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国策事業(国家的プロジェクト)をめぐる葛藤から社会的合意の形成へ : 韓国の「シファ地域持続可能発展協議会」の事例を中心として (特集論文 Ⅱ「豊かな」社会の到来と生活空間の変容 : 日韓比較)

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国策事業(国家的プロジェクト)をめぐる

藤から社会的合意の形成へ

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― 韓国の「シファ地域持続可能発展協議会」の事例を中心として ―

金 善泰

Toward the Social Consensus from the Environmental Dispute

caused by Large-Scale Development Projects

― A Case Study of Shiwa Sustainable Development Council in Korea ―

Kim Sun Tae

Department of Environmental Engineering, Daejeon University

This paper is aimed to introduce the details of a case study on the local environmental dispute or ‘Shiwa Sustainable Development Council’in Korea. The council was established in 2004 in order to set-tle the environmental conflicts concerning development of Shiwa Lake area. Shiwa Lake once had tragic disaster : the lake was blocked with seawater in 1994. However, the lake failed to maintain the water quality, and was finally connected to seawater again. In addition, Shiwa area has over 7,000 factories and the residents have been in trouble with the environmental pollution. ‘Shiwa Sustainable Development Council’ is composed of citizens, administrators, construction companies, and experts. They introduced many pioneering cases of governance experiment coping with the environmental dispute among the interest parties. On the otherhand, they will have some problems and/or limitations ; the development plan which was finally accepted was not supported by every interest party. The evaluation was not easy at this moment. It depends on the performance of next step.

Keywords: Shiwa Lake in Korea, environmental dispute, governance, sustainable development, civil participation 1.序論 紛争や葛藤のない社会はどれほど幸せで安定的なことで あろうか。誰もがこのような社会を望んでいるであろう。 一般に私たちはどんなかたちの葛藤であれ否定的なことと 受け止め、面倒で互いの時間とエネルギーを浪費させるこ とと解している。実際、個人間の葛藤はもちろん、国家政 策をめぐる社会的葛藤は直接的な時間と費用の損失をもた らすし、それらが激しくなれば地域共同体が破壊される ケースも経験してきた。 しかし、葛藤は人が生きていく社会ではどこにでも存在 する自然な姿である。また、多元化された現代社会におい ては、個人の価値観が分化することによって葛藤の種類や 内容もますます複雑な様相を帯びるようになってきてい る。結局、葛藤の存在それ自体より、それらをどのように 予防し、どのように解決していくかが重要なカギをなす。 特に公共政策の場合には、利害当事者の参加を通した社会 的合意こそが葛藤の予防と解決のための重要な手段と言え る。 特集論文 韓国大田大学校環境工学科

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韓国社会では、軍事独裁政権に支配された 1980 年代末ま では国策事業をめぐる葛藤が国家権力によって認められる こともなかったし、それらを解決する方法も全面的に公権 力を利用した一方的な力の論理に依存した。だが、1987年 6 月民主抗争を契機に韓国の国家政策執行をめぐる葛藤の 様相も大きく変わった。 1987年 6 月民主抗争は30年近く維持された軍事独裁に市 民の抵抗によって終止符を打ち、大統領の直接選挙と一期 5 年(再選不可)という任期を導入した改憲を引き出す契機 となった事件であった。これを起点に従来の軍事独裁とい う権威主義体制が退潮して、市民社会の形成と市民運動の 開花といういわゆる民主化に向けて前進し、葛藤に対する 認識と解決方法にも大きな変化が生じることとなった。 特に、市民団体をはじめとする市民社会の成長は、従来 見過ごされてきた環境、女性、教育、地方自治、医療、交 通、人権など新しい論点を引き出しながら、市民の関心を 誘導して政府の政策決定過程にこのような市民的価値を結 合させようと努めた。こうして、市民社会が成長して政策 に対する参加欲求が大きくなり、政府の政策決定過程に介 入しようとする市民社会と既存の独占権を維持しようとす る国家権力の間の葛藤が絶えなくなった(朴テスン、2006)。 国策事業の場合、環境破壊を伴うことがきわめて多く、 国策事業をめぐる地域住民や環境団体との葛藤は最近より 一層深刻な様相で現れることになった。 特に、2003 年国民参加政府がスタートし、セマングム干 拓地事業、核廃棄場建設事業、北漢山(プッカンサン)貫 通道路などの大型事業と関連した環境紛争が社会的危機、 国家的リーダーシップに対する重圧として作用した。 〈表 1 〉は最近の国策事業をめぐる環境紛争の代表的な事 例である。このなかで政府と環境団体の合意の下に唯一葛 藤が解消されたのは、寧月ダム(いわゆる東江ダム)建設 計画の撤回であって、その他の諸懸案は政府の努力にもか かわらず、合意形成の失敗事例として残ることとなった。 漢灘江(ハンタンガン)ダム建設事業の場合には相変ら ず地域住民らの反対に直面している。それに対して、セマ ングム干拓事業と京釜(キョンブ)高速鉄道チョンソン山 区間トンネル工事は大法院の判決によって葛藤が大きく減 じられ、放射性廃棄物処理場問題は敷地選定方式の変更を 通して終結し、サペ山紛争は大統領が仏教界の了解を得る ことによって終結した。こうして、顕在化された紛争は残っ ていないとしても、利害当事者間の最終的な合意に至るこ とができなくてどちらか一方の立場だけを貫徹したまま紛 争の傷を相手方に残すことになっているのである。 本稿で取り上げるシファ(始華)地域開発のための国策 事業の場合も、政府が一方的に計画を樹立・推進した過程 で地域の抵抗を受けることになった典型的な環境紛争の事 例として始まった。だが、2004 年 1 月、紛争が激化する過 程で市民社会の参加を通じた政策推進と開発事業への社会 的合意を導き出した事例として、今では他の環境紛争の解 決のためのモデルと評価されている。 まだシファ地域開発事業をめぐる紛争は進行形であり、 現段階でこのような試みの功罪を軽々には評価し難いが、 現在韓国の市民社会や学界においてこの事例が論争と学習 のテーマになっているという点で、今後の国策事業をめぐ る紛争解決のためのモデルとして示唆するところは大きい と言えよう。 本稿ではシファ地域開発事業をめぐる民官協議体の「シ ファ地域持続可能発展協議会」(以下「シファ持続協議会」 と表記する)の設置とその活動を中心に、社会的合意に至 る過程と合意内容を紹介して、現段階でこのような市民参 加方式が紛争解決のための方法として定着する可能性とそ の限界を整理してみようと思う。 2.シファ地域の現況 2.1 シファ地域の地理的現況 ●シファ地域の概況 シファ地域は始華湖(シファホ)を囲んだ始興市(シフ ン)、華城市(ファソン)、安山市(アンサン)一帯であり、 ソウルから約 40km、仁川(インチョン)からは約 20km とソ ウルに近接し、西海岸(ソヘアン)高速道路と安山線電車 など交通がよく発達している。また、近くに仁川国際空港 と仁川港があって、今後東北アジアの中心地として浮上す る潜在力を期待しうる地理的条件を備えている。 始興市、華城市、安山市の総人口は106万人、人口増加率 は6.8%で非常に高い地域である。シファ地域の総生産は約 14兆ウォンであり、産業構造は 1 次産業従事者0.3%、2 次 産業従事者56%、 3 次産業従事者43%というように 2 次産 業従事者が過半を占めている。 ●始華湖の水質 始華湖では 1970 年代以後活発に進められた干拓事業の一 環としてシファ防潮堤が完工したが(1994年)、始華湖上流 の工場と人口の増加、下水処理場などの環境基礎施設の不 足により汚廃水が始華湖に流入して汚染処理に困難をきた

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し、ついに 1996 年海水を流入させることによって淡水化を あきらめることになった。始華湖水質問題が社会的争点と して登場して以降、1996 年 6 月に政府は水質改善対策を準 備、下水処理場新設や葦湿地造成などに3,843億ウォンを投 入するなどし、こうした持続的な水質改善努力および海水 の流入拡大によって水質は漸次的に良くなっている状況に ある。 〈表1〉 韓国の国策事業をめぐる葛藤の類型(朴ジェムック,2007) 事業名 状態 葛藤解決の試み(交渉・調整・仲裁) 合意失敗後の解決方法 中低水準放射 性廃棄物処理 場敷地選定 終了 ○「扶安(プアン)地域懸案解決のための共同協議会」(03.10.24-11.14) -住民投票実施時期で合意できず運営中断 ○「エネルギー民官合同フォーラム」(04.4-9) -民間委員脱退で解体 ○開かれたウリ党「国民統合設置委員会」の社会的協議会設置推進(04.10) -前提条件で合意できず設置失敗 *高水準廃棄物処分の除外政策と敷 地選定方式改善(地域支援金の拡 充と住民投票制導入)で敷地確定 および葛藤終了(05.11.3) セマングム干 拓事業 終了 ○「民官共同調査団」(99.5.1) -国務総理室傘下「水質改善企画団」主管 -民間委員20人(環境団体推薦:10人、政府および全羅北道(チョルラブク ト)推薦10人)、政府委員 9 人および調査団長 1 人など総数20人で構成 -合意導出失敗 ○「評価委員会」(01.5) -持続可能発展委員会と国務調整室が主管 -評価に先立ち「争点討論会」および「代案討論会」開催 -賛成側要人 4 人および反対側要人 4 人など 8 人で構成 -合意導出に失敗、‘大統領が決断’することを建議 ○国務総理室傘下「水の管理政策調 停委員会」(01.5.25) -国務総理および関連部署長官など で構成 -「水の管理政策民間委員会」の諮 問を受け取り -‘順次的開発’を決定、工事再開 *その後環境団体の訴訟提起で再び 工事が中断されたが最高裁原義判 決で工事再開 令月ダム建設 計画 終了 ○「令月ダム建設妥当性再検討のための民官共同調査団」(99.9) -国務総理室傘下「水質改善企画団」主管 -賛否同数で設置(30人) -合意した結論の導出に成功 *政府が民官共同調査団の結論を受 け入れて、葛藤解決(00.6.5) 漢灘江(ハン タンガン)ダ ム建設事業 進行 ○「漢灘江(ハンタンガン)ダム問題調整のための関連当事者会議」(04.5) -持続可能発展委員会主管 -賛成・反対住民、環境団体、政府・水資源公社代表で設置(11人) -当初「漢灘江(ハンタンガン)ダム葛藤調整小委員会」( 4 人)が調整を 行ったが、後に当事者会議の委任(04.8.27)により仲裁活動を遂行する ことになる。 -一部当事者の仲裁案不同意で調整的仲裁失敗 ○「臨津江(イムジンガン)流域洪 水対策特別委員会」(05.5) -国務総理室主管 - 傘下に「臨津江(イムジンガン) 流域洪水対策検証評価企画団」設 置 -政府、洪水調節用ダム建設で決定 (06.8.22) -地域住民の反対運動再開 ソウル郊外周 辺循環高速道 路サペサン区 間トンネル工 事 終了 ○「路線調査委員会」(02.10-12) -仏教界と事業施行者の合意で設置 -賛成派・反対派双方の代表で構成 -合意導出失敗 ○「路線再検討委員会」(03.4.22-4.5) -委員長および賛成派・反対派代表で設置(11人) -合意導出失敗、委員別報告書作成 ○「公論調査」(03.11) -政府が実施方針を発表したが、仏教界の反対で決裂 *大統領がハプチョン海印寺を訪問 (03.12.22)して、法廷宗正の了解 を得て工事再開(03.12.25) 京釜(キョン ブ)高速鉄道 チョンソン山 区間トンネル 工事 終了 ○「環境影響共同調査」(01.12) -共同調査合意後、調査項目および期間未合意で霧散 ○「代案路線および既存路線再検討委員会」(03.5.12) -委員長 1人および賛成派・反対派各々 6人など13人で設置 -合意導出失敗 ○「専門家検討」(04.8.26) -環境部と市民団体間の合意に根拠 -鉄道施設公団側の再検討拒否により環境部単独で検討作業遂行 ○釜山(プサン)高等法院控訴審裁判所の「調整」勧告(04.11.15) -鉄道施設公団の調停勧告案拒否で調整決裂 ○「環境影響共同調査」(05.8.30-06.2.28) -賛成派 7人と反対派 7人など14人で構成 -合意導出失敗で大法院に両派が各々調査結果提出 ○「路線再検討委員会」の合意導出 失敗後、国政懸案政策調整会議中 断。以後工事続行決定(03.9.19) ○「環境影響共同調査」で合意導出 に失 敗し た後、大法 院の 判決 に よって工事再開

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●シファ地域産業団地の悪臭公害 1977 年から造成された半月工業団地とシファ工団には約 7,200の工場が稼動中で、このうち大気汚染物質の排出事業 場は1,816に達する。化学製品製造業と組み立て金属製造業 が大部分で、主にソウルで環境的に適合しない企業等の移 住団地として建設され、零細で環境汚染物質排出が激しい 企業等が大きな比重を占めている。1990 年代半ばから産業 団地周辺に郊外住宅団地が建設され、大気汚染と悪臭に対 する住民の訴えが爆発的に増加することになった。その後、 排出業者の施設の改善、関係機関の取り締まり強化、N G O および地域住民の監視などで悪臭関連の訴えが継続的に減 少したが、2004 年初め半月工業団地周辺地域のコジャン新 都市入居が本格化し、訴えが再び増加することになった。 2.2 政府のシファ地域開発計画 〈表 2 〉および〈図 1 〉に現れているように、シファ地域 は過去 30 年間にわたって非常に活発な開発が進められた地 域で、一部分は開発が完了したが、シファ M T V(Multi-〈表2〉シファ地域開発計画概要 区 分  計 安山新都市 シファ第 1 次 シファ MTV 始華湖及び 南側干潟地 第 1 次 第 2 次 面積(万坪) 7,000 1,514 276 1,727 317 3,166 事業費(億ウォン) 61,903 6,551 16,612 22,240 16,500 − 事業期間 '77∼'93 '92∼'06 '86∼'06 '02∼'11 − ※始華湖南側干潟地:3,166万坪(始華湖1,329.南側干潟地1,837) 〈図1〉シファ地域開発計画

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Techno Valley)開発事業と始華湖南側干潟地開発事業は目 下推進中の事業である。そして、これら事業をめぐって環 境破壊を批判する人々と葛藤が尖鋭化した。 ●開発完了事業 1977年から2006年まで 1 次、 2 次に分けて、首都圏内に 散在した中小規模工場の移転とソウル人口の分散、住宅難 解消を目指して推進された「安山新都市建設事業」、及び 1986 年から 2006 年まで遂行された大規模干拓事業で、国土 拡張と雇用増大など国内景気の活性化と首都圏人口の分散 のために始められた「シファ第 1 次事業」はすでに完了し ている。 ●開発推進事業 -シファマルチテクノバレー(Multi-Techno Valley, MTV) シファ地域の環境改善と既存工団の支援機能を強化する ために、環境親和的な先端複合都市を造成する予定で、事 業面積は317万坪、事業費は 1 兆6,500億ウォンである。 -ソングサングリーンシティ(始華湖南側干潟地) 国民所得の向上に伴い不足が予想される首都圏の観光、 レジャー空間、及び自然環境と調和のとれた生態都市を、 2006年∼2020年にかけ、1,720万坪開発の予定である。 -シファ潮力発電所 政府の代替エネルギー拡充政策と海水を流入させること で始華湖の水質を改善する事業があいまって、2003 年から 2009 年にかけてシファ防潮堤に潮力発電所を建設しようと する計画である。年間発電量552.7GWh(50万都市供給規模)、 事業費3,551億ウォン。 2.3 シファ地域市民団体の対応活動 1994 年シファ防潮堤の完工とともに始華湖の淡水化と水 質問題をめぐる市民社会の対応が始まった。始華湖の淡水 化以後、日毎に悪化していく水質問題に対して市民社会で は次のような主張を地域から全国的な争点として作り出し た。 -始華湖の水質改善を優先し、その後南側及び北側を開発 (農地および公団) - 水質改善対策として防潮堤を撤去、ないし海水流入 / 水 質改善 -始華湖問題解決のための民官協議体設置 -関係責任者の処分 以後、シファ地域周辺の開発案に対する代替政策案作り 及び組織的連帯運動が行われ、1999 年 3 月「希望の始華湖 づくり華城、始興、安山市民連帯会議」(以下「始華湖連帯 会議」とする)を設立し、始華湖に対する親環境的な開発 案としての市民案(1999-2000年)を作成提示して、始華湖 開発に対する政策的代案の提示とこれを遂行する組織的連 帯体構成という側面で、一段階発展した運動形態と内容を 確保していくことになった。 政府の開発強行計画とこれに対する市民団体の抵抗が強 くなるなかで、2004 年 1 月劇的に設置されたシファ持続協 議会はそれまでの始華湖をめぐる議論に対して質的な変化 をもたらすことになった。すなわち、それまでの対応が主 に政府との対立と闘争中心の外的対応であったのに対し て、シファ持続協議会の設置以後は対話と討論を通した具 体的政策的な対決と協議を主とする内的対応へと変化する ことになった。 現在、 3 年 6 ヶ月をかけたシファ地域の環境問題改善と 開発計画に対する議論の結果、280万坪の「シファ MTV開発」 事業に合意し、この事業で発生する利益金を全額シファ地 域の悪臭と水質汚染などの既存環境問題の改善に投資する というかたちの合意案を導き出した。このような結論は、環 境に悪影響を与える開発利益金をもって環境改善に使うと いう二律背反的な姿とも見られるが、韓国社会で初めて試 みられた3 年 6 ヶ月というガバナンスの過程と経験には、必 ずしも否定的には評価され難いところもある。 3.シファ持続協議会の設置および運営 3.1 シファ持続協議会の設置の背景と運営 1996年 7 月、政府は“始華湖水質総合対策”によりシファ 淡水湖の水を海に放流し、また海水を流入させるとともに、 約 4,500 億ウォンを投じて流域に汚廃水施設を増設するな どして水質改善対策を進め、水質はある程度改善されるこ ととなった(COD 17ppm → COD 4-5ppm)。これに自信を得た 政府は、2003年 9 月、13関係機関で「シファ政策協議会」を 設置し、2003年12月、「始華湖総合利用計画案」を発表した。 始華湖連帯会議をはじめとする地域市民団体は、公聴会 の際発表された「始華湖総合利用計画案」が始華湖及び周 辺地域環境を考慮しない、「始華湖を二度殺す開発案」であ るとして強く反発した。主要マスコミも、地域住民の意見 を十分に聴取しておらず、環境をも悪化させるなどの理由 で否定的な見解を大々的に報道して、市民団体の立場を支 持した。 その後、政府は始華湖連帯会議と国会環境経済研究会が

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共催した始華湖政策討論会(03.12.15)に参加して、専門 家及び地域住民の問題提起を認識した後、直ちに次のよう な前向きの立場を発表することとなった。 1)公聴会の際発表された案は政府案として確定したもの ではなく、地域住民の意見を取りまとめて、最適の案を作 る、2)96年に決定された始華湖水質改善総合対策を滞りな く推進して、始華湖水質改善目標値を達成する、3)今後開 発の際に発生する汚廃水は 3 次高度処理後、海に放流また は河川維持用水としてリサイクルする、4)既存のシファ半 月工業団地大気問題も、住民と地方自治体などと協議体を 構成して対策案を準備して推進するというものである。 このような政府の立場の転換に対して始華湖連帯会議 は、1)市民団体が推薦する専門家を含んだ協議体の設置を 受け入れること、2)意志決定を多数決方式で行うのではな く、利害当事者が納得するまで討論し、合意を導き出すこ と、3)論議事項をホームページ等を通じて公開することを 要求した。結局、政府がこれを全面的に受け入れたことに よって、シファ持続協議会が設置されることとなった。 2004年 1 月16日、政府、地方自治体、市民団体、専門家、 地域住民が参加するシファ持続協議会が設置され、同協議 会運営細則が準備された。シファ持続協議会は、始華湖及 び周辺地域に対する親環境的な開発計画を樹立することに 関する事項、始華湖及び周辺地域開発計画に関わる水質、 生態、大気などをめぐる環境対策に関する事項、その他シ ファ地域と関わって委員長が必要と認める事項などに関 し、討議して意見を取りまとめる機能を持つこととなった。 シファ持続協議会は、建設交通部の複合都市企画団長と 市民団体代表が共同で委員長に就任し、開発計画分科会、 水質生態分科会及び大気分科会の 3 つの専門分科会により 構成されている。また、分科会委員長は市民団体が推薦し た市民または専門家が、各分科会幹事は開発主体の建設交 通部あるいは水資源公社が引き受けることになった。現在、 各分科会の参加委員数は、開発計画分科会 22 人、大気分科 会17人、水質生態分科会16人など合計47人であり、さらに 4 人の地元選出国会議員が顧問として参加している。 シファ持続協議会は毎月 2 回以上開催すること、今後 2008年12月末までの運営を原則とし、また隔月で 3 分科会 が合同会議(全体会議)を持つ。協議会の運営は公開を原 則 と し、会 議 の 結 果 は 常 時 ホ ー ム ペ ー ジ(http://www. shiwa-sd.com)に公開して、一般市民が閲覧することがで きるようにしている(〈表 3 〉参照)。 3.2 シファ持続協議会の運営上の特徴(朴テスン,2007) 政府と市民社会の間に不信と不満が満ちている状態でも シファ持続協議会がスタートできたのは、推進主体の建設 交通部と市民社会の間に協議会設置のための率直な討論と 事前合意が可能だったためである。そのなかで、ささいな ことのようだが、お互いに対する信頼を高めるための下記 のようないくつかの努力と配慮がなされ、それらがシファ 持続協議会を維持させていくのに重要な役割を果たした。 1)対立的立場にある人々をパートナー、問題解決の主体で あると認定した。 中央政府が事業を推進しながら、自らの立場に同調する 人々を中心に諮問組織を形成した慣行から抜け出して、初 めからシファ地域で中央政府と対立し、最も激しく反対運 動を展開してきた市民社会団体を対話のパートナーと認定 して、彼らの地域内での信頼と影響力を認めた。 2)協議会の設置過程を一方的に遂行しなかった。 協議会設置の参加主体と議論しながら、中央政府が一方 的に決めるのではなく市民社会の意見をできるかぎり尊重 して、合理的な議論を通じて決定し、代表の選出に政府が 関与することなく、むしろ各集団に全面的に委任した。 3)白紙の状態から議論して合意しなければ推進しない。 政府と議論しながら市民社会が抱く不信の最大の原因の 一つは、合意を通した意志決定を約束しておいて実際には 市民団体あるいは市民社会を形式的な手続きを踏むための 脇役として利用するという点である。換言すれば、結論は 初めから決まっていて、市民社会と議論したという行政手 続き上の必要により市民団体を利用するという不信であ る。こういう不信が広がったなかで、政府側を代表する要 人が、議論の当初から白紙の状態で議論するし、合意しな ければ事業をこれ以上推進しないという約束をしたことは 参加者に新鮮な衝撃を与えるとともに、協議会の将来に明 るい希望をもたらした。 〈表3〉シファ持続協議会運営現況(2004年~2006年) 区 分 全体会議 開発計画 分 科 会 水質生態 分 科 会 大  気 分 科 会 会議現況 22回 42回 30回 27回

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4)研究調査は市民社会が決める機関等で行う。 議論の過程で意見の相違が生じたり、事実確認が必要な 場合がある。こうした場合、これまでは紛争の一方の利害 当事者である市民社会の側では専門的な人材と財源が貧弱 で、事実関係の確認に必要な研究を適切に遂行し難いケー スが多かった。他方、政府は強大な財源と権威を土台に自 らの意見を合理化するために多様な研究調査を実施するこ とができた。 紛争状態で、事実関係と関連した研究調査が主に政府側 によって一方的に進められ、研究結果の公正性と客観性に 対する疑問が絶えず繰り返された。 シファ持続協議会はこういう事実関係に対する市民社会 の不信を根本的に解消するために、研究調査者と機関を市 民社会が決めることに事前合意した。こういう過程を通し て、事実関係に関する相互間の葛藤を解消しうる制度的装 置を設けたのである。 5)情報を積極的、能動的に公開して共有する。 権威主義体制の下では秘密の保持と政府によるその選別 的配分が強力な統治手段として活用された。情報の公開及 び共有に対する市民社会の強い要求はこういう時代的背景 の産物である。 シファ持続協議会は、市民社会のこういう不満と不信を 解消するために事前合意を通じて、議論に必要なすべての 情報を十分に、積極的に提供することを約束することに よって、情報公開と共有に伴って不信を解消しうる基盤を 準備した。 6)議論は全員合意制で行い、決定された事項の実現には最 善を尽くす。 政府による一方的な決定や多数決方式を最初から放棄 し、全員合意による議決方式を採択することによって、多 様な見解と利害を持っている利害関係者が参加できる道を 開いておいた。 また、シファ持続協議会は政府及び市民社会において議 論の結果を現実化できる権限と責任を持っている人々が参 加することによって、議論の結果を担保できるようにした。 例えば、 第 4 幹線水路改善事業や大気汚染排出業者の全数 調査とともに直ちに実践が可能な懸案については速やかに 事業を進めることによって、参加者に懸案は必ず実践する という信頼感を与えた。 7)任意機構としての法的脆弱性を相互に悪用しなかった。 シファ持続協議会は民官が互いに合意して作った自発的 で、任意的な組織である。 したがって、相互に対する信頼と約束によって運営され るだけであって、公式の権限を与えられた公的機構ではな い。シファ持続協議会のこうした組織的性格は、創造的な 議論のためには望ましいこともあるが、この組織を尊重し ようとする思いがなければいつでもなんらペナルティなく 解体されうる任意組織であって、自らの利害関係によりこ の組織の任意性を悪用する可能性を排除できない。こうい う脆弱性にもかかわらず、シファ持続協議会に参加した政 府や市民社会はこういう組織の任意性を、相手に圧力をか ける手段として使ったり、約束を履行しない口実として 使ったりしなかった。 3.3 シファ持続協議会運営の成果(林ビョンジュン, 2006) シファ持続協議会は未だ現在進行形であるが、国策事業 に起因する社会的紛争を合理的に解決していかなければな らないという時代的課題を抱えている私たちの社会にとっ て、住民が直接参加して主導する過程を通して紛争解決に 接近してゆく成功モデルを発掘し、普及させてゆくことは 大変重要だろうと考える。紛争問題の利害当事者間の差異 を克服して、真剣に解決案を模索する過程は、形式的民主 主義から実質的民主主義への発展に大きく寄与するであろ う。シファ持続協議会は、これまで政府が独占してきた、始 華湖をどう利用するかについての方向性や計画などの始華 湖に関連した議論に質的な変化をもたらした。すなわち、そ れまでの対応が主に政府との対立と闘争中心の外的対応 だったのに対して、協議会の設置以後は対話と討論を通し た具体的な政策的対決と協議中心の内的対応へと変化する ことになった。協議会設置以降葛藤や対立がなくなったわ けではないが、基本的に政府との立場の差を減じ、理解と 信頼の幅を広げて、共同の合意を模索する方向へと変化し ていると解される。 実質的な面では、シファ持続協議会を通じて始華湖の親 環境的な開発論議が市民案という市民団体の単なる主張を 越えて、民官協議体という具体的な実践枠組みによって進 められたという点、及びこの過程を通じて始華湖の水質お よび大気改善ロードマップが作成された点は非常に大きい 成果と言える。M T V 開発計画に関わっては、政府の推進計 画を 4 年ほど延期させ、面積を縮小させ、以前に比べて親

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環境的な開発案を提示するようにしたことも成果と評価さ れるはずである。 シファ持続協議会の設置と運営を通じて、まだいくつか の課題について論議が続いているが、現在までの運営方式 とその成果に関し、協議会運営過程に参加した学者及び専 門家の見解を中心に整理してみよう。 まず、地域の懸案を熟知している、力量ある市民団体の 成長である。シファ地域の市民団体は、始華湖汚染事件を 契機に地域の専門家と連帯して現場をモニターし問題を解 決する独特の組織的行動方式を備えた。また、地域市民の 立場で地域の特色と文化的感情に基づいた保全と開発に対 する姿勢を堅持していて、外部すなわち中央市民環境団体 より現実的な解決案を提示することができる。地域問題は 地域で解決しなければならないという地方分権的思考を具 備していると言えるわけである。 第二に、開発主体の政府部署に対して、計画段階から市 民と協議し、白紙から始めるという前向きの態度変化が可 能だという認識を与えることができた。このような変化は、 同一部署にあっても参加と協議を経験した公務員とそうで ない公務員との間でも大きい差がある。公開的参加と協議 が最も速やかな事業遂行の方法であることを多くの国策課 題遂行責任者が知ることの出来る契機になった。 第三に、地域が抱える懸案を科学的に分析し、合理的に 調整して地域の知識基盤の役割を果たす専門家たちが参加 したという点である。専門家たちの参加が単純に学術的な 次元の資料収集と分析を越えて、地域の感情と政策執行ま でを考慮した実質的な意味での参加の契機になったし、ま さにこういう形態の参加がシファ持続協議会の運営過程で 政府と市民団体の間の葛藤の解決に重要な潤滑油的な役割 を果たすことになった。 第四に、代替案の摸索過程で目標についての相手方の立 場を理解して、我慢強く合意を導き出していく姿勢を体得 したという点である。争点になったテーマについて基本原 則とビジョンを提示し、専門家から学習し、先例地域を訪 問するなどして理解し熟知する方法を相互学習する契機に なった。 第五に、協議会に参加する委員らの誠実な姿勢と事実関 係を中心にする生産的討論過程を維持しているという点で ある。これまでの 3 年 6 ヶ月の過程で、公務員の職務変更 など委員個人の身分変動が発生しても後任者を直ちに選任 して業務の連続性を維持するために努力したし、見解の違 いが大きいテーマに関しては相反した主張をめぐって事実 関係を把握する過程を通して立場の差を狭めていく生産的 なディベート方式を採用している。 第六に、争点事項に関して合意したことについては今後 異議を提起することなく、議論したすべての会議資料をい つも協議会活動資料集に収録して、徹底的に記録として残 している。すべての会議の記録は幹事(政府公務員あるい は事業施行者)が整理して、委員長に報告し確認した後、 委員たちに回覧するという過程を必ず経る。次期会議の際 に会議録を確認し、いつでも異議を提起したり訂正を求め たりすることができる。 第七に、争点となった懸案については、できるだけ期限 を設けず、十分な学習を通じて、関連知識を共有し、討論 しながら、専門家の招待講演、セミナー、先進事例研修(国 内外研修)等を通して、熟考過程を経るという点である。 特に、主要争点をなす懸案については、すべての委員が参 加する集中討論会を 1 泊 2 日程度開催して、十分な討論過 程を経て合意を導き出そうと試みる。(例:シファ MTV集中 討論会−18時間連続討論) 第八に、協議会が決定し、推進する環境改善対策事業を たえず点検して成果と改善方向を共有しているという点で ある。これは地域住民に対し協議会の必要性及び協議会の 成果を認識せしめることに寄与するだけでなく、協議会に 参加する委員相互間の信頼を高めるのにも大きく寄与して いる。特に、半月シファ工業団地の大気汚染物質排出事業 者に対する全数調査(2004∼2005)、第4幹線水路に対する 水質改善対策(COD 2,000ppm → COD 15ppm)、始華湖環境浄 化活動(2004)等の環境改善対策の効果は大変重要な成果 と見られる。 第九、協議会の合理的な意志決定を阻害する可能性のあ る要素については、事前に合意した変動事項に関わる協議 会の同意を得た後、推進するという点である。例えば、半 月シファ工業団地の大気汚染物質排出事業者の全数調査 結果資料を要求する場合に、目的などを明確にし、協議会 の同意を得て提供するとか、マスコミからの取材要請や協 力要請がある場合に利害当事者が個別的に対応すること をやめて不必要な誤解の余地を未然に防止しようと努力 している。 第十、協議会運営に関する細かい運営細則を構成当初か ら作っておいてこれを遵守するように努力するという点で ある。運営細則というものは形式的に感じられることもあ るが、長い間組織を運営した経験を豊富に持つ人ならば運 営細則の必要性に対しては共感するであろう。

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4.シファ持続協議会の今後の課題 シファ持続協議会のこれまでの運営方式と成果が、韓国 社会において公共事業の絡んだ社会紛争を解決するために 新しい次元の接近モデルを提示したことは確かである。し かし、シファ持続協議会活動は現在進行形であり、未だシ ファ持続協議会を通じて合意した内容に対して地域内や環 境団体内でも新しい摩擦、葛藤が生じている。また、これ までに合意して計画された内容が今後執行される過程でい かなる成果を出すことができるか、この点について誰がど んな形で責任を持って牽引していくのかに関しても憂慮の 声がある。シファ持続協議会がこれから苦悩しつつ克服し なければならない課題は非常に多いが、現在もっとも議論 の中心になっているテーマである‘シファ M T V 開発事業’ に即して今後の課題を整理してみることにする。 シファ持続協議会の中心的なテーマの一つである‘シ ファ M T V 開発’に対し、市民団体は以前から開発自体に対 する反対意志を表明する一方で、100万坪の市民案の受け入 れを主張してきた。しかし、シファ持続協議会における議 論の過程で、既存のシファ、半月工業団地の大気汚染及び 水質改善対策を遂行するための財源を政府や地方自治体な どが他の方法では充当し難いことが判明した時点で‘シ ファ M T V 開発’は避けられないのではないかということを 真摯に考えることになった。結局、2005.4.30日、市民団体 拡大討論会(〈表 4 〉参照)で、シファ M T V 開発に対して政 府が提示した開発規模と面積、経済性および環境への影響 を検証するため第 3 の機関による研究調査を進めることを 協議会に提案することに合意した。 シファ持続協議会の合意により大韓国土都市計画学会に 研究調査を依頼することになったが、研究調査履行前に研 究調査結果を受け入れるか否かについて相当な論議があっ た。結局、合意した研究調査という点で研究調査結果を受 け入れなければならないことを前提に研究調査が推進され た。研究調査の結果、既存産業団地の環境問題を解決する ための財源を充当するためには 280 万坪の開発がもっとも 現実的な単一案として提示された。 この結果に対して水資源公社および建設交通部といった 政府や地方自治体はおおむね研究調査結果を受け入れる立 場であったが、市民団体では多様な主張が提起されること 〈表4〉シファ M T V 開発事業総括争点(2005.4.30市民団体拡大討論会) 開発の不可避性に同意する立場 無意味な開発に反対する立場 1. 始華湖の環境改善にとって北側 M T V 開発と南側開発、 大気改善とを分離することはできず、全体的な問題を解 決するという側面からシファ M T V 問題を眺望すること。 1. シファM T V 開発と大気改善は別個の問題であり、安山、 始興大気汚染の責任は政府と建設交通部にあるのだから 大気改善の責任もまた政府が負うこと 2. 安山、始興地域住民たちの最大の願いである大気環境 改善とそのためのロードマップの実現のためには、現実 的にシファM T V 開発利益金以外に他の大気改善資金を確 保する方策がないこと 2. 特に現海岸線を越える M T V 開発は、始華湖の追加埋め 立てに伴う環境破壊(干潟および山林など)はもちろん のこと、追加環境汚染を引き起こす。この点、M T V を容 認するのは市民団体が環境破壊を容認することである。 くわえて、環境破壊で発生した開発利益で大気を改善す るということは二律背反的なものである 3. 北側 M T V 事業に対する環境影響評価が事実上完了さ れたことによって、政府の始華湖開発と関連したすべて の行政手続きは成立している。持続委が存続していると いうことで政府が当分は物理的な力で事業を押し切らな くても、むやみに待つわけにはゆかない状態である。 3. さらに、シファ M T V 事業は政府が国家均衡発展次元で 推進している企業の地方移転政策に相反する政策であ る。 4. 持続委は法的な地位や開発案に対して権限を委任され た協議機構ではなくても、過去 2 年間環境問題の葛藤解 消の模範的民官協力機構と評価されてきているという点 で、市民団体の責任ある態度と政策的代案の提示が必要 である。 4. 持続委は合意のための組織ではなく、相互の意見を十 分に交換したことに意味があるのであって、特に大気改 善ロードマップを作成したことだけでも十分な成果であ る。したがって、持続委がシファ M T V 開発に対して多様 な議論をすることはできるが、合意しようとしてはいけ ない。 5. これまで市民団体が主張してきた市民案を再検討ない し変更する必要性がある 5. 市民案の範囲内で開発に対する議論が進行されるべき である

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になり、結局このような立場の相違により相当な産みの苦 しみを味わうことになった。原則的に開発自体に反対する 立場は、シファ M T V 開発は不確かな開発で、意味がなく、 大気および水質が改善されなかった現況で始華湖を追加開 発するのは誤りであるという基本的立場を堅持しようとい う主張と、100万坪程度の市民案を引き続き主張しようとい う案と、280万坪開発も受け入れなければならないという案 に分かれた。 研究調査結果を受け入れなければならないという主張 は、社会的合意と要求によって政府計画の妥当性の検証研 究調査を提案してそれが遂行されたのであるし、研究調査 機関が提示する単一案を受け入れることを約束しただけ に、市民団体自らが約束に対する責任を持たなければなら ないということ、及び面積規模より市民団体の道徳性と合 意精神を尊重しなければならないという意見であった。 結局、このような産みの苦しみのあげく、280万坪の開発 案に合意して2007年 8 月起工式を行うことになったが、相 変らず開発の不可避性と開発自体に対する原則的な反対の 立場が新しい葛藤として登場することになったし、これま でのシファ持続協議会の新しい試みと過程については評価 するが環境団体が究極的に開発に同意したことに対しては 批判もあり、シファ持続協議会の今後の役割については多 くの問題提起があるという状態である。 特に、今後の役割について、開発過程と開発後の結果に 対して任意機構のシファ持続協議会が責任を持って牽引し ていくことができるのか、継続して参加することが適切な のかに対して問題が提起されているなかで、シファ持続協 議会を制度的な機構に転換する必要性も議論されている。 最近、民主化、情報化、グローバル化が進行し、私たち の社会各分野で多様な葛藤が噴出している。特に、政府が 推進する国策事業と政策が利害当事者及び市民社会団体の 反対で長期間漂流するなど合理的な調整に失敗する事例が 増えている。だが、社会的紛争の問題は民主化、分権化、自 治化されていく過程にある私たちの社会が体験しなければ ならない痛みであるとともに、社会発展を促進する動力の 要因になることもできる。 国策事業などをめぐって登場する社会的紛争の問題を、 紛争解決の側面だけに過度に焦点を当てて評価すると、合 理的討論と熟考過程を経て辛うじて形成された利害当事者 間の相互信頼及び討議過程を一瞬に水泡に帰してしまう愚 を冒したりもする。 また、成熟した民主主義社会として発展してきた外国で 研究された紛争理論などを韓国の現実にそのまま適用しよ うとするのは表面だけ借りてくることである。私たちは、 私たちの方式に合う多様な紛争現場で研究されて適用可能 な多様な事例を発掘して、成果を望めるモデルを作らなけ ればならない。現在進行形のシファ持続協議会の成果と限 界を社会的に適切に分析して、有望なモデルを作る過程に 資することは、シファ地域だけの問題を越えた、私たちの 社会の新しい問題解決方式を作る土台となることを期待し たい。  注1) 本論文は、2007 年 10 月に滋賀大学環境総合研究センター が主催した「日韓環境シンポジウム 2007 市民参加による 環境にやさしい街づくりを求めて」における金善泰教授の 講演のベースとして書き下ろされたものである。なお、翻 訳にあたっては、京都大学大学院生の姜周亨氏(滋賀大学 生、当時)に多大の助力を得た。記して感謝したい。(滋賀 大学経済学部教授 梅澤直樹 記) 参考文献 1. 朴テスン,韓国社会公共葛藤に対する認識と葛藤解決法の変遷 過程に関する研究,韓国危機管理論集第 2 冊第 2 号 2006.12, 95-105. 2. 李チャンウ,“環境紛争解決を通した地域共同体回復”,『韓国 環境報告書』,緑色連合,1996,17-45. 3. 環境部,『環境統計年鑑』,2002,543-546. 4. 金ソンテ,地域環境紛争解決のための専門家の役割および提 言,大田大学地域学研究第 2 冊 1 号,2003.12. 5. 朴ゼムック,社会的合意形成の新しい可能性としての‘シファ 地域持続可能発展協議会’の活動評価,葛藤解決と社会的合意 形成大討論会資料集,2007.7. 6. 朴テスン,シファ持続協議会活動の社会的意味,葛藤解決と社 会的合意形成大討論会資料集,2007.7. 7. 林ビョンジュン,シファ地域持続可能発展協議会構成および運 営,葛藤フォーラム原稿,2006.

参照

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