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熊沢峰雄・伊藤孝士・吉田茂生編「全地球史解読」

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Academic year: 2021

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書 評

火山 第 48 巻 (2003)第 4 号 377 頁

熊澤峰雄伊藤孝士吉田茂生編 全地球史解読

岩 森

Book Review: Decoding the Earth Evolution Program, Edited by Mineo KJB6O6L6,

Takashi IID, and Shigeo YDH=>96

Hikaru IL6BDG>῍ 全地球史解読 ’ などできるわけがない 文字通りに は不可能である しかし このある意味では地球惑星科 学 特に地質学の究極の目標に正面から取り組むにはど うしたらよいのか 本書には その哲学 やり方 およ びこれまでに得られ始めた成果が 科学研究費重点領域 研究 全地球史解読 平成 79 年 に基づいて 多角 的にかつ熱気をもって示されている 第 1 章では 哲学が示される 全地球史解読の背景に ある基本的な考え方と地球史七大イベントの提示 熊 澤  最新の地球史の描像 丸山  地球システムの概念 と その振舞いの基本的性質 吉田 が述べられている 第 2 章では 表層で得られる物質の生成時期や記録され ているイベントの相対年代周期および絶対年代をいか に読み取るのか その具体的方法が述べられている 岡 庭 平田  第 3 章では 地球ῌ月系の自転公転運動と それが地球の日射量潮汐変動に与える影響を整理し IK図各種現象の周期を 地球の力学的扁平率自転速 度の関数として求めたもの を提案している 絶対年代 が得られない場合にも 記録されている現象の周期比を 用いることで 現象と周期の特定が可能であることを示 した点で重要である 同時に 全地球史解読 にあたっ ての決意表明も力強く述べられている 伊藤 大江 安 部  第 4 章では 地球表層環境の変遷のメカニズムが 主要なシステムあるいはプロセス 大気海洋循環を含 む気候システム 炭素循環 全球凍結現象 について整 理モデル化されている 第 3 章で述べられたような外 力に対して 表層システムがどのように応答するのかを 見ようとしたものともいえる阿部 山中 田近  第 5 章では 地球内部の変遷ダイナミクスが マントル対 流 核の誕生成長と構造マントルとの相互作用 お ῍ 113ῌ0033 東京都文京区本郷 7ῌ3ῌ1 東京大学地球惑星科学科

Department of Earth and Planetary Sciences, Univer-sity of Tokyo, Hongo, Tokyo 113ῌ0033, Japan. e-mail: [email protected] よび古地磁気による核の変遷の推定に分けられて解説さ れている 本多 隅田 吉田 吉原 畠山 浜野  第 6 章では 生物の変遷と地球史の関係が 生物学と地球科 学の両面から解説されている 太古の生物の系統や生息 環境 および生物の大量絶滅とその原因の推定生物の 変遷との関わりが多角的に議論されている川上 山本 磯ῌ 海保  第 7 章は むすびではあるが 或る意味で はここで本当の目的が提示される このことは 全地球 史解読 が これから発展すべきものであることを語っ ている これからどうなっていくべきか 何が本当の目 標かが展開される熊澤  あとがきとしての 定冠詞の 付く全地球史解読 伊藤 でも やはり決意表明を含み つつ あとがきに代えて プル ム考 吉田 ととも に 全地球史解読計画を振り返る 個の研究者のセン スが感じられて面白い 本書は 全地球史解読計画から次とこれだけの新し いことが分かったという成果紹介書ではなく また 地 球史学 のような風体で 全体を網羅しようという目的 でも書かれていない 最先端の考え方や技術 それに 伴って出始めた成果を 当の研究者が熱気をもって語っ ている本である そうであるにも関わらず これまでに 分かっている地球史についての知識を吸収しようという 目的にも 時空間についてまんべんなく あるいは手っ 取り早くではないが 答えてくれる 第一線の研究者た ちが語る 540 頁の内容は 読み手がどの分野の研究者 か あるいは学生かなどを問わず 引き込む力と読み応 えがある この本で問われていることの一つに イベントに対 する広い意味での 日常的とはどういうことか という 命題がある これらの研究は 出入りの多い地球や生物 のシステムは微妙なバランスの上にあることを物語って いるように思われる 先行きが見通し難い と我が気 づいた 現代という時代においてこそ 地球惑星科学の 提出する考え方大局観担う役割は一層重要になるで あろうと 本書を読んで強く感じた

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