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「積分法(数Ⅲ)」の解答・解説

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Academic year: 2021

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(1)

 数学科の西村です.今回の問題はいかがだったでしょう か.今回は 2011 年度大阪大学の入試問題から出題しまし た.解答の流れはシンプルですが,計算量が多く,苦戦し た人もいるのではないでしょうか.また,式変形において もいろいろ考えられるので,どうすれば良さそうかを判断 する力も必要です.受験に臨む前に,この場でしっかり確 認していってください.  では,もう一度問題を確認して,解答といきましょう. 問  実数 q が動くとき,xy 平面上の動点 P(0,sinq) および Q(8cosq,0) を考える.q が ≤ ≤0 2 q p の範囲を動くとき, 平面内で線分 PQ が通過する部分を D とする.D を x 軸 のまわりに 1 回転してできる立体の体積 V を求めよ. 《考え方》  まずは線分 PQ の通過領域 D を求めましょう.“直線” ではなく“線分”の通過領域という所が厄介ですが,2 点 P,Q の動きを見ることで,0 £ x £ 8,0 £ y £ 1 のみ考 えればよくなりますので,解決します.0 £ x £ 8 内で x を固定し,q の変化に対する y の変化を調べましょう.  D が求まれば,体積 V の計算方法自体はそう難しくな いので,計算ミスのないように丁寧に計算するのみです.  《解答》  2 点 P,Q の動きを考えることにより,領域 D について, 0 £ x £ 8,0 £ y £ 1 のみ考えればよいことがわかる. i) x = 0 上について, = 2 q p および点 P の動きを考え  ることで,0 £ y £ 1 となる. ii) x = 8 上について,q = 0 のときを考えることで,  y = 0 となる. iii) 0 < x < 8 の部分について考える.   直線 PQ の方程式は < <0 2 q p において y = - x + y = - x + sin 8 cos sin tan 8 sin -q q q q q  である.ここで x を固定し,q の変化に対する y の変化  を調べる. dy d = -x + =- x + 8 cos cos 8cos 8 cos 2 3 2 q q q q q  である.ここで,0 < x < 8 であるから,8cos3 q = x を  満たす q が < <0 2 q p にただ 1 つ存在する.これを a   とおく.   dy d + -y -(0) 2 0 (0) ( )

ª º

q º a º p q •  q = a のとき y = - x + = - + x = = -= - > sin 8 cos sin sin

8 cos • 8 cos sin 8 cos sin (1 cos ) (1 cos ) ( sin 0) 3 3 2 2 3 2 a a a a a a a (# a) a a a # a  であるから,8 cos = x cos = x 8 3 2 3

ª º

-a a より       y = 1- x 8 2 3 3 2

ª º

 である.よって,0 £ y £ 1 と合わせて,y のとり得る  値の範囲は       ≤ y ≤ - x 0 1 8 2 3 3 2

ª º

 である.   以上 i),ii),iii) より,領域 D を表す不等式は             ≤ x ≤ ≤ y ≤ - x 0 8 0 1 8 2 3 3 2

ª º

 である.よって,求める体積 V は

ª º

V = 1- x dx 8 2 3 3 0 8 p

      である.ここで,x= t 8 とおくと dx = 8dt ,  x t 0 8 0 1 ºº (*1) ºº (*2) ºº (*3)

(2)

 であるから

      V = - t dt = - t + t - t dt = t - t + t - t = 1 • 8 8 1 3 3 8 9 5 9 7 1 3 128 105 2 3 3 0 1 2 3 4 3 2 0 1 5 3 7 3 3 0 1

ª º

ª

º

p p p p  である. ■   《考察》  まずは《解答》に関しての補足です. ∑ (*1) について   = 2 q p のときは直線 PQ の方程式をこの形では表せな い(x = 0 となる)ことに注意してください.また今回, y の増減を調べる際に x = 0,8 があると面倒ということ を踏まえて,x = 0,8 上に関しては先に考えておきました. 細かい部分への配慮が必要ですね. ∑ (*2) について  8cos3 a = x を用いて x を消去し,一旦パラメータ表示 の形にしましたが,もちろんはじめから (*2) の一行上の 式に sin = 1-

ª º

X =

ª º

X 8 cos 8 2 3 1 2 1 3 a  a     , を代入して, a を消去する流れでもよいです(そんなに計算量は変わら ないと思います). ∑ (*3) について  計算が少々面倒であるため,x= t 8 と置換して計算し ましたが,もちろん置換せずに計算することも可能です (以下).

           V = - x + x - x dx = x - x + x - x = 1 3 8 3 8 8 9 5• 8 8 9 7• 8 8 1 3• 8 8 128 105 2 3 4 3 2 0 8 5 3 7 3 3 0 8

ª º ª º ª º

ª º

ª º

ª º

p p p  では,ここからは今回の問題のテーマである通過領域と 体積計算に関して考察していきたいと思います. <通過領域の求め方について>  通過領域の求め方には 3 つの方法があります. ! 順像法   x を固定し,パラメータの変化に対する y の変化を調  べる. @ 逆像法   動かす図形の方程式をパラメータについての方程式  と見て,そのパラメータが実数解として存在する条件を  調べる. # 包絡線の利用   動かす図形がパラメータの値に関係なく接する曲線  を持ち出し,図形を直接動かして考える.  《解答》では,! の手法で領域 D を求めました.この 手法の考え方は以下の通りです.例えば,x = 1 上の点で 線分 PQ の通過する点を考えます. x x = 1 Q 8 P 今回は上図のような感じだとイメージできますが,図はあ くまでイメージなので,実際には直線 PQ の方程式に x = 1 を代入し,q を動かしたときに y がとり得る値の範 囲を考えて求めます.このようなことを他の x の値に対 しても考えていけばよいのですが,もちろんすべての x の値に対して行うことはできませんので,ある x で固定 して,y のとり得る範囲を調べようという感じになります.  次に,@ の手法ですが,これは平面上の点に対して, 通過する点かどうかを考える方法です.例えば,点 (0,0) は通過する点かどうか考えます.これは直線 PQ の方程式 に当てはめることでわかります.     = -0 1 + = < < 8(tanq)• 0 sinq - q 0

ª

# 0 q p2

º

つまり q = 0 のときに通過することがわかります.このよ うに代入したときに q の値が与えられた範囲内に出てくる かどうかで,通過するかどうかを判断することができま す.もちろん平面上のすべての点に対して 1 つずつ調べる ことは不可能なので,点 (X,Y) が通過領域にあるための 条件,すなわち Y = -1 X + 8(tan )q sinq を満たす q が存 在するための条件を考えればよいということになります.

(3)

(@ の手法での解答)  通過領域 D 内の任意の点を (X,Y) とおく. (0 £ X £ 8,0 £ Y £ 1 だけ考えればよく,X = 0,8 上の 領域を = 0, 2 q p で考えておく部分までは《解答》と同じ)   < <0 2 q p のとき直線 PQ の方程式は y = - x + x + y - = 1 8(tan ) sin tan 8 8 sin 0 (*4) -q q q q ºº であるから,(X,Y) の満たすべき条件は Xtanq + 8Y - 8sinq = 0 を満たす q が < <0 2 q p に存在 するための条件として与えられる.  ここで,f(q) = Xtanq + 8Y - 8sinq とおく. f( )= X - = X -cos 8 cos 8 cos cos 2 3 2 q q q q q ′ であり,0 < X < 8 より,8cos3 q = X を満たす q が < < 0 2 q p にただ 1 つ存在する.これを a とおくと,増減 表は以下のようになる.   f - + f Y + (0) 2 '( ) 0 ( ) (8 ) ( )

ª º

q º a º p q q •  よって,求める条件は f X + Y - + Y - = X - + Y ≤ Y ≤ - > Y ≤ - X = X ( ) 0 tan 8 8 sin 0 8 cos •sin cos 8 8 sin 0 ( 8 cos ) sin (cos 1) 0 (1 cos ) ( sin 0) 1 8 ( 8 cos ) 3 3 2 2 3 2 2 3 3 2 3

ª º

-a a a a a a a # a a a a # a # a       となり,0 £ Y £ 1 より ≤ Y ≤ - X0 1 8 2 3 3 2

ª º

      となる. , = 0 2 q pのときと合わせると,領域 D は ≤ x ≤ ≤ y ≤ - x 0 8 0 1 8 2 3 3 2

ª º

            である.(以下,解答と同様) ■         1 点補足です.(*4) について,《解答》と同様に,この 形の直線 PQ の方程式は = 0, 2 q p では定義できないので 注意してください.また,PQ の方程式として

xsinq+ y8 cosq-8 sin cosq q=0ºº 1 x + y = 8 cosq sinq 1ºº 2 などの形で考えることもできると思います.  ①の場合は, = 0, 2 q p でも定義できるというメリット はありますが,左辺を微分したときに

xcosq - 8ysinq - 8cos2q

となり,増減を考えるのが厳しくなります.よって,この 形を選択するのは上手くありません.  ②の場合は, < <0 2 q p で定義され(つまり = 0, 2 q p については別に考える),次のように解答に至ることがで きます. (別解)   通過領域 D 内の任意の点を (X,Y) とおく.  (0 £ X £ 8,0 £ Y £ 1 だけ考えればよく,X = 0,8 上の 領域を = 0, 2 q p で考えておく部分までは《解答》と同じ)  (X,Y) の満たすべき条件は, X + Y = 8 cosq sinq 1 を満た す q が < <0 2 q p に存在するための条件として与えられ る. g( )= X + Y < < 8 cos sin 0 2 q q q

ª

q p

º

とおくと g = X -Y = X - Y '( )

8(cos ) sin (sin ) cos sin 8 cos 8 sin cos -2 -2 3 3 2 2 q q q q q q q q q

である.ここで X > 0,Y > 0 より,Xsin3 q - 8Ycos3 q = 0

を満たす q は < <0 2

q p においてただ 1 つ存在し,これ を a とおくと,増減表は以下のようになる.

(4)

なりますので,この場では割愛します.  今回の場合であれば,(@ の手法での解答)における f(q) に対して f = f = x = y = ( ) 0 '( ) 0 8 cos sin 3 3 -q q q q        と得られます.  しかし,解答にこの部分を書くことは控えた方が良いと 思います.解答を書く際には,包絡線の方程式をいきなり 持ち出して,その後にちゃんと直線 PQ と接することを確 認するという流れで書けば良いです. (# の手法での解答)  x = y = 8 cos sin 3 3 q q     が表す曲線を C とする. dx d = -dy d =

24 sin cos2 3 sin2 cos

q q q, q q q より, 0 2 q≠ , p のとき dy dx=- = -3 sin cos 24 sin cos 1 8tan 2 2 q q q q q であるから,q = t に対応する点における接線の方程式は y = - t x - t + t y = - t x + t t + t y = - t x + t 1

8(tan )( 8 cos ) sin 1

8(tan ) sin cos sin 1 8(tan ) sin 3 3 2 2 -となる.これは q = t のときの直線 PQ の方程式なので, 直線 PQ は曲線 C に接しながら動くことがわかる.  よって, = 0, 2 q p のときも考慮すると,領域 D は下図 の色つき部分である(境界含む). x Q 8 P y O 1 曲線 C    ■  1 点補足です.直線を動かす際には,包絡線の凸の向き が大切になります.包絡線が放物線になる場合などを考え   g - + g + + (0) 2 '( ) 0 ( ) ( ) ( )

ª º

q º a º p q q • •  よって,求める条件は g X + Y Y + Y Y ≤ ( ) 1 8 cos sin 1 1 8 cos • 8 cos sin sin 1 sin 3 3 3 -a a a a a a a a である.また,Y = sin3 a のときを考えるとX - = X = = -= - X

sin 8 sin cos 0 8 cos sin 0 sin 1 cos 1 8 3 3 3 3 3 2 2 3 1 2

ª º

-a a a a ( a π ) \ a a       であるから, Y ≤ 1- X 8 2 3 3 2

ª º

      である.    (以下,解答と同様) ■  最後に,# の手法についてです.まず結果から言うと, 今回の線分 PQ は q の値に関係なく,領域 D の境界線の 方程式      y = 1- x 8 2 3 3 2

ª º

に接しています.このようにパ ラメータを含む図形が,そのパラメータの変化に対して, ある図形に接しながら動くとき,そのある図形のことを包 絡線と言います.この包絡線を利用すると下図のように線 分 PQ の通過領域 D を図だけで判断することができます. x Q 8 P y O 1 曲線 C  さて,ここで肝心なのはこの包絡線をどうやって求める かですね.一般に,パラメータ t を含む図形の方程式を, t のみを変数とみて f(t) = 0 とした場合,包絡線は f t = f t = ( ) 0 '( ) 0    によって与えられます.この証明は,大学レベルの内容に

(5)

ればわかりやすいと思います.上に凸か,下に凸かによっ て通過する部分が曲線の上か下かが変わりますね.2 次関 数であれば大丈夫なのですが,未知の関数の場合において は,その凸性を 2 階微分して調べる必要があります. <体積計算について>  《解答》では領域 D の境界線の方程式として,a を消去 することで,y を x の式で      y = 1- x 8 2 3 3 2

ª º

という風に 表しました.しかし,もちろん a(パラメータ)を消去す るのが困難なケースもありますので,その場合はパラメー タを用いて体積の計算をすることになります.今回の場 合,領域 D の境界線は(《解答》の流れより)     x = y = 8 cos sin 0 2 3 3

ª

º

a a a p という形で表すことができますので,体積 V は V = y dx = - d = d

sin •( 24 sin cos

24 sin cos 2 0 8 6 2 0 2 7 2 0 2 p p a a a) a p a a a p p

を計算することによって求めることもできます.計算の続 きは以下の通りです. V = d = - d = - -+ - d = - - + -= 24 sin cos

24 sin (1 cos ) cos

24 (cos ) '(cos 3cos 3cos cos ) 24 1 3cos 3 5cos 3 7cos 1 9cos 128 105 7 2 0 2 2 3 2 0 2 0 2 2 4 6 8 3 5 7 9 0 2 p a a a p a a a a p a a a a a a p a a a a p p p p p

     ここでは置換をせずに処理しましたが,cosa = t とし て置換積分で計算しても構いません.

 また,sin7 acos2 a = sin7 a - sin9 a と変形できることに 注目して求めることもできます.この変形をした際の積分 は,漸化式を作る方法で解くのがよいでしょう.解答は以 下の通りです.  (別解)   I =n sin d n 0 2 a a p

とおくと I = d = -- n + - d = n + - d = n + I - I I = n + n + I sin sin sin cos

( 1) sin cos ( cos )

( 1) (sin sin ) ( 1)( ) 1 2 n+ n+ n+ n n n+ n n+ n+ n 2 1 0 2 1 0 2 0 2 2 0 2 2 2 a a a a( a) a a a a a a a \ p p p p

  である.よって I = I = I = I = d = I = I = 6 7 6 7• 4 5 6 7• 4 5• 2 3 16 35 sin 16 35 8 9 8 9• 16 35 7 5 3 1 0 2 9 7 a a p

であるから,求める体積 V は V = I - I = 24 ( ) 128 105 7 9 p p である. ■  いずれにしても,この積分計算はまあまあ大変なので, 今回は《解答》のように計算した方が良いと思います. <参考>  最後に,本問に登場した曲線についてですが x + y = 8 1 2 3 23

ª º

と変形できることから「あっ,あれっぽい」と思った人は いるでしょうか ?  これは入試でもたびたびとりあげられる“アステロイ ド”と呼ばれる曲線を少し変形したものです.一般に,“ア ステロイド”の方程式は x + y = a23 (a >0) 2 3 2 3 と表されます.a = 1 として,x 軸方向に 8 倍拡大したも のが今回の曲線です.

(6)

《おわりに》  センター試験まで残り 1 ヶ月となりました.難関国公立 大学を目指す上ではあくまで通過点に過ぎませんが,侮る と足元をすくわれますので,万全の態勢で臨んでくださ い.来春を笑顔で迎えられるように,あと少しです,頑張っ てください. (西村)

参照

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問題集については P28 をご参照ください。 (P28 以外は発行されておりませんので、ご了承く ださい。)

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