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[巻頭言]魚のへい死事例から水環境汚染を考える

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Academic year: 2021

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(1)1 8 9. ■巻. 頭. 言■. 魚のへい死事例から水環境汚染を考える 岡山県環境保健センター所長. 小. 倉. 肇. 河川,湖沼に関わる苦情事例中で,急性に起こ. イへい死事例は青天の霹靂であった。当時,コイ. る魚類のへい死事故の占める割合はかなり高い。. だけがへい死するのはおかしい,ヒトの新興感染. 住民にとってもすぐに目に付く事象で心配は大き. 症である SARS (重症急性呼吸器症候群) のような. い。魚も住めない水環境はわれわれにとっても一. 感染症ではないかと話し合っていたが,KHV が. 大事である。. 日本に入っている情報は持ち合わせていなかっ. これまでに,魚のへい死の原因が確定できたも. た。衛生研究所を併設しているわれわれのところ. のの中には酸素欠乏,石灰成分等の流入による. ではウイルス遺伝子を検出することはお手のもの. pH 上昇,シアンや消毒剤としての塩素等の有害. ではあったが,役割分担として水産試験場にお任. 物質によるもの,農薬汚染,防腐剤汚染等があっ. せして手を引いた。イスラエル,東南アジア由来. た。また,単独の原因ではなく複合毒性も考慮し. のウイルスが侵入してコイに感染したと考えられ. なければならない事態となっている。われわれは. るが,時系列では5月からコイのへい死が始まっ. 質量分析用ガスクロマトグラフィーによる有害化. た岡山県の事例が一番早く,ついで1 0月中旬に見. 学物質の多成分同時検出法を開発して,農薬なら. つかった霞ヶ浦の事例となっている。感染経路は. 約100種を一度に検出できるようにした。このよ. まだ不明のままである。コイの大量死は今なお続. うに原因究明対策をしているが,河川の場合は流. いているが,幸いというか宿主域がきわめて狭. れがあり,検体採取時にはすでに原因物質が流れ. く,Cyprinus carpia(マゴイ,ニシキゴイ等)以外. 去ってしまい原因特定に至らなかった事例も多. には感染しない様子である。最近の論文によれ. い。地域の振興局等による迅速な対応が是非とも. ば,遺伝子解析からはヘルペスウイルスではなく. 必要となってくる。. 新種のウイルスであるとの主張もあるが,川漁師. このほかに,慢性の経過をたどる内分泌攪乱化. にとっても鑑賞魚飼育業者にとっても頭の痛い,. 学物質による水環境汚染も,世代にわたって影響. 水環境を通じたウイルス汚染問題となっている。. が出るので問題が大きい。 「メス化する自然」の. ワクチン等の早急な開発が望まれる。. 元凶である女性ホルモン様作用を持つ化学物質が. われわれのところでは企画班を中心として,環. 多数見つかってきている。科学の進歩とあくなき. 境学習出前講座を充実してきている。 「川と生き. 便利さの追求がわれわれにしっぺ返しをしている. 物」を通じて子供たちに水環境について学習して. のかもしれない。いわゆる環境ホルモンの調査研. もらうことで子供たちの環境意識を高揚する大切. 究は地方環境研究所としても取り組まなければな. な業務と考えている。. らない重要課題となっている。 アユの冷水病等の魚特有の病気もあるが,コイ. きれいな自然を次の世代に残してやる義務を私 たちは負っている。. ヘルペスウイルス(KHV)感染による平成15年のコ. Vol. 29. No. 4(2004). ─1.

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