鳴門教育大学研究紀要 (教育科学編) 第 20巻 2005
「社会科地理」をめぐる論争の構図
草 原 和 博 キ
(キーワード:社会科地理,論争.地理教育.地理主義教育,公民・市民の育成)I 問題の所在
『社会科教育学研究』誌上で展開された山口 草原・森 分の「社会科地理」教育論争は1) 教育課程における地 理教育の目的と位置づけを考える 1つの契機となった。 計5回に及ぶ応酬を経て表向きは両論の相違が浮き彫り になり,議論は収束したかにみえる。しかし,一連の議 論で新たな問題がみえてきたのも事実で,実のところ本 論争はますます混迷の度を深めているのではないか。 第1に,山口一草原・森分は,なぜ対立しなければな らなかったのか, という問題である。実は両者とも地理 の教授を前面に押し出した地理教育論を批判し,公民・ 市民育成のための「社会科地理」を擁護している点では 一致をみている。しかし なぜか議論は噛み合わない。 「ネ士会科地理」という同じ言葉を用いながらも,それが意 味するものが異なるからであろう。「社会科地理」とは いったいどういう教育論なのか その本質規定は未だ合 意に至っていない。 第 2に,山口 草原・森分それぞれが提起する「社会 科地理」概念のうち,どちらがより論理的で合理的か, という問題だ。とかく定義問題はすれ違いの不毛な論争 を生みやすい。「私は……を社会科地理と呼ぶ」と定義さ えすれば,概念は無限に乱立しうるからである。そこで 今回は相対主義への道を避けるために,定義それ自体で はなく,定義された教育の効果・ l帰結のほうに焦点をあ てて議論したい。幸いにも両者は 公民・市民を育成す るのが「社会科地理」という理念にかぎ、って考えを共有 しているυ。双方の考える「社会科地理J論とそれにも とづく指導を論理的に再構成し いずれが真に公民・市 民を育成しているかを比較検討すれば社会科地理Jの 本質に迫ってゆけるのではないかヘ 以下,本稿では,はじめに地理の指導を目的視した地 理教育論一一これを「地理主義教育論」と呼ぼう1)ーの 再現を試みる (II)。次にそれに対峠する別の地理教育 論を提示する(
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。途中両者の教育思想の違いをクリ アにするため,それぞれの論の柱を10のテーゼにまとめ 叫鳥門教育大学・社会系教育講座 たい。最後に両論にもとづく地理指導の論理的実際的帰 結を検討し社会科地理」の理念はどのようにして実現 さ れ る の か 社 会 科 地 理j教育論争とは何だ、ったかを明 らかにしよう (N)。H 地理主義教育論の構造
(1 ) 地理教育の目的と内容編成 「地理主義教育論」。この言葉から受けるイメージは, 千差万別に違いない。ここでは最大公約数的な見方を定 式化し,明示することで,筆者の立論の批判可能性を担 保したい。 1 A. 教科には,それの存立を支える学問が 1対 1の関 係で存在する。歴史教育の基板となるのが歴史学であ り,地理教育の基盤を与えているのが地理学である。 2 A.地理教育とは 地理学が長い歴史を経て確立し, 洗練させてきた「地理的見方・考え方(地理認識)J を 育成する営みである。 3A. なぜ「地理的見方・考え方」の形成が求められる かといえば,地理学は他の学問とは異なる独自の視点 と方法で地域を解明し 私たちに深い洞察をもたらし ているからである。子どもにこれらの視点と方法を教 授したならば,世界像の形成に,ひいては人間形成に も資するに違いない。 4A. I地理的見方・考え方J とは ①研究対象を地域の 自然 人間の関係において成立している「環境」事象 に絞り込んで,その相互関係を研究できること,ある いは②研究対象を「空間」的な尺度(点・線・面)に 変換し表現して,その特性を研究できることである。 5A.地理教育の意義をできるだけ引き出そうとすれば, 4 Aの「地理的見方・考え方」を,他の領域とは一線 を画して優先的に,学年を通じて体系的系統的に指導 してゆく必要がある。 地理教育が「地理教育」であるのは地理的見方・考草 原 和 博 え方Jの育成を目的とする点にある。これは地理教育の 存在理由に関わる最重要なポイントで,譲ることのでき ない不可侵な課題といってよい。ゆえに地理教育のあり 方を論じようとすれば,なにより「地理的見方・考え方 とは何かJを確定することが問われるし,事実この内実 をめく寺つては各種の提案が行われてきた九論者で結論 には微妙な相違がみられるけれども,基本的には地理学 者が何をどのように捉えてきたかを集約すれば,おのず と「地理的見方・考え方」も明らかになるに違いない, との仮定に立っているヘ 具体的には,第1に,地域の事実のうち,知るに値す るものを白然と人間,それらの接点に関わる事象に限定 する。具体的には,地域の①白然,②人口,生活・文化, ③資源・産業など。これら以外は地理的事象とはみなさ れない。例えば,アルゼンチンならパンパとそこの農業 こそ取り上げるべきで 財政破綻や政治腐敗などの社会 的事象は地理的でない」ので,おのずと対象から外さ れる。第2に, 1で絞り込まれた事象を,さらに空間的 な尺度で捉え直した事象へ変換し記述する。たとえ1で 排除された事実も,空間的に位置づける限りにおいて理 解の対象となる。例えば ①事象の点的把握→位置・立 地,②線的な把握→結びつき・移動,③面的な把握→分布・ 地域区分,④面と面の関係把握→地域的な差異・規定関 係などが,代表的な対象把握の方法であろうO アルゼン チンの政治体制弘同体制の空間的広がりや他地域との 関わりであれば,例えば.ODA資金の流れや日本との支 援関係として捉えたならば 「地理的である」と看倣され 救済される。 このように「環境」という視点と「空間」という方法, 三重の縛りを盾に対象を地理的事象に絞り込み,それの 地域性や規則性を明らかにする これが「地理的見方・ 考え方」の大枠であろう。このような見方・考え方を養 えば,物事を総合的に生態学的に捉える力を養い,子ど もの世界像や空間認識を豊かにできる,さらには地域の 調査を通じて郷土愛や国際性が芽生えるなどの副次的な 教育効果も期待できる。「地理的見方・考え方」には,そ れを形成することで派生・発展してゆく限りない教育的 価値が秘められているわけである。したがって,地理は できるだけ他領域から侵され不合理な扱いを受けないよ うに,優先的に独立した地位の下に教授される必要があ る。とくに空間や環境などの概念をつかませるのは容易 ではないので,初等段階から系統的段階的に指導される のが望ましいわ・・・ー・ このようにまとめられる。 6 A. I地理的見方・考え方」を育成する内容編成は,地 理学の体系に対応する形で,①地誌,②系統地理,③応 用地理(主題)学習が想定できる。主たる内容編成は 前二者で,地誌では 地域的な固有性を把握させるの に対して,系統地理では,地域を離れた一般的な規則 性を把握させようとする。 7 A. 地誌・系統地理の指導で注意すべきことは,対象 の把握に深入りすることである。あくまで地理的事象 の研究に留まるべきで,地域の自然・社会の構造,人 間の思想・行動の把握に立ち入るのは避けたい。自然 については地形学・気候学・土壌学などが,人間や社 会については政治学-経済学・社会学・心理学などが 解明しており,地理学固有の対象はない。深入りすれ ば,地理教育でなくなる。 8 A.主 題 学 習 の 指 導 で 注 意 す べ き こ と は 地 理 的 見 方・考え方」の育成に相応しい対象とその捉え方を用 意することである。社会的事象・問題を取り上げるに しても,例えば,空間的な結びつきで捉えやすい人口 移動の問題(移民)に あるいは環境論的な視点で説 明しやすい生態系の問題(開発・保全)に限定し,そ れの地域的な同有性や一般的規則性の把握に専念させ るべきである。 「地理的見方・考え方」の形成で次に問われるのは,同 資質をどのようなカリキュラムで指導するかである。一 般には一学習指導要領でも一地誌学習,系統地理学習, 主題学習の内容編成で指導されている。なぜなら,母体 の地理学が,現にこれらの3領域(地誌学・系統地理 学・応用地理学)で地理的事象の記述,説明につとめて いるからである。「地理的見方・考え方j を計画的体系的 に育成しようとすれば 地理学の構造に準拠して3つの 地理学研究を追体験させるのが合理的ということになる。 ①地誌学であれば,地理的事象を地域的なまとまりで総 合し,個性・特色を描き出す,②系統地理学では,地理 的事象を分析し,地域に拘束されない原理・法則を定立 させる,③応用地理学では 空間や環境に関する課題を 地図化したり,解決策を検討させたりする。初等中等教 育の場合,多少の教育的な配慮はやむをえないが,基本 的には上述のような学問の実態を踏まえて,地誌と系統 地理をメインとしたカリキュラムが提示されることにな るだろう。 地理の指導で留意すべきは 「地理的見方・考え方」の 育成という本来のねらいから逸脱することである。地理 的事象を分析・総合していると つい事象それ自体の面 白さや構造に引き込まれ 人間・社会の学習に発展しそ うになるが,それは厳に戒めるべきである。あくまで地 誌や系統地理の範陪を越えてはいけない,主題学習で扱 う社会的な事象も 環境に関わる景観や森林伐採・温暖 化,あるいは空間的に変換された人口移動や貿易,国際 関係などの問題に限って, これらの事象の地域的特色や 法員jr性を探求させるのが望ましいヘすなわち,地理的 事象の地誌的・系統地理的・応用地理的学習こそ地理 つ 臼 門 i
「社会科地理J をめぐる論争の構図 的見方・考え方」の育成に相応しい内容編成である。例 えば,中国の階層分化の要因・影響を考えさせる9) 東 南 ア ジ ア の 開 発 独 裁 の 構 造 を 探 ら せ るlへ あ る い は 北 ヨーロッパにおける福祉国家成立の背景に迫らせる山学 習は,そもそも学習対象の設定が誤っているので,地誌・ 系統地理はおろか,主題学習とも看倣されない,排除さ れて然るべきである一.... このようになるだろう。 以上のように地理主義教育論は「地理的見方・考え方」 の育成を無意識・意識的を問わず、第一義的な目標に掲げ る,そして学習対象が地理学固有の対象から外れないよ うに,地理学本来の視点・方法が損なわれないように, できるだけ独立した形で教授されなければならない,と 考える教育論である。 (2) 内容編成の類型化 上のように概括できる「地理主義教育論」も,具体的 な内容編成になるとアクセントの置き方によって幾つか のパターンに分かれてゆく。そこで「地理主義教育論」 の類型化を試み,これまでに提起された所論を各類型に 位 置 づ け て ゆ く こ と で 地 理 主 義 教 育 論 」 の 広 が り を 明 らかにしたい。 ① 地理学教育/教育的地理学教育 類型化の視点の第 1は 「地理的見方・考え方」を形成 す る 内 容 編 成 ・ 学 習 指 導 の 性 格 で あ る 。 こ れ は 学 問 的 地理学教育論j と「教育的地理学教育論」に分けられる0 ・学問的地理学教育論:教科教育とは,基盤となる学問 の科学性を維持した上で 同学問の成果や方法を子ど もに習得させることである。学問の成果に教育的加工 を施すと,それだけ科学的知識の再構成の程度は高ま 仏 教 育 の 名 の も と に 誤 っ た 知 識 を , ま た は 望 ま し い 1つの価値的態度を教え込むことになりかねない。学 問研究の方法を過度に単純化し,学習者の経験・心理 に引き付けて指導すれば それだけ得られる知識の科 学性は抑えられ不確かなものになってしまう。 -教育的地理学教育論:教科教育とは,基盤とする学問 の科学性を尊重しつつも 学問の成果や方法に加工を 施し,教育的な価値を賦与して習得させることである。 教育内容は,子どもに形成したい望ましい態度・価値 観のもとに知識を修正し,再構成した上で確定する。 教育方法には,子どもの発達特性を踏まえ,学習者の 興味・関心に寄り添い主体的な思考や活動を促すくふ うを取り入れるべきだ。 ② 内容主義/方法主義 類型化の第2の視点は 学問性を尊重する/しないを 問 わ ず 地 理 的 見 方 ・ 考 え 方 」 の ど こ に 教 育 的 価 値 を 見 出 し , 教 授 す る か で あ る 。 こ れ は 内 容 主 義 」 と 「 方 法 主義」に分類できる。 -内容主義:内容教科としての地理では, とくに知識に 重点をおいて指導するべきである。自分はどのような 地域に生きているか 国内外にはどのような地域が存 在し,そこにはどのような規則性がみられるかについ て,正しい地理的知識を確実に伝達してゆくことが求 められる。 -方法主義:技能教科としての地理では, とくに知識の 得方に重点において指導するべきである。たえず情勢 が変化してゆく今日では すぐに古くなる知識は役に 立たない。子どもが生涯にわたって自分で知識を集め, 解釈し,地理的事象として表現できるスキルの育成こ そ求められている。 ③ 地理主義教育論の諸類型 「士也理的見方・考え方j育成を目的とする地理主義教育 論は,上述2つの視点を掛け合わせることで,表1のよ うな4つの類型を設定できる。横軸には視点lを,縦軸 には視点2を配して 「地理学教育論J
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教育的地理学教 育 論Jr
地理学研究法教育論Jr
教育的地理学研究法教育 論jを導いた。また,それぞれの類型には,地誌学(地 誌学習)・系統地理学(系統地理学習)・応用地理学(主 題学習)の基本三編成を位置づけ 各類型に対応したラ ベリングを試みている。 表1 地理主義教育論の類型化 学問的地理学教育論 教育的地理学教育論 容 二 義内上 地理学教育論 教育的地理学教育論 -地誌学 -教育的地誌学 -系統地理学 -教育的系統地理学 -応用地理学 -教育的応用地理学 J 法 主 義S
地理学研究法教育論 教育的地理学研究法教育論│ -地誌学研究法 -教育的地誌学研究法 -系統地理学研究法 -教育的系統地理学研究法 -応用地理学研究法 -教育的応用地理学研究法 (筆者作成) 「地理学教育論」は地理教育をイコール地理学教育と みなす地理主義教育論の原型。地理学の成果は,その知 的性格をできるだけ維持したまま教授し学習させなけれ ばならない,と考える。ただ どのような地理学の流派 とアプローチを重視するかで若干の内部分化・競合は見 られる。大きくは 伝統的な地誌を重視し,各地の地域 像を伝達し暗記させようとする理解主義lへ 地 誌 的 教 養 のみならず系統地理の理論的性格に意義を見出し,新し い地理学の実証的・科学的手法に裏打ちされた知識を探 求させようとする説明主義山 またマルクス主義地理学 の 概 念 を 中 心 に 現 実 の 社 会 問 題 を リ ア ル に 捉 え さ せ よ う と す る 認 識 主 義 の 地 理 教 育 論 で あ る ヘ 近 年 で は 人 文 主 義 地 理 学 の 考 え に 依 拠 し , 認 識 主 体 が 場 所 に 抱 く イ メージを広げ,世界像の構築につなげようとする地理教 育 論 も 提 起 さ れ て い る へ こ れ ら は 内 容 編 成 の 形 式 こ そ 大きく異なるけれども 地理学教育論の思想を共有するff':J原 和 博 亜型として括れるものである。 一方で右列の「教育的地理学教育論」は,ストレート な地理学教育を是としないc 地誌学・系統地理学を教え るにしても,教育活動である限りは,それの教授を通し て地域を尊重する意識を高め 郷土を愛する心を育むよ うにへ異文化を尊重し国際社会に寄与する態度を育成 するように17)知識を再構成して教授すべきである.ある いは意思決定や社会参加の場面を付加し,少しでも市民 性育成に関与してゆきたしげ) とする立場であるc 教育 的な加工は内容に留まらない。指導にあたっては,シミュ レーションやゲーム的な要素を導入する191 地図・資料 の読解や作成に代表される作業学習を取り入れるぺこ れら「地理的な見方・考え方」の指導効果を高める教授 法の提案も,本類型に含まれてよいだろう。 次に表
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段の「地理学研究法教育論」。本類型は,地 理教育を地理学研究の方法を中心に再編しようとする論 である。とくに地誌学研究に欠かせない観察や聞き取り を含むフィールドワーク三11 地誌学・系統地理学の基礎 となる地図の読み取り 地理情報の処理・加工・表現の 指導に重点化しようとする主張は. これまでにも繰り返 し提案されてきた。近年ではコンビュータ技術の進展を 受けて, GIS教 育 の 重 要 性 も 説 か れ て い る ヘ 地 理 情 報 を専用ソフトで処理することで,施設の分布凶やハザー ドマップ,統計地図を作ったり,景観を三次元に再現し たりする学習が提案されている。アナログ志向だ、った本 類型の最新ヴァージョンといってよい。 一方で右列の「教育的地理学研究法教育論J0 これは, 同じ野外調査や地図技能を教授するにしても,学問の論 理のみに拠って立つのでない。あくまで子どもの心理的 発達を考慮し,社会的・政治的要請にも資するように指 導をくふうして地理学研究法の教育的意義を引き出そう とする論である。例えば 視覚・日臭覚・聴覚のあらゆる 感性を刺激して空間認知のセンスを研ぎ澄まし,それを 地図の指導に活かそうとする提言お) 子ども主体の調べ 活動を基盤に地誌・系統地理・主題学習の技法に習熟さ せる,ただし都道府県や各国の名称・位置についてはド リル的に授け,国民教養の定着をはかろうとする現行指 導要領の考え己U が,本類型に相当しよう。 上のように定義,分類される「地理主義教育論J は, 「地理教育とは地理を教える」という私たちの常識に成立 基盤をもっている一一常識に合致するので,なにより違 和感を覚えさせない一。内容・方法の構造も明解で, 主張は説得力に溢れている。私たちが「優れたJ地理教 育論として聞いて思い浮かべる理論は,表1の 4類型に ほぼ網羅されているのではないか。ただ問題は,後述す るように,本論が自ら訴えているほどに教育効果を有し ない,国民・市民育成をめざす教科教育としてみると. 甚だ意義が乏しい点にある。皿 社会認識教育論の構造
(1 ) インディアナ州社会科カリキュラム 次に「地理主義教育論」の本質と限界を見極めるため に,同論とは対照的な性格をもっインディアナ州社会科 カリキュラムに注目しよう山。カリキュラムの分析を通 じて地理主義教育論」に対峠する地理教育論を提示し たい。 表2には,カリキュラムの全体計画を示した。横軸に は社会科全体のスコープを,縦軸にはシークエンスを配 し,指導構想の再現を試みた。 学年排列をみると, 8学年と 9学年の間に1つの断絶 を確認できる。初等課程と前期中等課程は, 子どもを取 り巻く社会集団の学習である。第1学年ーから第b学年ま では,身近な仲間集団を起点にして,学校→近隣→コミュ ニティー→州→国家まで, 1学年 1集団を原則にして部 分的に重なりをつくりながら配当し 子どもたち自身が 生活し帰属している社会集団を捉えさせている。続く第 6学年から第8学年は,他所および過去の社会集団の研 究である。東西の多様な文化圏と,過去の自国を媒介に して,間接的に現在のアメリカ合衆国を促えさせること が意凶されている。後期中等課程になると,社会集団の 研究では手段的に借用され位置づけられてきた社会諸科 学の学習が始まる。社会科学の日的的学習とも言い換え ら れ る 。 選 択 科 目 と し て 合 衆 国 政 治 ( 政 治 学)J I世界 地理(地理学)J I経 済 学J I心理学J I社 会 学J I合衆国 史JI世界の歴史と文明(歴史学)Jの7領域が用意され る充実振りである。このように本カリキュラムの指導理 念は, 12学年を通して「社会研究 SocialStudiesJ で買が れてはいる。しかし,シークエンスの上では,専門分化 した社会科学の学習に 総合的な社会集団の研究を先行 させる,それも此処・現存の集団の直接的な研究から, 他所・過去の集団を取り上げる間接的なそれへと連続的 に移行させている。知識成長の階層性と学年段階を巧み にリンクさせた排列といえるだろう。 横軸に目を移すと 9つのスコープが確認できる。①社 会集団を捉える 6つの科学的視点を大枠にして,②当該 集団にかかわる近年の動向と社会的課題(時事),③情報 を集め,解釈し,合理的な意思決定を導く方法(探求技 法),そして④これらの知識と方法をトータルに駆使し, 自らの社会への参画のし方を考えさせる領域(市民の理 念と実践)が, )11員をおって提示されている。なお,第8 学年までに限ってみると,社会諸科学の視点は,学問分 野の名称でなく「市民性と政治JI歴史的見方JI地時的 関係JI経済Jr
世界文化JI個人と社会」と記されている。 これは第 8学年以下と第 9学年以上の目標諭の違いを明 確にするためであろう。必修課程では,子どもたちが社 会集団のあり方を考え,社会集団に参画してゆける資質 4 A「 社 会 科 地 理 」 を め ぐ る 論 争 の 構 図 表2 インディアナ州社会科カリキュラムの内容編成 市 民 性 と 政 治l歴 史 的 見 方 │ 地 理 的 関 係 │ 経 済l世 界 文 化 │ 個 人 と 社 会1時 事 │ 探 求 技 能 │市 民 の理 念 と 実 践 会 同 が る す 社 集 削 れ 由 九 小 川畑な煩さ考 HAかにとを 校山旦活安巾 ハ 子 の 1 必 埋 る 一f m 明出川 刊 近 環 f と の 日 校 会 : V F 村 白分たちを,家 族・学校・コミ 学校・近隣社ムI,-"-,.,', ,''L.'-+~ ~ I . ~ .J3 Ff' J," h I人 々 の 類 似 性 │ ュ ニ テ fー・ I ~'~4-:U-~'~~ I家 庭 ・ 学 校 ・ コ │ 人 々 が 某 本 的I/1~ ~ ~~I,:-~ ':-2~ J:,I I元日JIが必要と│を含む,周囲の I~J~ _-Y~~ i -< I ~~~.;;, N,~::~': ~~~ Iと主異性,及び!州・国家・世界 怖 に 'j活lさ れ る 埋In存
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草 原 和 博 育成を日的としており その前段・手段として社会の現 状や課題を多学問的 (multi-disciplinary)に把握させてい る,この点を強調したかったのではないかへすなわち, 広く政治的・歴史的・地理的・経済的・文化的・社会的 な見方・考え方に支えられた市民性の育成である。 (2) 社会科の目的と内容編成 インディアナ川社会科の基盤にある教育論を,前章の 「地理主義教育論」との対比で定式化してみよう。 1 B. 教科の内容・方法を支える学問は,教科の目標に 照らして選択,設定される。社会科教育の基盤となる のは社会諸科学である。 2 B.社会科教育とは 社会諸科学が長年かけて確立し, 洗練させてきた,社会を捉える「社会の見方・考え方(社 会認識)J を育成する営みである。 3 B.なぜ「社会の見方・考え方」の形成が求められる かといえば,社会科は,国家・社会の形成者として判 断し行動できる資質を(教科として)育成することを 目的としているからである。国家・社会がどのような しくみで機能し私たちの判断・行動に影響を与えて いるかについての知識は 国民・市民育成の基礎とし て欠かすことができない。 4 B. ①研究対象を地域の自然人間の関係において成 立する「環境」事象として捉える,②対象を「空間J 的な尺度に変換し表現する「地理的見方・考え方」は, 「社会の見方・考え方」の一部を為している。「地理的 見方・考え方」は 国家・社会のあり様を解明するの に必要な範囲と程度で位置づけられ,教授されなけれ ばならない。 5 B.社会科教育の3の目標を効果的に達成するために は,国家・社会のあり様の解明に欠かせない「社会の 見方・考え方」および「地理的見方・考え方」を過不 足なく確定しなければならない。またそれらが一体と なって習得されるように 学年を通じて体系的段階的 に指導される必要がある。 インディアナ州の社会科では,教科指導の到達点を, 民主主義社会の形成者に求められる I(社会集団につい て ) 思 考 し 意 思 決 定 し 社会参加」できる技量に求め ているm。表2のスコープは 前述のように左から右に 向かつて内容が拡大・統合してゆくように構造化されて おり,最右列の「市民の理念と実践」が最終的に形成し たい学力像と解される。第8学年でいうと「学校・コミュ ニティー組織の諸機能に,効果的に責任をもって参加し ようとするJ姿勢である。本カリキュラムでは, とのよ うな民主的な実践力を養う基礎として,残り 8つの「社 会の見方・考え方」が位置づけられている。 「社会の見方・考え方│の3分の 2までを社会諸科学の 視点と方法が占めているのは 現にそれぞれの学問が専 門的知見を活かして ときに連携・協力しながら国家・ 社会の現状と課題を明らかにしているからである。政治 学は統治機構の働きを,経済学は財やサービスの生産・ 分配・消費のメカニズムを,社会学は個人と集団の関係 色文化人類学は文化の共通性・差異性を,歴史学は集 団の変化とそれに対する人間の(行動・決断の)影響を,そ して地理学は集団の位置とそれに対する自然環境の影響 を明らかにしてきた。これらの枠組みから近隣・コミュ ニティー・州一…・を解釈するとき その集団の成り立ち がよりよく分かり 将来のあり方を考えるのに十分な材 料が得られる。換言すると,注目している国家・社会が どのような歴史的来歴と空間的位置にあるか, どういう 白然環境と個人・集団で構成されているか,いかなる政 治・経済・社会構造に規制されているかについて理解で きる。逆にこれらの見方が1つでも欠けたり偏ったりす ると,国家・社会の本質解明は揺らぎ,合理的な意思決 定に迷い,自立的な社会参加は覚束ない。本カリキュラ ムでは,国家・社会の形成者に求められる「社会の見方・ 考え方」の中核を 「科学的な社会の見方・考え}jJ に求 めている。
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3
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内容編成における地理教育の位置づけ それでは,本カリキュラムのいったいどこに地理教育 が位置づいているのか。全体として「社会の見方・考え 方」ーその一部としての「地理的見方・考え方」一一ーを どのように形成しているか。 6 B. I社会の見方・考え方」を形成する内容編成は,社 会科学のアプローチ・体系に対応する形で,①分析的 社会研究と②総合的社会研究が想定できる。分析的社 会研究では, (個別学問の視点から)部分的に切り取ら れた諸事象の規則性を把握させるのに対して,総合的 社会研究では, (多様な学問の視点から)事象全体の構 造を把握させようとする。 7 B. 分析的社会研究の学習指導で注意すべきことは, 「地理的見方・考え方」を過度に位置づけて,教授す ることである。国家・社会の本質は,政治学・経済学・ 社会学など他の社会諸科学と連携して捉えたほうがよ りよく説明できる。空間や環境の作用も無視はできな い。しかし,そればかり肥大化させると,かえって現 代の国家・社会のメカニズムがみえなくなり,社会科 教育のねらいを果たせなくなる。 8 B. 総合的社会研究の学習指導で注意すべきことは, 他所の社会集団それ白体の理解で満足しないことであ る。地域像・世界像の形成は通過点に過ぎない。世界 各地の国家・社会の学習を.私たちが形成する国家・ p oI社会科地理」をめぐる論争の構同 社会の学習にいかに役立てるかを考えることが,社会 科教育のねらいの達成につながる。 インディアナ州社会科カリキュラムは, I社会の見方・ 考え方」を, 2つの段階・ 2つの系統で形成している。 大きくは前述のとおり 後期中等課程の社会科学研究と, 初等・前期中等課程の社会集団研究である。後者はさら に,個別学問の視点・方法から社会集団を断面的に切り とり把握する「分析的社会研究」と,複数学問の視点・ 方法から社会集団を構造的にトータルに捉えようとする 「総合的社会研究」に大別される。 地理は,上の2段階 2系 統 に 対 応 す る 形 で 社 会 の 見 方・考え方」育成という目的のもと 部分的ではあるが 着実に,目的整合的に位置づいている。第1に,選択科 目として用意された独立した地理学研究(=世界地理) である。誰の目にも明白なもっとも分かりやすい位置づ けであろう。第2に,表 2の縦方向に位置する,社会集 団の分析枠組みの機能を果たしている地理的研究(=地 理的関係)である。対象を捉える視点・方法の独自性に おいて他の領域とは区別される。第3に,表2の横方向 に伸びる,第6/7学年に設定された東西半球の地域研 究(=グローバル研究)である。学習対象を合衆国以外 の世界の諸地域に求めている点で,すなわち,他所の国 家・社会を介して此処の国家・社会のあり方を考える間 接的な社会集団研究として構成されている点で,他の学 年とは区別される。以下,それぞれの概念における地理 教育の実際を見てゆこう。 表3には,選択科目として用意された地理学研究の概 要を抽出した。全7項目で構成される。地図および、地球 儀による情報収集と表現のスキルを筆頭にして,自然事 象および人文事象の分布と両者の関連性,事象の空間的 な結合と変化の諸概念、が提示される。最後には,これら の探求法と概念を発展させ,過去・現在・未来の出来事 を理解し,意思決定に役立てることが期待されている。 基本的には,地理学固有の理論習得とその応用力の育成 が目指されているといってよい。 必修課程として広く子どもに課されている地理教育は, 単独の地理学研究よりも,むしろ(社会集団についての) 「分析的社会研究」および「総合的社会研究」の方であろ う。前者は,地人相関の視点と空間的な子法を携えて, 社会集団の事実と特性を捉えさせることをねらいとする もの。第1学年から第8学年まで,対象を変えながらも, I
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也理的関係」のタイトルで一貫した配置が保証されてい る。例えば,第5学年の場合,合衆国の自然一人文事象の 関係を説明し,合衆国と諸外国との空間的な結びつきを 記述させる学習が指示されている。「地理的見方・考え方J は , 社 会 研 究 に は 欠 か せ な い - 全 体 の9分の lに過ぎ ないが一分析的アフローチの一翼を担っているわけで ある。 一方,後者では,間接社会研究が具現された第6・7 学年の学習が該当する。図1には第7学年の内容編成を 図式化した。アジア・アフリカ・ CIS・中東・太平洋諸 島・オーストラリア・ニュージーランドの諸地域を対象 にして,①そこに展開する国家・社会を 6つの学問領域 の問題意識と視点を切り口に明らかにさせるとともに, ②地域の時事問題と解決策が西洋世界・国際社会に与え ている影響を理解させる。③一連の学習を充実させるた めに,多様な形式の資料を読み,解釈し,結果をまとめ る技能についても習得させる。④最終的には(東洋の諸 地域と合衆国の)市民的行動と公共サービスの比較研究 を通してコミュニティーの形成者に求められる責任感と 行動力,ならびにリーダーシップのあり方を考えさせ, 表3 第9学年 第12学年「世界地理」の内容編成0
地図とその他の探求道具 地図・地球儀,その他の道具や技術をもちいて,人間や場所,環境についての情報を収集し,処理するO
場所と地域 地域の概念(,情報を組織化し,地表面の複雑さを解釈するために,人間が構成したもの)を説明し,場所の人文的・自然 的特色を記述する0
地球の自然的パターン 地球環境の自然的特徴,すなわち,その変化と分布パターン,ならびにそれらの相互関係を理解するO
地球の人文的パターン 地球環境の人文的特色,すなわち,政治パターンや人口動態,文化モザイク,ならびに人々の土地利用を説明するO
人間と環境の相互作用 人間が自然環境にどのような影響を与えているか,どのような影響を受けているかを分析する O移動と変化 地球の変化の持続性 人口・商品・観念の移動 ならびに永続的に変化する空間的パターンを形成している自然環境の諸 要素を具体的に示す0
地理的思考と市民性 地理的理解を応用して 過去の出来事を解釈する 現在の困難について分析し,合理的な意思決定を行う,未来の方向性 に影響を与える lndiana Department of Education, The Social Studies Pr.
o
斤ciencyGuide: An Aid to Curriculum of Education, 1996, pp.184-196,より作成。市民性と政治 ・東汗 jU界の 諸国で見ら れる主要な 政治機構を 認識し.待 国の門[11と 責任を比較 する 東洋jH界の 対照的なえ: 化闘での rtj 氏の役割を 考察し.fT 衆凶のそれ と比較する .東汁ttt~~の 諸国とfT衆 [:E]における 秩序ある変 化を比較対 照する -東洋
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界の 政治構造を 過去から現 {fまで規定 してきた文 化的影響を 記述する 社会に影響 を与えた歴 史的出来事 を概路する。 山来事の原 l大│を認識し. ある文化闘 の過去と現 tfλ 未来に 与えた影響 について似 説を丘てる .東洋I!IWの 社会に影響 を与えた歴 史的決定を 分析し.そ の決7主から 予;恕される 倍数の帰結 を提起する .地理を活llJ して過去. 現イ士, 未来 を解釈する .東洋│蛇界に 起源をもっ 科 学 上 の 発 見と技術を 認識する 地 理 的 関 係 ・絶対的牝置 (経度・純 度 ) と 相 対 的位置との かかわりで. 東 洋111界の 各i易所の円 然環境につ いて仮説を 且Lてる -東J下ドト界の 子守I也))!Xの人 文的発展に 影響を与え た円然的特 徴(ノに気候, h高生など) を認識する ・東洋 j¥J'Nの 各社会の人 文的JJ!界を 規 定Lてい るI也fPJ:の人 文;的特徴 (百話,民 族"I't,宗教 な ど ) を 認 識する -東洋11I界の 分 布 ハ タ -/ 人LJ, 資源など) の 変 化 を 認 識する -東洋jH:界の 人々による 自分たちの 環j克の使い /工適応の し)j (住肘, J'<Mji ,輸送 F段など) を認識する .東洋│廿界に 影 響 を 与 え て い る ゲ ローパル問 題(砂漠化, 食料,人 LJ 増加,エネ ルギー,人 権) を認員哉 し,その問 題に対する 対 照 的 な 見 }jを考察す る ・地球表面を 形 作 る 自 然 的 営 力 ( 浸 食,地震, 火111,台風 な ど ) を 認 識する 経 済 ・1'1然 地JfJi. 分 業 化 . 貿 易が人間の r'lr1~ の 1~}J に与えてい ると禁容Fを説 明する ・jj業化と貿 易の増大が 凶Ltrと相 IJ 依 存 を ど の ようにもら したかを説 明する ・ ~ft なる経済 シ ス テ ム (伝統的統 制 . 市lJJ) は.以ドの 経 済 的!h9l¥ に在日fwJ(二?与 えているか を説明する CMを.どの ように, al に対して't 産するか) .教育と科"'1: 技 術 が 生 p,? ' 1'1ーと経J斉充 !廷に与える 影 響 を 比 較 考察する -東洋IU界の 諸 国 の 所 得 水 準 (GDP) と所得の源 泉を記述す る ・経済システ ムに宗教等 の社会制度 が 与 え る 影 響 を 説 明 す る -消費者と生 産 斉 の 行 動 が司 自J主的 ではなくて も[J']内外の 人々に好影 響 を 与 え て いる(教育に または危害 をもたらし ている(;ぢ 染)状況を 認識する ・広域的な凶 際貿易が出j 内外でのお 金 の 交 換 の ために必を としている システムを 説明する 草 原 手[J 博 世 界 文 化 │ 川 由 人 と 社 会 │ ・作文;化の村! い 如 判11'No川 色の如、似性 il0を事物り とX::7t刊 を に.人有力パ ! 認識するI
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、付1会と l上i際 社 会 に 影響を与え て い る 時 事 問題を分析 する .IIJj事問題に 対して促案 されている. 仮 説 的 な 解 決策を,Willli する ・阿i'(l廿界の 社会に影響 を与えてい る問題に明 ましい結果 をもたらす までの苦段 階 を 概 慨 す る 東洋111界の 社 会 に 影 響 を与えてい る時事問題 の帰結を仮 説 的 に 予 想 する 探 求 技 瓦1
・ゲラフゃい1( Jミ.t也15.1 "If;:, j!I,ii詰 調Ft.リ!l; J弓IUliにJ足ノF さ 1u三十,~Î 却 を解釈する ・適切な参与│ 資料と利,}, f主体Iを1号,JIJ しi:-.~i、十Irlfi しι
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識す る 'llJ典を記録 し. 概同行を ノートにま とめる ・資料集のな かのすi)~ と ,Ø:~L を|正月IJ する . ~夜 J下 jllW の 諸i凶斗の主足也盛 l に::~段問主刻lしFてとn j 述主レボ一卜 とl什1;1主:レ J ボド一トをJ準F f 併j併市術ii品品日ii備し. HtノJ; する 一一一一一一寸 市 民 の i 理 念 と 実 践 │ ・少なくとも! !っσ)(j品1 4またはJ¥iI 11:の)呼m
之;化とJiliJi; 0)コ之ュ二三 子f をlU り[-(t,lli t(のt1i[と i~ Jモサービ スに│立lする 観,~-:を比較 )j-~宍する . llj:qJかなく ともlつの 1~ J七サーヒ スに参1111寸 る . 'H,t0また はγ'級会の it,1i}j に',{f'j.1 寸る ( ・''(:校とコ ミュニ T i ー の 則tjlJと 統 制 を 観 祭 寸る I校 と コ こ ユ ーT-( i::t3l'-ご t l-SI、Jtと{[Ii[人 のfJllhiご取 されたmrー を受け入れ る ・'川支の?級 1,1i1i}jまたは コ ミ 工 ニ テfーの組 織の少なく ともlつで. ft'1 t説 的 な ;)ーター シッブをJC 押する 図1 第7学年「夕、口ーパル研究一東洋文化」の内容編成Indiana Department of Education, The Socia! Studies Prq斤ciencyGuide: An Aid ω Curricu lum of Education, 1996, pp,98-11O,より作成。
その判断を自らの実践に結びつけることが期待されてい なお,図1において各学問が占めるウェイトに量的な る。第7学年の内容編成は,東洋世界の地域研究で得ら 大小がみられるのは,社会集団の解明に必要な程度に違 れた知識・技能を身近な社会集団に参加してゆく能力育 いがあるからであろう。第7学年では,東洋世界のとく 成につなげる,総合的で間接的な社会研究になっている にアジアでみられる急激な経済成長の事実と要同・影響 わけである。 こそグローパルな「社会の見方・考え方」に直結する, 0 0 7 a
「社会科地理」をめぐる論争の構凶 とみなされているようだ。このような社会的事象の捉え が目標になれば,おのずと経済的視点に対する期待と比 重は高まる。経済学に限らず,政治学は西洋とは異なる 政治秩序と市民権の観念、を明らかにする上で.社会学は 個人と社会の関係,科学技術の発展や都市化の影響を捉 える上で役立つ。もちろん地理学に由来する視点・方法 も有用と考えられており 量だけで見ると経済学に次ぐ 地位が与えられている。しかし,向然環境が人々の生活 に及ぼす影響だけでは 今日の国家・社会の成り立ちは 説明できない。地域の人文的特徴(言語・民族・宗教) や課題(食料・人口増加・エネルギー・人権等)の事実 を越えて,それらの背景やそこから派生する問題を,さ らには隣接するシステムを解明し地域全体の構造を描か せようとすると, 1つの学問だけでは対応できない。学 習は必然的にスコープの境界を越えて発展してゆく。事 実,インディアナ州社会科カリキュラムは,そのような 多学問的な社会研究を基盤にして成立していた。対象へ の「深入り」を奨励し 子どもの社会認識を深めること を優先した結果に他ならなかったペ このようにインディアナ川社会科カリキュラムでは, 「地理的見方・考え方Jの育成は「社会の見方・考え方」 の一部として位置づいている。「地理的見方・考え方」は, 国家・社会の理解という目標のもとに,それに必要な程 度と範囲で相応の地位=学習機会が保証されていればよ かった。とくに第6学年 第7学年の内容編成では, ①「地理的見方・考え方」育成を目的視せずに,それを総 合的な社会研究の手段,一部として限定的に活用する, ②他所の地域そのものの理解ではなく,私たちの社会的 な関心・問題に応える他所と此処の対話に意義を見出そ うとする,大胆な地理教育論が提起されている。
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社会科地理の本質
(1 ) 地理認識形成と社会認識形成 「地理主義教育論」と「社会認識教育としての地理教育」 の考え方を比較検討してきた。両論のコントラストを利 かせて,それぞれの地理指導とその論理的実際的帰結を まとめると,以下のようになる。 9 A. I地理的見方・考え方(地理認識)Jの育成を教科 の目標とすると.内容編成上では系統地理と地誌学が 圧倒的な地位を占めるようになる。「地理的見方・考え 方」の育成を推し進めると それだけ「社会の見方・ 考え方」の育成の場が奪われる。そもそも,地理教育 とは地理的事象や地域について研究させる教科である, 国家・社会を研究させる教科ではない。 9 B. I社会の見方・考え方(社会認識)Jの育成を教科 の目標とすると,内容編成上では「地理的見方・考え 方」の位置づけは限定的にならざるをえない。社会科 とは,国家・社会について研究させる教科である。地 理は,他所の国家・社会の研究を通じて此処の国家・ 社会の研究に寄与する「間接社会研究」として位置づ くとき,教科目標に対する貢献の度合いは高まる。 簡潔に言うと地理主義教育論」は,地理・歴史・公 民の目標の相対的な独自性を重視する。三領域は,目標 において緩やかに異なるので それに応じて内容・対象 でも住み分けロJ
能である いや住み分けるべきである。 地理は独自の目標・内容を保持した上で,国民・市民育 成への可能性を模索するのだと。 一 方 社 会 認 識 教 育 と し て の 地 理 教 育Jは,国民・市 民育成という教科目標を共有している限り,どんなド位 領域を設けようとも内容・対象での住み分けはありえな い,社会科は国家・社会の学習に他ならないから。ただ,方 法にかぎ、つては-目標・内容は共有したまま一複数の アプローチが許されてよい。すなわち,此処・現在の社 会のあり方を考えさせる直接社会研究(社会科社会)と, 他所・過去を媒介にして此処・現在の国家・社会を相対 化して捉えさせる間接社会研究(社会科地理・社会科歴 史)が成立しうる・・一.. こういうことだろう。 (2) 社会認識形成における地理教育 近代学校教育が掲げる国民・市民の育成。換言すると, 国家・社会の現状を合理的に判断し 民主的な同家・社 会の実現に向けて行動できる資質これを養うには国家・ 社会のメカニズムについての誤りなき理解が欠かせない。 誤りの少ない社会認識を形成しようとすれば,社会科学 の歴史と現状がそうであるように,個別学問が得意とす るところを活かして国家・社会を対象化し,その構造や 機能を部分的なりとも明らかにしてゆく機会を子どもに 保証することである。 実のところ国家・社会は長いこと不可解で制御不能な 存在とみなされてきた。その運命は「為政者」や「神」 に委ねるしかなかった。しかし 国家・社会のメカニズ ムが徐々に白日のもとに晒され,国家・社会を意図的に コントロールする知識と術が広まると,人々は上のよう な諦観から解き放たれるようになる。これを可能にした のが,社会科学の誕生と発展だった。同じように自然現 象を「十申秘Jの語で片付け,思考停止に陥るのでなく, メカニズムの解明に努めてきたのが, 自然科学だ、った。 のちに社会科学は,研究対象が複雑になるにつれて,自 ら分化(歴史学・地理学・政治学・経済学・社会学・文 化人類学・心理学)を遂げてゆく。対象に迫る視点や関 心を分担しつつ,漸進的に全体像に迫ろうとした帰結 だ、った。自然科学も同様に専門分化のプロセスをたどっ たのは言うまでもない。 Q d草 原 和 博 このような社会認識と自然認識の方法論の変革は学校 教育にも波及する。子どもの精神を諦観に追いやり思考 内容を統制する教育から,子どもの精神の白立を支え批 判的な思考力を養う教育への改革である。米国の場合, 神によって創造され運命づけられた自然と社会,そこを 舞台に生きる人々の生き方を啓蒙する①博物教育と②歴 史教育は,それぞれ①自然科学教育=理科と②社会科学 教育=社会科へと再編されてきたへ しかし,前に示した「地理主義教育論」は, このよう な社会認識形成の論理と趨勢に 真っ向から対峠する。 国家・社会という社会的事象ではなく地理的事象を独自 の学習対象に求め,単独では国家・社会の本質に迫りき れない地理学固有の視点・方法をとりたてて強調し,他 の社会諸科学のアプローチを排除してゆく。端的には, 「地理的見方・考え方Jの指導を拡充し,徹底すれば,そ れだけ政治・経済・社会・文化……のシステムや問題か ら子どもの関心を逸らすことができる。「地理的見方・考 え方」の過分な位置づけは 現代社会について子どもを 無知にする装置となりうる。その意味で,地理・歴史・ 公民の三分野制は一一インディアナ州のカリキュラムと 対比すれば明白なように一社会認識形成の対極に位置 した。地理と歴史に傾斜配分された教科構造は,森分が 論証するようにへ民主的な国家・社会の形成者の育成 という教科目標から原理的に導かれるものではない,む しろ「それとは反対の何か」を目論むものであろうo I