2040年に向けて在宅療養支援診療所が目指すべき「地域支援診療所(仮称)」に関する研究
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(2) はじめに <本研究の背景と意義> 来るべき超高齢少子多死、そして人口減少社会がもたらす地方都市の過疎や経済的貧困、 およびそこから派生する教育や医療の格差や、結果としての差別社会の到来(2040 年)を 見据え、現在国を挙げて促進されているのが在宅での看取りや地域包括ケアシステムによ る生活圏完結型地域社会の構築である。その中で、これまで多くの在宅療養支援診療所が 設立され、さらにその機能や施設配置を強化することが求められているが、しかし、団塊 の世代が死に絶え、団塊ジュニア世代が後期高齢者となるであろう 2040 年以降の地域社会 環境は、各分野での AI 機器の開発普及や外国人労働者の大量導入などの可能性も含んで、 現在とは全く異なるものになることが予測される。 そんな中で本年初頭、47 年ぶりに市民人口 40万人を割り込んだ横須賀市の中核市街地に 位置し、これまでの人口増大と市場主義的な資本主義の繁栄の半世紀(人口ボーナス期も しくはバブル時代)の地域医療を担ってきた当診療所が、はたして今後、地域包括ケアシ ステムが定着するであろう 20 年後(2040 年)の地域社会の中で求められる地域資源とし ての機能(役割)とはいかなるものか?社会制度や生活環境あるいは価値観が激変するで あろう 2040 年以降の次世代に向けて、地域医療を担う現在の「支援診」がどのように変革 してゆくべきであるのか? われわれはそんな疑問に対して、必要最小限の未来予測と地域調査~検証に取り組む必要 性を考えた。 在宅療養支援診療所(強化型【Ⅱ】 )(以下「在支診」)の届け出をしている当診療所は、常 勤医師1名(非常勤医師 7 名)看護師 養士 1 名、臨床検査技師. 5名(常勤換算 2.5)、理学療法士 1 名、管理栄. 1 名、介護支援専門員 1 名のほか、医療事務 6 名(うち 2 級ヘ. ルパー2級講座終了事務員 2 名)による診療体制で運営している。また、平成 14 年以降、 File Maker.Pro12 を用いて構築した「在宅療養患者データベース」を構築しており、平成 30 年 3 月末現在登録されているのは、居宅療養患者数 713 名に及ぶ。これまでその分析か ら、これまでも在宅診療実績に基づくいくつかの課題を抽出している(第 16~20 回日本在 宅医学会で発表済)が、多数の在宅療養患者を抱える外来診療併施型の「支援診」は、必 要とされる多職種連携の渦の中心に位置するばかりか、医師意見書や居宅療養管理指導書、 訪問看護指示書ほか、介護保険事業運用に絡む莫大な書類作成を迅速に行うことが要求さ れる。質の良い在宅医療の提供と合わせて、おのずと職員雇用も多職種にわたり、ある程 度以上の多人数とならざるを得ないと考えられる。しかし現行の診療報酬制度では質の良 い在宅医療には必須の優秀な看護師の雇用数などは加算評価の対象とならず、今後の医業 経営上の課題も多く見込まれている。 しかし、いずれしばらくの間超高齢化多死社会が継続もしくは激化する近未来を見据える 時、地域のプライマリーケア(外来診療)からエンディングケア(在宅医療)の一環を担 う「在支診」のそれは、地域支援のソーシアルキャピタル(地域資源)として、近未来型.
(3) 地域包括ケアシステム構築の大きな柱になることも可能ではないだろうか? <研究の目的> 「在支診」の積極的な多職種雇用と活用によって推進される外来診療~在宅医療の質と量 の確保が可能であるか、またより早期からの患者やその家族へのリエゾン形成と ACP 介入 推進により、今後さらなる在宅療養の質の向上を図られる可能性を検証する。 また、「泰然と、来るのを待つ医療から、「待ち構え、時には受け取りに赴く医療」への変 換を意識した周辺地域に向けた相談支援やアウトリーチ活動を医師以外の多職種で行う取 り組みがもたらす成果と弊害を検証する。 <方法>そのために以下の取り組みを試みる。 1)当院(「支援診強化型Ⅱ」)」の現在までの診療機能と役割、そして課題などを、平成 14 年以降蓄積している「在宅療養患者データベース」を活用して分析評価する。 2)2025 年に向けて構築されようとしている「地域包括ケアシステム」において、当院が 予防医療、あるいは初期診療(疾病早期発見と治療、並びに慢性疾患~生活習慣病の長 期療養管理など)を行う外来診療から、看取りまでを一貫して行う在宅医療までを担う 「かかりつけ医」として、地域から求められているかたちを模索する。 3)地域支援活動として、近隣の地域資源との連携や医療と暮らしに関する相談調整~教 育啓発への取り組みのほか、多施設・多職種・多業種間連携のハブとしての機能拡張と 信頼を図り、最終的には包括的な地域支援機能を有する、より公益的な診療所(仮称「地 域支援診療所」)の構築の意義とその可能性に言及する。 <対象> 1)当院の外来~在宅医療受診患者のうち、2002 年以降 2018 年末まで集積の在宅療養患 者データベース登録患者 713 名、および 2019 年 6 月 1~30 日の間に受診した外来 518 名、 および在宅療養患者 69 名のレセプトデータなどを調査対象とした。 2)当院が所在する近隣 6 町の住民 1250 戸(約 2000 人)のほか、当院もしくは医師会が 主催するや公開講座や「在宅医療出前講座」に参加した市内各地域の住民~民生委員、 町内会役員、あるいはシルバー人材センターやボランティア活動参加者など合わせて約 200 名、さらに地区社協所属の民生児童委員連絡協議会(民児協)参加者約 400 名など を対象としてアンケート調査を実施した。 <研究活動の概要紹介> 今回の研究に際しては、単なる学術的な一連のアンケート集計や患者データベース解析に 偏ることなく、今回の調査活動企画向けて発案した「鶴が丘人社プロジェクト」 、すなわち 今現在、容易に地域住民が集まれる場所を地域資源【人社】とみなして、そこに今回の研.
(4) 究活動に協力する調査協力員【杜の人】を地域から募集して集会を行い、そのうえで暮ら し の 課 題 や そ れ を 解 決 す る た め の グ ル ー プ ワ ー ク や 調 査 (Community Based Participatory Approach) を行い、そこから発信される地域への働きかけのエネルギーを 「地域包括ケアシステム」の中での重要な組織体として構成(創生)しようとする一連の 取り組み(プロジェクト)活動全体を重視したい。これに加えて、地域支援活動を当診療 所のミッションとして、多職種雇用に支えられた多面多種の取り組みを介して、現行の「在 支診」としての機能(役割)を超えた“未来志向の公益的な診療所”の役割と立ち位置を 模索すること自体を今回の研究事業と考える所存である。 従って、まずは今回の研究概要を、以下A)~D)に紹介する。 A)地域医療活動関連;在宅療養支援診療所としての過去 17 年間の診療実践内容から構成 された患者データベースの継続的~経時的な解析作業を行い、一方で具体的な診療活動 に際しては随時の多職種連携を重視した院内カンファランス活動の推進、および在宅療 養の質を高めるための地域密着型の多職種~多業種研修会の開催を推進する。 ➀患者データベースの解析;2002 年から 2018 年 12 月末日の間に在宅療養開始患者のデー タベースを用いてこれまでの診療実績を振り返り、そこから得られる統計的な解析結果 を参照して、地域に根差して外来診療を併施する「在支診」の将来的な在宅医療実践に 関する指向性を抽出する。(当院紹介経緯とその後のリエゾン形成良否、並びに当院への 信頼度評価との相関性に関する研究成果は第 19 回在宅医学会、および第1回在宅医療連 合学会にて発表済;添付 PPT 資料1,2参照) 、 ②ACP に関連する早期介入の試みとして、令和元年 5 月 1~31 日の期間の外来通院患者お よび在宅療養者を対象として、現在の病識や先行きに対する意識調査(「あなたのこれか ら」アンケート)を行った。 ③処遇困難な在宅療養患者や早期集中支援が必要なケースへのアウトリートを含む積極的 な ACP(Advance care plan)介入評価(自己評価)を行った結果(添付PPT資料2参 照)に基づき、院内の多職種職員(医師、看護師、介護支援専門員、理学療法士、管理 栄養士、医事職員もしくは地域支援担当漫画家など)で構成される「リエゾンチーム」 により(必要時には院外からの連携職種を招いての)随時のケースカンファランスを開 催する。 B)地域支援・啓発活動関連;地域住民ほか医療介護福祉の多職種、および近隣地域に向 けての多業種参加による学習会企画~主催 ①「診療所主導型学習会」として在宅医療介護福祉関連のテーマを関連多職種、行政参 加を求めて開催し、厳しく契約に則ってのみ運営される介護保険事業推進の中、社会 的経済的に孤立無縁となる弱者(虚弱高齢者、障がい者、引きこもり中高年住民など) の増加を前にして、失なわれゆく福祉の絆を医療でいかに担うかというテーマで地域 の多職種~多業種が連携参加してパネル検証する。.
(5) *「医療と福祉をつなぐパネル討論会」;医療と福祉行政をつなぐ多職種研修会 *『横須賀の 2040 年を考える学習会」;地域の任意団体として行うまちづくり活動事 業の学習会への一部後援参加。 ②地域住民と自院患者を交えての「まち塾」 *しろいにじのまち塾「認知症を知って備えるシリーズ」ほか; 毎月第 4 土曜日午後開催(認知症を介しての地域研修~啓発、参加者の情報共有と意 識向上などのためのセミナー)地域の多職種多業種協力参加による多種多様かつ継続 的な学習会であり、そこに集まる参加者(住民およびそれを支援しようとする多職種・ 多業種)による「住民参加型地域支援(支え合いと助け合い)チーム」の支え合い仲 間意識(組織構成意欲)を推進する。 ③住民有志参加でのまちづくりを考える学習会+グループワーク活動実施とプロジェクト チーム【杜の人】構成⇒「鶴が丘人社プロジェクト」;しろいにじの家、町内会館、介護 相談窓口付きコンビニストア(鶴が丘ローソン店)などをもって(神ではなく)人が集ま る社(人社)と想定し、そこに近隣 6 町(当院への徒歩通院診療圏)から応募の有志住民(調 査協力員)、およびその他の医療介護福祉関係者、行政職員、民生委員、地区社協、地域 包括支援センター職員などの地域活動関連職種で構成されたグループワーキング実施と その討議結果の回収、分析と再提案の反復(CBPA)を行う。当面は地域の課題分析とそ れを解決するための地域資源の発掘調査活動、並びに「地域資源マップ」の作成を活動 目標とした。 C)地域調査活動;生活状況や地域貢献に関する意識調査(ポスティング+郵送による返 信回収、もしくは在宅医療に関するグループ学習会開催に際してのアンケート用紙配布 回収) ➀近隣 6 町の住民のほか、遠隔他地域住民、民児協/シルバー人材センター構成員,さらに自 院通院患者や近隣市内の看護学生を対象として、地域住民個人としての満足度や幸福度、 並びに地域貢献への意欲などに関する意識調査として「鶴が丘人社プロジェクトアンケ ート」を行った。(総配布枚数 2000 枚(回収率約 52%) ②外出困難な在宅療養患者宅で行う近隣住民を巻き込んだ「庭先出前カフェ」3回開催(平 成 30 年 11 月 18 日、同 24 日、令和元年 6 月 10 日)と「相談屋台」一回(平成 30 年 11 月 24 日)を企画提案開催し、地域住民への各戸訪問面談または街頭相談活動に際しての アンケート調査をおこなう。 *2019 月 10 日には対面アンケート調査実施(添付資料 C-3-①、②、③を参照) ③「鶴が丘人社プロジェクト」と「杜の人集会(ワーキンググループ)」企画; 一般募集した有意協力住民【杜の人】(添付資料B-⑤)に加えて、当地区担当の民生委員、 近隣町内会役員、長寿会および地域包括支援センター職員や介護支援事業者、さらに関 連事業担当行政職員(介護保険課、高齢福祉課、地域医療推進課など)職員のグループワー.
(6) ク参加に加えて、神奈川県立保健福祉大学社会福祉学部教授西村淳氏からの助言指導、 およびそのゼミ学生らのボランティア参加などの協力を得て、計4回の「杜の人集会」 を行った。(研究報告(資料―B-①~④、⑥、⑦参照) 第1回目では市内各地で先行展開する助け合いサークル活動家の人達を交えてのまちづ くりに関する意見交流をおこなうと同時に、今回の研究内容と「鶴が丘人社プロジェク ト」の説明を加え、調査研究協力員(杜の人)募集を行った。第2回目では「杜の人」 登録参加者及び近隣住民(町内会)や医療介護福祉関係職種の有志その他の関心参加を 募って、グループワーク(文殊方式)により地域の現状と課題を抽出し、第3回目では 地域資源に関する情報共有と具体的な書き出しを図り、地域資源マップの原案を作成(県 大の西村ゼミ学生が原案作図を担当)した。さらに第4回目では地域資源の更なる抽出 と整理作業を中心にグループワークを継続した。(その結果に基づく今後の“地域資源マ ップ”作成についても県立保健福祉大学社会福祉学科の西村ゼミ学生と協働する予定で ある) *郵送資料「議事録」に第4回目のそれの今回追加あり、 *勇美財団研究資料 C--2-a,b,c,d)参照 D)地域支援活動;専従の看護師一名を含む施設職員(地域支援員)兼務による“くらしのリ エゾンステーション「しろいにじの家」”の平日午前 10 時から午後 3 時の運営により、 医療介護に関する内容のみならず、非医療的な内容に対しても、アウトリーチも含む随 時の相談支援を行ったまた、生活圏域の民生委員、学校・保育園、あるいは地域資源と しての近隣の生活支援関連業者(葬儀社、障碍者作業所、司法/行政書士、音楽家、農家、 ファィナンシアルプランナーなど)との多業種間連携で執り行う地域啓発推進を図った。 さらには孤食防止と食育、あるいは生活習慣病管理指導も視野に入れて、毎週 2 日のラ ンチ提供も行うカフェもボランティア参加の管理栄養士の助力により運営している。具 体的には毎月一回の認知症セミナー開催ほか、在宅医療介護福祉もしくはエンディング ケアに関連する随時の学習会(まち塾)の開催や、近隣町内会との連携を図ったうえで の各種のサークル活動を推進している。さらに昨年 11 月には利用者の増加に伴って、支 え合いと助け合いを目的とした地域住民による会員組織(しろいにじの会)の設立を支 援し、本年 8 月末日現在会員数 130 名を数えている。(添付資料 PPT③参照) ◎地域の調査と支援啓発活動の概要 1) 「しろいにじの家」でのまち塾(月一回の認知症セミナーおよび随時の地域啓発学習会) 2)まちカフェ(ランチとティ-タイムサービス営業)、および作業所やその他の地元多業 種あるいは個人の協力参加による野菜、豆腐、パンとクッキー、手作り作品、絵本・書 籍などの常設物販コーナー設置あり、 3)医療介護福祉分野にとどまらない総合的な生活相談支援事業の運営.
(7) (しろいにじの家;平日午前 10 時から 15 時の間の随時受け付け、専任看護師担当)、 4)アウトリーチ支援+エンパワメント活動;「庭先出前カフェ」/「相談屋台」(再掲) 5)町内会支援活動(鶴笑会)…当院ケアマネジャー担当(資料[鶴笑会]議事録参照) 6)診療所主導型学習会; 「医療と福祉をつなぐパネル討論会」企画や「2040 年を考える学 習会」の共催支援など(郵送済み資料参照) 7)鶴が丘人社プロジェクト/杜の人集会(まちづくりグループワーク活動による地域資 源マップ作り)活動の展開ほか. (添付資料再掲. B-①,②,③,④、⑤、⑥,⑦). 8)暮らしの支え合い自助サークル「しろいにじの会」の設立支援, *2018 年 11 月 1 日発足、2019 年 8 月 31 日現在の会員数 130 名 (郵送資料「しろいにじの会」入会案内チラシ参照) 9)しろいにじの家利用者アンケート(毎年) (参照資料 PPT③参照) 10)独り暮らしアンケート(郵送資料パンフレット参照) 11)漫画啓発(グリーフケアコミック);下記 2 編を用いた小冊子作製(郵送資料参照) *「そして穏やかな時間を」グリーフケアのための啓発パンフレットとして市販製本か ら分冊を再印刷 *「病院であった本当の話」グリーフケアのための啓発用に医師会掲載別冊作成. ◎実施アンケート一覧(研究資料C-①、②、③参照) 1)「あなたのこれから」アンケート;(研究資料C-①―a,b) 当院外来通院と在宅療養患者(2019 年 5 月 1~31 日受診)の病識や死生観および 診療評価~信頼度調査など (研究資料C-②-a,b.c) 2)「鶴が丘人社プロジェクトアンケート」; 住環境と人員組成が異なる市内住民団体への生活評価と地域貢献意識、幸福度など を調査する。 A 鶴が丘地区(当院近隣)、B 浦賀地区 C ハイランド地区(助け合いハイランド)、 D シルバー人材センター、E 横須賀市民生児童委員連絡協議会(市民児委協) F. 看護学生(神奈川衛生学園 1 学年)G 当院外来患者. 3)「庭先出前カフェアンケート」 ;(研究資料C-③-a,b) 4)「しろいにじの家会員アンケート」;(添付資料 PPT③参照) 「しろいにじの家」利用に関する実績と評価 5)「一人暮らし高齢者アンケート」(郵送済チラシ資料) (漫画家たちばないさぎ氏が担当制作) <結果と成果一覧>.
(8) *添付もしくは郵送資料参照 A)「在支診」三輪医院の機能評価関連; ➀患者データベースの解析 一般家庭医~在宅療養支援診療所としての過去 17 年間の診療実績(患者データベース) の解析を行い、地域とのつながりや、多職種連携に基づく在宅療養の質的、および信 頼度評価についての研究成果については以下のごとくである。 ・ 「紹介ルート別の在宅医療の質に関連する評価」、および「自己統制力とうつ評価先行調査 によって示される自院在宅医療の質の評価およびその結果との関連性」については、昨 年の第 20 回日本在宅医学会、および本年度第一回の日本在宅医療連合学会で発表(添付 PPT 資料1、2参照) ・調査期間中 13 年間に登録された独居療養患者は新規登録患者 705 名中 130 名(18.4%)で あり、経年的に全体に占める割合はほぼ一定であった。(A-①-1-a,b,c、d、e) ・外来から在宅に移行した患者は 2012 年度からの 7 年間の経過では新規登録 502 例中 102 例(20.3%)で、通院一年未満が 49 例、1 年以上から 53 例であった。 (A-①-2-a,b) ・2012 年以降の 7 年間での職員数は平均 28.1 名であり、2017 年度の 32 名を最大として、 昨年は 25 名と大幅に削減している。しかし調査期間中の在宅療養患者総数、訪問診療件 数はともに若干減少しているものの、受診者総数、外来患者総数は増加していた。 (A-②-1,A-②-1-a,b,c) ・2019 年 5 月の外来受診患者数は 491 名であり、疾患内訳では生活習慣病関連がアっと王 的に多数であるが、認知症、関節リウマチ 65 名を含む多数の骨関節疾患、並びに自己免 疫疾患、悪性疾患いずれも 25 名などの多様性が認められた。(A-③) ②外来通院および在宅療養患者を対象とした、現在の病識や先行きに対する意識調査;「あ なたのこれから」アンケート結果に見る ACP 関連意識調査 (添付資料C-①-a,b. 参照). ③処遇困難もしくは早期集中支援が必要な在宅療養患者への(アウトリートを含む)積極 的な ACP(Advance care planning)介入のケアカンファランスを、院内(および要時、 随時の他施設から)の多職種参加を招聘して、毎月一回 2 時間程度開催した。 (資料なし) B)地域啓発関連;地域住民ほか医療介護福祉の多職種連携、および地域に向けての多業 種参加による(「研究事業活動記録」参照) C)地域資源と住民意識調査活動、および「まちづくりを考えるCBPAチーム;杜の人」 集会の招集運営・生活状況や地域貢献に関する意識調査(*人社プロジェクトアンケー ト実施と集計結果)(添付資料C-②-a,b,c)参照・ ・「杜の人集会」(地域の強~弱みの抽出と地域資源の発掘周知のためのグループワーク) (添付資料B-➀,②.③,④,⑤)参照 ⇒地域資源マップ作り(資料B-⑥,⑦)参照.
(9) ・鶴が丘人社プロジェクトアンケート(「あなたについて」と「地域について」、総合的な 幸福度など) (添付資料C-②-a,b,c) Ⓐ三輪医院がある地域とその他の比較. (添付資料C-②-d,e). その他のうち、一つは同じ地域住民主体の Ⓑ浦賀地区でのアンケート、 その他は同じ住宅地で Ⓒ助け合いサークル活動が活発な地域(ハイランド) Ⓓ民生児童委員協議会参加者あるいは Ⓔシルバー人材センターで具体的な地域活動(有償ボランティア)をしているグループ そして住民感覚を持たないⒻ看護学校学生たち D)地域支援啓発活動事業(添付資料D-➀,③) ・「しろいにじの家」/「しろいにじの会」活動支援(今回郵送資料参照) ・総合相談支援事業 「総合相談/アウトリーチ相談」活動(しろいにじの家)(資料D-③参照) 「庭先出前カフェ」、 「相談屋台」 、. (資料C-③参照). *「庭先出前カフェ」事業の解説と考察; この支援活動の趣旨;在宅療養または外来通院中の患者の中で、身体的精神的障害も しくは認知症や住宅環境のために外出困難または引きこもりの傾向があって、本来な ら陣k亭交流の機会を求めたいという本人または家族の意思希望を受けて、あるいは 療養支援上必要と医療介護者側からの勧めにより、自宅室内もしくは庭先(玄関先路上) などで行う、簡易なティータイムを提供する支援である。ただし、その際には同意が あれば近隣の地縁者、もしくは知人などをも招待して、無理のない複数人数で執り行 うものとする。基本的に参加費用は無料として、好意あれば参加者持ち寄りでの歓談 の時と場所を提供するが、戸外で実施する場合には、移動組み立て式の屋台と折りた たみいすなどを携帯して会場設置を行うものである。 この企画の目的はあくまでも簡易かつ非日常的なレスパイトとして行われる. 近隣. または知人・友人・家族等との懇談を促進するものであるが、それに合わせて在宅医 療介護他、要望に応えての相談に応ずる機会(相談屋台)として活用し、実施可能であれ ばその評価をカフェ下肢前後での、アンケート調査によって行うことも検討するもの である。 なお、今回の研究事業においては、一回目は男性認知症患者(84 歳)の介護のため、 以前はしきりにホームパーティなどを行っていた妻(80 歳)のレスパイトと近所付き合 いの復活を兼ねての「庭先出前カフェ」と相談屋台開催(のべ参加者 7 名)、そして二回 目は、関節リウマチと脳血管障害後遺症で要介護 5 となり、さらに肺がんも伴って発 症した 82 歳男性宅の室内での「出前カフェ」として開催した。(のべ参加者は居宅療養.
(10) 支援のケアマネ、訪問看護師/理学療法士などを含む合計 15 名)なお、この際には天候 不順での室内開催であり、「相談屋台」は行わず、カフェ開始前後のアンケート調査を 行った。 <アンケート結果の検証と考察> 参加者からのアンケート回収数が 6 と少ないため、その一覧を参照するにとどめるが、 参加者平均年齢は 80.2 歳で近所の知人友人が 5 名であった。参加者のカフェ開始前のアン ケート内容からは口コミでの周知と事前の期待感は前後での唯一のアンケート内容変化は まあまあ~大変楽しみが 5 名、いずれの参加者も健康状態、気分も不都合のない状態であ ることが確認できた。幸福度も良好(普通 1、まあまあ2、大変幸せとの回答も 2 件あった) であった。カフェ終了後の変化としては開始前にはまあまあとの回答者 3 名が「大変楽し かった」、あるいは「大変幸せ」になっていた点である。 考察;この手法はもともと都市デザインをする建築家田中元子氏からのヒントで企画し たものである。“街の中に屋台を設置することで非日常的なスポットを創り、そこを通行す る誰かが足を止めると、そこで「なにしてるの?」からのコミュニケーションが始まり、 やがてその訪問者のモチベーションとニーズに応じた話の展開が期待でいる“というもの で、医療介護関係者がそこに存在すれば、おのずとその方面の相談も引き出されるのでは? という発想から行ったものである。今回は第一回目の庭先出前カフェ実施の際に行ったが、 集まった近所からの主婦中心のメンバーからの要望もあって、ほとんど在宅医療に関する ミニ講演会のような形となり、活発な質疑応答も加えておよそ一時間で終了した。2 回目の 庭先出前カフェはあいにくの雨天であったため、患者宅室内での開. 催となった。その際. には、ドリップコーヒーサービスを提供する男性ボランティアの申し出と協力もあって、 およそ 3 時間のカラオケを交えての歓談となった。 いずれの場合とも、長年居住する近隣からの顔見知りの高齢者が患者宅を気兼ねなく訪問 する機会となって、在宅療養を継続する当事者と家族にとっては非日常的な歓談の場面が 提供できたことは大きな成果であった。しかし、とはいえ参集される側(殊に介護者)の心理 的身体的負担は決して少なくないと思われ、今後はその点の十分な事前のヒアリングや準 備~検討をより慎重に執り行う必要があるとも思われた。 ・ “ みわもりナース”活動“;個別に外来診療後の会計待ち合せ時間を用いて、自院看護師が、 「今後の通院が困難となる可能性が高く、経済的、家族背景的に困窮を極めると予測さ れる患者もしくはその家族」との外来時、もしくは在宅訪問して面談を行い、さらにそ の結果を踏まえて患者居宅に必要時に(訪問看護業務としてではなく外来~在宅継続看 護の一環として)出向き、タイムリーな傾聴と相談あるいは取り急ぎの身体的な処置対 応などを行う看護師のケースワーク的な活動と定義する。その結果、外来または在宅診 療の一環として、自院看護師が患者宅に赴くことにより、以下 2 点の効用が確認された。 1)外来の場合には日常診療からの一連の流れの中に、いずれ在宅療養に移行するケース.
(11) を円滑に導入するために必要な具体的な準備が整い、 2)在宅療養の場合には居宅で介入するケアマネジャ-ほか介護関連多職種や訪問看護師 との連携が推進し、(ACP介入を含む)介護家族とのコミュニケーションやリエゾン形 成、そして、居宅での療養環境の確認とアドバイスなどが行えた。 ◎「事業活動記録」(=勇美財団研究事業介入活動記録); (*)は資料あり 1)「鶴が丘人社プロジェクト」 ➀「人社プロジェクト」アンケート(2018 年 年 10~11 月実施)* ②杜の人集会*(郵送済み+一部今回郵送分) 第一回. 2018 年 12 月 21 日. 第二回. 2019 年. 2 月 26 日. 第三回. 2019 年. 6 月 18 日. ③鶴笑会【所属町内会との連携会議】;鶴が丘町内会/ローソン~/スマイル/ 三輪医院/鶴が丘歯科 2019 年の5者会議. 1月 21 日から計2回開催*. 2)地域支援と啓発活動 ④「庭先出前カフェ」 第一回縁茶円卓の会*(しろいにじのカフェ)2018 年 11 月 18 日 2018 年 11 月 24 日. 第二回鈴木健史宅(庭先) 第三回高橋健治宅(居室) ⑤「相談屋台」鈴木健史庭先). 2019 年. 参加 25 名 8名. 参加. 6 月 10 日. 2018 年 11 月 24 日. 参加 15 名 7名. 参加. ⑤まち塾(「認知症セミナー」毎月第 4 土曜日) 「ハンセン病と人権について」(*). 2019 年 2 月. 9日. 「若年制認知症の介護を通して」(*). 2019 年 3 月 23 日. 参加. 12 名. 参加 25 名. 「地域包括支援センターと認知症の関りは?」2019 年 5 月 18 日. 参加 25 名. 「歯周病と認知症~お口のケアを見直しましょう~ 2019 年 6 月 15 日. 参加 21 名. ⑥診療所主導型学習会(多職種連携学習会);(研究費助成介入) 「フレイル予防のまちづくり~地域栄養ケアを目指して~ 2019 年 1 月 11 日(金). 参加 25 名. 「横須賀の2040年を考える学習会」~無縁社会~独居高齢者の孤立死を考える 2019 年 5 月 25 日(土)参加 127 名 「医療と福祉をつなぐパネル討論会」. 2019 年 5 月 28 日(木) 参加. 65 名. ⑦「しろいにじのサークル」活動支援* 「しろいにじの会」の発足. 2018 年 11 月から(*). 来場者アンケート実施;2019 年 5~6 月(第 1 回在宅療養連合学会報告) (*).
(12) 「一人暮らし高齢者のアンケート」(*) ⑧総合相談事業*. しろいにじの家の相談と支え合い支援事業(添付 PPT 資料3). ⑨「リエゾンチーム地域支援会議」活動 ~毎月一回第 4 金曜日に当院医師、看護師、ケアマネジャ-。医療事務員参加によ る地域支援対策協議と 2~3 か月ごとに処遇困難なケースや早急な対応を要する事 例に対し、「ACP ケアチーム会議」を開催する。 (必要に応じた他施設多職種の招 待参加を含む) ⑩在宅医療啓発(グリーフケア漫画)冊子の作成 ◎「本当にあった病院での話」 ~患者から病院の人たちにちょっと聞いて欲しいこと(医師会誌から分冊) ◎「そして穏やかな時を…(たちばないさぎ作品)」(市販作品から小冊子複製 3)その他の地域調査事業 三輪医院患者アンケート ➀外来患者「あなたのこれから」アンケート(令和元年 5 月実施)* ②在宅療養患者データベース調査;紹介経緯とACP介入時期ほか随時検索 ③(第一回在宅療養連合学会報告)*(2018 年 7 月 13 日) 「プライマリーからエンディングケアまで」 ~望まれる“地域密着型在宅療養支援診療所”の作り方 「“自己統制力”と“うつ”評価アンケートに基づくACP評価」 4)その他の地域支援活動 しろいにじの文化祭(2018 年 11 月 16~17 日)開催予定* <各調査研究結果の紹介と考察> A)地域医療活動関連調査の結果紹介. 別添資料Aファイル内容参照. ➀-1三輪医院患者推移;外来からの在宅移行率(2001~2017)⇒. 資料A-①-1. 独居率(2006~2018 ) ⇒. 資料A-①-2. ➀-2. ②職員数と患者数の推移(2012 ~2018)⇒資料A-②-1およびA-②-1-a,b,c ③外来レセプト調査項目)2019・5 月分. ⇒ 資料A-③. <結果の解説> ~三輪医院データベースから知る在宅療養患者の特性~ *「在支診」としての過去 17 年間の診療実践内容から構成された患者データベースの継 続的~経時的な解析 ➀-1. 外来通院患者の在宅移行率(2001~2017)(A-①-1).
(13) 2002 年からの年次の新規在宅診療開始登録患者数の推移を(A-①-1)に示す。 17 年間の登録患者数は昨年度までは毎年継続的な暫増傾向であるが、そのうちの外来か ら自宅療養に移行する患者数も同様の傾向を示している。これは各年とも 20~30%前後 の比率であり、当院の年間のべ外来通院者数をおよそ 1000 名とすると、それに対しての 比率は 16.8%に及ぶ。つまり年間外来通院患者の 2 割弱が在宅療養に移行しているとい うことでもあり、もし在宅診療を全く行わない診療所であれば、その人数分の外来患者 が毎年減少してゆくということも意味するのである。(A-①-1-a、b、c) さらに、直近 7 年間(2012~2018 年度)で、新規の訪問診療開始登録患者数 502 名の内 訳をみると、外来からの移行例の合計は 102 名(約 2 割)であり、そのおよそ半数は外来通 院1年未満、すなわち在宅準備としての通院開始と考えられる患者であった。一方では 1年以上の継続通院患者からも 7 年間でみると 53 名(約1割)が訪問診療に移行している という実態であった。(A-①-3-a,b、c). ➀-2. ◎在宅療養患者の独居率(2006~2018)A-①-2、A-①-2-a,b) 2007 年から 2018 年までの 12 年間の統計では新規在宅療養開始患者のうち、127 名 (18.8%)が独居であり、その傾向は増加傾向というよりは、多少の増減はあるものの、あ る程度一定の割合となっている。2012 年には 39.7%にまで達しており、今後の独居もし くは老々高齢者世帯の増加が見込まれている地域ではその対応は喫緊の課題である。今 回の調当院外来患者アンケート査結果からも別表(C―➀-a-1)に示したごとく、通院 患者の独居率 26%、そしてさらに高齢と思われる配偶者との同居が多い(43%)現状は (当人がいずれ居宅療養未移行した場合)、いずれその配偶者が独居もしくは息子(27%) との同居となる公算が大きいということを示すものである。(もし同居の息子自身の老齢 化、あるいは親の介護のために仕事を辞めることになれば、それはいずれ親の年金で暮 らす結果となり、親の逝去後には“収入と生きがいを奪われる中高年の引きこもり候補者” になることまでも危惧される状況である) ②三輪医院患者・職員数年次推移(2011~2018) 当院の最近 7 年間の診療報酬請求件数(受診患者数)および当院の総職員数推移を示す。 (A-②-1) まず、この 7 年間の推移をみると、受診者総数と在宅患者総数が 2014~2015 年度に急 増しているが、これは当院が所属する社会福祉法人の介護老人福祉施設100床の開設に 伴うものである。一方この間、 「在支診」運営に対応する職員総数は非常勤を含む 22 名(2012 年度)から 32 名(2017 年度)までの増員を図ったが、現在は(人件費管理上の削減を行って) 医師 8 名(院長以下非常勤 7 名)のほか、事務員 6 名(非常勤1名)、看護師6名(非常勤 4 名、うち1名はアロマテラピスト)管理栄養士(非常勤のほか)、常勤の理学療法士、臨床 検査技師、介護支援専門員各 1 名、そして漫画家(非常勤)の 25 名となっている。 ちなみにこの資料自体では明らかではないが、在宅患者総数の増加が訪問診療件数の増.
(14) 加となっていない理由は、ひとつには介護老人福祉施設への訪問診療は配置医としての扱 いであり、初診料や訪問診療料の算定対象にはならないため、そしてもうひとつはグルー プホームへの「施設総菅」の設定や同居家族への診療に対する同一家族扱い、さらには医 療介護への出費が困難な家計貧困事例の増加などで、訪問診療回数の削減を希望される形 での月一回の訪問診療数の増加である。その結果、訪問診療件数はこの数年間の傾向とし て、一定~微減していると考察される。. (A-②-1-a),(A-②-1-b). B)地域支援啓発関連 ⓵地域住民と自院患者を交えての「まち塾」活動 研究期間中に計 4 回開催(合計参加者数 84 名) *各回重複して参加する人員も見受けられ、一方でそれぞれのテーマに沿った選択をも って参加する自主性も見受けられた。単に在宅医療に関する情報提供や啓発のみならず、 障害~差別や偏見などの社会的なハンディキャップを理解し、見守り支える側とそれを 受ける側の共感心情と地域の優しさを育む意図で行っている身近で気軽な暮らしの中で の学習会(まち塾)として位置付けている。 ②診療所主導型学習会の開催 研究期間内に計3回開催(合計参加者数 217 名) 実身に当たる多職種のみならず、関連する当事者を含む多業種参加で行い、おもに広 域の地域の課題を学習啓発し、討議を深めて地域の基本的な福祉に関する部分の意識を 共有しようとする意図で行っている学習会である。 (当院主導型多職種学習会としてのみならず、より広域への発信事業の一部に当研究事 業として介入する形をとっている。 ③「鶴が丘人社プロジェクト」と「杜の人集会(ワーキンググループ)」企画; 神奈川県下で初となる介護相談窓口付きコンビニストア「ローソン鶴が丘店」の出店 (2018 年 11 月 2 日)に合わせて、当院が所属する町内会を超えた生活圏域(当院への徒歩 通院圏内)の 6 町、約 2000 戸の近隣住民や地区社協/民生委員、地域包括医支援センタ ーほか医療介護福祉関連職種、関係行政課などからの参加を求めて、 「神ではなく人が集 まる場所【人社】づくりと、そこでまちづくりを考える話を行う人【杜の人】たちで地 域の課題と解決を求めるグループワーク(GW)を展開する取り組み【人社プロジェク ト】」を展開した。研究期間中、「杜の人集会」は計 3 回企画実施したが、初回のGWで 得た多くの課題抽出結果(資料議事録参照)を取りまとめ、当面の検討課題として「Social Capital; 地域資源」を抽出することとして、第 2 回目のGWでは神奈川県立保健福祉大 学の社会福祉学科教授西村淳氏の学生ゼミの協力のもと、数多く挙げられた地域資源を 整理検討して、今後のたたき台となる「地域資源マップ」原案が作成された。これをも とに第 3 回の集会では、それに加えるべき、あるいは創生したい数多くの地域資源追加 書き込みを行っており、今後はさらに再びグループワークを通じての住民参加型地域調.
(15) 査研究手法(CBPR;. community based participatory. research)を用いて、地域資源. マップの完成を目指したPDCAサイクルを回す取り組みを予定している。また、これ に際して実施した地域住民への「鶴が丘人社プロジェクト」アンケートも実施しており、 これを今回の研究課題である「在支診」が執り行う地域支援事業展開の評価を行うに際 しての現状評価資料とした。またその他の地域、あるいは各団体でも同じ内容のアンケ ート調査を実施し、その集計結果との対比も行って、当院近隣の特性を比較確認するこ とも計画した。(集計結果を以下に示す。) このアンケートは以下の当院が所在するA鶴が丘地区(横須賀市鶴が丘周辺 6 町(1250 戸、約 2000 人)のほか、医師会事業の街角出前医療講座や、診療所主導型学習会を介し て、属性が異なるいくつかの地域団体、B浦賀地区(横須賀南部東京湾沿いの歴史ある 民家と県営高層住宅が占める港湾と住宅地)、Cハイランド地区(高度経済成長時代の大 規模開発で約 50 年前に誕生した一戸建て分譲住宅地で活動する助け合いサークル参加団 体)D民生委員児童委員協議会(市内 18 地区、541 人;平成 28 年度)、Eシルバー人材 センター、F看護学生(神奈川衛生学園看護学部 1 学年生)、そしてG当院外来患者(令和 元年 5 月受診者) を対象としてアンケート調査を行った、調査項目は(C-2-a、b) に示す。 これらの各群別に「人社プロジェクト」アンケートの集計結果を通覧すると表(C- 2-c)のようにまとめられる。 これらのアンケート集計結果のうち有効回収アンケート総数は 1037 件であった。 まず、それらの調査対象のプロフィール(C-2-d)を見ると、各群の平均年齢は当然 ながら看護学生が最小(25.2 歳)であったが、他群では鶴が丘地区が 54.3 歳、次にシルバ ー人材センター(59.8 歳)、浦賀地区(61.3 歳) 、市民児委協(68.0 歳)、ハイランド(74.0 歳)の順に高齢化しており、当院外来患者の 75.5 歳が最高齢であった。次に、横須賀在 住年数では看護学生を除くと、いずれの群でも 40 年以上であったが、ここでも当院外来 患者のそれが 54,4 年と、最大であった。出生地ではハイランド地区以外、いずれの群も 神奈川県内が半数以上であったが、ことに鶴が丘地区では 70%と高率であった。住居環 境では、戸建てもしくはマンションの持ち家所有率はハイランド地区が最大(96.9%)で あり、浦賀地区が最低(48.4%)であった。同居家族数では鶴が丘地区が 2.9 人と最大であ り、当院外来患者が最小(2.2 人)であった。また独居率では浦賀地区が最大(28%)であ ったが、当院外来患者も 24%と高率であった。これに対してハイランド地区、シルバー 人材センター、そして民児委協の群では明らかに少ない独居率(それぞれ 6.0,6.0,8.0%) であった。次に在職者率であるが、(浦賀地区が最も高く 26.5%)、次いで鶴が丘地区 (24.8%)であった。なお、シルバー人材センター関係では 12.1%と少ない在職率であった が、無回答が多く、その団体の性質上日常の就業活動はより高い率で行われていると考 えられる。 同居家族種別では配偶者はハイランド地区で最多(73.3%)であったのに対し、シルバ.
(16) ー人材センターはわずか 1.5%、民児協も 7.0%と低率であった。また息子・娘との同居 率はハイランド地区のほか、当院外来患者群もひときわ少ない結果であった。さらに一 方では浦賀地区は息子との同居率が高く、51.5%と最多であった。 次に、アンケート裏面、①子育て・教育への満足度 健康状態(身体)の満足度 度. ②医療・介護への満足度. ④健康状態(精神)の満足度. ③. ⑤近所・地域への満足. ⑥自然環境への満足度、そして、⑦あなたは今どのくらい幸せを感じていますか?. のそれぞれの各項目別の回答率を一覧すると(C-2-e)のごとくであった。それぞれ 質問項目の平均評価結果をレーダーチャートにて概観すると、「あなたについて」の項目 では各地域とも同様な傾向があるが、その中でハイランド地区が総合的に最も外側に評 価の枠が広がっていることがわかる。 また、「地域社会について」では、今回「在支診」としての当院の評価を問う意味. も. あって、⑨三輪医院をご存知でしたか?⑩三輪医院は頼りになりますか?⑪しろいにじ の家をご存知でしたか?の 3 項目を含む⑧ボランティア活動への興味、⑫地域包括ケア システムをご存知でしたか?⑬2040 年問題をご存知でしたか?などの各設問を設けてい る。当然のことながら、いずれも鶴が丘地区と当院外来通院患者のそれらの項目の評点 は高い。また、地域への関心度の尺度としては「地域包括ケアシステム」、 「2040 年問題」、 そしてボランティア活動への関心」の 3 項目について調査したが、その結果で評価点が 高かったのは、ハイランド地区、民児委協であり、次いではシルバー人材センターであ った。(それらの地区や団体へはこれまでいずれも医師会からの「在宅医療出前講座」利 用や日ごろの社会貢献活動を通じての認識であると推察される。)一方、当院のお膝元で ある鶴が丘地区や当院外来患者を見ると、残念ながら(看護学生ほどではないが)、ボラ ンティア活動への興味はあまり高くないという結果であった。なお、当院近隣住民に比 して、高齢者でありながらも「地域包括ケアシステム」や「2040 年問題」の認識が若干 高い状況もうかがえたのは、日ごろの外来診察の時の小生からの啓発の影響もうかがえ た結果であろうか?(C-2-eー①) また、直接の診療圏ではない群からの回答にも「三輪医院は頼りになりますか?」の 問いかけに思いのほか良い評価が得られているのは、医師会活動を通じてこれまでの働 き掛けてきた当院(または私個人)の努力実績に対する評価と受け止めたい。 (C-2 -e-②) これらの概観を統計処理すると(C-2-f)のようになる。 ここで群間有意差が認められたところを順次確認してみると、まず設問①子育て教育へ の満足度評価では当院外来患者―鶴が丘地区群間に有意差、(p<0.05)があり、設問②医 療介護への満足度でも自院外来患者群は民児委協、浦賀地区、そして鶴が丘地区より有 意に(P<0.01)高点数を示していた。その他では③健康状態(身体)への満足度ではハ イランド地区の評価が高く、当院患者群、浦賀地区、そして鶴が丘地区との有意差(P< 0,05)を認めている。同じく④精神の満足度ではやはりハイランド地区で高評価であり、.
(17) 鶴が丘地区、看護学生との間に有意差(P<005.)を認めている。次に⑤近所、地域、そ して⑥自然環境への満足度でもハイランド地区は浦賀に比して(P,0.01)、また鶴が丘地 区や看護学生群に対して(P,0.05)有意に高評価であった。以上の結果として⑦の幸福感 に関する設問でもハイランド地区は 3.83 と評価は抜きんでており、鶴が丘地区とは有意 差(p<0.01)も認めている。(C-2-f-①、②、④参照) 次に「地域社会について」の設問に移るが、先に述べた三輪医院関する設問を除くと、 ここでもハイランド地区は⑧ボランティア活動への興味が最も高い群であり、鶴が丘地 区伽看護学生に比してのあきらかな有意差(P<0.01)を示してた。また、民児委協群は ⑫地域包括ケアシステム、⑬2040 年問題への認識が高く、鶴が丘地区、浦賀地区、ある いは看護学生群(P<0.05)、さらにシルバー人材センター(P<0.01) との有意差も認め られていた。これも日ごろの業務や地域社会貢献活動の結果としての認識の高さといえ よう。(C-2-e-③,⑤,⑥) ④町内会支援活動(鶴笑会) ;鶴笑会と称して、当院が所属する町内会からの代表者を含み、 「鶴が丘人社プロジェクト」と称する基盤となる町内会としての連携の場所づくりを行 っている。この理由の一つには、町内会の体質にも関連するが、より広域的な地域活動 への理解や協力する方向性がともすれば認められない現状を受けて、事業進捗のために はより慎重にコミュニケーションの場を設ける必要性が生じたためである。(議事録参照) <考察> 以上を総括すると、今回の「人社プロジェクト」でアンケート調査した地区(あるいは集 団)は地域背景や構成員の属性が全く異なる群であり、数値的な統計学的評価は絶対的な ものではない。しかし少なくとも年齢や世代の相違ばかりでなく、住居地の特性や日ごろ の地域活動への参加の有無により、日常生活行動や意識の相違が認められ、生活評価や地 域活動への認識にも違いが生じたことはもちろんである。興味深いのは、高齢であっても 地域活動への参加意識が強い住居地である「ハイランド地区」、あるいは地域活動団体であ る「市民児委協」や「シルバー人材センタ―」群ではいずれも地域への意識~関心度が高 医と同時に、子育てや教育、心身の健康意識、あるいは近隣地域~自然環境などへの生活 満足度などの評価も高かったということであろう。すなわち、(他者のために)地域活動を積 極的に行おうとする生活行動や考え方が、最終的な総合評価項目である「幸福感」をも高 めている可能性が示されていると認識されよう。 そしてもう一点着目したいのは、当院外来通院患者群を除いて、当院の診療圏である鶴 が丘地区はもとより、他の住居地や団体各群いずれも総じて「医療介護の満足」に関する 評価点があまり高くなかったことである。各地域や団体の健康管理に関与する医療的背景 は不明であるが、地域の診療所、とりわけ在宅医療推進においてその活躍が期待されてい る「在支診」の存在も含めて、地域の健康意識の向上に現状は寄与していないということ でろうか?「地域包括ケアシステム」構築を控えての今後を考えるとき、人口減少と医療.
(18) 費削減の世相の中での外来受診患者数の減少が見込まれることをも考え併せて、より積極 的な地域への介入を図る意義は大きいと考える。言い換えると、地域の診療所があくまで もこれまでの私人的な「受診する患者だけを診る」診療体制では、もはや地域のニーズに 応えられなくなってゆくことをいまこそ想起すべきであろう。 <結語> 外来診療を行い、その一方で在宅診療をも行う従来型の診療所、ことに「在支診」では 在宅療養患者を院外から紹介されるケースも多い。一方で、明らかに自院外来通院患者の 一部が病状進行や老齢に伴う ADL 低下、あるいは認知症など発症のために通院困難となっ て、ごく自然に在宅診療に移行することが一定の割合で見込まれている。(今回の検討では 毎年 20%前後)公的介護保険制度の普及浸透と合わせて、在宅医療に関わる医師にとって は、気づけば次第に複雑化し、かつ対応しないことに対する批判を受けるようになってき ている多職種連携推進の負担感(弊害?)、一方では(行政によっての差はあるが)、次第に 厳しさを増す行政からの指導監査、あるいは増え続ける書類関係の負担などが大きくなる ばかりである。とりわけ、留意すべきは(契約ありきの介護保険制度の影響も大きいが) 義務順守よりも権利意識が高くなっている患者やその介護家族(モンスターペイシェントや ファミリー)を挟んでのコミュニケーショントラブルであり、これが在宅診療に携わる医師 のみならず医療介護福祉、時には行政関係者をも日々大きなストレスとなって苛んでいる ことも見逃せない事実である。 そんな現場の状況を踏まえて、今回の研究以前からの当院でのデータ解析から示される のは、“初めて出会っていきなり在宅に乗り込む宿命の在宅医”にとって、院外からの紹介 患者受け入れの際に留意すべきいくつかの事項である。(資料D-②参照) まずは事前の患者の診療や家族関係や社会的背景も含めた診療~介護情報の入手の重要性 であり、次には好ましい在宅診療に必要な良好なリエゾン関係の構築努力である。しかし、 病院からにせよ、あるいはその他の経緯からにせよ、自院以外からの紹介患者の場合、い ずれもそのための一定の時間をかけることが多くの場合許されない現実がある。 まず、今回の研究結果から、我々は「外来機能を有する診療所にとっての在宅診療の望む 最大の利点として、長期通院していることから自然に備わる病状理解と安心して接遇出来 るリエゾンが形成された在宅療養への移行が出来る」という点を掲げたい。またそれと同 時に、今後 2040 年社会に向けて地域の高齢化がとどまらない中での地域医療実践するうえ で、いかに新規患者の来訪に応えられる(進化できる)診療所「在支診」であり続けられるか を問われる時代であると気付くべきであると指摘したい。 今回の我々の試みはあくまでも「在支診」として在宅医療の質を求めると同時に、来る患 者を待って応療するだけであった医療機関が今後どのように変貌すべきか?という模索で ある。また、来るべき地域包括ケアシステム構築社会の中でますます複雑化する制度や、 監視と監査の縛りが増え続ける医療介護保険関連業務内容にいかに耐え、かつ多職種連携.
(19) 推進の罠にはまって苦しみ悩むことなく、地域に頼られる公的な地域資源としての評価を 受けられるかという模索でもある。言い換えると、これまでのように優秀でカリスマ的な 医師の力をもってしても出来ないところを、院内多職種職員雇用とその連携効率をもって、 地域からの相談や依頼を鋭意受けとめ、迅速かつ適切にアウトリーチを行ってそれに応え る体制を備える~そのことにより、地域の多業種連携や地域資源の活用をもって早期の問 題解決に臨むことを可能にし、いざとなれば日ごろからの顔の見える連携が取れる地域密 着型の多職種~多業種連携をインテグレートして(地域資源を活用して)対応する。そん な医療介護福祉の総合的な展開を実現できる診療所(仮称地域支援診療所)が必要になる のではないか?という仮説の提起である。 今回の研究(というよりはあくまでも模索試行)から見えてきたことは、院内外にわか りやすいアクセス窓口となる集まり処(カフェやサロンなど)を創り、自院もしくは地域 活動団体との連携でそれを支援し、従来の医療事務や看護師の業務に加えての兼務での相 談事業や訪問調査 (アウトリーチ) 業務を展開する、あるいはそのために必要なスタッフ (社会福祉士やベテランの介護支援専門員、ときには保健師など)の雇用も検討する価値があ るのではないかとの予見的知見である。今回我々の検討からは少なくとも常勤換算1名の 相談員(MSW)的な役割の雇用が有用であり、その活動の場として、暮らしの中での集 まり処の自己資金による運営には相当の出費がかさむことも自明である。しかしながら地 域のボランティア会員の支援育成と併せて、この負の人件費をどのように埋め合わせられ るか?この点の解決のためには、その評価を診療報酬に求めることはもとより、(間接的に はメリットとなるはずの)公益的な支出として、どの程度を容認するかという診療所経営側 のヘルスリテラシーにも関わるところと考えるが、いかがであろうか? 今後ますます増えると予測される経済的困窮や健康に関する情報過多(もしくは不足) のために、もしくは無知や認識不足から診療拒否する際の病状悪化から、正しく診察を受 けずに発見が遅れて悔やまれる結果を招くケースの多発を危惧される。さらには、今や国 民病の認知症をはじめとして、当事者が意思能力を欠いている場合や近隣地域の問題とな るような引きこもりからのごみ屋敷化~時には無縁孤立の孤独死から特殊清掃の介入に至 る事例の多発も都市部を中心に指摘されており、様々なパターンの処遇困難事例の増加と 併せての社会現象となっている。本来、地域の健康を担うのが医療機関の当然の使命と考 えるならば、積極的にそれらの課題に対する事前介入も試みるべきと考え、今回は「在支 診」である地域の診療所としての当院の診療活動を地域に展開してゆく過程を検証し、こ れからの診療活動やコミュニティヘルスへの寄与成果の指標を求めて、今回の研究活動に 取り組んだ次第である。 我々は今回の調査活動を通じて、残念ながら(あるいは当然のこととして)現段階では これまでの当院の診療活動が近隣地域の暮らしを支える社会的資源として、絶対的に、あ るいは相対的にも十分に評価されている段階でないということをまず認識した。その中で、 引き続き“地域に密着して患者の暮らしと初期診療を診て取り、そして末期までを看て取.
(20) る”医療機関すなわち外来診療併施型「在支診」として、地域活動を推進する所存である。 そのさいにその拠点となるべく、当診療所が運営するコミュニティスペース「しろいにじ の家」での総合相談窓口設置と支え合い活動支援を積極的に行い、通院患者のみならず、 近隣住民をも視野に入れた地域のコミュニケーションとエデュケーション介入促進を試み た。その際の手法としては、そこでの「サークル活動」や「まち塾」企画を展開し、そし て地域住民の自助互助を推進するために、有志での支え合いを志すべく「しろいにじの会」 結成支援なども行った。 今後はおおむね5年後の評価としてのアンケート調査再実施をも想定しながら、当院周 辺診療圏の「コミュニティーヘルスと幸福度」の向上を実感するべく、多機能型「在支診」 (仮称地域支援診療所)としてさらに「地域包括ケアシステム」をリードし、地域の幸福度に も寄与できる地域資源化への方向性をも求めてゆきたい。 以上.
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