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国際的不況下におけるドキュメント管理と組織文化

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Academic year: 2021

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(1)2004−DD−44 (3) 2004/5/28. 社団法人 情報処理学会 研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 国際的不況下における ドキュメント管理と組織文化 大. 野. 邦. 夫. ドコモ・システムズ株式会社 Email ohno@docomo−sys.co.jp 国際的不況下における競争力強化ために、多くの日本企業でイントラネットやオフィスシステムへの XMLの導入が進展している。XMLによるビジネスロジックを通じた業務の自動化・省力化とともに、欧 米流ワークフローによる業務管理、セキュリティの確保、企業コンプライアンスの確立などが進行してい る。さらに携帯電話やモバイル機器の発達でパーソナライゼーションが進展し、オフィス環境におけるき め細かいサービスや管理、顧客プライバシの保護などが課題になっている。以上のような背景の下で、オ フィスは急速な変貌を遂げつつある。ここではその状況を把握しつつ、変化を阻む要因である、企業文化 や文書カルチャーを考察し、未来のユビキタス・オフィスを展望する。. Document Management and Organizational Culture Under the Global Recession Kunio Ohno DoCoMo Systems, Inc. Under the global recession, XML has been introduced to intranet or office systems in Japan. Company security and compliance based on western style workflow control become required accompanied by office automation and labor saving due to XML business logics. Besides, mobile phones and devices development requires detailed personalized service and management to customers as well as workers. Their privacies management is also important. This paper describes the situation of XML based office development, discusses the cultural background of obstacles to the improvement, and expects the future ubiquitous offices.. 1. まえがき 資本主義と社会主義による東西対立がベルリンの壁の崩 壊により消滅して15年を経過した。その後日本ではバブル 崩壊に端を発して長期的な不況が続いている。東西対立消 滅後のクリントン政権時代に米国経済は活況を呈したが、 ブッシュ政権になり、9.11テロあたりを境にして景気は低 迷しはじめた。欧州においても景気は横ばいで、不況は地 球規模で進行しているように見える。 不況の克服は、1930年代のニューディール政策のよう に、国家による公共投資で克服するのが教科書的シナリオ であった。しかし平成以後の日本の公共投資をコアとする 経済政策の失敗はそれが機能しないことを物語る。不況克 服でよく用いられる手段は戦争であった。対外的な侵略を 通じて市場と資源を手に入れることがかつては平然と行わ れた。現状のイラクの状況もこのコンテキストから考察す ることが可能かもしれないがここでは取り上げない。 不況がグローバル化した背景には、インターネットによ る地球規模の情報共有が挙げられる。経済・情報・金融 は、規制撤廃、自由競争の浸透でネットワーク社会を形成 し国家の枠組みを超えてしまった。その結果、米国を除く 国家による経済政策は機能しなくなったと言っても過言で はない。 この状況は、大手企業においても同様である。ネット ワーク社会の到来で、市場がグローバル化されると同時 に、ライバルも地球規模に拡大された。かつては、国内で. 勝者になれれば安泰だったのが、今や海外のライバルとも 競争せなばならない。勝ち残るのは地球上で数社という時 代である。中小の企業にとっても、中国企業の勃興、産業 の空洞化などを通じてグローバリゼーションの影響は深刻 である。天下りなどを通じて親企業や公共機関が手厚く保 護してくれる時代は過去のものとなった。厳しい競争に晒 されるという意味では、大企業と同様である。 不況下におけるグローバルな厳しい競争は、企業に対し 種々の体質改善を要求する。1990年代の米国企業はBPR (BusinessProcessReengineering)を通じて無駄を省き、 利潤を上げるための最適な組織構造にして競争に勝ち残っ た。分散オブジェクト技術やXMLがビジネスプロセスの自 動化と組織の効率化に貢献した。今後のグローバル企業 は、このような米国企業の経験を活用せざるを得なくなる であろう。そのためには、欧米流の企業組織管理、すなわ ち文書管理・情報管理を要求されることになる。 最近、日本企業の業績回復が話題になるが、その理由と して、リストラによる余剰人員の削減が挙げられる。しか しそれだけではなく、背後で種々の改革が行われている。 本報告はその状況を把握するために、組織と文書管理の関 係を歴史的に検討し、欧米流の文書管理が世界を席巻した 経緯を考察するとともに、今後の日本企業における文書管 理・情報管理のあり方を考える。. 2. 組織文化と文書管理. −15− 1.

(2) 2.1 組織成立の要件 人間が時間と空間の中で生きている以上、人間同士の情 報のやりとりも時間と空間を超えて行われざるを得ない。 情報が時間を軸に送られる場合に、それは記録情報とな り、空間を軸に送られる場合には伝達情報となる。このよ うに情報メディアは人間相互のコミュニケーションにおい て時空間を介在するものである。 アルタミラやラスコーの洞窟壁画は記録情報であった。 古代遺跡の碑文なども記録情報である。本格的な伝達情報 の起源はおそらくは紙の発明に遡らざるを得ないと思われ る。楔形文字の記されたメソポタミアの粘土板は記録情報 であると同時に、場合によっては伝達情報であったかもし れない。 伝達情報は、通信技術が発明されるまでは、人間の介在 を必要とした。すなわち記録情報を人間が伝達することに より伝達情報となった。この関係は、通信技術が発明され て以降も、基本的には変わらない。この状況は今日のオ フィスにおける文書ワークフローにまで継承されている。 音声(口述)、映像(ジェスチャ、表情など)のような動的 情報は、エジソンによる蓄音機、映画の誕生までは記録情 報ではなかった。しかしこれらは原始人類から今日に至る までの最も基本的な情報伝達手段である。見方を変えると 口述やジェスチャーに関しては、エジソン以前は人間その ものが伝達メディアであったと言える。 情報メディアが時空間を介在させて人間相互の情報の伝 達に使用されるが、このことは人間が組織を形成する上で の効果的な道具となり得ることを意味する。現に近代的な 組織は、記録情報、伝達情報としての情報メディアのコン トロール無しには考えられない。ここでは、その状況を歴 史的な経緯をふまえて検証し、今後のオフィス環境を考察 する。. 2.2 古典的組織 組織というものは図1に示すように自然発生的なもので も、人為的なものでも、一般に目的があり、その構成メン バの資格があり、運営規則がある。例えば、家族は自然発. 目的. 2.3 近代社会の組織 近代社会になり、産業国家としての近代国家が誕生する と、組織を維持管理する手法も進展した。国家の組織目的 として、憲法が制定され、運営ルールとして法律体系が整 備された。その後、独立戦争を経て移民による多民族国家 として成立した米国は、従来の民族国家とは異なる場面に 直面した。従来の国家であれば、成員資格はその民族に属 していれば良かったのだが、成員資格から定義せねばなら ない状況に直面したからである。 民族が異なれば、宗教も異なり習慣も異なる。そのよう な集団をまとめ上げるには、特定の考え方で統一するのは 不可能で、実践的な試行錯誤を許容する意志決定のプロセ スの合意で統一する他はない。これが民主主義の基本であ り、米国流プラグマティズムの思想である。. 2.4 意志決定プロセスと文書ワークフロー 意志決定プロセスの合意のためには、記録文書が重要で ある。そのために秘書やクラークといった文書管理専門の 職種が生まれ、国家の官僚機構だけでなく、企業の業務プ ロセス管理にも生かされるようになった。いわゆる欧米流 の文書管理、ワークフロー管理は以上のような背景を持 つ。 欧米では、オフィス文書というと、ファイリングシステ ム、具体的にはバーティカルファイリング方式のような手 法で管理されてきた歴史を持つ。バーティカルファイリン グ方式は、書類を分類してフォルダーに綴じ、そられを整 理して引き出しに格納し、さらにそれらをファイルキャビ ネットに格納し、文書管理者である秘書やクラークにより 厳格に管理するシステムである[1]。文書が秘書やクラーク といった専門家により管理されていることは重要である。 かれらはワークフローの管理と、個々のフェーズにおける 文書のアクセス権をコントロールする。アクセス権は、組 織における構成員の責任と権限に基づいており、これらの ルール自体も実践的な立場で文書化されている。. 2.5 日本のオフィスにおける文書管理. メンバ資格 運営規則 図1. であり、組織運営ルールとしては身分社会としての掟が存 在した。 さらに上位の組織として、国家や民族のレベルの組織が 存在した。このレベルの組織目的は、国家や民族の存続で あり、メンバ資格はその民族に属することである。運営 ルールは民族としての掟であるが、神話に基づく宗教がそ の役割を果たしていたと言えるであろう。. 組織が成り立つ概念. 生的な組織であるが、人類の存続を目的とし、構成メンバ の資格は血縁であり、運営規則は基本的な倫理である。 「人 を殺すな、うそをつくな、親孝行をせよ」といったルール は家族という制度に基づき人類を存続させるために必要な ものである。近代社会以前の村落共同体は、家族を構成要 素とするさらに上位の組織である。村落において、たいて いの家族は相互に血縁になっており、いわば家族のネット ワークのようなものである。このような社会は、身分社会. 一方、電子化以前の日本のオフィス文書は、キングファ イルに綴じられ、背表紙に書かれたキーワードで管理する のが一般的である。これらの文書は、その組織に属する人 であれば通常は参照可能である。日本でも欧米流のバー ティカルファイリング方式を推奨する専門家はいるが[2] [3]、この方式を導入しているオフィスは稀である。日本の オフィスの課題を検討するなら、このような欧米との差異 を考察することが必要である。文書管理は組織文化を反映 する。 インターネットによる企業活動のグローバル化により、 日本のオフィスにおける以上の問題はより深刻になりつつ あると思われる。オフィス文書へのXMLの導入は、以上の. −16− 2.

(3) 問題を解決する方向に結びつけるのかということも興味あ る問題である。ここでは以上についての検討を試みる。. 3. ワークフロー管理 3.1 オフィス文書のライフサイクル オフィス文書にはライフサイクルがあり、それに関連し てワークフローが存在する。一般に公式文書は、図2に示す. 作成. 企画. 編集. 図2. 保管. 3.2 文書ワークフローと組織の管理 文書のライフサイクルやワークフローという概念を無前 提に説明してきたが、これらはなぜ必要なのであろうか。 その理由は、組織の円滑な管理と運営のためである。図1で 示したとおり、組織には目的があり、その遂行のために階 層的な組織構成が定められ、そのための運営規則が作られ る。これらの規則を有機的に関係付け、有効ならしめる役 割を文書が果たすのである。図3は、その関係を示す。. 組織構成 運営規則 文書ワークフロー 文書 文書ワークフローの役割. 保存. 廃棄. 文書作成管理ワークフロー. 以上が一般的な文書のライフサイクルであるが、作成さ れた文書をレビューし、承認するプロセスはワークフロー として管理される。日本では稟議書の形式をとることが多 いが、欧米では組織自体がワークフローをベースに構築さ れている。組織において、ある作業者が誰にレポートする かは、その組織の基本的な骨格を形成する。. 目的. 承認. レビュー. 配布. 図3. ように、作成・編集、レビュー、承認といったプロセスを 経る。承認された文書は配布され、その後は保管のフェー ズに入る。保管期限までは、組織の意思決定の記録として 参照されるためである。保管期限を過ぎた文書は、廃棄さ れても構わないが、何らかの場合の参照に供される可能性 に備え段ボールなどに格納されて一般には保存のフェーズ に入る。保存の期限を過ぎた文書は、当然のこととして廃 棄される。. 近代的な組織は、その目的、構成、規則を明確化し、そ れを文書によるの記録と配信、すなわちワークフローで成 員に周知させることにより運営される。問題が生じた場合 は、それを解決し改善せねばならないが、それも文書への 記録と周知、すなわちワークフローを通じて行われる。 このような方式で組織を管理すると、問題点のチェック などに関しては責任者を通じて非常に効率的に行えるよう になる。. 3.3 宇宙航空分野における文書管理 3.3.1 アポロ13号 ワークフロー管理を含む文書管理で、その有効性が最も 証明されているのは宇宙航空分野であろう。その重要性を 強く印象付けられたのは、アポロ13号事件であった。1970 年4月、月へ向かう途中のアポロ13号が、打ち上げられて月 に向かう途上で燃料電池用の液体酸素タンクが爆発し、月 着陸はおろか地球への帰還すら危なくなった。全世界が注 視する危機的状況の中で、NASAのオフィスとアポロ13号 との間の通信で様々な問題を限られた時間で解決し、地球 への生還という目的を達したのであった[4]。 最初の月着陸に成功したアポロ11号は、ニュートン力学 という数学的に正確に定義されたモデルに基づくロケット の精密・正確な制御で月を往復してきたに過ぎない。人間 がしたことは、単に機械の監視人に過ぎなかったと言って も過言ではない。それに対し、アポロ13号は、発生した事 故の分析とその正確な把握、事故のもたらす予想結果のリ ストとそれに対処する方策のリストと利用可能なリソース のリスト、これらの膨大な情報から、地球への生還という. −17− 3.

(4) 目的を達成するための可能なプロセスを抽出するという膨 大な作業を時間との勝負でやってのけたのである。 当時のNASAのオフィスは、種々のデータに関しては最 高のデータベース管理が行われていたが、業務プロセスに 関しては主に人手によるワークフロー管理が行われてい た。要するに紙によるファイリングシステムとコンピュー タとの連携で正確に管理された情報に基づき、それらの情 報を突き合わせて判断を下していった。アポロ13号のトラ ブルのような非常時には、定められたワークフローは存在 しないので、責任ある地位にある人々の知的な判断でこと を進めて行かざるを得なかった(そのような場合は、責任 者の判断で処理するというルールが運営規則として定めら れていた)。だが、判断の基になった情報は、定められた ワークフローで作成されレビューされ承認された正確なオ フィス文書やコンピュータによる記録データであった。 この事件の記録で、種々の場面でチェックリストの作成 や確認という作業が出てくる。これは宇宙船の中の作業で も出てくるが、人間の思考や判断、行う作業などでは本質 的に誤りが発生し、その問題から極力逃れるための知恵で ある。文書ワークフローのレビューに対応する作業である が、アポロ13号での様々な場面は、このような情報管理手 法をカルチャーとして持つプロフェッショナル集団の威力 を示している。 3.3.2 航空機の点検保守システム その後、1980年代に入って日航ジャンボジェット機の墜 落事故があり、その原因が、以前起こした事故のボーイン グ社の修理の不手際であったことが判明した事件があっ た。この件も、ファイリングシステムが威力を発揮したの であるが、その方式を具体的に知る機会があった。それは Interleaf社のワークフロー管理システムであるRDMの見学 のために1990年代の初期に米国を訪問したときのことで あった。ある航空会社がInterleaf RDMを使用していると のことだったので、その状況をInterleaf社の営業マンと一 緒に視察した。航空機の点検・保守は、飛行時間に基づき 定期的に行われ、その際にチェックリストに基づく検査、 部品交換などが行われる。そのチェックリストは、機種、 機体の種類、飛行時間に基づく点検や整備の種類などによ りそれぞれ異なり、似て非なるチェックリストが膨大に存 在する。さらにそのチェックリストを後の参照のために系 統的に管理せねばならない。 3.3.3 Interleaf RDM このような管理は、従来は紙によるファイリングシステ ムで行われていたが、RDMを用いるとそれを自動化するこ とができるという話であった。実際、その航空会社では、 RDMを使っていたが、チェックリストの管理には、紙の ファイリングシステムを用いていた。その理由は、整備士 は紙のチェックリストでなければ現場でチェックできない からであった。油や手垢で汚れたチェックリストは、コン ピュータで管理するよりは紙によるファイリングシステム で管理する方が合理的である。これでは、RDMの意味が存 在しないのではないかと思って説明者に質問したのである が、紙の文書には一意的にIDが付与されており、そのIDが 関連文書とともにRDMで管理され、ファイリングシステム と連携しているとのことであった。そのような方式で、 ワークフローと責任者が管理されているので、特定の航空. 機に具体的な問題が生じたときには、それの整備や修理の 履歴文書が責任者や担当者の氏名とともにInterleaf5で電子 的に管理され、それに付随してチェックリストのIDが管理 される仕組みになっていた。. 4. イントラネット 4.1 クライアント・サーバ方式による90年代前半のオ フィス状況 1990年代前半に、Webがインターネットに導入され、イ ンターネットが学術用から商業用に発展するのに伴い、そ の枠組みを企業の情報システムに導入する動きが顕在化し た。これがイントラネットの発端であった。当時の欧米の オフィスは、クライアント・サーバ・システムの導入が進 展していた時期であった。大規模な企業は、Unixワークス テーションをオフィスの個々人が保有し、それにファイル サーバ、プリントサーバ、DBサーバなどが接続され、分散 環境で情報共有とワークフロー管理を行っていた。先に述 べたInterleaf RDMや関連ツールは、そのハイエンドの製 品であった。OMGのCORBAやビジネスオブジェクトが検 討されていたのもこのような環境においてであった。 Object Design, Ontos, Objectivity, Versantといった OODBベンダーが、ODMGというコンソーシアムを立ち上 げてODL(Object Definition Language)やOQL(Object Query Language)といった言語をODMG−93という仕様 で決めたのはこの頃である。このようなオブジェクト指向 データベースのアプローチに対して、RDB側は、SQL−3と いうオブジェクト拡張されたRDB、すなわちORDBへのア プローチを指向していた。この系統の製品としては、先に 述べたUniSQLやILLUSTRAが製品として挙げられ、イン フォーメーション・マネージャやSGMLデータブレードと して、SGML文書の管理に適用するためのシステムに発展 していた。これらのツールは、マルチメディアを含むオ フィス文書の電子化と、ワークフローの管理を、標準化さ れた枠組みで行おうとするものであった。私どもの開発し たSGMLデータブレードは、オフィスでのマルチメディア 文書を三層クライアント・サーバシステムのアーキテク チャでビジネスロジックと共通の枠組みで扱うことをね らったものであった。この枠組みでは、マルチメディア管 理とワークフロー管理をミドルウエア層のデータブレード で扱う構想であった。しかしながら、ILLUSTRA自体の製 品化が進展しなかったのでこの構想は実現しなかった。 ILLUSTRAの代わりに標準のRDBであるORACLEを用いた SGMLデータカートリッジは、その代替の枠組みであった が、ミドルウエアとしてのビジネスロジックは、C言語によ る通常の関数として実装された。. 4.2 RDBによる汎用クライアント・サーバ方式と Web そのころ、中小のオフィスでは、ノベルのNetwareやマ イクロソフトのSQLServerのような、RDBのSQLをコア言 語として、GUIをユーザインタフェースに持たせた軽量の クライアント・サーバ・システムが普及しつつあった。 CORBAがSQLではなくOQLをCORBA Serviceの規格とし て決めた間隙をぬってノベルとマイクロソフトがオブジェ. −18− 4.

(5) クト指向ではない、単純RDBによる汎用クライアント・ サーバ・アプリケーション分野を開拓していった。マイク ロソフトのオフィス・スーツは、これらのクライアントと して機能することが可能であった。 当時はインターネットの脆弱性が問題とされ、データ ベースによる管理や参照業務には向かないのではないかと 考えられていたが、RDBのデータをWebで管理するメカニ ズムが開発されて以来、企業用途のイントラネットに発展 していった。その典型的な製品が、ILLUSTRAのWebデー タブレードであった。Webデータブレードは、ILLUSTRA をDBとして使うアプリケーションをWebベースで構築可能 とするミドルウエアであった。これを用いて文字、図形、 画像ベースのアプリケーションを構築することができた。 同様な技術をマイクロソフトは、ASP(Active Server Page)[5]で実現した。ASPとIIS(Internet Information Services)[6]をサーバとする中小規模のオフィスのイント ラネットが構築可能となった。SOHO(Small Office & Home Office)といった概念が誕生したのもこの頃であ る。. 4.3 ワークフロー管理とロータス・ノーツ Webブラウザは、イントラネット初期は、ネットスケー プが優位にあったが、経営上の問題などから、その優位を マイクロソフトのインターネット・エクスプローラに譲っ た。結局、クライアント環境に関しては、マイクロソフト が圧倒的なシェアを握ってしまっているのが現状である。 イントラネットにおいてワークフロー管理は重要であ る。ハイエンドのオフィス環境で、Interleaf RDMが指向 した世界であったが、Interleaf社がWeb対応のRDMである ビジネス・ウエブといった製品を開発中に中小規模のオ フィスでも適用可能なロータス・ノーツが市場を席巻して いった。ロータスは、ロータス・オフィスといったオフィ ス・スーツも製品化していたが、マイクロソフト・オフィ スには太刀打ちできなかった。さらにマイクロソフトに決 定的な優位性を与えたのがWindows95であった。 欧米のオフィス、特に米国のオフィスで、イントラネッ ト化が計られたのは、組織変革を原動力にしていた。オ フィスにコンピュータを導入するには、その費用対効果が 常に問われる。そのためには人員の削減を必要とし、その ためには多くの場合、組織の見直しを必要とする。新しい 経営者が登場するたびに、リストラクチャリング、リエン ジニアリングが行われた。いわゆるBPRである。従来の組 織の責任者は解雇され、不要な組織は撤廃統合され、既存 の組織も新しい考え方の枠組みで再編成される。キーワー ドは効率と俊敏性であった。90年代を通じて、米国のIT関 連分野が急進展したのは、まさにBPRによる効率化であっ た。私の知人の米国のエンジニアたちも、殆どの人が90年 代に勤務先の企業を変えている。. 4.4 90年代後半の日本のイントラネット化 欧米のイントラネット化に比べると、日本のイントラ ネット化はかなり遅れて取り組まれ、1990年代の後半に なってからであった。それも、欧米のような企業内組織の 変革といったことを目指すのではなく、ライバル企業が導 入したとか、企業イメージ上必要だからとかいった理由か らであった。その結果、組織を変えることなく、情報機器. が導入され、全員にEメールアドレスが付与され、とりあえ ずはオフィス内をEメールが飛び交うといったものであっ た。業界の企業がEメールを使い始めると、今度はEメール を持たない人々は仕事上困ることになった。そのような場 合、外部とEメールで通信したい人々は、企業を当てにせ ず、自分でプロバイダーに加入して個人的にアドレスを 持った。個人にアドレスを与えず、組織の部署にアドレス が割り振られているような企業も見受けられたが、個人不 在の硬直した組織であることを外部に宣伝しているような ものであった。 組織変革を伴う場合もあった。日産のゴーン氏による改 革などは、その例であろう。企業合併や吸収による組織変 革も行われた。そのような場合は、業務フローを分析し、 思い切った人事を行い組織の効率化を図るべきである。し かし、日本における組織の場合、急激な変革はこれまでの 習慣になじまないのであまり行われなかった。これが日本 の企業の活力を殺いだ一つの要因である。. 4.5 ISO9000の導入に伴う問題 90年代後半は、日本の企業がこぞってISO9000シリーズ の品質システムを導入した時期でもあった。このシステム は、欧米流の文書管理を組織としての品質保証に適用した ものである。従って、日本企業としては品質保証という切 り口で、欧米流の文書管理のチャレンジを受けたようなも のである。ISO9000における品質システムの構成を図4に示 す。. 品質方針 操作手順書 品質データ 図4. 品質システムの構成. 品質システムは、品質方針を定めた品質マニュアルを最 上位に位置づけた文書階層で構築されている。品質マニュ アルの下位には、操作手順書が置かれ、最下位には品質 データが配置される。操作手順書には、品質マニュアルを 実現するための各組織の任務と責任者、さらに品質データ に基づく具体的な検査方法や責任者が記述されている。 この図が、文書ワークフローの役割を示す図3に対応する ことは明白であろう。品質方針が組織目的に、組織構成、 運営規則、文書ワークフローが操作手順書に、品質データ が文書に対応する。このようにISO9000は、組織活動の枠 組みを品質の面から規定し直したものとして位置づけるこ とが可能である。 ISO9000の導入に伴い、多くの日本企業の場合は、その ための専門の組織を新たに作り、関係文書をファイルす る。その結果その人件費やスペースが増大する。一方、他 の部署はISO9000のための稼働が新たに追加される、これ またコスト要因になる。その点、欧米企業は、従来のファ. −19− 5.

(6) イリングシステムをそのまま適用して、ISO9000に対処可 能なので、日本企業のようにはならないですんでいる。 さらに日本企業におけるISO9000導入には、アウトソー シングを通じて別の問題を生み出している。従来であれば 同一企業内で行われてきた品質管理が、企業間をまたぐこ とにより、発注側と発注先で重複してなされることにな る。これもコスト要因になる。本来であればISO9000とい う標準を通じて、コストダウンが行われるべきものである が、日本企業においては、コストアップになる。. このシステムのコンセプトは、既存システムをXMLデー タを経由させて統合させると共に、ミドルウエア化された ビジネスロジックを用いて、種々の業務の自動化の枠組み を提供する点にある。作業者は、インターネット上や携帯 端末上で、ワークフローに沿って文書やメールを参照し、 承認を行ったり、修正してコメントを送付したりするが、 このシステムにおいては、ワークフローとビジネスロジッ クが一体化された処理を実現する。. 5. XMLの導入によるオフィスの進展. 今後、オフィスにおいてXML文書を活用することを考え るならば、XMLデータベースが期待される。XMLデータ ベースには、RDBをベースとする製品、OODBをベースと する製品、XMLに特化した製品に大別される。RDBをベー スとする製品は、Eコマースなどの比較的フラットな構造の XMLデータの処理に向いており、OODBをベースとする製 品はオブジェクトポインターを用いる柔軟な構造からXML データや文書などの作成・編集を行う文書作成編集環境に 適している。XMLに特化した製品は、シーケンシャルに配 列されたXMLデータに参照用のインデックス設け、高速の 検索を可能としているが、要素データの追加、削除などに は向いていない。したがって、アーカイブ文書の管理・検 索に向いている[10][11]。. 5.1 企業を超えるワークフローとWebサービス 1998年にXMLが制定されて以来、XMLが構造化文書の形 式でオフィスに導入されることはなかった。他方、Eコマー スのサプライチェーン管理(SCM)のように、企業を超え た企業グループによるB2Bのワークフロー管理が進展して いた。一方、SOAP(Simple Object Access Protocol)と 言ったXMLによるメッセージ転送のプロトコルが開発さ れ、HTTPを用いて汎用のクライアント・サーバ・システ ムを構築できるような枠組みも提案された。SOAPを使っ て、各種サービスをWeb上に定義し、それを自由に使える ようにする試みが検討されている。いわゆるWebサービス である。 Webサービスは、サービスのディレクトリであるUDDI、 サービスを記述するWSDL、サービスの要求と応答を転送 するプロトコルであるSOAPによって構成される枠組みで ある。IBMとマイクロソフトを中心に、技術的にはかなり 進展しているのであるが、現状では具体的なビジネスには 至っていない。 このようなサービスは、Javaをプログラム言語とする XML処理系とWebページとで実現されている。このような 枠組みをオフィス文書的に、位置づけると何とも中途半端 な存在なのであるが、XMLの本質はむしろこのような領域 にある。要するにXMLをミドルウエアのビジネスロジック として位置づけ、Web経由で情報を参照したり処理したり する枠組みが今後は一般的になる。. 5.2 XML統合サーバ その観点で、私どもが開発した製品を紹介する。これ は、XML統合サーバと呼んでいるもので、EAI(Enterprise Application Integration)とEIP(Enterprise InformationPortal)を中小規模のオフィス向けに開発したもの である[7][8]。EAI機能としては、既存の各種外部アプリ ケーションのデータをXML形式で取り込み、異なる外部ア プリケーション毎のXMLの要素間の関係を索引テーブルで 管理し、意味が同じものについては、同一の要素として扱 える枠組みを構築した。具体的には、Oracleをベースに構 築されたSFA(Sales Force Automation)とロータス・ノー ツによるワークフロー文書から、日時データ、個人、企業 名、企業組織名、打ち合わせ場所などを、各々のXML要素 の値や属性から抽出し、索引テーブルを参照して、同一の データに関し、時系列で検索可能なシステムであった。こ の検索作業は、Webサーバ経由でインターネットを介して 遠隔地からでも行うことが可能であった[9]。. 5.3 XMLデータベース. 5.4 イントラネットの現状 以上のように、インターネットとXMLの組み合わせによ り、Webサービスやサプライ・チェーンといった企業を超 えたグローバルなサービスの可能性が進展しつつあるが、 現実にはネットワークの脆弱性に起因する問題も生じつつ ある。そのため、日本の多くの大企業は、イントラネット のセキュリティ対策を進めている。生体認証、PKI、暗号 化など、技術的なアプローチとともに、セキュリティ・ポ リシー、企業コンプライアンスの確立といった、具体的な 組織運営にまで反映されつつある。 ペーパレスによる省力化と使いやすさを指向したオフィ スの電子化の到達点が、厳しい組織運営ルールというのは 皮肉としか言いようがない。紙の時代を回顧する人もいる かもしれないが、過去に遡るわけにはいかない。電子化で 効率化され便利になった反面、当然それを悪用する人間も 存在し、弊害も生じるのである。 ところで、セキュリティ・ポリシーや企業コンプライア ンスなどといった個別企業の方針を強化しても、アウト ソーシングが常識となっている企業間活動においては種々 の不整合が生じ得る。個人情報の漏洩といった問題は、外 注先のシームレスな管理を要求するが、それは新たなコス ト要因となる。 Webサービスやサプライ・チェーンといった個別企業を 超越するネットワークコンセプトは、外注先を包含する一 元的なワークフローの確立を促すものであり、ebXMLなど は、その思想の基に構築されている。しかし、企業単位の セキュリティ・ポリシーやコンプライアンスは、その思想 と相容れない側面を持つ。. 6. 今後の動向 6.1 グローバリゼーションと組織文化. −20− 6.

(7) 今後のオフィス文書を検討していく上で、考慮せざるを 得ないのは、組織の在り方である。インターネットの普及 で、グローバル化が急速に進展した結果、IT技術において 国境は事実上消滅し、全世界が単一の市場になりそこで激 しい競争が生じている。 日本では、年功序列、終身雇用、企業内組合という日本 的経営が崩壊しつつあるが、今後、日本の組織が欧米流に なっていくか、独自のカルチャーを創っていくかは定かで はない。当面は、欧米流を指向しつつ、独自なカルチャー も存続させてゆくことになるであろう。日本語をベースと している限り、純粋な欧米流組織文化は不可能であろうと 思われるからである。 そのような組織におけるオフィス文書はどうなるであろ うか。現状はWebとPDFとマイクロソフト・オフィスの文 書が幅を利かせている。Eメールのテキスト文書も立派なオ フィス文書であろう。先にオフィスで紙の文書は無くなら ないことを述べたが、今後の印刷文書は、これらのツール をベースにプリントアウトしたものが主となるであろう。 XMLによるレイアウト機能の規格であるXSL(XMLStylesheet Language)が昨年勧告化されたが、オフィス文書へ のインパクトは殆ど感じられない。オフィス文書が、高級 なレイアウト機能を駆使して美しい印刷品質を誇るのは過 去の時代になってしまったのであろうか。. とは殆ど無いので、個人識別・認証の強力な手段になる。 セマンティックWebでは、コンテンツのメタデータやオン トロジを誰が付与し管理するかが問題になっているが、個 人を識別し、それに適合するサービスなどに適用すること を考えると携帯電話はきわめて有効なツールであると考え られる[13]。 その後、図5のように複数のカーナビを接続し、ポータル サーバ上のPIMに地図情報を連携させるモバイル統合シス テムの検討を試みた。複数の車や個人が互いの位置を共有 し、それに基づくサービスを提供する枠組みである[14]。. 6.2 パーソナライゼーション インターネットのEメールは、対等な個人間の通信であ る。1990年代に急速に普及した携帯電話も、個人ベースの 通信手段である。このようにネットワーク技術は、組織の 垣根を取り払い、個人間の自由な通信を普及させた。いつ でも、どこでも、誰とでも自由に通信できるということ は、有能な個人の能力を連携させて効果的に使える状況を もたらした。 そのような時代に要求されるオフィスツールは、もはや ファイヤウォールでしっかりと防護されたイントラネット などではなく、柔軟に個人を支援するPIMではないかと思 われる。その観点からすると、従来の企業情報システムを 個人指向のツールの中に包含させたようなものである。 現在そのようなシステムを検討中である。アーキテク チャ的には、XML統合サーバのミドルウエアにPIMを置 き、そこに個人のスケジュール情報やアドレス帖を配置す る。さらに地図情報参照、音声認識・合成機能などもミド ルウエアとして実装し、移動する個人を支援することを目 指すものである。 このプロトタイプは、2001年11月に開催されたXMLジャ パンの展示会で簡単なデモンストレーションを公開した [12]。これはVoiceXMLなどにより顕在化した手法である音 声認識をメニュー選択の手段に用いて、アドレス帖やスケ ジュール情報を検索し、その結果を手元の携帯電話にメー ルとして転送してもらい必要な情報を得るというもので あった。 携帯電話というデバイスは、個人を特定して通信するだ けに、今後はさらに興味深い使い方が予想される。たとえ ば携帯電話を用いてメールを作成し発信すると、差出人、 宛先、時刻がシステムにより管理されるが、それ以外に発 信場所(無線の基地局情報から得られるが、GPS付ならさ らに正確な位置が分かる)、発信携帯電話番号などの情報も 付与される。しかも携帯電話は、その持ち主以外が使うこ. 図5. ポータルサーバによるモバイル統合システム. これは、大企業と言うよりは、SOHOのような中小規模 のオフィスや家庭向けのシステムである。パーソナライズ か進展した暁には、効率的なビジネスは大企業ではなく、 SOHOのような場で行われる可能性が高い。このようなオ フィス群がネットワークで連携し、ユビキタス・オフィス とでも言うべき形態がXML化が進展した将来のオフィスの 姿であろう。. 6.3 地域や国家に依存しないオフィスへ 携帯電話や車載の情報機器に、XMLベースのPIMシステ ムが搭載されるようになると、それらも上記のユビキタ ス・オフィスの一部ということになるであろう。この形態 の先駆は、アポロ13号で、NASAのオフィスと宇宙船間の 通信が果たした知的なオフィス活動かもしれない。宇宙船 内は、チェックリスト文書が飛び交う修羅場のオフィスで あったからだ。 島状に置かれた机の前方に組織の責任者がおり、組織メ ンバーが机に向かって仕事をしていたり、パーティション に区切られた空間の中で、PCのキーボードをたたいている のがオフィスであると思ってはいけない時代になりつつあ る。ネットワークで結ばれた個人同志の通信により、知的 な活動がなされるのであれば、その個人の周囲は、すでに オフィスである。オフィス文書も、オフィス・スーツ、 PDF、HTMLによるWebページ、Eメールなどを挙げた が、モバイル環境では、携帯電話上で表示されるi−Modeの cHTML、WAPなどの情報もオフィス文書の一翼を占める ことになる。このような状況になると、オフィスには地域 性や、場合によっては国籍すらも無くなってしまう場合も 生じるであろう。 オフィスが国境を超えて展開するようになると、国家や 民族を超えた新たなオフィス文化が形成されることになる. −21− 7.

(8) であろう。しかし、その過程で、ネットワーク社会が内包 する様々な問題に直面せざるを得ず、それらを解決してゆ かねばならない[15]。. 7. あとがき. 部のリーダーシップとそれに基づく上記欧米流文書管理の 徹底であろう。それが実現すれば、日本企業におけるトッ プ施策の現場への浸透は迅速であるから、今後の活躍が期 待できると思われる 文献. ISO9000の例やイントラネットのセキュリティポリシー の現状を見る限り、日本のオフィスで欧米流の文書管理が 定着しつつあるとは言えない。例えば、多くの官庁におい て、事実と異なる公式発表がなされ、いわゆる不祥事が続 出したことがあるが[16]、日本の官庁の文書管理は、不都 合なことは公開しない傾向があり[17]、欧米流の透明で開 放的な文書カルチャーとは隔たりがあるようだ。 大企業の文書管理も日本的な文書管理に影響されてい る。これは、年功序列、終身雇用、企業内組合という日本 的経営と密接に関係していると思われる[18]。本来は組合 員の権利を保護すべき労働組合も、企業内組合であれば、 企業の存続に影響するような闘争を組むことは難しいであ ろう。組織として正確な情報管理が行われないような文書 カルチャーでは、レビューもチェックリストも有効には機 能しない。 だが、これは日本に限った問題ではない。かつてのソ連 も、サハリン沖で大韓航空機を撃墜した際には「スパイ機 であり警告した上で撃墜した」と全世界に虚偽の報告をし たと言われる[19]。その虚偽を暴露したのは、日本を含む 西側の通信傍受であったことが知られている[20]。西側の 通信傍受網は、多様なデータを系統的に収集し、それらを 照合しするといったプロセスを取っており、それは西欧流 のファイリングの考え方である。 日本のオフィスが過去の日本的な経営に基づく文化的な 背景で、組織を動かそうとしても、そうはいかない状況が 生まれつつある。それはインターネットやモバイルネット ワークによる通信記録との整合である。これはまさにソ連 の権力者が意図した虚偽を、傍受ネットワークが暴露した のと同様な原理である。事実は一つでありグローバルネッ トワークの配下では組織ぐるみの虚偽は不可能になりつつ ある。 なお、最近、内部告発を保護し支援するような制度を作 ろうとしているが、そのような取り組みは以上の問題に対 する解決の糸口となるであろう。セキュリティ・ポリシー やコンプライアンスといった企業自身の保全の努力も、文 書カルチャーを変えつつある。オフィスは組織文化の反映 である。以上のような努力を通じて多くの企業が閉鎖的な 日本の組織文化を開放的で透明なものに変えていかざるを 得ないであろう。 かつて、日本の品質管理が末端の作業者の意識改革から 抜本的に向上したように、企業セキュリティやプライバ シー、コンプライアンスなどもボトムアップ的に向上でき ないかといった議論がある。しかし、これらはポリシーか ら出発するトップダウンによる施策とならざるを得ないの で、ボトムアップに期待するのは筋違いであろう。そのた めに要求されるのは、経営層のリーダーシップである。 長期的不況下において、最終的に日本企業に求められる のは、グローバルな視点から自らの役割を認識する経営幹. [1] 現代秘書実務研究会編; “現代秘書ハンドブック”, pp.89−132, 実務教育出版(1978) [2] 野口靖夫; “見ただけでコツがつかめるファイリングの技 術”, 日本実業出版社,(1991) [3] 東政雄; “実例ファイリング・システム”, 日本能率協会, (1974) [4] アンドルー・チェイキン(亀井訳); (下)”, 日本放送出版協会, (1999) [5]. “人類月に立つ. http://www.users.gr.jp/Developer/ASP/. [6] http://www.microsoft.com/japan/products/iis/overview/ default.htm [7] 吉田、大野、藤田、前、廣瀬;”オブジェクト指向スクリ プト言語RubyによるXML応用システムの検討”,情報処理学会 デジタルドキュメント研究会研究報告, DD21−3,(1999.11) [8] M. Yoshida, K.Ohno; ”Development of Application Integration System based on Object−Oriented Script Language Ruby”, Proc. XML Asia Pacific 2001, (2001.11) [9] 吉田、大野;”オブジェクト指向スクリプト言語Rubyによ るXMLの処理”, 情報処理学会デジタルドキュメント研究会研 究報告, DD18−3,(1999.5) [10] 大野邦夫;”XMLデータベース再考:XMLデータベース 構築の基礎技術”, XML Magazine 2001 04, pp.60−74,(2001.4) [11] 前、吉田、田頭、大野; ”XMLデータベースの機能と性 能に関する一検討”, 情報処理学会デジタルドキュメント研究 会研究報告, DD29−2,(2001.7) [12] 大野、前、吉田;”モバイル・インターネット環境構築支 援システムの検討”, 情報処理学会研究会報告, FI−66、 DD32,(2002.3) [13] 大野;”セマンティックWebの課題と携帯電話から見た可 能性”, 情報処理学会デジタルドキュメント研究会研究報告, DD33−1,(2002.5) [14] 大野、吉田、新里;”PIMに地図情報を導入する方式に関 する一検討”, 情報処理学会デジタルドキュメント研究会研究 報告, DD39−3,(2003.5) [15] 大野, 矢野, 小林, 山口; “ネットワーク社会におけるリテ ラシの検討−JEITAサイバーリテラシー技術専門委員会の活動 ”,情報処理学会デジタルドキュメント研究会研究報告, DD35 −3,(2002.9) [16]. http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0811/1127−1.html. [17] 東京新聞日曜版「新聞を読んで」;“続く企業の不祥事政 官業の癒着突け” , (2002年9月8日掲載) [18] 雪印乳業株式会社 代表取締役社長 西 紘平; “弊社子会 社雪印食品(株)の不祥事に関する件”, http://www.snowbrand.co.jp/report/documents/2002012901.htm [19] セイモア・ハーシュ著, 篠田豊訳, “目標は撃墜された”, (1986, ISBN 4−16−341150−X ) [20] 柳田邦男; “『撃墜』上・中・下”, 講談社, (1991 ISBN 4−06−184976−X ). −22− 8.

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参照

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