特集社会的リスクの OR
セーフティ・アセスメントにおける
リスク評価
中野一夫
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セーフティ・アセスメントとは セーフティ・アセスメントは,図 l に示す 3 つ の要素で構成される.ここでリスク同定とは,新 しいリスクの要因,その因果関係を明らかにする ことである. リスク推定とは,ある事象の発生確率の値,そ の結果より生ずる損害を予測することである. 社会的評価とは,個人,団体,社会が,ある使 誌を得るために,どの程度のリスクを受けるかを 評価することである. なかのかずお構造計画研究所 1984 年 9 月号 -事象の発生倒率 リスク l<iJJË 十|公的言、1'1耐 _1Jリ」主主 リぇク -コストーリスク 図 1 セーフティ・アセスメントの J要素 この中で, リスク推定は, リスクの定量化とい う面で重要な要素である.セーフティ・アセスメ ントでのリスクは,通常次の式で定義される. リスク=(事故の発生確率)x
(その事故が発生した時の災害の大きさ) すなわち, そのシステムの実際の危険度= (システムの信頼度) x (潜在的危険度) と考えられる. システム設計者の努力は,原子力発電や,航空 機のように潜在的危険度の大きなものはシステム の信頼度を向上させ,事故の発生確率を最小化さ せることにより実際の危険度を最小化することに (31)5
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© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.リスク推定 1/1:射性物質の 枚射性物 'eLtJ J I /.iHIIJ 川~'~グ)桝 tlí 'J~llr{ ンーケ- /, の縫率計算 Phase IV Phase III Phase II Phase 1 原子力発電所のリスク推定プロセス 動・不作動情況によってどのように変化するかを 体系的に同定するためにイベント・ツリー手法が 使用された. 図 2 ある. 各種の分野の技 リスグを定量化するためには, また,系統・施設等の不作動(機能喪失,使用 達成不能など)の原因をさかのぼって基本事象(た とえば,電動弁開失敗) 術が必要となる.たとえば原子力発電所のリスク 推定は図 2 に示すプロセスで実施される. この中で,特に OR と関係するのは,事故の発 生確率を求めるための信頼性評価手法で、ある. (図 システム・モ デリングを行なう手法としてフォールト・ツリー 解析手法が使用された.このアプローチは,その 後の原子力分野の安全性評価法に大きな影響を与 まで調べ, 2 の Phase 1 の部分) システム信頼性解析の手法
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えている. セーフティ・アセスメントで使用されている信 システム・モデリング手法としてのフォールト -ツリー解析の利点は次のとおりである.[
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①あらゆる故障を探し出すことができる. ②輿味の対象とする故障に限って重要な箇所を 頼性解析手法の比較を図 3 に示す [C 1974年 8 月当時の米国原子力委員会が「米国に おける原子力発電所の事故リスク評価」の研究成 果として発表した WASH-1400[2] の中では,想 システムの中からぬき出すことができる. 定した事故(起因事象)の経過が系統・施設等の作 E T A A F TF
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法 納 十詰 が〈 きえ 」 え t量i t 納 1'11J !料相 í 1以*'1', FMECA: 故障モ}ド ・影響・致命度解析 FTA: フォールト・ツ リー解析 ETA: イベント・ツリ ー解析 信頼性解析手法 の比較 図 3 小災害 中災害 (大災害) (1サ ,~. 申 定 nサ 凶) 'H (原 し )1::-:,:: Fl'j -,~:~)
f じ " ¥ .I~ シ J 渋川のにりと‘ 1 ¥ 't>l ~( Ij 'j ,ì: t-べ,~ (仙し /I})) の受動 i、 f:i ~べ )c 171'-.;丁、ン 7\ ¥ C'),\"{防/ f'J'(11 ,卒ii*
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(32) © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.表 1 リスクに対する人間の態度 (WASH-1250) 一般公衆に対する 死亡リスク・レベル 人間の態度 10-8/年 え動 考行) とのん か〆へ Jv ,刀 ス山 YI 、 リ減気 なク病 大ス一 過リ回 10-'/年 出は行なうリスク減少のための支 ex. 突通事故 気にはしている. リスク を避けるために注意はす る. ex. 溺死 10-~/年 , M 道 。鉄 p , •.
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n u ③システムの設計変更にともなって生じる 信頼性上の問題の検討を目視できる形で 提供できる. ④システム信頼性解析の道具として定性的 にも定量的にも使用できる. ⑤一時的にある特定のシステム故障だけに 注目して解析を進めることができる. ⑥システムのふるまいに対して洞察力を与え る. この他,つけ加えなければならないことは,1970 年以後,各種のプログラムが開発され,計算機を 用いたフォールト・ツリー解析が容易になったこ とであろう.4
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リスク許容レベル リスク推定値の評価を行なうためにはリスク許 容レベルの設定が重要で、ある.米国で実施されて いる原子力, LNG基地のリスク評価では,社会に すでに在存しているリスクの調査・分析を行ない “許容リスクレベル"の考え方から,原子力, LNG 基地の建設によるリスクと比較し評価している. WASH-1250[ 4J には, リスクに対する人間の 態度の調査結果がまとめてあり,許容リスクに対 する l つの基準を設定している. それを整理すると表!のようになる. 1984 年 9 月号 10-1lij-i-
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000 死者数 N 図 4 名種の社会災害と原子力発電所事故による死者数の比較 (WASH-1400) WASH-14∞では各種の社会災害と原子力発電 所事故による死者数の比較を行なっている. (図的 これは原子力発電所による死亡リスク・レベル は,既存の種々の社会リスクに比較して非常に小 さく, 100基の原子力発電所の運転を行なっても社 会リスクに有意な増加をもたらすことはないこと を示している. 5. おわりに セーフティ・アセスメソトの最終目標は社会的 評価である.社会に容認されるリスクの限度を求 めるには,それにともなう利益,すなわち, リス クと便益, リスクと費用の関係を考慮し,個人, あるいは団体,社会が,ある便益を得るためにど の程度のレベルのリスクを受け入れるかという問 題を解決しなければならない.この問題は一般的 tこ t土, ①リスクを最小化する. ②便益を最大化する. (33) 555 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.5
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(34) ③費用を最小化する. とし、う複数の目標を考慮した最良な意思決定を行 なわなければならないという多目標問題となるで あろう.この問題を定量的に評価する手法の確立 が今後のセーフティ・アセスメントの残された課 題であろう. 最後に,本テーマに関して,日頃,ご指導,ご 援助いただいている岡山大学佐山隼敏教授,日本 原子力研究所安全解析部リスグ評価解析室,飛岡 利明室長をはじめとする諸研究員方および,構造 計画研究所 OR 研究室,三矢直披,清回三紀雄, 本田龍也の 3 君に心から感謝するしだいである. 参芳文献 [ 1 ]佐山隼敏:システム信頼性解析.電気学会誌 100 巻 7 号(昭和 56年 7 月), 11 ー 14[2] U. S. Nuclear Regulatory Commission :
Reactor Safety Study-An Assessment of Accident Risk in U. S. Commercial Nuclear
Power Plants (WASH-1400). NUREG-75/
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1975[3 J 石井博司,飛岡利明,中野一夫:信頼性予測の ためのプオーノレト・ツリー手法の有効性.オベレ
ーションズ・リサーチ, Vo
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28. No.l (1983年1 月) 32-40
[4] Atomic Energy Comission: The Safety Nuclear Power Reactor and Related Facilities(WASH-1250). AEC, 1973
オベレーションズ・リサーチ