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ベーチェット病の視力予後に関わる因子についての検討

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原  著

〔書女医薦第難、鞘〕

ベーチェット病の視力予後に関わる因子についての検討

東京女子医科大学眼科学教室(主任:内田幸男教授)      イイコ   ノ     トモ    コ

     飯 野  倫 子

(受付平成3年9月14日) St“dies of Factors Associated witll the Visual Prognosis of Behget,s Disease          Tomoko IINO Department of Ophthalmology(Director:Prof. Yukio UCHIDA)       Tokyo Women’s Medical College   Using multiple logistic regression, the relation between visual prognosis and a variety of background factors and clinical observations in the first year after the onset of㏄ular symptoms was evaluated. A total of 116 patients with BehGet’s disease was examined over a three−year period.   Afinal visual acuity of less than O。1三n at least one eye was observed in a total of 45 cases(38.8%) (poor visual acuity group:Group I)while a visual acuity in excess of O.l was seen in 71 cases(61.2%) (good visual acuity group:Group II).   Uveoretinitis was the ocular manifestat三〇n observed in all Group I cases(p=1.01×10−5). Hypopyon was also seen significantly more often(p=1.71×10−11)in group I as compared to Group II patients. Moreover, the frequency of ocular attacks in the first year froln ocular onset was found to be statistically higher(p=3.0×10曹4)and the age of onset of ocular manifestations, significantly younger (p=3.27×10−2>in Group I patients. Among the factors investigated, the development of hypopyon and the frequency of ocular attack during the year fo}lowing the onset of㏄ular manifestations seem to be factors most closely indicative of the prognosis for visual acuity of BehGet’s disease.          緒  言  ベーチェット病は主として眼,口腔粘膜,皮膚, 外陰部に再発性の急性炎症症状を呈する慢性再発 性の疾患である.特に主症状の1つである眼病変 は出現率が高く,本邦における成人のぶどう膜炎 の中で高率を占めるぽかりではなく難治性で高度 の視機能障害を来し失明率も高い.しかも本症は 20歳代後半から30歳代,40歳代の中壮年層に好発 するため社会的に大きな問題となっている1)2).  ところで眼病変の内でも炎症の主座が眼底にあ る網脈絡膜炎型症例では,炎症再発の度に網膜神 経要素への障害が強くやがて高度の視力障害を来 しやすいので,眼発作の再発頻度を低下させるた めに全身療法も必要とされる3).活動性の高い症 例では薬剤導入を早期に開始し充分な用量を維持 したいところであるが,現在全身療法に用いられ ている薬剤は腎,肝,造血器,生殖器などに種々 の副作用を生じるため,これら薬剤の投与は慎重 に行わざるをえない.  すでに教室では本症においてステロイド長期内 服例,網脈絡膜炎を有する例で視力予後が悪いこ とを報告してきた4)5>.しかしこれまでに視力との 関連が示されている因子は視力不良に至った時点 で明らかになることが多く,眼発症初期に得られ る病態や症例の背景因子と将来の視力との関連は 検討されていない.もし本症の眼症状が認められ てから初期の段階で得られる臨床所見などから将 来の視力予後が推定できれぽ,本症のように長い 経過をとる疾患では治療計画および患者の生活設 計をたてる上で役立ち,医学的にも社会的にも意

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義深いものと思われる.そこで,今回は経過観察 初期に得られるデータのいくつかと視力との関係 について検討し,視力予後に寄与する因子につい て検索したので報告する.          対  象  1980年1月より1990年12月までの11年間に東京 女子医科大学眼科ぶどう膜外来を受診した,厚生 省診断基準3)を満たすべーチェット病症例のうち 眼症を有し,しかも眼病変について3年間以上当 科にて定期的に経過観察の行いえた116例を対象 とした.  その内訳は男性69例(22∼73歳,平均43.2±8.8 歳),女性47例(27∼81歳,平均50.3±13.9歳)で あり,経過観察期間は平均97.6±54.2ヵ月 (37∼246ヵ月),眼発症よりの期問は平均9.1±5.0 年(3∼21年)であった.またこの内82例(70.7%) がコルヒチン,ミゾリどン,シクロスポリン,非 ステロイド性抗炎症剤などを単独または併用で内 服していた.  当科受診前に3ヵ月以上にわたるステロイド全 身投与を受けていた症例,および中等度以上の白 内障,角膜病変など視力に影響する眼病変を有す る症例は対象より除外した.しかし人工的無水晶 体眼,偽水晶体眼で手術による影響が視力に及ん でいないと判断された症例は対象に加えた.          方  法  1.視力  終診時から遡って最も近い時期でしかも寛解期 の最高矯正視力を用いた.これに基づき左右少な くともいずれかが視力0.1未満眼の症例(以下,視 力不良群)と両眼とも視力0.1以上の症例(以下, 視力良好群)との2群に分けた.  2.視力予後に関わる因子  視力予後に関わる因子として問診および眼科的 診察にて以下の所見を観察した.さらに必要な項 目については厚生省診断基準3}に準拠しこれを分 類した.  1)性  2)三型  完全型および不全型.  3)眼症の型  網膜ぶどう膜炎型(以下,眼底型)および虹彩 毛様体炎型(以下,前眼部型).なお両眼性の症例 で片眼ずつ眼症型が異なる例は眼底型とした.  4)初発年齢  本症の4主症状のいずれかが初めて認められた 年齢を初発年齢とした.当科で確認できた所見以 外は詳細な問診によって得られた年齢を採用し た,  5)眼発症年齢  本症による眼症状を初めて認めた年齢とした, 当科で確認し得なかった症例では詳細な問診に よって得られた年齢を用いた.  6)初発より眼発症までの期間  4)から5)までの期間を月単位で調べた.眼症状 が初発症状の場合は0ヵ月とした.  7)眼発症から1年間の眼発作回数(以下,眼発 作回数)  眼症状開始より1年間に認めた眼発作回数を, 左右眼は別々に数えその和をもって1年間の眼発 作回数とした.網膜ぶどう膜炎,虹彩毛様体炎, その両者の併発のいずれであっても1眼に生じた 場合を1回とした.  8)眼発症1年での罹患眼数  眼発症から1年の時点で眼症状が両眼性か,片 眼性かを調べた.  9)前房蓄膿  眼発作に伴った前房蓄膿もしくは隅角蓄膿の有 無を観察した.  3.統計処理  2群問の比較は1),2),3),8),9)の項目では Fisherの直接確率検定を用い,4),5),6),7)の 項目については多重ロジスティック回帰の最尤 法6)7)を用いて検定した.  視力良好一不良確率の予測は項目の選別に逐次 変数減少法(選択基準は5%有意)を用いた多重 ロジスティック回帰の最尤法6)7)により求めた.          結  果  1.対象の視力による分類  視力不良群は45例(38,8%),視力良行群は71例 (61.2%)であった.

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 2.視力不良群と視力良好群との比較(表1,図 1,2,3,4)  眼症の型,前房蓄膿,’眼発症年齢,眼発作回数 において,視力不良群と良好群の間に有意の差が 認められた.  すなわち視力不良群は,全例が眼底型であり (p=1.01×10−5),視力良好群に比べ前房蓄膿を有 する例が多く(p=1。71×10−11),眼発症年齢が低 く(回帰定数=0.0437,標準誤差(以下SE)= 0.0204,p=0.0327),発作回数が多かった(回帰 定数=一〇.612,SE=0.168, p=0.0003).  しかし性(p=0.0529),病型(p=0.673),眼発 症1年目の罹患函数(p=0.397),初発年齢(回帰 定数=0.0204,SE=0,0185, p=0.271),初発より 眼発症までの期間(回帰定数=0.0333,SE= 0.0296,p=0.26)では明らなか差を認めなかっ た.  3.眼底型症例のみで視力不良群と視力良好群 の比較(表1,図1,2,3,4)  前眼部型を含めて検討した場合と同様,視力不 良群では視力良好群に比べ有意に前房蓄膿を認め る例が多く(p=1.22×10−8),眼発症年齢が低く 表1 視力不良群と,視力良好群および視力良好群のうち眼底型症例との比較  (性,病型,眼症の型,前房蓄膿の有無,眼発症1年目の罹患眼数について) 視力不良群 視力良好群 Fisherの直接確率 (1)全体 in=45) (2)全体 in=71) (3)眼底型 in=50) (1)と(2) (1)と(3) 性 男女 32 P3 37 R4 33 P7 0.0529 iNS) 0,662 iNS) 病 型 完 全 D.s 全 30 P5 47 Q4 31 P9 1.00 iNS) 0,673 iNS) 眼 症 眼底型 O眼部型 45 O 50 Q1 50 O 1,01×10−5 前房蓄腱 有無 33 R 17 T2 15 R3 1,71×10−11 1.22×10−8 1年目榊 ?ウ眼 片.眼 シ 眼 933 659 640 0.0919 iNS) 0,397 iNS) 寧(1)n=36, (2)n=69, (3)n=48, **(1)n=42, (2)n=65, (3)n=43i 視力不良群は視力良好群に比べ眼底型症例,前房蓄膿を有する例が有意に(p=1.01× .10−5,p=1.71×10−11)多かった.また眼底型症例のみの比較では視力不良群は視力良好群 と比べて前房蓄膿を有する例が有意(p=L22×10−8)に多かった. (例鋤 15 (D視力不良群(n=45) 10 5  初発0 年令 0   ん14  15∼19  20∼24  25∼29  30∼34  35∼39  40∼44  45∼49  50∼54  55∼59  60∼ (2)視力良好群(n=71) 5 10. 15 z眼底型 ?O眼部型 臼)と(2);NS (1)と②の眼底型;NS (例数) 図1 視力不良群と,視力良好群および視力良好群のうちの眼底型症例における初発  年齢  初発年齢は視力不良群と視力良好群,眼底型症例のみでの視力不良群と視力良好群  との間のいずれにも差はみられなかった。

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(D視力不良群(n=45) (例数)       眼発症  20  15  10   5   0 年令 D        15∼19        20−24        25∼29        30∼34        35∼39        4G∼44        45∼49        50∼54        55∼59        6D∼ (2)視力良好群(n=7D 5  10  15  20 (例数) z眼底型 □前眼部型        (1)と〔2>;P=0、0327        〔1}と〔2)の眼底型;P召0、0467 図2 視力不良群と,視力良好群および視力良好群の  うち眼底型症例における眼発症年齢  視力不良群の眼発症年齢は視力良好群に比べ有意に  (p=0.0327)低く,視力良好群の中の眼底型症例と  比べても有意(p=0.0467)に低かった. (例数) (1)視力不良群(n=45) 15   10   5  初発∼ 眼発症迄の 0 期間 0・

 0

 ∼lY  ∼2Y  ∼3Y  ∼4Y  ∼5Y  ∼6Y  ∼7Y  ∼8Y  ∼9Y  ∼10Y  10Y∼ (2)視力良好群(n=71) 5 10   15 (例数) z眼底真 田前眼部型       〔】)と〔2);NS       〔リピ2,の眼底型;NS 図3 視力不良群と,視力良好群および視力良好群内  の眼底型症例における初発から眼発症までの期間.  初発から眼発症までの期間は視力不良群と視力良好  群,視力不良群と視力良好群内の眼底型症例のいず  れにも差はみられなかった。 (回帰定数=0.0455,SE=0.0229, p=0.0467),眼 発作回数が多かった(回帰定数=一〇.588,SE= 0.174, p=0.0007)。  性(p=0.662),病型(p=0.673),眼発症1年 目の罹患眼帯(p二〇.397),初発年齢(回帰定数= 0.0184,SE=0.0205, p=0.369),初発より眼発症 までの期間(回帰定数=0.0353,SE=0.0317, p= 0.265)は両群問で差を認めなかった.  4.視力良好一不良確率の予測  逐次変数減少法により全項目の中から発作回数 が選択され,定数=6.07,回帰定数=一〇.612で あった.これによると発作回数が11∼12回以上で は視力不良となる確率が視力良好となる確率より 高くなると予測された.なお感度=86.7%,特異 (例数) (D視力不良群(n=15) 10 5 0回数0発作 〔2>視力良好群(n=38) 5 10 (例数) ム 葦 暑

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島 罷 揖 il 冨 粥 z眼底型 口前眼部型        rDと「2};P=O.0003        {Dと{2)の隈底型;P=0,0007 図4 視力不良群と,視力良好群および視力良好群口の  眼底型症例における眼発症から1年問の眼発作回数  視力不良群の眼発症から1年間の眼発作回数は視力  良好群に比べ有意に(p=0.0003)多く,視力良好群  の中の眼底型症例と比べても明らかに(p=0.0007)  多かった. 度=94.7%,正紙面=92.5%(49/53)であった.  更にこの他の項目より重複しない因子を探索し たところ,発作回数と前房蓄積の2項目が選択さ れた.ここで前房蓄膿有り=1,無=0とおくと 定数=9,50,前房蓄膿の回帰定数=一5.92,発作 回数の回帰定数=一〇.457であり,前房蓄膿有りの 場合は発作回数6∼8回以上で視力不良となる確

率が高くなると予測された.この時の感度=

92.3%,特異度=97.2%,正診率=95.9%(47/49) であった.          考  察  眼病変を伴うベーチェット病の視力予後に寄与 する因子を明らかにするために,本症の病態およ び背景因子と視力との関連性を検討し,また視力 良好一不良確率の予測を行った.  視力と視力予後に関わる因子を検討するに当 たって眼発症から3年以上経過した症例を対象と して,寛解期の最高矯正視力のうち低い視力を代 表値として選択し,視力0.1未満と0.1以上の2群 に分けて比較した.視力の基準を0.1としたのは視 力0.1未満では家の中で身の回りのことはできる が,社会生活には支障を来し就業が困難であると 考えられているからである.また明らかな白内障

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を有する例,ステロイド長期内服例は対象より除 いた.白内障に起因する視力低下は手術により視 力の回復を望み得ること,ステロイド内服例は視 力予後が悪いことが明らかになっている上現在で は基礎治療としてステロイド内服がすでに行われ ていないこと3)4)による.  また今回の検討では将来の視力予後を眼発症後 早期に予測することを目的としたので,検討項目 は一般的な眼科診療ならびに問診によって容易に 得られる所見または情報で,しかも眼発症後1年 以内に得られるものとした.なお期限を1年とし たのは本症では病態に季節変動があり8)少なくと も1年間の観察が必要と考えたためである.  統計処理には多重ロジスティック回帰を用い た.この方法は一般に危険因子の解析や疾患発症 予測に有効であるとされ,特に検討因子間に相互

の関連がある場合に優れているとされてい

る6)7).今回は視力0.1未満になることを疾患発症 と仮定し解析を行った.  今回視力不良群は116例中45例(36.8%)で,全 例眼底型症例であった.  視力不良群と良好群との間に有意差が認められ た項目は,眼症の型,前房蓄膿,眼発症年齢,眼 発作回数であった.  この中で眼症の型では視力不良群は全例眼底型 でその頻度は視力良好群に比べ有意に高かった. 一般に前眼部型では眼発作時の眼局所の消炎と瞳 孔管理が適切であれぽ,直接網脈絡膜に不可逆的 な傷害を起こすことはなく予想された結果であっ た.前眼部型では眼活動性が低くむしろ眼外症状 が強いなど眼底型とその病態の傾向が異なり9), 視力不良群と良好群の差が前眼部型症例を含むか 否かによって生じている可能性もあるので,さら に眼底型症例のみを対象として視力良好群と視力 不良群とを比較した.しかしその結果は前眼部型 症例を含んで両群の比較をした場合と同様であっ た.  前房蓄膿は本症に特徴的な症状であり105例中 50例(47.6%)で認められた.この結果はこれま での報告10>11)に比べやや高頻度であった.これは 通常の細隙燈顕微鏡検査では認められない場合は 隅角鏡にて隅角蓄膿の有無を確認していること, 対象に重症例が多いことなどによると考えられ る.また今回眼底型の84例中48例(57.1%)に比 ・べ前眼部型では21例中2例(9.5%)にしか前房蓄 膿を認めなかった.前房蓄膿は本来は前眼部型発 作の最たるものであるが,虹彩毛様体炎のみを繰 り返す前眼部型の症例よりも,より重症で虹彩毛 様体炎に加えて眼底にも種々の病変を繰り返し起 こす眼底型症例に明らかに高頻度に観察されるこ ともわかった.前房蓄膿は本症の病態の1つの特 徴である好中球の遊走と深く関わっており,一般 に眼発作時でも炎症が高度の時に認められる.し かし強い眼発作を頻繁に生じる症例でも注意深い 観察にも関わらず,前房蓄膿を全く認めない場合 もあった.従って前房蓄膿を生じる例と生じない 例との間に何らかの相違があり,これが眼症状の 全体像,ひいては視力に大きく影響していると推 測された.  眼発症から1年間の眼発作回数は,視力不良群 では6回以上であり95%以上の症例では10回以上 みられた.一方良好群では約70%が,眼底型のみ を見ても60%以上が5回以内であり視力不良群と の聞に著明な差を認めた.  眼発症年齢のピークは視力不良群では30代前半 に良好群では40代前半に見られ,視力不良群が良 好群より有意に眼発症年齢が低く,眼発症年齢が 低い例ほど注意深い経過観察が必要で薬剤の選択 に当たっても配慮を要すると思われた.  以上のように今回の結果から視力不良群は視力 良好群に比べて眼底型症例が多く,前房蓄膿を認 める例が多く,眼発症から1年間の眼発作回数が 多く,眼発症年齢が低いということが明らかに なった.  この結果を基に視力良好一不良確率の予測を 行ったところ視力予後に最も寄与している因子 は,眼発作回数であり,次には前房蓄膿であった. すなわち前房蓄膿の有無に関わらず眼発作回数が 11∼12回以上の例で,また前房蓄膿を認める例で は眼発作回数6回以上で視力不良となる確率が高 くなると推測された.眼発症から1年間の眼発作 回数と前房蓄膿の有無の2項目を用いた予測を本

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検討の対象に当てはめてみるとその正診率は

95.5%であり,感度,特異度ともに高くこの予測 の信頼性は高いと考えられた.  1年間の眼発作回数11∼12回というとほぼ毎月 眼発作を生じ,前回の発作が消炎する間もなくす ぐに次の眼発作が生じる繰り返しとなることが少 なくない.眼発症早期からこのような高頻度の発 作を認めた例では,早急に充分な治療を開始すべ きと考えられる.年間6回目眼発作という平均し て2ヵ月毎に眼発作を生じていることになり,重 症感は比較的少ない.しかし前房蓄膿を有する例 では積極的な治療が必要と考えられる.すなわち 眼発症後早期から2ヵ月に1回以上の眼発作を生 じさらに前房蓄膿を認めた場合,または前房蓄膿 は認めなくとも発作をほぼ1ヵ月毎に繰り返して いる症例では視力不良となる確率が高いので,厳 重な経過観察と速やかに積極的治療を開始するこ とが必要であると考えられた.          結  論  ベーチェット病の視力予後に関わる因子を眼発 症後早期に明らかにすることを目的に,眼症を有 するベーチェット病症例116例を対象として,多重 ロジスティック回帰の最尤法を用いて本症の病態 および背景因子と視力との関係を検討し,更に視 力予後良好一不良確率の予測を行い以下の結果を 得た.  1)病眼あるいは両眼の視力が0.1未満である症 例は45例(38.8%)であった.  2)片山あるいは両眼の視力が0.1未満である症 例は全例網膜ぶどう膜炎型症例であり,また両眼 の視力が0.1以上である症例に比べて統計学的に 前房蓄膿を有する例が多く,眼発症年齢が低く, 眼発症から1年間の眼発作回数が多かった.  3)網膜ぶどう膜炎型症例のみを対象としても, 片眼あるいは両眼の視力が0.1未満である症例は 両眼の視力が0.1以上である症例に比べて有意に 前房蓄膿を有する例が多く,眼発症年齢が低く, また眼発症から1年間の眼発作回数が多かった.  4)義眼あるいは両眼の視力が0.1未満になる確 率の予測をしたところ,眼発症から1年間の眼発 作回数と前房蓄膿の有無の2項目で最も有効な推 測ができた.この予測によると眼発症から1年間 の眼発作回数が11∼12回以上で,また前房蓄膿を 認める場合は眼発作回数6∼8回以上で片眼ある いは両眼の視力が0.1未満となる確率が高くなる と推測された.  以上より,ベーチェット病では眼発症後早期か ら2ヵ月に1回以上の眼発作を生じさらに前房蓄 膿を認めた場合,または前房蓄膿は認めなくとも 発作をほぼ1ヵ月毎に繰り返している症例では, 厳重な経過観察と速やかな積極的治療の開始が必 要であると考えられた.  稿を終えるにあたり御指導,御校閲を賜った内田幸 男教授に深謝致します.また直接御指導戴きました小 暮美津子教授に感謝を捧げるとともに,ご協力戴いた 眼科学教室の品評生方に厚く御礼申し上げます.          文  献  1)小暮美津子,川本麻也,高橋義徳ほか:東京女子   医大眼科のべーチェット病統計.厚生省特定疾患   ベーチェット病調査研究班 昭和63年度業績:   70−71, 1989  2)湯浅武之助:ベーチェット病の疫学と臨床統計.   眼科 33:225−232,1991  3)水島 裕,稲葉午朗,三村康男ほか:ベーチェッ    ト病診断・治療の手びき.厚生省特定疾患ベー   チェット病調査研究班 昭和61年度業績:10−29,   1987  4)小暮美津子,大野弓子,島川真知子:ベーチェッ    ト病の治療.臨眼 34:1017−1024,1980  5)小暮美津子,大野弓子,島川真知子ほか:眼科的   立場からみたBehget病の臨床像.日眼85:   2064−2071, 1981  6)Hosmer DW, Lemeshow S:Applied Logistic   Regression. pp1−24, Wiley, New York(1989)  7)井上通敏,辻岡克彦:多重ロジスティック関数   一解説.最新医学 33:15−18,1978  8)小暮美津子,島川真知子,吉川啓司:ベーチェッ    ト病眼再発の季節的変動.眼臨 78:1478−1482,   1984  9)小暮美津子,大曽根倫子,若月福美ほか:ベー   チェット病の眼症状と眼外症状.厚生省特定疾患   ベーチェット病調査研究班 昭和61年度業績:   235−238, 1987  10)田中孝男,高野 繁,関 文治ほか:当教室にお   けるベーチェット病の統計的観察.眼科27:   1577−1581, 1985  11)樋口真琴,大野重昭,小阪 貴ほか:北大におけ   る最近のべーチェット病の動向.眼科26:   267−270, 1984

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