の構築が必要になる
IFRS第17号では定量的または
定性的に開示とされていたもの
を定量的情報に限定した
117項の開示項目に追加
暫定決定の詳細
– (4)開示
カバー単位の識別において投資関連サービスまたは投資リターン・サービスを考慮することにより、会計処理の主観性と
複雑性が増大します。これに対応し、修正公開草案において開示が拡大されました(修正公開草案からの変更なし)
B)保険獲得キャッシュ・フロー
#
トピック
Agenda paper
8
保険獲得CFの予想される回収についての修正案
2019年12月AP2B
更新契約を考慮して手 数料を支払っている更新 型契約等において経済 的実態を反映しない IFRS第17号の要求事 項は、IFRS第15号の要 求事項と異なっている 保険獲得CFの配分にお いて予想される契約更 新を考慮する代わりに、 契約の境界についての 要求事項を、たとえ企業 が更新に関して実質的 な権利も実質的な義務 も有していない場合で あっても、すべての予想 される契約更新を当初 の契約の境界線の中に 含めることを要求するよ うに修正することを提案
B)保険獲得CF – 予想される回収(1/3)
(27項)保険契約グループ に関して当該グループが認 識される前に支払われる 保険獲得CFに係る資産を 認識する (27項)保険獲得CFが配分 される保険契約グループが 認識される際に、保険獲得 CFから生じた資産の認識 を中止する (1)修正公開草案から変更 ないが、保険獲得CFの再 配分の取扱いが明確化さ れた(次ページ参照) (2)修正公開草案から変更 ないが、保険獲得CFの会 計処理単位が保険契約グ ループであることが明確化 された (3)修正公開草案から変更 なし (4)修正公開草案から変更 なし (5)修正公開草案から変更 なし(保険獲得CFに係る資 産を関連する保険契約 ポートフォリオの帳簿価額 に含めて表示するとする79 項の要求事項を維持)IFRS第17号
フィードバック1
修正公開草案
暫定決定
(1)保険獲得CFを規則的 かつ合理的な方法を適用し て保険契約グループおよび 当該グループの中の契約 の更新から生じると見込ま れる契約を含むグループに 配分する (2)保険獲得CFが配分さ れる保険契約グループが 認識される前に支払われる 保険獲得CFを資産として 認識する (3)保険獲得CFに係る資 産が減損している可能性が あることが事実および状況 により示唆されている場合、 2ステップの減損テストを実 施する (4)下記開示を企業に要求 i. 保険獲得CFに係る資産 の期首残高から期末残 高への調整表 ii. 保険獲得CFに係る資産 の認識の中止の見込み に係る定量的情報フィードバック2
(1)契約更新に対する見込 みが変化した場合に、企業 は保険獲得CFの再配分を 要求されるのか、認められ るのか明確でない (2)保険獲得CFに係る資 産の会計処理単位が明確 ではない (3)減損している可能性が あることが事実および状況 により示唆されている場合 に限らず年次で減損テスト を実施することが考えられ る (4)減損テストを実施するた め、認識の中止の見込みに 係る定量的情報の開示は 不要と考えられる (5)保険獲得CFに係る資 産を関連する保険契約 ポートフォリオの帳簿価額 とは別に表示することが考 えられる 2019年12月 Agenda paper 2B IFRS第17号の修正 あり 修正公開草案からの変更 あり IFRS第15号は、予想される 契約の更新を通じて回収す ることを期待して支払うコス トについて認識した資産を、 財およびサービスの移転 (具体的に期待されている将 来の契約に基づく財および サービスの移転を含む)の パターンに基づいて償却す ることを要求している 保険契約から生じる企業の実質的な権 利および義務を会計処理するという IFRS 第17 号における中心的な原則と 不整合となるため、当提案は棄却されたIFRS第17号、修正公開草案、暫定決定の議論の流れ
修正公開草案において、保険獲得CFに係る資産の測定で予想される契約の更新を考慮することが提案され、暫定決定
によりその測定方法がより明確化されました
(1)保険獲得CFに係る資産は保険契約グループ
単位で認識する(保険獲得CFの会計処理単
位は保険契約グループである)
(2)保険獲得CFに係る資産を関連する保険契約
ポートフォリオの帳簿価額に含めて表示する
B)保険獲得CF – 予想される回収(2/3)
修正公開草案において下記の要求事項が追加され、
暫定決定では詳細欄に記載した内容が明確化されました
追加された要求事項
追加された要求事項の詳細
配分方法に影響を与える状況の変化に応じて
各報告日に配分額を見直す(まだ認識してい
ない保険契約グループに配分した金額のみ)
保険契約グループに配分した金額は、当該グ
ループを認識した後は改訂できない
保険契約グループに配分した金額を当グループ
認識後に改訂することは事後的判断の使用によ
る会計処理になるため認められない
保険契約グループを認識する前に配分方法に
影響を与える状況に変化が生じた場合、配分額
の変更はあり得る
IASBスタッフ見解
(28B項)保険契約の
更新から生じると見込
まれる保険契約を含
むグループに規則的
かつ合理的な方法を
適用して配分する
(20ページの(1))
(28C項)保険契約グ
ループが認識される
前に支払われた保険
獲得CFは資産として
認識する
(20ページの(2)
および(5))
左記(1)の主な理由は以下の通り
IFRS第17号の保険契約の認識と測定の要
求事項と整合的である
認識に単位は保険獲得CFに係る資産の減
損テストに影響を与え、例えば、全社レベル
で認識する場合は減損の認識は稀となり、
有用な情報を提供しない
左記(2)の主な理由は以下の通り
保険獲得CFに係る資産は事後的に保険契
約の測定(保険負債の測定)に含められる
開示は保険獲得CFに係る資産に関する情
報を提供している(次ページ参照)
配分するのは当グループに直接帰属する保険獲
得CFのみ(保険契約ポートフォリオに直接起因
する保険獲得CFではない)(B35A項)
CSMなど保険契約ポートフォリオの帳簿価額を構成する
ものと同様の取扱い(区分表示せずに開示で情報提供)
次ページの減損テスト、開示に続く
IFRS第15号と不整合になるため
金利の計上は行わない
28B項は、認識した資産が存在する期間
を延長する可能性があり、また、当該資
産の金額を増加させる可能性がある
➔ 減損テスト、開示の拡充が必要
実務に与える影響の考察:
保険獲得CFが直接起因する契約の範囲(例えば、見込まれる
更新契約を含むのか、含む場合はその時期と量)を評価する
必要がある(28B項は要求事項)
左記2つの修正の結果、契約獲得の増分コストに関
してIFRS第15号が提供する情報とも比較可能となる
暫定決定の詳細(1/2)
B)保険獲得CF – 予想される回収(3/3)
追加された要求事項
追加された要求事項の詳細
2ステップの減損テストを要求する
(1)保険契約グループのレベルでの減損テスト
資産帳簿価額と関連するグループに係る期待
正味CIFを比較
(2)追加的な減損テスト
「予想される更新契約に配分された保険獲得
CF」と「予想される更新に係る正味CIF」を比較
保険獲得CFの会計処理単位は保険契約グ
ループであり、当該単位で減損テスト実施
減損が示唆されている場合に減損テストを実施
する理由は以下の通り
不利な契約グループの認識に係る要求事項、
IAS第36号「資産の減損」と整合的
示唆されている場合に限らず年次で実施する
場合、不必要な実務上の負荷を招く
将来の(更新契約ではない)新たな保険契約か
ら生じる正味CIFが、予想された更新契約に係
る減損損失の認識を妨げることを回避するため
に「(2)追加的な減損テスト」が必要
(28D項)資産の減損
が示唆されている場
合には回収可能性を
評価する
(20ページの(3))
(105A項~105C項)
右記の開示を要求す
る
(20ページの(4))
保険獲得CFに係る資産の期首残高から期末
残高への調整表
調整表では減損損失の認識および減損損失
の戻入れの認識を区分して示す
企業が保険獲得CF係る資産の認識の中止を
行い当該CFをそれらが配分される保険契約
グループの測定に含めると予想している時期
に関する定量的情報(適切な期間帯で)
保険獲得CFに係る資産の認識される期間が延
長されるであろうことを考えると、左記の情報は
財務諸表利用者にとって有用
左記の情報は、減損テストにより提供される減
損損失が存在する時期に関する情報に加えて
必要
予想される契約更
新に係るCFに固有
の追加的なグルー
プ減損テスト
IFRS第15号の
開示と類似
実務に与える影響の考察:
将来の見積りである資産の回収可能性(減損テスト)、資産の
認識中止に係る定量情報(開示)は事業計画等の他の情報と
整合的に評価・作成する必要がある(部門間の連携も必要)
IASBスタッフ見解
暫定決定の詳細(2/2)
修正公開草案において下記の要求事項が追加されました
(修正公開草案からの変更なし)
なし
B)保険獲得CF – 経過措置(1/6)
(C4項)IFRS第17号を遡及 適用するために、企業は移 行日に次のようにしなけれ ばならない (a)各保険契約グループを、 IFRS 第17号がずっと適 用されていたかのように、 識別し、認識して測定す る (b)IFRS 第17号がずっと 適用されていたならば存 在しないであろう既存の 残高の認識の中止を行 う (c)結果として生じる正味差 額を資本に認識する 移行日において保険獲 得CFに係る資産を識別 し、認識・測定することが 要求される(完全遡及ア プローチ) 遡及適用することが実 務上不可能である場合 に、かつ、その場合にの み、企業は移行日に保 険獲得CFに係る資産を 修正遡及アプローチまた は公正価値アプローチ を適用して測定すること が要求される 移行日前の期間につい て減損テストは要求され ないIFRS第17号
フィードバック1
修正公開草案
暫定決定
IFRS17号の修正は提案さ れていないフィードバック2
「B)保険獲得CF – 予想 される回収」に記載の修 正に関して、移行時の取 扱いが規定されていな い 少数の者から、企業がど の移行アプローチ(完全 遡及、修正遡及、公正価 値)を使用するかにかか わらず、移行日における 保険獲得CFに係る資産 の測定は簡便的な方法 とすべきであるとする提 案があった 2020年1月 Agenda paper 2E IFRS第17号の修正 あり 修正公開草案からの変更 ありIFRS第17号、修正公開草案、暫定決定の議論の流れ
IFRS第17号および修正公開草案では保険獲得CFに係る資産の経過措置における取扱いが明記されていなかったため、
暫定決定において新たに要求事項が追加されました
B)保険獲得CF – 経過措置(2/6)
移行日における保険獲得CFに係る資産の性質や移行後の会計処理
とIFRS第17号との整合性を考慮した要求事項が追加されました
完全遡及アプローチの要求事項
移行日において保険契約グループについての保険獲得CFに係
る資産を識別し、認識・測定することを企業に要求する
企業がIFRS第17号を遡及適用することが実務上不可能である
場合に、かつ、その場合にのみ、企業は移行日において保険獲
得CFに係る資産を修正遡及アプローチまたは公正価値アプ
ローチのいずれかを適用して測定することを要求される
IASBスタッフの見解
移行日における保険獲得CFに係る資産の性質
移行日前に組成されたが移行日に未だ認識されていない保険
契約の保険料から保険獲得CFを回収する権利を反映する
すでに支払った保険獲得CFを再び支払うことなく移行日後に保
険契約を獲得する権利を反映する
当資産を認識することで、当資産が関係する保険契約を移行日
後に認識した時に、38項(b)と整合的にCSMを測定できる
IFRS第17号の取扱い
完全遡及アプローチ(C3項)は、保険獲得CFに係る資産につい
ても適用すべきであるが、IFRS第17号は保険獲得CFに係る資
産に係る要求事項を提供していない
C4項は移行日に認識する金額を記載しているが、保険獲得CF
に係る資産に言及してない
経過措置の要求事項に、保険獲得
CFに係る資産の識別・認識・測定
に関する要求事項を追加
次ページへ
移行日において保険獲得CFに
係る資産を認識すべき
上記結論に対して、IFRS第17
号の取扱いは十分ではない
実務に与える影響の考察:
修正公開草案でも提案されていなかった要求事項
であり、移行日における保険獲得CFに係る資産
の認識・測定を新たに実施する必要がある
暫定決定の詳細(1/4)
B)保険獲得CF – 経過措置(3/6)
修正遡及アプローチの要求事項
(1)保険獲得CFに係る資産を、移行日現在で利用可能な情報を使
用し、移行日前に支払った保険獲得CFの金額を識別し、移行
日前に存在しなくなった契約に関連する金額を除外することに
よって測定する
(2)上記修正を適用するために必要な合理的で裏付け可能な情報
を有していない場合、移行日後に認識されると見込まれる保険
契約グループについての保険獲得CFに係る資産をゼロとする
など(詳細28ページ参照)
次ページへ
(2)により、保険獲得CFに関する合理的で裏
付け可能な情報が不足していることだけを理
由として、公正価値アプローチを適用しなけ
ればならない状況を避けることができる
IASBスタッフの見解(修正遡及アプローチ)
完全遡及アプローチを適用する場合、遡及期間に亘って保険契
約グループに配分された金額と減損についての調整(例えば、
更新の見込みの変化)の評価が必要になる
多くの企業にとって、そのような対応は実務的でないため、修正
遡及アプローチの修正が必要になる
修正遡及アプローチにおける完
全遡及アプローチからの修正項
目に、保険獲得CFに係る資産
の測定と配分方法を追加
前ページから
IFRS第17号では、保険獲得CFに係る資
産の測定と配分方法が修正遡及アプロー
チの対象項目として記載されていない
実務に与える影響の考察:
アプローチの決定にあたり、修正遡及アプローチ
を適用するために必要な合理的で裏付け可能な
情報を有していない場合の取扱い(下記の(2)、
28ページの(2)参照)を適用する場合と公正価値
アプローチを適用する場合のメリットとデメリットを
評価することが考えられる
暫定決定の詳細(2/4)
修正遡及アプローチでは、修正を適用するために必要な合理的で裏付
け可能な情報を有しているか否かによって異なる処理が要求されます
B)保険獲得CF – 経過措置(4/6)
公正価値アプローチの要求事項
移行日において、下記の権利を獲得するために負担するであろう保
険獲得CFの金額として測定した保険獲得CFに係る資産を認識する
(a)移行日までに組成されたが移行日において未だ認識されていな
い保険契約の保険料から保険獲得CFを回収する権利
(b)企業がすでに支払った保険獲得CFを再び支払うことなく、移行
日後に将来の契約を獲得する権利
(c)下記の将来の更新を獲得する権利
i. 移行日において認識されている契約
ii. 本項(a)および(b)に記述した契約
IASBスタッフの見解(公正価値アプローチ)
修正遡及アプローチと同様に公正価値アプローチも修正が必要
になる(IFRS第17号では明記されていない)
保険獲得CFに係る資産の公正価値をIFRS第3号「企業結合」と
整合的に測定することも考えられるが、より具体的な要求事項
を規定すべきと判断した
公正価値アプローチにおける保
険獲得CFに係る資産の測定方
法を追加
前ページから
次ページへ
企業が保険獲得CFを未だ支払ってい
ないとした場合に、移行日における保
険獲得CFに係る資産が表す権利(24
ページ参照)を入手するために企業が
負担するであろう金額で測定する
実務に与える影響の考察:
保険獲得CFに係る資産の公正価値測定において、
関連する保険契約を認識する期間の保険獲得CF
水準(例えば、手数料水準)が移行日の保険獲得
CF水準と異なることが合理的に見込まれる場合、
当該変化を公正価値測定において考慮する必要
があると考えられる
暫定決定の詳細(3/4)
公正価値アプローチとして具体的な要求事項が追加されました
B)保険獲得CF – 経過措置(5/6)
前ページから
減損テストの要求事項
移行日に認識する保険獲得CFに係る資産について、企業は、移
行日前の期間について修正公開草案28D項(22ページ参照)に
おける回収可能性評価の要求の遡及適用を要求されない(減損
テストは不要)
IASBスタッフの見解(減損テスト)
修正公開草案28D項は保険獲得CFに係る資産が減損し
ている可能性があることが事実および状況により示唆され
ている場合に減損テストを要求している
当要求事項は保険獲得CFに係る資産を認識している期
間において適用される
しかし、移行日において認識されている保険獲得CFに係
る資産は移行日に回収可能性が評価されるため、移行日
前の期間について当該評価を実施する必要はない
移行日における回収可能性を評価すること
は、移行日前の期間において回収可能性
を評価することと同じ効果を有する
アプローチの規定に加え、
減損テストについても整理
実務に与える影響の考察:
減損テストは2ステップあり(22ページ参照)、認
識・測定する保険獲得CFに係る資産適用する経
過措置に係るアプローチによって異なる*ため、決
定したアプローチに基づいて必要な減損テストの
範囲を確認する必要がある
* 例えば、修正遡及アプローチの場合、移行日後に認識されると見込まれる保険契約グループについての保険獲得CFに係る資産をゼロとすることがある暫定決定の詳細(4/4)
移行日前の期間については減損テストを実施する必要がないことが明
確化されました
B)保険獲得CF – 経過措置(6/6)
修正された保険獲得CFに係る資産に係る遡及アプローチの詳細
(1)IFRS第17号のC8項の要求に沿って、遡及アプローチを適用するための合理的で裏付け可能な情報を有していない場合にの
み、企業は下記の修正を使用することを認められるようIFRS第17号を修正する。そのような場合に利用可能な修正は、企業が
次のことを要求されるものである。
(a)保険獲得CFに係る資産を、移行日現在で利用可能な情報を使用し、移行日前に支払った保険獲得CFの金額を識別し移
行日前に存在しなくなった契約に関連する金額を除外することによって測定する。
(b)識別した金額を、企業がその後に適用する規則的かつ合理的な配分方法で下記に配分する。
i. 移行日において認識されている保険契約グループ
ii. 移行日後に認識されると見込まれる保険契約グループ
(c)移行日において認識されている保険契約のCSMの測定を、本項(b)(i)を適用して算定した保険獲得CFの金額を控除する
ことによって修正する。
(d)移行日後に認識されると見込まれる保険契約に係る保険獲得CFについて、本項(b)(ii)を適用して算定した金額で資産を
認識する。
(2)この修正を適用するために必要な合理的で裏付け可能な情報を有していない企業が、移行日において下記のように決定するこ
とによって修正遡及アプローチを適用することを認めるようにIFRS第17号を修正する。
(a)移行日において認識されている保険契約グループのCSMの修正をゼロとして
(b)移行日後に認識されると見込まれる保険契約グループについての保険獲得CFに係る資産をゼロとして
保険獲得CFに係る資産に係る遡及アプローチの詳細
(2)により、保険獲得CFに関する合理的で裏付け可能な情報が不足していることだけを
理由として、公正価値アプローチを適用しなければならない状況を避けることができる
25ページに記載した修正遡及アプローチの詳細は下記の通りです。修正を適用するために必要な合理的で裏付け可能な
情報を有しているか否かにより、(1)または(2)の処理が要求されます
なし
B)保険獲得CF – 企業結合等(1/2)
IFRS第17号は企業結合等 について言及していない 企業結合等において、契約 を獲得する権利等を取得日 現在の公正価値で測定した 別個の資産として認識するIFRS第17号
フィードバック1
修正公開草案
暫定決定
IFRS17号の修正は提案さ れていないフィードバック2
IFRS第17号は企業結合等 において保険契約を取得し た際に、保険獲得CFに係 る資産をどのように取り扱う べきか規定していないため 修正すべきである 2020年1月 Agenda paper 2E IFRS第17号の修正 あり 修正公開草案からの変更 あり * 「B)保険獲得CF – 企業結合等」において「企業結合等」とは「事業を構成しない保険契約の移転およびIFRS第3号の範囲に含まれる企業結合」を意味するIFRS第17号、修正公開草案、暫定決定の議論の流れ
IFRS第17号および修正公開草案では、企業結合等*における保険獲得CFに係る資産の取扱いが明記されていなかった
ため、暫定決定において新たに要求事項が追加されました
B)保険獲得CF – 企業結合等(2/2)
企業結合等では、保険獲得CFに係る権利について取得日現在
の公正価値で測定した別個の資産を認識する必要があります
修正された企業結合等の規定
企業結合等において保険契約を取得する場合、下記の権利につ
いて取得日現在の公正価値で測定した別個の資産を認識する
(a)企業がすでに支払った保険獲得CFを再び支払うことなく、取
得日後に将来の契約を獲得する権利
(b)下記の将来の更新を獲得する権利
i. 取得日において認識されている契約
ii. 本項(a)に記述した契約
IASBスタッフの見解(企業結合等)
IFRS第17号は企業結合等における保険獲得CFに係る資
産の取扱いを明確にしていない(取得者は、保険獲得CF
に係る資産を識別し、認識・測定すべきなのか)
取得日において、保険獲得CFに係る資産は、すでに支
払った保険獲得CFを再び支払うことなく移行日後に保険
契約を獲得する権利を表す
取得後にIFRS第17号と整合的に会計処理するために、
IFRS第3号を適用して認識される無形資産と区別して保
険獲得CFに係る資産を認識すべき
例えば、関連する保険契約グループを
認識した時に、当資産をCSMの測定に
含めることができる
企業結合では、「移行日前に組成されたが移行日に未
だ認識されていない保険契約の保険料から保険獲得
CFを回収する権利」(24ページ参照)は存在しない
取得日とは存在するすべての保険契約を認識する日で
あり、上記権利を表すすべての保険獲得CFに係る資産
は保険契約グループの当初認識におけるCSMの測定
に含められるためである
実務に与える影響の考察:
過去に企業結合等を実施している企業は必要な
データが確保されているか確認する必要がある
移行日前に企業結合を実施する計画がある企業は
必要なデータが確保できるように関係者と調整する
必要がある
暫定決定の詳細
C)リスク軽減オプション
#
トピック
Agenda paper
4
リスク軽減オプションの適用可能性 - 保有している再保険契約
2019年12月AP2A
6
リスク軽減オプションについての経過的な救済措置 - 移行日からの適用および公正価
値アプローチを適用する選択肢
2019年12月AP2A
11
リスク軽減オプションの適用可能性 - 純損益を通じて公正価値で測定する非デリバティ
ブ金融商品
2020年2月AP2C
14
経過措置 - リスク軽減オプションの遡及適用の禁止
2020年1月AP2B
下記の取引に対してもリ スク軽減オプションを適 用すべきである 保有している再保険契 約 非デリバティブ金融商 品(例えば債券) 基礎となる保険契約が 直接連動有配当保険契 約である場合、保有して いる再保険契約にVFA を適用可能とするべきで ある OCIオプション*を適用し ている場合に生じる会計 上のミスマッチに対して もリスク軽減オプションを 追加すべきである。
C)リスク軽減オプション
– 適用可能性(1/3)
(B116(a))企業は保険契 約から生じる金融リスクを 軽減するためにデリバティ ブを使用する (1)修正なし (2)履行キャッシュ・フロー に対する金融リスクの影響 を、企業が純損益を通じて 公正価値で測定する非デリ バティブ金融商品を使用し て軽減する場合に、企業が リスク軽減オプションを適用 することを認めるIFRS第17号
フィードバック1
修正公開草案
暫定決定
(1)企業が直接連動有配当 保険契約から生じる金融リ スクを軽減するために(デリ バティブだけではなく)保有 している再保険契約を使用 している場合に、リスク軽減 オプションを適用することを 認める (2)履行キャッシュ・フロー に対する金融リスクの影響 を、企業が純損益を通じて 公正価値で測定する非デリ バティブ金融商品を使用し て軽減する場合に、企業が リスク軽減オプションを適用 することを認めないフィードバック2
(1)コメントを寄せたすべて の者が修正公開草案に賛 成した (2)非デリバティブ金融商 品についてもリスク軽減オ プションを認めるべきとする コメントが寄せられた。主な 理由は以下の通り 認めることで会計上のミ スマッチがさらに減少す る 審議会はリスク軽減オプ ションを認めない理由を 十分に説明していない 企業はしば非デリバティ ブ金融商品をリスクの軽 減に用いており、その際 にデリバティブを用いる のと同様の会計上のミス マッチが生じている#4:リスク軽減オプションの適用可能性 - 保有している再保険契約
#11:リスク軽減オプションの適用可能性 - 純損益を通じて公正価値で測定する非デリバティブ金融商品
* OCIオプション:一般モデルまたはVFAの場合、企業は、保険契約のグループの期間にわたって保険金融収益または費用の総額を規則的に配分するこ とで純損益に含められる金額を分解することが、会計方針の選択として認められる(88項) 最終的に修正に反映 されなかったコメント 暫定決定で修正2019年12月 Agenda paper 2A、2020年2月 Agenda paper 2C IFRS第17号の修正 あり 修正公開草案からの変更 あり
IFRS第17号、修正公開草案、暫定決定の議論の流れ
リスク軽減オプションの適用範囲に、修正公開草案では保有している再保険契約が追加され、暫定決定ではさらに非デリ
バティブ金融商品が追加されました
C)リスク軽減オプション
– 適用可能性(2/3)
保有している再保険契約を用いて直接連動有配当保
険契約の金融リスクを軽減する場合
保有している再保険契約における金融リスクから
生じる変動は純損益に認識される
基礎となる直接連動有配当保険契約における金融
リスクから生じる変動はCSMの修正となる
議論された会計上のミスマッチ
金融リスクの軽減にデリバティブを用いる場合と同様に
会計上のミスマッチはVFAによって生じているため、デリ
バティブと整合的に適用を認めるべき
保有している再保険契約にVFAを適用することにより左
記の会計上のミスマッチを解消することは適切ではない。
保有している再保険契約は資産管理サービスを提供して
おらず、保険カバーを提供しているため
IASBスタッフ見解
非デリバティブ金融商品を用いて直接連動有配当保険
契約の金融リスクを軽減する場合
非デリバティブ金融商品(例えば、債券)における金
融リスクから生じる変動はIFRS第9号にしたがい純
損益に認識される場合がある
直接連動有配当保険契約における金融リスクから
生じる変動はCSMの修正となる
保険契約にOCIオプションを適用する場合
保険契約の金融リスクから生じる変動はOCIに認
識される
対応する金融商品における金融商品の変動は純
損益に認識される(FVPLの場合)
適用可否
できる
できる
できない
直接連動有配当保険契約の履行CFは、基礎となる項目
に対するリターンに基づいて変動するCFと変動しないCF
を含んでいる
企業は、基礎となる項目に起因しない金融リスクが履行
CFに与える影響を非デリバティブ金融商品を用いて軽減
することがあり、その場合、会計上のミスマッチが生じる
左記会計上のミスマッチはOCIオプションを選択しないことで
解消可能である(リスク軽減オプションを認める必要がない)
下記の修正公開草案での見解を修正: リスク軽減オプションは直接連動有配当保険契約と デリバティブとの間にVFAにより生じる会計上のミス マッチの解消を意図したものであり、非デリバティブ 金融商品に適用を拡大すべきではない実務に与える影響の考察:
直接連動有配当保険契約の金融リスクに対するヘッ
ジ戦略の拡大や高度化が進む可能性がある
暫定決定の詳細
保有している再保険契約および非デリバティブ金融商品にリスク軽減
オプションが適用される結果、会計上のミスマッチが低減されます
C)リスク軽減オプション
– 適用可能性(3/3)
企業の
持分
基礎となる
項目の公正
価値
変動手数料
連動しない
履行CF
契約者
の持分
連動する
履行CF
控除
直接連動有配当保険契約は、保険契約者に所定の基礎となる項目の価値に等しい金額から、サービスに対する変動手数料を控除した金額を支払う義務 を創出するものである。変動手数料は、基礎となる項目の公正価値に対する企業の持分から、基礎となる項目に直接連動しない期待CFを控除したものに 等しい金額である(BC239項)金融
リスク
金融
リスク
デリバティブ
保有している再保険契約
非デリバティブ金融商品
(例:固定利付債券)
VFA
会計上のミスマッチ解消
(金融リスクの影響を純
損益で相殺)
金融リスクの影響は
純損益に認識する
金融リスクの影響は
CSMを修正する
軽減
軽減
リスク軽減オプション適用
非デリバティブ金融商品の場合、基礎 となる項目に対する企業の持分に対 しては、リスク軽減オプションの適用 は認められない これを認める場合、VFAは基礎となる 項目を企業が保有しているか否かに かかわらず適用するというIFRS第17 号の原則に反するためであるIASBスタッフ見解
企業の保険契約
者に対する義務
実務に与える影響の考察:
リスク管理においてリスク軽減手段の選定の巧
拙が重要になる
VFAとリスク軽減オプションの関係
リスク軽減オプションはVFAにより生じる会計上のミスマッチを解消す
ることを意図して設計されています
C)リスク軽減オプション
– 経過措置(1/2)
#6:リスク軽減オプションについての経過的な救済措置 - 移行日からの適用および公正価値アプローチを適用する選択肢
#14:経過措置 - リスク軽減オプションの遡及適用の禁止
リスク軽減オプションの 遡及適用を認めることに より、適用開始日前後に おける情報の比較可能 性が高まる IFRS第17号の適用開 始日の前後におけるリス ク軽減活動の取扱いに おける首尾一貫性が欠 如する 公正価値アプローチの 適用がIFRS第17号の 遡及適用が実務上不可 能である場合に限定さ れているため、遡及適用 が可能な場合、デリバ ティブ(公正価値で評価) と直接連動有配当保険 契約(VFAを遡及適用) との間に会計上のミス マッチが生じる (C3項(b))企業は、IFRS 第17号の適用開始日よりも 前の期間についてリスク軽 減オプションを適用しては ならない (C5項)完全遡及アプロー チが実務上不可能である 場合に、かつ、その場合に のみ、企業は修正遡及アプ ローチまたは公正価値アプ ローチを適用しなければな らない 修正公開草案から変更なしIFRS第17号
フィードバック1
修正公開草案
暫定決定
リスク軽減オプションの遡 及適用は認めない(IFRS 第17号を修正しない)が、 リスク軽減オプションを 適用開始日からではなく 移行日から将来に向 かって適用することを認 める。移行日以後に将 来に向かって適用する ためには、当該オプショ ンを適用する日以前に 企業がリスク軽減関係を 指定することが要求され る リスク軽減に関する所定 の要件を満たす場合に は、 IFRS第17号を遡及 適用できる直接連動有 配当保険契約のグルー プに公正価値アプローチ を適用することを認めるフィードバック2
全体的に修正公開草案 に肯定的であった 遡及適用を認めるべきと するコメントも複数あり、 その主な理由は以下の 通り リスク軽減活動を移行 日前後で整合的に反 映するメリットは、事後 的判断の使用のリスク を上回る 事後的判断の使用の リスクはあるが、企業 が遡及適用する主たる 動機はリスク軽減活動 を移行日前後で整合 的に反映するためであ る リスク軽減オプションを B116項の条件を満た すすべてのリスク軽減 関係に適用することで、 事後的判断の使用の リスクは軽減可能であ る 3つの監査法人、規制 当局、会計基準設定主 体を含む少数の者は修 正公開草案に賛成した また、修正公開草案は 事後的判断の使用のリ スクと移行日前後の整 合性確保のバランを適 切にとっているとコメン トした者が2者いた リスク軽減のために使用さ れているデリバティブの公正 価値の変動が期首の利益剰 余金または資本に反映され るが、対応する保険契約の 変動はCSMに反映される2019年12月 Agenda paper 2A、2020年1月 Agenda paper 2B IFRS第17号の修正 あり 修正公開草案からの変更 なし