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小学校教師の保健授業に関する悩み事についての調査研究 : 教職経験年数及び保健に対する関心による差異に着目して

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小学校教師の保健授業に関する悩み事についての

調査研究

教職経験年数及び保健に対する関心による差異に着目して

加登本   仁

・辻   延 浩

**

A Questionnaire Survey on Elementary School Teachers

Diffi

culties Shown in Health Classes

With a Special Emphasis on Years of Teaching Experience and

Degree of Interest in Health Classes

Hitoshi KADOMOTO・Nobuhiro TSUJI

キーワード:小学校体育科、保健領域、悩み事、教職経験年数、保健への関心 1.研究の目的 超高齢少子社会を迎える我が国にあって、厚 生省(現・厚生労働省)は 2000 年より、「21 世 紀における国民健康づくり運動をさらに拡充し ていくこと」を目的とした「健康日本 21」を推 進している。この「健康日本 21」では、「長期 的視点に立って、効果の持続性及び有効性とい う点から考えると、幼年期と少年期が最も重要 である」ことや、「学校は少年期の多くの時間 を過ごす場であり、学校における健康教育が重 要な役割を果たす」ことが指摘されており、小 学校における健康教育の重要性が述べられてい る。 小学校教育における体育・健康に関する指導 は、「児童の発達の段階を考慮して、学校の教育 活動全体を通じて適切に行うこと」(文部科学 省、2018a)とされており、主に学級担任によっ て行われる体育科保健領域の授業と、主に養護 教諭によって行われる保健指導がある。このう ち、体育科保健領域の授業について、「各領域 の各内容については、運動領域と保健領域との * 安田女子大学教育学部 ** 滋賀大学教育学部 関連を図る指導に留意すること」(文部科学省, 2018b)が示されるなど、運動領域の授業改善と ともに、保健領域の授業改善への期待が高まっ ている。 しかし、これまで保健学習を巡っては、内容 の習得状況や学習意欲といった学習者に関する 調査(和唐ほか,1980,1981;野井ほか,2008) においても、また、保健学習に対するイメージや 教員養成での学修機会、教員の研修意欲といっ た授業者に関する調査(小林ほか,2003;小浜 ほか,1995;高倉ほか,2003)においても、望 ましいとは言えない現状が報告されている(田 中ほか,2016)。さらに角田・植田(2015)は、 「これまで小学校保健授業を担当する教員の資 質・能力についての報告は極めて少な」いとし て、教師を対象とした研究の必要性を述べてい る。 加登本ほか(2012)は、小学校教師 1229 名を 対象とした質問紙調査を実施し、体育指導の悩 み事やその解決方法の実態、及び教職経験年数 による意識の差異を検討した。その結果、「初 任期の教師に対しては、目の前の子どもに対す る理解を深めるために、学年部など身近な教師 と日常的に対話ができる環境を整えることが

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重要である」ことや、「中堅期の教師に対して は、専門的知識を有する体育主任を育成するこ とや、中堅期の教師自身が体育の専門的知識を 学ぶための研修会や講習会に参加しやすい環境 をつくることが重要であり、さらに、学校外で 学んだ専門的知識を学校内の他の教師と共有で きるような校内研修の組織化が重要である」と いった、キャリアステージに応じた研修の改善 に向けた示唆を与えている。しかし、これらの 研究においても体育科保健領域の授業について の悩み事の実際やその解決に向けた研修のあり 方については検討されていない。 以上のことから本研究では、小学校教師が保 健授業についてどのような事項に困難を抱えて おり、その解決のためにどのような方法をとっ ているのかについて、教職経験年数及び保健に 対する関心による差異を検討することを通し て、保健領域の授業改善に向けた基礎資料を得 ることを目的とした。 2.研究の方法 2.1 調査内容及び方法 本研究は、質問紙調査法を用い、質問紙の内 容を、「属性」、「保健授業で困難に思っている こと」、「保健授業で困難に思っていることの解 決方法」の 3 つで構成した。「属性」について は、性別、教職経験年数(講師経験を含む)、主 要な担当学年、主要な研究教科、体育主任経験 の有無、保健主事経験の有無、中学校・高等学 校の教員免許状の有無、保健への関心の項目を 設定した。「保健授業で困難に思っていること」 では、事前に体育主任 19 名を対象とした自由記 述の調査を実施し、記述内容を帰納的に分類し てカテゴリーを作成し、11 の質問項目を作成し た。その後、体育科教育に従事する大学教員 1 名、保健科教育に従事する大学教員 1 名、及び 教育委員会指導主事 1 名の計 3 名で協議し、20 の質問項目を設定した。それらの各項目につい て、「1.全く困っていない」から「5.とても 困っている」までの 5 段階評定尺度を用いて回 答を求めた。また、「保健授業で困難に思って いることの解決方法」では、加登本ほか(2012) が設定した 16 項目に「養護教諭に相談する」を 追加した 17 項目を設定した。それらの各項目 について、「1.全くそうしていない」から「5. よくそうしている」までの 5 段階評定尺度を用 いて回答を求めた。 2.2 対象及び実施時期 本調査は、S 県内の小学校教師を対象に行っ た。2017 年 8 月初旬に、各郡市を代表する体 育主任を通じて各学校に配布を依頼した。その 際、体育主任には、教職経験年数や性別に大き な偏りが生じないよう、教職経験年数と男女比 について概ね均等に配布してもらうよう依頼し た。各郡市への配布数は、S 県内の各郡市にあ る公立小学校の設置数に応じて決定した。その 後、同年 10 月から 12 月にかけて、各郡市を代 表する体育主任を通じて調査用紙を回収した。 回収数は 836 であった。回収された質問紙のう ち、「属性」の項目に記入漏れのあったものは欠 損データとして扱った。その結果、分析対象者 の合計は 805 であった。 2.3 分析の視点及び方法 本研究では、小学校教師が保健授業を実施す る上でどのような事項に困難を抱えており、そ の解決のためにどのような方法をとっているの かについて、対象者全体の傾向を把握するとと もに、教職経験年数、及び保健への関心の違い による認知の差異を検討する。本研究では、教 師のキャリアステージに応じた現職研修の改善 に向けた示唆を得るため、吉崎(1998)の区分 に従い、調査対象者全体を教職経験年数ごとに 初任期群(5 年以内)、中堅期群(6 ∼ 15 年)、 及び熟練期群(16 年以上)の 3 つの群に分けて 分析することとした。また、保健授業に対する 意識やイメージが授業の内的条件に影響を与え ることが指摘されている(小林ほか,2003;田 中ほか,2016)ことから、本研究では保健への 関心(4 件法:Ⅰとてもある、Ⅱどちらかとい えばある、Ⅲどちらかといえばない、Ⅳほとん どない)による差異を検討することとした。 分析では、「保健授業で困難に思っているこ と」と「困難に思っていることの解決方法」につ いて、対象者全体の評定比率を算出するととも に、各教職経験年数群における評定平均値を算 出した。また、各群の平均値の差異を、一元配 置分散分析を用いて検討した。さらに、有意差

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がみられた項目については Games-Howell 法に よる多重比較を行った。同様の分析を、保健へ の関心度別にも実施した。なお、分析には、統 計パッケージ SPSS Statistics Version21.0 for Windows を使用した。有意水準は 5%とした。 3.結果及び考察 はじめに、対象者全体及び各群の「属性」を 表 1 に示す。 表 1 のうち、性別についてみると、男性教 師と女性教師の比率がほぼ同程度であった。主 要な担当学年についてみると、初任期群を除い て、高学年を担当する比率のやや高い傾向がみ られた。主要な研究教科についてみると、体育 を主要な研究教科としている教師は全体の 20% 程度であった。体育主任経験についてみると、 体育主任の経験がある教師は全体の 37% 程度 であり、群別にみると、教職経験年数の増加に つれて体育主任の経験のある教師の比率が増加 する傾向がみられた。保健主事経験についてみ ると、保健主事の経験がある教師は全体の 10% 程度であり、その多くは熟練期群の教師であっ た。保健への関心についてみると、関心が「と てもある」教師は全体の 12%程度であり、多く が「どちらかといえばある」と回答していた。 総じて、本調査対象者は、一般的な小学校教 員に対して、高学年を主に担当し、体育を研究 教科とする男性教師がやや多く含まれている対 象者であると考えられる。 3.1  教 職 経 験 年 数 に よ る「 保 健 授 業 で 困 難 に 思っていること」の差異 まず、「保健授業で困難に思っていること」に ついて、対象者全体における各項目の評定比率 を図 1 に示す。 図 1 より、「とても困っている」と「困って いる」を合わせた人数の割合で各項目をみる と、50% を超える割合の高いものから、「主体 的学び」(58.1%)、「協働的学び」(56.0%)、「深 い学び」(54.5%)、「教材工夫」(53.7%)、「体験 的活動」(53.0%)、「科学的知識」(51.1%)の順 であった。他方、「養護連携」(19.1%)、「同僚意 識」(20.4%)、「校内研究」(26.2%)、「時数確保」 (29.4%)の項目は 30% を下回る低い割合を示し た。 これらの結果から、小学校教師は保健授業に ついて、養護教諭をはじめとした同僚との関係 や校内の研究体制については困難を抱えていな いものの、授業実施における「主体的・対話的 で深い学び」の実現やそれにつながる学習活動 の組織や教材の工夫について困難を感じている と考えられた。 次いで、「保健授業で困難に思っていること」 について、対象者全体及び教職経験年数群別の 評定平均値を図 2 に、一元配置分散分析の結果 を表 2 に示す。 図 2 より、対象者全体の評定平均値をみる と、高い順に「主体的学び」(3.50)、「深い学 び」(3.50)、「協働的学び」(3.46)、「体験的活 動」(3.46)、「科学的知識」(3.42)、「教材工夫」 (3.42)、「授業評価」(3.35)、「学習関連」(3.31)、 「外部連携」(3.29)、「学習評価」(3.27)、「研修 機会」(3.25)、「意欲喚起」(3.25)、「既有知識」 (3.18)、「校内体制」(3.15)、「体系計画」(3.15)、 「学習把握」(3.12)、「同僚意識」(3.05)であっ た。それ以外の項目は、3.00 以下であり、「困っ ていない」課題であると考えられる。これらの ึ௵ᮇ⩌ ୰ሀᮇ⩌ ⇍⦎ᮇ⩌ ඲య ᛶ ู ⏨ᛶ (13.1%) 106 (25.1%) 202 (11.8%) 95 (50%) 403 ዪᛶ (14.3%) 115 (16.4%) 132 (19.3%) 155 (50%) 402 ᢸ ᙜ Ꮫ ᖺ పᏛᖺ 49 (6.1%) 71 (8.8%) 67 (8.3%) 187 (23.2%) ୰Ꮫᖺ (9.6%) 77 (8.6%) 69 (5.8%) 47 (24.0%) 193 㧗Ꮫᖺ (5.6%) 45 (18.8%) 151 (12.8%) 103 (37.1%) 299 ࡯ࡰྠ⛬ᗘ (6.2%) 50 (5.3%) 43 (4.1%) 33 (15.7%) 126 ◊ ✲ ᩍ ⛉ య⫱ (4.7%) 38 (9.7%) 78 (5.2%) 42 (19.6%) 158 య⫱௨እ (22.7%) 183 (31.8%) 256 (25.8%) 208 (80.4%) 647 య ⫱ ୺ ௵ ⤒㦂࠶ࡾ 50 (6.2%) (18.6%) 150 (12.3%) 99 (37.1%) 299 ⤒㦂࡞ࡋ (21.2%) 171 (22.9%) 184 (18.8%) 151 (62.9%) 506 ಖ ೺ ୺ ஦ ⤒㦂࠶ࡾ (0.1%) 1 (1.4%) 11 (8.8㸣) 71 (10.3%) 83 ⤒㦂࡞ࡋ (27.3%) 220 (40.1%) 323 (22.3%) 179 (89.7%) 722 ಖ ೺ ࡬ ࡢ 㛵 ᚰ ࡜࡚ࡶ࠶ࡿ (2.5%) 20 (4.5%) 36 (5.3%) 43 (12.3%) 99 ࡝ࡕࡽ࠿࡜ ࠸࠼ࡤ࠶ࡿ 150 (18.6%) (25.0%) 201 (21.2) 171 (64.8%) 522 ࡝ࡕࡽ࠿࡜ ࠸࠼ࡤ࡞࠸ 40 (5.0%) 84 (10.4%) 34 (4.2%) 158 (19.6%) ࡯࡜ࢇ࡝ ࡞࠸ 11 (1.4%) (1.6%) 13 (0.3%) 2 (3.3%) 26 ྜィ (27.4%) 221 (41.5%) 334 (31.1%) 250 (100%) 805 表 1 対象者全体及び各群の属性(単位:人)

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結果は、図 1 に示した評定比率の結果と同様の 傾向であった。 表 2 より、「時数確保」、「外部連携」、「研修機 会」、「校内体制」、「同僚意識」の 5 項目につい ては教職経験年数群間において有意な差が認め られなかったものの、残り 15 項目については有 意な差が認められた。多重比較の結果、「学習関 連」、「体系計画」、「科学的知識」の 3 項目は初 任期>中堅期>熟練期において有意な差が認め られた。他の「実施時期」、「既有知識」、「教材 工夫」、「意欲喚起」、「主体的学び」、「協働的学 び」、「体験的活動」、「深い学び」、「授業評価」、 「学習把握」、「学習評価」、「養護連携」の 12 項 目はいずれも初任期>中堅期・熟練期において ᫬ᩘ ☜ಖ ᐇ᪋ ᫬ᮇ Ꮫ⩦ 㛵㐃 య⣔ ィ⏬ ᪤᭷ ▱㆑ ᩍᮦ ᕤኵ ពḧ ႏ㉳ ୺య ⓗᏛ ࡧ ༠ാ ⓗᏛ ࡧ య㦂 ⓗά ື ῝࠸ Ꮫࡧ ᤵᴗ ホ౯ Ꮫ⩦ ᢕᥱ Ꮫ⩦ ホ౯ 㣴ㆤ 㐃ᦠ እ㒊 㐃ᦠ ⛉Ꮫ ⓗ▱ ㆑ ◊ಟ ᶵ఍ ᰯෆ యไ ྠ൉ ព㆑ ඲ࡃᅔࡗ࡚࠸࡞࠸                     ᅔࡗ࡚࠸࡞࠸                     ࡝ࡕࡽ࡛ࡶ࡞࠸                     ᅔࡗ࡚࠸ࡿ                     ࡜࡚ࡶᅔࡗ࡚࠸ࡿ                     0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 図 1 「保健授業で困難に思っていること」各項目の対象者全体の評定比率(単位:%) 図 2 「保健授業で困難に思っていること」各項目の教職経験年数群別及び全体の評定平均値      ᫬ ᩘ ☜ ಖ ᐇ ᪋ ᫬ ᮇ Ꮫ ⩦ 㛵 㐃 య ⣔ ィ ⏬ ᪤ ᭷ ▱ ㆑ ᩍ ᮦ ᕤ ኵ ព ḧ ႏ ㉳ ୺ య ⓗ Ꮫ ࡧ ༠ ാ ⓗ Ꮫ ࡧ య 㦂 ⓗ ά ື ῝ ࠸ Ꮫ ࡧ ᤵ ᴗ ホ ౯ Ꮫ ⩦ ᢕ ᥱ Ꮫ ⩦ ホ ౯ 㣴 ㆤ 㐃 ᦠ እ 㒊 㐃 ᦠ ⛉ Ꮫ ⓗ ▱ ㆑ ◊ ಟ ᶵ ఍ ᰯ ෆ య ไ ྠ ൉ ព ㆑ ึ௵ᮇ ୰ሀᮇ ⇍⦎ᮇ ඲యᖹᆒ 㡯┠ ⮬⏤ᗘ F ್ ከ㔜ẚ㍑ ᫬ᩘ☜ಖ 2/803 1.378 ̿ ᐇ᪋᫬ᮇ 2/803 4.683* ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ Ꮫ⩦㛵㐃 2/803 27.951*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ㸼⇍⦎ᮇ య⣔ィ⏬ 2/802 12.821*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ㸼⇍⦎ᮇ ᪤᭷▱㆑ 2/803 8.245*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ ᩍᮦᕤኵ 2/803 9.821*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ ពḧႏ㉳ 2/804 28.500*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ ୺యⓗᏛࡧ 2/804 12.702*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ ༠ാⓗᏛࡧ 2/804 16.198*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ య㦂ⓗάື 2/804 11.095*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ ῝࠸Ꮫࡧ 2/803 5.405** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ ᤵᴗホ౯ 2/800 19.284*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ Ꮫ⩦ᢕᥱ 2/804 14.397*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ Ꮫ⩦ホ౯ 2/802 19.606*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ 㣴ㆤ㐃ᦠ 2/804 9.702*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ እ㒊㐃ᦠ 2/803 2.081 ̿ ⛉Ꮫⓗ▱㆑ 2/800 19.634*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ㸼⇍⦎ᮇ ◊ಟᶵ఍ 2/802 0.706 ̿ ᰯෆయไ 2/804 1.009 ̿ ྠ൉ព㆑ 2/802 0.213 ̿               㸦*p<.05㸪**p<.01㸪*** p<.001㸧 表 2 教職経験年数群による悩み事についての分散分析結果

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有意な差が認められた。 これらのことから、保健領域の授業づくり にかかわる多くの項目は初任期ほど悩み事の認 知が高く 6 年目以降には低減していくこと、他 教科や他領域の学習と関連させることや科学的 知識に基づいて授業を実施すること、体系的な 年間指導計画のもとで授業を実施することなど は、経験年数を重ねるとともに悩み事の認知が 低減していく課題であることが示唆された。 3.2 保健への関心度による「保健授業で困難に 思っていること」の認知の差異 「保健授業で困難に思っていること」につい て、対象者全体及び保健への関心度別の評定平 均値を図 3 に、一元配置分散分析の結果を表 3 に示す。 悩み事のうち、保健への関心の違いによって 有意な差が認められなかった項目、すなわち関 心の高低にかかわらず課題となる項目は、「教 材工夫」、「協働的学び」、「体験的活動」、「授業 評価」、「学習評価」、「外部連携」、「研修機会」、 「校内体制」、「同僚意識」の 9 項目であった。こ のうち、「教材工夫」、「協働的学び」、「体験的活 動」は、対象者全体においても悩み事の認知の 高い項目であり、強い関心があっても解決しき れていない課題であると考えられる。 全体的に関心の「Ⅰとてもある」教師は悩み 事の認知が低い傾向がみられ、上記以外の 10 項 目において「Ⅰとてもある<Ⅲどちらかといえ ばない」で有意差が認められた。「既有知識」の み、「Ⅱどちらかといえばある<Ⅲどちらかとい えばない」で有意差が認められたが、他の項目 は「Ⅱどちらかといえばある」と「Ⅲどちらか といえばない」「Ⅳほとんどない」には有意な差 が認められなかった。 3.3  教 職 経 験 年 数 に よ る「 保 健 授 業 で 困 難 に 思っていることの解決方法」の差異 「保健授業で困難に思っていることの解決方 法」について、教職経験年数群別の評定平均値 を図 4 に、一元配置分散分析の結果を表 4 に示 す。 小 学 校 教 師 は 保 健 授 業 の 悩 み 事 に つ い て、 「学年教師」、「養護教諭」、「インターネット」、 「体育主任」を活用して解決していることがわ かる。次いで「文献」も挙げられるが、その他 図 3 「保健授業で困難に思っていること」各項目の保健への関心度別及び全体の評定平均値      ᫬ ᩘ ☜ ಖ ᐇ ᪋ ᫬ ᮇ Ꮫ ⩦ 㛵 㐃 య ⣔ ィ ⏬ ᪤ ᭷ ▱ ㆑ ᩍ ᮦ ᕤ ኵ ព ḧ ႏ ㉳ ୺ య ⓗ Ꮫ ࡧ ༠ ാ ⓗ Ꮫ ࡧ య 㦂 ⓗ ά ື ῝ ࠸ Ꮫ ࡧ ᤵ ᴗ ホ ౯ Ꮫ ⩦ ᢕ ᥱ Ꮫ ⩦ ホ ౯ 㣴 ㆤ 㐃 ᦠ እ 㒊 㐃 ᦠ ⛉ Ꮫ ⓗ ▱ ㆑ ◊ ಟ ᶵ ఍ ᰯ ෆ య ไ ྠ ൉ ព ㆑ ࡜࡚ࡶ࠶ࡿ ࡝ࡕࡽ࠿࡜࠸࠼ࡤ࠶ࡿ ࡝ࡕࡽ࠿࡜࠸࠼ࡤ࡞࠸ ࡯࡜ࢇ࡝࡞࠸ ඲యᖹᆒ 㡯┠ ⮬⏤ᗘ F ್ ከ㔜ẚ㍑ ᫬ᩘ☜ಖ 3/803 3.052* Ϩ㸺Ϫ ᐇ᪋᫬ᮇ 3/803 3.511* Ϩ㸺ϩ࣭Ϫ Ꮫ⩦㛵㐃 3/803 6.167*** Ϩ㸺ϩ࣭Ϫ య⣔ィ⏬ 3/802 3.312* Ϩ㸺Ϫ ᪤᭷▱㆑ 3/803 2.814* ϩ㸺Ϫ ᩍᮦᕤኵ 3/803 2.419 ̿ ពḧႏ㉳ 3/804 8.190*** Ϩ㸺ϩ㸺Ϫ ୺యⓗᏛࡧ 3/804 3.449* Ϩ㸺Ϫ ༠ാⓗᏛࡧ 3/804 2.389 ̿ య㦂ⓗάື 3/804 2.121 ̿ ῝࠸Ꮫࡧ 3/803 3.031* Ϩ㸺Ϫ ᤵᴗホ౯ 3/800 2.713* ̿ Ꮫ⩦ᢕᥱ 3/804 4.300** Ϩ㸺Ϫ Ꮫ⩦ホ౯ 3/804 3.096* ̿ 㣴ㆤ㐃ᦠ 3/804 2.978* Ϩ㸺Ϫ እ㒊㐃ᦠ 3/803 1.671 ̿ ⛉Ꮫⓗ▱㆑ 3/800 7.874*** Ϩ㸺ϩ࣭Ϫ ◊ಟᶵ఍ 3/802 0.372 ̿ ᰯෆయไ 3/804 0.352 ̿ ྠ൉ព㆑ 3/802 0.027 ̿           㸦*p<.05㸪**p<.01㸪*** p<.001㸧 表 3 保健への関心度による悩み事についての分散分析結果

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の項目は、悩み事の解決方法としてあまり活用 されていないと考えられる。 教職経験年数群間の差異を検討すると、「イ ンターネット」については有意な差が認められ ず、どの年代の教師にとっても重要な悩み事の 解決方法の一つであるといえる。「学年教師」で は初任期>中堅期・熟練期において、「体育主 任」では初任期>熟練期において有意な差が認 められ、初任期の教師ほど身近な同僚に相談す ることが保健の授業においても重要となってい る。他方、「養護教諭」や「他校教師」は初任 期<中堅期・熟練期において有意な差が認めら れ、教職経験とともに活用の度合いが高まって いる。このことは、保健授業の悩み事の解決に は、自分よりも専門的な知識や経験を豊富に持 つ教師に相談することが主要な方法であること を示しており、地域や学校内で中核となる教師 を育成することが重要であると考えられる。 3.4 保健への関心度による「保健授業で困難に 思っていることの解決方法」の差異 「保健授業で困難に思っていることの解決方 法」について、対象者全体及び保健への関心度 別の評定平均値を図 5 に、一元配置分散分析の 結果を表 5 に示す。 解決方法について、関心の「とてもある」教 師は、他の教師と比べて、多くの解決方法を活 用している傾向が読み取れる。 「学年教師」、「体育主任」、「養護教諭」の 3 項 目には有意な差が認められず、関心の高低にか かわらず重要な悩み事の解決方法であると考え られる。全体で活用の多かった「インターネッ ト」については、「Ⅰとてもある>Ⅲどちらかと いえばない・Ⅳほとんどない」で有意な差が認 められ、関心の高い教師ほど活用している傾向 がみられた。同様の傾向は「文献」でもみられ る。 ここでも、「Ⅱどちらかといえばある」と「Ⅲ どちらかといえばない」、及び「Ⅳほとんどな い」とで有意な差が認められた項目は「研究指 定校」、「行政研修」、「文献」、「大学院」の 4 項 目のみであり、「Ⅰとてもある」と「Ⅱどちらか といえばある」とでは解決方法の活用に大きな 違いがあると考えられる。          Ꮫ ᖺ ᩍ ᖌ య ⫱ ୺ ௵ 㣴 ㆤ ᩍ ㅍ ⟶ ⌮ ⫋ ௚ ᰯ ᩍ ᖌ ኱ Ꮫ ᩍ ဨ ᆅ ༊ ◊ ✲ ఍ ࢧ 勖 ࢡ ࣝ Ẹ 㛫 ◊ ✲ ᅋ య ◊ ✲ ᣦ ᐃ ᰯ ኱ Ꮫ 㝃 ᒓ ⾜ ᨻ ◊ ಟ ᩥ ⊩ ㄽ ᩥ ኱ Ꮫ ㅮ ⩦ ኱ Ꮫ 㝔 ࢖ ࣥ ࢱ 勖 ࢿ ࢵ ࢺ ึ௵ᮇ ୰ሀᮇ ⇍⦎ᮇ ඲యᖹᆒ 㡯┠ ⮬⏤ᗘ F ್ ከ㔜ẚ㍑ Ꮫᖺᩍᖌ 2/804 8.611*** ึ௵ᮇ㸼୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ య⫱୺௵ 2/799 3.526* ึ௵ᮇ㸼⇍⦎ᮇ 㣴ㆤᩍㅍ 2/804 13.100*** ึ௵ᮇ㸺୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ ⟶⌮⫋ 2/804 0.518 ̿ ௚ᰯᩍᖌ 2/804 7.858*** ึ௵ᮇ㸺୰ሀᮇ࣭⇍⦎ᮇ ኱Ꮫᩍဨ 2/803 2.861 ̿ ᆅ༊◊✲఍ 2/804 1.095 ̿ ࢧ࣮ࢡࣝ 2/803 1.264 ̿ Ẹ㛫◊✲ᅋయ 2/804 4.320* ึ௵ᮇ㸺⇍⦎ᮇ ◊✲ᣦᐃᰯ 2/803 9.050*** ึ௵ᮇ࣭୰ሀᮇ㸺⇍⦎ᮇ ኱Ꮫ㝃ᒓ 2/803 4.380* ึ௵ᮇ㸺⇍⦎ᮇ ⾜ᨻ◊ಟ 2/803 9.906*** ึ௵ᮇ࣭୰ሀᮇ㸺⇍⦎ᮇ ᩥ⊩ 2/804 4.435* ึ௵ᮇ㸺⇍⦎ᮇ ㄽᩥ 2/804 0.661 ̿ ኱Ꮫㅮ⩦ 2/803 2.482 ̿ ኱Ꮫ㝔 2/803 0.140 ̿ ࢖ࣥࢱ࣮ࢿࢵࢺ 2/800 0.151 ̿                㸦*p<.05㸪**p<.01㸪*** p<.001㸧 図 4 「保健授業で困難に思っていることの解決方法」教職経験年数群別及び全体の評定平均値 表 4 教職経験年数群による悩み事の解決方法についての分 散分析結果

(7)

図 5 「保健授業で困難に思っていることの解決方法」保健への関心度別及び全体の評定平均値 表 5 保健への関心度による悩み事の解決方法についての分 散分析結果 4.本研究の成果と今後の課題 本研究の目的は、小学校教師が保健授業につ いてどのような事項に困難を抱えており、その 解決のためにどのような方法をとっているのか について、教職経験年数及び保健に対する関心 による差異を検討することを通して、保健領域 の授業改善に向けた基礎資料を得ることであっ た。本研究で実施した調査の結果、以下の 3 点 が示唆された。 1)小学校教師は保健授業に関して、「主体的・ 対話的で深い学び」の実現やそれにつながる学 習活動の組織や教材の工夫について悩み事を抱 えていることが明らかとなった。これらは新し い教育課題にも対応した悩みと考えられる。今 後、保健領域の研修においても「何を学ぶか」 という知識・技能の内容面に加え、「どのように 学ぶか」という方法面についても扱うことが期 待される。 2)教職経験 5 年以内の教師は悩み事の認知が 高いが、養護教諭に相談することは相対的に少 ない。悩みの多い初任期の教師が養護教諭と連 携しやすい環境を整備できれば、保健授業の悩 み事を低減できる可能性がある。 3)保健に関心の高い教師は、悩み事の認知が 相対的に低いことに加え、悩み事の解決方法に も多くの資源を活用している傾向がみられた。 小学校教師の保健に対する関心が高まるような 教員研修、あるいは教員志望学生の保健に対す る関心を高めるような教員養成での学修機会が 求められる。 本研究は、小学校教師のうち学級担任として 体育科保健領域の授業を担当する教師のみを対 象としたが、今後、学校における健康教育の充 実に向けては、養護教諭や中学校及び高等学校 の保健体育教師を対象とした調査を実施する必 要がある。 付記 本研究は、科学研究費補助金(基盤C、研究 代表者:辻延浩、課題研究番号 17K04683)の助 成を受けて行われた。          Ꮫ ᖺ ᩍ ᖌ య ⫱ ୺ ௵ 㣴 ㆤ ᩍ ㅍ ⟶ ⌮ ⫋ ௚ ᰯ ᩍ ᖌ ኱ Ꮫ ᩍ ဨ ᆅ ༊ ◊ ✲ ఍ ࢧ 勖 ࢡ ࣝ Ẹ 㛫 ◊ ✲ ᅋ య ◊ ✲ ᣦ ᐃ ᰯ ኱ Ꮫ 㝃 ᒓ ⾜ ᨻ ◊ ಟ ᩥ ⊩ ㄽ ᩥ ኱ Ꮫ ㅮ ⩦ ኱ Ꮫ 㝔 ࢖ ࣥ ࢱ 勖 ࢿ ࢵ ࢺ ࡜࡚ࡶ࠶ࡿ ࡝ࡕࡽ࠿࡜࠸࠼ࡤ࠶ࡿ ࡝ࡕࡽ࠿࡜࠸࠼ࡤ࡞࠸ ࡯࡜ࢇ࡝࡞࠸ ඲యᖹᆒ 㡯┠ ⮬⏤ᗘ F ್ ከ㔜ẚ㍑ Ꮫᖺᩍᖌ 2/804 0.118 ̿ య⫱୺௵ 2/799 0.907 ̿ 㣴ㆤᩍㅍ 2/804 1.306 ̿ ⟶⌮⫋ 2/804 3.442* Ϩ㸼ϫ ௚ᰯᩍᖌ 2/804 5.678* Ϩ㸼ϩ࣭Ϫ࣭ϫ ኱Ꮫᩍဨ 2/803 1.313 Ϩ㸼ϫ ᆅ༊◊✲఍ 2/804 5.542* Ϩ㸼ϩ࣭ϫ ࢧ࣮ࢡࣝ 2/803 11.955*** Ϩ㸼ϩ࣭Ϫ࣭ϫ Ẹ㛫◊✲ᅋయ 2/804 9.701*** Ϩ㸼ϩ࣭Ϫ࣭ϫ ◊✲ᣦᐃᰯ 2/803 12.393*** Ϩ㸼ϩ࣭Ϫ࣭ϫ㸪ϩ㸼ϫ ኱Ꮫ㝃ᒓ 2/803 8.115*** Ϩ㸼ϩ࣭Ϫ࣭ϫ ⾜ᨻ◊ಟ 2/803 10.603*** Ϩ㸼ϩ࣭Ϫ࣭ϫ㸪ϩ㸼ϫ ᩥ⊩ 2/804 12.938*** Ϩ㸼ϩ㸼Ϫ࣭ϫ ㄽᩥ 2/804 7.235*** Ϩ㸼ϩ࣭Ϫ࣭ϫ ኱Ꮫㅮ⩦ 2/803 4.438** Ϩ㸼Ϫ࣭ϫ ኱Ꮫ㝔 2/803 3.806* Ϩ࣭ϩ㸼ϫ ࢖ࣥࢱ࣮ࢿࢵࢺ 2/800 5.125** Ϩ㸼Ϫ࣭ϫ                㸦*p<.05㸪**p<.01㸪*** p<.001㸧

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文献 加登本仁・辻延浩・青木作衛・中川大介・八木純子 (2012)体育授業に関する小学校教師の力量形成 についての調査研究−教職経験年数による差異 に着目して−.滋賀大学教育学 部紀要 教育科 学 62;73-85. 小林稔・高倉実(2003)小学校体育「保健領域」の 実施状況および教員の意識とその変化について (第 2 報): 新学習指導要領に対する準備状況と 教員の意識.学校保健研究 45(3),257-269. 厚生労働省ホームページ「健康日本 21(総論)」https:// www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/s0f. html(検索日:2019 年 9 月 13 日) 野井真吾・下里彩香・鈴木綾子(2008)「からだの学 習」に関する基礎的研究:疑問調査,知識調査, 生活調査,体調調査の結果を基に.学校保健研 究 49(6),439-451. 文部科学省(2018a)小学校学習指導要領解説総則編. 東洋館出版社. 文部科学省(2018b)小学校学習指導要領解説体育編. 東洋館出版社. 小浜明・戸野塚厚子(1995)保健の授業担当者の授業 意識に関する研究−自由記述法による保健の授 業のイメージ−.学校保健研究 36(9),651-668. 角田仁美・植田誠治(2015)小学校教員の保健授業に 対する自己効力感.学校保健研究 57;13-17. 高倉実・小林稔(2003)小学校体育「保健領域」の 実施状況および教員の意識とその変化について (第 1 報): 研究デザインとベースラインデータ. 学校保健研究 45(3),248-256. 田中滉至・山田浩平・古田真司(2016)保健学習にお ける小学校・中学校・高等学校教諭の意識.東 海学校保健研究 40(1),75-88. 和唐正勝・下村義夫・面沢和子・永瀬春美・山本百合 子(1980)生徒からみた保健授業の実態に関す る調査研究−保健知識得点の考察から−.学校 保健研究 22(10),479-485. 和唐正勝・下村義夫・面沢和子・永瀬春美(1981)生 徒からみた保健授業の実態に関する調査研究. 学校保健研究 23(10),474-484.

図 5 「保健授業で困難に思っていることの解決方法」保健への関心度別及び全体の評定平均値 表 5 保健への関心度による悩み事の解決方法についての分 散分析結果 4.本研究の成果と今後の課題 本研究の目的は、小学校教師が保健授業につ いてどのような事項に困難を抱えており、その 解決のためにどのような方法をとっているのか について、教職経験年数及び保健に対する関心 による差異を検討することを通して、保健領域 の授業改善に向けた基礎資料を得ることであっ た。本研究で実施した調査の結果、以下の 3 点 が示唆された

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