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〈論文〉輸入食品汚染とバイオテロのいずれがより脅威か?

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(1)商経学叢. 第59巻 第2号2012年12月. 輸 入 食 品 汚 染 とバ イ オ テ ロ の い ず れ が よ り脅 威 か?. 勝 要旨. 田. 英. 紀. 現 在,農 産 物 は 日本 国 内 産 品 よ り も海 外 か らの輸 入 品 の 割合 が 高 くな って き て い る。. そ こで,情 報 の少 な い海 外 で生 産 さ れ た農 産 物 の安 全 性 に対 して注 意 が 向 け られ る よ う に な って きた 。 一 方,WHOは,2003年1月. に テ ロ リス トが食 品供 給 の汚 染 を試 み る可 能 性 が あ. り,故 意 の 食 品 汚 染 を 「 現 実 的 な,現 在 の脅 威 」 と見 て,テ ロへ の監 視 を強 め る よ う に各 国 に要請 を 出 した 。 そ こで,日 本 国 内 で 問題 視 さ れ て い る 中 国産 食 品 の汚 染 問題 を 中心 と して 取 り上 げ,そ れ らの不 安 点 を検 証 す る と と もに,バ イ オ テ ロ の発 生 の可 能 性 を も検 証 し,現 実 問 題 と して,輸 入 食 品汚 染 とバ イ オ テ ロの い ず れ が よ り 日本 に と り,よ り脅 威 で あ るか を 検 証 す る。. Abstract articles. The proportion produced. to the safety information. January. food. countries. to. occurred. Under. products. On the other 2003 that. intentional. from. hand,. a terrorist. come from. the World. might. try. Health. monitor. terrorism.. has. already. exceeded. the. people have come to pay attention. abroad. and about. Organization. to pollute. to be "a realistic. closely. overseas. such circumstances, that. contamination. more. imported. the. current. food. there. is little. (WHO) considered supply,. menace.". However,. which. It requested. bioterrorism. in. and considered various. has. not. yet. in Japan.. Therefore, food that. we will take. up mainly. has been brought. and the possibility menace. in Japan.. of farm. of goods. to Japan:. into. of bioterrorism contaminated. キ ー ワー ド. バ イ オ テ ロ,食. 原稿提出 日. 2012年6月18日. the. question. contamination in Japan,. occurring. food imports. 品 汚 染,. problem. and examine. of Chinese-produced the points. We will also examine or bioterrorism.. 輸 入 食 品, 食 糧 自給 率, 健康被 害. which. of concern is the. real.

(2) 第59巻. は. じ. 第2号. め. に. 近 年,日 本 は海 外 か ら生 鮮 ・加 工 食 品 を大 量 に輸 入 し,ス ー パ ー や百 貨 店 を は じめ とす る小 売 店 で売 られ て い る状 況 を反 映 して,日 本 の農 業 の行 く先 を不 安 視 す る メデ ィア の報 道 が 多 くな って きて い る。 経 済 の 急拡 大 に と もな い,1980年. 前 後 よ りは前 述 の基 幹 農 産 物. の み な らず,商 社 や ス ー パ ー 等 が 開発 輸 入 す る野 菜 あ るい は 種 々の加 工 食 品 を大 量 に輸 入 し,ス ー パ ー や百 貨 店 を は じめ とす る小 売 店 で販 売 して い る。 そ の結 果,今. 日で は大 量 の. 輸 入 食 品 が 日本 の 食卓 に出 回 り,も は や 日本 国 内産 品 よ り も海 外 か らの輸 入 品 の 割合 が 高 くな って きて い る。 この よ うな状 況 か ら,情 報 の少 な い海 外 で生 産 され た農 産 物 の安 全 性 に対 して 注意 が 向 け られ る よ う にな って きた。2000年 前 後 よ り,輸 入 食 材 に 関 して,中 国現 地 で検 査 証 明書 の 付 い た農 産 物 か ら,基 準値 を遙 か に超 え る残 留 農 薬 が輸 入 時 の検 疫 検 査 で発 覚 す る とい う事 件 が発 生 した り,あ るい は 日本 で は,安 全 性 に 問題 が あ るた め使 用 禁止 と され た農 薬 が検 出 され た りす る事 件 が頻 発 して い る。 大 手 総 合 商 社 や ス ー パ ー等 の 日本 企 業 に よ り開 発輸 入 され る食材 か ら も何 度 も同様 の 問題 が発 生 して い るが,改 善 され て い な い。 日本 の 食 糧 自給 率 は,2010年. 度 に お い て,欧 米 な どの先 進 国 に比 して39%(1)と極 め て 低 く,食 材 の. 大半 を海 外 か らの輸 入 に依 存 して生 活 して お り,大 量 に輸 入 され る食 料 品 に つ い て,事 故 米 の 問題,過 剰 農 薬 の 問題,農 薬 の不 適 切 使 用,産 地 偽 装 問題 な どの様 々な 問題 が 出現 し て きて い る。 特 に中 国産 野 菜 の 問題 が 多数 報 告 され て い る。 また,こ れ ら中 国産 農 産 物 に関 す る問題,特. に残 留 農 薬 の 問題 や産 地 偽 装 問題 な どや,. 減少 す る水 資源 を 中心 とす る中 国 の環 境 問題 の現 状 を伝 え る先行 研 究 と して は,大 島(2003 年a,b)(2),井. 村(2007年)(3),陳(2007年)(4)等,近. 年 非 常 に 多 く,中 国 の現 況 の あ ま り. の ひ ど さ と これ らの 問題 に対 す る対 処 の遅 れ に対 して,危 険信 号 を発 して い る。 本 論 文 の主 題 とな る食 品 の 汚染 に つ い て は,種. 々の 汚染 が含 ま れ て い る。 バ イ オ テ ロに. よ る汚染 が本 論 文 の主 題 で あ るが,明 確 に バ イ オ テ ロを定 義 す る もの は な い。 日本 の 国 内 法 に よ るテ ロの 定義 と して は,「政 治 上 その 他 の 主 義 主 張 に基 づ き,国 家若 し くは他 人 に ご. (1)カ ロ リー ベ ー ス に よ る食 糧 自給 率 。 (2)大 島一 二 『暮 ら しの 中の 食 と農 中国 産 農 産 物 と食 品 安 全 問 題 』 筑 波 書 房 ブ ッ ク レ ッ ト、2003 年 。大 島一 二 『考 え よ う!輸 入 野 菜 と中 国 農 業 変 貌 す る中 国 農 業 と残 留 農 薬 問 題 の 波 紋 」、芦 書 房、2003年 。 (3)井 村 秀 文 「中 国 の環 境 問題 今 な にが 起 きて い る のか 」、 化 学 同人 、2007年 。 (4)陳 恵 運 「中 国食 材 調 査 』 飛 鳥 親 書 、2007年 。 296(694).

(3) 輸入食品汚染 とバイオテ ロのいずれが より脅威か?(勝. 田). れ を 強 要 し,又 は社 会 に不 安 若 し くは恐 怖 を与 え る 目的 で 多数 の人 を殺 傷 し,又 は重 要 な 施 設 そ の他 の物 を破 壊 す る行 為」(自 衛 隊 法81条 の2第1項)が. 一 番 わ か りや す く定 義 され. て い る。 そ の他 に2002年 に制 定 され た 「公衆 等 脅 迫 目的 の犯 罪 行 為 の た め の 資金 の提 供 等 の処 罰 に関 す る法 律 」 あ るい は警 察 庁 組織 例 第39条 が あ り,定 義 内容 は よ く似 て い る。 要 す る に,社 会 へ の何 らか の訴 え か けが意 図 され た行 為 で あ る。 そ こで,犯 罪 テ ロに よ る食 品 汚染 は,直 接 の 目的 は 別 にあ り,食 品汚 染 は そ の手 段 とな って い る。. そ の 他 の 食 品 汚 染 は,以. 下 の よ う に ま と め る こ と が で き る。. ・ 故 意 に よ る 食 品 汚 染 は ,汚. 染 す る こ と を 目 的 と して い る 。(和 歌 山 カ レ ー 中 毒 等). ・ 事 故 に よ る 食 品 汚 染 は ,汚 染 す る こ と を 目 的 とせ ず,結 と と な る 。(森 永 砒 素 ミル ク事 件,カ ・ 公 害 に よ る 食 品 汚 染 は ,水 俣 病(熊 ウ ム)が. ネ ミ油 症 事 件 等) 本:水. 銀)や. イ タ イ イ タ イ 病(富. 山 県:カ. ドミ. あ る。. ・ 動 物 由 来 の 食 品 汚 染 は ,口. 蹄 疫,鳥. イ ン フル エ ンザ 等 が あ る。. ま た,WHO(WorldHealthOrganization;世. 界 保 健 機 構)は,2003年1月. トが 食 品 供 給 の 汚 染 を 試 み る 可 能 性 が あ り,故 と 見 て,テ. 果 と して 食 品 を 汚染 す る こ. に テ ロ リス. 意 の 食 品 汚 染 を 「現 実 的 な,現. 在 の脅 威 」. ロ へ の 監 視 を 強 め る よ う に 各 国 に 要 請 を 出 し た(5)。食 品 テ ロ に つ い て,古. 米 国TheUSNationalResearchCouncil(1955)(6)が,米. 国 の 食 品 産 業 は 生 物 剤,化. よ び 核 物 質 に対 し て 脆 弱 だ と評 価 し て い た 。 ま たZilinskasandCarus(2002)(7)に 査 に お い て も,米. くは. 学剤 お よ る再 調. 国 食 品 産 業 の 化 学 兵 器 や 生 物 兵 器 に 対 す る脆 弱 性 は 改 善 さ れ て お ら ず,. 乳 製 品 工 場 が 特 に脆 弱 で あ る と結 論 づ け て い る。 食 品 を 中 心 と す る バ イ オ テ ロ 等 の テ ロ に 関 す る 先 行 研 究 と し て は,松 東 島 ・大 道(2005年)(9),吉. 倉(2005年)(10),石. 堂(2006年)(11),勝. 延(2005年)(8),. 田 ・安 川(2007年)(12),. (5)BBCNews,"WHOissuesalertonfoodterrorism,"2003.1.31 http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/2714951.stm (6)CivilDefenseFoodsAdvisoryCommittee,NationalResearchCouncil.1955,7乃 晦 加 θ蝦 わ1玩yo∫ 訪 θFboゴ 加 ゴ召5孟 刀 冶360α1α η∫o威 局bZO望bヨZa。. θ ηゴ 刃a訪 ∂ZO創ねヨノ 肱 ぬrθ. .481θπ3,Washington,D.C.:NationalAcademyofScience/NationalResearchCouncil. (7)Zilinskas,R.A.andW.S.Carus,2002,」Po531乃Zθ%螺oz1蕊 距 酌 刀1加 θβ,Washington,D.C.:NationalDefenseUniversity.. 乙唇θo!畑bdθ. (8)松 延 洋 平 「米 国 の 食 品 テ ロ に か か わ る 健 康 危 機 管 理 の 実 態 調 査 結 果 等 か ら 問 題 の 課 題 と 潮 流 」 『食 品 衛 生 研 究 」、Vol.55,No.1(2005年)、9-14頁 。. 盟. 局 紘 θo力刀oZo8γ. 食 と農 の 安 全 保 障. (9)東 島 弘 明 ・大 道 公 秀 「米 国 の 食 品 テ ロ に か か わ る 健 康 危 機 管 理 の 実 態 調 査 結 果 等 か ら 商 品 テ ロ の お そ れ と 食 品 産 業 に お け る 健 康 危 機 管 理 対 策 の 必 要 性 」 『食 品 衛 生 研 究 」、VoL55,No.1(2005 年)、15-28頁. 。 297(695).

(4) 第59巻. 勝 田(2007年,2008年)(13)等. に よ り検 討 さ れ て い る が,未. ロ と認 定 で き る と考 え ら れ て い る の は,オ テ ロ の み で あ り,可 に,食. 第2号. 能 生 は 非 常 に 高 い が,未. だ に テ ロは 発生 して い な い。 テ. ウ ム 真 理 教 に よ る1993年. お よ び1995年. の化 学 品. だ に バ イ オ テ ロの報 告 は され て い な い。 さ ら. 品 に 対 す る バ イ オ テ ロ の 方 法 論 を 検 討 す る こ と は 容 易 で あ る が,未. だ に 日本 で は 発. 生 は して い な い。 以 上 の こ と を 踏 ま え て,日 て 取 り上 げ,そ. 本 国 内 で 問題 視 され て い る中 国産 食 品 の汚 染 問題 を 中心 と し. れ ら の 不 安 点 を 検 証 す る と と も に,バ. 現 実 問 題 と し て,輸. イ オ テ ロ の 発 生 の 可 能 性 を も検 証 し,. 入 食 品 汚 染 と バ イ オ テ ロ の い ず れ が よ り 日本 に と り,よ. り脅 威 で あ る. か を 検 証 す る。. 1.輸. 入食 料 品 の汚 染 問 題. 日本 の農 林 水 産 業 の輸 入 動 向 を み る と,表1か らア メ リカ お よび 中 国 は と も に林 産 物 及 び 水 産 物 に比 して農 産 物 の 割 合 が非 常 に 高 い。 ア メ リカ か らの輸 入 は,ト. ウモ ロ コ シや小 麦. な どの穀 物 お よび タバ コな どを輸 入 して い るが,中 国 か らの輸 入 で は,鶏 肉調 製 品,野 菜 で あ る。 表2か. ら野 菜 の輸 入 量 に つ い て み る と,重 量 べ 一 ス で2008年 を 除 き,半 数 以 上 が. 中 国 か らの輸 入 品 で あ る こ とが わ か る凹 。 つ ま り,日 本 は野 菜 の 多 くを 中 国 か ら冷 凍 ・乾 燥 ・生 鮮 ・加 工 とい った 種 々の形 態 で輸 入 して い るの で あ る。 言 い換 え れ ば,日 本 は輸 入 野 菜 の約 半 分 を 中 国一 国 に頼 って お り, 2位 の ア メ リカ の約3倍. の市 場 占有 率 とな って い る。 もは や 日本 の食 卓 は 中 国 に依 存 して. い る とい って も過 言 で は な い。 この大 量 輸 入 され て い る農 産 物 に 関 して,2007年. 末 ごろ か. ら,日 本 国 内 で は 中 国産 冷 凍 鮫 子事 件 や 粉 ミル クへ の メ ラ ミン(15)混 入 事 件 な ど,中 国産 食 品 に よ る人 的被 害 の報 道 が 多 くな って きて い る。. (10)吉 倉 廣 「バ イ オ テ ロ 対 策 と 研 究 規 制 」 「蛋 白 質 1000-1005頁 。. 核酸. 酵 素 」、Vol.50,No.8(2005年)、. (11)石 堂 徹 生 「日 本 の バ イ オ テ ロ 対 策 の 不 安 な 現 状 一 茨 城 の 鳥 イ ン フ ル エ ン ザ 事 件 で 考 え る」 『世 界 週 報 」、2006年3月21日 、26-29頁 。 (12)勝 頁。. 田 英 紀 ・安 川 文 朗 「バ イ オ テ ロ の 水 際 対 策 」 「日 本 貿 易 学 会 年 報 」、第43号. 、2007年. (13)勝 田 英 紀 「米 国 の バ イ オ テ ロ 対 策 」 『商 経 学 叢 』、 第54巻1号 、2007年 、1頁 一16頁 。 勝 田 英 紀 「食 品 輸 入 に お け る テ ロ対 策 」 『日 本 貿 易 学 会 年 報 」、45号 、2008年 、204-210頁. 、112-120. 。. (14)農 林 水 産 省 ホ ー ムペ ー ジ http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/yusyutugai2008/yusyutugai2008.pdf 山 田五 郎. 「農 民 も土 も水 も 悲 惨 な 中 国 農 業 』、 朝 日新 書 、2009年. (15)メ ラ ミ ン(melamine)は 、 有 機 化 合 物 の 一 種 で 、 ト リ ア ジ ン環 、 そ の 周 辺 に ア ミ ノ 基3個 を 持 つ 有 機 窒 素 化 合 物 。 ホ ル ム ア ル デ ヒ ド と と も に 、 メ ラ ミ ン樹 脂 の 主 原 料 と さ れ る 。 中 国 産 食 品 に お い て 食 品 の タ ン パ ク質 含 有 量(窒. 素 含 有 量)を 298(696). 贋 造 す る為 に利 用 さ れ た。.

(5) 輸入食品汚染 とバイオテ ロのいずれが より脅威か?(勝. 田). 問題 の あ る汚 染 され た農 産 物 が 日本 で見 つ か る例 は ま だ ご くわ ず か で あ るが,中 国 国 内 で の 被害 状 況 は か な りの数 に及 ん で い る とい わ れ て い る。 中 国 で 汚染 され た農 産 物 の量 が 増 え るの に比例 して,汚 染 され た農 産 物 が 日本 に入 って くる確 率 が 高 くな って くる こ と は, 当 然 予 測 され る。 そ こで,日 本 で は 中 国 か ら入 って くる農 産 物 の検 査 を行 って い るが,現 在 の 日本 の検 査 方 法 は 「サ ン プル調 査 」 で あ り,輸 入 農 産 物 の一 部 を サ ン プル と して検 査 して い る にす ぎな い。 この方 法 で は検 出 され ず に,汚 染 され た野 菜 が そ の ま ま 日本 国 内 に 入 って くる確 率 は低 くな い。 これ を 防 ぐた め に は 「全 量 調 査 」(一 部 抜 き取 り検 査)が 一 番 望 ま しい が,現 況 で そ れ を 日本 国 内 で行 うの は数 量,時. 間,人 員 的 に非 常 に難 しい と考 え. られ る。. 表1農. 林 水 産 物 の主 な輸 入 相 手 国 ・地 域(2008年). (単位:億. 円). iiii. 区. 1位12位13位14位15位. 分 米. 農 林 水産 物 農. 産. 21,940(25.2) 米. 物. 林. 産. 物. 水. 産. 物. 国. 19,435(32.5) 中. 国. 1,561(13.5). 中. 国. 2,633(16.8). 注:()は,金 出 所:農. 国1. 蒙 _1 中. 州. 国1. 6,479(7.4). 9,771(11.2). 中. 国. 豪 4,787(8.0). マ レ ー シ ァ. カ. 1,493(12.9). 1,267(11.0). 米. ロ. 国. 1,584(10.1). 額 ベ ー ス の 構 成 比(%)で. ナ. シ. ナ. ダ1. タ. 6,177(7.1). 州. 5,577(9.3). カ. カ. ナ. ダ. タ. 4,435(7.4) ダ. 豪. ア. 州. タ. イ. 3,741(6.3). 米. 1,216(10.5). 1,324(8.4). イ. 5,049(5.8). 国 921(8.0). イ. チ. 1,158(7.4). リ. 1,087(6.9). あ る。. 林水産 省ホームページ http://www.maff.go。jp/toukei/sokuhou/data/yusyutugai2008/yusyutugai2008.pdf. 表2輸. 入野菜 の中国比率. 全体 の輸入量 年 合 計 量(t). 内訳(%). 中 国 の比 率(%). 生鮮 野菜. 冷凍 野菜. 塩蔵等 野菜. 乾燥 野菜. 酢調整 野菜. 加工品. その他調 整野菜. トマ ト. 2001. 1377652. 50.8. 47.1. 44.8. 87.5. 86.1. 72.4. 15.0. 61.8. 2002. 1232071. 51.1. 48.2. 42.4. 86.5. 85.8. 75.9. 13.3. 64.2. 2003. 1320055. 52.2. 50.4. 41.3. 84.8. 87.0. 79.8. 16.9. 65.5. 2004. 1537581. 55.6. 57.4. 43.7. 87.4. 86.9. 82.2. 17.6. 68.1. 2005. 1653853. 56.8. 59.5. 44.9. 90.0. 86.3. 83.4. 20.9. 67.6. 2006. 1621938. 58.2. 63.2. 46.2. 88.7. 85.9. 83.3. 23.5. 67.7. 2007. 1413584. 56.4. 62.0. 45.8. 86.4. 86.1. 82.4. 25.5. 65.0. 2008. 766252. 49.5. 50.1. 40.1. 81.1. 85.1. 79.4. 25.2. 61.8. 出所:山. 田五 郎 『農 民 も土 も水 も悲 惨 な 中 国農 業 』,朝 日新 書,2009年. 299(697).

(6) 第59巻. 2.中. こ れ ま で に幾 度 と な く,中. 聞紙 上 あ るい は テ レ ビニ ュー ス で報 道 され て き た。 表. の 厚 生 労 働 省 医 薬 食 品 局 に よ る半 年 間 の 調 査 の 速 報 に よ る と,実. わ れ た 「抜 き う ち調 査 」 の 結 果 で は,残 半 期 が0.05%で. 国 の農 薬 問題. 国 か ら の 輸 入 食 品 か ら 日本 の 基 準 を は る か に 上 回 る残 留 農 薬. が 検 出 さ れ た と い う ニ ュ ー ス が,新 3の と お り,2006年. 第2号. あ り,2006年. 留 農 薬 の 過 剰 使 用 に よ る違 反 割 合 は,2005年. 上 半 期 が0.07%で. 過 剰 散 布 が 原 因 で あ り,2002年. 際行 の上. あ っ た 。違 反 事 例 の 内 容 の 主 な も の は 農 薬 の. に は 冷 凍 ホ ウ レ ン 草 か ら ク ロ ル ピ リ ホ ス(16),2008年. 凍 鮫 子 か ら メ タ ミ ドホ ス(17),冷 凍 野 菜 か ら ジ ク ロ ル ボ ス,乳. には 冷. 幼 児 用 の 粉 ミル ク か ら は メ ラ. ミンな どが検 出 され た。. 表3平. 成18年 度 輸 入 食 品監 視 指 導計 画 監 視 結 果(中. 届 出 ・検 査 ・違 反 状 況(平 成18年4月 ∼9月:速. 届出件数. 輸入重量. 検査件数. 割 合(%). 間報 告). 報 値). 違反件数. 割合. 18年 度. 923,968件. 12,416千. トン. 94,920件. 10.3%. 629件. 0.07%. 17年 度. 945,349件. 13,370千. トン. 96,107件. 10.2%. 432件. 0.05%. 注1件 2割 出 所:厚. 数 に つ い て は,モ. ニ タ リ ン グ 検 査,検. 合 に つ い て は,届. 出件 数 に対 す る割 合. 査 命 令,指. 導 検 査 等 の 合 計 か ら重 複 を 除 い た 数 値. 生 労働 省 医薬 食 料 局 安 全 部 http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/dl/tpO130-1yO1.pdf. しか し これ らの違 反 事 例 の発 覚以 前 か ら,中 国 か ら輸 入 して い た農 産 物 の残 留 農 薬 の基 準 は守 られ て い な か った と考 え られ る。 厚 生 労 働省 は冷 凍 ホ ウ レ ン草 に ク ロル ピ リホ ス が 検 出 され る以 前 の2002年1月. に 「中 国産 野 菜 検 査 強化 月 間」 を設 けて,全 量 検 査 で あ る,. 100%モ ニ タ リ ング検 査 を 行 っ た(18)。. (16)ク ロ ル ピ リ ホ ス(Chlorpyrifos)は 、有 機 リン化 合 物 で あ る。 コ リ ンエ ス テ ラ ー ゼ 阻害 作 用 を持 ち 、 殺 虫 効 果 を 持 つ こ と か ら農 薬 や シ ロ ア リ駆 除 な ど に 用 い ら れ る 。 (17)メ タ ミ ドホ ス(methamidophos)、 ジ ク ロ ル ボ ス(dichlorvos)ク ロ ル ピ リホ ス(Chlorpyrifos) お よ び フ ェ ン バ レ レ ー ト(fenvalerate)は 、 有 機 リ ン化 合 物 で 農 薬 、 殺 虫 剤 の 一 種 で あ る 。 殺 虫 効 果 の あ る生 物 種 は 比 較 的 多 く、 そ の 効 果 も高 い が 同 時 に ヒ トへ の 有 害 性 も強 い 。 (18)厚 生 労 働 省 医 薬 食 品局 食 品 安 全 部 ホ ー ムペ ー ジ http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/dl/tpO130-1yO1.pdf 厚 生労働省輸 入食品監視業 務 ホームペー ジ MRL)平. 成16年. 食 料 需 給 表(農. 残 留 農 薬 ・動 物 用 医 薬 品 等 に 関 す る 情 報(各. 林 水 産 省 大 臣 官 房 調 査 課 作 成). http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/pest/mrl/index.html 300(698). 国の.

(7) 輸 入 食 品 汚 染 とバ イ オ テ ロの い ず れ が よ り脅 威 か?(勝 表4「. 田). 中 国産 野 菜 検 査 強 化 月 間」 の検 査 結 果(2002年1月4日 違反重量 (Kg). 品名. 検 出農 薬 (検 出量ppm). 命令対応. フ ェ ン バ レ レ ー. 0.50. 命令対応. 0.50. 命令対応. ク ロ ル ピ リ ホ ス(2.1). 2.00. 命令対応. ク ロ ル ピ リ ホ ス(0。04). 0.01. 命令 対応. ク ロ ル ピ リ ホ ス(0.02). 0.01. 命令 対応. 生鮮オオバ. 1,400. 生鮮オオバ. 720. フ ェ ン バ レ レ ー ト(0.69). 生 鮮 パ クチ ョイ. 255. 生鮮ニ ラ. 1,672. 対応. (ppm) 0.50. 600. 冷凍ニ ラ. 基準値. フ ェ ン バ レ レ ー ト(0.67). 生鮮オオバ. 20,000. ∼1月31日). ト(0.61). 生鮮サイ シン. 180. ジ ク ロ ル ボ ス(0.2). 0.10. 100%モ. ニ タ リン グ検 査. 生鮮ケール. 270. ク ロ ル ピ リ ホ ス(4.3). 1.00. 100%モ. ニ タ リ ング検 査. メ タ ミ ド ホ ス(1.3). 1.00. 100%モ. ニ タ リン グ検 査. 生 鮮 ブ ロ ッ コ リー (出 典:厚. 12,240. 生 労 働 省 ホ ー ム ペ ー ジhttp://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/02/hO213-2.html). 厚 生 労 働 省 に よ る モ ニ タ リ ン グ調 査 の 結 果 は,表4の 鮮 ニ ラ,生 鮮 ブ ロ ッ コ リ ー な ど9件. と お り で あ り,生 鮮 大 葉 や 冷 凍 ・生. に 基 準 値 を 超 え る フ ェ ンバ レ レ ー トや ク ロ ル ピ リ ホ ス,. メ タ ミ ドホ ス が 検 出 さ れ た 。 厚 生 労 働 省 の 公 表 に よ れ ば,2006年 中 国 か ら輸 入 し た 野 菜 の う ち,未 ジ,乾. 燥 キ ク ラ ゲ,乾. な 生 姜,チ. 凍 混 合 野 菜,キ. ま で に 日本 が. ャ ベ ツ,ブ. ナ シメ. 燥 ヨ モ ギ な ど か ら農 薬 ク ロ ル ピ リホ ス が 検 出 さ れ た 。 さ ら に,新. ン ゲ ン サ イ,大. る殺 虫 剤BHC(ベ. 成 熟 サ ヤ エ ン ド ウ,冷. か ら2007年. 鮮. 粒 落 花 生 な ど か ら は 中 国 に お い て も,原. 則 使 用 禁 止 と され て い. ン ゼ ン ヘ キ サ ク ロ ラ イ ドbenzenhexachloride)(19)が. 検 出 され た こ とが. あ った。 中 国 か ら の 農 作 物 の 輸 入 は 毎 年 膨 大 な 量 に な る が,す く,問 題 の あ る 汚 染 商 品 の 発 見 に は 限 界 が あ る。 ま た,中 全 性 確 保 に対 し て 力 を 入 れ て お り,輸 か か わ ら ず,問. べ て の食 品 を検 査 す る こ とは難 し 国 政 府 も 日本 政 府 も農 作 物 の 安. 入 す る農 作 物 は 両 国 で 検 査 を 行 っ て い る。 そ れ に も. 題 の 農 作 物 は た び た び 発 見 さ れ る こ と か ら も,こ. の 管 理 の 難 し さ の 一端 が. う か が え る と い え る(20)。. (19)ベ ンゼ ンヘ キ サ ク ロ リ ド(benzenehexachloride,BHC)と は、 分 子 式C6H6Cl6と 表 される 有 機 塩 素 化合 物 。 殺 虫 効 果 が 高 い こ とか ら、 乳 剤 、 加 湿 性 粉 剤 な どと して イ ネ、 野 菜 、 果 樹 、 生 薬 な どに 広 く使 用 さ れ た が、 人 に 対 す る毒 性 も強 く、 ま た 、BHCは 環 境 中 で分 解 さ れ に く く、異 性 体 の残 留 問題 もあ り、 現 在 は多 くの 国 で使 用 が 禁止 さ れ て い る。 日本 で は1971年 に失 効 とな っ た。 中 国 で は、 分 子式 か ら 「 六 六 六 」 とい う名 の農 薬(殺 虫 剤)と して知 られ る が、 使 用 は一 部 例 外 を 除 い て 原則 禁止 とな って い る。 (20)陳 恵 運 『中 国食 材 調 査 」 飛 鳥 新 社 、2007年 山 田正 彦 「 輸 入食 品 に 日本 は潰 され る』 青 萌 堂 、2003年 。 301(699).

(8) 第59巻. 3.中. 中 国 の 国土 は,そ. 第2号. 国 の環 境 汚 染. もそ も農 業 に 向 い て い な い の で は な い か とい わ れ て い る。 中 国 の 国土. は約960万 平 方 キ ロで あ り,日 本 の 約26倍 で あ る。そ れ に加 え て,年 間1億3000万 年)と. い う高 い米 の収 穫 量 を誇 って い るた め,イ. トン(2011. メー ジ と して は,中 国 は ア メ リカ や オ ー. ス トラ リア の農 場 の よ う に広 大 な 畑 が広 が って い る よ うな イ メー ジを抱 きが ちで あ る。 し か し,農 産 物 を生 産 で き る農 地 は 山岳 地 が 多 く,新 規 に 開墾 で き る農 地 は非 常 に少 な く, 沿 岸 部 の雨 量 の 多 い と こ ろ,あ るい は河 川 の 恩 恵 を受 け る一 部 地 域 だ けで あ る。 一 方 ,日 本 の農 産 物 輸 入 の 第1位 で あ る ア メ リカの 国 土 面 積 は約963平 方 キ ロで あ り,中 国 と ほぼ 同 じ大 き さで あ る。 しか し,農 産 物 の作 付 け可 能 面 積 で考 え る と,ア メ リカ は全 国土 の2割 程度 を利 用 可 能 で あ るが,中 国 は1割 程 度 しか な い。 約13億 もの人 口を要 す る 中 国 で は,全 国民 の 食 を支 え るた め,さ. らに近 年 の 急速 な経 済 成 長 に よ る国 内外 の市 場 の. 要 求 に こた え,大 量 生 産 を お こな うた め に大 量 の化 学肥 料 が使 用 され る よ うに な った。 化 学肥 料 大 量 使 用 に よ り中 国 の農 業 生 産 は 急速 に拡 大 した が,化 学肥 料 の大 量 使 用 は大 地 を 痩 せ させ た。 加 え て,前 記 の ご と く農 薬 お よび化 学肥 料 の大 量 使 用 も行 わ れ て い る こ とか ら,中 国 の 土 壌 汚 染 は 中 国全 土 で急 速 に進 ん で い る と考 え られ る。 土 壌 汚染 の結 果,発 育 の悪 い農 作 物 が育 ち,そ れ を見 て 中 国 の農 民 は余 計 に 多量 の化 学肥 料 と農 薬 を使 用 し,そ れ が さ らな る土 壌 汚 染 につ な が る とい う負 の連 鎖 が お こ って い る⑳ 。 さ らに,工 場 排 水 か らは,水 銀, カ ドミウム,六 価 ク ロム 等 の 重大 な健 康 被 害 を もた らす汚 染 物 質 も多量 に垂 れ流 され て い る。 また,現 在 中 国 で は,水 不 足 に よ り,急 速 に砂 漠 化 が す す ん で お り,作 付 け可 能 面 積 の 急 速 な 減少 が 懸念 され て い る。 農 家 一 戸 当 た りの耕 地 面 積 を 日本 と比較 して み る と,日 本 の 約1.9ha(190a)に 対 し,中 国 は67aし か な く,農 地 面 積 に対 して農 民 の数 が 多 す ぎ る と もい わ れ て い る。 中 国 北部 の農 村 地 域 で は,雨 が少 な く,川 の数 も少 な い た め,農 業 用 の 貯 水 池 と して 「溜 池」 が よ くみ られ る。 この 溜 池 は排 水 溝 を通 じ,家 庭 の生 活雑 排 水 が 溜 池 に 溜 め られ て い くシス テ ム で あ る。 そ こで,昔 な が らの何 の 浄水 処 理 も され な い ま ま,化 学洗 剤 を含 む生 活排 水 が 溜 池 に流 され て い る。 そ の た め,水 質 の悪 化 は避 け よ う もな く,溜 池 は悪 臭 を 漂 わ せ て お り,ア オ コが び っ し り と繁 茂 して お り,溜 池 は一 面 緑 色 で あ る こ とが 多 い。 さ ら (21)山. 田五 郎. 「農 民 も 土 も水 も悲 惨 な 中 国 農 業 」、 朝 日 新 書 、2009年 302(700). 、13-132頁. 。.

(9) 輸入食品汚染 とバイオテ ロのいずれが より脅威か?(勝. 田). に この 溜 池 には ポ ン プが備 え 付 け られ て お り,そ の水 を 汲 み上 げ,そ. こか らホ ー ス を利 用. して 田 畑 にな が され て い くの で あ る。 現 在 は洗 剤 等 が流 れ込 ん で お り,洗 剤 に よ り汚 染 さ れ た水 で も植 物 は育 つ の だ が,そ の 汚染 され た水 で育 った農 作 物 が,人 間 の体 内 に悪 影 響 を与 え るの は 明 白で あ る(22)。 また,中 国 の 国土 全 般 で は,従 来,地 方 企業 は軍 需 戦 略上,沿 海 部 で は な く内 陸部 に た て られ て い た た め,大 河 の 中 流域 で,企 業 が水 を くみ上 げ,前 述 の ご と く,健 康 被 害 を も た らす工 業 廃 水 を垂 れ 流 して い る。 そ の結 果,大 河 の水 質 が悪 化 し,変 色 して い る川 が 多 発 して い る。 この 汚染 され た 川 の水 は,飲 料 水 と して使 用 で き る レベ ル の もの で は な く, 日本 で あ れ ば,使 用 禁止 レベ ル の もの で あ る。 しか し,そ の原 因 と され る工 場 を汚 染 源 と して取 り締 ま った り,法 的 な責 任 を追 及 した りす るの は地 方 財 政 上,非 常 に難 しい。 この よ う に家庭 か ら も企 業 か ら も垂 れ流 しに され て い る排 水 に よ って,中 国 の 川 は ひ ど く汚 染 され て い るの が現 状 で あ る。 この よ うな水 で栽 培 され た農 作 物 が 日本 に輸 入 され,日 本 国 内 に出 回 って い る こ とは非 常 に脅 威 で あ る。. 4.食. 我 が 国 に お け る テ ロ は,1993年. 品. お よ び1995年. の. テ. ロ. に オ ウ ム 真 理 教 に よ る 化 学 品 テ ロ で あ る 「地. 下 鉄 サ リ ン事 件 」 が 発 生 し た だ け で あ る。 食 品 テ ロ に つ い て は,WHOは,前 食 品 の 供 給 段 階 に お け る テ ロ を 試 み る可 能 性 が あ り,故 の 脅 威 」 と見 て,テ. 述 の ごと く. 意 の 食 品 汚 染 を 「現 実 的 な,現. ロ へ の 監 視 を 強 め る よ う に 各 国 に 要 請 し て い る こ と か ら,食. 在. 品 テ ロの. 発 生 の 可 能 性 が 現 実 味 を 帯 び て く る。 食 品 テ ロ に つ い て は,前 が,米. 述 の ご と く,米. 国 の 食 品 産 業 は 生 物 剤 テ ロ,化. 国TheUSNationalResearchCouncil(1955). 学 剤 テ ロ お よ び 核 物 質 テ ロ に 対 し て,そ. の管 理 体 制. が 整 っ て お ら ず,非. 常 に 脆 弱 だ と評 価 し て い た 。 ま たZilinskasandCarus(2002)に. 調 査 に お い て も,米. 国 食 品 産 業 に お け る化 学 兵 器 テ ロ や 生 物 兵 器 テ ロ に 対 す る脆 弱 性 は 改. 善 さ れ て お ら ず,乳. 製 品 工 場 が テ ロ に 対 し て,特. の 報 告 に共 通 す る こ と は,食. よ る再. に 脆 弱 で あ る と結 論 づ け て い る。 こ れ ら. 品 工 場 に お け る 製 造 工 程 で の 化 学 品,病 原 体 の 混 入 の 容 易 さ,. 多 種 に及 ぶ 合 成 食 品 添 加 物 の 管 理 に お け る 「ず さ ん 」 さ が 原 因 で あ る。 近 年,日. 本 の フ ァ ミ リー レ ス ト ラ ン や 居 酒 屋 の チ ェ ー ン店 で は,店. (22)高 村 典 子 「湖 は ど う した ら蘇 る の だ ろ うか 」 『中国 の水 環 境 問題 勉 誠 出版 、2009年 、65-88頁 。 303(701). 内 の調 理 場 の冷 蔵 庫. 環 境 の も た らす 水 不 足 」、.

(10) 第59巻. 第2号. や 冷 凍庫 には様 々な輸 入 食 品 が,生 鮮 ・冷 凍 ・加 工 食 品 な ど様 々 な形 態 で 保 管 され て い る。 これ ら貯蔵 され て い る食 品 の半 分 以 上 は外 国産 で あ り,海 外 の生 産 地 に お い て既 に加 工 さ れ て い る もの ば か りで あ る。 この 中 の食 材 の一 つ で も大 量 の農 薬 に 汚染 され て い た り,人 に害 の あ る薬 物 が混 入 され て い た りす る と大 問題 とな る。 整 然 とス ー パ ー や百 貨 店 に並 ん で い る野 菜,肉,魚,冷. 凍 食 品,お 惣 菜 な どや レス トラ ンな ど外 食 チ ェー ン店 な どで 出 さ. れ る料 理 につ い て,調 理 場 に お い て,薬 物 お よ び農 薬 の検 査 を実 施 して い る と こ ろ は1社 も な い。 食 品 に対 す る毒 ・薬 物 混 入 に関 して は,2007年. の 終 わ り ご ろか ら,日 本 国 内 で 中 国産 毒. 入 り冷 凍 鮫 子事 件 が発 生 した。 この事 件 は,2008年1月30日. の一 斉 の新 聞報 道 で あ る 「中. 国 製 鮫 子 を 食 べ10人 入 院」 に端 を発 した事 件 で あ る。 日本 た ば こ産 業(JT)傘 都 内 の ジ ェイ テ ィ フー ズ(株)が,中. 下 の,東 京. 国河 北省 食 品輸 出入 集 団 で あ る 「天 洋 食 品工 場 」 か. ら輸 入 した 「冷 凍 鮫 子」 に有機 リン化 合 物 で農 薬,猛 毒 の殺 虫 剤 で あ る メタ ミ ドホ ス が混 入 して い た こ とで お こ った,健 康 被 害 で あ る(23)。 メ タ ミ ドホ ス は,あ. ま り に強 い毒 性 の た め,脚 注 の とお り,日 本 で は使 用 禁止 と され て. い る農 薬 で あ る。 この よ うな猛 毒 の化 学 品 が,農 薬 と して 中 国 で は簡 単 に入 手 で き,中 国 政 府 の 発 表通 り,従 業 員 が製 造 工 程 の 中 で混 入 させ た とな る と,中 国 の食 品産 業 は,従 業 員 の モ ラル が非 常 に低 く,仕 事 や待 遇 が悪 い と,簡 単 に加 工 工 程 の 中 で 食材 に毒 物 を混 入 させ る こ とが で き るず さん な製 造 環 境 で あ り,バ イ オ テ ロ発 生 の可 能 性 が 高 い こ とを思 い 知 ら され る。 この毒 入 り鮫 子事 件 の 発生 後 に,も. し もア ル カ イ ー ダ等 の テ ロ リス トグル ー プが,テ. ロ. で あ る 旨の発 表報 道 を お こな って い た と した ら,こ の事 件 の 対処 は全 く違 った もの とな っ た と考 え られ る(24)。 日本 政 府 は直 ち に テ ロが発 生 した もの と して,内 閣府 の準 備 す るマ ニ (23)山 本 起 義 「毒 鮫 子 と眼 」 大 阪 保 険 医 雑 誌2008年4月 号 掲 載 (http://www7.ocn.ne.jpズyamaopht/poisoning.htm)に よれ ば、有 機 リン系 の殺虫 剤 であ るメ タ ミ ド ホ スは、無 色 の結 晶で ア ブラム シの駆 除 な どに使 用 され る殺虫 剤 であ る。 アセ チル コ リ ンの分解 を す る コ リンエ ステ ラー ゼ阻害 す る ことで、 神経 ま ひを 引き起 こす。 また この様 な有害 作用 は、 アル コー ル飲 料 の使 用 に よ り増大 す る ことか ら、酒 の肴 に メタ ミ ドホス混入 鮫子 を食 してい れば、 大変 な事 態を 引 き 起 こす可能 生 があ った。 家庭 で害 虫駆 除 な どに利 用 され て いる農薬 よ りの10∼100倍 と毒 性 が強 いた め、 人 体 や環境 に与 え る影響 を考 慮 し、 日本で は使用 が禁 止 され、 登録 農薬 されて いな い。 ちなみ に、 メ タ ミドホ スな どの毒 性 を高 め、 兵 器用 に改造 した もの がサ リンで あ る。 メ タ ミ ドホスを使 うときは水 に溶 いて使 用 す るが、 にお いは、20度 程度 で はほ とん ど気 化 しな いの で冷凍 食 品内 に入 って いた と して も、 ほ とん どな く、調理 の時 に温 め るこ とで、発 生す る。そ れは キ ャベ ツや タマネ ギが腐 ったよ うなに おい と いわ れて い る。 また、環 境 に関す るデー タで は、 鳥類 、 ミツバ チ、 魚類 へ の影響 に特 に注意 が必 要 で、 下 水 に流 して はな らな い物質 に な ってい る。 また この物質 が こぼ れ るのを防 ぐため、 破損 しない包 装が 義 務付 け られ、海 洋汚染 物質 、EU分 類、 国連危 険物 分類、 国連 包装等 級 も指定 され てい る。 (24)2002年 の 日韓 共 催 ワ ー ル ドカ ップ の 開 催 時 に は、 天 然 痘 等 の バ イ オ テ ロの 発 生 が 危 惧 さ れ、 医療 機 関 は受 け入 れ態 勢 を整 え て い た し、2010年 の南 ア フ リカ で の ワ ー ル ドカ ップ に 関 して は、 ア ル カ イ ー ダ が テ ロに よ る 開催 阻止 を表 明 して い た。 304(702).

(11) 輸 入 食 品 汚 染 とバ イ オ テ ロの い ず れ が よ り脅 威 か?(勝. 田). ユ アル 通 り に関 係 各 方 面 に対 処 の 指 示 を 出 して い た で あ ろ う と考 え る(25)。この 場 合 は, NBCテ. ロ(核 兵 器 テ ロ,バ イオ テ ロ(生 物 兵 器 テ ロ),化 学 品 テ ロ)の う ち化 学 品 テ ロ と. され る と考 え る(26)。 毒 入 り鮫 子事 件 は テ ロで は な か った た め,逆 に,わ が 国 の 食 の安 全 に対 す る危 機 管 理 の 甘 さが 露呈 し,健 康 被 害 を拡 大 させ た事 件 で あ った。 この結 果,健 康 被 害 が起 こ って も, 日本 企 業 の 食 品安 全管 理 体 制 の不 手 際 が健 康 被 害 に即 座 に対 応 で きな い こ とが 明 白 とな っ た。 今 後 さ ら に,海 外 か ら加 工 食 品 を大 量 に輸 入 す る食 品業 者 は,現 状 の ま ま,平 常 業 務 を こな しな が ら苦情 処 理 を お こな うに は無 理 が あ る。 輸 入 業 者 は,専 門 の職 員 が情 報 を集 め て一 括 管 理 す る シス テ ム の 構築 を早 急 に す る必 要 が あ る と考 え る。 ま た 日本 政 府 は,テ ロ に対 す るマ ニ ュア ル を作 成 しテ ロ対策 は行 って い た が,テ. ロで な い ケ ー ス に 対 して は,. ま った く別物 の よ うな対 応 を取 った こ と,あ るい は 各都 道 府 県 に この よ うな 食 品安 全 面 で の通 達 を 明確 に行 って い な か った こ とか ら連 絡 が遅 れ,被 害 の拡 大 を食 い止 め られ な か っ た こ とを反 省 し,今 後 の連 絡 シス テ ム を再 構 築 す る こ とを 決 め た。 日本 の 消 費者 には,食 品 の 製造 過 程 で工 場 労 働者 が故 意 に毒 物 を入 れ る とい う発 想 が欠 けて お り,ま た企 業 や生 協 の 食 品衛 生 管 理 は適 切 に行 う こ とが 当然 で あ る と漠 然 と考 え て い た だ け に,食 の安 全 危 機 管 理 が機 能 しな か った こ とを理 解 で きず,中 国 の農 産 物 は非 常 に危 険 な 食 材 で あ る と過 剰 反 応 を示 した。 中 国 に お い て検 査 済 み の加 工 食 品 で あ る冷 凍 鮫 子 へ の メ タ ミ ドホ ス混 入 や 同 じ く加 工 食 品 で あ る乳 幼児 用 の粉 ミル クへ の メ ラ ミン混 入 事 件 な ど,中 国産 加 工 食 品 に対 す る毒 物 混 入 や意 図 的 な不 純 物 の混 入 が,い. と もた や す くお. こな え る製 造 現 場 の生 産 管 理 の ず さん さに,日 本 の 消 費者 は驚 き,中 国 の農 産 物 を購 入 し な くな った。. (25)我 が 国 に お いて は、「地 下 鉄 サ リン事 件 」の 当 時 は テ ロ に対 して特 に対 策 を講 じて こ な か った。 しか しな が ら、 イ ラ クへ の 自衛 隊派 兵 問題 以 降、 ア メ リカ の 同盟 国 で あ る こ とか ら、 テ ロ対 策 を 検 討 し始 め た。 特 に2001年9月 お よ び10月 の米 国 で の 同 時多 発 テ ロを重 点 課 題 と して2001年11月 8日 決 定 され た 「 生 物 化 学 テ ロ対 処 政 府 基 本 方 針 」 に基 づ き、 内 閣官 房 に よ り下 表 の通 り、 生 物 化 学 テ ロ 対処 政 府 基 本 方 針 が発 表 さ れ、 関係 省 庁 が協 力 し、 対 応 策 を検 討 して い る。 生 物 化 学 テ ロ対 処 政 府 基 本 方 針 I H 皿 W V 出 所:官. 感 染 症 対 策 、 ワ クチ ン準 備 等 の 保 健 医 療 体 制 の 強 化 保健治療他関係機関間の連携、発生時対処等の強化 生 物 剤 ・化 学 剤 の 管 理 とテ ロ防 止 の た め の 警 戒 ・警 備 の 強 化 警 察 、 自衛 隊 、 消 防 、 海 保 等 関 係 機 関 の 対 処 能 力 の 強 化 国 民 に対 す る正 確 で 時 宜 を 得 た 情 報 の 提 供. 邸 ホ ー ム ペ ー ジhttp://www.kantei.go.jp/jp/oizumiphoto/2001/11/08nbc2.html. (26)テ ロ は 、N,B,C,の3種 オ テ ロ を 、CはChemicalで. 類 の テ ロ に 分 類 さ れ る 。NはNuclearで 化 学 品 テ ロを さす 。. 305(703). 核 兵 器 テ ロ を 、BはBioで. バ イ.

(12) 第59巻. 第2号. い まの と こ ろ,こ れ らの 問題 食 品 が 日本 に入 って きて い るの は ご くわ ず か で あ るが,中 国 国 内 にお け る同様 の 食材 汚染 に よ る被 害 状 況 は か な りの数 に及 ん で い る と報 道 され て い る。 中 国 国 内 の 問題 で は あ るが,中 国 か ら 自国 消 費量 の約 半 数 の野 菜 を輸 入 し,さ らに加 工 食 品 の輸 入 も年 々増 加 傾 向 にあ る 日本 に と り,無 視 で き る問題 で は な い。 中 国 で汚 染 さ れ た農 産 物 の量 が増 え るの に比例 して,汚 染 され あ るい は毒 物 が混 入 した農 産 物 や加 工 食 品 が 日本 に入 って くる確 率 が 高 くな るの は必 定 で あ る。. 5.食. 食 品 テ ロ は,化. 品 に対 す る バ イ オ テ ロの 対 象 とな る 病 原 体. 学 品 テ ロ に分 類 さ れ る可 能 性 が 高 い が,そ. の 発 生 も十 分 考 え ら れ る。McDadeandFranz(1998)(27)に れ る病 原 体 は 天 然 に 存 在 し,自 然 痘 菌,炭. の他 混 入 物 に よ るバ イ オ テ ロ よ れ ば,バ. イ オ テ ロ に利 用 さ. 然 に 発 生 す る疾 患 と テ ロ と の 区 別 を 難 し くす る。 さ ら に 天. 疽 菌 や そ の 他 の 細 菌 や ウ ィ ル ス は,入. 手 が 困 難 で あ る が,い. った ん入 手 で きれ. ば,容 易 に 大 量 培 養 で き,安 価 に 生 産 が 行 え る と考 え ら れ て い る 。そ の た め,米 国 で はCDC (TheCentersforDiseaseControlandPrevention一 し て 絶 え ず,サ. ー ベ イ ラ ン ス を 行 い,テ. 疾 病 管 理 予 防 セ ン タ ー)(28)を 中 心 と ロ が 発 生 し た 場 合 に は 速 や か な 対 応 が 必 要 と考 え. て い る。Urasano,NorwoodandFullerton(2006)(29)に 点 と相 違 点 は,表5の. よ るバ イ オ テ ロ と 自然災 害 との 類似. ご と く ま と め る こ と が で き る。 も っ と も 重 大 な 相 違 は,そ. よ び リス ク の 拡 大 範 囲 で あ る。 バ イ オ テ ロ に お い て は,心. の脅 威 お. 理 的 な も の ま で 含 め る と非 常 に. 広 範 囲 に影 響 を 及 ぼ す が 自然 災 害 の 場 合 は 限 定 的 と考 え ら れ て い る。 CDCで. は 伝 染 性,致. 死 率,公. の 必 要 度 か ら 各 疾 患,病. 衆 衛 生 上 の イ ン パ ク トの 大 き さ,各. 原 体 をA,B,Cの3種. 類 に 分 類 し,ど. を 講 じ る べ き か の ガ イ ドラ イ ン を 与 え て い る。CategoryAの. 医療 機 関 で の事 前 準備. の よ うな優 先 順 位 で対 応 策 病 原 体 が も っ と も危 険 で あ. り,「 多 くの 死 傷 者 を 出 し,公 衆 衛 生 学 的 な 影 響 が 大 き く,大 規 模 に 伝 播 す る可 能 性 が 中 等 度 か ら 高 度 で,市 は,国. 民 の 恐 怖 と 混 乱 を 招 く病 原 体 」 と 定 義 さ れ,1例. 家 的 レ ベ ル で の 対 処 が 必 要 と な る。CategoryAの. と く,天 然 痘,炭. 疽 病,ペ. ス ト,ボ. ツ リ ヌ ス 中 毒,野. の 患 者 で も発 生 し た と き. 病 原 体 に よ る 疾 患 は,表6の 兎 病,ウ. ご. ィ ル ス 性 出 血 熱 で あ る。. (27)JosephE.McDadeandDavidFranz,1998,"BioterrorismasaPublicHealthThreat," http://www.cdc.gov/ncidod/eid/vol4no3/mcdade.htm (28)米. 国TheCentersforDiseaseControlandPrevention(CDC)ホ. ー ム ペ ー ジ. http://www.bt.cdc.gov/ (29)J.Urasano,A.ENorwoodandC.SFullerton編 シ ュ プ リ ン ガ ー フ ェ ア ラ ー ク 東 京 、2006年. バ イ オ テ ロ 防 護 研 究 会 訳 『バ イ オ テ ロ リ ズ ム 」 、3頁. 306(704). 。.

(13) 輸 入 食 品 汚 染 とバ イ オ テ ロの い ず れ が よ り脅 威 か?(勝. 表5バ 項. 田). イ オ テ ロと 自然 災 害 と の類 似 点 と相 違 点 バ イオテロ. 目. 自然 災 害1. 脅 威/リ ス ク. 広範囲. 局所 的. 対処者/医 師の知識. 低い. 高い. 公衆衛生 的準備. 低い. 中等度. 衝撃期. 緩やか. 突然. 期間. 緩慢. 急性. 愉快犯/模 倣犯. 有り. 無 し. 安 全 に対 す る認 識 の変 化. 広範囲. 局所. 公 的機 関に対す る信頼性 の変化. 高度. 中等度. 注1自 然 災 害 は 例 え ば ハ リ ケ ー ン,台. 風,竜. 巻,地. 震 等 を指 す。. 出 所R.J.Urasano,A.ENorwoodandC.S.Fullerton編. バ イ オ テ ロ 防護 研 究 会 訳. 「バ イ オ テ ロ. リ ス ム 』 シ ュ プ リ ン ガ ー フ ェ ア ラ ー ク東 京,3頁,2006年. 表6米. 特. 国CDCに. よ るCategoryAの. 徴. 病. ① 容 易 に ヒ トか ら ヒ トへ 伝 播 す. 原. 病原体. 菌. 疾. 痘 瘡 ウ ィ ル ス(Variolamajor). 天然痘. 炭 疽 菌(B。anthracis). 炭疽. ペ ス. ペス ト. 患. る。 ② 致 死 率 が 高 く,公 衆 衛 生 上 の イ ンパ ク トが 大 き い。 ③ 公 衆 をパ ニ ック に陥 れ る。 ④ 特 に公 衆 衛 生 上,準 備 対 応 が 必 要 で あ る。. ト菌(Y.pestis). ボ ツ リ ヌ ス 菌,毒. ボ ツ リヌ ス 中毒. 素. (C.botulinum,toxins). 野兎病. 野 兎 病 菌(F.tularensis) フ ィ ロ ウ ィ ル ス と ア. レ ナ ウ ィ ル. ウ イル ス性 出」 血熱. ス 各 種(Ebola,Lassavirus等). 出 所CDCホ. ー ム ペ ー ジhttp://www.bt.cdc.gov/. 厚 生 労 働 省 で は,CDCの. 分 類 に よ るCategoryAの. 大 発 生 す れ ば 大 問 題 と な る病 原 体 と し て サ ル モ ネ ラ,ノ 0-157を. 挙 げ て い る 。 こ れ ら の 菌 は,ど. と か ら,テ た,日. ロ,特. 病 原 体 以 外 に,表7に ロ ウ ィ ル ス,腸. こ に で も存 在 し,簡. あ る よ う に,. 管 出血 性 大 腸 菌. 単 に入 手 可 能 な もの で あ る こ. に バ イ オ テ ロ を お こ な う場 合 に 非 常 に 使 い や す い も の と理 解 で き る。 ま. 本 で は ま だ 発 症 例 は な い が,ヒ. トへ の 感 染 が 発 症 し た 場 合 に 治 療 方 法 が 確 立 し て い. な い 高 病 原 性 鳥 イ ン フ ル エ ン ザ ウ ィ ル ス(鳥. イ ン フ ル エ ン ザ ウ ィ ル ス)も. 307(705). 対 象 病 原 体 と考.

(14) 第59巻. 第2号. え て い く必 要 が あ る(30)。. これ らの病 原体 は,い. った ん病 原 菌 や ウ ィル ス を入 手 で きれ ば,大 量 培 養 が 容 易 に行 え. る と い う特 徴 を も っ て い る。 ヒ トに対 す る殺 傷 能 力 は,CategoryAの い が,い. 病 原体 に比 して 弱. っ た ん 発 症 し た 場 合 の 心 理 的 あ る い は 経 済 的 な 打 撃 は 計 り知 れ な い も の が あ り,. 人 為 的 に これ らの病 原体 を 家 畜 の 飼料 や食 品等 に混 入 させ る こ とが で きれ ば,大 規 模 な テ ロ を 引 き起 こ す こ と が 可 能 と な る。. 表7テ 菌 ・ウイ ル ス. サルモネ ラ. ロに 用 い られ る可 能 性 の あ る病 原 体. 家 畜,人,ペ. ッ トお. 度. 潜伏期間. 症状. 温 室で は比. 潜 伏 時 間:5∼72時. 々. 較 的短 時間. (平 均12時. 管 内,カ メ な ど の爬. この菌型 の検 出数 が. で増 殖,凍 結. 下 痢,発. 虫 類,さ らに下 水 や. 増 加 し て い る). や乾 燥 に も. 度 ℃),嘔. 強い. 脱 力 感,倦. 潜 伏 時 間:24∼48時. よ び野生 動 物 の腸. (菌). 温. 発 病 菌 量. 菌 ・ウ イル ス の特 徴. 105∼109個 (SEは. 数 十 個;年. 河 川 に分 布. 間. 間),腹. 痛,. 熱(38∼40 吐,頭. 痛,. 怠感. ノ ロウ イル ス. 生 カ キ,サ ラ ダ な ど. 最 小 発 熱 ウイ ル ス量 は. 60℃,30分 間. (ウ イ ル ス). 広 範 囲 な非 加熱 食. 10∼100個. 加熱 で は病. 間,吐. 原 性 を失 わ. 下 痢,嘔. ない 一20℃. 潜 伏 時 間:平 均3∼5. 品,中 に は湧 き水 や 井戸水 腸管出血性. 少 量 の 菌 で も感 染. き 気,腹 吐,発. 痛, 熱. (38℃ 以 下). での. 大 腸 菌0-157. ス テ ン レスな どに 一 度 付 着 した0157. 凍 結保存 実. 日,激 しい腹痛,数 時. (菌). が40日 間 生 存 し た. 験 で,9月. 間後 に水 様 性 下 痢 。. 記 録 あ り井 戸 水 で. ほ とん ど死. 1∼2日 後 に下 血,溶 血. か な り長 期 間 生 存. な な い。. 性 尿 毒症 症 候 群. 後. 可能 野 生 の水 鳥(カ モ類. ベ トナ ム,タ イ,カ. ンフル エ ンザ. )を 宿 主 と して存 在. ジ ア,イ ン ドネ シア,中. 全. (ウイ ル ス). して い る。水 鳥 の腸. 国,ト. 鶏:元 気 消 失,食 欲 ・. 高病原性鳥イ. ル コ,エ. ンボ. ジ プ ト,. 管 で増 殖 し,鳥 問 で. ア ル ゼ バ イ ジ ャ ン,イ ラ. 飲 水 欲 の減 退,産 卵 率. は(水 中 の)糞 を媒. クで 死 亡 者 が 出て い る. の低 下,呼 吸器 症 状,. 介 に感 染 出 所:滋. ヒ ト:肺 炎,多 臓 器 不. 賀 県ホームペー ジ. 下 痢,神 経 症 状 食 中毒 分 析 フ ァイ ル. http://www.pref.shigajp/e/shoku/02tyudok/bunseki/03/0300-00.htm 動物衛生研究所 ホームペー ジ. 高 病 原 性 鳥 イ ン フル エ ンザ 関連 情 報. http://niah.naro.affrc.gojp/disease/poultry/toriinfluqa.htm1#1. また 食 品 を 介 して疾 病 が発 生 した場 合,発 症 原 因 を公 衆 衛 生 関係 者 が 即座 に突 き止 め る こ とは非 常 に困難 で あ る と考 え られ て い る。 この こ とは,世 界 中 か ら生 鮮 食 料 品,加 工 食. (30)滋 賀県ホームペー ジ 食 中毒 分 析 フ ァイ ル お よ び動 物 衛 生 研 究 所 ホ ー ム ペ ー ジ イ ン フル エ ンザ 関連 情 報 よ りま とめ て い る。 http://www.pref.shiga.jp/e/shoku/02tyudoku/bunseki/03/0300-00.htm http://niah.naro.affrc。go。jp/disease/poultry/toriinfluqa.html#1 308(706). 高病原性 鳥.

(15) 輸入食品汚染 とバイオテ ロのいずれが より脅威か?(勝. 田). 品 を輸 入 して い る 日米 欧 の先 進 国全 体 の共 通 した 問題 で もあ る。 日米 欧 の先 進 国 は,中 国 や そ の他 の 開発 途 上 国 か ら食 品 を 多量 に輸 入 して い るが,農 産 物 の栽 培 過 程,家 畜 の 飼育 や 魚貝 類 の養 殖 や採 捕,加 工 食 品 の製 造 過 程 に お い て,開 発 途 上 国 は先 進 国 よ り衛 生 管 理 技 術 が 劣 って お り,原 産 国 で あ る開発 途 上 国 に お い て病 原 体 あ るい は生 物 兵 器 を 食 品 に混 入 させ る こ とが 容 易 に行 え る環 境 に あ る。 テ ロ とは い え な い が,上 記 の病 原 体 が大 発 生 した例 が あ る。2005年1月12日 省 の発 表 に よれ ば,全 国236施 設 で5371患 者(ノ 者(12名)が. の厚 生 労 働. ロ ウ ィル ス検 出)が 感 染 し,始 め て死 亡. 観 察 され た。2006年 に は ノ ロ ウ ィル ス が大 発 生 し,食 品市 場 で は パ ニ ッ クが. 起 こ り,広 島 の生 カ キ の販 売 は,金 額 べ 一 ス で 半 分 とな り,出 荷 量 が3割 減 とな った と2007 年1月24日. 付 け 日経 新 聞 は報 じて い る。. また2007年 に宮 崎 県 で大 発 生 した 鳥 イ ン フル エ ンザ は,宮 崎県 の鶏 肉 お よび卵 の 出荷 停 止 を もた ら し,養 鶏 業者 へ の経 済 的 な打 撃 は大 き く,さ らに 鳥 イ ン フル エ ンザ が蔓 延 す れ ば,ヒ. トへ の感 染 が心 配 され る。 ま た茨 城 県 で発 生 した 鳥 イ ン フル エ ンザ の場 合 に は,人. 為 的 に病 原体 が散 布 され た 可 能性 を否 定 し きれ な い と され て い る。 日本 に お い て は,鳥 か ら ヒ トへ の感 染 は まだ報 告 され て い な い が,も し,ヒ. ト. ヒ ト感 染 が起 こ った場 合,予. し高病 原 性 鳥 イ ン フル エ ンザ が ヒ トへ感 染. 防方 法 お よび治 療 方 法 が確 立 され て い な い た め,. 爆 発 的 に感 染 が広 が り,致 死 率 も きわ め て 高 い と予測 され て い るた め,人. 々に パ ニ ッ クを. もた らす。 さ ら に2010年 春 よ り宮 崎 県 で発 症 が確 認 され,大 問題 とな った 口蹄 疫 も通 常 は渡 り鳥 あ るい は地 域 を また い で移 動 す る ヒ トが キ ャ リア ー と して 関与 して感 染 が拡 大 す るた め,容 易 に感 染 を拡 大 で き る。 今 回 の 口蹄 疫 は,日 本 よ り先 に 中 国 や韓 国 で確 認 され て お り,広 域 に また が る重大 な 問題 とな る。 ヒ トへ の直 接 の影 響 の な い 口蹄 疫 で あ るが,牛,豚,鶏. に感 染 す るた め,食 料 問題 と し. て考 え る と,食 料 自給 に対 して,甚 大 な影 響 を もた らす。 今 回,宮 崎県 で は,牛 及 び豚 が 50万 頭以 上 処 分 され,損 害 額 は概 算 で,1000億. 円以 上 とな って い る。 この よ うに農 産 物 や. 家 畜 を対 象 にす るテ ロが発 生 した場 合 は,多 大 な経 済 損失 を もた らす。 殺 傷 力 の 高 い天 然 痘 や炭 疽 等 の非 常 に強力 な ウ ィル ス を使 った バ イ オ テ ロを想 定 す る よ り も,普 通 に見 られ る ウ ィル ス を 用 い て行 うバ イ オ テ ロが 引 き起 こす人 的 ・経 済 的 損失 は,人 為 的 に ば らま い た バ イ オ テ ロで あ った と して も,一 般 的 に は テ ロ と認 識 され に くい が,甚 大 な経 済 的 な影 響 を確 実 に社 会 に もた らす。 サ ル モ ネ ラ,ノ ロ ウ ィル ス,腸 管 出血 性 大 腸 菌0-157,鳥 309(707). イ ン フル エ ンザ ウ ィル ス,口.

(16) 第59巻. 第2号. 蹄 疫 等 が テ ロ に用 い られ る可能 性 が 高 い と考 え られ て い るの は,凍 結 や乾 燥 に 強 く,凍 結 乾 燥 処理 が 容 易 に行 え るた め,容 易 に 食 品 に混 入 で き る と こ ろに あ る。 特 に 日本 に輸 入 さ れ る前 の海 外 現 地 で混 入 され れ ば,対 処 し きれ な い場 合 が存 在 す る こ とに 問題 が あ る。 さ ら には,過 去 か らす で に存在 し容 易 に入 手 可 能 で伝 播 しや す い 口蹄 疫 ウ ィル ス も,バ イ オ テ ロを お こな う こ と に充 分 利 用 で き る もの と理 解 で き る。 バ イ オ テ ロは ,2001年. の米 国 で テ ロを受 けて,イ ス ラム過 激 派 や 北朝 鮮 が大 が か りな テ. ロを仕 掛 けて くる との想 定 で考 え られ て お り,CDCの. 分 類 に よ るCategoryAの. 病原体 が. 使 用 され るの で は な い か と考 え られ て い た。理 由 と して は,郵 便 物 か ら炭 疽 菌 が 発 見 され, 死傷 者 が で た こ と に よ る もの で あ る。 しか し,こ の事 件 は後 に,米 国 の研 究 者 が行 った個 人 的 な もの で あ り,組 織 的 な テ ロで な い こ とが判 明 し,現 在 はCategoryAの. 病 原 体 を使. 用 した バ イ オ テ ロの発 生 は きわ め て低 い と考 え られ始 め て きた。 ま た,CategoryAの. 病. 原体 の取 り扱 い は 当初 考 え られ て い た よ うな容 易 な もの で は な く,開 発 途 上 国 で は取 り扱 う こ とが非 常 に困難 で あ る こ とが広 く知 られ る こ と とな った。 さ らに,そ の製 造 あ るい は 貯 蔵 施 設 に使 用 す る機 器 あ るい は設 備 を 開発 途 上 国 で製 造 す る こ とは事 実 上 不 可 能 で あ る こ とか ら,先 進 国 か ら購 入 す る必 要 が あ るた め,先 進 国側 の輸 出 を チ ェ ッ クす る こ とで, 対 処 可能 で き る と考 え られ て い る。 一 方 ,サ ル モ ネ ラ,ノ ロ ウ ィル ス,腸 管 出血 性 大 腸 菌0-157,鳥. イ ン フル エ ンザ ウ ィル. ス,口 蹄 疫 等 は上 記 の通 り,通 常 ど この 国 で も発 生 す る可 能 性 が平 時 よ りあ り,仮 に テ ロ と して,人 為 的 にば ら まい て も,テ ロで あ るか,自 然 発 生 の流 行 で あ るか判 断 で き な い。 この こ とか ら,非 常 に有効 な テ ロの手 段 とな り得 る。例 え ば,前 述 の 口蹄 疫 の場 合,宮. 崎. 県 で は,牛 及 び豚 を50万 頭以 上 処 分 した た め,宮 崎 県 の経 済 的 損失 は2350億 円 と宮 崎県 が 推 計 して い る(31)。 内訳 と して,畜 産 ・畜 産 関連 産 業 が約1400億 円,小 売 ・飲 食業 な どそ の 他 の産 業 が950億 円 に上 る と試 算 して い る。 この よ う に農 産 物 や 家 畜 を対 象 にす る テ ロ は, 多大 な経 済 損 失 を もた らす こ とが可 能 とな る。 特 に 食 糧 自給 率 が40%の 日本 や26.5%の 韓 国 で は,食 糧 の 大量 輸 入 を行 って お り,き わ め て 重大 な 問題 とな る關 。. (31)宮. 崎 日 日新 聞2010年8月7日. 付ニ ュース. (32)西 川 潤 「デ ー タ ブ ッ ク 食 料 』、 岩 波 ブ ッ ク レ ッ ト、2008年 。 農 政 ジ ャ ー ナ リ ス トの 会 編 『食 糧 自 給 率 を 問 う 一 「40%」 で 大 丈 夫 な の か 』、 農 林 統 計 協 会 、2009 年。 韓 国 経 済 ニ ュ ー ス(2008年6月2日) 現 在 、 韓 国 の 食 糧 自給 率 は 約26.5%で. 、 コ メ以 外 の ほ とん ど の穀 物 を輸 入 に頼 っ て い る。. http://www。wowkorea.jp/news/Korea/2008/0602/10044845.htm1 310(708).

(17) 輸 入 食 品 汚 染 とバ イ オ テ ロの い ず れ が よ り脅 威 か?(勝. お. わ. り. 田). に. 日本 国 内 で 問題 視 され,関 心 を集 めて い る 中国 産 食 品 の汚 染 問 題 を 中心 と して 取 り上 げ, そ れ らの不 安 点 を検 証 した。 さ らに,薬 物 混 入 が容 易 に行 え るバ イ オ テ ロの発 生 の可 能 性 を も検 証 し,現 実 問題 と して,輸 入 食 品汚 染 とバ イ オ テ ロの い ず れ が よ り脅 威 で あ るか を 検 証 した。 日本 は,野 菜 の 多 くを 中 国 か ら冷凍 ・乾 燥 ・生 鮮 ・加 工 とい った 種 々の形 態 で輸 入 し, 輸 入 野 菜 の 約半 分 を 中 国一 国 に頼 って お り,も は や 日本 の 食卓 は 中 国 に依 存 して い る とい って も過 言 で は な い。 この大 量 輸 入 され て い る農 産 物 に 関 して,2007年. 末 ご ろか ら,日 本. 国 内 で は 中 国 冷 凍 鮫 子事 件 ・粉 ミル クの メ ラ ミン混 入 事 件 な ど,中 国産 食 品 に よ る人 的被 害 の報 道 が 多 くな って きて い る。 問題 の あ る汚 染 され た農 産 物 が 日本 で見 つ か る例 は ま だ ご くわ ず か で あ るが,中 国 国 内 で の被 害 状 況 は か な りの数 に及 ん で い る とい わ れ て い る。 また,化 学肥 料 大 量 使 用 に よ り中 国 の農 業生 産 は急 速 に成 長 した が,化 学肥 料 の大 量 使 用 は 国土 を痩 せ させ た。 加 え て,前 記 の ご と く農 薬 の大 量 使 用 も行 わ れ て い るの だ か ら, 中 国 の土 壌 汚 染 は急 速 に進 ん で い る と考 え られ る。 さ らに,中 国 国土 全 般 で は,企 業 に よ る工 業 廃 水 が 原 因 と して,水 が変 色 して い る川 が 多発 して い る。 しか し,そ の原 因 と され る工 場 を 汚 染源 と して取 り締 ま った り,法 的 な責 任 を追 及 した りす るの は難 しい。 この よ う に家 庭 か ら も企 業 か ら も垂 れ流 しに され て い る排 水 に よ って,中 国 の 川 は ひ ど く汚 染 さ れ て い るの が現 状 で あ る。 この よ うな水 で栽 培 され た農 作 物 が 日本 に輸 入 され,日 本 国 内 に出 回 って い る こ とは非 常 に脅威 で あ る。 中 国産 の毒 入 り鮫 子事 件 を考 え る と,猛 毒 の化 学 品 が,中 国 で は簡 単 に入 手 で き,中 国 政 府 の発 表通 り,従 業員 が 製造 工 程 の 中 で混 入 させ た とな る と,中 国 の食 品産 業 は,従 業 員 の モ ラル が 非 常 に低 く,簡 単 に 食 品 テ ロを行 え るず さん な環 境 で あ り,テ ロ発 生 の可 能 生 の 高 さを思 い知 ら され る。 も し もア ル カ イ ー ダ等 の テ ロ リス トグル ー プが,テ. ロで あ る. 旨の発 表報 道 を お こな って い た と した ら,こ の事 件 の対 処 は全 く違 った もの とな った と考 え られ る(33)。 日本 政 府 は直 ち に テ ロが発 生 した もの と して,内 閣府 の 準備 す るマ ニ ュア ル 通 り に関係 各方 面 に対処 の 指示 を 出 して い た で あ ろ う と考 え る。 また 食 品 を介 して疾 病 が 発生 した場 合,発 症 原 因 を 公衆 衛 生 関係 者 が 即座 に 突 き止 め る (33)2002年 の 日韓 共 催 ワ ー ル ドカ ップ の 開 催 時 に は、 天 然 痘 等 の バ イ オ テ ロの 発 生 が 危 惧 さ れ、 医療 機 関 は受 け入 れ態 勢 を整 え て い た し、2010年 の南 ア フ リカ で の ワ ー ル ドカ ップ に 関 して は、 ア ル カ イ ー ダ が テ ロに よ る 開催 阻止 を表 明 して い た。 311(709).

(18) 第59巻. 第2号. こ とは非 常 に困難 で あ る と考 え られ て い る。 この こ とは,世 界 中 か ら生 鮮 食 料 品,加 工 食 品 を輸 入 して い る 日米 欧 の 先進 国全 体 の共 通 問題 で もあ る。 日米 欧 の 先進 国 は,中 国 や そ の他 の 開 発途 上 国 か ら食 品 を 多量 に輸 入 して い るが,農 産 物 の栽 培 過 程,家 畜 の 飼育 や魚 貝 類 の養 殖 や採 捕,加 工 食 品 の製 造 過 程 に お い て,開 発 途 上 国 は先 進 国 よ り衛 生 管 理 技 術 が 劣 って お り,原 産 国 で あ る開発 途 上 国 に お い て は病 原 体 あ るい は生 物 兵 器 を食 品 に混 入 させ る こ とが 容 易 に行 え る環 境 に あ る。 バ イ オ テ ロは,2001年. の米 国 で の テ ロを受 けて,イ ス ラム過 激 派 や 北朝 鮮 が大 が か りな. テ ロを 仕掛 けて くる との想 定 で考 え られ て お り,CDCの. 分 類 に よ るCategoryAの. 病 原体. が使 用 され るの で は な い か と考 え られ て い た が,現 在 は バ イ オ テ ロの発 生 は きわ め て低 い と考 え られ始 め て きた。 一 方,サ. ル モ ネ ラ,ノ ロ ウ ィル ス,腸 管 出血 性 大 腸 菌0-157,鳥. イ ン フル エ ンザ ウ ィル ス,口 蹄 疫 等 は,通 常 どこ の国 で も発 生 す る可 能 性 が 平 時 よ りあ り, 仮 にテ ロ と して人 為 的 にば ら まか れ て も,テ ロで あ るか 自然 発 生 の流 行 で あ るか判 断 で き な い。 この こ とか ら,非 常 に有効 な手 段 とな り得 る と考 え られ る。 例 え ば,前 述 の 口蹄 疫 の場 合,日 本 の 食料 自給 に対 して,甚 大 な影 響 を もた ら し,宮 崎 県 で は,牛 及 び豚 が50万 頭以 上 を処 分 し,損 害 額 は概 算 で,2000億. 円以 上 とな って い る。 この よ うに農 産 物 や家 畜. を対 象 にす るテ ロは,多 大 な 経 済 損 失 を もた らす こ とが 可 能 とな る。特 に食 糧 自給 率 が40% の 日本 や26.5%の 韓 国 で は,食 糧 の大 量 輸 入 を行 って お り,き わ め て 重大 な 問題 とな る。 輸 入 食 品 汚 染 とバ イ オ テ ロの い ず れ が よ り脅 威 で あ るか で あ るが,バ イ オ テ ロを過 去 の 事 例 で検 討 す る と,日 本 で は発 生 を 予測 す る こ とが 困難 で あ り,海 外 に お い て原 因 が発 生 す る こ とを 想 定 す る必 要性 が 高 い。 ま たCDCのCategoryAの. 病 原 体 につ い て は,取. り. 扱 い が非 常 に難 し く,発 生 す る可 能 性 が低 い。 しか しな が ら,厚 生 労 働 省 が 想 定 して い る, サ ル モ ネ ラ,ノ ロ ウ ィル ス,腸 管 出血 性 大 腸 菌0-157,鳥. イ ン フル エ ンザ ウ ィル ス,口 蹄. 疫 等 は,通 常 ど この 国 で も発 生 す る可 能 性 が平 時 よ りあ り,仮 に テ ロ と して,人 為 的 に ば ら まか れ て もテ ロで あ るか,自 然 発 生 の流 行 で あ るか判 断 で きな い。 脅威 とい うな らば,通 常 発生 す る輸 入 食 品 汚染 の方 が未 だ発 生 して い な い バ イ オ テ ロよ り も脅威 とな る と考 え られ るが,口 蹄 疫 等 の ウ ィル ス を ば らま くとな る と,テ ロ と して行 って も 自然 発生 した感 染症 と区別 が つ か な い。 ヒ トを対 象 とせ ず,動 物 を対 象 とす る もの で あ って も,宮 崎 県 の 口蹄 疫 の被 害 総 額 が2000億 円以 上 とな る こ とか ら も,社 会 に対 す る 影 響 は は か り しれ な い もの とな る。 そ うな れ ば,輸 入 食 品 の 汚染 お よび バ イ オ テ ロ も 日本 国 内 で は 防 ぎ よ うが な い の が,現 状 で あ る。 海 外 か ら輸 入 され る食材 の 汚染 とバ イ オ テ ロに つ い て は,日 本 で は情 報 が 乏 し く,輸 入 312(710).

(19) 輸 入 食 品 汚 染 とバ イ オ テ ロの い ず れ が よ り脅 威 か?(勝. 量 が膨 大 な た あ,い. 田). った ん健 康 被 害 が 出 て も,原 因 の特 定 が難 し く,被 害 を容 易 に拡 大 し. や す い。 そ こで,や は り,輸 入 食材 に対 して は,加 工 食 品 を含 め 「全 量 検 査 」 が必 要 で あ る と考 え る。 全 量 検 査 を行 え ば,コ ス トが か か る とい う理 由 しか 表 明 され て い な い が,こ の よ うな 「経 済 的 な理 由 が 食 の安 全 に優 先 され る」 とい う こ とは,言 い換 え れ ば,「輸 入 者 の利 益 を確 保 す る こ とが 日本 国民 の健 康 よ り も勝 る」 とい う,輸 入 者 の エ ゴ以 外 の な に も の で もな い と考 え る。 さ ら に現 状 の 日本 の 経 済 が デ フ レ状 態 に あ る こ とを 考 慮 す る と,ケ イ ンズ(1929)が 指 摘 した デ フ レ経 済 対 策 へ の 指 摘(34)の 骨 子 で あ る公 共 投 資 の必 要 性 を再 認 識 す る必 要 が あ る と 考 え る。 この場 合,食. 品検 査 を増 や す こ とで,検 査 技 師等 の雇 用 が増 加 し,税 関職 員 を増. 加 させ る必 要 もあ るた め,港 湾全 体 に お け る雇 用 も増 加 させ る こ とが で き る。 現 状 の 円 高 ドル安 に よ り,国 内 にお け る製 造 業 に お い て,生 産 が 減少 し,雇 用 が 減少 して い る こ とに 対応 で き るの で は な い か と考 え る。 この雇 用 の増 加 に よ る コス トを 日本 国全 体 で 吸収 す る ほ うが,休 業 補 償 を 中心 とす る社 会 補 償 費用 よ り安 価 で あ る と考 え る。 食 糧 自給 率 に も関係 す るが,海 外 で の農 産 物 生 産 は,単 に 日本 で生 産 す る よ り も コス ト が安 い こ とか ら海 外 で生 産 し,輸 入 す る こ とで 利益 を得 る ビ ジネ ス モ デ ル で あ る。 も し輸 入 食料 が 高価 格 で あ れ ば,日 本 の農 家 が生 産 し利 益 を上 げ る こ とが可 能 とな り,農 業 の雇 用 が増 え る。 この よ うな単 純 な理 由 で輸 入 ビ ジネ ス が行 わ れ て い る現 状 を考 え る と,輸 入 農 産 物 の全 量 検 査 を実 施 し,安 全 で あ る こ とを証 明 した上 で販 売 す る こ とに何 の 問題 もな い。 全 量 検 査 を行 う とな れ ば,検 査 手 数 料 も必 要 で あ り,検 査 を行 う検 査 士 の雇 用 も増 え るた あ,日 本 経 済 に プ ラス とな る と考 え る。 日本 の 「食 」 の安 全 を最 優 先 し,輸 入 食 材 に 関 して は,全 量 検 査 の実 施 の確 保 が 重要 で あ る と考 え る。. (34)ケ 版社. イ ンズ、 山岡 洋 一(翻 訳)(2010)「 景 気 拡 大 の 政 策 」 「ケ イ ンズ 説得 論 集 』、 日本 経 済 新 聞 出. 313(711).

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参照

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