幼児の身体的不器用さの特徴に関する研究(2)
川 島 民 子
*・奥 田 援 史
*A Study on Characteristics of Clumsiness
in Preschool Children(2)
Tamiko KAWASHIMA・Enji OKUDA
キーワード:身体的不器用、行為機能 No.70, pp. 219−226, 2020 Ⅰ 問題と目的 近年、ボタンをうまくかけられない、ハサミ をうまく使えない、なわとびがうまく跳べない などの身体的に不器用な幼児が増えている。こ のような不器用さを呈する幼児は、遊び場面に おいて消極的であったり、失敗経験を重ねて自 尊感情が下がったりすることで、「対人関係形 成や集団参加に影響を及ぼし、周囲の人々のそ の子どもに対する評価も必要以上に下げてしま う」ことにつながる。その結果「課題への興味や 参加意欲を失い、不適切行動や心理的不適応が 増大する悪循環に陥る」と指摘されている(安 部、2017)。 身体的不器用さは、極端に低い運動パフォー マンス自体を指すが、そのことに起因して、運 動への消極的な態度や自己並びに他者評価の低 さがみられることを二次的影響と言う。一般 に、身体的に不器用と言われる幼児は、自らが 積極的に運動参加することはあまりないので、 運動パフォーマンスが改善されることを期待で きない。よって、幼児の身体的不器用さは適切 な支援のもとで運動参加できる機会を増やした り、運動ができる環境を整えたりする必要があ る。そのためには、早期の段階で幼児の不器用 さを的確に評価し、不器用さの特徴を理解する ことが期待されている。 幼児の不器用さの評価を目的としたアセス メントツール(日本語版)はいくつか標準化 * 滋賀大学教職大学院 さ れ て い る。 例 え ば、JPAN 感 覚 処 理・ 行 為 機 能 検 査(Japanese Playful Assessment for Neuropsychological Abilities)は、感覚統合障害 を評価する検査である。感覚統合障害の早期段 階での評価とそれに続く治療的介入に役立つよ う 4 ∼ 10 歳の子どもを対象とし、子どもの姿 勢・平衡機能、体性感覚、視知覚・目と手の協 調、行為機能の 4 領域が評価できる。この簡易 版として、S-JPAN がある。これは、スクリーニ ングを目的としており、8 つの項目(姿勢・平 衡機能 2 項目「ひこうき」「クレーゲーム」、体 性感覚 1 項目「お宝さがし」、視知覚・目と手 の協応 1 項目「ぶたさんの顔」、行為機能 4 項 目「かっこよくまねしよう」「おっとっと」「仲 良くお引っ越し」「けがして大変」)で構成され ている。 前回の研究(平成 30 年度)(川島・奥田、2020、 以下文献記載略)では、その後の指導支援に活 かすことができる基礎的資料を得ることを目的 として、5 歳児の幼児を対象として協調運動の 実態を S-JPAN で実施した。その結果、姿勢・ 平衡機能、体性感覚、視知覚・目と手の協応、 行為機能の各項目についての実態と、小学校入 学後に予測される姿を見出すことができた。そ こで、本研究では、被験者数を追加し、前回と 同様の手続きを用いて、5 歳児の幼児を対象に 協調運動の実態を明らかにし、その後の指導支 援に活かすことができる基礎的資料を得ること を目的とする。
Ⅱ 方法 1)被験者 A 幼 稚 園 5 歳 児 46 名(男 子 17 名、 女 子 29 名)とした。 2)測定内容 JPAN 感 覚 処 理・ 行 為 機 能 検 査(Japanese Playful Assessment for Neuropsychological Abilities)の簡易版 S-JPAN を用いた。具体的な 測定項目は以下である。(感覚統合療法認定講習 会Bコース 講義資料、2019) (1)姿勢・平衡機能項目について ①ひこうき検査:腹臥位で重力に抗した伸展 姿勢を維持させ、その持続時間を測定する。 この検査は、腹臥位での抗重力姿勢を維持す る能力に関連する機能をとらえるものである。 この姿勢の問題を把握することは、学校などに おける姿勢維持の問題などへの対応を考える上 で重要である。6 歳児であれば 10 秒以上できる 姿勢である(岩永、2014)。 ②クレーンゲーム検査:正座姿勢で左右に上 肢をリーチさせるのに伴って、体軸が回旋する 際の姿勢の安定性を評価する。両手でカップを 保持させ、そこに入れたビー玉を左右いずれか に体軸を回転させて目標地点までビー玉を運ば せる。その際に足の位置の変化や姿勢の崩れが なく、どこまで回旋できるかを確認する。 この検査は、姿勢調整に必要な体軸の回旋、 机上で物を操作する時等に姿勢を調整する能力 に関連する機能をとらえる検査である。この検 査のスコアが低い場合は、姿勢を調整する際に 体幹の回旋に問題がある可能性や書字等の活動 において姿勢を調整することに問題がある可能 性が疑われる。 (2)体性感覚項目について お宝さがし検査:小さな突起がランダムに配 置してある板を指先で触り、突起の数を答える 課題である。 この検査で、触覚による図地判別機能や能動 的な触覚探索動作をとらえるものである。日常 生活において、本のページをめくる時など微細 な触刺激を自発的な動作のなかで取り入れ、そ の情報をもとに巧緻動作を組み立てていること が多いため、そのような動作の基盤となる情報 処理の一つを把握することができる。また、能 動的な探索行動における反応を測定しているこ とから、戦略を立てることが苦手であったり、 注意の持続が難しかったりする。 (3) 視知覚・目と手の協応について ぶたさんの顔検査:用紙に印刷された幅が 変化するラインをはみ出さないようにペンでな ぞっていく課題である。 この検査は、筆記用具を使用した操作課題で あり、視知覚、目と手の協応の能力を評価する ものである。目と手の協応は、書字に影響する 予測因子として関連や、不器用な子どもの書字 との関連も研究されている。また、手指の操作 だけではなく、操作活動時の姿勢調整も課題遂 行に影響する。 (4)行為機能項目について ①かっこよくまねしよう検査:写真で提示さ れた姿勢を模倣する課題。模倣する身体部位は 全身であり、下肢、体幹、頸部も含まれる。模 倣する姿は長座位から始まり、膝立ち、立位へ と移行する。 この検査は、ボディイメージ、身体図式に関 連する機能を測定する検査である。日常生活の 中では、お遊戯やリトミック、運動会の表現活 動等で全身の模倣活動が要求されることが多い 機能である。 ②おっとっと検査:両手に持った透明の筒を 左右傾けて、ピンポン玉を落とさないように左 右に行き来させる。30 秒で行き来させることが できた回数が得点になる。 この検査は、左右の両側統合や順序立てた予 測動作に関連する機能を測定するものである。 ピンポン玉を追う追視の難しさや、追視ができ ていても予測動作が難しく上肢運動の切り替え のタイミングが遅れてしまう場合がある。 ③仲良くおひっこし検査:左右に配置された カップを同時に手でとり、素早く重ね写してい く課題。クロスでは上肢を交差し重ねることが 要求される。 この検査も、左右対称的な両側統合や順序立 てた予測動作に関連する機能を測定する検査で ある。特に、認知的要素をできる限り含まず、 上肢の両側運動協調を評価する。さらに、両側 運動協調を段階的に評価するために上肢の正中
線交差を要求している。利き手が確立していく ためには、左右の優位性や役割分担が必要にな り、そのためには大脳内の右脳と左脳の統合が 必要になってくる。 ④けがして大変検査:非利き手の手関節につ けたロープを、利き手で素早く巻き付ける課題 である。 この検査も、左右の両側統合や順序立てた予 測動作に関連する機能を測定するものであり、 認知的要素をできる限り含まず、上肢の両側運 動協調を評価する。 3)倫理的配慮 本測定の実施にあたっての倫理的配慮とし て、対象児の保護者に対して文書により研究協 力に関するインフォームドコンセントを行い、 同意書の記入をもって了解を得た。また、作成 に当たっては個人が特定されないように記述に 配慮した。 Ⅲ 結果 測定結果については、それぞれの項目の成績 からスコアを算出し、そのスコアに基づき、検 査項目ごとの通過率に応じて得点に換算する。 その換算方法は、通過率 0 ∼ 5%タイル値以下、 6 ∼ 16%タイル値、17 ∼ 25%タイル値、26 ∼ 50%タイル値、51%タイル値以上の 5 段階が設 けられ、それぞれ 1 ∼ 5 点に換算される。 検査 項目の点数の人数は以下のとおりであった。 1)姿勢・平衡機能の項目(図 1、2) 「ひこうき」検査、「クレーンゲーム」検査と もに、ほぼ全員が 4 点以上を獲得していた。 2)体性感覚の項目(図 3) 「お宝さがし」検査もほぼ全員 4 点以上である が、「ひこうき」検査、「クレーンゲーム」検査 に比べて、4 点の割合が高かった。また、2 点が 4 人も含まれていた。 3)視知覚・目と手の協応の項目(図 4) 「ぶたさんの顔」検査では、ラインからはみ 出た誤答数が得点化される。ほとんどの子ども が 4 点以上であった。おおよその幼児が 1 分ほ どの時間でラインをなぞっていた。ただ、5 点 取っているものの 2 分以上かかっている幼児も 数名いた。 図 1 「ひこうき」検査の結果 図 2 「クーンゲーム」検査の結果 図 3 「お宝さがし」検査の結果
4)行為機能の項目(図 5 ∼図 8) 「かっこよくまねしよう」検査は、他の項目よ りも得点にばらつきがあった。点数が低い子ど もたちは、写真が提示されても真似をすること ができずに、動きが止まってしまう姿がみられ た。特に、左右が非対称で、正中線を交差する 姿勢の時に顕著にみられた。 また、写真の姿勢の一部分のみの模倣であっ た子どももいた。 「おっとっと」検査も、他の項目よりも得点に ばらつきがある項目であった。 「仲良くおひっこし」検査は、4、5 点以上が 多数を占めている。一方で 1 点、2 点の人数も 多かった。 「けがして大変」検査も、4 点、5 点がほぼ同 数であった。また、1 点、3 点も高かった。 図 4 「ぶたさんの顔」検査の結果 図 5 「かっこよくまねしよう」検査の結果 図 6 「おっとっと」検査の結果 図 7 「仲良くおひっこし」検査の結果 図 8 「けがして大変」検査の結果 2. 令和元年度(本研究)と平成 30 年度(前回) の比較 それぞれの検査項目の点数の割合を、令和元 年度と平成 30 年度で比較をした。検査項目の点
数の人数は以下のとおりであった。 1)姿勢・平衡機能の項目(表 1、2、図 9、10) 「ひこうき」検査は令和元年度と平成 30 年度 とは大きく違いはなかった。 「クレーンゲーム」検査も令和元年度と平成 30 年度とは大きく違いはなかった。 2)体性感覚の項目(表 3、図 11) 「お宝さがし」検査は、令和元年度と平成 30 年度ともに 4 点以上が多数を占めている特徴に は大きく違いはなかった。ただ、平成 30 年度は 1 点がみられたが、令和元年度は 1 点がおらず、 その分 3 点、2 点の割合の子供が増えていた。 3)視知覚・目と手の協応の項目(表 4、図 12) 「ぶたさん」検査は、令和元年度と平成 30 年 度とで違いがみられ、 5 点が 82.0%から 60.9%に 減り、4 点が 16.0 から 2.6%に増加していた。 4)行為機能の項目(表 5 ∼表 8、図 13 ∼図 16) 「かっこよくまねしよう」検査は、ばらつきが みられることは令和元年度と平成 30 年度とで 共通していた。 表 3 「お宝さがし」検査結果の比較 図 11 「お宝さがし」検査結果の比較 ௧ඖᖺᗘ ᖹᡂ ᖺᗘ 㸳 ே ே 㸲 ே ே 㸱 ே ே 㸰 ே ே 㸯 ே ே 表 1 「ひこうき」検査結果の比較 図 9 「ひこうき」検査結果の比較 表 2 「クレーンゲーム」検査結果の比較 ௧ඖᖺᗘ ᖹᡂ ᖺᗘ 㸳 ே ே 㸲 ே ே 㸱 ே ே 㸰 ே ே 㸯 ே ே 図 10 「クレーンゲーム」検査結果の比較 ௧ඖᖺᗘ ᖹᡂ ᖺᗘ 㸳 ே ே 㸲 ே ே 㸱 ே ே 㸰 ே ே 㸯 ே ே
表 4 「ぶたさん」検査結果の比較 表 5 「かっこよくまねしよう」検査結果の比較 図 12 「ぶたさん」検査結果の比較 ௧ඖᖺᗘ ᖹᡂ ᖺᗘ 㸳 ே ே 㸲 ே ே 㸱 ே ே 㸰 ே ே 㸯 ே ௧ඖᖺᗘ ᖹᡂ ᖺᗘ 㸳 ே ே 㸲 ே ே 㸱 ே ே 㸰 ே ே 㸯 ே ே 図 13 「かっこよくまねしよう」検査結果の比較 表 6 「おっとっと」検査結果の比較 図 14 「おっとっと」検査結果の比較 図 15 「仲良くおひっこし」検査結果の比較 表 7 「仲良くおひっこし」検査結果の比較 ௧ඖᖺᗘ ᖹᡂ ᖺᗘ 㸳 ே ே 㸲 ே ே 㸱 ே ே 㸰 ே ே 㸯 ே ே ௧ඖᖺᗘ ᖹᡂ ᖺᗘ 㸳 ே ே 㸲 ே ே 㸱 ே ே 㸰 ே ே 㸯 ே ே
「おっとっと」は、令和元年度と平成 30 年度と もに、検査項目の中で大きく違いがみられた。 ただ、平成 30 年度は 5 点の割合が多く、72.0% 見られたが、令和元年度では 47.8%に減り、3 点 以下のばらつきの割合が増えていた。 「仲良くおひっこし」検査は、令和元年度と平 成 30 年度ともに、4 点以上が 7 割以上であると 一方、1 点、2 点も一定数含まれているという特 徴が共通していた。 「けがして大変」検査は、平成 30 年度は 5 点 が 62.0%であったにも関わらず、令和元年度で は 41.3%に減っている。その分 4 点が増え、ば らつきが見られた。1 点が含まれていることは どちらの年度にも共通していた。 ௧ඖᖺᗘ ᖹᡂ ᖺᗘ 㸳 ே ே 㸲 ே ே 㸱 ே ே 㸰 ே ே 㸯 ே ே 表 8 「けがして大変」検査結果の比較 図 16 「けがして大変」検査結果の比較 Ⅳ 考察 1.身体的不器用さの特徴について 1)姿勢・平衡機能について 「ひこうき」「クレーンゲーム」ともにほぼ全員 が 4 点以上を獲得していたことから、姿勢・平衡 感覚に関しては特に問題はないと言える。した がって、本研究における対象者も、小学校入学 後の学習において、姿勢維持や書字における姿 勢調整には、特に問題は生じないと考えられる。 また、前回の研究(川島・奥田、2020)と比 較してみても、ほぼ全員が 4 点以上を獲得して いたという共通した傾向がみられた。 これらのことより、姿勢・平衡機能に関して は、個人によっても、年度によっても差異は見ら れず、5 歳児が安定し獲得している力と言える。 2)体性感覚について 本研究の結果では、4 点以上の割合が 9 割近 くであったため、体性感覚に関して特に問題な いと言える。 ただ、前回の研究(平成 30 年度)と比較して みると、前回は 1 点と評価される幼児がいたが、 本研究では 1 点がおらず、その分 2 点、3 点の 割合が増えていた。このことは、極端に体性感 覚に問題がある幼児はみられないものの、小さ な突起だけではなく、気付きやすい大きさの突 起にも気付きにくい幼児がいたことから、触覚 による図地判別機能が難しい幼児は 1 割強はい ると言える。日常生活において、本のページを めくる時など、微細な触刺激を自発的な動作の なかで取り入れたり、その情報をもとに巧緻動 作を組み立てたりすることが苦手な幼児がいる ことが考えられる。この検査は能動的な触覚探 索動作とそのような動作の基盤となる情報入力 をとらえるものであることから、探索行動やそ のステラジー、注意の持続などと関連する能力 が未発達である可能性も残る。 3)視知覚・目と手の協応について 本研究の結果では、ほとんどの幼児が 4 点以 上であったことから、特に問題はないと言える。 ただ、前回の研究結果(平成 30 年度)と比 較してみると、令和元年度が 5 点が 82.0%から 60.9%に減り、その分 4 点が 16.0%から 32.6%に 増加する傾向がみられる。どちらの研究結果に おいても検査中の行動から考察すると、ライン からはみ出ずになぞっている 5 点の幼児は、2 分程度とかなりの時間をかけている場合があっ た。視知覚・目と手の協応の課題に慎重に向き 合う幼児の割合の違いが考えられる。 ただ、この検査は、筆記用具を使用した操作 課題であることから、不器用な子どもの書字と
の関連も考えられ、正確な筆記のためには時間 がかかっていることも考えらえれる。小学校入 学後の書字の際に多くの時間がかかるといった 書字に影響する予測因子として考えられたり、 書字や道具を扱った作品の雑さに繋がるといっ た手先の不器用さとして表れたりすることが考 えられる。 高畑(2019)は、視知覚機能に問題があると読 字にも影響を及ぼす可能性を示唆している。手 と目の協応だけではなく、視知覚の面からも詳 細を把握していく必要があると指摘している。 4)行為機能について 本研究の「かっこよくまねしよう」の結果で は、かなりばらつきがあることが特徴的であっ たことから、ボディイメージ、身体図式に関し て配慮を要すると言える。 前回の研究(平成 30 年度)では、2 点の幼 児が多かったのに比べ、令和元年度は 5 点の割 合が増加しているという特徴はあったものの、 ばらつきがみられる結果は共通していた。これ は、同年齢の幼児の中でかなり差がでる項目と 言える。 この検査は、不慣れな肢位をみて即時に真似 する力を評価しているために、子どものエラー が観察しやすい肢位が考案されている。実際の 教育現場でも真似する力は非常に重要であり、 パッと真似できない幼児は、ボディイメージや 運動企画が悪く、一つの課題をするのにも戸惑 いがみられ、課題遂行の遅延にもつながる。咄 嗟に模倣する能力が低いことは、多様な学習の 妨げになる。 また、本研究の「おっとっと」「仲良くおひっ こし」「けがして大変」の結果では、ばらつき があることが特徴的であった。どの項目も高得 点の割合は多いものの、3 点以下も一定数の幼 児が該当していた。このことから、順序立てた 予測動作に配慮を要するといえる。特に「おっ とっと」は追視や、追視に問題はなくても予測 動作の要素が加わる項目でもあるため、視覚情 報をもとにしながら順序立てた動作を行う活動 や、上肢運動の切り替えのタイミングにも課題 があると考えられる。また、「仲良くおひっこ し」「けがして大変」は、上肢の動作に焦点化さ れた項目であるため、上肢の協調運動に配慮が 必要といえる。 前回の結果よりも、今回の結果がよりばらつ きが増えていることから、学級内で幼児によっ て様々な姿がみられると言える。 5)今後に向けて 1)∼ 4)の各機能の考察より、ボディイメー ジや身体図式の機能に少し課題が見られたと言 える。ボディイメージや身体図式は空間と自己 の関連性の準拠枠となるので、早期から行為機 能の未熟さの程度に合わせて、動作を分割して 教えたり、視覚だけでなく聴覚(動作の具体的な 指示)によるヒントを丁寧に与えることで補っ たりする指導支援が必要である。視知覚や手と 目の協応に関しては、さらに詳細な把握が必要 と言える。 幼児の身体的不器用さは、園生活だけではな く、小学校の学習にも影響が考えられるため、 全体の傾向とともに、個々の気になる子どもの 様子について、丁寧な資料を積み上げていく必 要がある。今後は、子どもの身体的な不器用さ が起因となる小学校の学習での影響を実際に観 察等で把握し、必要な指導支援を提案していく 必要がある。 引用、参考文献 阿部美穂子(2017)発達障害の子どもの不器用さについ て 発達が気になる子の子育て支援情報誌 No, 18,社会福祉法人全国心身障害児福祉財団,1-6. 川島民子、奥田援史(2020)幼児の身体的不器用さ の特徴に関する研究、滋賀大教育学部紀要第 69 号,45-52. 感覚統合療法認定講習会Bコース 2019 講義資料. 高畑脩平、加藤寿宏、岩坂英巳(2019)日本発達系作 業療法学会誌第 6 巻第 1 号,47-55.