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資料紹介

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

現代の中東

35

ページ

118-119

発行年

2003-07

出版者

日本貿易振興会アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00005796

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アラブ人とリーダーシップ

Khalı¯l Ahmad Khalı¯l, Al-‘Arab

wa-al-・ ・

Qiya¯dah: Bahth Ijtima¯‘ı¯ fı¯ Ma‘na¯ al-Sultah

wa-Dawr al-Qa¯’id,Beirut, Da¯r al-Hada¯thah ・

lil-Tiba¯‘ah wa-al-Nashr wa-al-Tawzı¯‘, 1985. 288pp. 2003年4月9日,バクダードが米英軍の手に 落ち,イラクのサッダーム・フサイン(以下, フセイン)政権が事実上崩壊した。その20日後 の4月29日,パレスチナでマフムード・アッバ ース内閣が発足し,ヤースィル・アラファート 自治政府議長の権勢に陰りが見え始めた。 ジョージ・W・ブッシュ米政権が“自由”や “民主主義”といった美辞をふりかざし,中東 地域への干渉を正当化するなか,アラブ諸国に おける“民主化”の可能性や問題点が盛んに議 論されるようになっている。その際,「“民主主 義”とは何か?」という根本的かつ哲学的な問 いとともに,アラブ諸国の政治体制に関して, 次のような疑問が常に提起される――「アラブ 世界各国(各地域)では,なぜ一人の“ザイー ム”(za‘ı¯m:指導者,首領)が長年にわたって 権力の座にとどまることができるのか?」。 レバノンの著名な社会学者ハリール・アフマ ド・ハリールによる本書が出版されたのは, 今から15年以上も前の1985年のことである。だ が,“リーダーシップの社会学”(‘ilm ijtima¯‘ al-qiya¯dah)を提唱し,アラブ世界,とりわけ東 アラブ地域における支配者と被支配者の関係の 解明を試みた本書は今日もなお,フセイン大統 領やアラファート議長を“ザイーム”たらしめ た要因を究明する有効な手だてとしての価値を 失っていない。 とりわけ,著者の造語である“イスティズラ ーム”(istizla¯m)は,絶対的な指導者を生み出 すアラブ社会の問題を指摘するのにきわめて効 果的な概念である。この用語は,シリア・レバ ノン方言で「男」,「野郎」,「子飼い」,「取り巻 き」を意味する“ザラメ”(zalameh)の語根 「z」,「l」,「m」から作られた第10形動詞“イ スタズラマ”(istazlama)の動名詞で,「子飼 いを必要とすること」,「取り巻きを必要とする こと」などと邦訳できる。すなわち,“ザイー ム”のリーダーシップ――すなわち,“ザアー マ”(za‘a¯mah)――は,“ザラメ”からなる少 数の権力集団を不可欠とする,というのである。 そして,この“ザラメ”は“ザイーム”に従属 した存在であるにもかかわらず,権力から排除 された大多数の人々を搾取する特権階級として 位置づけられ,彼らのありようこそが,アラブ 社会の停滞や不正を象徴していると結論づける。 ここにおいて,著者ハリールは,一貫して “イスティズラーム”を社会悪とみなし,それ に対して批判的な立場をとっている。それゆえ, 「アラブ世界には“イスティズラーム”がある から独裁体制を敷かざるを得ない」といった短 絡的な結論が著者の意図に反していることは言 うまでもない。だが,今日のアラブ社会がいま だに克服し得ない“イスティズラーム”という 心性を改めて見つめ直すことで,“民主主義” や“自由”といった概念を自らの歴史的経験の なかで具体化する必要が,アラブ人のみならず, “ムスタアリブ”(musta‘rib:アラブ人を追究 する者)に喚起されるに違いない。 (青山弘之) ●イランとグローバル化

Ali Mohammadi(ed.), Iran Encountering

Globalization; Problems and Prospects, Rout-ledge Curzon, 2003. xvi+263p.

書名から察せられるとおり,現在のイラン社 会が直面する広範な政治・経済・社会問題を取 り扱った論文集である。執筆陣はフレッド・ハ リデーが序文を寄稿し,ホマー・カトウジアン

資料紹介

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が一章を担当するなど,著名研究者を随所に配 している。また,これまで一堂に会することが 少なかった中堅・若手のイラン研究者(しかも 米英在住に限らず,豪州・イラン国内の研究者 を集めた)が中心となって多様なテーマを取り 上げている。現在のイラン社会に興味を持つも のが,全体としてどのような問題の切り口が存 在するのか,などを考えるには格好の材料を提 供しているであろう。ただし,以下に紹介する ように内容がやや総花的に過ぎるため,個々の 問題に対する掘り下げ方には物足りなさを感ず る読者もおられるかも知れない。 本書の構成は以下のとおりである。 第1章 イランと政治的発展の問題 (Homayun Katouzian) 第2章 グローバル化時代のイランと近代的メ ディア(Ali Mohammadi) 第3章 イランの女性:イスラム化とグローバ

ル化のはざまで(Ali Akbar Mahdi)

第4章 経済のグローバル化とイランにおける 民主主義の展望(G. Reza Ghorashi) 第5章 イランと世界金融市場 (Karman M. Dadkhah) 第6章 イラン経済とグローバル化の過程 (Hamid Zangeneh) 第7章 近代化と日常生活:イランにおける都 市・農村の変化(Ali Madanipour) 第8章 イランの経済発展と人的資源における 構造変化(Mohammad B. Beheshti) 第9章 イランにおける労働力の女性化

(Parvin Alizadeh & Barry Harper) 第10章 イラン人は移住帰国者(return migra-tion)をどう見るか(Hossein Adibi) 第11章 神権政治と民主主義:政党に関する議 論(Stephen Fairbanks) 第12章 第六議会選挙とイランにおける民主主 義の展望(Ali Mohammadi) 上記の各章は数章ずつ部にまとめられており, 各部の冒頭に編者のモハンマディーが短い序文を 載せている。 (岩 葉子) 資料紹介 現代の中東 №35 2003年 119

参照

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