62 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(18) サカ イ酒 井 か が り (
博士(医学) 心証209号平成4年3月13日
学位規則第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程終了者)
1.oss of heterozygosity on chromosome 16 in hepatocellular carcinolna (ヒト肝細胞癌における第16番染色体欠失の解析) (主査)教授 小幡 裕 (副査)教授 内山 竹彦,相川 英三論 文 内 容 の 要 旨
目的 近年,細胞の癌化には優性に働く発癌遺伝子の活性 化と共に,いわゆる癌抑制遺伝子の不活性化が推定さ れてきている.ヒト肝細胞癌において,その発生およ び進展に染色体欠失による癌抑制遺伝子の不活性化が 関与していると考え,制限酵素断片の遺伝的多型・ restriction fragment length polymorphism(RFLP) を用い,肝細胞癌で高頻度かつ特異的にみられる染色 体欠失部位を明らかにすることを目的とした, 方法 手術または剖検より肝組織を得られた肝細胞癌症例 68例(ウイルス型のうちわけは,B型13, C型24,非B非C型9,抗HCV抗体未検22例)を対象とし,各症
例の癌部・非癌部組織より抽出した高分子DNA・10μg を適切な制限酵素で完全消化後,各染色体上で.RFLP を示すプローブを用いてSouthern hybridizationを 行い,それぞれの染色体欠失頻度を比較した. 結果 1)9種の染色体,すなわち1p,5p,11p,11q,13q, 14q,15q,16p,16q,18qおよび19p上の11ヵ所で解析 を行い,4種の染色体上6ヵ所で染色体欠失がみられ た. 2)欠失は第16番染色体上16q 22.1-22.2の領域に特 に集中し,その頻度は39%であった. 3)16q 22.1-22.2領域の欠失例において,肝炎ウイ ルス感染の有無・腫瘍径・癌組織の分化度・肝内転移 および門脈腫瘍塞栓の有無をパラメーターとして欠失 との関連性を検討したが有意差はなかった. 考察 癌抑制遺伝子の不活性化には,2本の染色体の一方 の欠失と他方の遺伝子の点突然変異などが想定されて おり,まず染色体今回部位を明らかにすることが,そ の癌で特異的に機能している癌抑制遺伝子を明らかに する上で重要である.第16番染色体の欠失は,低頻度 に前立腺癌で認められる以外は報告がなく,特に16q 22.1-22.2領域上の欠失は肝細胞癌でのみ認められ,そ の発生もしくは進展に特異的に働く癌抑制遺伝子が存 在していると推測された.この門下頻度にはB型肝癌 とC型肝癌の間に差はなく,原因ウイルスの如何にか かわらず共通の遺伝子変化を示すものと考えられ,肝 細胞の癌化および進展の過程で重要な役割を果たす癌 抑制遺伝子の存在が示唆される. 結論 ヒト肝細胞癌68例において,その染色体欠失部位を 明らかにするため,RFLPを用いて解析を行い,16q 22.1-22.2領域に高頻度に欠失が見出され,この染色体 上に癌抑制遺伝子の存在が示唆された. 一666一63