(東女医大誌第54巻 第 5
号
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頁 469-476 昭和59年5月 87〔 学 会 〕
東 京 女 子 医 科 大 学 学 会 第
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回例会抄録
日 時 昭 和59年 2月17日(金〉午後1時30分より 場 所 東 京 女 子 医 科 大 学 第 二 臨 床 講 堂 1.サイクロスポりンA による免疫応答の修飾作 用の機序の解析 1.B
細胞反応に対する影響 (微生物)0
鎌 形 有 祐 ・ 内 山 竹 彦 ・ 河 野 雅 子 ・ 吉 岡 守 正 免疫抑制剤のサイグロスポリンA (CsA)はT細胞 に著明な免疫抑制作用があるが B細胞に対する抑制 作用も報告されており, B細胞の分化過程に及ぼすCs Aの影響の解析を試みた. 方法・動物 C57BL/6"7ウス8-10週齢, In vitro 組織培養 5% CO2培養器でClick'smediumを用い て牌細胞を培養した.CsA: 原末をエタノールと Tween80中に溶解し,種々の濃度にPBSで希釈した. 抗原:T依存性抗原としてTNP-羊血球, T非依存性 抗原としてTNP-Brucellaabortus (TNP-Ba)を用い た.牌細胞処理:T細胞をモノクロナールantiB抗体 で 除 去 し 羊 血 球 感 作T
細胞をナイロンウールカラム 通過法または,マイトマイシンC
処理〔細胞2
X 107個当 たり20μg)で、得た. T細胞ファクター:同系マウス牌 細胞にConAを加え, 20時間培養後の上清を用いた. 免疫応答の測定:J
eme plaque法で抗体産生細胞数 を算定した. 結果:正常無免疫マウス牌細胞において TNP-羊血 球に対する抗体産生はCsA 100ng/mlで約90%抑制 されたが, TNP-Baに対する反応は20%以下の抑制で あった.また,抑制はCsAを培養開始後, 48時間以内 に添加した場合に認められた.その抑制が, T,B細胞 のどちらにも働く可能性があるため以下の実験を行 なった.牌細胞からT細胞を除去し,代わりにTRF,ま たは, CsAに 抵 抗 性 を 持 つ と さ れ る 感 作T細 胞 (MMC処理〉を培養開始時に加えた時には免疫抑制効 果が著明に減少した.以上の結果より,T
依存性抗原 に対するB細胞サブセットもT非依存性抗原に対する B細胞サブセットと同じくかなりの抵抗性を有するこ と,また, B細胞の抗体産生細胞への分化の際, T細 胞ファクターの有無により CsA
に対する感受性の変 化が示された.現在,さらに詳しく実験を継続中であ る 2.ヌードマウス臓器中の銅,亜鉛およびマンガン 値について 〔内科1)0
竹内富美子 〔無機化学〉岩佐需子 ヌードマウス臓器中の微量金属値については,内外 を通じ報告が全く見られない. 今回,私達はヌードマウス臓器中の銅 (Cu),亜鉛 (Zn),マンガン(Mn)値を,先に報告した同じ測定法, すなわち日本ジャーレル・アッシュ製原子吸光装置 AA-845型を用い,アセチレン空気のフレーム法で測定 した.なお,この測定に際し,肺および筋のCu,Zn,Mn 債は非常に低値が推定されたので,今回は一部のヌー ドマウスを除き, 2匹の肺および筋を 1回のCu,Znお よびMn値の測定に用いた. 測定結果はμg/g wet weightで示した. 臓器平均(以下略す)Cu値は,肝Cu値が他の腎, 肺,筋Cu値に比し,最も多く,ついで、腎Cu値が多く, 筋Cu値は最も低値を示した.性別では雄ヌードマウ スCu値は雌ヌードマウスCu値より,高値を示した が,肝Cu値については,雄ヌードマウスCu値 が 雌 ヌードマウスCu値の約2倍の高値を示した. 臓器Zn値は, Cu値と同様,肝Zn値が他の腎,肺, 筋Zn値に比し最も多く,ついで腎Zn債が多く,筋Zn 値が最も少なかった.性別では肝および腎Zn値は雄 ヌードマウスZn値が雌ヌードマウスZn値 よ り や や 高値を示したが,肺および筋Zn値では,これが逆転し ていた. 臓器Mn値は,肝および腎Mn値が高値を示し,肺 および筋Mn値は低値を示したが,腎Mnイ直はばらつ-469-88 きが著明であった.性別では雄ヌードマウスMn値が 雌ヌードマウスMn値より高値であり,肺Mn値はこ れが逆転していたが,肝および筋Mn.債では性差は僅 少であった. 各臓器のCu,ZnおよびMn値を雄,雌ともに平均し た値でみると,臓器Zn値が他の臓器Cu値およびMn 値より最も多く,次に臓器Cu値が続き,臓器Mn値は 最も低値を示した.この臓器Zn値に対する Cuおよび Mn 値の割合をみると, Cu値 はZn値 の 約14%より 23%, Mn値はZn値の0.5%より 4 %に相当した. 質問 (微生物〉内山竹彦 野生のネズミと実験用飼育マウスの聞で亜鉛の量に 差がありますか? 応答 (内科1)竹内富美子 野生のネズミについては微量金属の測定を行なって おりません. 3.腕痛についての臨床病理学的検討(第2報) (第二病理) O佐 藤 昭 人 ・ 森 本 紳 一 郎 ・ 本 多 忠 光 ・ 豊 田 充 康 ・ 嶋 田 誠 ・ 藤 波 佳 代 ・ 梶田 昭 (外科〉 中 谷 雄 三 ・ 鈴 木 忠 ・ 織 畑 秀 夫 1981年4月から1983年10月までの当教室における原 発性肺癌およびその他の肺腫蕩の手術例について臨床 病理学的検討を加えたので報告する. 原発性肺癌の手術例は34例で,年齢は49歳から75歳 にわたり, 60代がその約半数を占めている.また男女 比をみると, 26: 8と圧倒的に男性に多いが,年々, 女性の占める割合の増加が目立っている. 初発症状をみると,もっとも多い自覚症状は咳歎で あり,次いで疾あるいは血疾が多く,一方, 13例は無 症状で胸部