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〈研究ノート〉銀行破綻の影響と政策対応の効果--サーベイ

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Academic year: 2021

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(1)生駒経済論叢. 第10巻 第2号2012年11月. 銀 行 破 綻 の影 響 と政 策 対 応 の効 果:サ U 禾. 馬. 目 木 ﹂. 概要. ーベイ. 行(1). 本 稿 の 目的 は,日 本 に お け る銀 行 の 破 綻 に 際 して 政 府 が どの よ うな 政 策 を 採 って きた. の か を 詳 述 し,銀 行 の 破 綻 が 及 ぼ す 影 響 と,銀 行 破 綻 に際 して 採 られ た 政 府 の 対 応 の 効 果 に 関 して の サ ー ベ イ を 行 う こ とで あ る。 銀 行 の 破 綻 の 影 響 と して は 市 場 の 反 応 な ら びに 実 体 経 済 へ の 影 響 を 中 心 に,ま た,政 策 対 応 と して は近 年 欧 米 で も行 わ れ た 銀 行 へ の 公 的 資 金 注 入 を 中 心 に 見 て い くこ と とす る。 銀 行 の 破 綻 の 影 響 は,概 ね,他 の 銀 行 や 借 り手 に も大 きな 負 の 影 響 を 与 え る。ま た,公 的 資 金 注 入 の効 果 に関 して は,市 場 の 反 応 は 概 ね 好 意 的 で あ るが, 実 体 経 済 へ の 効 果 は 必 ず し も有 効 で はな い こ とが わ か った 。. キ ー ワー ド. 金 融 危 機,イ. ベ ン ト ・ ス タ デ ィ ー,公. 的 資 金 注 入,金. 融 機 能 安 定 化 法,早. 期健. 全化法 原稿受理 日. 2012年9月26日. Abstract. We begin by outlining. crisis.. the Japanese. government's. response. We then review the effects of bank failure and the response. kets and the real economy. affected its borrowers. made a significant. Key words. to banking. to it on the mar-. It was found that on average the main bank failure adversely. Furthermore,. contribution. we cannot conclude that public capital injections. to the real economy in Japan.. financial crisis, event study, public capital injection, the Financial Function Stabilization. (1)Email:[email protected]. Act, the Prompt. Recapitalization. Act.

(2) 第10巻. 1.イ. 第2号. ン トロ ダ ク シ ョ ン. そ もそ も,金 扇脆 機 は世 界 各 国 で起 こ っ て い る事 象 で あ る(2)。た とえ ば,LaevenandValencia (2008)に. よ る と,1970年. ま た,1880年. か ら2007年. ま で に,全. 世 界 で,124の. 以 降 の 長 期 デ ー タ で 観 測 し た 結 果,先. 銀 行 危 機 が 発 生 して い る 。. 進 国 と新 興 国 で 銀 行 危 機 の 発 生 頻 度 に. 差 が な い と い う こ と や(ReinhartandRogoff(2008)),90年. 代 に 入 りそ れ 以 前 よ り も 銀. 行 危 機 の 深 刻 度 が 増 して き て い る こ と な ど も わ か っ て き た(Bordoetal.(2001))(3)。. そ し. て,金. 倒神. 融 危 機 は 日 本 も 例 外 で は な く,90年. 代 初 期 に 起 こ っ た 資 産 価 格 の 崩 壊 以 降,不. 話 と 言 わ れ た 日 本 の 金 融 機 関 で さ え も 相 次 い で 破 綻 し た 。 特 に,1997年. は11月 だ け で4つ. の 金 融 機 関 が 破 綻 し金 融 危 機 と 呼 ば れ る 状 況 を 経 験 し た 。 ま た,1998年. 末 に は2つ. の長期. 信 用 銀 行 が 国 有 化 され た。 金 融 危 機 が 発 生 し た 場 合,各 LaevenandValencia(2008)に. 国 に よ っ て ど の よ う な 政 策 が 採 ら れ た の で あ ろ う か? お い て は,76.2%の. 国 が公 的資 金 を用 い た 資本 注 入 を 行. な う こ と に よ っ て 対 応 し た 事 が 報 告 さ れ て い る。 ま た,そ で7.8%と. 相 当 大 き な 額 と な っ て い る。 こ の よ う に,公. の 政 策 対 応 と して 非 常 に 重 要 な 地 位 を 占 め て お り,ま が わ か る 。 日 本 に お い て も,金. の 資 本 注 入 の 規 模 は,GDP比. 的 資 金 に よ る資 本 注 入 は金 融 危 機 へ た,巨. 融 危 機 に 対 応 す る た め,政. 額の税金が使われて いること. 府 は公 的 資 金 を 用 いて 銀 行 に資. 本 注 入 を 行 っ た 。 銀 行 へ の 公 的 資 金 に よ る 資 本 注 入 の 総 額 は,現 則 り,資. 本 増 強 の 目 的 で な さ れ た も の だ け で57行. 在 ま で に,5つ. に 対 し て12兆9,129億. の法律 に. 円 もの 大 き な額 と. な っ て い る(4)。 サ ブ プ ラ イ ム 問 題 に 端 を 発 す る 金 融 危 機 が 大 き な 問 題 と な っ た 際 に は,ア 危 機 と 日 本 の 銀 行 危 機 を 比 較 し,20年. メ リカの 銀 行. 前 に 日 本 で 採 られ た 対 応 策 か ら 教 訓 を 学 ぶ ア プ ロ ー. チ も な さ れ て い る(HoshiandKashyap(2010),Udell(2008),IMF(2009)な. ど)(5)。. (2)CaprioandKlingebie1(1996),Lindgren,GarciaandSaa1(1996),DermirgUG-Kuntand Detragiache(1997),KaminskyandReinhart(1999),Caprio,Klingebiel,Laeven,Noguera (2005),LaevenandValencia(2008)な ど を 参 照 さ れ た い 。 た だ し,著 者 に よ っ て,financial crisisやbankingcrisisな ど の 定 義 が 異 な る の で,単 純 に 他 の 論 文 と の比 較 は 難 しい 。 この 点 に 関 し て はVonHagenandHo(2007)のTable1を (3)ReinhartandRogoff(2008)の る。. 参 照 され た い。 結 果 は1945年. 以 降 に サ ン プ ル を 限 っ て も,同. (4)預 金 保 険 機 構 のHP(http://www.dic.go.jp/katsudo/shihonzokyo/shobun.html)を さ れ た い 。 こ の 数 字 に は,東 日本 大 震 災 に対 処 した 震 災 特 例 も含 まれ る。 (5)ア. メ リ カ の 銀 行 危 機 に つ い て は,DiamondandRajan(2009)やAdrianandShin(2008). 等 を 参 照 され た い。 -96(174)一. 様 の こ とが 言 え 参照.

(3) 銀行破綻の影響 と政策対応の効果:サ ーベイ(相 馬) その 意 味 で も,日 本 で 起 こ っ た銀 行 危 機 が どの よ うな 影 響 を 及 ぼ し,そ して,そ の 事 態 に 対 して 採 られ た政 策 が どの よ うな 効 果 を 生 ん だ の か と い う こ とを 知 る こ と は,今 後 いつ ど こで 起 こ って も不 思 議 で はな い金 融 危 機 へ の 対 応 を 考 え る上 で も重 要 な こ と と思 わ れ る。 本 稿 で は,1997年. の 金 融 危 機 が 生 じる以 前 の 銀 行 破 綻 に対 す る政 策 対 応 と,そ の 後,公. 的 資 金 の 注 入 をせ ざ るを 得 な くな っ た政 策 対 応 の 背 景 につ いて 詳 述 す る。 特 に,ア メ リカ に お け る2008年 と2009年 の2つ の 公 的 資 金 注 入 と比 較 され る,日 本 にお け る1998年3月 1999年3月. と. に行 わ れ た2つ の 公 的 資 金 注 入 につ いて 詳 述 す る。 そ して,銀 行 破 綻 とそ の 政. 策 対 応 が 市 場 な らび に実 体 経 済 に与 え る影 響 につ いて 既 存 の 研 究 成 果 を ま と め る こ と とす る。 具 体 的 に は,銀 行 の 破 綻 の 影 響 と して は イベ ン ト ・ス タデ ィー で 示 され る市 場 の 反 応 と実 体 経 済 へ の影 響 を 中心 に,ま. た,政. 策 対 応 と して は銀 行 へ の 公 的資 金 注 入 に 関 す る. ケ ー ス を 中心 にサ ー ベ イを 行 う。 具 体 的 な 本 稿 の 構 成 は次 の 通 りで あ る。 次 章 で は,1997年11月. の金融危機以前の政策対. 応 につ いて 議 論 し,3章 で は,「 金 融 機 能 安 定 化 法 」 と 「早 期 健 全 化 法 」 に基 づ く公 的 資 金 に よ る 自 己資 本 注 入 に至 る経 緯 の 詳 細 を 議 論 す る。4章 で は,銀 行 破 綻 が 市 場 と実 体 経 済 に与 え る影 響 につ いて サ ー ベ イ し,5章. で は政 策 対 応 が 市 場 と実 体 経 済 に与 え る効 果 につ. いて サ ーベ イす る。 最 後 に6章 で ま と めを 述 べ る。. 2.1997年11月. 危 機 まで の 政 策 対 応. 80年 代 まで に お いて は,破 綻 しか け た銀 行 へ の 対 応 は,一 般 的 に は,大 蔵 省 主 導 で 進 め られ,健. 全 銀 行 に よ る救 済 や 吸 収 合 併 で あ った(6)。た とえ ば,平. 和 相 互 銀 行 が 破 綻 しか け. た際 に は,大 蔵 省 か らの 働 きか け に よ り,都 市 銀 行 の 住 友 銀 行 が 吸 収 合 併 に応 じた 。 大 阪 を拠 点 と して い た住 友 銀 行 は,平 和 相 互 銀 行 の 不 良 債 権 の 処 理 を 引 き受 け る代 わ りに,東 京 近 辺 の店 舗 を全 て 自分 の もの に で き た(7)。この よ うに,大 蔵 省 に よ る規 制 が 幅 を 利 か す 護 送 船 団 行 政 の も とで は,救 済 に応 じる こ とか ら生 じる メ リ ッ ト(特 に店 舗 網 の 獲 得)が, コ ス ト(不 良 資 産 の 引 き受 け)を 上 回 って い た(8)。この 時代 に は,銀 行 か ら徴 収 した 預 金 保 険 機 構 の 資 金 が 使 わ れ た りす る こ とや,ま (6)Hoshi(2002)は,こ (7)当. して や,我. の こ と をconvoyrescueと. 時 の 社 長 は 大 蔵 省OBで. 々の 税 金 が 使 わ れ る こ と も無 か っ. 呼 び,多. くの ケ ー ス を 挙 げ て い る 。. あ っ た 。 銀 行 と天 下 り と の 関 係 は,HoriuchiandShimizu(2001). を 参 照 され た い 。 (8)Hoshi(2002)に profit/assets)が され て い る。. お い て は,80年. 代 ま で は,店. 増 え る 関 係 に な っ て い た が,そ. -97(175)一. 舗 の 数 が 上 昇 す る と 銀 行 の 利 益 率(current れ 以 降 は,む. し ろ,逆. の 関 係 に な った こ とが 示.

(4) 第10巻. 第2号. た。 しか し,金 融 自 由化 が 進 み,規 制 か ら生 じる レ ン トが 減 る と 同時 に景 気 の 悪 化 に よ る不 良 債 権 の 増 大 が 重 な る と,こ (2003),Ito(2000))。90年. の 手 法 は も は や 通 用 しな くな った(Hoshi(2002),西. 村. 代 に入 る と,救 済 合 併 す る銀 行 が コ ス トを 負 担 す るの で はな. く,預 金 保 険 機 構 が 受 け皿 にな って くれ る銀 行 に資 金 援 助 を す る形 とな っ た(9)。また,受 け皿 銀 行 に な っ て くれ る銀 行 す ら見 つ か らな くな るケ ー ス も出 て きた ⑩。 さ らに は,預 金 保 険 機 構 の 資 金 だ けで は足 りな くな り,受 け皿 銀 行 を 日銀 出資 に よ って 作 らね ばな らな い 事 態 も生 じる よ う にな っ た。 具 体 的 に は,1994年. に東 京 協 和 信 用 組 合 と安 全 信 用 組 合 の2. つ の信 用 組 合 が債 務 超 過 で 行 き詰 った際 に は,民. 間金 融 機 関 と 日銀 が そ れ ぞ れ,200億. ず つ 出資 して,受. 円. け皿 銀 行 で あ る東 京 共 同銀 行 を 設 立 した。 その 後 も,銀 行 の 破 綻 が 起 こ. る度 に,新 た な 受 け皿 銀 行 が 設 立 され たql)。そ の 中で,1996年. の預金保険機構法の改正 に. よ り,東 京 共 同銀 行 を 改 組 す る形 で 整 理 回 収 銀 行 とな り,破 綻 した 信 用 組 合 の 常 設 の 受 け 皿 銀 行 と な っ た⑫。 ま た,ペ. イオ フ ・コ ス トを超 え る額 の資 金 援 助 を可 能 とす る 「特 別 資. 金 援 助 」 を導 入 した。 さ らに,信 用 組 合 の 破 綻 処 理 に限 定 し,預 金 保 険 料 で 賄 い きれ な い 場 合 に は,預 金 保 険 機 構 の 借 り入 れ に公 的 資 金 に よ る保 証(政 府 保 証)を 導 入 した 。 銀 行 業 界 内 だ けで は も はや 問 題 を 処 理 で きな くな っ た他 の ケー ス と して,住 専 の 問 題 が あ っ た。 住 専 は大 手 行 ・証 券 会 社 な ど が設 立 した ノ ンバ ン クで あ り,元 々,個 人 の住 宅 ロ ー ンを担 って い た(MilhauptandMiller(1997))。 る よ うに な る と,住 専 は 企 業 向 け の 融 資,特. しか し,銀 行 が この 分 野 に参 入 す. に,不 動 産 関連 融 資 に傾 倒 して い く こ と と. な っ た。 資 産 価 格 が 高 騰 したバ ブル 期 に は非 常 に有 望 な 事 業 に見 え た が,バ. ブル 崩 壊 後 の. 90年 代 初 頭 に は,住 専 の 経 営 が 問 題 視 され る よ う にな っ た。 そ して,1995年8月 検 査 に よ り,6兆4,100億. の大蔵省. 円 が 回収 不 能 で あ る こ とが判 明 した。 この 損 失 を 誰 が 負 担 す るの. か と い う問題 に お い て,設 立 にか か わ った金 融 機 関(母 体 行)・ 融 資 にか か わ っ た農 協 ・一. (9)こ の 機 能 自体 は,1986年 の 預 金 保 険 機 構 法 の 改 正 に よ って 新 た に付 与 され た 。1991年 に 東 邦 相 互 銀 行 が 破 綻 しか けた 際 には,受 け皿 銀 行 で あ る伊 予 銀 行 に 対 して,預 金 保 険 機 構 が 初 め て 資 金 援 助 す る形 で 吸 収 合 併 が な され た 。 ⑩1993年 の釜 石 信 用 金 庫 が破 綻 しか け た 際 に は,吸 収 合 併 す る銀 行(受 け皿 銀行)が 見 つ か らず, 清 算 した うえ で 事 業 譲 渡 した 。 この 場 合 には 債 務 超 過 で はな か った た め,ペ イ オ フは 避 け られ た (西村(2003))。 qD例 え ば,コ ス モ 信 用 組 合(1995年7月 破 綻)は 東 京 共 同 銀 行 へ,兵 庫 銀 行(1995年8月 破 綻) は新 設 の み ど り銀 行 へ,木 津 信 用 組 合(1995年8月 破 綻)は 整 理 回 収銀 行(東 京 共 同 銀 行 を 改 組) へ,太 平 洋 銀 行(1996年3月 破 綻)は 新 設 の わ か しお 銀 行 へ の 営 業 譲 渡 ・事 業 譲 渡 に よ って 処 理 され た 。 ⑫1998年2月 の 改 正 にお い て は,信 用 組 合 に 限 らず 銀 行 の 恒 久 的 な 受 け皿 とな る よ う に拡 充 され た 。預 金 保 険機 構 に関 す る制度 や業 務 の詳 細 は,預 金 保 険機 構 年報 の各 年版(http://www.dic.go. jp/english/e_annual/e_annual,html)を. 参 照 され た い 。 -98(176)一.

(5) 銀 行 破 綻 の 影 響 と政 策 対 応 の 効 果:サ ー ベ イ(相 馬) 般 銀 行 だ け で は 負 担 が で き な か っ た(③。 そ の 結 果,1996年5月10日 に よ っ て,公. 的 資 金6,850億. に成 立 した 住 専 処 理 法. 円 が 使 わ れ る こ と が 決 ま っ た 。 金 融 機 関 の 破 綻 に 関 して,当. 度 の 歳 出 予 算 と い う 最 も 明 確 な 形 で 公 的 資 金 が 投 入 さ れ た の は,終 て は 初 め て の 事 で あ っ た(西. 3.公. 村(2003),Nakaso(2001))⑭. 年. 戦直後の混乱期を除 い. 。. 的 資 金 に よ る 自己 資 本 の 注 入. こ の章 で は,「 金 融 機 能 安 定 化 法 」 と 「早 期 健 全 化 法 」 に基 づ く公 的 資 金 に よ る 自己 資 本 注 入 に至 る経 緯 の 詳 細 を 議 論 す る。 具 体 的 に は,公 的 資 金 注 入 の 根 拠 とな るそ れ ぞ れ の 法 律 の 成 立 過 程 と その 内容 につ いて 述 べ る。 ま た,公 的 資 金 の 注 入 を 受 け るか 否 か は銀 行 に よ る 申請 を前 提 と して お り,公 的 資 金 注 入 に至 る まで の 銀 行 に よ る 申請 と政 府 に よ る承 認 の 過 程 につ いて も述 べ る。 ま た,1999年3月 後 の,2001年3月. の 公 的 資 金 注 入 は大 手 行 向 けで あ り,そ の. まで の 申請 期 間 で あ っ た地 方 銀 行 ・第 二 地 方 銀 行 向 けの プ ロ グ ラ ム につ. いて も詳 述 す る。. 3.1金. 融 危機. 1997年 の 始 め は,前. 年 か ら続 く景 気 の 回 復 が な さ れ る よ う に 思 わ れ た 。 しか し,後. な る と 景 気 も 落 ち 込 み,そ ま ず,1997年11月3日 時,コ. れ と 呼 応 す る よ う に,銀. 半 に. 行 の 問 題 も 表 面 化 した ⑮。. に 中 堅 証 券 会 社 の 三 洋 証 券 が 会 社 更 生 法 の 適 用 を 申 請 した 。 こ の. ー ル 市 場 で 借 りて い た 資 金 が 戦 後 初 め て デ フ ォ ル トを 起 こ した 。 そ の 結 果,資. 金の. 出 し手 が 急 激 に 減 っ た 。 そ して,都. 市 銀 行 の 一 つ で あ る北 海 道 拓 殖 銀 行 が コー ル 市 場 で の. 資 金 調 達 が で き な くな り,11月17日. に営 業 停 止 に追 い込 まれ た。 大 手 行 の 破 綻 は戦 後 初 め. て の 事 で あ っ た 。 そ の1週. 間 後 の,11月24日. 廃 業 を 発 表 し た 。 さ ら に,そ 結 局,11月. ⑱. だ け で,4つ. そ の 後 も,住. の2日. に は,4大. 後 に は,第. 証 券 の 一 つ で あ る 山一 証 券 が 自主. 二 地 方 銀 行 の 徳 陽 シ テ ィ 銀 行 も 破 綻 した 。. の 金 融 機 関 が 破 綻 す る 異 常 な 事 態 が 起 こ っ て し ま っ た ⑯。. 専 の 資 金 調 達 の 半 分 以 上 が 農 林 中 金 か ら の 借 り 入 れ で あ っ た こ と で,住. 専問題が. 非 常 に 政 治 的 な 問 題 と な っ た 。 農 林 中 金 と 政 治 と の 関 わ り な ど は,Cargill,Hutchison,andIto (1997;ch.6)と ⑭. 西 村(2003)が. ま た,6兆4,100億. 詳 しい。. 円 分 の 不 良 資 産 は,預. 金 保 険 機 構 に よ り新 た に設 立 され た 住 宅 金 融 債 権 管 理. 機 構 に移 され た 。 ⑮1997年4月25日. に は,日. 産 生 命 が 破 綻 し て い る 。 日 本 に お い て は,戦. 綻 で あ った 。 ㈹. そ れ ぞ れ の 破 綻 原 因 等 の 説 明 は,Nakaso(2001)が -99(177)一. 詳 しい 。. 後初めての保険会社の破.

(6) 第10巻 3.2第1回 3.2.1金. 第2号. 公 的 資 金 に よ る 自 己 資本 の 注入 融 機 能 安 定 化 法 の 成 立 過 程(1の. 11月 危 機 の 後,住 専 問 題 で 公 的 資 金 を 使 う こ とへ の 批 判 を 恐 れ て いた 政 府 もや っ と公 的 資 金 を用 いて,銀 行 の 問 題 に対 応 す る こ とを 選 択 す る。 山一 証 券 が 破 綻 した 次 の 日 に は, 元 首 相 の 宮 沢 喜 一 を 本 部 長 とす る 「緊 急 金 融 シ ス テ ム安 定 化 対 策 本 部 」 を 設 置 し,公 的 資 金 を活 用 した対 応 策 を 検 討 して い る。 しか し,こ の 時 で さえ も,住 専 時 にお け る議 論 を 踏 まえ,銀 行 救 済 との 印 象 を 受 けて しま う と い う理 由で,公 的 資 金 を 用 いた 銀 行 の 自己 資 本 注 入 を は っ き りと打 ち 出 した わ け で は な か った(⑧ 。 しか し,12月16日. に正 式 決 定 した 「金. 融 シ ス テ ム安 定 化 の た めの 緊 急 対 策 」 は,預 金 者 保 護 の た めの 公 的 資 金 の み な らず,銀 行 へ の 自 己資 本 の 注 入 も明 記 した。 これ が 原 案 とな って,次 年 度 の1998年2月16日. に 「改 正. 預 金 保 険 法 」 と 「金 融 機 能 の安 定 化 の た め の 緊 急 措 置 に関 す る法 律 」 が 成 立 した ⑲。 た だ し,い ず れ も,2001年3月. 3.2.2金. まで の 時 限 措 置 と して の 法 律 で あ っ た。. 融機能安定化法の内容. 改 正 預 金 保 険 法 と金 融 機 能 の 安 定 化 の た めの 緊 急 措 置 に関 す る法 律(以 降,安 定 化 法) は,前 者 が 破 綻 した銀 行 に対 応 す る法 律 で あ り,後 者 が 破 綻 前 の 銀 行 に対 応 す る法 律 で あ る。 改 正 預 金 保 険 法 に お いて は,破 綻 銀 行 の 預 金 を 全 額 保 護 す るた め,預 金 保 険 機 構 に7 兆 円の 国 債 を交 付 し,10兆 円の 借 り入 れ に政 府 保 証 を 付 け た。 また,整 理 回 収 銀 行 の 受 け 皿 銀 行 と して の 機 能 を,信 用 組 合 の み か ら一 般 銀 行 に まで 広 げ た。 安 定 化 法 にお いて は, 銀 行 の 資 本 充 実 の た め に預 金 保 険 機 構 が 優 先 株 や 劣 後 債 な どを 購 入 で き る よ う に した 。 そ の た め に,3兆. 3.2.3.第1回. 円の 国 債 を 交 付 し10兆 円の 借 り入 れ に政 府 保 証 を 付 けた 。. 公 的資 金 注 入 に至 る 申請 と承 認 と注 入. 安 定 化 法 に お いて は,資 本 注 入 は,政 府 か らの 強 制 で はな く注 入 を 受 け る銀 行 か らの 申 請 に基 づ いて い る。 そ して,申 請 す る銀 行 は 「経 営 の 健 全 性 の 確 保 の た めの 計 画 」(「健 全 性 確 保 計 画 」)を 提 出 し,金 融 危 機 管 理 審 査 委 員 会 が 公 的 資 金 を注 入 す るか 否 か,ま. た,. 注 入 額 等 を決 め る こ と とな って い る。 審 査 基 準 と,「 健 全 性 確 保 計 画 」 に記 載 す る内 容 が ⑰ ⑱. よ り詳 細 な 議 論 は 野 口 ・丸 山(2007)を 参 照 され た い 。 た とえ ば,12月1日 衆 参 予 算 委 員 会 の 場 に お い て は,公 的 資 金 は預 金 者 保 護 の た め とい う こ と を 前 面 に 出 し,公 的 資 金 を 用 い た 資 本 注 入 に 関 す る野 党 の 質 問 に,当 時 の 首 相 の 橋 本 龍 太 郎 は言 葉 を 濁 して い る(1997年12月2日 付 日本 経 済 新 聞 朝 刊)。 ⑲ 図 に よ る説 明 は,以 下 の 預 金 保 険 機 構 年 報1997年 度 版 の 資 料10を 参 照 され た い 。http://www. dic.go.jp/annual/hO9/4-10.html. -100(178)一.

(7) 銀 行 破 綻 の 影 響 と政 策 対 応 の 効 果:サ ー ベ イ(相 馬) 2月26日. に 公 表 さ れ た 。 そ の 内 容 は,た. こ と や,債. と え ば,最. 務 超 過 で な い こ と な ど か ら,ほ. た⑫ ①。 た と え ば,大. 近3年. 間 連 続 して 赤 字 や 無 配 当 で な い. とん どの 銀 行 が 申請 可 能 な 緩 や か な 条 件 で あ っ. 手 行 の 中 で は,1995年3月. 期 以 降 無 配 の 日本 信 託 銀 行 だ けが そ もそ も. 公 的 資 金 を受 け る資 格 が 無 か っ た。 申 請 に 関 して は,紆. 余 曲 折 が 有 っ た 。 そ も そ も,注. 危 な い 銀 行 で あ る と 思 わ れ る た め,当 ま た,大. 申 請 辞 退 を ほ の め か し た ⑫1)。 ま た,2つ. 和 銀 行 は,2月4日. 経 新 聞 の ア ン ケ ー トに よ る と,接. 手 行 の 消 極 姿 勢 も あ り,申. 請 に 積 極 的 で あ っ た 銀 行 は4行. に は,. 待 に関 わ って いた と され る大. の み で あ っ た 。 そ の 後,審. 査基. 待 汚 職 に関 す る倫 理 基 準 は入 れ な い こ とや 申請 を 条 件 に経 営 者 が 辞 任 す る こ とを. 条 件 と しな い こ と な ど が 判 明 し,3月5日 に 申 請 し た 。 そ の 後,預 に7行. の衆院大蔵委員会. の 法 案 が 成 立 し た1998年2月16日. 大 蔵 省 職 員 が 逮 捕 さ れ,日. 準 に,接. 行が. 初 は 申 請 に は 積 極 的 で は な か っ た(Nakaso(2001))。. 蔵 省 職 員 の 過 剰 接 待 問 題 が 浮 上 す る と,三. (国 会)で. 入 を 申 請 す る こ と に よ っ て,自. に は 大 手 行 を 中 心 に21行 が 預 金 保 険 機 構 に 正 式. 金 保 険 機 構 の 金 融 危 機 管 理 審 査 委 員 会 は,3月8日. ず つ 個 別 に 頭 取 と 面 談 し た 。 そ して,3月10日. の,ま. 後 債 が1兆800億. 円,劣. た,3月12日. の. に 振 り込 み が な さ れ た 。. 21行 の 申 請 額 は 優 先 株 ・劣 後 債 ・劣 後 ロ ー ン を 合 わ せ て1兆8,156億 投 入 額 の 内 訳 は,劣. ・10日. の 夜 に優 先 株 の 発 行 を 希 望 す る第 一. 勧 業 銀 行 ・長 期 信 用 銀 行 ・日 本 債 券 信 用 銀 行 ・中 央 信 託 銀 行 の4行 夜 に 残 りの17行 の 承 認 を 決 め た 。 そ して,30日. ・9日. 後 ロ ー ンが4,146億. 円,優. 円 で あ っ た(表1)。 先 株 が3,210億. あ っ た 。 しか し,大 手 行 の ほ と ん ど が 同 じ額 の1,000億 円 を 申 請 ・承 認 さ れ,横. 円で. 並 び意 識 の. 護 送 船 団 行 政 の 体 質 が 残 っ て い た と も 考 え られ る(Nakaso(2001),HoshiandKashyap (2001))⑳ 。. 3.3第2回 3.3.1早. 公 的 資 金 に よ る 自 己 資本 の 注入 期 健 全 化 法 の 成 立 過 程㈱. 1,766億 円 も の 公 的 資 金 を1998年3月. ⑳. に 注 入 さ れ た 日 本 長 期 信 用 銀 行 に 関 し て,5月. にな. 審 査 基 準 の 詳 細 な 説 明 は,以 下 の 預 金 保 険 機 構 年 報97年 度 版 の 資 料12を 参 照 さ れ た い 。 http://www.dic.go.jp/annual/hO9/4-12.html.ま た,合 併 等 の 受 け皿 銀 行 に な る場 合 と健 全. 行 で 資 本 注 入 を 受 け る場 合 の2種 類 の 基 準 が 発 表 され て い る。 ⑳1998年2月17日 付 けの 日経 金 融 新 聞 を 参 照 され た い。 ⑳ 申 請 額 は2兆690億 円 で あ った の で,承 認 され た 額 は 申請 額 を約1割 下 回 る こ と とな っ た。 減 額 され た の は,次 の 年 に国 有 化 され る 日本 長 期 信 用 銀 行 と 日本 債 券 信 用 銀 行 の 永 久 劣 後 ロー ンで あ った 。 また,申 請 した 金 利 よ り も高 い 金 利 を 要 求 され た 銀 行 もあ った 。 ⑳. よ り詳 細 な 議 論 は 野 口 ・丸 山(2007)を. 参 照 され た い 。. 一101(179)一.

(8) 第10巻 表1金. 金融機関名. 第2号. 融 機 能 安 定 化 法 に 基 づ く資 本 増 強. 資本増強年月. (単位 は 億 円). 優先株. 劣 後 債 ・劣 後 ロ ー ン. 第一勧業銀行. 1998年3月. 990. 一. 富士銀行. 1998年3月. 一. 1,000. 日本興業銀行. 1998年3月. 一. 1,000. 安 田信託銀行. 1998年3月. さ くら銀 行. 1998年3月. 1,500 1,000. 1998年3月. 一. 1,000. 東京三菱銀行. 1998年3月. 一. 1,000. 三菱信託銀行. 1998年3月. 一. 500. 三和銀行. 1998年3月. 一. 1,000. 東海銀行. 1998年3月. 一. 1,000. 東洋信託銀行. 1998年3月. 一. あ さ ひ銀 行. 1998年3月. 1,000. 大和銀行. 1998年3月. 1,000. 住友信託銀行. 1998年3月. 一. 1,000. 三井信託銀行. 1998年3月. 一. 1,000. 中央信託銀行. 1998年3月. 320. 280. 横浜銀行. 1998年3月. 一. 200. 北陸銀行. 1998年3月. 一. 200. 足利銀行. 1998年3月. 一. 300. 日本長期信用銀行. 1998年3月. 1,300. 466. 日本債券信用銀行. 1998年3月. 600. 住友銀行. 合 (参 考 資 料)預. 500. 計13,21014,946 金 保 険 機 構HP:http://www.dic.go.jp/katsudou/katsudou3-2.html. る と経 営 危 機 の うわ さが 市 場 に流 れ,そ. の 後,株. 価 も急 落 した⑳。1998年7月. か ら10月 ま. で 開 か れ た臨 時 国 会 は 「金 融 国 会 」 と も呼 ばれ,長 銀 処 理 を 含 めた 銀 行 の 破 綻 処 理 を 巡 っ て 与 野 党 の攻 防 が 繰 り広 げ られ た㈱。 本 国 会 に お いて,10月12日. に金 融 再 生 法,10月16日. に は早 期 健 全 化 法 が 成 立 した。. 3.3.2早. 期健全化法の内容. 金 融 再 生 法 は破 綻 銀 行 の 処 理 を 扱 う法 律 で あ り,早 期 健 全 化 法 は破 綻 状 態 で はな い銀 行. ⑳. た と え ば,1998年5月2日. ㈲. 長 銀 破 綻 に 至 る 議 論 は,Nakaso(2001)やHoshiandKashyap(2001)が. 付 けの. 「Economist」107ペ. -102(180)一. ー ジの記 事 を参 照 さ れ た い。 詳 しい。.

(9) 銀 行 破 綻 の 影 響 と政 策 対 応 の 効 果:サ ー ベ イ(相 馬) に 資 本 注 入 を 行 う た め の 法 律 で あ る 。 こ の2つ 綻 銀 行 の 国 有 化 に18兆 円,資. の 法 律 に よ っ て,預. 本 注 入 に25兆 円 と な り,公. 金 者 保 護 に17兆 円,破. 的 資 金 の 枠 は,従. 60兆 円 に 増 加 し た(Nakaso(2001),HoshiandKashyap(2010))⑳ て は,特. 来 の30兆. 円か ら. 。 金 融 再 生 法 にお い. 別 公 的 管 理 ま た は 金 融 整 理 管 財 人 に よ る 管 理 が な さ れ る が,借. り手 保 護 の 観 点 か. ら銀 行 が 営 業 を 継 続 で き る よ う に な っ た 事 が 新 し い 点 で あ る 。 こ の 法 律 に 基 づ い て,1998 年10月. に は 日 本 長 期 信 用 銀 行,12月. 期 健 全 化 法 の 成 立 に よ り,公. 3.3.3第2回. に は 日 本 債 券 信 用 銀 行 が 一 時 国 有 化 さ れ た 。 ま た,早. 的 資 金 に よ る 資 本 注 入 額 は13兆 円 か ら25兆 円 に 拡 充 さ れ た 。. 公 的 資 金 注 入 に 至 る申 請 と承 認 と注 入. 早 期 健 全 化 法 に お いて も,安 定 化 法 同様,資 本 注 入 は政 府 か らの 強 制 で はな く注 入 を 受 け る銀 行 か らの 申請 に基 づ い て い る⑳。 そ して,申 請 す る銀 行 は 「経 営 健 全 化 計 画 」 を 提 出 し,金 融 再 生 委 員 会 が 公 的資 金 を 注 入 す るか 否 か と注 入 額 等 を決 め る こ と とな って い る㈱。 同法 に お いて は,資 本 注 入 を 認 め る審 査 基 準 の 詳 細 が 明 示 して いな か った が,1998年11 月10日 にな って 発 表 に至 っ た。 そ こで は,①ROE向. 上 の た め の各 部 門 の整 理 ・拡 大,②. 必 要 度 の 低 い施 設 の 売 却 等,③ 信 用 供 与 の 減 少 を 回 避 す る方 策 の 実 行(特 貸 出残 高 は原 則 増 加)な 応 じて,配. どが 挙 げ られ て い る。 ま た,3段. に 中小 企 業 向 け. 階 に分 け られ た 自己 資 本 比 率 に. 当制 限 や 経 営 責 任 な どが よ り厳 し くな って い る㈲。. その後,1998年11月. 下旬 に行 わ れ た 中間 決算 発 表 会 に お いて,都 市 銀 行 ・長 期信 用 銀 行 ・. 信 託 銀 行 の大 手18行 の多 くが 申請 す る こ とを 表 明 す る⑳。 た とえ ば,11月25日. 付 日経 新 聞. に よ る と,都 市 銀 行 ・長 期 信 用 銀 行 ・信 託 銀 行 の 大 手18行 の う ち,東 京 三 菱 銀 行 と 日本 債 券 信 用 銀 行 と 日本 信 託 銀 行 以 外 の15行 は 申請 を 表 明 して い る。 そ の 後,日 本 債 券 信 用 銀 行 が12月 に国 有 化 され,ま. た,安 田信 託 銀 行 は富 士 銀 行 の 子 会 社 化 を 前 提 に,富 士 銀 行 が 一・. 括 して 資 本 注 入 を 受 け る こ とを 表 明 した。 翌 年 の1999年1月. 下 旬 か らの 健 全 化 計 画 の 準 備. 状 況 に応 じて 「予 備 審 査 」 と して,書 類 審 査 と頭 取 面 談 を 順 次 行 い,2月12日. ⑳2つ ⑳. の 法 律 の 関 係 は,Nakaso(1999)の. 図1が. に,都 市 銀. 詳 しい。. 申 請 は2001年3月 末 ま で と な っ て い る 。 た だ し,協 同 組 織 金 融 機 関 に 関 し て は,2002年3月 で の 申 請 が 認 め ら れ る よ う に,後 に改 正 が な され た 。. ⑱12月15日 に 発 足 す る ま で は,内 閣 内 政 審 議 室 が 代 行 し て 受 け 付 け,実 る(1999年11月12日 付 け 日 本 経 済 新 聞 朝 刊)。 ㈲. 際は金融監督庁が審査す. 詳 細 は,「 金 融 監 督 庁 の1年(1998年 事 務 年 度 版)」(1999年6月22日)」 の 資 料5-2-2(http:// www.fsa.go。jp/p _fsa/news/newsj/f-19990811-0-c/002.pdf)を 参 照 され た い。 ㊤① こ の 時 点 で は す で に18行 の 中 に 日 本 長 期 信 用 銀 行 は 含 ま れ て い な い 。 -103(181)一. ま.

(10) 第10巻. 行8行,信. 託 銀 行5行,長. 第2号. 期 信 用 銀 行1行,地. 仮 決 定 が 行 われ たGD。そ の 後,2月. 方 銀 行1行. に対 して,「 資 本 注 入 適 格 」 の. 中 旬 か ら下 旬 にか けて,優. を変 更 す る た め,臨 時 株 主 総 会 を 開 い た。 そ して,3月4日 け付 け,3月12日. に資 本 注 入 の 申請 を 正 式 に受. に は,仮 決 定 を した15行 全 行 に対 して 正 式 に承 認 した㈱。 承 認 され た 額. は,総 額 で7兆4,592億5千. 万 円 で あ り,劣 後 債 と劣 後 ロー ンで1兆3千. 兆1,592億 円 で あ った(表2)。. 優 先 株 の うち5兆5,592億. 億 円,優 先 株 で6. 円が 普 通 株 に転 換 で き る転 換 型 優. 先 株 の 形 で 資 本 注 入 を 受 け た㈱。 大 和 銀 行,三 井 信 託 銀 行,中 の4行. 先株式の発行枠拡大の定款. 央 信 託 銀 行,東. 洋信託銀行. は3ケ 月 後 に議 決 権 が 生 じる普 通 株 に転 換 可 能 な た め,政 府 に よ る管 理 の 恐 れ が 強. い もの とな っ た。. 3.3.41999年4月 1999年3月. 以 降 の 公 的 資 金 に よ る 自己 資 本 の 注 入. 期 の 資本 注入 は,い わ ゆ る大 手 行 が 中心 で あ り,地 方 銀 行 と第二 地 方 銀 行 は,. 最 大 の 地 方 銀 行 の 横 浜 銀 行 の み の 申請 で あ っ た。 す な わ ち,1999年3月. の 資 本 注 入 は,大. 手 行 の み が 参加 しやす い もの で あ った と いえ る。まず,1998年10月14日. には金 融 監 督 庁 が,. 10月15日 に は 日銀 総 裁 が それ ぞ れ,同 法 律 成 立 後 に大 手 行 が 申請 を 早 期 に 出す よ う強 く促 す 方 針 を 明 らか に して い る鱒。 ま た,1998年7月13日 との(当 時 の)大 手 行19行 へ の 一 斉 検 査 を11月5日. か ら始 ま った金 融監 督庁 と 日銀 考 査 に終 わ らせ て お り,政 府 と して は,大. 手 行 の 事 に関 して は良 く分 か って い た。 その 結 果,大 手 行 の 不 良 債 権 額 が 自己 査 定 に基 づ く不 良 債 権 よ り も多 か っ た こ とが 判 明 す るな ど,大 手 行 は 申請 が 多 くな る よ う な圧 力 が 掛 っ た。 また,金 融 再 生 委 員 会 は,1999年1月20日. に 「金 融 再 生 委 員 会 の運 営 の基 本 方 針 」. を発 表 し,そ の 中 で,「 金 融 再 生 委 員 会 は … …少 な くと も大 手 行 につ い て は本 年3月. 期に. お いて 不 良 債 権 問 題 の 処 理 を 基 本 的 に終 了 す る こ とを 目指 す と と も に、 破 綻 処 理 にお いて 預 金 者 が 完 全 に保 護 され る2001年3月. 末 まで に、 揺 ら ぐこ との な い強 い競 争 力 を も った 金. 融 シ ス テ ム を再 構 築 しよ う とす る もの で あ る。」(下 線 部 は筆 者 に よ る)と 述 べ て い る。 さ らに,同 年1月25日. に は,「 資 本 増 強 に 当 って の償 却 ・引 当 につ い て の考 え方 」 を発 表 し,. 「今 回 の 資 本 増 強 を契 機 と して、 大 手 行 の 不 良 債 権 処 理 を前 倒 しで 進 め る と と もに今 後 の 不 確 実 な 金 融 環 境 に備 え る こ と に よ り、 我 が 国 金 融 シ ス テ ムの 国 際 的 な 信 認 を 回 復 させ る. ⑳ 働. 地 方 銀 行 で は唯 一,地 方 銀 行 協 会 会 長 行 で 地 方 銀 行 最 大 の 横 浜 銀 行 が,1月25日 に 表 明 した 。 富 士 銀 行 の1兆 円 の う ち3千 億 円 は子 会 社 化 す る安 田 信 託 銀 行 分 と して,ま た,三 和 銀 行 の7 千 億 円 の う ち1千 億 円 は 東 洋 信 託 銀 行 の 増 資 引 き受 け分 と して 申 請 して い る。 ㈱ 注 入 され た 優 先 株 式 に関 す る議 論 は,大 村 ・水 上 ・山 崎(2002)が 詳 しい 。 ⑳1998年10月14日 付 日本 経 済 新 聞 地 方 経 済 面 と1998年10月16日 付 日本 経 済 新 聞 。 -104(182)一.

(11) 銀 行 破 綻 の 影 響 と政 策 対 応 の 効 果:サ ー ベ イ(相 馬) 表2早. 金融機関名. 期 健 全 化 法 に 基 づ く資 本 増 強. 資本増強年月. (単位 は 億 円). 優先株. 劣 後 債 ・劣 後 ロ ー ン. 第一勧業銀行. 1999年3月. 7,000. 2,000. 富士銀行. 1999年3月. 8,000. 2,000. 日本興業銀行. 1999年3月. 3,500. 2,500. さ くら銀 行. 1999年3月. 8,000. 一. 住友銀行. 1999年3月. 5,010. 一. 三和銀行. 1999年3月. 6,000. 東海銀行. 1999年3月. 6,000. 一. 東洋信託銀行. 1999年3月. 2,000. 一. 三菱信託銀行. 1999年3月. 2,000. 大和銀行. 1999年3月. 4,080. あ さひ 銀 行. 1999年3月. 4,000. 1,000. 住友信託銀行. 1999年3月. 1,000. 1,000. 三井信託銀行. 1999年3月. 2,503. 1,500. 中央信託銀行. 1999年3月. 1,500. 横浜銀行. 1999年3月. 1,000. 足利銀行. 1999年9月. 750. 一. 北陸銀行. 1999年9月. 750. 一. 琉球銀行. 1999年9月. 400. 一. 広島総合銀行. 1999年9月. 200. 1,000. 1,000. 一. 1,000. 200. 足利銀行. 1999年11月. 300. 一. 熊 本 フ ァ ミ リー 銀 行. 2000年2月. 300. 一. 新生銀行. 2000年3月. 2,400. 一. 北海道銀行. 2000年3月. 450. 千葉興業銀行. 2000年9月. 600. 一. 八千代銀行. 2000年9月. 350. 一. あ お そ ら銀 行. 2000年10月. 2,600. 一. 関 西 さわ や か 銀 行. 2001年3月. 80. 東 日本銀行. 2001年3月. 200. 近畿大阪銀行. 2001年4月. 600. 一. 岐阜銀行. 2001年4月. 120. 一. 福 岡 シテ ィ銀 行. 2002年1月. 700. 一. 和歌山銀行. 2002年1月. 120. 九州銀行. 2002年3月. 300. 合 (参 考 資 料)預. 計172,81313,24・ 金 保 険 機 構HP:http://www,dic.go.jp/katsudou/katsudou3-1,html -105(183)一. 40. 一.

(12) 第10巻. 第2号. 必 要 が あ る。 この 観 点 か ら、 国 際 基 準 行 に お いて は、 資 本 増 強 額 の 審 査 に際 して 、 厳 格 な 資 産 査 定 を前 提 に、 次 に よ り引 当を 行 う もの とす る。」(下 線 部 は筆 者 に よ る)と 述 べ て い る。 それ に よ り,大 手 行 向 けの 資 産 査 定 の 基 準 を よ り明 確 に し,貸 倒 引 き 出 し額 の 基 準 が 従 来 よ りも厳 しい もの と な っ た㈲。 この よ う に,政 府 の 対 応 が,大. 手 行 向 けの 対 応 にな っ. て い た こ とが わ か る。 それ に対 して,1998年11月4日. と5日 に地 方 銀 行 と第 二 地 方 銀 行 にそ れ ぞ れ 説 明 会 を 開. き 申請 を促 した もの の,1998年11月. 末 時 点 で 申請 を 検 討 して い る と した 地 方 の 銀 行 は,横. 浜 銀 行,群 馬銀 行,泉 州 銀 行,大 阪 銀 行 等 だ けで あ っ た欝。理 由 と して は,「 地 方 銀 行 の 自 己資 本 比 率 は高 く,資 本 注 入 の 緊 急 性 は一 般 的 に低 い」 の で 申請 の 必 要 性 が 少 な い(地 方 銀 協 協 会 会 長 ・平 沢貞 昭)と の 意 見 が あ る一 方 ⑳,1998年11月30日 と,関 東 地 区 の と あ る銀 行 は,「 申請 行 が4-5行. 付 日本 経 済 新 聞 に よ る. に と ど ま る と,信 用 低 下 につ な が る恐 れ. が あ り,先 駆 けて 申請 す るの は抵 抗 が あ る」 と指 摘 し,「10-20行 が 手 を 挙 げて 目立 た な い よ う にで きれ ば」 との 本 音 も あ っ た。 同様 に,「 注 入 が多 くの大 手 行 や有 力 地 銀 に広 が り, 横 並 び の色 彩 が 強 まれ ば手 を挙 げ る銀 行 も出 て くる可 能 性 は あ る」(九 州 ・沖 縄 の とあ る 銀 行)と. い う意 見 もあ る劔。 実 際 に は,政 府 も この筋 に沿 って い た可 能 性 が 高 い と も考 え. られ,特. に,「 金 融 再 生 委 員 会 の運 営 の基 本 方 針 」 や 「資 本 増 強 に 当 って の償 却 ・引 当 に. つ いて の 考 え 方 」 は,大 手 行 向 けの 中心 で あ っ た マニ ュ アル と も いえ る。 さ らに は,「 現 在 金 融 監 督 庁 が 資 産 内容 等 の検 査 中で あ り,検 査 結 果 を見 な い と判 断 で き な い」 と の意 見 も多 か った㈱。 こ の点 に 関 して は,1998年8月17日 検 査 は,地 方 銀 行64行 を 終 え たの が1999年4月13日. に始 ま った 立 ち入 り. で あ り,第 二 地 方 銀 行60行 につ いて は. この 時 点 で も4行 が まだ 終 わ って いな か っ た㈹。 ま た,1998年11月27日. 付 日経 金 融 新 聞 に よ る と,「 中小 金 融 機 関 が 申請 して も大 丈 夫 な. の か わ か らな い 」(び わ こ銀 行)と い った 声 もあ った。 実 際,改. め て6月10日. に 「地 域 金. 融 機 関 の 資 本 増 強 につ いて の 基 本 的 考 え 方 」 を 公 表 す る まで は,申 請 基 準 が 曖 昧 な 状 態 で あ っ た と考 え られ る。 政 府 は,1999年3月. ㈲. に大 手 行,そ の 後,地 域 金 融 機 関 と い う段 取 り. 前 者 に お い て はhttp://www.fsa.go.jp/frc/newse/neOO1.htmlを に お い て は,http://www.fsa.go,jp/frc/newse/neOO2,htmlを. ㈲1998年11月30日. 付 日本 経 済 新 聞 。. ⑳1998年11月19日. 付 日本 経 済 新 聞 。. ㈱1998年10月26日. 付 日本 金 融 新 聞 。. ㊤91998年11月30日. 付 日 本 経 済 新 聞 。 ま た,1998年10月20日. 参 照 さ れ た い 。 ま た,後 参 照 さ れ た い。. 付 日 本 経 済 新 聞 に お い て は,全. 者. 国銀行. 協 会 連 合 会 一 般 委 員 長 中 原 誠 氏 も 強 制 注 入 反 対 意 見 と し て,「 金 融 監 督 庁 の 検 査 結 果 を 見 な が ら, 自分 で 最 終 決 定 した い とい うの が 各 銀 行 の 本 音 で は な い か 」 と述 べ て い る。 ㈹1999年4月14日. 付 日本 経 済 新 聞 朝 刊 。 -106(184)一.

(13) 銀 行 破 綻 の 影 響 と政 策 対 応 の 効 果:サ ー ベ イ(相 馬) を 考 え て い た と も 考 え られ る 。 事 実,「 地 域 金 融 機 関 の 資 本 増 強 に つ い て の 基 本 的 考 え 方 」 を 公 表 後,地 行,北. 域 金 融 機 関 の 申 請 が 活 発 に な っ た(表3)。. 陸 銀 行,琉. 球 銀 行)と. 日 に 正 式 申 請 し,9月13日. 1999年 8月26日 1999年. 北陸銀行. 8月26日 1999年. 琉球銀行. 8月26日 1999年. 広島総合銀行. 8月26日. 正式申請 1999年 9月2日 1999年 9月2日 1999年 9月2日 1999年 9月2日. 正式承認 1999年. 1999年 9月29日. 1999年. 1999年. 9月13日. 9月29日. 1999年. 1999年. 9月13日. 9月29日. 1999年. 1999年. 9月13日. 9月29日 1999年 11月29日. 1999年 11月25日 2000年. 北海道銀行. 2月24日. 8月31日 2000年. 八千代銀行. 8月31日. 2001年. 2001年 3月8日. 岐阜銀行 関 西 さわ や か 銀 行 福 岡 シテ ィ銀 行. 和歌 山銀行 (参考 資 料)日. 2000年. 2000年. 3月14日. 3月31. 3月3日. 2000年 9月5日 2000年 9月5日. 9月5日. 3月8日. 近畿大阪銀行. 2月29. 2000年. 2000年. 日本債券信用銀行 東 日本銀行. 1999年 12月9日. 3月3日 2000年. 千葉興業銀行. 1999年 12月2日. 2000年. 日本長期信用銀行. 九州銀行. 資本注入日. 9月13日. 足 利 銀 行(2) 熊 本 フ ァ ミ リー 銀 行. 利銀. が,1999年9月2. の 八 千 代 銀 行 と2001年3月. 方銀行 と第二地方銀行の公的資金注入に関する 日付. 仮決定. 足 利 銀 行(1). 方 銀 行3行(足. 島 総 合 銀 行)の4行. に 承 認 さ れ た"1)。 ま た,2000年9月. 表3地 銀行名. 第 二 地 方 銀 行1行(広. ま ず は,地. 2001年 3月9日. 2000年. 2000年. 3月14日. 3月31日. 2000年. 2000年. 9月12日. 9月29. 2000年. 2000年. 9月12日. 9月29. 2000年. 2000年. 9月14日. 9月29日. 2001年. 2001年. 3月13日. 3月30. 2001年. 2001年. 2001年. 3月14日. 3月22日. 4月25日. 2001年. 2001年. 2001年. 3月22日. 3月22日. 3月29日. 4月25. 2001年. 2001年. 2001年. 2001年. 3月7日. 3月8日. 定 款 変 更 の手 続 き 後,300億 の資本注入. 円. 2000年. 2001年. 3月1日. コメン ト. 3月30日. 2001年. 2001年. 2002年. 3月30日. 11月26日. 1月31日. 2001年. 2001年. 2002年. 3月29日. 11月26日. 3月25日. 2001年. 2001年. 2002年. 3月29日. 11月26日. 1月31日. 2000年2月9日. に譲 渡 に係 る最. 終 契 約 締 結 。2月18日 査開始. に予 備 審. 八 千 代 銀 行 と全 て 同 じ 2000年8月14日. に破 綻 した 国 民. 銀 行 の 営 業 を 譲 り受 け 2000年6月30日. に譲 渡 に係 る最. 終 契 約 締 結 。2000年8月31日 予備審査開始. 2001年2月26日. に. に破 綻 した 幸 福. 銀 行 の 営 業 を 譲 り受 け 承 認 日 は九 州 銀 行 ・和 歌 山 銀 行 と同 じ 承 認 日 は福 岡 シテ ィ銀 行 ・和 歌 山 銀 行 と同 じ 承 認 日 は九 州 銀 行 ・福 岡 シテ ィ 銀 行 と同 じ. 経 新 聞,日 経 金 融 新 聞. qD足 利 銀 行 は1999年9月 に 優 先 株 式750億 円分 を発 行 後, 定 款 の 変 更 手 続 き を行 った上 で11月 に 別 途300億 円 が 注 入 され た 。 -107(185)一.

(14) 第10巻. 第2号. の 関 西 さわ や か 銀 行 は,そ れ ぞ れ,破 綻 した国 民 銀 行 と幸 福 銀 行 の 営 業 を 譲 り受 けた 際 の もの で あ る(野 口 ・丸 山(2007))。. その 結 果,1999年3月. で の 早 期 健 全 化 法 に則 って 資 本 注 入 され た額 は,1兆1,461億. の 後,2001年3月. まで の 申請 ま. 円 とな った。. 「地 域 金 融 機 関 の資 本 増 強 に つ いて の基 本 的考 え 方」 にお い て は,引 受 条 件 に つ いて, 「特 に,申 請 金 融 機 関 の そ の地 域 の金 融 市 場 に お け る融 資 比 重 や位 置 付 け等 を考 慮 しつ つ, 地 域 経 済 へ の 貢 献 につ いて も評 価 を 行 い,配 当率 等 に反 映 させ る こ と」 と され て い る。 特 徴 的 な点 は,都 道 府 県 内 の 融 資 シ ェア が お お む ね20-30%に て い る こ とで あ る。 ま た,不. 達 す る よ うな 銀 行 等 を想 定 し. 良 債 権 の 引 き当 て は,大 手 行 向 け に 出 され た 「資 本 増 強 に. 当 って の 償 却 ・引 当 につ いて の 考 え 方 」 よ り緩 や か な,1999年4月. に発 表 され た 「金 融 検. 査 マニ ュ アル 」 に沿 っ た査 定 が な され る。 ま た,申 請 手 続 き は,2001年1月6日. に金 融 再. 生 委 員 会 が 廃 止 され た後 は,金 融 庁 が 引 き継 いだ 。. 3.42003年. 以 降 の公 的 資 金 に よ る 自 己資 本 の 注入. 金 融 機 能 安 定 化 法 と早 期 健 全 化 法 に基 づ い た公 的 資 金 の 注 入 は一 度 に多 数 の 銀 行 へ 資 本 注 入 を 行 った が,そ 2003年6月. れ 以 降 の 注 入 は 個 別 行 に 対 す る もの が 中心 とな っ た。 具 体 的 に は,. に りそ な銀 行 に対 し,預 金 保 険 法 に基 づ く資 本 増 強 と して1兆9,600億. 先 株 式(転 換 型)の 形 で 注 入 した 。 ま た,同 年9月. 円を優. に は,関 東 つ くば銀 行 に対 し,組 織 再. 編 法 に基 づ く資 本 増 強 と して60億 円 を 期 限 付 劣 後 ロー ンの 形 で 注 入 した 。. 4.銀. 日 本 は,大 け に,銀 そ こ で,本. 行 破 綻 の影 響. 企 業 の 銀 行 離 れ が 進 ん で は い る も の の,bankcenteredeconomyで. あ るだ. 行 破 綻 の 影 響 は よ り深 刻 で あ る と 考 え ら れ る(HoshiandKashyap(2001))。 章 で は,日. 本 に お け る 例 を 中 心 と して,銀. 行 破 綻 の 市 場 へ の 影 響 と実 体 経 済 へ. の 影 響 に分 けて 見 て い くこ と とす る。. 4.1銀. 行破 綻 の市 場 へ の 影響. 日 本 の 銀 行 が 破 綻 し た 際 の 影 響 に つ い て,イ 研 究 が い く つ か 存 在 す る 。 そ れ ら は,他. ベ ン ト ・ス タ デ ィ ー の 手 法 を 用 い て 調 べ た. の 銀 行 に 与 え る 影 響 を 分 析 し た 研 究(Yamori. (1999)とSpiegelandYamori(2004))と,借. り手 企 業 の 株 価 に ど う 影 響 す る か を 分 析. した その 他 の 研 究 に大 別 で き る。 -108(186)一.

(15) 銀 行 破 綻 の 影 響 と政 策 対 応 の 効 果:サ ー ベ イ(相 馬) ま ず,銀 (1999)に. 行 破 綻 が 他 の 銀 行 に 与 え る影 響 を 分 析 し た研 究 か ら見 て い く こ と と す る 。Yamori お い て は,1995年8月30日. 破 綻)が,他. 夕 刻 に 起 こ っ た 日本 で 最 初 の 銀 行 破 綻(兵. の 銀 行 のcontagionを. 庫銀 行の. 引 き起 こ した か ど うか の検 証 を行 って い る。波 及 効 果. の 対 象 と して は 以 下 の3つ. の ポ ー トフ ォ リオ を 検 証 して い る 。 ① 福 徳 銀 行 ・阪 和 銀 行 ・大. 阪 銀 行,②1株. 未 満 の 銀 行,③. 配 当 が5円. 銀 行 業 種 の 平 均 株 価,で. 庫 銀 行 と 並 ぶ 危 な い 銀 行 と 認 識 さ れ て い た 銀 行 群 で あ り,② た が,①. を 含 む8行. あ る。 ① は当 時 か ら兵. は 当 時5円. の み が こ れ を 満 た して い な か っ た 。 ま た,③. は銀 行 業 全 体 へ の 効 果 を. 見 る た め の も の で あ る 。Eventdayは1995年8月21日(t=-8)か (t=+20),推. 計 期 間 は1995年3月2日. ら1995年9月29日. か ら1995年8月18日. ま で で あ る 。 結 果 は,①. の ポ ー トフ ォ リオ に 関 して は 有 意 に 負 の 累 積 超 過 収 益 率 で あ っ た が,⑧ に 関 して は そ う で は な か っ た 。 こ の こ と か ら,兵 に だ け 影 響 し,銀. 配当が普通で あっ. の ポ ー トフ ォ リオ. 庫 銀 行 の 破 綻 は よ く似 た 不 健 全 な 銀 行 群. 行 業 全 体 に は 影 響 は な か っ た と 解 釈 して い る 。 こ の 結 果 は,ア. メ リカの. 銀 行 を 対 象 と し た 先 行 研 究 と 同 様 で あ っ た 幽。 ま た,SpiegelandYamori(2004)に て は,1995年. か ら1999年. お い. に お け る金 融 機 関 の 破 綻 が 他 の 銀 行 に与 え る影 響 を 規 制 との 関 係. で 検 証 して い る 。 銀 行 破 綻 の 初 期 の 頃 は,第 意 に 累 積 超 過 収 益 率 が 負 で あ っ た の で,市 い え る 。 しか し,北. と②. 二 地 方 銀 行 な どの 規 模 の 小 さな 銀 行 の み が 有. 場 がtoobigtofailを. 意識 した反 応 で あ っ た と. 海 道 拓 殖 銀 行 の 破 綻 な ど を 経 験 す る 後 半 に な っ て く る と,規. 模の大 き. な 銀 行 も 規 模 の 小 さ な 銀 行 同 様 に 累 積 超 過 収 益 率 が 有 意 に 負 に な っ た 。 こ の こ と は,規. 制. 当 局 に よ る 銀 行 を 破 綻 さ せ る ス タ ン ス の 変 化 を 市 場 が 学 習 し た 結 果 と 解 釈 して い る 。 次 に,銀. 行 破 綻 が 借 り手 企 業 の 株 価 に ど う 影 響 す る か を 分 析 した 研 究 を 見 て い く こ と と. す る 。YamoriandMurakami(1999)は1997年. の 北 海 道 拓 殖 銀 行 の 破 綻 が 借 り手 企 業 の. 株 価 の 累 積 超 過 収 益 率 に 与 え た 影 響 を 考 察 し,メ. イ ンバ ン ク関 係 が 容 易 に置 き換 え 可 能 で. な い な ら ば,メ. イ ン バ ン ク の 破 綻 は 借 り手 企 業 に 対 して 悪 影 響 が あ る か ど う か を 検 証 して. い る ⑬。 そ の 結 果,破. 綻 日(1997年11月17日)と. 殖 銀 行 の 破 綻 に よ り,同 行 と の 親 密 度 が 高 い(こ. 次 の 日 をEventdayと. す る と,北. 海道拓. の 銀 行 か らの 借 入 順 位 が 高 い)企 業 ほ ど,. よ り大 き な 負 の 累 積 超 過 収 益 率 が 生 じ た こ と を 報 告 して い る 。 こ の こ と か ら,日. 本の銀行. 借 り手 間 関 係 に は 経 済 的 価 値 が あ る と 解 釈 して い る 。. 働 ㈱. 例 え ば,Swary(1986)やWallandPeterson(1990)で の 破 綻 の 影 響 につ い て 検 証 して い る。 メ イ ンバ ン ク の 定 義 と して,『. は,コ. ン チ ネ ン タ ル ・イ リ ノ イ 銀 行. 会 社 四 季 報 」 で 企 業 が 借 入 先 の 上 位1位. 載 し た 銀 行 で 場 合 分 け し て い る 。robustnesscheckと 結 論 は変 わ らな か った 。 -109(187)一. して. ・2位. ・3位. までに記. 『企 業 系 列 総 覧 』 を 用 い た 場 合 に も.

(16) 第10巻 ま た,1997年 行 の3行. と1998年. 第2号. に 破 綻 し た 北 海 道 拓 殖 銀 行 ・日 本 長 期 信 用 銀 行 ・日 本 債 券 信 用 銀. の 影 響 を 調 べ て い る 研 究 に は,Breweretal.(2003)とFukudaandKoibuchi. (2006)が. あ る。Breweretal.(2003)に. お い て は,3つ. 業 の 累 積 超 過 収 益 率 は 有 意 に 負 で あ っ た 。 特 に,銀 く,自. 己 資 本 比 率 が 低 い 借 り手 企 業 ほ ど,銀. ど,負. 行 借 り入 れ の 比 率 が 高 く,収. 益性が低. 行 破 綻 の 負 の 影 響 が 大 き か っ た 。 ま た,3行. か ら借 りて い な か っ た 企 業 へ の 影 響 も 調 べ た 結 果,こ 収 益 率 が 生 じ た が,自. の 銀 行 が 破 綻 した 日 の 借 り手 企. れ らの 企 業 に も 有 意 に 負 の 累 積 超 過. 己 資 本 比 率 が 高 くか つ 貸 倒 引 当 金 の 低 い 銀 行 か ら 借 りて い る 企 業 ほ. の 影 響 は少 な か っ た。. FukudaandKoibuchi(2006)に. お い て は,北. 海 道 拓 殖 銀 行 と2つ. の長期信用銀行の破. 綻 が 借 り手 企 業 に 与 え る 影 響 は 破 綻 行 を 引 き 継 い だ 銀 行 の 経 営 戦 略 に よ っ て 変 わ っ て く る の か ど う か を,月. 次 デ ー タ を 用 い て 検 証 して い る 。 日 本 長 期 信 用 銀 行 の 引 き 継 ぎ に お い て. は す ぐ に 破 綻 が 急 増 し た こ と か ら"shocktherapy"と. 定 義 し,拓. 銀 ・日 債 銀 の 引 き 継 ぎ. に お い て は 破 綻 の 急 増 は な か っ た こ と か ら"softbudgetconstraints"と は,前. 者 の"shocktherapy"の. " shocktherapy"で り,残. 定 義 す る。結 果. も と で は 借 り手 の 株 価 は そ の 後 回 復 し た 。 解 釈 と し て は,. は 不 健 全 な 企 業 は 淘 汰 さ れ る の で,残. っ た 企 業 の 市 場 の 評 価 は 高 くな. っ た 優 良 な 企 業 が 利 益 の 高 い 投 資 を す る こ と に よ り,長. と して い る 。 一 方 の"softbudgetconstraints"の 釈 と して は,"softbudgetconstraints"を. 期 で は良 い結 果 を もた らす. も とで は 借 り手 の株 価 は低 迷 した。 解 採 用 す る と,債. 務 減 免 につ き あ い悪 い企 業 に. 融 資 を 続 け て 淘 汰 さ れ ず に 残 っ た 企 業 の 市 場 の 評 価 は 低 い ま ま で あ り,銀. 行 に 依 存 して い. る 企 業 は 低 い 利 益 率 の ま ま で 低 迷 す る と 考 え られ る 。 そ れ らの 結 果,"shocktherapy"は 短 期 で は 破 綻 が 増 え て コ ス トが 掛 か る が,"softbudgetconstraints"は. 長 期 にお いて 費. 用 が 掛 る と結 論 付 けて い る。. 4.2銀. 行破 綻 の 実体 経 済 へ の 影響. 銀 行 危 機 の コ ス トと して,銀. 行 危 機 克 服 の た め の 政 府 支 出 で は な く,実. 影 響 を 挙 げ る 指 摘 も あ る 。cross-countrystudyに GDP成. よ る と,銀. 体経済への負の. 行 危 機 時 に は,数. 年 に渡 り. 長 率 や 貸 出 の 減 少 を 伴 う こ と が 指 摘 され て い る(KaminskyandReinhart(1999),. EichengreenandRose(1998)やDemirgUC-Kuntetal.(2006))。 etal.(2008)とKroszneretal.(2007)は,景 考 慮 し て も,銀 (valueadded)の. 行 危 機 時 に は,外. ま た,Dell'Ariccia 気 と銀 行 危 機 との 間 の 因 果 関 係 の 問 題 を. 部 か らの 資 金 調 達 に 頼 る割 合 の 高 い産 業 ほ ど付 加 価 値. 伸 び が低 い こ とを示 した。 -110(188)一.

(17) 銀 行 破 綻 の 影 響 と政 策 対 応 の 効 果:サ ー ベ イ(相 馬) Minamihashi(2011)に. お い て は,日. 手 企 業 と銀 行 と の 間 にselectionが 推 定 を 行 っ て い る 。 そ して,① た,②. 本 の2つ. のshockに. り. 存 在 す る 可 能 性 を 考 慮 し たDifferenceinDifference. 破 綻 し た 銀 行 か ら借 りて い た 企 業 は,約30%投. 高 い 投 資 率 ・額 の 企 業 はunhealthy銀. 存 在),③. の 長 期 信 用 銀 行 の 破 綻 を 対 象 と し,借. 資を減 ら し. 行 と 取 引 が あ っ た(self-selectionbiasの. 借 り手 企 業 が 銀 行 以 外 の 代 替 的 な資 金 調 達 手 段 を 持 って い るか 否 か は銀 行 破 綻 は 影 響 しな い,と. い う こ とを 示 した。. 日 本 の 銀 行 破 綻 の 影 響 が そ れ ほ ど大 き くな い と す る 数 少 な い 研 究 と し て は,Hori(2005) を 挙 げ る こ と が で き る 。Hori(2005)に タ を 用 い て,拓. お い て は,非. 上 場 の 中小 企 業 も含 めた 広 範 な デ ー. 銀 の 破 綻 が 借 り手 へ 負 の 影 響 を 与 え た の か ど う か を 分 析 して い る ㈹。 サ バ. イ バ ル ・バ イ ア ス を 避 け る た め に,利. 潤 式 とselectionequationの2つ. を 推 計 し た 結 果,. 拓 銀 を 第 一 の メ イ ンバ ン ク と す る 借 り手 と そ う で な い 企 業 と の 比 較 に お い て,利 き 前 利 益 割 る 資 本 の1998年. 度 か らの3年. 間 平 均)と. 益(税. 引. 生 存 に 関 して は 差 が な か っ た ㈲。 ま た,. 格 付 け が 低 くか つ 拓 銀 を メ イ ンバ ン ク と す る 借 り手 は そ う で な い 企 業 よ り も 有 意 に 利 益 が 低 か っ た こ と か ら,格. 付 け が 低 く拓 銀 に 多 く依 存 して い た 借 り手 だ け に 負 の 影 響 が あ り,. 格 付 け が 高 か っ た 借 り手 は 他 の 貸 出 先 を 見 つ け て 拓 銀 破 綻 の 影 響 は 少 な か っ た と 解 釈 して い る 。 さ ら に は,北. 洋 銀 行 に 引 き 継 が れ な か っ た 拓 銀 の 借 り手 は そ う で な い 企 業 よ り も 有. 意 に 利 益 が 低 か っ た こ と か ら,北. 洋 銀 行 に 引 き 継 が れ た 拓 銀 の 借 り手 は 拓 銀 破 綻 の 影 響 は. 少 な か っ た と 解 釈 して い る 。 銀 行 破 綻 で は な い が 財 務 の 弱 くな っ た 日 本 の 銀 行 が 借 り手 企 業 に 与 え る 影 響 を 調 べ た 研 究 も い くつ か 存 在 す る 。Gibson(1995)は,1991年. 度 と1992年. 期 信 用 銀 行 ・信 託 銀 行 と そ の 借 り手 で あ る 上 場 企 業1,355社(東. 度 に お い て,都. 市 銀 行 ・長. 証 以 外 も含 む)を. 対 象 に,. メ イ ンバ ン ク の 格 付 け と借 り手 企 業 の 投 資 と の 関 係 を み て い る ㈲。 サ ン プ ル 銀 行 を 「AA +」,「AA」,「AA」,「A+も. し く は 格 付 け な し」,の4つ. に 分 類 し,最. も低 い格 付 けを も. つ 銀 行 を メ イ ンバ ン ク と す る 企 業 は 最 も 高 い 格 付 け を も つ 銀 行 を メ イ ン バ ン ク と す る 企 業 に 比 べ て30%も. 投 資 が 低 い こ と,「AA」. そ れ と 投 資 に 違 い は な い こ と,借. の 銀 行 を メ イ ンバ ン ク と す る 企 業 は 「AA+」. の. り手 企 業 が 社 債 を 発 行 し た こ と が あ る か 否 か は 投 資 に 影. ω. 「北 海 道 信 用 録 」 よ り,売 上 高1億 円 以 上 の北 海 道 の2万 社(北 海 道 企 業 の20%に 相 当)の 中 か ら,2000年 まで 存 続 した 企 業 と拓 銀 破 綻 後 に倒 産 した 企 業 を 対 象 と して い る(10,370社)。. ㈲. た だ し,拓 銀 か ら借 りて い た 企 業(メ イ ンバ ン ク とは 限 らな い 借 り手 含 む)と,借 りて い な い 企 業 との 比 較 にお い て は,利 益 に関 して 差 が な か った が 生 存 に関 して は 拓 銀 か らの 借 り手 の 方 が. ㈲. 有 意 に高 か った 。 メイ ンバ ン ク は会 社 四 季 報 で 最 初 に載 って い る借 入 先 銀 行 で あ る。 企 業 に役 員 と して 派 遣 して い る銀 行 や企 業 の最 大 の 株 主 か つ1%以 上 所 有 して い る銀 行 で も大 差 が な い こ とを指 摘 して い る。 -111(189)一.

(18) 第10巻. 第2号. 響 して い な い こ と な ど を 示 して い る 。Kleinetal.(2002)に な っ た に も か か わ ら ず ア メ リ カ へ のFDIが て,日. 減 少 し,理. お い て は,90年. 代 に は 円高 に. 論 と異 な る結 果 とな った原 因 と し. 本 の 銀 行 の 財 務 危 機 が 関 係 して る か ど う か を 検 証 して い る 。 被 説 明 変 数 に 各 年 ・各. 企 業 のFDIの 時 に1,そ. 変 化 率,メ. イ ン バ ン ク の(不)健. う で な い と き に0を. あ っ た 時 に1,そ. 採 る ダ ミー 変 数,も. う で な い と き に0を. 行 っ た 。 そ の 結 果,説. 全 性 と し て1段 し く は,2段. 階 以 上 の 格 付 けの 下 げが. 採 る ダ ミー 変 数 な ど を 説 明 変 数 と して 入 れ た 推 計 を. 明 変 数 と して 為 替 レー トや 企 業 の 利 益 率 は 有 意 で は な い が,格. の 下 げ ダ ミ ー だ け が 有 意 に 効 い て い る こ と が 示 さ れ た 。 ま た,他 考 慮 し て も,メ. 階 格 付 け の下 げ が あ った. イ ンバ ン ク の 健 全 性 が 悪 化 す れ ば す る ほ ど,借. 付 け. のrobustnesscheckを り手 企 業 のFDIが. 低 くな. る こ とが 示 され た。. 5.政. 策 対 応 の効 果. 本 章 に お け る政 策 対 応 と して は,公 的 資 金 を 用 い た資 本 注 入 の 政 策 効 果 を 中心 に見 て い くこ と とす る㊨。4章. と 同様 に,日 本 経 済 にお け る例 を 中心 と して,市. 場 へ の 影 響 と実 体. 経 済 へ の 影 響 に分 けて 考 察 す る。. 5.1政. 策 対 応 の市 場 へ の 影 響. SpiegelandYamori(2003)に. お い て は,金 融 再 生 法 と早 期 健 全 化 法 の2つ の法 の 成. 立 が 銀 行 株 に与 え た影 響 を 考 察 して い る。 前 者 は銀 行 の 破 綻 処 理 に関 す る法 律 で あ るが, 発 表 され た 日 と与 野 党 間 で の 歩 み 寄 りの 合 意 が 成 立 した 日 に は,大 手 行 の 株 価 は下 が り, 地 方 銀 行 と第 二 地 方 銀 行 の 株 価 は上 昇 した。 その 解 釈 と して,こ の 法 律 に よ り大 手 行 の 規 制 上 の 優 遇 措 置 が 無 くな る と市 場 に思 わ れ て い る可 能 性 を 指 摘 して い る。 累 積 超 過 収 益 率 を被 説 明 変 数 とす る ク ロ スセ ク シ ョ ン推 計 に お いて も,資 産 規 模 と は負 の 関 係 が あ った 。 ま た,大 手 行 へ の 公 的 資 金 注 入 につ な が る早 期 健 全 化 法 につ いて は,与 野 党 間 で の 歩 み 寄 りの 合 意 が 成 立 した 日 に は,大 手 行 の 株 価 は上 が り,地 方 銀 行 と第 二 地 方 銀 行 の 株 価 は下 落 した。 ま た,財 務 基 盤 の 強 弱 で 分 類 した場 合 に は,弱 い銀 行 ほ ど上 昇 した 。 累 積 超 過 収 益 率 を被 説 明 変 数 とす る ク ロ スセ ク シ ョ ン推 計 に お いて も,不 良 債 権 比 率 と は正 の 関 係 が あ っ た。MiyajimaandYafeh(1998)に. ⑳. お い て は,1998年3月. と1999年3月. の公的資金. 公 的 資 金 に よ る 資 本 注 入 の 正 当 性 と し て,PhilipponandSchnabl(2009)はdebtoverhang の 存 在 を,ま た,Diamond(2001)はrelationshiplendingの 存 在 を 挙 げて い る。 -112(190)一.

(19) 銀 行 破 綻 の 影 響 と政 策 対 応 の 効 果:サ ー ベ イ(相 馬) 注 入 に 関 す る 具 体 的 な ニ ュ ー ス に よ っ て,銀. 行 業 株 価 指 数 が6%増. 加 し,ま. た,銀. 行 に依. 存 す る 割 合 の 高 い 借 り手 企 業 ほ ど 累 積 超 過 収 益 率 も 高 くな っ た こ と を 指 摘 して い る 。 市 場 参 加 者 の 反 応 と して,株. 価 で は な く,邦. そ れ を 上 回 る"Japanpremium"に に お い て は,1990年. 銀 に 対 して 付 け られ た 金 利 が 欧 米 の 銀 行 の. 着 目 し た 論 文 も あ る。PeekandRosengren(2001). 代 末 に比 較 的 安 全 と思 わ れ て い た東 京 三 菱 銀 行 とそ うで な い と思 わ れ. て い た 富 士 銀 行 に 対 す る"Japanpremium"が,様 化 し た の か を 検 証 して い る 。 そ して,具. 々な ニ ュー ス に よ って どの よ う に変. 体 性 の な い 政 策 に は 反 応 しな い が,公. 的資金注入. の 決 定 に は 有 意 に 下 が る な ど 具 体 的 な 政 策 に の み 反 応 し た こ と を 示 し た 。 ま た,Covrig etal.(2004)に. お い て は,TIBORとLIBORと. 資 金 注 入 の 決 定 な ど はpremiumを 一方 年3月. ,ItoandHarada(2004)に. の 差 を"Japanpremium"と. お い て は,確. か に,"Japanpremium"で. い 高 止 ま り を して い た こ と を 示 し,公 GiannettiandSimonov(2009)に. プ レ ミ ア ム で 見 る と,以 前 と 変 化 が な. 的 資 金 注 入 の 効 果 に は 疑 問 を 呈 して い る 。 お い て は,1998年. 以 降 の 公 的 資 金 注 入 の 各 イベ ン ト. ベ ン トに 関 連 し た 銀 行 と そ の 借 り手 企 業 に 累 積 超 過 収 益 率 が ど れ ほ ど 発 生 し. た の か を 見 て い る ⑱。 被 説 明 変 数 に 累 積 超 過 収 益 率,説. 明変 数 に公 的 資金 を 受 けた か ど う. か の ダ ミ ー 変 数 と し た ク ロ ス セ ク シ ョ ン 推 計 に よ る と,注. た ㈲。 一 方,借. 見 る と,1999. 銀 が 現 金 の 担 保 を 積 ん で 資 金 調 達 して い た 事 実 が. あ っ た こ と も 反 映 し て い る可 能 性 を 指 摘 し,CDSの. 率 は,第1回. 的. 下 げ る 良 い ニ ュ ー ス と 捉 え られ た こ と を 示 して い る 。. の 資 本 注 入 後 は 消 え て い る が,邦. に お い て,イ. し,公. と 第2回. と 第4回. 入 を 受 けた 銀 行 の 累 積 超 過 収 益. 目 が 有 意 に マ イ ナ ス で あ り,有. 意 に プ ラス の 回 は な か っ. り手 企 業 へ の 効 果 は い ず れ も 有 意 に 正 で あ り,特. 果 が 一 番 大 き く,イ. ベ ン ト日 前 後21日 間 で,約9%の. 告 して い る 励。 ま た,借. り手 で あ る 不 動 産 会 社 は,い. に 第2回. 目の 資 本 注 入 効. 累 積 超 過 収 益 率 が 発 生 した こ と を 報 ず れ の 公 的 資 金 注 入 に お い て も,累. 積 超 過 収 益 率 が 他 の 企 業 よ りも高 か っ た。 YamoriandKobayashi(2007)に 資 金 注 入 に 絞 り,他. お い て は,イ. の りそ な 銀 行 へ の 公 的. の 銀 行 へ の 影 響 を 分 析 して い る 。 公 的 資 金 の 受 け 入 れ を 発 表 した 後 で. 最 初 に 株 式 市 場 が 開 い た2003年5月19日 臣の. ベ ン トを2003年. 「り そ な の 資 本 を 減 じず,株. と そ の 次 の 日 を 第1イ. ベ ン ト日,竹. 中金 融 担 当 大. 主 は 配 当 を 受 け な い コ ス トの み 負 う 」 と い う 趣 旨 の 発 言. ㈱1998年2月16日 を 第1回,1999年3月1日 を 第2回,2003年 の5月19日(り そ な 銀 行)を 第3 回,2003年6月2日 を 第4回,2004年6月2日 を 第5回 の 公 的 資 金 注 入 と して い る。 た だ し,第 4回 と第5回 は 「 全 て の銀 行 に 対 して注 入 可 能 」 と した と い う だ けで,注 入 行 は 特 定 して い な い 。 ㈲ ⑳. そ の 解 釈 と して 彼 らは 増 資 に よ る希 薄 化 効 果 を 挙 げて い る。 イ ベ ン トに関 連 して い な い 銀 行 の 借 り手 を コ ン トロー ル サ ン プル と して 推 計 に 含 め て い る。 -113(191)一.

(20) 第10巻 が あ っ た5月21日. と そ の 次 の 日を 第2イ. 公 的 資 金 注 入 の 目 的 が2つ. 第2号. ベ ン ト 日 と して い る 。第1イ. ベ ン ト日 に お い て は,. の 長 期 信 用 銀 行 で 採 られ た 国 有 化 を 意 味 す る と 市 場 は 考 え,累. 積 超 過 収 益 率 は マ イ ナ ス の 銀 行 の 方 が 多 く存 在 し た 。 しか しな が ら,第2イ い て は,大. 手 行 の 救 済 の 意 味 合 い が 強 く意 識 さ れ,メ. 多 か っ た 。 同 様 に,累 係 数 が,第1イ. ベ ン ト日 に お. ガバ ンク にお いて は プ ラ スの 銀 行 が. 積 超 過 収 益 率 を 被 説 明 変 数 と して 推 計 し た 結 果 は,銀. ベ ン ト日 に お い て は 有 意 で は な か っ た が,第2イ. に 正 で あ っ た 。 こ の こ と か ら,市 公 的 資 金 注 入 をtoobigtofailの. 場 参 加 者 は,第2イ. 行 の サ イ ズの. ベ ン ト日 に お い て は 有 意. ベ ン ト日 に お い て は りそ な 銀 行 へ の. 復 活 と 判 断 した 可 能 性 が あ り,市 場 に よ る 規 律 付 け を 弱. め る モ ラ ル ハ ザ ー ドを 示 唆 して い る と 解 釈 して い る 。. 5.2政. 策 対 応 の 実体 経 済 へ の 影響. 公 的 資 金 注 入 の 効 果 を 見 た 論 文 は い くつ か 存 在 す る 。 そ こ で は,貸. 出が 注 入 後 に増 え た. か ど うか に焦 点 を 当て て い る論 文 が 多 い。 GiannettiandSimonov(2009)に. お い て は,公. 的 資 金 注 入 に よ り借 り手 企 業 の 借 り入. れ ・投 資 ・雇 用 が ど れ ほ ど 増 加 し た の か も 見 て い る 。 貸 出 が 増 え た か ど う か の 検 証 に よ る と,第1回. 目 は 有 意 で は な か っ た が,第2回. 果 の 大 き さ は 小 さ い も の で あ っ た 。 ま た,注 ほ と ん ど 影 響 が な か っ た が,銀. 目 と 第3回. 目 は 有 意 に 増 加 した 。 しか し,効. 入 を 受 け た 銀 行 の 借 り手 企 業 の 投 資 や 雇 用 は. 行 依 存 の 高 い 企 業 は 第1回. 目 と 第2回. 目 の 後,投. 資を増や. して い た 。 Allen,Chakraborty,andWatanabe(2009)に. お い て は,国. 際 行 か ら国 内 行 にcharter. を 変 更 し た 銀 行 が あ る 点 や 株 式 や 不 動 産 の 再 評 価 が 行 わ れ た 点 も 考 慮 しつ つ,公 注 入 に よ っ て,貸 け 貸 出)が. 出(総. 貸 出,商. 工 業 向 け 貸 出,住. 宅 用 不 動 産 向 け 貸 出,商. ど う 変 化 し た か を 分 析 して い る 。 ま た,第1回. を 銀 行 の リ ス ク な ど の 精 査 を 前 提 と して い な い 注 入,第2回. 目 の1998年3月. 的資金の. 業用不動産向. の公的資金注入. 目 の1999年3月. とそ れ 以 降 の. 公 的 資 金 注 入 を 銀 行 の リス ク な ど の 精 査 を 前 提 と し た 注 入 と し て 区 別 して い る6D。 ま ず, 第 一 段 階 でcharterの. 変 更 を モ デ ル 化 し,フ ゜ロ ビ ッ ト推 計 を 行 っ て い る 。 そ の 結 果,規. 模. が 大 き く 自 己 資 本 比 率 に 余 裕 の あ る銀 行 が 変 更 しや す い と い う事 が 分 か っ た 。 第 二 段 階 で, 公 的 資 金 注 入 に よ り貸 出 が 増 え た か ど う か の 検 証 を し た と こ ろ,1998年3月 入 は 貸 出 の 総 額 を 減 らす 方 向 に 効 くが,1999年3月. 6D1999年3月. よ り 後 の 公 的 資 金 注 入 と し て は,2003年 -114(192)一. の公的資金注. 以 降 の 注 入 は増 や す 方 向 に効 くこ とが. の り そ な を 含 む2007年. まで を 含 め て い る。.

(21) 銀 行 破 綻 の 影 響 と政 策 対 応 の 効 果:サ ー ベ イ(相 馬) 分 か っ た 。 た だ し,charterの. 変 更 ダ ミー は 有 意 で は な く,charterの. 変 更 を 考 慮 した 場. 合 と そ うで な い場 合 の 推 定 結 果 に変 わ りはな か っ た。 MontgomeryandShimizutani(2009)に の 注 入 が そ れ ぞ れ,自. お い て は,1998年3月. 己 資 本 ・貸 出(総. ず れ も資 産 に 占 あ る 比 率)に. の 注 入 と1999年3月. 額 と 中 小 企 業 向 け 貸 出)・ 不 良 債 権 の 直 接 償 却(い. 与 え た 効 果 を 検 証 して い る ⑫。 そ の 結 果,第2回. 3月 の イ ンパ ク トは 大 き く,自 己 資 本,直 国 内 行 と も 増 加 して い る 一 方,第1回. 接 償 却,貸. 目 の1998年3月. 出 総 額,中. 目 の1999年. 小 企 業 向 け貸 出 は国 際 行 ・. の 効 果 は 大 き くな く,国. 際 行 の 自己. 資 本 比 率 が 増 加 し た 効 果 しか な か っ た 。 上 記 の 論 文 な ら び にHoshiandKashyap(2010)に の 観 点 か ら,概. ね,1998年3月. の 第1回. お い て は,公. 的資金注入後の貸 出. 目 の 公 的 資 金 注 入 は 失 敗 で,1999年3月. の 第2回. 目 の 公 的 資 金 注 入 が 成 功 と い う 認 識 で あ る 。 一 方,NakashimaandSouma(2011)に い て は,公. 的 資 金 注 入 が 包 括 的 な 政 策 プ ロ グ ラ ム で あ っ た こ と か ら,貸. 目 す る の で は な く,① 公 的 資 金 注 入 が,注 の 低 下 に 寄 与 し た の か,② な 効 果 は あ っ た の か,③. 入 行 の 収 益 性 や 貸 出行 動 を 改 善 させ る よ う. 務 リス クが 低 下 す る こ とで 銀 行 の 収 益 性 や 貸 出が 改. 善 す る よ う な 素 地 が 存 在 し た の か ど う か,ま. た,そ. の 素 地 が 無 か っ た と す れ ば,注. 銀 行 貸 出 は ど の よ う な 要 因 に よ っ て 影 響 を 受 け て い た の か,と ま た,因. 果 推 論 の 観 点 か ら,公. 推 定 して い る こ と や,変. 入後の. い う こ と を 検 証 して い る 。. 的 資 金 注 入 の 介 入 効 果(treatmenteffectontreated)を. 数 の 時 点 の 変 化 で は な く経 時 的 な 推 移 を 見 る こ と も 特 徴 と して 挙. が られ る 。 推 計 の 結 果 は,以 ・第2回. 出の 増 減 の み に注. 入 行 の 財 務 リ ス ク(信 用 リ ス ク や 不 良 債 権 比 率). 公 的 資 金 注 入 が,注 そ も そ も,財. お. 下 の よ う に ま と め る こ とが で き る。. 目 の 公 的 資 金 注 入 だ け で は な く,第1回. 目 に お い て も,倒. 産 確 率 な どの 信 用 リ. ス ク を下 げ る よ うな 介 入 効 果 が 観 察 され た。 ・第1回. ・第2回. の 公 的 資 金 注 入 を 通 じて ,不. 良 債 権 比 率 を 継 続 的 に減 少 させ る よ うな. 介 入 効 果 が 観 察 され た。 ・総 資 産 収 益 率 ,貸. 出 比 率,そ. の 公 的 資 金 注 入 を 通 じて,そ. して 中 小 企 業 貸 出 比 率 に 関 して は,第1回. 目 と 第2回. 目. れ らを 明 示 的 に 改 善 さ せ る よ う な 介 入 効 果 は 観 察 さ れ な. か っ た。 ・特 に ,銀. 行 貸 出 に つ い て は,公. 存 研 究(Osada(2010))を. 勧1999年3月. は,1999年3月. 的 資 金 注 入 の 効 果 に 対 し否 定 的 な 見 解 を 示 して い る 既. 支 持 す る 結 果 が 得 られ た 。 た だ し,Osada(2010)に. か ら2000年3月. まで に注 入 を 受 けた 銀 行 を 含 め て い る。. -115(193)一. お い.

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