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自伝的記憶に基づく学習方略の獲得過程と使用・変容過程に関する研究

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(1)学 位 論 文. 自伝的記憶に基づく学習方略の獲得過程と.   使用・変容過程に関する研究.  兵庫教育大学大学院.   学校教育研究科    学校教育専攻. 教育内容・方法開発コース.   MO5042F   糟 谷 真 一.

(2) 【目次】. 問題と目的…  6…  89・…  g g・。。. ・ 1. 方法・・・・・・・・…  6・・9・σθ8…. ・ 9. 結果・・・・・・・・・・・・・…  ■6・…. ・13. 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・…  6σ. ・28. 引用文献・・・・・・・…  働・・…  。..。 ・35.

(3) 【問題】.  学校での学習といえば,先生の言ったこと,教科書に載ってい. ることを覚えることであるような受動的なものであるというイ メージを多くの人が持っているのではないだろうか。しかし最近 では,学習において自ら学ぶ力の重要性が指摘されている。自ら. 学ぶには,どのように学習を進めていくのか,どうすれば効果的. に知識を身につけることができるのかといったことを自分で考 えることが必要であろう。そして,より良い学習方略を身に着け,. 使用することで効率のよい学ぴを実現できるのだろう。.  これまでの研究で,学習課題により適した学習方略を使用する ことが効率の良い学習につながることが示されてきた。では,そ の学習方略はどのようにして身に着け,使用していくのであろう. か。まず学習方略を使用するには,学習方略を知っていなくては ならない。しかし,学習方略はただ教えるだけでは使用につなが らないことが指摘されている。それでは,どのような介入をすれ ぱ適切な学習方略を考え,使用するようになるのだろうか。そこ. で,最近の学習方略に関する研究では,学習方略の使用と関係す る様々な要因を取り上げ,学習方略の使用との関係を明らかにし ている。. 一皇 始めに,学習方略と一言で言っても様々な方 略があるだろう。これまで多くの研究者により様々に分類され,. 検討されている。その中でも,佐藤(2004)は学習方略を,学.               1.

(4) 習を効果的にするために自己の状態を整える「調整方略」と,学. 習者が学習内容に直接働きかけて理解や記憶を促進するために. 用いる方略である「処理方略」に分けて,性質の異なる2つの方 略の関係について検討している。その結果,「調整方略」を「処 理方略」よりも高次に位置する学習方略と捉えることが妥当であ る可能性が示されている。.  学習方略の使用と関係のある要因として,学習に対するやる気 の度合いである動機づけが重要となるだろう。個人の学習に対す る動機には様々なものがある。具体的には,「先生になりたいの で,まず大学に入るために勉強しなければならない」,「新しいこ とを学ぶことが楽しいから学習する」,「周りがみな勉強している. ので自分もなんとなくやっている」など,このような動機づけは,. 従来,内容が面白いから学習するという内発的動機づけと,人か. ら言われたり外部の圧力によったりして学習する外発的動機づ. けに分けて考えられてきた。しかし,この2つだけでは説明の難 しい部分もあったので,堀野・市川(1997)は,高校生の英語 学習における学習動機と学習方略の関係について検討し,この問. 題にアプローチしている。そこでは,学習動機を,従来の「内発 的」,「外発的」ではなく,学習内容の重要性と賞罰の直接性とい. う2要因によって構造化された「2要因モデル」として捉え,学. 習方略と成績との関連をモデル化している。2要因,6種類に分 けられた学習動機とは,知的好奇心や向上心のために学習する 「充実志向」,学習は知力を鍛えるためと捉える「訓練志向」,仕. 事や生活に役立つ知識や技能を得るためという「実用志向」,友. 達や先生などにつられて勉強するという「関係志向」,他者にほ.               2.

(5) められることを目的に学習するという「賞賛志向」,報酬や学歴,. 出世のために学習する「報酬志向」とされる。2要因モデルによ り,内発的・外発的だけでは捉えにくい細かな動機づけの位置づ. けが可能となっている。その結果から,動機づけを学習内容の重. 視の度合いから,「内容関与的動機」と「内容分離的動機」にグ ルーピングし,学習方略との関連を分析している。その結果,内. 容関与的動機が高いと,体制化方略,イメージ化方略,反復方略 の全ての方略の使用を促し,内容分離的動機の高低は学習方略の. 使用とはほとんど関係のないことが示されている。そこから,能 動的な学習方略を使用するためには,学習内容の重要性を認識す るような動機づけが必要だと指摘している。.  伊藤(1996)は,動機づけの要因として,学習に対する自信 を示す自己効力感と教科の内容の重要性やおもしろさである内 発的価値を取り上げ,中学生を対象に国語の学習方略について検 討している。その結果,学習方略としては,一般的な認知方略や. 復習・まとめ方略など5因子が見出され,自己効力感と内発的価 値はすべての方略と高い相関が得られている。.  また,佐藤(1998)は,学習方略の有効性の認知,コストの 認知,好みが,学習方略の使用に及ぼす影響について調べている。. 佐藤(1998)では小・中学生に対して質問紙調査を行い,「有効 性が高く認知され,より好まれた学習方略ほど使用が多く,コス トが高いと認知された学習方略ほど使用が少ない」という結果を 得ている。.  さらに,植木(2000)では,学習とはどのようにして起こり,. どうすれば効果的にすすむのかといった学習に対する信念を学.               3.

(6) 習観として,学習方略の使用との関連を分析している。この研究 では,普段はあまり意識されているとは限らないであろう学習観 に着目している。学習観を高校生の自由記述からのボトムアップ 的な調査により,学習方法を工夫しながら学習することに重点を 置く「方略志向」,学習の量や学習にかける時問を重要視する「学. 習量志向」,塾や家庭など良好な学習環境が大切であるとする「環. 境志向」の3つに分けている。そして「精緻化方略」と「モニタ リング方略」に着目しその関係を検討している。.  また,村山(2003)は,テスト形式が学習方略に与える影響 について検討し,記述式テストを課された群と,空所補充型テス トを課された群では,使用する学習方略が異なることを示してい. る。空所補充群では意味的な符号化を伴わない単純な反復リハー. サルなどの浅い処理の学習方略使用の使用が,記述群では,内容. 問の関連や学習内容と知識との結ぴつきを意識した学習方略の 使用がそれぞれ促進されるとする結果を挙げている。. 杢一究 これまでに学習方略と各要因との関 係は数多く検討されている。そして,それぞれの要因と学習方略 の使用との関係が明らかにされてきた。それぞれの知見を生かし,. 学習方略指導の参考にするためには,さらに各要因がどのような 関係にあるのか検討し,それぞれの特性を知っておく必要がある。. しかし,各要因はそれぞれ場合分けされているので,それぞれの. 関係をひとつずつ丁寧に調べていくとたいへん複雑になると考 えられる。.  そこで,本研究では,学習方略の使用を促す介入の手がかりを.               4.

(7) 得るために,学習者が実際にどのように学習方略を1獲得し,使 用し,変容させてきたのか,そのきっかけを探ることを目的とし た。実際の学習場面で学習方略はどのように認知され,獲得され るのか,また,使用・変容していくのかを調べることで,学習方. 略の指導の際にはどの要因に着目して介入していけばより効果 があるのかがはっきりしてくるのと考えられる。さらに,実際の 学習場面での獲得過程を知ることで,これまで各々に検討されて. きたいろいろな要因同士がどのような関係にあるのかについて も検討したい。.  すでに,伊藤(2002)では,動機づけの観点から学習経験に よる学習方略の獲得過程について検討されているが,ここでは,. 4年制大学生と短期大学生で,学習方略を自ら獲得したのか,他 者から獲得したのかに分け,その使用程度についてと,どのよう. な方略を獲得したのか,また動機づけについて差が見られるかど. うかを質問紙調査により調査している。その結果から,4年制大 学生の方が,自ら効果的な学習方略をよく使用していることを明 らかにしている。そして,自ら自己調整的な学習方略を獲得し,. よく使用している人は,内発的動機づけが高く,外発的な動機づ. けが低いことを示している。また,他者から獲得した学習方略が. 動機づけにつながっていないことを挙げ,動機づけに関わらず,. 働きかけによって学習方略の獲得と使用を促すことができる可 能性があることを指摘している。しかし,この研究では,学習方 略の獲得過程を,他者から獲得したのか,自身で獲得したのかに. 1本稿では,獲得・使用・変容を特に区別はしていない.               5.

(8) 分けて検討しているのみであり,どのようなきっかけで学習方略 が獲得されたかについて詳しく調査されていない。.  また,実際の教授場面から見ると,佐藤(2001)では,教師 を学習方略の知識のリソースとして取り上げ,教師の学習方略の. 指導,有効と考えている学習方略,児童・生徒の学習方略使用状 況について,小学校教師と中学校教師との差を検討している。こ. の研究では,メタ認知方略と作業・認知的方略の各学習方略につ いて,普段どの程度指導しているか,それらの学習方略について どの程度の有効性を認知しているか,児童・生徒の学習方略使用. はどの程度かについて,教師に質問紙によって調査している。結 果として,小学校・中学校の教師は作業方略と認知的方略を有効 であると捉え,よく指導していることが示された。小学校教師と 中学校教師の間の違いについては,学習方略の指導及び有効性の. 認知に対して有意な違いは見られていない。指導と使用に関して. は,小学校では教師の学習方略に対する有効性の認知・指導と児 童の使用には有意な相関関係が見られたが,中学校では,それら. の関係は小学校に比べて低いものであった。これは,学習方略の. 指導は,小学生に対してより有効であるという結果であろう。た だし,この研究では,学習方略の使用に関しても教師の側からみ たものなので,少なくとも小学校の教師は中学校の教師よりもそ のように考えているということであろう。.  このような先行研究から,本研究では,小学校の教師を対象に,. ①実際に彼らがどのように学習方略を獲得・使用・変容させて きたのか,そのきっかけを探るとともに,②実際に学習方略を.               6.

(9) どのように児童に教授しているのか についてデータを得るこ ととした。まず,教師は自身の学習経験とともに,教えるという. 立場から学習方略について普段からよく考えていると考えられ るので,自身の学習体験を思い出しやすいだろうということ,そ して,実際に教える立場の教師自身が,どのような動機づけによ. って学習していたか,どのような学習観を持っているのか,児童. に対してどのような指導を行っているのか,どのような指導を行. えば学習方略の使用を促すことができると考えているのかにつ いても尋ね,小学校において学習方略の指導がどのように行われ ているのかについても検討する。. 杢一旦二二乏 本研究では,学習方略の獲得・使用・変容 に関しては,学習方略と関係する動機づけなどの諸要因を細かく. 分類せず,学習方略の変化に焦点を絞って検討することとした。 まず,方略の獲得・使用・変容はどのようなきっかけであったの. かということを尋ね,そのきっかけを先行研究で明らかにされ て きた各要因と照らし合わせて検討するスタイルを取ることで,ど. のような要因が実際の学習の場で学習方略の獲得・使用・変容に. 関わってくるのかを検討する。また,そのきっかけが今まで検討 されてこなかったものであれば,学習方略と関わる新たな要因と して新たに検討する必要も出てくるだろう。.  ところで,一般に,過去に経験したさまざまな個人的出来事に. 関する記憶を自伝的記憶(autobiogmphicalmemory)という(雨 宮・関口,2006)。雨宮ら(2006)によると,自伝的記憶とは「自. 己に深くかかわる出来事であり,感情から強く喚起された出来事.               7.

(10) や人生における重要な出来事」とされている。小学校,中学校,. 高校,あるいは大学を通しての「学習やテスト勉強」に関する記 憶も,おそらく,自己にとって重要な記憶であり,単なるエピソ ード記憶とは異なる面を持つであろう。  本研究では,学習場面での学習方略の使用を,その獲得・使用・. 変容のきっかけに焦点を絞って,対象者の「学習経験」に関する. 自伝的記憶の中から引き出して検討するため,インタビュー形式 にすることとした。鎌原・宮下・大野・中澤(1998)によれば,. インタビュー法には,①ひとつの質問に対して質問紙法よりも. より深く尋ねることができる。②質問に対して不明な点があれ ばさらに詳しく尋ねることが可能である。 などの利点がある。. 対象者との相互作用から主観が入りやすいことや,対象者の数が. 限られるといったデメリットもあるが,会話の中で過去の学習経 験,学習に関する自伝的記憶の内容をより鮮明に思い出すことに よって,学習行動とともにそのときの感情や動機などについても. 聞き出すことができるという点でこの方法が妥当であると考え られる。また,学習観などについては,普段から意識していない. こともあるので,対象者にとっては質問紙に回答するよりも,想 起した内容をそのまま口述する方が容易であろうと思われる。イ. ンタビューは半構造化インタビューとして計画するが,その過程. における柔軟な展開についての工夫により,この領域に関する対. 象者の自伝的記憶にアプローチできるのではないかと考えられ る。. 8.

(11) 【方法】. 墨L象 本研究の対象者は,教職経験7年以上の小学校教師24人 であった。本研究では,自身の学習経験とともに,小学校教師と. しての経験もふまえて学習方略の教授方法などについて回答を 求めたいので,新任の教員は避け,ある程度の経験のある者を選. 定した。全員,教職経験が7年以上であった。 対象者はまず筆者と面識のある人にお願いし,順に紹介してもら う形をとった。.  。の 浩 面接では,まず,小学生から高校生くらいまでの学 習活動全般について振り返ってもらった。「好きな教科や,得意 な科目はなんでしたか」,「苦手な科目はありましたか」,「親や塾. や友達など,学習に対する環境はどのようなものでしたか」など の導入的な質問をした。そして,学習に対する意欲・態度はどの ようなものであったか,当時は学習に対してどのような考えを持 っていたのか,学習への動機づけはどういったものであったのか などについて,「コツコツ勉強する方でしたか」,「何のために勉. 強していましたか」,「勉強はどういうふうにしていましたか」な. どの質問をし,全般的に語ってもらった。その中で,どのような. 方法を使って学習していたのかについて,「実際に普段の学習や テスト勉強はどんなやり方でしていましたか」というように質問 し,思い出しながら答えてもらった。.  ある程度当時の学習状況を振り返ってから,使っていた学習方.               9.

(12) 略はいつごろどのように獲得し使用していたのか,または変容し. たものか,なぜ使っていたのかについて,「その方法は,いつご ろ,なぜ使うようになりましたか」,「誰かに教えてもらったので すか」などの質問をした。.  また,学習観について,「学習内容はどのようにすれば効果的 に身につけることができると考えていますか」と尋ね,その後,. 植木(2002)に沿って,方略志向,学習量志向,環境志向につ いて説明し,自分の学習観はどれに当てはまるか,小学生が学習. する場面ではどのようなことが重要であると思うかについて尋 ねた。.  終わりに,現在小学校の教師として,「子供たちに,学習内容 意外に,勉強のやり方について教えることはありますか」と質問 し,あればどんなことを教えているのか,それはどういう理由か らなのかについて質問した。さらに,「学習方略を定着させるに. はどのようなことが必要と考えられますか」と質問してインタビ ューを終えた。. 10.

(13) 纏五 8畳ほどの教室に来てもらい行った。Figure1のよ うな状態でインタビューを行った。. 本棚. ま  ど. ドア. 廊. 調査◎者. ◎. 下. 冷蔵庫 本棚. Figure1. 一 まず,許可を得た上でICレコーダーに 録音し,質問に対しての答えと,キーワードになるような言葉を 書き起こした。.  半構造化面接により,自由に当時の学習について思い出して語 ってもらえるように配慮した。できるだけ対象者の語りの流れを. 崩さないようにしたが,学習方略についての話題になったときに. はなるべく対象者の話を妨げないような形で掘り下げて質問す るように配慮した。また,当時の学習活動について,現在の考え. が混ざらないように,学習感や教師としての教授場面は最後に質 問した。.               11.

(14)  事前に質問事項をまとめた用紙を持参し,質問項目に不備がな いように確認するようにした。. 戸    面接爵間は30分から50分くらいであった。.      時期は2006年8月∼11月であった。. 12.

(15) 【結果】.  インタビューは,それぞれの質問の回答や会話の中で出てきた キーワードなどを,導入部分,学習への態度,学習観,使用して. いた学習方略の獲得・使用・変容過程とそのきっかけ,現在の学. 習方略指導に分類し,できるだけ対象者の発言のとおりに,. Figure3∼Fig皿e5のような形に一人分をB4用紙一枚に記 入していった。さらに各人の違いを検討しやすいように表に整理 したものと合わせて検討した。.  小学生から高校生くらいまでの学習を振り返ってもらった中 で,使用していた学習方略について,調整方略と処理方略を使用. していたものと処理方略のみを使用していたものに分け,Table 1に示した。. Table1 対象者が使用していた学習方略. 学習方略の分類  学習方略 計画を立てる. いろいろ試してみる 処理方略 無回答. 13. 5ー    ワ 1ー1. 調整方略. N.

(16)  使用していた方略について,調整方略を使用していた6人は同 時に処理方略も使用していた。調整方略を使用していたものの内 訳は,「計画を立てる」としたプランニング方略が5人,「いろい. ろなやり方を試した」とした柔軟的方略が1人であった。.  調整方略を使用していたものも含めて,処理方略を挙げた対象 者は,とにかく書く,ひたすら暗記する,何回も教科書を読み直. すなどの単純な作業方略を挙げたものが23人中17人であっ た。.  対象者一人が使用していた学習方略の数は1つか2つが19 人と大半で,3つの方略を使用していたものが4人であった。.  佃・  ・亦依のきっかけ.  なぜその方略を使い始めたのか,その方法に変えたのかについ. て24人中17人から18個の回答を得た。Table2はその結果 を示したものである。. 14.

(17) Table2 学習方略の獲得・使用・変容のきっかけ. 獲得・使用・変容のきっかけ. N. テスト・受験のため(変容). 学習する量が増えたから(変容) 先生の影響(獲得・使用). 学習内容が難しくなったから(変容) おもしろいから(獲得・使用). 集中できるから(獲得・使用) 効率よくしたいから(変容). 失敗を繰り返す中で学んだ(変容).  テストがきっかけになって学習方略を変えたとするものが6 人,学習する量が増えたからとするものが4人,先生の影響が3 人,その他に,内容が難しくなったから,集中できるから,効率. よくしたいから,失敗を繰り返す中で学んだが各1人であった。  テストがきっかけになったとは,「中学生になって,テストの 重みが小学校の時よりも増したので,テストでいい成績を取るた めに当時使用していた学習方略を使うようになった」というもの. や,「高校受験の時に受験用の学習方略を使い始めた」などが含 まれていた。.  学習量が増えたからとは,「高校生になって学習内容が増え,. これまでに使っていた丸暗記やとにかく書いて覚える,等の方略 では追いつかなくなった」などであった。. 15.

(18)  ≧への  づけと 議’方.  小学生から高校生にかけて,何のために勉強していたか尋ねた. ところ,22人から回答を得た。受験のためが多く,ついでテス トのため,将来教師になるため,やっていておもしろいなどのい. ろいろな回答が得られた。堀野・市川(1997)により,学習内 容との関わりから分けるとTable3のようになった。. Table3 学習への動機づけ. 学習動機. N. 内容関与的動機づけ.  1. 内容分離的動機づけ.  内容関与的動機づけが4人,内容分離的動機づけが18人とい う結果となった。内容関与的な動機づけをしていた4人に対して,. その使用方略をみてみると,やっていて楽しい,おもしろいが3 人,わからなくなるのが嫌だというものが1人であった。内容が. おもしろいから勉強していたという3人の方略は「繰り返しす る」,「問題集を3回する」などの単純な作業方略を使用していた。. わからなくなるのが嫌だと答えた対象者は内容を理解すること を重視し自分で整理し納得するために教科書をまとめ直すとい った体制化方略を使用していた。.  一方で,内容分離的な動機づけをしている対象者は,「他人の 目があるのでよい成績をとりたい」のような賞賛志向のものや, 「偏差値の高い大学に行きたい」という報酬志向のものなど,内.              16.

(19) 容への興味より,良い点をとりたいという動機づけがある。この 中には,「他人の目があるのである程度の成績をとっておきたい」. や「教師志望なので教育大学に行かなくてはならない」という目 標のためにある程度の成績をとりたいものもあった。.  どのようにすれば効率的に学習できると思うか,植木(2002) による,方略志向,学習量志向,環境志向についての説明をした. 上で,3分類の中からどれが効率のよい学習のために良いと思う かという質問に,23人から回答を得た。2つ以上を挙げたものも. いたためその順位を含めて整理したものがTable4である。. 17.

(20) Table4 学習観. 学習観 3位. 1位. 2位. 方略志向. なし. 方略志向. 学習量志向. 環境志向. 方略志向. 環境志向. 学習量志向. 学習量志向. なし. 学習量志向. 方略志向. 環境志向. 学習量志向. 環境志向. 方略志向. 環境志向. なし. 環境志向. 方略志向. 学習量志向. 環境志向. 学習量志向. 方略志向. N. 23. 注1.「方略志向」とは学習方法を工夫しながら学習することに 重点を置く学習観,「学習量志向」とは学習の量や学習にかける. 時間を重要視する学習観,「環境志向」とは塾や家庭など良好な. 学習環境が大切であるとする学習観. 注2.順位は一番大事だと思うもの,次に大事だと思うもののよ うな表現で回答があったもの. 注3.「なし」とはその他の志向は必要ないという意味である.  一番大事だと考える学習観が,方略志向のものが7人,学習量. 志向が6人,環境志向が10人であった。それぞれ,2つ以上の              18.

(21) 学習観について重要だと考えているものについて詳細を見ると,. 方略思考を一番重要だと挙げたものの中で5人が次に環境志向 を挙げ,学習量志向が一番重要だと考えているものでは,4人が 方略思考を次に挙げている。環境志向を一番重要だと挙げたもの. は,環境のみ重要だと答えたものが2人,次に方略が重要だとす るものが5人,学習量が大事だとするものが3人であった・.  また,学習観について,3つについて説明した後に「どれが重 要だと思いますか」と質問したところ,「自分ですか,子供です か」というような質問が返ってくることが多かったので,その場. 合は対象者の今の学習観について回答してもらった後,さらに 「子供の場合ならどうですか」と児童に対してどのような学習観. を持っているのかについて尋ねた。児童の学習については,「小 さいほど環境の影響を受けやすい」や「小さいほど本人の努力で はどうしようもない部分が大きい」といった回答が得られた。ま. た,「小学生がどの方法がいいのか分からないので,量をこなす ことや,アドバイスをくれる人がいることの方が重要になる」や. 学習量志向が重要だと考えているが「よい方法が身につけば方略 志向が先にくる」といった回答も得られた。. 》’.  と. づけ・ 羽 クラスター.  使用していた学習方略と学習への動機づけ,学習観のそれぞれ. の傾向から,対象者24人をいくつかのグループに分類するため に,学習方略,学習への動機づけ,学習観に関する8つの変数を クラスター分析に投入する変数として設定した。まず,使用して. いた学習方略については,①調整方略,②深い処理方略,③浅.              19.

(22) い処理方略の3つに分け,使用の有無で1,0とした。動機づけ. は,①内容関与的と②内容分離的で分け,それぞれ1,0と した。学習観については,①方略志向,②学習量志向,③環 境志向でそれぞれ,一番大事だと考えているものに3,二番目に. 大事なものに2,三番目に大事なものに1を付し,大事だとは考 えていないものについては0とした。例えば,「方略志向が大事 で,次に学習量志向,環境は必要ない」という回答ならば,それ. ぞれ3,2,0とした。各変数の値を,平均0,標準偏差1になる よう標準化し,その標準化得点をもとに平方ユークリッド距離を. 算出し,Wardの最小分散法による階層的クラスター分析を行っ た。.  その結果をデンドログラムとして示したものがfig皿e2であ る。.   1,   6・    卜’   糾一ず    ン.   蝦一. 凹齢..   1叡…・. 対埠 象 彗ll卜一等} 卜 ’・. 者2憲1:1二1:1二___ ’.   lll二llll二二二1二}鶯一 え               ま. 齢… ・・←_ノ…’. ●”. 、茎... o. 20. 40. 60. 圖o. 距離. Figure2学習方略・学習への動機づけ・学習観対象者のクラス       ター分析の結果(デンドログラム)               20.

(23) これによると,クラスター数を3としたときが最も階層が把握. しやすかった。Table5はその結果を示している。. Table5 クラスターごとの人数. クラスター. 人数. クラスター1. 13. クラスター2.  4. クラスター3.  7.  クラスター1は13人,クラスター2は4人,クラスター3は 7人であった。クラスター2は,内容関与的な動機づけを示して いた4人が当てはまった。内容関与的動機づけをしているものは,. 学習方略の使用について,ひとつのグループとして共通性がある. ことが示された。クラスター1と,クラスター3については,ど ちらも内容分離的な動機づけをしている点で共通性があるが,そ. れぞれ使用していた学習方略や学習観については,クラスターご. とに特徴は見られなかった。クラスター1と,クラスター3はど ちらも内容分離的な動機づけであるが,クラスター1については, 「人に負けたくない」,「やったらやった分だけ成績が上がるので. 楽しみだった」など,人よりよい成績を取りたいといったものが. 多くみられた。また,「高3の10月に受験勉強が間に合わない ことに気づいた」というような,学習方略を見直さないとならな. い状況に追い込まれたような発言もあった。対して,クラスター 3では,「受験のための勉強」,「テストのため」といった記述が.              21.

(24) 多く,「学習に対する目的意識はない」というような回答もあっ た。.  クラスター1から3の,それぞれの典型的な例を示したものが,. Figure3から:Figure5である。. 22.

(25) 導入. ・数学は解けたときのおもしろさが好き ・教えるのは国語や社会,いろいろな答えがあってなるほどとおもう ・中学・高校では日本史・世界史が苦手. 動機づけ コツコツ勉強したいと思っている 負けず嫌いな性格 成績順に席替えをしていたこと. 受験前に大学を見てやる気になった. → なんでもっと早く・・. 学習観. 楽しいときによく身につく 方法,環境,量. がむしゃらに量をするのは3番目 コミュニケーションが大事. 方略. ・ひたすら暗記 ・高校 今 教科書を読んで図にまとめる ・社会は暗記 → 後になって無駄やったなあ,テスト終わったら忘れ  るから ・中学 → 中間テストで計画表を立てた(先生に細かいところまで立  てさせられた)→ 効果があった,時問を把握できた ・高校で量が増えた,方略が変わった。数学,できるものは飛ばす。英  語,解いては書き・・. ・上手に勉強してた方ではなかったとおもう. 教授. 型があるものは教えるといい. Fig皿e3クラスター1の典型的なタイプ. 23.

(26) 導入. 5年生のときの先生がおもしろかった,日本全体のこと → 社会が 好き. 数学・科学・物理が苦手,計算 動機づけ 言われたことは絶対してた. なんのために勉強するのか,あんまり考えたことないけどテストの点 ではない,競争でもない わかんなくなるのが嫌 小学校の時から教員を意識していた 中学校 今 順位,負けたくない,高校受験のため 学習観. 意味をしっかり,背景とか,身につけていくこと 表面的なものは短期聞ではがれてしまう気がする 量が大事,時間より量,10回感じを書いたこと 分からないこと,部分が分かってたらその部分を理解するために時間 をかける. 決まった量をこなす → それに対して方法や量を工夫する 方略. プリント・参考書を見直す やり方どうこうはあんまり変わらなかった 友達のやり方やってみたり ひたすら書く 社会とか,自分でもう一回まとめる く一 中学校,定期テストがあっ てやり始めた とにかく手を動かす 後から見られるようにする ノートにまとめる,整理. 自分の中で納得させて必要なものを付け加える 算数の通分が分からない → ひたすら考えてやった記憶 ← 最 初にやった勉強 教授. 書いて残そう ← 自分がやってきたところ 書かない宿題は出さない 聞くのもノートには書けと言う 漢字の成り立ちを書いてる子をみんなに紹介したこと. Fig皿e4クラスター2の典型的なタイプ 24.

(27) 導入. ・歌が好き,小学校からピアノを習ってた ・国語,本を読むのが好き ・英語 → 今は好き ・苦手なところをどうやったら克服できるのか考えるのが楽しい 動機づけ 好きな科目はコツコツ勉強する. テストがあるから,ある程度取らないといけないというプレヅシャー があった 祖父が厳しかった 友人と勉強の話はしない 大学受験は年末から,塾は行かない,そんなに勉強してない 学習観 事象に対して意味づけをする. どうしたら効率的に身につくか考える どうやったら量を苦痛なくこなせるか,環境を整える 方略. 中学までは授業だけ,予習,復習はしない 高校,数学,できる友達に聞いた 英語,テープ,書く,いろいろ試した 先生の言ったとき,自分の状況とセットで覚える 社会は漫画,本,テレビなど側面から覚える → 勉強はしない ながら勉強 追い込まれないとしないタイプ 参考書が好き → 社会は勉強するより参考書を読む 教授. 自分のやってきたものでよかったもの 意味づけて覚える みんなでやる,一人一人に答えさせる ノートの取り方 助けることはできるけど,自分に合っているかは分からない. Fig皿e5クラスター3の典型的なタイプ. 25.

(28)  普段の授業の中で学習内容とは別に学習方略について,どのよ. うなことを教えますかという問いに対してTable6のような結果 を得た。. Table6 指導する学習方略. 指導する学習方略. N. ノートの取り方や線の引き方などの具体的な方法. 1. 精緻化方略 ほとんどない.  ノートの取り方など具体的な方法を教授するというものが大 半で,精緻化方略を教えているというものが2人であった。.  学習方略の使用を促すにはどうすればよいと考えているか と質問したところ,Table7のような結果を得た。実際にそのや り方を使わせてみる,有効性を示しながら教授する,他の児童の 良い,または悪い例のノートを見せるなどがあった。. 1人が体制化方略を教えていた。. 26.

(29) Table7 学習方略の使用促進に有効だと考える要素. 学習方略の使用促進に有効な要素 有効性を伝える. 繰り返しやらせる. いろいろ教える中で自分のやり方を見つけさせる. 27.

(30) 【考察】.  本研究の目的は,学習方略使用を促すために,どのような介入 をすればよいのかを探るために,実際の学習方略の獲得・使用・ 変容の過程を探ることであった。.  使用していた方略について,調整方略を使用していた6人は同 時に処理方略も挙げていた。調整方略の内訳はプランニング方略. が5人,柔軟的方略が1人であった。佐藤(2004)が,認知的 方略については,ふだん意識せずに使用している可能性があると 指摘しているが,ここでもその可能性が考えられる。  処理方略を挙げた対象者は,とにかく書く,ひたすら暗記する,. 何回も教科書を読み直すなどの単純な作業方略を挙げたものが ほとんどであったことや,1人が使用する学習方略の数は1つか. 2つがほとんどであったことから,学習場面によっていろいろな 学習方略を使い分けることは少なく,教科や内容が変わっても同 じ方略を使用していたと考えられる。.  また,途中で方略を変えたり,新しい方略を使い始めたりとい うことはほとんどみられなかったことから,実際に普段の学習に. おいて,学習方略を替えてみたり,工夫してみたりすることはあ まりないのではないかと考えられる。.  先行研究では,質問紙によって使用している学習方略を選択す る形のものがほとんどであるので,知っている方略と実際の学習. 場面で使用する方略の区別があいまいになり,実際に使っていな. い方略についても使用していたと記述している可能性があるの.              28.

(31) ではないかと考えられる。もちろん,過去を思い出しながら語っ. てもらっているので,いくつかの印象的な学習方略しか思い出せ ていないと考えることもできるが,その場合でもある程度長く使 っていた,もしくは意識して使っていた学習方略を思い出してい ると考えられるので,学習方略を意識して使うようにするための. 介入方法を探る本研究の目的に照らし合わせても,妥当であると いえるだろう。この点については,実際の学習場面を観察するこ とによって明らかにする必要があるだろう。.  使用していた学習方略の使用・変容のきっかけについて,「テ ストの内容の変化」,「テストの学校生活に対する重みの変化」な. どのテストがきっかけとなっているものと「学習する量が増えた. から」というような学習量が増えたからというものが多数である ことから,実際の方略の使用・変容は,教師になりたいとか良い. 大学に入りたいといった目標への動機づけとの関連より,自分が 置かれている環境の変化により意識され,変えられていくことが 多いと考えられる。また,現状の中で自らより良い方略に変えて いこうとするよりも,状況に適応するように変えていくものだと 考えられる。.  学習に対する動機づけとして内容関与的な動機づけをしてい た4人は,やっていて楽しい,おもしろいという3人と,わから. なくなるのが嫌だという1人に学習方略の面で分けられる。内容 がおもしろいから勉強していたという3人の方略は「繰り返しす る」,「問題集を3回する」などの浅い処理の学習方略を使用して. いた。逆に,教科内容が好きだと,「勉強しないでも授業の内容.              29.

(32) がスーッと頭にはいってくる」や「自分では学習しているつもり はなかったが,資料集を眺めたり,関連するテレビ番組を見たり. することが,学習になっていたのかもしれない」といった発言が あったことから,おもしろいということは,ある程度内容を理解 していて,自然と学習内容が既存の知識と結ぴついていっ左り,. その内容に触れていること,つまり量をこなすことに対する抵抗 がなく,効率よくしたいと考えないので,意識して方略を工夫す る必要を感じないのではないかと考えられる。.  わからなくなるのが嫌だと答えた対象者は内容を理解するこ とを重視し自分で整理し納得するために教科書をまとめ直すと. いった体制化方略を取っていた。体制化方略は,堀野・市川 (1997)では学業成績と関係のあるとされた方略である。内容 を理解することに重点を置いているため,有効な方略を考え,選 択したのではないだろうかと推測できる。.  一方で,内容分離的な動機づけをしている対象者は,「他人の 目があるのでよい成績をとりたい」のように自信を保つために学 習するものや,「偏差値の高い大学に行きたい」というものなど,. 内容への興味より,良い点をとりたいという思いがある。また, 「他人の目があるのである程度の成績をとっておきたい」や「教. 師志望なので教育大学に行かなくてはならない」という目標のた めに,「ある程度の成績を取れればよい」といったものもあった。. この結果からは,内容分離的な動機づけであっても,学習目標を. 常に高いところにおいているものと,浅い処理の学習方略でもあ. る程度の学習によって達成されるところに目標を置いているも のでは,学習方略への意識に違いが出てくることが予想される。.              30.

(33)  学習観について,2つ以上の学習観について重要だと考えてい. るものが多かったことは,受験前の高校生を対象とした植木 (2002)の結果と異なっており,時期や学習経験によって学習 観は変化していくものと考えることができる。学習観が,成長の. 中で確固とした信念ではなく発達や学習経験によって変化して いくということは,学習観に介入することで学習方略の変容を促 す可能性があるといえる。.  また,児童の学習について,児童は環境の影響がより大きいと. 考えているものが多数であったことから,小学校の授業は,学習 方略を意識し,自ら効率的な学習方略を使用できるようになるこ とよりも,学習方略を含め,教科内容に対する興味・関心を養う 場であると考えている教師が多いといえるだろう。.  学習方略の指導についてはノートの取り方などの作業方略を 教授することが多く,そのほかは認知的方略であり,柔軟的方略 などの調整方略を教えているものはいなかった。この結果は,佐. 藤(2001)にも見られ,佐藤が指摘するように,教師が調整方 略の有効性を認知し,指導していく余地があると考えられる。.  学習方略,学習への動機づけ,学習観に関する8つの変数をク. ラスター分析に投入する変数として設定し,Wardの最小分散法 による階層的クラスター分析を行った。3つのクラスターに分類 しそれぞれの特性を検討した。その結果,クラスター2は内容関. 与的な動機づけをしているグループ,クラスター1とクラスター 3はどちらも内容分離的な動機づけであるが,クラスター1では,               31.

(34) 人よりよい成績を取りたいといった傾向があり,また,従来の方. 略を使っていたのでは受験に間に合わないというような発言が みられた。対して,クラスター3では,受験やテストのためとい った回答が多かった。.  テストである程度の結果を修めるという目的よりも,よりよい. 得点を取りたいという方が,人と競争するという観点からより効 率のよい学習方略を使わなければならない必要性があると言え, 目標設定がある基準に決まっていたり,目標が特になかったりと. いったクラスター3より,人よりよい成績を取りたいといったク ラスター1の方が学習方略に対する意識が高いのではないかと 言える。しかし,実際に使用していた学習方略に特徴的な違いが. ないことから,クラスター1の方がよりよい学習方略を意識し使 うためのコスト感が薄いと考えられる。.  本研究は,学習方略使用を促すために,どのような介入をすれ ばよいのかを探るために,まず学習方略の獲得・使用・変容の過. 程を探ることを目的とした。方法として,インタビュー形式でデ ータを集めたが,質問紙による自由記述では得られないような回 答を多数得ることができた。その反面,質問に対する回答が得ら れていなかったり,時間の制限などもあったりして,データをう. まくとれなかった部分があった。また,自伝的記憶として扱った. 意義について,これまでの学習をどのように行ってきたのか,ど のような変化があったのか,短いインタビュー時間の中で思い出 したものは,学習経験の中でも重要でインパクトのあるものだと. 考えられるので,方略使用に対しても長期的にみても効果のある               32.

(35) 知見を得るという点で,妥当であったと考えられる。.  本研究の結果から,学習方略を意識して使用したり変えたりす るのは,テストの形式や学習する量などの学習環境が変わったと きであり,内容をどれだけ理解したいと思っているかといった目. 標への動機づけの高さや,学習内容への興味・関心といった要因 が主に関係していることが示唆された・実際の学習場面で学習内 容への興味・関心や個人の目標を操作することは難しいと考えら れるので,テスト形式や学習量を変えることが最も有効であると. 考えられる。村山(2003)でも,記述式と空所補充式テストを 課した群間で使用する学習方略が違うことが示されているが,そ こでは授業の最後にテストを課している。今回の結果から,定期. テストや受験などの比較的長い期間においてもその効果がある と考えられる。.  本研究では,児童への学習方略の教授行動についても検討する ために,対象者を小学校教師に限定したが,学習遍歴に偏りがあ る可能性がある。今後は,様々な学習経験を持つものに対して学 習方略の獲得・使用・変容について調べていくことが必要である。. また,従来の枠にとらわれないように,インタビュー形式により. 特徴的な回答や多数意見をもとに結果を考察したが,今回得られ. た知見をもとに質問紙調査などにより量的に検討することで結 果を確認することが必要であると考えられる。.  また,従来の枠にとらわれず,学習方略の変化に対象を絞って. 検討したため,あいまいな部分が多くなってしまった。学習方略 については,調整方略なのか,繰り返し読むなどの浅い処理の処. 理方略なのか,関連づけて覚えるなどの深い処理のものであるの               33.

(36) かなどに分類し,調整方略や深い処理の認知的方略に絞って検討 することも必要だろう。また,学習目標が,今使っている学習方. 略で成し遂げられる範囲にあるかどうかという点が,学習方略の 使用との深い関係があることが示唆されたことから,学習目標と 学習方略の関係についてもさらに検討する必要があるだろう。. 34.

(37) 【引用文献】. 伊藤崇達 1995 学習方略と原因帰属・自己効力感との関連 日  本教育心理学会第37回総会発表論文集,174.. 伊藤崇達 1996 学業達成場面における自己効力感,原因帰属,  学習方略の関係 教育心理学研究,44,340−349.. 伊藤崇達 2001 学習方略の発達に関する研究 日本教育心理  学会第43回総会発表論文集,480.. 伊藤崇達 2002a 学習経験による学習方略獲得過程の違い 一.  4年生大学生と短期大学生を対象に一 日本教育心理学会第  44回総会発表論文集,51.. 伊藤崇達 2002b 学習方略の獲得過程と動機づけ 一4年生大  学生と短期大学生を対象にした調査による検討一 神戸常盤  短期大学紀要,24,23−28.. 堀野 緑・市川伸一 1997 高校生の英語学習における学習動機  と学習方略 教育心理学研究,45,140−147.. 鎌原雅彦・宮下一博・大野木裕明・中澤潤 1998 心理学マニュ  アル質問紙法,北大路書房。. 丸山真名美 2002 学習方略に関係する要因についての検討  心理発達科学論集,32,23−26.. 森陽子2003自己制御学習における学習方略について広  島大学大学院教育学研究科紀要(第一部,学習開発関連領域) 52,53∼58.. 35.

(38) 村山航2003テスト形式が学習方略に与える影響教育心  理学研究,51,1−12.. 佐藤 純 1997 学習方略の使用と達成目標及び原因帰属との  関連 日本教育心理学会第39回総会発表論文集,397.. 佐藤 純 1998 学習方略の有効性の認知・コストの認知・好み  が学習方略の使用に及ぼす影響 教育心理学研究,46,367−376.. 佐藤 純 1999 学習方略の知識と使用に関する研究 日本教  育心理学会第41回総会発表論文集,462.. 佐藤 純 2001 教師の学習方略指導に関する研究 日本教育  工学雑誌,25,49−52.. 佐藤 純 2005 学習方略に関する因果モデルの検討 日本教  育工学会論文誌28,29−32.. 植木理恵 2000 高校生の学習観の構造と学習方略の関連につ  いて 日本教育心理学会第42回総会発表論文集,176.. 植木理恵 2002 高校生の学習観の構造 教育心理学研究,50,  301−310.. 植木理恵 2004 自己モニタリング方略の定着にはどのような.  指導が必要か 一学習観と方略知識に着目して一’教育心理  学研究,52,277−286.. 36.

(39) 【付記】. 本研究を進めるにあたり,指導教員として懇切丁寧なご指導を賜りまし. た兵庫教育大学の天根哲治助教授,並びに,中間発表の場などにお いて,有益なご助言を賜りました正司和彦教授をはじめ教育内容・方法 開発コースの先生方に深く感謝申し上げます。. また,本研究に快くご協力いただきました,小学校の先生方に心よりお 礼申し上げます。. さらに,ご指導,ご助言をいただきました天根ゼミの皆様にも深く感謝 申し上げます。. 平成18年12月20目.    糟谷真一. 37.

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参照

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