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音楽を用いた子どもの「心理的居場所感」促進に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)音楽を用いた子どもの「心理的居場所感」促進に関する研究  学校教育学専攻 学校心理学コース.    M08036H    西中 華子. 1.問題と目的. 2.方 法.  近年,人々が生きていく上で「居場所」を. 研究I 調査対象者:1)尺度作成:兵庫県. 確保することが必要不可欠であることが論じ. 内の公立小学校4校の4,5,6年生合計931. られているが,小学生を対象としたr居場所」. 名。2)妥当性検討:兵庫県内の公立小学校. の研究は少なく,課題も多く残されている。. 1校の4,5,6年生合計126名。. 加えて青年期を対象とした「居場所感」尺度. 調査時期:1)尺度作成:2009年2月上旬. の開発はなされているが,小学生を対象にし,. ∼3月上旬に実施した。2)妥当性検討:2009. かっr居場所」感情に焦点をあてて開発され. 年11月中旬に実施した。. たものは見あたらない。また,「心理的居場所」. 調査手続:各学校の学校長および担任に依頼. は概念自体が統一されていないため,言葉や. し,各学級において集団で実施した。. 文字として表現される記述だけで実態を捉え. 調査内容:(1)フェイスシート,(2)心理. るのには限界があるとされている(渡辺リ」・. 的居場所感尺度項目,本研究のr心理的居場. 高,2006)。また前述の通り子どものr心理. 所感」の定義に則り,項目を作成した。評定. 的居場所」が失われつつあるという指摘があ. は四件法であった。項目収集に関しては,則. るにも関わらず,その促進の方法について実. 定(2007)他を参考にした。(3)階層型学. 証的研究がなされていないことから,本研究. 級適応感尺度,三島(2006)の階層型学級適. ではその促進の方法についても模索する。. 応感尺度より,総合的適応感覚に関する3項.  以上より,本研究における主な目的を,I.. 目,友人関係に関する5項目を使用した。評. 小学生版心理的居場所感尺度の作成および小. 定は五件法であった。(4)心の居場所の有無,. rあなたにはこころの居場所があると思いま. 学生のr心理的居場所」構造の量的検討,I.. 描画法による小学生の「心理的居場所」構造. すか」という質問に対し,「はい」・「いいえ」. の質的検討,および教室における「心理的居. の二件法で評定を求めた。. 場所感」の促進を目的とした介入プログラム. 研究■ 調査対象者: 兵庫県の公立小学校. の実施とその効果の量的検討,加えて介入プ. に在籍する6年生,2クラス合計72名(実. ログラムの効果の質的検討,とする。. 践群36名,一 攝ァ群36名)を対象に実施した。. 調査時期:2009年6月中句から7月上句に 実施した。. 調査手続=兵庫県の公立小学校に在籍する6. 一78一.

(2) 年生のうち1クラスを統制群もう1クラスを実. きっかけが与えられたのではないかと推察され. 践群として,実践群にr療法的音楽活動による. た。. 心理的居場所感促進プログラム」を実施した。.  第四に,本研究における介入の効果が明確に. 効果測定には研究Iで作成した小学生版心理的. 認められた充実感水準L群の子どもの特徴とは. 居場所感尺度および自由描画を用いた。. 何であるのかを自由記述の分析を通し検討した ところ,作品制作に対する姿勢に特徴が見られ,. 3.結果と考察. すべての子どもが作品に自己を投影することを.  まず小学生版心理的居場所感尺度の因子分析. 肯定的に捉えているく内的作業型タイプ〉であ. の結果,小学生の心理的居場所は,被受容感,. った。つまり介入により外在化や自己洞察が深. 充実感,自己肯定感,安心感の四次元から構成. く行われ,それが肯定的に働き,効果的に充実. されることが明らかにされた。. 感を高めていることが示唆された。加えて事例.  次に,居場所感尺度における下位尺度得点を. 分析を通し,その特徴についてさらに検討を行. 説明変数,「心理的居場所イメージ」描画の形式. った結果,充実感水準L群の子どもは介入によ. 分析における各分析項目得点を従属変数とした. り他者からの受容体験を味わいながら,心的な. 重回帰分析の繰り返しによるパス解析を行った。. エネルギーを育んだ結果,自分の殻から一歩踏. その結果小学生の「心理的居場所」は,r否定的. み出して他者との関係・距離を適切に維持でき. な感情を認めることができる強さ」やr自分や. る力を得ることができ,教室を「居場所」とす. 他者への親しみ」を持て,「自分が環境に馴染ん. る基盤を創り得た可能性があるのではないかと. でいく力」,加えて「『居場所』を見出していく. 推察された。. よう環境に働きかけられるカ」が持てるような.  以上のことより,本研究における介入が明確. 場所であると明らかになった。. に効果的であったのは〈内的作業型タイプ〉の.  第三に,本研究で行った介入の効果を検討す. 特徴を色濃く持った児童であることが明らかに. るために,介入前後の居場所感および各下位尺. なった。総じて,小学生の学校におけるr心理. 度得点の変化を検討したところ,充実感水準L. 的居場所感」の促進には子どもたちが自己洞察. 群において実践群に肯定的な変化がみられ,教. を深めることができるような「内的作業の場」. 室で生き生きと自分に満足できるといった感情. を提供できるような教育実践が効果的であるこ. を持ちにくい子どもには,介入の効果によりそ. とが示唆された。. れらが実感できるようになることが明らかにさ.  しかしながら本実践プログラムはすべての子. れた。また介入前後の描画の変化について検討. どもに肯定的な変化が明確に示されたわけでは. したところ,描画形式分析得点に変化が認めら. なかった。そのため,明確な効果が見られなか. れた。具体的に,建設的に使用しうる心的エネ. った児童についても内的作業の場を提供できる,. ルギーが開発され,心的な安定度が高まり,心. さらなる実践プログラムの改良が必要であると. の自由な動きや柔軟性の成長が促進され,問題. 考えられる。. と向き合いそれらを解決しようとする姿勢,お.          主任指導教員 淺川潔司. よび自らの殻から出てみようとする姿勢が育つ.            指導教員 藤原忠雄. 一79一.

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