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テクスチャの幾何学的変換と類似パターン位置を考慮したエネルギー最小化による画像修復

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Academic year: 2021

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(1)「画像の認識・理解シンポジウム  」  年 月. テクスチャの幾何学的変換と類似パターン位置を考慮した エネルギー最小化による画像修復 宮本. 龍Ý. 河合. 紀彦Ý. 山澤. 一誠ÝÝ. 佐藤 智和Ý. 横矢 直和Ý. 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 〒  奈良県生駒市高山町   福岡工業大学情報工学部情報工学科 〒  福岡県福岡市東区和白東 .

(2)  

(3)  

(4)     

(5)     ! あらまし 本稿では,写真についた傷など画像内の不要な部分を取り除き,その欠損領域を自動的に修復する新たな 手法を提案する.従来,パターン類似度.     

(6)     に基づくエネルギー関数を用いて欠損を. 修復する手法が提案されている.しかし,画像内のテクスチャパターンに限りがあるため,違和感のない修復に必要 なパターンが画像内に存在しないことが多い.そこで,本研究ではテクスチャの明度と幾何学的な変換を考慮したエ ネルギー関数を新たに定義し,画像内で近接するパターン間の相対的な位置関係を利用し,エネルギーを最小化する. これにより,パターンの不足による不自然なテクスチャの生成を抑制し,また幾何学的変換の許容による計算コスト の増加を抑止する.実験では,様々な画像に対して欠損領域の修復を行い,アンケート評価により従来手法と比較す ることで提案手法の有効性を示す. キーワード 画像修復,画像補間,エネルギー最小化,幾何学的変換 る手法 ∼ と,テクスチャの輝度値をパターン類似.  はじめに. 度の指標として用いる手法 ∼ がある.. インターネットの普及に伴い,個人が日常的に撮影し. 特徴空間を用いる手法として,東海林らは,フーリエ. た写真や映像をホームページやブログに掲載することが. 空間を用いて欠損修復する手法  を提案した.また,天. 一般的に行われている.このような目的で,過去に撮影. 野らは,一般的な周波数ベクトルよりも画像特有の特. 済みのアナログ写真をスキャナなどで電子化する際,ア. 徴量を用いた方が良好な結果が得られるとの考えから,. ナログ写真の物理的な損傷(キズ,よごれ等)によりそ. データ領域から学習サンプルとして複数のウインドウを. のままでの利用が難しい場合がある.また,デジタル写. 切り出すことにより固有空間を構成し,生成された固有. 真や映像においては,利用意図に沿わない物体などが. ベクトルを結合することで欠損領域の補間を行う . 写っているため,そのままでは利用しづらい場合も起こ. 法  および  法を改良した  法  を提案し. りうる.このような問題に対して,写真についた傷や意. た.この手法では,自己相関性の高い画像に対して,欠. 図せず写りこんでしまった物体などの画像内の不要部分. 損領域内に細かいテクスチャを再現し違和感の少ない修. を取り除き,取り除かれた領域(以下,欠損領域)を自. 復を行うことができる.しかし,欠損領域を含む一つの. 動的に違和感なく修復することで画像の利用価値を高め. ウインドウ内に必ず欠損領域以外の領域を含まなければ. る画像修復に関する研究が盛んに行われている.. ならないという原理的な制約から,一つのウインドウに. これら画像修復の手法は,欠損領域周辺の画素の輝度 値を利用する手法と欠損領域以外の領域全体 以下,デー. 収まらないような大きな欠損領域を持つ画像に対しては 適用が難しい.. タ領域 の情報を利用する手法に大別できる.前者のア. テクスチャの輝度値をパターン類似度の指標として用. プローチとして,輝度値の連続性を考慮して欠損領域の. いる手法として,    らは,データ領域から欠損領. 周りから輝度値を滑らかに補間する手法が古くから用い. 域の境界のテクスチャパターンと類似する部分を探索し,. られてきた ∼.これらの手法は,画素の輝度値を欠. 最も類似したテクスチャを逐次的に欠損領域に合成する. 損領域の境界から内側へ徐々に伝播させることで,写真. 手法  を提案した.この手法では,欠損領域が大きい場. に付いた引っかき傷のような細い領域に対しては良好な. 合にも細かいテクスチャを生成できるが,テクスチャを. 修復画像を得ることができる.しかし,大きな領域を修. 欠損領域の境界から内側に逐次的に合成するというアプ. 復した場合には細かいテクスチャが表現できず,不鮮明. ローチを採るため,最終的に生成される画像の品質がテ. な画像が生成されるという問題がある.このような問題. クスチャの合成順に大きく依存し,不連続なテクスチャ. を解決するために,後者のアプローチを用いた手法が近. が生じやすいという問題がある.これに対して,エッジ. 年盛んに研究されている.このような手法には,画像か. 部分のつながりをあらかじめ自動的に指定することでこ. ら得られる特徴空間上の距離を類似度の指標として用い. の問題を回避する手法 !"  も提案されている.しか. IS3-35 : 1096.

(7) し,テクスチャが複雑な場合には,修復に有効なエッジ. 1枚の画像を入力. を正しく推定することが難しい. これに対して,テクスチャの合成順に依存せずに,欠. (a)対象領域(欠損領域)の指定. 損領域全体に対して最適な画像を生成する,全体最適化 による修復手法が提案されている.# $% らは,欠損領 域とデータ領域間のパターン類似度. (b)欠損領域の境界付近の画素に対する 類似パターン位置の探索.  を用いて画像. の尤もらしさに基づくエネルギー関数を定義し,これを. (c)欠損領域の初期値の設定. 欠損領域全体に対して最小化することで画像を修復する 手法 & を提案した.しかし,データ領域のテクスチャ. (d-I)欠損領域内の各画素に対する 類似パターン位置の探索. をそのまま用いて修復するため,欠損領域に適した類似 物体がデータ領域に存在したとしても類似物体の明度や. (d-II)欠損領域内の画素値の更新. 見え方の変化がある場合はその変化に対応できず,不自 いいえ. エネルギーが 収束したか. 然なテクスチャが生成される場合がある.そのため,近 年,データ領域のテクスチャを光学的,幾何学的に拡張. はい. し,修復に利用できるテクスチャパターンの種類を増や. 1枚の画像を出力. すことで,より多くの画像に対して違和感のない修復が 試みられている.' ( らは,テクスチャの明度変化を. 図. 処理の流れ. 考慮したエネルギー関数を用いることで,欠損領域の周 辺で同一物体の明度に差がある場合でも,自然な明度変 化を持つテクスチャを生成する手法 ) を提案した.ま. 上で手動により指定し  ,指定した領域の境界付近の 画素に対する類似パターンの位置を探索する +.次に,. た,* らは,テクスチャの回転を考慮したエネルギー. 何らかの方法を用いて欠損領域に初期値となる画素値を. 関数を用いることで,円状の物体の一部が欠損している. 与え ,エネルギーを最小化するよう欠損領域内の各. 場合でも,自然な幾何学的構造を持つテクスチャを生成. 画素に対する類似パターン位置の探索 

(8) ,- と画素値の. する手法  を提案した.しかし,これまで同一画像内. 更新 

(9) ,-- を繰り返すことで,欠損領域の修復を行う.. におけるテクスチャパターンの明度変化と幾何学的な変. 以下では,まず従来から用いられてきたパターン類似度. 換の両方を考慮した手法は存在しておらず,また幾何学.  に基づくエネルギー関数の定義について概説し,次. 的な変換にも限りがあった.そのため,修復に必要なパ. に,今回提案するエネルギー関数とその最小化手法につ. ターンの不足により,修復画像において明度や幾何学的. いて述べる.. な構造の不自然な変化が表れ違和感が生じる場合がある. また,これらの手法では画像全体に対して類似パターン.   パターン類似度  によるエネルギー関数 の定義. の探索を行うため,計算コストが大きく,かつ不適切な パターンの対応を招くことがあり,修復画像がぼけてし. 本節では,# $% らが提案したパターン類似度. . に基づくエネルギー関数について概説する.パターン類. まう場合がある. 本稿では,テクスチャの全体最適化による手法 &" ). 似度を用いた画像修復手法では,図 & に示すように,画. を基礎とし,データ領域と欠損領域の間の明度変化と幾. 像をユーザが指定した欠損領域 . を含む領域 .¼ と,画. 何学的な変換を許容したパターン類似度によるエネル. 像内の .¼ 以外のデータ領域 / に分け,領域 .¼ 内の画像. ギー関数を新たに定義する.また,エネルギー関数の最. の尤もらしさをデータ領域 / 内の画像パターンを用いて. 小化において,画像内で近接するパターン間の幾何学的. 定義する.ここでは,画像内において一定サイズの正方. 変換を考慮した相対的な位置関係を利用した探索を用い. ウインドウ. る.明度変化と幾何学的な変換を許容したパターン類似. 中心画素の集合を .¼ とし,欠損領域の尤もらしさに基. 度を用いることで,修復に必要なパターンの不足により. 内に一部でも . が含まれるウインドウの. づくエネルギーを,領域 .¼ 内の画素 Ü とデータ領域 /. 生じるテクスチャの明度と幾何学的な構造の不自然な変. 内の画素 Ü 周辺のパターン類似度. 化を抑止する.また,画像内で近接するパターン間の位. として以下のように定義する.. 置関係を利用した探索範囲の限定により,計算コストを 削減し,かつ不適切なパターンの対応付けによるぼけの 発生を抑制する.. . . 0. Ü. Ü Ü  Ü . . 提案手法の処理の流れを図  に示す.本研究では,ま ず写真上の傷や不要な物といった修復したい領域を画像.  は重み Ü. . . ¾. ¼. Ü  Ü  0.  エネルギー最小化による画像修復.  の重み付き総和. Ô¾.  Ü 1 Ô   Ü. . 1 Ô. &. ここで, Ü  は画素 Ü の画素値を表す.また,ここで. IS3-35 : 1097. として,領域 .¼  . では各画素の値が固定.

(10) 定数 に限定する. データ領域. ウインドウ.  

(11) Ü Ü    のとき    ÜÜ 0

(12) Ü Ü 0  1  のとき  1  

(13) Ü Ü  1  のとき . Ü Ü. 0. . ウインドウ.  

(14) . 欠損領域. 画像上の各領域.

(15) Ü Ü. . Ü. 0  を,領域 . では境界に近いほど 画素値の信頼度が高くなるため Ü 0    は . の境 界から画素 Ü までの最短距離, は正の定数 を用い る.# $% らの手法 & では,定義したエネルギー関数  を最小化する欠損領域内の画素値 Ü  とそれに対 値となるため.  . . 応する類似パターン位置.  . . Ü. を算出することで,欠損領. 0. テクスチャの明度変化と幾何学的変換を許容 したエネルギー関数の拡張. 本研究では,式  による欠損領域の尤もらしさに基. . づくエネルギー関数. . を,明度変化と幾何学的変換. を考慮して拡張する.具体的には,画像パターンの幾何 学的な変換を許容するために座標変換行列を導入する. また,明度変化を許容するために ) で提案された輝度 補正係数を利用することで,エネルギーを新たに次のよ うに定義する.. 0. Ü  Ü  Ü  ÌÜ Ü  ¼. Ü. ¾. ¼. . ). .  Ü  Ü  ÌÜ Ü  は明度変化と幾何学的な変 ¼. ここで,. . . 換を許容したパターン類似度であり,以下のように定義 する..  Ü  Ü  ÌÜ Ü  Ü 1 Ô  Ü Ü Ü 0 ¼. . . . . Ô¾. . . . 1 ÌÜ Ü Ô.  .   Ü.  Õ¾ Ü 1 Õ. Õ¾. . . 1 Õ. 幾何学的な変換として,被写体の対称性を利用するた めにミラーリングを,カメラでの撮影時における透視投 影効果等により生じるスケールの変化に対応するため にスケーリングを許容する.具体的には,座標変換行列. ÌÜ Ü. . を以下のように定義する.. 域を修復する.. . .  ただし,. 図. . ÌÜ Ü 0. . !. . !. . . . .  0    とする. 提案するエネルギー関数のパラメータは,欠損領域 . 内の画素値 Ü ,領域 .¼ の画素に対応するデータ領域 内の画素の位置 Ü ,及びテクスチャの幾何学的変換パラ メータ   である.次節で,エネルギー を最小化 するパラメータの算出方法について述べる. ただし,. . .  . .   エネルギーの最小化による画素値の更新 本研究では,2

(16) 3 4%5 67 の枠組みを用いて式 ) で定義したエネルギー を最小化する.具体的には,. . 類似パターンの位置を固定した時,輝度補正係数. の変. 化が欠損領域内の画素値の変化に対して微小であると仮 定すると,エネルギー.  を欠損領域 . 内の各画素で独. 立に扱えることに着目し,. 

(17) ,-. . . 領域 .¼ 内の各画素に対する類似パターン位置の. 探索. 

(18) ,-- 欠損領域 . 内の画素値の並列的な更新 をエネルギーが収束するまで繰り返すことで,画像全体. ただし, Ü Ü はデータ領域のテクスチャの明度変化を許 容するための輝度補正係数,ÌÜ Ü はデータ領域のテク. のエネルギーを最小化する.しかし,テクスチャの幾何. スチャの幾何学的変換を許容するための座標変換行列を. 大きく,また様々な幾何学的変換を施したテクスチャの. . 合が起こりうる.そこで,本研究では,欠損領域の周辺. 表す.以下,輝度補正係数 Ü Ü と座標変換行列 ÌÜ Ü について詳述する.. 輝度補正係数 Ü Ü は,Ü Ü それぞれの画素の周辺の 平均輝度値の比を用いて算出する.これにより,データ. 学的変換を許容した類似パターンの探索は計算コストが 組み合わせにより,不自然なテクスチャが生成される場 に存在するパターンに類似したデータ領域内のパターン と,その近傍に存在するパターンの相対的な位置関係を,. 領域のテクスチャの明度を欠損領域のテクスチャの明度. 欠損領域内に再現するよう,類似パターンの探索範囲お. に合わせる.ただし,実際の画像において比較的大きな. よびテクスチャの変換パラメータを限定することで,高. 明度変化を定数倍の変化として近似すると,違和感のあ. 速化及び不自然なテクスチャの生成の抑制を図る.具体. る画像が生成されやすいことから,式  に示す一定範 囲内  .  0 Ü Ü 0  1 ,ただし  は !   の . 的には,処理 

(19) ,-,

(20) ,-- の前処理として,処理 + で, 図 & のデータ領域 / のうち領域 .¼ と接する画素の集合. IS3-35 : 1098.

(21) 最類似 ウインドウ. 図. 最類似 ウインドウ. 領域  内の画素に対する類似パターン位置の探索. 図. 欠損領域内の各画素に対する類似パターン位置の探索. 領域を図 ) に示すよう 8 とし,領域 8 内の画素に対す る類似パターン位置の探索と幾何学的な変換のパラメー タの算出を行い,かつ領域 .¼ 内の画素と領域 8 内の画 素との対応関係を決めておき,これらの情報を処理 

(22) ,- で利用する.以下では,処理 +,

(23) ,-,

(24) ,-- の詳細に 最類似 ウインドウ. ついて順に述べる.. ¾º ¿º ½. 領域 8 内の画素に対する類似パターン位置の 探索. 処理 + では,処理 

(25) ,- における領域 .¼ 内の各画素. 図. に対する類似パターン位置の探索範囲と幾何学的変換パ ラメータを限定するための前処理を行う.ここでは,図 ). に示すように,領域 .¼ 内の Ü と画像上の距離が最も近. 9 として対応付ける.次に,画素 い領域 8 内の画素を Ü.  9Ü  Ü  ÌÜ Ü  が最小となるパターン Ü  0 Ü ,及び座標変換行列 ÌÜ Ü   0 ÌÜ Ü 位置  9. Ü9. ¼. に対して. . . . . . を算出する.具体的には,データ領域 / 内の全画素を対 象に,幾何学的変換パラメータ.   . . を離散的に変え.  を算出し, が最小となる位置および Ü ,ÌÜ Ü   とする. 幾何学的変換パラメータを  9 ながら. ¾º ¿º ¾. ¼. ¼. . 領域 .¼ 内の各画素に対する類似パターン位置 の探索. 処理 

(26) ,- では,欠損領域内の全画素値を固定し,領域. . 内の画素 Ü に対応する類似パターン位置を,処理 + において求めた領域 8 内の画素に対する類似パターン位置 ¼. とテクスチャの変換パラメータを利用して探索する.ここ. 9 の位置関係,算出された では,図  に示すように,Ü と Ü. . Ü9. . の類似パターン位置 9 Ü  と座標変換行列 ÌÜ  Ü   をそれぞれ利用し,位置 9 Ü   ÌÜ  Ü  9Ü  Ü  を 中心とし,一辺が.  Ü. . .  は正の定数. 9  の正方形  Ü. を画素 Ü に対する類似パターン位置の探索範囲とする.. . この範囲内において,座標変換行列 ÌÜ  Ü   を用いた ¼ Ü Ü ÌÜ  Ü   が最小となる Ü  0 Ü を求.   . . める.このように,予め求めた領域 8 内の画素に対する. 類似パターン位置と座標変換行列を利用することで,幾 何学的変換を考慮したテクスチャの連続性を保存し,か つ計算コストを削減する.. ¾º ¿º ¿. 欠損領域 . 内の画素値に対する並列的な更新. 処理 

(27) ,-- では,処理 

(28) ,- で更新された類似パター. ンの位置を利用し,式 ) で定義したエネルギー.  を最. エネルギー算出における画素の関係. . 小化するよう,欠損領域 . 内の画素値 Ü  を画素並列 に更新する.以下では,パターンの組を固定した場合の. . 画素値 Ü  の算出手法について詳述する.ここではま.  を,欠損領域内の各画素での要素エネ  Ü  に分解する.図  に示すように,更新対象. ず,エネルギー ルギー. となる画素の位置を Ü ,Ü を中心とするウインドウ. 内の任意の点を Ü 1 Ô Ô .  とする.このとき,画素. Ü 1 Ô を中心とするパターンに対する類似パターンの位 置は  Ü 1 Ô であり,この類似パターン上において Ü と対応する画素の位置は  Ü 1 Ô   ÌÜ Ô Ü Ô Ô となる.ここで,注目画素 Ü に関係する  の要素エネ ルギー  Ü  は,Ü と  Ü 1 Ô   ÌÜ Ô Ü Ô Ô の画素値の関係,それぞれの画素の周りの平均輝度値,. Ü. . と Ü  位置の関係から算出でき,以下のように表す. ことができる..  Ü  0. Ô¾. Ü Ô  Ü  . .  Ü Ô Ü Ô  Ü 1Ô ÌÜ Ô Ü Ô Ô このとき,欠損領域全体のエネルギー. .  と各画素での要.  Ü  の関係は,以下のように表せる.  Ü  1  . 素エネルギー. 0. Ü. ¾.  は,領域 .  . 内にある画素に関するエネルギーであ ¼. り,処理 

(29) ,-- では類似パターン位置が固定されている. ため定数として扱える.ここで,要素エネルギー. IS3-35 : 1099.  Ü .

(30)   を欠損領域内のある画素 の画素値  Ü  で偏微分すれば,エネルギー  を最小化 する  Ü  の必要条件は次式で表せる.  Ü   !  Ü  0 Ü  Ü  0 ! このとき,画素値  Ü  の変化に対する輝度値補正係数. の変化は微小であると仮定し,  Ü Ü  0 !Ü  .    Ü  とおけば, Ü  Ü  0 ! 0    となり,式 ! は の変数は Ü  であるため,. ¾. . . ¼. 以下のように表せる..  0  Ü  0 !  Ü   Ü . &. . . 従って,式 ,& より, を最小化する画素 Ü  は. 以下のように算出できる..  Ü  0 0Ü. Ô¾.         Ì  Ô. . ¾.   Ô. 領域は,原画像の一部を塗りつぶすことにより手動で与 え 図   中の赤い領域,欠損領域の初期値は欠損領域 の境界画素の輝度値の平均値とした.粗密法による処理 では,データ領域のサンプル数が全画素数の @以上と なる最小のスケールから開始し,元のサイズの画像に対 してはウインドウサイズを  から  までウインド ウの辺の長さを & 画素ずつ減少させた.また,収束判定 は, 反復におけるエネルギーの減少幅がエネルギーの 大きさの !=!@以下となる場合とした.なお,提案手法 における幾何学的変換は,水平方向と垂直方向のミラー リングと,アスペクト比固定のスケーリングとした.た だし,スケーリングについては,処理中のウインドウの 辺の長さを  画素ずつ増減させたパターンを処理中の ウインドウサイズにスケーリングして 例:ウインドウ サイズが  の時は,,)) のパターンを  にスケーリングして 対応した..   提案手法による画像修復の具体例 本節では,提案手法による画像修復の具体例として図. . ). 1Ô.  中の画像  の修復過程を示す.図  に各スケール,ウ インドウサイズにおける画像処理時のエネルギーの変化 と反復回数の関係を示す.なお,各スケール,ウインド. なお,式 ) は式  を前提とした近似解であるが,. ウサイズでの初期エネルギーを  に正規化している.図. 束するため,エネルギーが収束するにつれて良い近似解. に減少していることが確認できる.また,原寸スケール.  Ü  が収束するに従って輝度値の補正係数 の値も収 となる..  から,式  による近似を用いてもエネルギーは単調 でウインドウサイズが  のときの,エネルギーの推移. また,処理全体を通して効率的に大域最適解に近い解. と画像修復過程を図  に示す.図  から,初期画像の左. を得るために,粗密法による処理も行う.具体的には,. 上部に違和感のあるテクスチャが存在していたが反復処. あらかじめ画像ピラミッドを作成しておき,一定サイズ. 理により,空が再現され違和感の少ない画像が生成され. のウインドウを用いて上位層から下位層へ順次エネル. ていることが確認できる.. ギー最小化処理を行う.その際,上位層の結果を下位層. . の初期値として投影することで良い初期値を与え,処理 の高速化と局所解の回避を行う.また,元のサイズの画 像に対しては,ウインドウサイズを順次小さくしながら エネルギー最小化処理を行うことで,細部までテクス チャを再現する..  実. 被験者による主観的評価実験と考察. 本節では,テクスチャの逐次的合成による代表的な修 復手法である.    らの手法 ,全体最適化による. 修復手法である # $% らの手法 &,# $% らの手法 を明度変化を考慮して拡張した ' ( らの手法 ),提 案手法それぞれを用いた修復画像に対して ) 名の被験. 験. 者 &! 代前半の男女 による評価実験を行った.被験者. 様々な特徴を持つ !! 枚の画像 &!!&!! 画素 を対 象とした画像修復実験を通じて,提案手法の有効性を 明らかにする.ここではまず,提案手法による画像修復. には,アンケート評価のためのウェブページにアクセス してもらい,ウェブページ上に並べられた !! 枚の入力 画像に対する !! 枚の修復画像に対して  段階の点数評. の具体例を示し,提案手法のふるまいと効果を説明す. 価を行ってもらった.修復結果の採点ページ上では,. る.また,!! 枚全ての修復結果に対するアンケート評. 種類の手法により修復した結果画像を入力画像ごとにラ. 価に基づく被験者実験を行うことで,提案手法の有効性. ンダムな順序で並べた.また,修復画像を個人のホーム. を判定する.アンケート評価の結果をもとに,提案手法 表. による修復結果と従来手法による修復結果を比較し,統 計的に有意な差があると認められた画像について考察 する.なお,本実験では,. ウインドウサイズ.  :;<  )=&2>? メモ. リ;2 を用いて修復処理を行い,エネルギー関数の各. 本実験での各種パラメータの設定. 輝度補正係数.  に関する範囲. 提案手法における探索範囲に用いる係数. 種パラメータは表  に示すように設定した.また,欠損. IS3-35 : 1100. 画素の重み. Ü. に用いる定数.   . . .   .

(31) を得られる手法だと言える.しかし,画像の特徴により 1. 従来手法の方がよい結果を得られる場合もあった.以下 では,提案手法と従来手法の間で統計的に有意な差があ. エネルギー. 0.9 0.8. スケール1/8, W 9x9. 0.7. スケール1/2, W 9x9. スケール1/4, W 9x9 スケール1, W 9x9 スケール1, W 7x7. 0.6. ると認められた画像 4∼. について考察する 図 .. 画像 4 は,提案手法が従来手法に対して有意に優れて いると認められ,透視投影効果により画像上部に向かっ てパターンが徐々に小さくなっている構造をもつ画像で ある.    らの手法では,合成順序の影響からテ. 0.5 0. 2. 4. 6. 8. クスチャの構造が極端に変化しており違和感が生じてい. 10 12 14 16 18 20. る.また,# $% らの手法と ' ( らの手法では,適切. 反復回数. 図. な大きさのテクスチャがデータ領域に存在しないためぼ エネルギーと反復回数の関係. けが生じたり,テクスチャの大きさが極端に変化してい る.これに対して,提案手法ではテクスチャパターンの スケーリングを許容しているので,テクスチャのスケー ルの大きさが極端に変化することなく欠損領域が修復さ れているため,評価が高くなったと考えられる. 画像  は,提案手法が従来手法に対して有意に優れて いると認められ,対称性を持つ物体を含む画像である. 従来手法では,画像中のテクスチャをそのまま利用する. エネルギー. ため,修復に適切な構造を持つテクスチャが存在せず違 和感が生じている.これに対して,提案手法ではテクス. 1.05 1 0.95 0.9 0.85 0.8 0.75. チャパターンのミラーリングを許容しているので,水平 方向のミラーリングを利用したテクスチャにより,比較 0. 2. 4. 6. 8. 10. 的違和感の少ない画像が生成できているため,評価が高. 12. くなったと考えられる.. 反復回数. 図. 画像 エネルギーの推移と画像修復過程. は,提案手法がどの従来手法に対しても有意. に劣っていると認められた画像である.    らの 手法では,欠損していた窓のエッジを再現できている.. ページや書籍・雑誌等の写真として利用することを前提 として,全く使えない画像を  点,十分使える画像を  点という回答基準で採点してもらった. 各手法により出力された各々!! 枚の修復結果につけ られた点数の平均値と各手法が最高点を取った回数を表. & に示す(注 ½).表 & から,提案手法が最も高い平均点であ り,また最高点も最多であることが分かる.また,有意 水準を @とした 6 検定により,    らの手法と提 案手法の間には有意差が, # $% らの手法,' ( ら の手法と提案手法の間には有意傾向が見られた.これら より,平均的に提案手法が様々な画像に対して良い結果 表. アンケート評価結果. 手法. 平均点. 最高点取得回数.

(32)  らの手法   らの手法    らの手法  .       .    . 提案手法. # $% らの手法と,' ( らの手法では,窓の部分にお いてはぼけが生じているが,画像の左中央部付近に存在 する水平な白い線状のテクスチャの連続性が保たれてい る.これらに対して,提案手法では窓の部分と画像の左 中央部付近の水平な白い線状のテクスチャどちらも途中 で途切れている.提案手法の特徴から,欠損領域の内部 になるほど様々な箇所のテクスチャが混ざりやすく,そ のため適切なテクスチャが再現されずぼけが生じてしま い,評価が低くなったと考えられる. 次に,処理時間の比較を行った.# $% らの手法,. ' ( らの手法,提案手法それぞれの処理時間を表 ) に 示す.表 ) から,提案手法は # $% らの手法に対して )∼ 倍程度の処理時間が必要であることが分かる.ま た,' ( らの手法に対しては !=∼= 倍程度の処理時 間が必要である.これは,提案手法において幾何学的な 変換としてミラーリングとスケーリングを考慮したこと 表 画像. (注 ):実験に用いた  枚の入力,結果画像及びアンケート結果を

(33)

(34)  

(35)  に示す. (著者の匿名性を考慮して,レ ンタルサーバを利用しています). ! "

(36). IS3-35 : 1101. 従来手法と提案手法による処理時間の比較.  ら    ら   提案手法 処理 処理   分秒  分  秒  分  秒  分  秒  分  秒  分  秒  分 秒  分  秒   分  秒 分  秒 分  秒 分 秒  分  秒  分 秒 分  秒.

(37)  欠損を与えた画像.   ら の 手 法.   !"  らの手法 #. $ %& らの手法 . 提案手法 #'. . 画像 !:提案手法が従来手法に対して有意に優れていると認められた画像.  欠損を与えた画像.   ら の 手 法.   !"  らの手法 . $ %& らの手法 ('. 提案手法 . #. 画像 ":提案手法が従来手法に対して有意に優れていると認められた画像.  欠損を与えた画像.   ら の 手 法.   !"  らの手法 ). $ %& らの手法 (. 提案手法 )(. . 画像

(38) :従来手法が提案手法に対して有意に優れていると認められた画像 図. 提案手法と従来手法の間に有意差がある画像とその評価点. で,計算コストが増えたことによる.ただし,従来手法. 化と幾何学的な変換を考慮したエネルギー関数を新たに. では,処理 + が存在しないため,処理 

(39)  だけに注目. 定義し,これを画像内で近接するパターン間の位置関係. すれば ' ( らの手法とほぼ同等,あるいはそれ以下の. を利用した探索を用いて最小化することで,高品位に欠. 処理時間となっていることから,探索範囲の限定により,. 損領域を修復する手法を提案した.アンケート評価に基. 幾何学的変換による計算コストの増加が抑止されている. づく被験者実験により,透視投影効果や対称性のある画. ことが分かる.処理 + では,欠損領域内の画素と対応. 像に対して,従来手法より有効であることを示した.ま. 付けられた領域 8 内の画素のみの探索を行っているにも. た,画像内で近接するパターン間の位置関係を利用した. 関わらず処理時間の三分の一程度を占めている.これは,. 探索により,幾何学的変換による計算コストの増加を抑. 幾何学的変換パラメータを離散的に変えながらデータ領. 止し,かつ不適切なパターンの対応によるぼけの発生を. 域全体を探索していることによる.そのため,処理 +. 抑制できることを示した.しかし,ウインドウサイズや. において, -AB など,回転やスケール変化に頑健な特. エネルギー関数中での重みなど,経験的に決定したパラ. 徴量を用いて探索することで,計算コストの削減が可能. メータが多く,パラメータの変化により結果画像が大き. になると考えられる.. く異なる場合がある.今後は画像から最適なパラメータ.  ま と め. を決定する手法を確立する必要がある.また,繰り返し 処理の中でエネルギーが収束してくる段階になると,類. 本稿では,従来から提案されているパターン類似度. 似パターン位置が固定されてくるため,それらの画素の.  による画像修復手法を基礎に,テクスチャの明度変. 再探索を省くことで高速化が期待できる.. IS3-35 : 1102.

(40) 謝辞 本研究の一部は科学研究費補助金 基盤研究 4". C=&)&!!& による. 文. 献.   前田浩幸# 高橋健一# 太田正光$ %欠損画像の修復処理の 一方式&# 電子情報通信学会論文誌 '# () * +'# ,) # --  . # .  / " 0)# 1 2- )# (

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(48) )+ ;60)  34 7- 00)# () # ,) # --  .#   小川貴弘# 長谷山美紀# 北島秀夫$ %オプティカルフロー を用いた静止画像における失われた輝度値の復元&# 電子情報通信学会論文誌 '+33# () * +'+33# ,) # --  . #   ! 9$ %! 34 3-04 96:?; " ) 0: @0 / 6:4 /0:) #& * 1 -:6 9))# () # ,) # -- . #    東海林健二$ %テクスチャ画像における欠損部修復の一 手法&# 電子情報通信学会論文誌 '# () * +'# ,) # --  . #    天野敏之# 佐藤幸男$ %固有空間法を用いた "5A5 による 画像補間&# 電子情報通信学会論文誌 '+33# () *+'+33# ,) # --  . #   天野敏之# 佐藤幸男$ %B"5A5 法を用いた高次元非線形 射影による画像補間&# 電子情報通信学会論文誌 '+33# () * +'+33# ,) # -- .#   !

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参照

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